「あぁ、言い忘れてたけど、私の名前はサリア。サリア・ブラックスピリットよ!!これからどうなるかは知らないけど、よろしくね!」
叫ぶお姉さ・・・・・・サリア。別に自己紹介なんて良かったのに。
律儀というか、なんというか。
サリアがまだなにかいっているが、もう聞き取ることはできない。
聞き取れないその声に背を押される形で、今度こそ俺たちは場内に入っていった。
かっこよく場内に入ったまではよかったが、それから道が分からなくなったエリアに案内され、
途中何度も道を間違え、二時間近く掛けてようやく女王の部屋へとたどり着いた。
「アズマリア様、お話があって参りました。お時間はよろしいでしょうか?」
ノックをして、今までがウソのような言動を繰り出すエリアに、俺は正直驚いていた。「えぇ、かまいませんよ。どうぞ。」
中から聞こえてきたのは、まだ若い声だった。そして中に入って更に驚いた。
女王って位だから、どんなおばさんかと思ったら、俺とそう年が変わらないようなネーチャンだったからだ。
女王は、入ってきた俺を見て一瞬顔を訝しめたが、すぐに戻し、エリアに話しかけた。
「それで、話とは何ですか?そちらにいらっしゃる方とも関係があるのですか?」
さすがは女王と言ったところだろう。一瞬で話の内容に推測を付けた。
「はい、ですからサリアの進言もあり、極秘にするために直接コチラに参ったのです。」
やはりしっかりと受け答えするエリア。どちらが本物のエリアなのだろうか。
・・・・・・・・・・いや、おそらくはそのどちらもがエリアなのだろう。合って間もないが、
そう思わせるだけの何かが、エリアにはあった。
「なるほど、そう言うことでしたか。それでは話を聞きましょう。」
女王にそう言われ、俺のことを説明するエリア。
「・・・・・・・・・・・・・・・・なるほど。それではエリア、そのあなたの隣にいる方がエトランジェと言うことですか?」
女王の顔が、一段と真剣みを帯びてきた。エトランジェはたった一人でも大国に匹敵すると言われているためだろう。
「はい。樹海にて散策していたところ、気配を感じたので行ってみたら、発見しました。」
エリアも当時のことを説明する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・しかしエリア、散策ではなく迷い込んでいたのではなかったか?
「そうでしたか。スピリット隊の報告では、あなたが迷子になったとありましたが、そう言う理由があったのですね。」
ちょっと意地悪顔で言う女王。あれは絶対に真実を知っている顔だ。
「まぁそれは置いておくとして、エトランジェ殿。」
女王がいきなり俺に話を振るので、ちょっと遅れてだが返事をした。
「私はイースペリアの女王、アズマリアと言います。よろしければあなたのお名前をお聞かせ頂けないでしょうか?」
何事かと思えばそんなことか。別に差し支えないので自分の名を名乗る。
「私の名前は雄牙。神帝雄牙です。」
その他にも自分について一通りのことを説明した。それに返すように、アズマリアも自分のことを話してくれた。
俗に言う『自己紹介』と言うやつだ。そう言えば小さい頃は『自己紹介』を『事故紹介』と言っていたよな。
我ながらボキャブラリーのなさに悲しくなってくるよ。
「それでは本題に入らせて頂きます。ユーガ殿、あなたにイースペリアの主戦力となり、この国の戦を導いて頂きたいのです。」
悲しみに打ちひしがれている俺を気遣ってか、アズマリアが唐突に本題に入った。
「それは命令ですか?」
相手が本題に入ったので、コチラも気持ちを切り替え、真剣な顔をして問う。
「いえ、お願い、としか言えません。」
悲しげな顔をしながらも、俺にそう告げる女王。
上の者は権力に溺れ、自分の限界というものを見失いがちなのだが、この女王はしっかりしている。
ただ綺麗なだけではないようだ。
まぁ、この国は世襲制ではないとのことだし、容姿がいいだけで能力がないのでは女王として君臨することはできないのだから、
当然と言えば当然か。
「・・・・・・・・・・・・・・お話は分かりました。・・・・・・・・すぐに答えを出さなければならないのですか?」
主戦力として戦を導く。それには相当の覚悟が必要になる。すぐには答えを出せそうにないのだ。
「早いに越したことはありません。ですがそれにはそれなりの覚悟なども必要となりますので、
早急とは言いません。この城の一室を用意しますので、答えが出るまではそこでお過ごしください。」
どうやらこの女王、頭もかなりキレるようだ。言葉はどうであれ、俺が決断をするまではこの城に閉じこめておくらしい。
彼女が言ってることは、一見良さそうだが、その実、俺をこの城に軟禁すると言うことだ。
「話は以上ですね。それではユーガ殿、お部屋へ案内します。コチラへどうぞ。」
そう言って優雅に席を立ち、これまた優雅に俺を促した。
美人は何をしても似合うようだ。」
「あ、ありがとうございます。」
そう言って顔を赤くしてうつむく女王。そこには、年相応の顔をした少女がいた。
またやってしまったようだ。
「ま、まぁとにかく、わかりました。
それから私のことはユーガでかまいません。
敬語なんかを使われると、むず痒くなってしまいますから。」
誤魔化すように女王にそう告げる。
「そうですか。それではユーガと呼ばせて頂きますね。それから、敬語についてですが、これは勘弁してください。これが地ですので。」
そう言って女王はドアを開けて外に出た。
外に出たところで、再び女王が口を開いた。
「もう一つ、周りに人がいないときにはアズマリアでかまいません。それに敬語も結構です。」
と、再び顔を赤くするその表情は、やはり今までとは違い年相応の表情だ。
この年で女王になったことが、よっぽど重荷になっているのだろう。
どうにかしてやりたいが、どうしようもない。
ならせめて、
「わかりま・・・・・・っとと、わかったよ、アズマリア。これからどうなるかは分からないけど、よろしく頼むよ。」
せめて言い分通りに敬語はやめよう。女王ではなく、アズマリアという少女を見よう。
敬語を使いそうになると途端に表情を曇らせるアズリアを見て、俺はそう誓った。
そうこうしているうちに、一つの部屋の前に着いた。
話の流れから察するに、ここが
「着きました。それでは此処がユーガの部屋になります。何かありましたら、遠慮無く私の方に申してください。」
そう言って名残惜しそうに帰って行くアズマリア。
その顔を見て引き留めようかと思ったのだが、理由が見つからずに断念した。
・・・・・・・・・・・・・しかし、ちょっとのことで直接女王を呼ぶのってまずくないか?
・・・・・・・・・・・・・・・・それとも何か?
ちょっとのことでぐだぐだ言ってんじゃねえ、ってことなのか?
そんなどうでもいいようなことを考えながら、俺は宛がわれたベッドへとダイブした。
ある程度の痛みは覚悟していたのだが、実際にはそんなものはなく、逆にとてつもない心地よさが俺を襲った。
とてもふかふかなのだ、このベッド。
こんなのに横になれば、誰しもが夢の国へと誘われてしまうぞ。
かく言う俺もかなりやばい。
風呂にも入ってないんだがなぁ。
「きゃー、不潔よ!!」
そりゃあ某委員長とオペレーターの台詞だよ。
この話最初で最後の台詞がそんなんでいいのか?追憶よ。
続く・・・・
後書き・・・・
・・・・の前に、設定紹介
はいっ、幽鬼です。
『A,T,E』第四話、今回は女王との出会い編でした。
えーと、前回の姉御軍人でわからなかった方も、いるのかなぁ?
今回で名前が出てきたので、もうおわかりでしょう。
そうです。サ○ン○イ○3にでてくるあのかたです。
いやぁ〜、好きなんですよ、あのお方が。なぜかと聞かれると困るんですが。
まぁ、「人を好きになるのは理屈じゃない」と言いますし、『好きなものは好き』でいいですよね。
さて、今回のどうでもいい話、お題は『夏休み』!
皆さんはこの夏休みに、何か「これだけはやり遂げたぜ〜!!」というものをお持ちですか?
僕は昔からそれを親に言われ続けてきました。
当時はうざったくて仕方がありませんでしたが、今年の夏をダラ〜リと過ごすことにより、
そのことの大切さを痛感しました。
・・・・・・・・・・・・・・・・皆様に中には、
「夏休みだってのに、休みがねーーーー!!」
という方もいらっしゃるかもしれません。
事実、教師なんて、最近よく出没する、
『現実と空想の区別のつかない変態さん』
のせいで、ほぼ毎日が学校へ出なければいけないので、大変ですね。
まぁ僕は教師ではないので別に関係はないんですけど。
とにかく・・・・・・・・・・・いえ、やめておきます。
あまり愚痴を書きすぎると手が止まらなくなってしまいますから。
それでは、今回はここまでです。
次回はちょっとシリアスが入ります。
・・・・・・・・入ってほしいなぁ。
いえいえ、努力します。
メールでの下書きでは入っているんですが、あまり下書き通りにいっていないのがこのお話。
さてさて、どうなることやら。
とまぁこの辺にして、次回もお願いします。
また次回の後書きでお会いしましょう。ではでは!!