聖ヨト暦329年スリハの月 緑三つの日 深夜
神聖サーギオス帝国 サーギオス城 第3旅団詰所




死屍累々…といった感じの部屋の中…
宴会も終わり、スピリット達はあられもない姿で眠っている。
薬の効果もあるのだろうが、誰しも安らいだ顔で寝息を立てている。
その中で、ミュラーは一人、アカスクを傾けていた。


「…そろそろ始まるね…彼は来ないでくれと言ってたけど…そうもいかない…かな?」


城に漂い始める濃密なマナを感じながら、ミュラーは呟いた。
彼が一戦交えようとしている存在について、ミュラーは一通りの話は聞いている。
アキラ達が束になっても勝てるかどうか分からない存在。
だが、これでも彼女は永遠神剣3位『完全』の適合者。
永遠神剣2位『紡ぎ』の力を最も色濃く受け継ぐもの。
本質的にはエターナルでは無いが、それに匹敵する力を持つ虚空の開拓者。
世界から外れたものではなく、彼女はあくまでこの世界の存在。
自らの世界を、外なる者達が侵そうというのなら……


「…護る為に戦うもまた真理…」


スッ…と、音を立てずに立ち上がる。
剣聖の紋章が刻まれた外套を羽織ると、ミュラーは意識を研ぎ澄ました。


「………往くのか?」


狸寝入りをしていたウィルハルトが、ミュラーに声をかける。
一瞬、ビクッと身体を震わせた彼女だったが、すぐに何時も通りの微笑を浮かべ振り向いた。


「君も随分な狸だね…私とした事が、今の今まで気付かなかったなんて」
「ふ…こう見えても余は幾多もの経験を積んでおるゆえ…な」


その瞳にどこか老獪な光を浮かべ、ウィルハルトは肩を竦める。
韜晦するかのような言を放ちながらも、表情は悪戯に成功した子供のよう。


「…して、どうする? 行けば関わり合いを持たずとも良いものに関わるぞ?」


暗にエターナルに関わる必要など無い…と言うかのようなウィルハルト。
元々、エターナルでありながら転生者でもあった彼は、エターナルがどのような存在か誰よりも知っている。
それゆえに、エターナルと関係の無いミュラーを案じての言葉でもあった。
だが、ミュラーは黙して首を振る。
何故なら、彼女は知っていて其れを選択しようとしているのだから…


「そうか…、ならば余も帝国の皇として務めを果たさねばならぬな。ここで、あやつを失うのは惜しい」


ウィルハルトの言葉に、今度はミュラーのほうが驚きの表情を浮かべる。
相手は、途轍もなく強大な存在。
いかに優秀であるとは言え、神剣の加護を持たないウィルハルトには荷が勝ちすぎる。
ミュラーは、刃のように鋭い視線で、ウィルハルトを威圧しようとする。
彼女は今の帝国が好きだったし、その頂点でもある彼を失えば帝国が崩壊すると理解しているから…


「できない事は言わないほうがいいよ。君が死ねば帝国は崩壊する…分かっているよね?」


常人なら気死する程の威圧感。
物理的な干渉をするまでに高まった氣が、指向性をもって放たれる。
しかし…


「ふむ。中々に心地良い殺気よの…しかし、今は余に向けるべきではない。往くぞ、ミュラー・セフィス。ついて参れ」


彼は、あっさりと氣の外圧を受け流し、飄々と…そして悠然と扉へ向けて歩き出した。
武器も無く、無手の彼に歴戦の闘士としての気を感じ、ミュラーは溜息をついた。


(私の目が節穴だった……ということかな)


気を取り直し、ウィルハルトについて歩き出す。
後に残るは眠り続ける妖精達のみ…
誰もが眠る宵闇の中、知られざる戦いは幕を開ける。
















永遠のアセリア
The Spirit of Eternity Sword

〜人と剣の幻想詩〜

第二章
“Oath and Emperor”
ACT-9

【失われる悪夢】
- La Etranger “Nightmare is Lost” -





聖ヨト暦329年スリハの月 緑三つの日 深夜
神聖サーギオス帝国 サーギオス城 第3旅団特殊戦技訓練場




─シャラァァァァン!


錫杖が涼やかな音を立てる。
門から流れ込む異界の空気と共に…
そして現れるは、黒と白。
漆黒の破壊者…『黒き刃』のタキオス。
純白の幼女…『法皇』テムオリン。


【顕現レベル安定。対象存在力、クラス5で安定。総マナ量は依然、向こうに十数倍のアドバンテージがあります】
(クラス5か…以前より1ランクは引き落とせたな……これで、マナ量を除けば互角。いけるか…)


サラの報告に、心話で答える。
純粋なマナ量による圧迫感はあるものの、以前のような絶望的な差は無い。
今回は決して勝てない相手ではない。
それを確信してアキラは瞳に決意を乗せる。


「……忌々しいですわね…エトランジェ! まさか私の『秩序』を逆利用するなんて…屈辱ですわ!」


苦々しい表情でテムオリンが開口一番、そういった。
自ら、プランナーとして活動し、画期的なシステムで効率的に世界の破壊を齎して来たテムオリン…
今回の出現によるマナ漏洩は、彼女が二番目に嫌う赤字というモノを叩き付けたのである。
其れに対して、いつもに増して楽しそうにしているのはタキオスだ。


「やってくれたな…アキラよ。やはり、貴様こそが俺の相手に相応しい! 準備は万全か? 俺は今直ぐにでも貴様と死合いたい!」


それは狂気か…はたまた驚喜か?
早くも『無我』を準備したタキオスは、テムオリンの指示を待ち、落ち着かなげにしている。
その様は、解き放たれる瞬間を心待ちにしている猟犬の如し。


「エターナルの強さは身に沁みて分かっているからな…ロリッ娘。お前は人間を嘗め過ぎだ」
「誰がロリッ娘ですか! 私にはテムオリンという名がありますわよ!」
「フッ…人の事をエトランジェ呼ばわりする小娘は、ロリッ娘で十分だ。この似非ロリータが!」
【…マスター…相変わらず煽るの上手いですねぇ…】


さっさと始めれば良いのに口撃の応酬を始めるアキラとテムオリン。
サラは、もはや悟りきったかのようになっており、ルージュは失笑する。
ガレオンとタキオスは所在なさげに気力を減らされていた。




………

……






「くぅぅぅ…貴方こそ、卑怯の代名詞でしょう! 人のマナを横取りするなんて厚かましいにも程がありますわ! 反省なさい!」
「資源の有効利用と言ってくれたまえ。マナが有限なら、それを外部から調達するのは基本だろう? 責任転嫁とは淑女とは思えないな?」
「淑女でも、怒るべき時には怒るのですわ! それに、先程から小さい小さいだの…どこまで馬鹿にするんですの!?」
「事実だろう? 反論したいなら、もう少し成長してみたまえ。いや、成長できなかったか…これは失礼…くくっ」
「なっ…知りませんの!? 世の中は今、小さい方が持て囃されるんですのよ! そう、小さい事こそが法の意思なのですわ!」
「知らんな…それに俺の好みはバランスの良い肢体。少女にも満たない幼女は圏外なのだよ…」
「…貴方…若くて小さくて愛らしく締りの良いこの躰の魅力が分からないとでも言うの? もしかして不能者かしら?」
「君に対しては不能者でも困らんな…そもそも君に欲情するような物好きが居るのか?」


喧々囂々…、しかも論点が段々おかしな所へと…移動中。
ルージュは、もはや笑いを堪えきれない。苦しそうにガレオンにボディーブローを繰り返している。
ガレオンは諦めて、ルージュに殴られるまま…そもそも能力を使わないルージュ程度の打撃ではダメージにすらならない。
そして、アキラの最後の問いに……


タキオスッ! 貴方、私に萌えないなどと………言いませんわよね?


……タキオスが生贄として選ばれた。


「は、はあっ!?」


己の主君と宿敵の、根こそぎ気力を消失させるかのようなやり取りに完全に脱力していたタキオスは、それを流せなかった。
思いもよらぬ所から飛んできた恐るべき選択肢が彼を苛む。
色々な意味での危険を孕んだ災難が自らに降り注いできたのだ。
タキオスは、長い戦場生活でも類を見ない危機を乗り越えるべく、明晰な頭脳をフルに回転させ始める。



@「テムオリン様、貴女は永遠者の中で、最も萌えを体現しております。ご安心下さい」
A「……………は? 申し訳ございません…聞き逃してしまいました」
B「馬鹿なことをやっている場合ではございません…テムオリン様、一刻も早くこのタキオスにご命令下さい!」



@…当然却下。
幾らなんでも、この状況で妙な事を口走るのは最高に拙い。
むしろ戦士としての沽券に関わる。

A…これも却下。
このタイミングで、其れを言うと…テムオリン様の八つ当たりが確定する。
仕えるべき主君に、このような事で抹殺されては死んでも死に切れぬっ!

B…これだ! これしかない!
済し崩しに、これで戦闘に持ち込む。
この馬鹿な事態も収まる。危機は去り、戦いの歓喜に身を窶せる。



「馬鹿なことをやっている場合ではございません…テムオリン様、一刻も早くこのタキオスにご命令下さい!」


冷静にタキオスは危機を脱する選択肢を選んだ。
その筈だったが…


「…そうですわね…でも、その前に…タキオス? 質問に答えなさい」
(なっ…馬鹿なッ! 俺の完璧な策がッ!?)


…あくまで自分のプライドに掛けてタキオスに回答を要求するテムオリン。
テムオリンも一応、女性としての意地がある。
ゆえに、有耶無耶に誤魔化す事はできなかったのである。
どこか危ない雰囲気でタキオスに笑顔を向けるテムオリン…
タキオス絶体絶命!?


だが…


突然、アキラが無動作から『神音』による抜き撃ちを行った!
テムオリンが意識を逸らした瞬間に、一気に仕留めるべく瞬時に3発の銃撃を行ったのだ。
本来ならば、一瞬でテムオリンの無防備かつ未成熟な肉体は爆ぜ、マナの霧となってこの世界の塵となっただろう…


(感謝するぞアキラぁぁぁ!!)


…しかし、如何に動揺していようがタキオスは百戦錬磨の戦士。
アキラの動作を捉えていたタキオスは、絶対防御の障壁で空間を隔離し、銃撃のオーラフォトンを悉く逸らしてしまった。
飛び込み様にテムオリンを背後に庇い、タキオスは『無我』を抜いてアキラと対峙する。
戦士としての矜持は護られた!
ついでに色んな意味での危険も回避できた!
タキオスは自らの戦運に心の底から感謝の念を捧げた(笑)


「フッ…アキラよ…会話でテムオリン様を挑発し、実力を出させぬままに倒そうとしたな?」
「残念残念…助かったのはどっちかな…と、それじゃ不意打ちも失敗した事だし…真面目におっ始めるか!」


思わせぶりな、アキラの言に冷や汗が流れるタキオス。
正直、もう一度あの状況に戻るのは絶対に回避したい彼は、黙って『無我』を構える。
戦士なら剣で語れ…と何時もなら渋く感じるその偉容も、今はどこか空々しい。
しかし、それでも互いの間に猛烈な剣気が渦巻き始めているのは流石である。
こうなれば、テムオリンも気を取り直して戦いを始める以外に方法は無かった。


「エトランジェ…いえ、アキラ…何処までも卑怯ですわね! もはや言葉は要りません…タキオス! 全力で奴を滅ぼしなさい!」
「御意!!」
「ルージュ! テムオリンを殺れ! 遠慮は要らん! ガレオンはサポート頼むッ!」
「了解しましたわ!」
「委細承知!」


そして、ようやくまともな戦いが始まる。




聖ヨト暦329年スリハの月 緑三つの日 深夜 〜アキラ vs タキオス〜
神聖サーギオス帝国 サーギオス城 第3旅団特殊戦技訓練場




「こうして戦うのも二度目か…まずは試させてもらおう…『無我』よッ! 覇ぁぁぁぁァァ!!」


気合と共に、膨大な量のマナをダークフォトンへと変換していくタキオス。
今回は最初から最大の力で“試す”心算のようだ。


「耐えられるか? 否、耐えて見せろ…そして、真の戦いを始めようではないかッ!!」


集束・集束・集束・集束!!
集まるマナは渦を巻き…だが、無為に広がる訳でもなく、アキラ一人を滅するために大きく…しかし鋭く研ぎ澄まされていく。


【マスター! 『無我』のダークフォトン量は、こちらの障壁限界を超過しています! 効果範囲確定、通常回避不能です!】
(分かってる! 落ち着いて俺と共鳴しろ! サラ…俺の命……お前に預けるぞ!)
【イエス・マイ・マスター! 私達の力で…あれを……超えます!】


─キィィィィーーーン!
─リィィィィーーーン!


『神薙』と『七鍵』が同調を始める…
お互いの剣音が共鳴し、意識は何処までも広く、大きく澄み渡っていく…
この瞬間…アキラはサラであり、サラはアキラでもあった。
一瞬の見当識の喪失と共に、精神の奥底から巨大な力が湧き上がってくる!
ともすれば暴走を始めようとする力をサラが制御し、一切の無駄なくアキラへと流す。
受け取った膨大な奇跡力をアキラは自らの裡で精錬し、練り上げ、巨大な竜氣へと変換していく。
同質の力…オーラフォトン同士の衝突は不利と判断し、全てを切り裂き消滅させる竜氣の刃による決戦を選んだのだ。


「…タキオス! 以前とは違うぞ! 俺と『七鍵』の力……刮目せよッ!!」
「ぬっ…その力…オーラフォトンではないな? 面白い…我が『無我』最大の一撃…喰らうがいいッ!!」


タキオスが身の丈ほどもある鉄板の如き大剣、『無我』を振り上げる。
渦巻くダークフォトンの奔流が、不気味に沈黙する。
正に嵐の前の静寂。
それは次の破壊を引き起こすための一時的な静寂。


同様にアキラは静かに瞑目して、『七鍵』を鞘に納める。
流麗でありながら、どこまでも酷薄な死の一撃の構え。
正に神鳴る前の静寂。
それは万物一切を引き裂き破壊するための一時的な静寂。


二人の戦士の放つ剣気の前に、時が…空間が…慄くかのように凍りつく。









































「空間をも断絶する我が剣撃……今! その全てを一刀に込める!!」
「……夢幻の如く…血桜と散れ………これぞ我が秘奥義!!」







































「ウオオオォォォォォォッッッ!!!」
「桜花幻影の太刀!!!」





































最初に感じたのは無音の衝撃。
次に感じたのは全てを打ち砕く轟音。
最後に感じたのはお互いを喰らい合う神剣の光。




「我が全力の一刀…見事耐え切ったか…」
「因果の逆転…必殺の概念すら止めるか…」




─ぽたり…




互いの衝撃が互いの肉を裂き、鮮血が地面へと落ちる。
落ちた鮮血は、端から金色のマナへと昇華され、世界へと還っていく…
至近で必殺同士の対消滅を受けた二人は全身を紅に…黄金に染めながらも凄絶な笑みを浮かべる。
生命力の大半を消耗したが、互いにこの程度で戦意を失うような存在ではない。
むしろこれからが本番なのだ。
必殺の大技が通用しないゆえに行われる生命の削り合い。
剣技と機転とが死線を分ける、飽くなき闘争。
戦士としての技量が、知恵が、気概が…生死を決める。


「さて、第2ラウンドと洒落込もうじゃないか?」
「応よ!」


必殺から、完殺へと戦いの質を切り替える。
タキオスは、下段から竜巻の如き連撃を加えるための体勢を…
アキラは、瞬時に致命を与えるための…修羅の如き苛烈な構えを…


「往くぞ! 『無我』ァァァッ!!」
「サラ…俺に力をぉぉぉッ!!」




─ギャリンッ!!
─ガゴンッ!!
─ギキッ…ギャンッッ!!




「はははッ! 楽しいぞ! これ程に楽しいのは何周期ぶりか!?」
「…強者が好みなら、俺の世界にでも来るんだな…化物がゴロゴロしているぞッ!!」




─ガインッ!!
─バキャッ!!
─ギキュンッ!!



「ほう! そうか…漸く分かったぞ…貴様、“界の継承者”かッ! 上位象限世界の守護と闘えるとはなッ!!」
「知るかッ! 俺は俺だ! 誰が何と言おうが関係は……無いッッ!!」




─ギンッ!
─ガガッ! ギュガッ!!
─ガギャギギギッッ!!



【負荷増大! マスター、正面からでは折れちゃいます! 鍔迫り合いは却下!! なるべく流してくださいぃぃ〜!?】
(耐えろ! 今、退いたら斬られる。もう少しだけ我慢だ。頼む!!)
【は、はいっ!】


「くくくっ…どうした? このまま押し切られて死ぬか? アキラぁぁぁぁ!!」
「ふん…いいのか? 俺相手に格闘距離を保って…………フッ…破ッ!!」




─ゴガッ!!
─ズムッ!!
─シュッ! ガカッ…ギィンッ!!




「うごッ…ぐぬっ…だが、この程度では沈まぬわッ!!」
「チッ…しぶとい…うおッ!? 危ねぇ…」




剣風が舞う。
銀閃が踊る。
拳撃が驟雨の如く浴びせられ、返しの剛剣が飛礫を生む。
攻撃に次ぐ攻撃! それすらも霞む致命の連撃!
生死のコインは廻り続け、受ける攻撃すらも返しの布石として放ちあう。
黒と黒は、周囲に破壊を齎しながら、どこまでもどこまでも加速していく…




聖ヨト暦329年スリハの月 緑三つの日 深夜 〜ルージュ vs テムオリン〜
神聖サーギオス帝国 サーギオス城 第3旅団特殊戦技訓練場




「さて、それではいきますわよ? テムちゃん」


どこか陶酔したかのような笑みを浮かべてルージュが言う。
アキラに続いて、ルージュにまで軽口を叩かれたテムオリンはいい具合に煮えくり返っている。
その怒りの一部分に、アキラの推奨する美しき肢体の持ち主であるルージュへの八つ当たりが混じっていることは否めない。


「…貴女もですか…いいですわ。この際…徹底的に力の差を思い知らせてあげましょう…『秩序』…起きなさい!」


─シャラァァァァン!!


『秩序』から凄烈なマナが吹き上がる。
タキオスのそれとは違い、法則と秩序に則った指向性を持つマナ。
それは、テムオリンの周遊する衛星のように精緻に巡る。


「…私から貴女に贈るもの…それは絶対的な破壊ですわ。覚悟なさい!」


集束された純白に近いマナが、破壊の光弾と化して襲い掛かる。
上空から…またはテムオリン自身から放たれるそれは、正しく神の裁きというに相応しい破壊力!
撒き散らされる光は、訓練場の結界を易々と破壊し、蹂躙していく。
範囲内の生ける者…その全てを破壊し、抹消し尽す神々の怒り!
だが…


「なぁに? テムちゃん…まさか、こんな雑な攻撃で私を仕留めるおつもり? ……ぬるいですわ……」


…ルージュの瞳が深紅の輝きを放つ。
瞬時にコアが活性化し、『死』と『月』の因子が励起。
指先に纏わりつく、蒼く冷たい月光の煌きが十字に振り抜かれ…


………テムオリンの神剣魔法を正面から殺し尽くした。


「こんなこと……し、信じられませんわ……」


呆然と、目の前で起こった怪異を見つめる。
神剣の摂理を無視する現象に、とっさに認識が追いつかない。
そんなテムオリンの前で、ルージュは妖艶に指先を舐めた。
くちゅり…と、淫靡な音が響き…唾液が銀糸を引いて落ちる。
余りにも蟲惑的…それゆえに恐怖が倍増する。


「ふふっ…久しぶりに虐め甲斐がありそうですわ。フェンリルには感謝しなくちゃ…ね?」


にこやかに…花のような笑みを浮かべる。
上気しながら、自らの体を抱くルージュ。
これから何をしようか、楽しみで…悦楽だけで蕩けてしまいそうだった。


「ねえ…教えて下さらない? エターナルってどの位に刻めば死ぬのかしら? 10分割? それとも100ぐらい?」


本当に、本当に楽しそうにルージュは破顔する。
同性でも見とれてしまいそうな、その笑みがテムオリンには心底不気味に感じた。
だが、テムオリンも十数周期を生きるエターナル。
その程度の事で、パニックに陥るほどに若くは無い。
種を見切るべく次の行動へと移る。


「幾ら化物でも……これならどうかしら? 串刺しにおなりなさいな」


『秩序』を振るう。
次は、大雑把な攻撃ではない。
無数の神剣を使った、多重同期攻撃。
ルージュを取り囲む、神剣達が『秩序』の指揮に従って串刺しにせんと大挙する!


「っ…流石に、邪魔ですわねッ!
Dritte……Inkraftsetzung! der Sturm Schild!!


流石に全てを殺しきるのは不可能と見て、ルージュは転がりざまに呪を唱える。
発動した魔力は、エメラルド・グリーンに輝く暴風の盾となって次々と剣達を弾いていく。


(消すのではなく…障壁を使いましたわね…ならば…)


剣達に猛攻させつつ、テムオリンは再び『秩序』を振りかざす。
今度の神剣魔法は、イメージングによるアレンジを加える。
一つの破壊の嵐として、全ての敵を纏めて駆逐するのではなく…その全ての破壊の光を、ただ一人に向けて掃射するように…


「うふふ……次のゲームですわ……これはどうです?」


光は弾丸から光線に。
威力を犠牲にし、無数の光線として驟雨の如く隙間無く、間断無く掃射する。
これには、ルージュも泡を喰った。
慌てて、跳躍し破壊の雨を回避する。
避けられない部分は、丸ごと殺し、手が足りない部分は魔力障壁で減衰する。
しかしそれでも無傷ではいられず、彼女は字の通りに鮮血を飛沫かせ白磁の肌を朱に染める。


「調子に…乗らないでもらいたいですわね! ガレオン! あの小娘を引き裂いてあげなさい!」
「御意に!」


ルージュへと集中する猛攻を潜り抜け、ガレオンが疾風の如く駆ける!
目にも止まらぬ拳撃がテムオリンを貫く…が、障壁によりダメージは無い。
目障りそうにテムオリンがガレオンを吹き飛ばそうとした時…
ガレオンは、自らの因子…『塔』を発動させた。
『塔』が指し示すのは、破壊…破滅…或いは、状況を変えるための突破。
因子の力が込められた渾身のストレートは、テムオリンの障壁を薄紙のように破壊し、その身をも粉砕せんと迫り……


……そこで衝撃波に吹き飛ばされた。


アキラとタキオスの奥義同士がぶつかり合った余波である。
これには堪らず、テムオリンもルージュと共に壁へと叩き付けられる。


「フ…フェンリルッ! 少しは考えて戦いなさい!! 折角のチャンスを潰してどうなさるおつもりですかっ!!」
「タキオスッ!! 私ごと生き埋めにする気ですかっ!!」


予期せぬ方向からのダメージを受けた混乱で、期せずに似たような事を叫ぶ。
が、瞬時にお互いの状況を思い出し、交戦を再開する。


「…遅いですわ! 私の手でバラバラに引き裂いてあげる!」
「…貴女では不可能ですわ!」


ルージュの追撃を、空間転移で避ける。
時空門制御に長けた、『秩序』ならではの回避。
距離を取ったテムオリンは、不利を打開すべく、次の手を打った。


─シャラァァァァン!!


瞬時に門が開く。
正規の門ではなく、『秩序』の空間結合によって開かれた召喚門である。
通常よりも世界律の拘束が高まるのだが…この際、文句は言えない。


「メダリオ! ミトセマール!」


強制的な召喚。
やれやれ…とばかりに登場する青年と妖女。
予定外の召喚に、またも赤字を確定するテムオリン。
だが、計画成功時の採算を考えれば、未だ黒字は期待できる。
何より、目の前の女とエトランジェを始末しなければ気が済まない。
そう、この屈辱を晴らさぬ訳にはいかないのだ。


「やれやれ…お早い出番ですね……僕の相手は、目の前の美しいお嬢さんですか?」
「楽しみだねぇ…ゾクゾクする……死ぬまでいたぶってやるよ」
「二人とも、迂闊にあの女に近づけば死にますわよ? 離れて戦い、私の援護に集中しなさい。
 ミトセマールは女に対応し、メダリオはあの鳥を殺しなさい!」


珍しく、強く言ってくるテムオリンに軽く困惑しつつ、二人は行動に移る。
メダリオにしても、ミトセマールにしても若干、不満な指示ではあったが表立っては逆らえない。
が、タキオスとアキラが繰り広げる激戦を見て、考えを改める。


「…今度のエトランジェは化物ですね…タキオスが随分と嬉しそうです」
「…しょうがない、熱くなるには邪魔者を消さなきゃならないし…回帰のためにも、ここは従っておこうかねぇ」


「お嬢様…ここは、各個撃破で戦力を減らすのが順当かと…」
「解っていましてよ…ガレオン。貴方は私に合わせなさい」
「御意に…」


深夜の舞踏会は、まだ終わらない…




聖ヨト暦329年スリハの月 緑三つの日 深夜
神聖サーギオス帝国 サーギオス城 第3旅団詰所




死屍累々と、スピリット達が倒れ伏す部屋の中…新たに一人の女性が目を覚ます。
若干乱れた黝い髪を手櫛で直しつつ、意識を覚醒させていく。
彼女達を眠らせる薬は本来なら、このような短時間で覚醒するようなものではない。
だが、彼女の知らぬ間に、その身に宿った微細機械群と彼女が身に付けた竜氣は、その事実を覆す。
数瞬の時を経て、彼女の頭脳は平時の状態へと覚醒した。


「ん…ちょっと、飲みすぎた…かな? あれ? 先生…アキラもいない?」


きょろきょろと周囲を確認する。
再度確認するまでもない事だが、周囲はまるで魔宴の後の如く、凄まじい事になっている。


「……凄い事になってる……じゃなくて! っ!? なに? この感覚……」


全身が総毛立つほどの気配が城の方から感じられる。
ミュラーとアキラによって鍛え上げられた彼女の感覚が、それを感じる。
近づくな! と直感が警鐘を鳴り響かせ、近づけば死ぬ…ということを明確にイメージさせる。
其れほどまでの気配。
そして、居なくなった先生…アキラ……ついでに皇帝陛下。
結論は一つ。


「…敵襲!?」


アルティールは慌てて、周囲のスピリット達を起こし始める。
だが、なかなか起きる気配が無い。


「おかしいわね…どうして起きないのかしら………ええい、もう! 無理矢理起こす!!」


何かの<力>が働いていると見切ったアルティールは、自らの龍門(チャクラ)に氣を通し始める。
彼女の龍門が三つ…すぐに輪転を始め、竜氣が黄金の燐光を伴って彼女の周囲に浮かび上がる。


「……上手くいってよね……神薙流操竜術“烈氣覚醒功”!」


竜氣を集めた掌を次々と当てていき、活を入れていく。
ゴキッ! とか ズドッ! とか、ちょっと乱暴な音や、ぺぎゅっ!? とか はぶっ!? とか聞こえるのは気のせいだ。
怖ろしく暴力的な手法だが、何気に確実に効果を挙げているのが不気味である。
若干、体力も回復しているような気がするが……痛そうなのに回復するとは是、如何に!?




………

……






「起きた? まだ起きてない人はいる?」


アルティールがにこやかな笑みを浮かべながら各員に聞いていく。
起きてない人にはもう一発いっちゃうよ─という鬼神の笑顔の前に、第3旅団の猛者達も凄い勢いで首を縦に振る。
そして…


─キィーーーーン!!


「うっ……こ、これは? 『拘束』が…?」
「なに…凄いマナが…渦を巻いてる…うっ…『朧月』? どうしたの!?」
「ボクの『緋翼』が…凄く怖がってる…行くなって…ずっと言ってる」


それぞれの神剣達が警告を発し、最大級の威力で強制力を発揮する。
甲高い金属音と共に襲い来る頭痛に、顔を顰める。
それ程までに彼女達の神剣は、この巨大な気配を怖れていた。
……まあ、一部アキラに脅されているということもあるのだが……


「…状況は拙いと思うわ。先生とアキラが居ない…きっと、もうアレを相手しに行ってるんだと思う」


難しそうな顔でアルティールは呟く。
彼女は概ねこの事態を作ったのがアキラだと看破していた。
多分、アレの相手をさせたくなかったのだろうと…


「くっ…まさか…アキラ殿! 『拘束』! なぜ手前を縛る! 早く行かねばアキラ殿が…」
「こっちも…ダメねぇ…『蒼穹』も、あたしを行かせたくないみたい…でもね…この程度でっ!」
「『緋翼』がボクを行かせたらアキラが折るって言ってたって……でも…でも、やっぱり嫌だよっ! そんなのは嫌なの!」


それぞれに悔しげにしながらも立ち上がろうとするが、強制力で中々に上手くいかない。


「そう…やっぱりあの馬鹿アキラが何か仕込んだってわけね…ふーん…いい度胸じゃない!」


久しぶりにアルティールが気を吐く。
米噛みをピクピクとさせながら、軽く瞑目…
息を一旦吸って…


うだうだとうるさーーい! いい? 今直ぐに立ち上がって準備しなさい! 神剣? 上等じゃない!
 あの馬鹿に一言脅されただけで縮こまるような神剣なんて要らないわ! そんな駄剣、あたしが直ぐに
折ってあげる!
 それが嫌だったら、
さっさと立たんか屑どもーーーーーー!!


…ガーーーッと吼えました。
吼え猛ると同時に巻き立つ竜氣が燐光と共に紫電を放ち、叫びは言霊と化してぶつけられる。
それに対抗できるような者は、この場には存在しなかった。
全員が思わず直立不動になってしまう。
神剣達も、アキラと同じ圧迫感を持つアルティールに逆らってはダメだと判断したのか強制力も吹き飛んでいた。
永遠世界の法則も神剣の摂理もぶっちぎりで無視する辺り、紛れも無く師弟である。


「「サー・イエッサー!!」」


この世界に、それがあるのかは不明だが全員最敬礼で返答する。
これも世界意志なのであろうか?


「よし! やれば出来るじゃない。いい? 今からあの馬鹿をとっちめに行くわよ!
解ったわね!!
「「サー・イエッサー!!」」
「城に攻め込んだ馬鹿には第3旅団の力と恐怖を味あわせてやりなさい…
いいわね!!
「「サー・イエッサー!!」」
「私達を除け者にした、あの馬鹿に私達の力…存分に見せ付けなさい。では…
全軍出撃!!
「「サー・イエッサー!!」」


最早、めちゃくちゃである。
こうして、彼の思惑を右斜め上30000フィート上空を超えた集団が動き出す。
果たして、この誤差が吉と出るか凶と出るか…それはまだ分からない……




聖ヨト暦329年スリハの月 緑三つの日 深夜 〜アキラ vs タキオス〜
神聖サーギオス帝国 サーギオス城 第3旅団特殊戦技訓練場




「おおおおぉぉぉぉ!!」
「はあああぁぁぁぁ!!」


─ガッギャーーーン!!


神鋼と神鋼を打ち付けあう錬鉄の叫びが再び響き渡る。
もう幾度、刃を交えただろうか?
もう幾度、致命の一撃を加えただろうか?
もう幾度、消し飛びそうになる意識を耐えただろうか?
雷鳴と竜巻…二つの黒は、周囲の施設を、構造物を、通路を打ち砕き、貫き、両断し、或いは壊滅させながらも止まらない。
両者とも莫大なエネルギーを一刀一刀に込めて斬り合っている。
最早、それは人間と人間の戦いではない。
二つの自然災害がぶつかり合う破壊空間。
巻き込まれれば命など、簡単に灰燼と帰す。


【マスター! 同調指数0.024ポイント減少。残存エーテル40%を切りました。彼我のエネルギー数差7.418倍まで好転。
 ですが、このままではこちらが先に力尽きます。早急に対処を!】
(…燃費の違いを差し引いてもこれか…これが…エターナルの強み!…だがっ!!)


「…オーヴァードライブ…起動!」


─キィーーン!!


瞬時に空間が凍り、アキラの認識力と神経伝達速度が加速する。
人間の実現しうる最大の反応速度すら軽々と凌駕し、世界が色を失う。


(3秒以内に仕留める!)


3秒…以前の失敗から導き出された最適時間。
そして短くとも戦場での3秒は生死を分けるには十分過ぎる時間。
彼にとっては3秒でも敵にとっては瞬き一つの時間。


─1


跳躍!
瞬時に加速したアキラの姿をタキオスの光学的観測器官──即ち目は認識できなくなる。
竜巻の如く振られていた剣も、今のアキラにとっては止まっているのと同じ。
易々と『無我』の一撃を飛び越えると同時に空中で捻りを加えながら首筋を一閃!
しかし、用心深く無意識下で準備されていたダークフォトンの障壁がタキオスの代わりに防御。
薄皮一枚で、弾かれる。


─2


着地。そして乱撃!
自動反応する絶対防御の結界を連続攻撃で粉砕。
絶対防御の消失したタキオスの首を刎ね、返す刀で心臓を破壊。
物理的死を与える。


─3


心臓に突き立った刀身を肩口までバッサリと引き上げる。
心臓から逆袈裟に引き裂かれていく肉体。
ダメ押しとばかりに竜氣を注ぎ込んだ掌底で全身の霊脈をズタズタに破壊。




─そして再び、時は正常に動き始める…




「ぐっがっ…お? ま、
まだ終わらんッ!!


瞬時に襲い掛かってくる苦痛に耐え、跳ね飛ばされた首を左手で支えながらタキオスが吼える。
肉体は物理的に破壊され、人間として見るならば一瞬で意識が暗転し、完全に死を迎える状況。
しかし、それでもタキオスは死なない。
エターナルとなってからも鍛え上げ続けられた鋼の魂は、そう簡単に死を認めたりはしない。
ましてや、今ここには彼の望む戦いがある。
訳の分からぬ間にマナへと還る訳にはいかなかった。
そして、エターナルはその精神が死なぬ限り…マナある限り消滅することは無い。
膨大なダークフォトンがタキオスに物理の…肉体の限界を超過させ、死んだ肉体を再構成し始める。
それは何という精神か。何という奇跡か?
この瞬間、タキオスの精神は怖ろしいまでの高みに在った。


「なんと! あれで終わらんのか!?」
【エターナルは、精神が折れない限り無敵なんです。正面から分かるように叩き伏せないとダメです!】
「そ、それを早く言わんかーー!! 無駄に切り札見せちまっただろうが!?」
【ひーん…だって、マスターなら解っているものとばかり…】
「俺にだって知らんものは山程あるわーーい!」


アキラとサラが言い合っている間に、タキオスは生への帰還を果たす。
ダメージは再構成によって回復し、結局削ったのはマナの総量だけ。
真に恐るべきエターナルの力を見せつけ、泰然とタキオスは構える。


「驚いたぞ…精神加速か? だが、二度は通用せんぞ?」
「おいおい…一応切り札なんだから大人しく死んどいてくれよ…本当に非常識な奴だな」
「非常識とは…お前だけには言われたくないぞ。アキラよ」
「………違いない」


お互いに凄絶な笑みを浮かべる。


「この調子じゃ、マナが尽きるまで叩き潰さねばダメか…」
「我が身を一瞬で消し飛ばせるのならば、それも叶おう? できるか?」
「城ごと消し飛ばす訳にもいくまい…っていうか、エネルギー総量で負けている俺に出来るわけ無いだろう」
「ふ、ならば正面から俺を屈服させることだ。お前が死なぬうちにな!」
「上等!」


三度、互いに剣を構える。
城ごと消し飛ばすも何も…既に訓練場近辺は半壊状態なのだが。




聖ヨト暦329年スリハの月 緑三つの日 深夜 〜ルージュ vs テムオリン〜
神聖サーギオス帝国 サーギオス城 第3旅団特殊戦技訓練場




「シッ! フッ!」


空気が擦られるような鋭い呼吸音と共に、ガレオンの猛攻がメダリオを襲う。
既に『塔』は発動し続けである。
最初のガレオンの一撃を余裕を持って『流転』の障壁で受け止めようとしたメダリオは…


「フン!フン!フン!フン!フンッ! ハァッ!!」


…見事にボコられていた。
恐るべき速度で繰り出される拳撃はメダリオに倒れることすら許さず、意識すらも一撃ごとに破壊する。
滅多打ちである。
拳闘の試合ならば、すでにT.K.O.であろう。


「この…鳥風情がっ…調子に乗るんじゃないよっ!!」


その状況に一瞬、呆気に取られたミトセマールだったが、ここはメダリオを救出することにする。
振るわれる黒き茨の鞭が、音を引き裂きながらガレオンを打ち据えようとし…


「おっと…いささか調子に乗ってしまいましたな」


あっさりメダリオに止めを刺すことを諦め、ガレオンはバックステップで距離を取る。
ようやく解放されたメダリオがガクリと膝を突いて地面に倒れる。
死んではいないが意識を刈り取られたようだ。


「某らを甘く見すぎましたな? ふむ、エターナルというのは多少思慮に欠けるようでございますなぁ」


ふむふむと余裕を持って扱き下ろすガレオン。
癇に障るように挑発を入れるのは、流石“年の功”といったところか。
そして、同じ“年の功”でも、それにピクリと反応してしまうのは白い幼女ことテムオリン。


「…全く、人の言う事を聞かないからこうなるのですわ。メダリオは後でオシオキですわね」


結局、メダリオをお仕置きすることで決定らしい。
全ての意識が、そこに集中した瞬間、今度はルージュが奇襲してくる。


「うふふ…油断大敵……ですわ!」


バサリ…と捲られたスカートの下。
深紅の中で眩しい白き太腿の辺りに仕込まれているのは……鞭。
握られた黒皮の鞭が、蒼月の煌きを纏って撃ち放たれる。
狙いはミトセマール!


「っこのっ! 小娘があたしの真似をしようなぞ……生意気なんだよっ!!」


だが、ミトセマールもさる者。
返す刃(?)で『不浄』の力を乗せた鞭を放つ。
狙った箇所で、絡まり…次の瞬間には弾きあう。
音速を超える鞭先が次々に放たれ、燐光を散らしながら衝突し合う。


「? あら…その鞭……私の『死』を受けて死にませんのね…ふふ、中々に興味深いですわ」
「このっ! 付け上がるんじゃないよっ!」


嵐のように繰り出される鞭は、既に常人の目には映らない高速で舞う。
時折掠める一撃は、衝撃波と共にお互いの皮膚と着衣を傷つけ、紅と黒の雪花と変える。
元々着けていないようなミトセマールの露出が、更に過激になっていき…
…応じるようにルージュの露出も過激になっていく。
もはや、青少年入室禁止の領域下で、二人の女王様は戦いあう。


「くすくすくす……さあ、逃げ惑いなさい! 私を愉しませるのよ!」
「アハハハハ……イイ、イイよッッ! もっとだ! アッハハハハハッ!」


両者ともいい感じにハイになっており、もう周りの状況は目に入っていない。
近年稀に見る女王様対決は、ますます過激にヒートアップしていく。


「ああ…お嬢様…お嬢様が…あんなに楽しそうに…某は…某は、感無量にございます…」


約一名の鳥も、どこかの財閥の執事の如くほろりと涙を流している。
全力で放置されかけているテムオリンは、激昂しかけるが……瞬時に打算を張り巡らせた。


(いえ、これはチャンスですわ…今のうちに『秩序』の秘されし力を……)


テムオリンは、静かに静かにマナを集め始める。
場に満ちるマナと戦いで撒き散らされるエーテルを集め、『秩序』へと注ぎ込んでいく。
表面上は観戦モードを維持しながらも水面下では準備を進めていく。
そう、これは彼女にとって負けられない戦い。
ならば、如何なる手段をも使うのは当然。


(…今回は、敵を甘く見ていましたわ…なら、今は私達が不利。出直しですわね)


白い幼女は意外にも冷静だった。


(…ですけど、タダでは済ませませんわ…うふふ…うふふふふ)




聖ヨト暦329年スリハの月 緑三つの日 深夜 〜ミュラー&ウィルハルト〜
神聖サーギオス帝国 サーギオス城 第3旅団特殊戦技訓練場




そこに近づいたとき…既に周囲は廃墟のように荒廃していた。
多くのエーテルを傾けて作った設備は無残にも崩壊し、再建には多くの手間がかかるだろう。
周囲では複数の災害とも言える存在達が戦いを繰り広げ、まるで神話の世界を想起させる。
この特殊な設備のお陰で本城に被害が及んでいないようなものだ。
そのような戦場で、ミュラーとウィルハルトは暫時その光景に見惚れていた。


「こういえば不謹慎なのは知っておるが……実に美しいな」
「……そうだね。これがただの見世物なら、何時までも眺めていたい気分だよ」


言葉では、そう言っているが実際にはそんなものではない。
迂闊に近づけば瞬時に死を与えられる抹殺空間。
それこそが、今の訓練場を意味するものだ。


「アキラは……大丈夫そうだね。ルージュとガレオンは…何をやってるんだろうね」
「ふむ。敵と鞭でシバきあっておるようにしか見えぬな…倒錯的嗜好の趣味者なのかも知れぬな」


意外と冷静に評価する皇帝陛下。
しかし、これで良いのであろうか?
と、そんな最中に、ミュラーは一人離れた位置で傍観を続けるテムオリンを発見する。


「あの白い幼女は…敵…かな? 何か企んでいそうだけど」
「なんだと?………あれはテムオリンか…『秩序』で何かをする気であろうな」
「…知り合いかい?」
「そうだな……そう、旧い。とても旧い知り合いだ」


ミュラーの問いに重々しく頷く。
その瞳は年相応のものではなく、永い時間を越えた者が持つ老練と叡智と疲労に満ちた輝き。


「ミュラーよ、あの白き者…テムオリンは余が相手しよう。お前はアキラに手を貸してやれ」


ウィルハルトの言葉に、ミュラーは引き締めた戦士の眦で応えると、ス…と気配を消して走り出した。


「さて、一体何年ぶりの邂逅となろうか。再び、余も永劫へと身を投じる事になろうとは…数奇なものよ」


残ったウィルハルトは独り呟く。
だが、果たして応えはあった。


【主よ……我が永劫の刻の中で唯一の主よ……汝、再び我と永劫を歩む事を願うか?】


世界を超え、次元を超え、彼の元へ届く深い声。
その声は、どこか無機質ながら温かみと親しみを備えた響きで彼へと語りかける。


「久方振りよの…『剣皇』…まさかテムオリンがお前を預かっていようとは…これも宿命というものか…」


ウィルハルトも懐かしき戦友へと応える。
必滅の運命から再生を果たし、幾星霜か…
滅んだはずの者達が再会を果たす。


【あの時…滅びきれずに狭間を彷徨っていた所を拾われたのだが…真逆、我にも予想外の事であった】
「再び力を貸してもらうぞ…『剣皇』よ…我が第二の故郷を護り、再びカレンを迎えに行くために!」
【主の奥方か…生きているとでも?】
「余も、お前もこうして居るのだ。奴から解放されたカレンは何処かの世界におるであろうよ」
【神名が残っていればそれもあろうが…一握の奇跡を願い永劫を彷徨うか? その先に絶望しか無くとも?】
「フン! 相変わらずよの…その皮肉は。余には確信があるのだ…なれば何を怖れる必要があろうか」
【いいだろう。我は『剣皇』…主の運命を切り開き、主の墓標となるもの。主よ…我を使い運命を切り伏せるがよい!】
「元より、その心算よ」


─キィィィーーーン!


『剣皇』が歓喜の叫びを上げる。
今、再び自らの契約者を得て、自らの求める運命の打破を得て…『剣皇』は声高に自らの存在意義を主張する。
それは定められしものよりの脱却。
運命を…宿命を覆すことの歓喜。


この世界最大のイレギュラーが…今、覚醒する!




聖ヨト暦329年スリハの月 緑三つの日 深夜
神聖サーギオス帝国 サーギオス城 第3旅団特殊戦技訓練場




「! ……この気配!?」


最初に気付いたのはテムオリンであった。
逆転の一手を放つため、マナを集め精神を研ぎ澄ましていたがために感知した。
どこかで感じた気配。
そして圧迫感を…


「ぬっ!?」
「これは!」


次に気付いたのはタキオスとアキラであった。
繰り返される剣撃のなか、放置しておくにはいかない第3の気配を感じたのだ。
互いに、戦闘を中止し何が起こったのかを確認する。


「っ! なんだい! この圧迫感は!?」
「もう…いい所で…なんですの?」
「まさか…この氣質?」


最後に気付いたのはミトセマール。ルージュ。ガレオンであった。
ちなみにメダリオは気絶したまま、ミトセマールのヒールでグリグリされている。
アキラの援護に走ったミュラーも、驚いたように立ち竦んでいる。


戦いの嵐に、一瞬の凪が訪れていた。
全ての者が、その圧倒的な覇気の前に停止していた。
その中で彼は悠然と立ち、選定の剣を抜いた古代イングランドの王の如き威容を見せ付ける。


「余はミルズの剣皇にして、サーギオス皇帝…
ウィルハルトであるッッ!!


名乗りだけで、膨大なマナが圧力となって押し寄せた。
クラスにして6。
この場では間違いなく最大の力を持つ存在。
策によって弱体化している今のエターナル達では対抗できない存在。


「…ミルズの剣皇…まさか再び会う事になろうとは思いませんでしたわ…貴方はこちら側だったと記憶しているのですけど?」


テムオリンは一時期、共に戦った者としてウィルハルトに問い掛ける。
可能性は低きにせよ、ウィルハルトを法の側として引き入れれば勝利が確定する。
試さないには余りにも惜しい。


「ふむ。テムオリンよ…ここが余の故郷でなかったら、そうであったかも知れぬな」


はっきりとした否定。
今回のイレギュラーの数にテムオリンは頭を悩ませる。
いっそ、この世界の破壊は諦めて他で元を取るべきだろうか?
正面からの激突は、余りにも非効率的過ぎる。
むしろ財政(マナ)赤字が決定する。


(……でも、そう…彼もエターナル。でしたら付け入る隙はありますわ)


テムオリンは計画の続行を決めた。
そして、そのための邪魔者を世界から消してしまう事も決めた。


(タキオス…ミトセマール…ついでにメダリオも…私にマナを貸しなさい!)
(…………御意に)
(仕方ないね…っていい加減におきなっ!)
(痛いじゃないですか…やれやれ…分かってますよ)


「最初からこうしていれば良かったのですわ…私とした事が…」


エターナル達の持つ、膨大なマナが『秩序』に注ぎ込まれていく。
注ぎ込まれていくと同時に『秩序』は白く輝き、世界を…時空をも揺るがしていく。


「くっ…皆! 早く余の周囲に集まるのだ!」


【マスター…膨大なエネルギーです。私達の総量の数十倍に匹敵しています。そんな! これでは…】
「弱音を吐くな! 何をしてくる気か分からん…とにかくウィルと合流するぞ!」


「っとと…これは…巻き込まれたら私でも死んでしまいそうだね…」


「もう! 結局力押しで来るんですわね…確かに、こうなると手の出しようがないけど…ああ! ムカつきますわっ!」
「お嬢様、今は取り急ぎウィルハルト殿のもとへ!」




─ゴゴゴゴゴゴゴ




空間自体が悲鳴を上げるかのように揺れる。
一箇所に集まったマナの重みに世界が耐えかねているのだ。


【エネルギー・クラス6………7………凄まじい値です。計測不能! マスター!!】
「くそっ! まさか、ここでマナ消失を起こす気か!? いや、違う! 自爆するタイプでは無い…くっ…何が!?」


膨大なエネルギーに悪態を吐く。
何を行うにせよ、現状での打開策が見当たらない。
共振による奇跡力の増加も、そろそろ限界だ。
逃げるにしても、逃げた先でエネルギー解放に巻き込まれれば死。
それ以前にサーギオスという国が大陸から消し飛んでいる。


「…失うのか? それとも…選べと言うのか?」


図らずも、以前のミュラーの問いが脳裏に思い浮かぶ…
同時に、関わってきた全ての者達の顔が思い浮かぶ…
関わってきた全てを捨て、確実な生を拾うか?
関わってきた想いと共に、マナと散り逝くか?
それとも?


「ならば…俺は……“私”は決めよう……自らの存在を贄として……手の届く全てを!」


アキラの髪…その一部に過ぎなかった銀が漆黒を侵食していく…
黒かった左目も黄金へと染まる。
表情は抜け落ち、まるで仮面のような無表情。
余分な機能を全て排して、万難を打ち砕く一つのシステムに。
久遠の彼方から無限の渦の中心へと…


【! マスター!! それは! それだけはダメですッ!! 戻って! 戻って下さい!!】


サラの悲痛な叫びが聞こえる。
リンクした精神を通じて、彼女の愛するマスターの意志が拡散していくのを感じる。
もうすぐ其れは一つの雫となって彼は彼ではない彼になってしまう。
サラは…『七鍵』は自らの宿命を…自らに与えられた使命を…機能を…心の奥底から呪った。
だが…


─ゴガッ!


「ぐガッ!? う、ウィル? 何をする!」


ウィルハルトの鉄拳が、それを止めた。
思わずキョトンとした表情になってしまうアキラにウィルハルトは再び強烈な鉄拳を見舞う。


「おごっ! って、こんな事をしている場合か! 何故邪魔をした!?」
「…馬鹿者が…安易な手段を取るでない! 貴様…それでも“界の継承者”か? ただのシステムに成り下がるが望みか!?」
「ぐ…ウィル…お前、何を知っている? タキオスも言っていたが…“界の継承者”とは何だ?」
「話は後だ。テムオリンは余らを事象の地平に飛ばす心算らしいぞ? 結界を張れ! 決して余から離れるでないぞ!」


知ったかのようなウィルハルトの口調に驚きを示すと、アキラは直ぐに結界を張り巡らせる。
この状況下では、彼の指示に従ったほうが問題無いと判断したのだ。


「ふふ…それでは、さよなら…ですわね? 貴方達が帰ってくる頃には、この世界もマナへと還っていることでしょう」


テムオリンが勝利者の笑みを浮かべる。
そう、最初から多少の損失など気にせずにこうしていれば良かったのだ。
心中で、漸く問題が片付く事の安堵と共に、テムオリンは『秩序』を振るった。


─シャラァァァァン!!


涼やかな音が鳴る。
だが、其れと共に押し寄せた波動は涼やかなどというレベルではなかった。




「ぐぬ…ぅ……覚醒したての身に…この力は……『剣皇』! 構わぬから全力を出せい!」
【承知した。主よ…耐えてみせよ!】


─キィィィィーーーン!!


激しい鳴動。
渦を巻くマナ。
事象の地平へと招かん…と迫る白光をウィルハルトと『剣皇』は必死に押し返す。


「ちっ…サラ…『剣皇』に合わせるんだ! イチバチだが…三神共鳴を試す!」
【はい! ……マスター…お願いですから…もう…】
「……分かっている。済まなかった」
【後でオシオキなんですからね…覚悟して下さい】


─キィィィーーーン!!
─リィィィーーーン!!
─イィィィーーーン!!


剣音が重なる。
同時に『剣皇』に力が満ち溢れてくる!


「これは…この力ならば! 『剣皇』ッ!!」
【応!!】


ウィルハルトが『剣皇』を大上段に振り上げる。
充つるマナが塔のように巨大な柱として顕現する。
一振りの巨大な剣として、ウィルハルトはそれを解き放った!


「『剣皇』……押し切るがよいッ!!」
「『秩序』……消し去りなさいッ!!」


ウィルハルトの『剣皇』…
テムオリンの『秩序』…
二つの巨大な奇跡力同士がぶつかり合い…




そして、通り掛かった<門>が開いた…




………

……






─ガカッ!!




雷が空を引き裂くかのような激烈な音と共に、白と黄金に満ちた光が押し迫る。
それを第3旅団のスピリット達は魂を抜かれたかのように見つめていた。
先行していた三名…アルティール。セラ。ルーテシアは、それが発生した瞬間に光の中へと呑まれた。
引き続いていたウルカは、思わず光に向かって手を伸ばしかけるが、それをライカに押さえられる。
光が何かは分からない…分からないが、それに触れたら帰ってこれないだろうと直感的に感じていたから。




─ガカッッ!!




再び、何もかも塗り潰す光が溢れる。
目を開けていられない…否、閉じていても白く白く塗りつぶす程の閃光が溢れる。
そして、次の瞬間には光も何もかも無くなっていた。
初めから何も存在していなかったかのように…
魂を奪われたかのような表情のまま、残された者達は其処へと向かう。
そして辿り着いた訓練場は…


…この世から消失していた。


「あ、あ……セラ…ルーテシア……アルティール殿………アキラ…殿…ッ!!」


ズシャリ…と音を立てて、ウルカはその場に膝をつく…
涙が後から後から溢れてきて、彼女の視界を歪めていく。


「う、うそだろ? なあ…嘘だって…言えよ…おい……オレは……オレは…まだ…言ってないんだ……」


ライカも涙を抑えられない。
悲嘆が…間に合わなかったという悔恨が…その身を苛む。
クレリアとフレイアも表に出さないものの、苦痛を押し隠すように顔色が悪い…


「…そんな……こんな、ことで……そんな…」


ノエルも呆然と…失われたものの重さに慙愧の念を浮かべる。
握り締めた拳からは、ポタポタと紅い雫が流れ…


「酷い……酷い…ですぅ…どうして? どうしてなの?」
「嘘…アキラ様が…死ぬ訳…ないよ…嘘だよ…ふぇぇぇ…」


フェリスとセシルはお互いを抱きしめあうかのように涙を零す。
失われたものに想いを馳せて…
穿たれた空白に苦しみながら…
在るべき者を求めて涙を零す。









































その日、大陸から悪夢の名を持つ者は失われた。


それと共に、幾つかの者達も消息を絶っていた。


剣聖ミュラー・セフィスも、その一人であり…


最早、名前も…記録すらも忘れられた皇帝ウィルハルトもそうであった。


舞台の上の役者達を失い、運命の歯車は一度停止する…


だが、歴史がそれを維持する事などはありえない。


そう、これはほんのひと時の幕間なのだ。


ほんのひと時だけ…失われし者達に哀悼を。


来たる日の激動に失われるべき者達に哀悼を。




















2nd Chapter “Oath and Emperor” ...File Closed.
Go to 3rd Chapter “Eternity Wars” ...File Open.
To be Continued...





後書(妄想チケット売り場)


読者の皆様始めまして。前の話からの方は、また会いましたね。
まいど御馴染み、Wilpha-Rangでございます。


ふぃ〜…漸く、第二章が終わりました。
結局、力業で押し切られてしまうアキラ達。
策も成功し、勝てると思った瞬間の逆転劇でした。
ここまですんなり策が成功しているのならスピリット全員で掛かればテムオリン達もここで終わりだったでしょう。
結局、他の者達を危険から遠ざけようとしたことが結果的に敗北を招いた…という御話。
数も力なりです。

まあ、ここで終わってしまって…四神剣が来る前に大団円という洒落にならない事態になっても困りますので(ぉぃ

ま、そういう訳で第三章より、ようやく本来のアセリアとリンクし始めます。
あ、その前にアレなシーンを描いた部分も作るという話がありましたね。
さっそく、外伝的プロットを用意しなければ(笑)

未だ、こんなWilpha-Rangを見捨てないで居て下さる読者の皆様方、宜しければ第三章もお付き合い下さい♪





独自設定資料

World_DATA
狸(たぬき)
日本ではお馴染みの動物…なのだが…
…ここでは、腹黒い老獪な存在のことを揶揄するもの。
似たようなものに狐がある。
やはり、狐狸は化かすからなのであろうか?
もっぱら、男性は狸で女性は狐。


赤字
経営者が忌避すべきもの。
赤字経営が続くと基盤崩壊に繋がる。
ロウ・エターナルで言えば、マナの浪費がそれに結びつく。
神剣にマナを集めて一位への回帰を目指すのに消費してどうするのだ…とばかりに。
テムオリンが、屈辱の次に嫌いなもの。


ロリッ娘
萌え(?)属性の一つ。
永遠のアセリアでは特にオルファリルとテムオリンが代表格。
次点で、ニムントール。
準ロリータとして、ネリー・シアー・ヘリオンと続く。
これを見ると、碧 光陰の戦闘力と再生力は400%を超過する。


不能者
漢が最も忌避するもの。
アイデンティティーの崩壊に直結しかねない。
特にエ○ゲで不能者だと致命的(爆)


「感謝するぞアキラぁぁぁ!!」
文字通り感謝の叫び。
タキオス危機一髪。
似たような台詞に、
「隙があるぞ悠人ぉぉぉ!!」が存在する。
こちらも近い意味で感謝の叫びと言える。


神剣共鳴
神剣及び神剣の担い手同士が精神をシンクロさせること。
戦闘中にこれを成せる者はそうそういないが、発動すると神剣の剣格を遥かに超える力を発動できる。
ただし、精神への負担は大きく、使用者は刻一刻とMBを削られる事になる。
4位『神薙』と4位『七鍵』による神剣共鳴は実質2位にも近い力を発揮可能。
だが、結局マナ総量が増える事は無いので、相当の実力が無い限り継戦時間でエターナルに劣る。
原作中でも、悠人とアセリアがこれを使用する。


界の継承者
タキオスが口に出した謎の単語。
ウィルハルトもそれを知っている以上、何らかの関係があるものと予測される。
この因子を持つ者は、上位象限世界の守護とも呼ばれるらしい。
ちなみに、上位象限世界とは事象樹の上位因果に存在する世界のこと。
時間断層と因果の重みによる影響で、滅多な事では訪れる事はできない。
上位象限世界は、端的に「根の世界」と呼ばれる場合もある。


テムちゃん
テムオリンの愛称(ぉぃ
本人はテムちゃんと呼ばれると怒るw
でも内心喜んでたりするツンデレ要素かも知れないが…(マテ


サー・イエッサー!
「良いか! お前らに許された言葉は「はい」だけだ分かったな!」
「「サー・イエッサー!!」」
「お前らは何も出来ないクソ虫だ! クソ虫はクソ虫らしく地面を這いずっていろ!」
「「サー・イエッサー!!」」

転じて、逆らってはならない者に対する返答例。
アルティールの場合は女性なのでイエス・マム!かアイ・マム!になるのだろうが…そこは知らない(ぁ
異世界だろうが大正時代だろうが、このノリのときはサー・イエッサー!
分かったな!?


非常識
アキラの代名詞。
近い言葉に、不条理や理不尽などがある。
タキオスもアキラだけには言われたくあるまい。


女王様
鞭もってSが入ってる美女なら全部女王様なんやーー!
ヒールの踵でグリグリするような美女は全員女王様なんやーー!!

つまり裏世界の女王ということか。
アズマリアやレスティーナは除外されると思われる。
原作では圧倒的にミトセマールの姐さんが女王様。




Skill_DATA
烈氣覚醒功

スキルデータとしてまでの存在では無いので解説のみ。
掌に集中した竜氣を対象の霊脈に打撃と共にぶつける事で活を入れる。
対象の内部に瞬間的に通る竜氣は身体に残る悪影響の全てを押し流す。
竜氣の効果でHPも回復するが、殴られるのでやっぱり痛い。
もっと優しい方法もあるにはあるのだが、手軽で便利なためこちらの方が人気らしい(笑)




Personaly_DATA
※Nothing




SubChara_DATA
カレン/Karen
身長:166cm 体重:48kg 永遠者(?)。紫髪紫瞳。Size:84/57/80
知的能力:高い 精神性:理性的内向型 性格:丁寧。世話焼き 容貌:優しげな美女
性別:女性
神剣:永遠神剣2位『聖闇』
年齢:生きていれば2000歳以上。(外見20)
職業:アークミルズ帝国皇妃
解説:
本名、カレン・ファナ・ゼ・リュース・レン・アークミルズ。通称、ミルズの剣姫。
ウィルハルトと共に、永くに渡って9番世界を守護してきた闇の聖女。
サークレット型の永遠神剣『聖闇』の担い手。
偽神ザリオスに喰われ、消滅したというが…?




Eternity Sword_DATA
※Nothing