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 Chapter 10. 書初めをしよう

「……で、悠人、誰のが一番上手いと思う?」
「ん……そうだなぁ……これかな?」
「あ、パパ、それオルファの! わーい、パパに褒められたー!」
「あの……ユートさま……」
「ん、なんだ、エスペリア?」
「その……オルファはまだ、読み書きが上手く出来ないのですが……」
「…………」
「……悠人。もしかしてお前、いまだにこの世界の文字、読めないのか?」
「そ、そんなことはないぞ」
「ほ〜う。じゃあ………………っと、これでいいか。なあ悠人、これってなんて書いてある?」
「…………」
「ほら、図星だ」
「そ、そういう光陰はできるのかよ!」
「当たり前だ。現に今書いて見せただろうが。それに、読み書きが出来なかったら、書類で来た軍の命令も満足にこなせないだろうが……ん?」
「……げ」
「あ〜あ、なるほど。そうかそうか。お前はそうやって、何でもエスペリアにべったりだもんな。どうせ命令書読んでもらったりとか報告書書いてもらうのも、全部任せっきりだったんだろ」
「うぅ……」
「まったく。お前も今日子も、昔っからそういうところには全然努力しないんだからな」
「な、なによ。アタシは神剣に意識を呑まれかけてたから、覚える時間がなかっただけよ! アタシだって馬鹿じゃないんだから、こんなのすぐに覚えられるって!」
「普通、そう言うことを威張って言うか……?」
「そ、そうだな今日子。俺達だって馬鹿じゃないんだから、出来ないわけないよな!」
「悠人。お前前にもそんなこと言ってなかったか?」
「アハハハハ……」
「ハハハハハ……」
「ダメだこりゃ……」

 報告。逆にファンタズマゴリアに日本語を広めてはどうだろうか。


 Chapter 11. 凧揚げをしよう

 空を悠々と凧が舞っている……
 それを支えている、緑スピリット達のウィンドウィスパー。
 ……穏やかで、心地良い時間。

「……これは、何が面白いんですか?」

 だから雰囲気をぶち壊すようなナナルゥの無邪気な一言にも、悠人は腹を立てたりはしない。
 ……少しだけ落ち込んだりはするけれども。

「ん」

 だからあえて黙して語らず、ラキオス王国スピリット隊隊長は背中で渋く、情緒というものを見せ付けるのであった。

 報告。のんびりとした遊びも、ハイペリアにはあるのである。


 Chapter 12. 福笑いで遊ぼう

「えっと……これがこの辺で……多分これでいいはず…………ブハハハハハハハハ! なんだこりゃ!」
「キャハハハハハ! パパ、変な顔〜!」
「ユ、ユートさま……プッ、アハハハハハハ!」
「仕方ないって! 目隠ししてるんだから、誰がやってもこんなのになるんだってば!」
「…………」
「ん? どうした、ウルカ?」
「いえ……」
「あ、そうか。ウルカもやるか?」
「いえ、そうではなく……手前は、この顔に見覚えがあります」
「なーに言ってんだよ。こんな顔した奴、いるわけないだろ」
「いや、以前に手前が斬ったスピリット……その最期が、確かにこのような顔をしておりました」
『…………』
「……ん。私も、ある」
『…………』
「確か、三回くらい見た」
『…………』
『…………』
『…………』

 報告。お正月ぶち壊し。


 Chapter 13. 羽根突きをしよう

「な、なあ、みんな、やっぱり神剣の力を使うの、無しにしないか?」
「え〜!? そんなのずるいよ〜。『理念』の力を使わなかったら、オルファ、すぐに疲れちゃうんだもん」
「っつったってなあ……」
「ユート様、もうお顔が真っ黒です。今、拭く物をお持ちします」
「あーあー、エスペリア、そんなに甘やかさなくたっていいってば、こんな奴にはこれで……」

 ジャバッ!

「おわっ!? 今日子、いきなりなにすんだ!」
「何って、水かけて墨を流してあげたんでしょうが。うん、綺麗になってる」
「…………」
「それじゃあ羽根突きリーグ戦第2回、張り切っていってみようかー!」
『オォー!』
「あ、でもオルファ、羽根の変わりをファイアボールでやるのは禁止ね」
「えー、なんで〜!?」
『なんでじゃない!』

 報告。羽根突きは訓練ではない。


 Chapter 14. カルタ取りをしよう

 報告。悠人と今日子、10戦して取り札ゼロ(ファンタズマゴリアにおいて文盲であるため)。


 Chapter 15. お年玉をもらおう

「レスティーナ、お年玉くれ」
「オトシマエ……?」
「いや、いい加減適当になってきたからって、そういう舞台背景を無視した流暢なボケはしなくていい。ちなみに言えばお年玉っていうのは、正月に、年上の人からもらう小遣いのことだ」
「ユートは今、何歳なのですか?」
「えーっと……俺達の時間で言えば、そろそろ19になるかな……」
「私も19歳です」
「じゃあ女王陛下、お年玉くれ」
「その前に、ハイペリアでの一年というのは、ここの一年より長いのですよね?」
「…………」
「ということは、同じ19歳でも、ユートの方が長く生きている、つまり年上ということですよね?」
「……おっとすまん。急用を思い出し……」
「待ちなさいユート。お年玉を下さい」
「……すまん、今金を持ってきてない」
「しかたがありませんね。それでは、これを」
「へ? くれるのか?」
「そんな訳ないでしょう。それでヨフアルを買ってきなさい」
「…………」
「それと、ユートからのお年玉である以上、そのお金は貸したものですからね?」
「レスティーナ、王様のくせにみみっちいぞ」
「言い出したのはユートです」
「…………」
「それから、そのような習慣があるならば、スピリット達にもお年玉をあげるように」
「…………」
「言い出したのはユートですよ?」
「…………」

 報告。エトランジェですけど、バイトで使ってもらえませんか? ……ハァ、やっぱ駄目ですか。どうも。


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