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#2 過去

---次の日---

「行って来ます。」
玄関を出る。
そこに誠一が待っていた。
「よ。」
「じゃあ行くか。」
「ああ。」

---通学路---
昨日と同じ道。
そして何も変わらない。
「今日はいるのか?」
「知るかよ。ていうか逢いたくねーよ。」
「そうか?興味深いし逢いたいよ。俺は。」

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「いないな。」
「ああ。いない。」
学校へ向かって歩いて来てもそんな人は見つからなかった。
「もうすぐ学校に着くぞ。」
「仕方ないな。今日は逢えなかったと言うことか。」
「今日は?」
「ああ、今日は。」
「ってまさか!」
「その通り。明日も明後日も逢えるまでお前と朝学校へ向かうぜ。」
「もうどうでもいいよ。」

---教室---
教室へ着くなり結構人が居て騒がしかった。
「何だこれ?」
「あれ、覚えてない?もうすぐ学園際だぜ。」
「ああ、お前がいってから話があったからな。知らないのも無理がある。」
「で、俺等は何をやるんだ?」
「劇らしいぞ。」
「劇・・・。」
クラスでは劇の役について話し合っていたが、決まることもなく、HRが来た。
「お前等、今日のロングHRは劇の役割を決める・・・つもりだったが、もう決め始めているようだからそのまま続けてくれ。」

HRも続けて、役割分担が始まった。
前で、岬が司会をしている。
「じゃあ、この村人A〜Eまで、やりたい人、手を挙げて。」
ほぼ8割の手が挙がった。
40人の8割、32人。
「あ〜、じゃあ後で決める。」
「じゃあ、主役男やりたい人。」
誰一人として手を挙げない。
「ん〜、誰かやってくれないかな〜。」
「そうだ!悠人にやらせればいいんじゃないか。」
碧が提案した。
「あ、そっか。」
「どうせ寝てるし、やることはやる奴だろ。」
「バイトが忙しいっていうけど学園祭ぐらい羽目を外してもらおう。」
「そうだね♪」
そう。悠人はこのとき寝ていたのだ。
バイトも夜遅くまであるし、朝は寝坊しているが無理矢理起こされているので、眠気が完全に抜けることは無いからだ。
「じゃあ、主役は高嶺で決定!異議ある人?」
誰の手も挙がらない。
「じゃあ、決定♪」
黒板に悠人の名前が書かれる。

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役割が決まった。

「じゃあ、今から確認するよ。」

「監督、浅石 助監督、石井、 主役、高嶺 ヒロインが私で、岬 重要な役、碧 村人A〜E、順番に、木村、東原、新藤、飯田、遠野・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
黒板にかかれた役割を読み上げる。
「それじゃあ、各自に渡した台本読んどいてね。」
「明日の朝練から練習し始めるから。」
突如、左斜め後ろの席から、悠人の声がした。
起こされ、さっきのHRの話を聞かされたんだろう。
必死で役を取り消してくれと頼んでいる。
やりたくないと言うのもあるのだろうが、実際はバイトが忙しく、演劇なんてやってられないらしい。

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最後の授業も終わった。
そそくさと帰る者、部活に出る者などいろいろいる中で、誠一は俺に近づいてきた。
「英慈、今日、部活無いから、今日は見舞いに行くよ。久々に。」
「サンキュー、じゃあ、用意するから待ってろ。」



用意が終わった。
「用意できたからいこうぜ、誠一。」
「ああ、今行く。」
二人で教室をでる。


---病室---

病室へ入ると、来る途中でもらった花を前の花と取り替える。
そうして誠一と向かい合わせに座る。
「いつからだっけ?」
「5年前から。」
「ここに来るのも3ヶ月ぶりか。」
「俺は毎日来てるけどね。」
「大変だよな。意識不明も。」
「ああ。生きているのに、意識だけが無い。体には火傷の痕はあるがそのほかは普通の人間と同じなのにな。」
「お前にも火傷の痕はあるしな。」
「ああ。背中にな。十字架の。」
英慈は背中に火傷の痕が残っている。
なぜ、十字架というと、彼の親は、宗教には興味は無かったが神懸かりな物が好きで、仏壇やら、十字架などが多く飾ってあった。
火事の時に英慈は逃げ際に倒れてきた十字架に背中を焼かれてしまった。
「熱かったか。その時。」
「当たり前だろ。その時はもっと子供だったんだぜ。」
「ところで、なんでこの話をしたんだ?」
「いや、何となく・・・な。」

その時病院内アナウンスが流れた。
「面会時間終了まで後、10分です。面会終了時間を過ぎると病院内の2階以降には来れませんので2階以降にいる方は10分以内に一階に降りてください。繰り返します。面会時間終了まで後、10分です。面会終了時間を過ぎると病院内の2階以降には来れませんので2階以降にいる方は10分以内に一階に降りてください。」

「もうこんな時間か。」
「帰らないとな。」
2人は病室を出た。

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