Another Team's Episode
第一話 契約そして旅立ち
「起きて下さい。もしも〜し。」
今日は芹那の日だったよな。でもあいつはこんな優しくないしなぁ。 あぁそうか、綾に代わったのか?
「う〜ん、あや〜。もう少し〜。後五分。」
「あやとは誰ですか!?まさか・・・っ!?そんな、私とは遊びだったのね!」
「!!?・・・・あれ、ここどこだ?」
目が覚めると、そこは不思議な町ならぬ、不思議な空間だった。
「やっと起きましたか。ここは時の狭間です。。」
「あら〜?声がするのに姿が見えませんねぇ。」
辺りを見回すが、それらしいものはやはり見えなかった。
「意外と余裕ですか?それともどこかの緑の妖精の如く天然さんなのですか?」
「緑?妖精?」
何のことやらさっぱり分からん。
「そこは気にしないでください。これから嫌でも解りますから。」
「わかった。まぁ冗談はさておき、君は何処の何方様?」
結局分からないので本人に訊ねてみた。
「私ならあなたの目の前にいるではありませんか。」
はぁ?目の前?
「あら〜。そこに隠れてらしたんですねぇ〜。」
「・・・・・あなたは先ほど冗談はさておきと御自分で申されましたが?」
・・・・・・・・・・だって信じられないぞ普通。目の前って言ったってなぁ。
「あぁ、だからその言葉はそっくりそのまま君に返す。」
「冗談ではありません。私は永遠神剣第一位『追憶』です。」
どうやら嘘ではないようだ。が、それでも思うことはあるので、言ってやる。
「・・・色々と突っ込みどころは満載だが、第一剣じゃないだろ。」
目の前にあるのは、もちろん人型ではないが、彼女(?)の言うような剣ですらない。
「神剣とは総称であって、皆が必ずしも剣の形をとっているわけではありません。」
なるほど。奥が深い・・・・のだろうか?
「ここには君が呼んだのか?」
「ええ。そうです。」
そうか。それならなんとなく解ってきたぞ。これでもあっちの世界では頭のキレる奴で通ってきたからな。
・・・・・・・あれ?あっちの世界?
「まぁいいさ。ここに呼んだってことは俺に何をさせたいんだ?」
そう言って(自称)神剣に問う。
「話が分かる人は嫌いではありません。そうですね。あなたには私と契約を交わしていただきたいのです。」
要するにはこの神剣とやらの所有者になれってことか。
正直なやむな。確認を取るってことはいい事ばかりではないということだろうし。
「それを交わしたらどうなるんだ?」
とりあえずは確認を取ってみる。やはり何も知らないままというのはまずいだろ。
「そうですね。まず私たち上位永遠神剣と契約を交わせば、永遠の命を手に入れることが出来ます。 しかし、それは終わりなき戦いが始まる瞬間でもあります。」
「終わり無き戦い?」
どういう意味だ?
「永遠の命を手に入れた存在をエターナルというのですが、エターナルは常に戦いの中に身をおいているのです。」
なるほどな。だから永遠の戦いか。しかし、
「それだけか?まだ何かあるんじゃないか?」
「あなたは勘が鋭いようですね。はい。他にもありますよ。契約を行えば、とてつもなく強い力を得ることになります。それから・・・・・・」
「?それからなんだよ?」
言葉を濁らせる神剣に、言い知れぬ不安を感じながらも尋ねる。
「それから・・・・・
世界から、エターナル以外の記憶から契約者の存在が消え去ります。」
・・・・・・・・・これにはさすがに驚いた。なぜか最終的には契約してやろうという気になっていたのだが、 さすがにこれは聞き流せない。 戦いに身を投じることまでは許容範囲だが、皆から忘れられるのはなぁ。
悩んでいると、神剣が声をかけてきた。
「・・・・・・・・・・やっぱりだめでしょうか?」
それと同時にこの神剣から悲しみや寂しさといった感情が流れてきた。
永遠を生きてきたこの神剣は、ずっと孤独の中にいたのだろう。
そう思うと、なんだかかわいそうだな。
「なるほどね。でもなんでそれが俺なんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・私の好みです。」
「・・・・・・・・・はいっ?」
聞き間違いだろ?そうだ。そうに違いない。 ・・・・・・と思いたいな。
「だって、だって初めての契約なんですよ!?初めてって言うのは大切にするものなのでしょう? だから自分の好みのタイプとしたいじゃないですか。初めての契約者がムサイ男だったり、 ケバい女だったりしたら絶対に嫌です。人外なんて論外ですし。 それに比べて、あなたは私に体があれば襲っちゃいたい私のタイプど真ん中ですから。」
・・・・・・・・はぁ。なんだかなぁ。どうやらこの神剣とやら、性格はとても人間くさいらしい。
だがその言葉が俺に決心をさせた。
「あっはっはっは!お前面白いやつだな。お前みたいなやつなら退屈しないだろうし、いいよ。契約とやらをしよう。」
「そうですか。ざんね・・・・・・・・って、いいんですか!?」
自分から言ってきたくせに、さも意外だといわんばかりに驚いていた。
っていうか、本当に意外なのだろう。
「何で意外そうなんだよ。」
とりあえず気に入らないので聞いてみる
「いえ、あなたはなんだか堅物っぽかったので、頑なに反対するものとばかり・・・・・。
ですから強制的にでも契約を交わす準備もしていたわけですし。」
なんだよそれは。俺ってそんな風に見えるのか?それに強制的って・・・・それって契約って言えるのか?
なんか契約するのやめたくなってきたぞ。
「突っ込みたい気も満々だが、そこは我慢しよう。とりあえず気が変わらないうちにさっさと済ませるぞ。」
これ以上こいつに喋らせると、契約をする気がどんどん消えていきそうなので、さっさと契約を急がせる。
「そうですね。せっかく見つけた契約者ですし、初めてが無理矢理というのも嫌ですからね。
・・・・・・それでは、私に手を触れてください。」
言われるままに、俺は目の前の蒼銀の光へと、手を伸ばした。
すると不思議な力とともに、言いようのない暖かいものが、流れ込んできた。
「ふーん。これで・・・・・・・・・・・っ!?なんだこれ!体が、体がちぎれそうだ!!力を抑えきれない!?」
どうやら今のこの体には、この強大な力は入りきらないらしい。
・・・・・ん?これは?この神剣のことがわかる。なるほど、これなら何とかなるかも。
「なぁ、追憶。神剣の位を第四位まで落としてくれ。じゃないと体がついていかない。」
そう、どうやらこの神剣は剣位を自在に変更できるようなのだ。その性格とは違い、実に契約者思いの能力だ。
「わかりました。やはりいきなりでは無理がありましたか。
・・・・・・・あれ?私が剣位の変更が可能なこと、説明しましたっけ?」
「いや、説明はされてないが。でも頭の中に流れてきたんだ。」
すると追憶から、不思議そうな、私今考えてます、ってかんじが流れてくる。しかしその流れの感じは、
神剣の使い方の時とは違う気がする。そういえば、その時だけが、他の流れとは違っていた。
流れてくるとはいったが、その感じは、頭の中にあったものが浮いてきたといったものだった。
どうやら追憶も、悩んで
「やっぱり運命ってやつですかね!?ドラマみたいでかっこいいです!」
・・・・・・・・・・訂正、やっぱり追憶は追憶だった。しかもキャラが違う。
それにしても、こいつは本当に神剣なのだろうか?などという疑問が涌いて出てもおかしくない性格だ。
あれから、この不思議空間でしばらく過ごしていた。その間に俺たちは、これからのことについて話したり、
少しくらいはということで、ちょっとした訓練等をした。
「さて、まぁまぁ力もついたわけですし、そろそろ行きましょうか。」
突然追憶がそんなことを言い出す
「あぁ、ファンタズマゴリアだっけか?そうだな、行くとするか。『神剣の主、ユーガが命じる。門よ、開け!!」
「なっ!?剣位のことといい、この門といい、どうしてあなたはっ!?」
あれ?そういえば何でだろう。前といい今といい。
そんなことを思いながらも、体と意識は門を潜っていった。
続く・・・・
後書き・・・・
・・・・の前に、設定紹介
どうも。『Another Team's Episode』、略して『A.T.E』、零話に続き、一話も読んでくださった物好きな皆様。ありがとうございます。
さて、今回のお題は、この話の題名についてです。友人に送っていた段階では、『Another Country's Episode』、略して『A.C.E』だったのですが、
某ゲームソフトが発売されたことにより、「コノママデハカブッテシマウ。」と言うことになり、急遽変更、
『Aselia The Eternal』略して『A.T.E』にちなんで、今のものにしました。
意味は訳したとおり、もう一つの団体のエピソード。それがイースペリアのスピリット達であり、サブスピリット達、そして後に出てくる集団であるのです。
つまり、ラキオスのサブスピリット達を雄牙に落としてもらって、メイン達とは別のチームを作ってもらおうと思っています。
それから、題名変更に伴い、話も、初めの頃はイースペリア崩壊にて終了と言うものから、大分変わりました。
またまたそれに伴って最初の部分もかなり変更。一年前のものとはとても思えないくらいに変わってしまいました。
唯一変わってないとすれば、僕の文を書く能力くらい・・・・・・・・。
まぁそれは、その間ぜんぜん執筆をしていなかったことが原因だと信じ、これからもどうにかやっていきたいと思います。
今はまだ前のネタがあるから何とかなっていますが、そのうち、『更新遅いし短い』なんてことになるかもしれません。
でも最後までやるつもりなので、その間の成長も含め、長い目で見守ってください。
それでは、次回もまた見てくださいね。ジャン・ケン・ポン!! うふふふふ