聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夕刻
神聖サーギオス帝国 帝都サーギオス




いつもなら斜陽が帝都を照らす時間。
今日の帝都は生憎の曇天で美しい夕日を見る事は出来ない。
湿気を含んだ肌寒い風が吹き、雨の到来を予期させる。
城砦のテラスから眼下を見下ろせば、そこは帝都の街並み。
いつものように、皇帝─ウィルハルトは、そこから帝都を見下ろしていた。


「……ふむ。やはり、あやつが居ないと暇なものよの」


どこか退屈そうに彼は呟き、視線を帝都から天へと移す。
すると、まるでタイミングを計ったかのように雨粒が一つ、彼の目先を通り過ぎていった。
一滴の雨粒が大地に黒い染みをつくり、次の瞬間には消え失せる。
それを皮切りに、次々と雨粒達は大挙して帝都へと降り始めた。
現代世界の気象学から見れば、雨の降るような気象配置では無かったが、そこは流石に異世界か…
青きマナと緑のマナの相互干渉が雨雲を帝都へと運んできたのであろう。
雨は静かに音を響かせながら振り続ける。


「そろそろ4週目か…まあ、あやつのことだ。既にやるべき事は果たしてはおるのだろうが…」


眦に苦笑の色を浮かべつつ彼は思う。
あの、冷静冷徹な割りに馬鹿で無節操。その身に幾多の矛盾を纏う、彼の友人について。


「…恐らくは、またも何か問題を起こしているのであろうな」


当たらずも遠からず…否、むしろ正解である。
流石は皇帝とでもいうべきか。
実に良く、彼の特性を捉えていると言えよう。


「陛下。お茶が入りましたが?」


部屋の奥から、涼やかな声が掛けられた。
ちょうど、淹れたばかりなのであろう。爽やかな香気が漂って来る。
彼の好きなハーブの香気だ。
淹れたのは先程の声を掛けた彼女。
メイド服に身を包んだ怜悧な美女─ラハーチィである。
何気に暗殺なども軽くこなしてしまう万能家令ならぬ万能メイドだ。
そんな彼女に首肯して頷くと、ウィルハルトは部屋の中へと戻った。


「…何かお考えでございましたか?」
「いや、少しあやつの事をな」


ラハーチィの問いにハーブティーで口元を潤しつつ答える。
ウィルハルトが“あやつ”と言えば、無節操なエトランジェのことと決まっている。
彼女は少しだけ眉根を顰めると本降りになり始めた外を見ながら、こう返した。


「アキラ様でしたら、いつもの如くあちらでも何か事を起こしているのでしょう。ええ、いつもの事です」


いつもの事…という部分にやけに力が入っている。


「…あのダーツィの第ニ公女を手篭めにしたとか剣聖にまで手を出したとか噂が凄い事になっていますし…」


ラハーチィから、どこか黒いオーラが立ち昇っていた。
今なら、守護龍ですら避けて通りそうな勢いだ。
彼女も理不尽かつ不条理なエトランジェに関わったせいで、色々と理不尽な存在に近づいているのかも知れない。


(すまぬ…アキラよ。余では、お前を助けてやれそうに無い。いや、むしろ関わりたくは無い)


ウィルハルトは危険物に刺激を与えないよう、細心の注意を払いつつ必死で目を逸らしていた。
古今東西、怒れる女性には神であっても勝てないのだ。
それが関係を持っている近しい女性であればある程に。


「ふふふ…帰ってきたら折檻ですね…うふふふふ」


妖しい笑みを浮かべるラハーチィ。
対照的にウィルハルトの顔色は悪くなっていったが、それを知る者は誰もいない。











永遠のアセリア
The Spirit of Eternity Sword

〜人と剣の幻想詩〜

第二章
“Oath and Emperor”
ACT-6

【アキラの同盟国漫遊記C】
- In the Barnlait “Pleasure Trip W” -




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜侵入より6分後〜
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城内




「ぶえぇぇぇっくしょいってんだ畜生めっ!!」
「うきゃっ!?」


突然、何か酷い悪寒を感じたアキラは超盛大にクシャミをした。
凄まじい勢いのクシャミのせいで、近くに隠れていた得体の知れない何やらが逃げ散っていったが、この際あまり関係はない。
むしろ、先程から神経を研ぎ澄ませていたアルティールのほうが重大なダメージを受けていた。


「む…誰かが俺の噂をしている…」
「…わきゃないでしょうが、この
バカタレーーーーーーー!!」
「ごめすっ!!?」
【マ、マスターーーーー!?】


アルティールの黄金の右を喰らい、意味不明の戯言と共に轟沈するアキラ。
黄金の右の余波で、色々と周囲の建造物が被害を受けているようだが、恐らくこれも気にしてはいけない。
突込みに手加減も容赦もありゃしないとは誰の名言だったか…
一般人だったら間違いなく色々と表現できない塊になっているのは確実である。


「まあ、今更だけど…タフだね…」


どこか遠くを見ながら空々しくミュラーは呟くのだった。


「ぐ…いつもに増して…いい、突っ込みだ…」


そして、問題の彼は轟沈したままに右手を伸ばし「グッジョブ」と言わんばかりにサムズアップ。




…さて、ここで賢明なる読者の諸氏はお気付き頂けたであろう。




即ち…
「この世界においてサムズアップはGJではなく、もっとナニな意味を持っている」…のである。






「やれやれ…時と場合を考えたほうが良いんじゃないかな……いやでも、こういうのも楽しそうだね」


何故か頬を染めて照れたようにモジモジしてみる剣聖様。


「と、とりあえず……
天誅ーーーー!!」


同じく、照れ隠しとばかりに殺人的な威力の拳撃を加える公女様。


【マスターの節操無しーーー!!】


最近、何かと技術力の上がった神剣様は強制力を発動して頭痛攻撃を加える。


「お、俺が何をしたぁぁぁぁぁ!?」


哀れ(自業自得)な漢の絶叫だけが響いたのであった。




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜侵入より15分後〜
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城内




「ぐう…酷い目にあった…危うく新しい世界が垣間見える所だったぞ…」


石造りの回廊を歩きながら、アキラはぼやいた。
あれだけの攻めを受けて、もう平気な顔をして歩いている辺り、何とも不条理である。
世の中の人間が皆、彼のような者ばかりだったら恐らく医者とグリーンスピリットは首を吊らねばなるまい。


「ふん! 自業自得と知りなさい」


侵入前の緊張感も何処へやら…
プンスカと擬音を立てんばかりにアルティールは頬を膨らませながら彼に続く。
それでも一応、周囲への警戒は行っているのが意外である。


「…少し勿体無かったかな…」
「先生?」
「うん。今のところは気配は無いね」
「………」


アルティールの問いと視線をさらりと流すミュラーは涼しげな表情を崩さない。
流石は剣性…否、剣聖。


それぞれが妙な事を喋りながら歩く集団は一種異様な雰囲気を醸し出している。


【(…流石はマスター…見事に類友を発掘していますね…)】


自分の事を完全に棚に上げて、サラは一人心の中で呟いていたり。




………

……






回廊を過ぎ、豪奢な階段を上り、突き当たりの分岐路を右へ。
廃城なのに何故か灯り続けているランプの明かりを受けながらアキラは歩く。


「…おかしいね…」
「先生…どういう事ですか?」


ミュラーの発する疑念の呟きを聞き、アルティールが問いかける。
おかしい…とはどういうことなのか。
差し当たり、周囲に異常があるようには感じられない。
豪奢だが決して趣味は悪くない内装。
焔のように揺らめく灯りで満たされた照明。
特に罠や危険があるようには思えなかった。


「どういう事って…あのね…少しは考えてみるんだね」


流石にちょっと呆れたようにミュラーは言った。
彼女の弟子は優秀なのに周囲に頼るものがいると直ぐに思考放棄しやすい傾向がある。
それゆえに、余り甘やかすのは良くないと彼女は判断したのだ。


「うーん…特に内装もおかしくないし…敵意や気配も無いし…」


どこか可愛らしく、唇に指を当てて考える。
考えて考えて…ふと気付く。


「あれ? そう言えば…廃城なのにどうして、こんなに手入れが行き届いているの?」
「30点だね」


彼女の出した答えに冷たく赤点宣言する先生閣下。
がっくりと項垂れる生徒。
そんな愉快なやりとりを続ける彼女達を置いてアキラは歩き続ける。


二階のホールを抜け、テラス側へと周り、空中庭園へと出る。


「…そう言えば…何でアキラは迷わないのよ…不自然じゃない」
「65点」
「ぁぅ」


そう、先程からアキラは迷わずに…一直線に何処かを目指していた。
普通ならばありえない。
初めて来たところであれば、もう少し慎重に…色々と調べて廻るはず。


と、アキラが立ち止まった。


「流石に素通しさせてはくれないか…」


そう呟きながら…




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜侵入より25分後〜
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城内/空中庭園




空に浮かぶ月…それは冷たく眼下を照らし…
闇に浮かぶ紅は、与えられし贄への喜悦を浮かべる。
そう、それは。
そう、そこは。
ただの戦場へと成り代わる。


「低級眷属がざっと20、ナイトゴーント級が2体…ちっ、妖霊まで混じってやがる…」
「あ、あああ、あれナニ? あの変なの何?」
「ふむ…どうやら囲まれているみたいだね…」


冷静に戦力評価を行うアキラ。
流石に恐怖感を隠しえないアルティール。
意外にも動じていないミュラー。
それぞれが背中を預け合う。


「ミュラー。アティ。雑魚は任せる。半透明のキモいやつは霊体だ。<氣>を乗せてぶった斬れ!
 でかいの2体には物理攻撃は完全に通用しない…俺に任せろ」
「了解…それじゃ、やらせてもらうとしようかな」
「う、うん…何とか頑張る!」


アキラの指示に、ミュラーとアルティールはそれぞれの得物を構える。
同時に、神剣を構えた彼はマナをオーラへと変換、少しでも有利となるよう補助する。


「マナよ…我が求めに応じよ…昂ぶる竜の加護となりて我らに力をもたらせ!!」


高まるマナがオーラとなり燐光を巻き上げる。
それを、さらに変換しスピリット以外にも有効なように竜氣へと変換。
練り上げられたそれは3人へと宿り、燃え上がるかのように力を引き出し、精神を高揚させる。
それは何処までも加速する魂の高まりであり…何処までも昇華する心の昂ぶり。


「これが…竜氣!」
「まるで身体が焔になって燃え上がるみたい!」


黄金の輝きと純銀の煌きを宿した蒼穹の色を持つオーラに包まれ、ミュラーとアルティールが打ち震える。
満ち溢れる力と意思が戦意と化して、戦いに不要な萎縮を…恐怖を払拭する。
その加護に後押しされるように彼と彼女らは敵へと切り込んだ。




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜侵入より30分後〜
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城内/空中庭園/Side-AKIRA




戦場の一つ。アキラが突貫した場所には彼が“ナイトゴーント級”と呼んだ、首無し騎士のようにも見える敵がいた。
体高はおよそ3m…鈍色のバイオメタルに包まれ、円形の盾を持ち、胸部には頭の代わりか単眼が凶暴な光を宿す。
その武器腕が人間を打ち据えれば、人などあっという間に只の肉塊へと変わるであろう。
その身に秘めた武器を使わずとも歩き回るだけで人など塵芥の如く蹴散らされるであろう。
それはまるで、兵器と言う命を奪うだけの存在を擬人化したような怪異。
これが一体でも外に出れば、サモドアなど一刻も持たずに灰燼と化す。


「さて…物理無効とは言ったが…一応、神剣の一撃が効くかは試してみるか…」
【ま、マママ、マスター!? あれを私で殴るつもりですかっ!】


アキラの呟きを耳(?)にしたサラは、焦ったように叫ぶ。
それもそうか…彼女が200周期以上を存在する永遠神剣であるとはいえ…実際に戦ったのは通常範囲の生体ばかり。
あのようなSFの世界から這い出してきたような兵器など見た事も聞いた事も無いのだから。
ましてやそれが威圧感溢れる破壊の化身であれば尚更である。
しかし、彼はそんな彼女の内心を無視して冷たく言う。


「諦めろ。エターナルを相手にするよりは安全だし、この前の奴らと比較しても…せいぜい1/10程度の危険度だ」
【それだけしか変わらないんですかぁぁぁ!?】


─ズゴン!


彼らの漫才を無視してナイトゴーントが武器腕に不可視の剣を作り出し、一息に振り下ろす。
見えない光刃が空中庭園の床石を綺麗に消滅させる。
音が鳴ったのは武器腕本体が周りの石材を巻き込んで破壊したからだ。


「ぬっ!? いきなりガンマレイ・ブレードだと! AISが変更されているのか?」
【いやーー! そんな理不尽な相手はいやーー!?】


嫌がるサラ─今は『七鍵』と呼ぼう─にオーラフォトンを纏わせつつアキラは跳躍。
世界新など遥かに超える高さで空を舞い、砲弾のようにナイトゴーントを単眼から両断しようと迫る。
速度差で言えば、アキラが圧倒的に速い。
その剣先は狙い違わず単眼に迫り…


─ゾクリ


悪寒のままに『七鍵』を振るい、力の方向をずらすことで軌道変換。
さらに虚空を蹴り穿ち、音速の壁を利用した反発力で側方に跳躍。
物理法則を無視した機動で逃げる。
その刹那…


─びむ〜!


微妙な怪音と共に、その単眼から破壊光線が放たれた。
破壊光線は何故か稲妻のような軌道で夜空へと放射され、すぐに消えていく。


「まてーー! んな機能は付いてなかっただろうがーーー!?」
【ふぇぇぇん。怖かったです〜〜】


悪態を吐きながらハイロゥを展開。
空中姿勢制御と同時に空を翔けようとした所に、もう一体のナイトゴーントが…


「肩部装甲展開…って、H.T.M.R.(Hyper Trace Missile Launcher)!? 却下ーーーー!!」


即座に相手の狙いを悟ったアキラは、最速でオーラフォトンの光弾を粒子加速器の如く放った。
それは過たず、ナイトゴーントの展開した肩部に命中し大爆発を起こす。
そして誘爆した弾頭達は、内部からナイトゴーントを粉砕した。


「よし、結果オーライ! 残り1機」
【随分とこなれてますけど…ひょっとして、割と普通にこういうのを相手にしてます?】


快哉をあげながら、もう一体のナイトゴーントに狙いをつけるアキラに彼女は疑問の声をあげる。
一抹の不安を感じながら…


「割と普通の相手だな」
【マスター、この世界の事が解決してもマスターの世界に帰るのだけは避けましょう!】


彼女の主の言葉に、速攻で逃げを打つ。
だが、彼は素晴らしい笑顔でこう答えた…


「なに、すぐ慣れるさ♪」
【慣れたくありませんーー!?】


まさに絶叫。
彼女の受難が決定された瞬間だった。




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜侵入より30分後〜
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城内/空中庭園/Side-ARTHIEL




「せ、先生! こいつら気持ち悪いです!?」


人間を奇怪に変形させたかのような下級眷属を斬り飛ばしながらアルティールは叫んだ。
下級とは言え、まがりなりにもD’VA。
その膂力は人間を遥かに超える。
それにD’VAにおけるクラスの区分は単純な力で分けられている訳ではない。
むしろ知能と、その特殊能力における厄介さで区分されているのだ。
ゆえに下級と言えども、単純な戦闘力で言えば軽く人外の領域に達している。
油断すれば即、死。
なにも、D’VAだけに限った事では無いが、それこそが真理。


「そうだね…代わろうか。私のほうは多数を相手にするほうがやりやすいからね」


竜氣を纏い、ミュラー自身の<氣>をも乗せられた黒檀の杖が見た目にもおぞましい妖霊を両断する。
その動きは流麗にして苛烈。
相手が例え人外のものであろうとも決して鈍らない。
剣聖の技はなおもって冴え渡り、有象無象を蹴散らしていく。


「寄るな! 触るな! あたしに触れても良いのは、あたしの認めた者だけなんだからっ!」
(若いね…)


ミュラーが飛び込んでくるのに合わせて、アルティールは眷属の集団から距離を取る。
何か色々と場違いな台詞も飛び交っているが、それを微苦笑で見送りながら剣聖は血刀を展開する。


「さて、まずは斬り込みといきましょう…」


謳うように告げると、最初の腕を潜り、その頭部を踏み抜いて虚空に舞う。
宙に浮かび待ち構えていた巨大な生首を微塵に切り裂き血雨へと変えると同時に身体をひねって着地。
着地地点にいた、悪魔のような何かの頭蓋を黒檀の杖で打擲粉砕する。
しかし、その程度の事で下級眷属は怯まない。
否、彼らには怯むという機能が存在していない。
だから目の前の生贄に、ただ殺到してくるのみ。
それを見てミュラーは優しげに微笑みながら、口元をまるで三日月のようにニヤリと歪める。


「息吹く生気を烈火と練じ、昇華発力と転ず…」


より大きく高まる闘気。
一気に飛び掛る眷属達。
されど剣聖は動じず。
その好機に鬼神の笑みを浮かべるのみ。


「…其に踏み入れば悉く血風蓮華と成す…是、身動の極みなり!」


血刀と化した『完全』が…
ミュラーの両腕が…軽やかに、艶やかに舞う。
まるで一つの演奏を指揮するかの如く。
そして、死の舞を踊らされるのは死界に踏み入りし眷属達。


─ゾンッ!


斧の破壊力と剃刀の鋭さを併せ持つ血刀は踏み入った者の悉くを微塵に刻む。
剣風と舞武がもたらす死の嵐は、その銘に違わず彼らを速やかに血華へと変えた。
怖ろしくも美しい光景を、剣聖の技が魅せる。


「……因果なものだね…こうして全力で技を揮える事に私は悦んでいる…」


どこか自嘲の笑みを浮かべながら彼女は血刀を納める。
最早、周りに動くものは無い。




「このっ! いちいちムカつくのよ! 大人しく斬られなさい!!」
「おぉぉおぉォォ怨」
「ば、馬鹿にしたわね!? 今、鼻で笑った!? 笑ったでしょ!」
「ぉんっ…(フッ)」
「ま、また避けたーーー!?」
「ぉぉんぉォお怨!(そうそう当たるものでは無い!)」
「何で当たんないのよーーー!!」




向こうでは何故か一体だけ赤い妖霊にアルティールが苦戦して(遊ばれて)いた。
ついでにシリアスな空間も色々と致命傷であった。




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜侵入より35分後〜
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城内/空中庭園




「…どうやら片付いたようだな」


邪魔になった残骸を蹴飛ばしながらアキラが彼女らの元へと近づいてくる。
結局、戦い自体は数分で終わっていた。
強力な2体をエトランジェが受け持ったとはいえ、十分過ぎる戦果である。
だが、そんな都合など彼女達が分かるはずもない。
さっそくアルティールが呆れたように溜息をつく。


「片付いたって…あんた、こんな連中を普通に相手にしてるの?」
「まあ、今のは軽いほうだな」
「…なるほどね、君があんな戦闘能力を持っている理由が分かったよ」


アルティールにとっては初の化物狩り。
ミュラーにとっては戦闘の延長線上のもの。
温度差はあれど、ともに戦いを済ませた事で多少の余裕がある。
それを感じて、アキラも軽く微笑を浮かべた。


「どうだ…そろそろ後悔したか? 多分、まだまだ連中は伏せられているぞ」
「ふふ…愚問だね。折角の機会、私は最後まで付き合わせてもらうよ」
「あたしだって! さっきから調子が良いし…あと少しで何かが掴めそうなの。今更、帰れは無しなんだからね?」


二人の言葉を聞いて、軽く驚き…そして獰猛で爽快な笑みを見せる。
喉の奥で笑いが漏れると共に、アキラは不意に二人の頭をクシャクシャに撫でた。
突然の行動と温かな掌に、驚くやら赤くなるやら、思わず下がってしまうやらの二人。


「ちょ、子供扱いしないでよね!?」
「ふふ…でも、これはこれでいいものだね」


それでも、割と楽しそうにじゃれている彼らを見て、サラだけが羨ましそうな思念を放っていた。


【(…マスター、お二人だけずるいです
…これは後で、皆さんに報告してオシオキですね)】




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜一方その頃〜
神聖サーギオス帝国 帝都サーギオス スピリットの官舎/食卓




その食卓には様々な料理が並べられ、美味しそうな匂いと湯気を上げていた。
帝国にエトランジェが来て、色々とスピリットの待遇が向上してからは割りとよく見られる光景である。
良識ある人間とやらは頑として認めたがらないが、スピリット…特にセラとフレイアの料理はプロの料理人に匹敵する。
その恩恵に与れるのは現状のところ、第3旅団の面々のみではあったが…
…たまに宮廷料理に辟易したウィルハルトが、こっそり食卓にお邪魔しているのは一部のみの秘密である。


「そう言えばアキラ殿が、視察に出られて3週…今頃は何をしておられるのでしょうか…」


木のスプーンを動かしながら、どこか気の抜けたような表情で呟くのはウルカだ。
この3週間、やることも多く鍛錬も怠らずに続けてはいるが、やはりどこか物足りなく感じているのである。


「…彼の事は心配しなくても大丈夫でしょう。色々と達している方ですし…セラ、お代わりを貰えますか?」
「…ノエル…お代わりが欲しければ、残ったリクェムも平らげてからになさい」
「!! セラ…貴女は私に死ねと言うのですか?」
「いっそ、明日の朝食も抜いてみます?」
「Σ(゜д゜ ;) ああっ…私は、この究極の選択にどうすればいいのでしょうかっ!?」


既に、某騎○王の如くハラペコキャラと化しているのはノエル。
そのノエルを軽くあしらうのは第3旅団の台所の支配者ことセラである。
どちらにしても、アキラのことは余り心配していない。
そこに上階から足音も軽やかに燃えるような深紅の髪を持つ美少女が降りてくる。


「ねえ、セラ姉様。サラは居ないみたいだよ?」
「あら、お疲れ様。ならいいから冷めないうちに食べちゃいなさい」
「は〜い♪」
(あのサラが何処かに居なくなる…あの人は、また面倒事に巻き込まれているみたいね…)


お玉を持ちながら、軽く虚空に眼を向けるセラ。
ルーテシアと共に、アキラとサラの実情を知るものとしては心配である。
その隙を突いて、ノエルがブラックスピリットも吃驚な速度でリクェムを鍋に戻す。
そこに、もう一人の女性が髪を拭き拭きやって来た。
湯上りなのか、ほんのりと肌が桜色に染まっている。
下はショーツ一枚に、上にはタオルを掛けたまま。
全く以って凄い漢っぷりである。


「あ゛〜サッパリした。お、今日の飯番はセラか…こりゃ楽しみだな♪」
「ら、ライカッ! 教育に悪いから、それは止めろっていつも言ってるでしょーー!!」
「んだよ…ウルカ様が隊長の頃は何も言わなかったじゃねーか」
「今と昔は違いますッ!!」


あまりと言えば余りにも明け透けなライカの格好にセラが吼える。
しかし、ライカは対して堪えた様子も無く台所へと侵入。
冷蔵庫(のようなもの)からエールを出すと一気に飲み干した。
もちろん片手は腰に当てられており、角度は斜め45度を保持している。


「風呂上りの一杯はやめられねー♪ エトランジェ様々だぜ♪」


心底幸せそうに。
だが、それも長くは続かない。
彼女の後ろには…


「あら…ライカ。そんな格好で、私を誘っておりますのね? うふふ…すぐ“食事”としましょうか…」
「…ひっ!?」


…白百合の女王にして両刀上等な、
魔乳魔女が控えておりました。
頬を染めながら、わきわきじりじりと迫る様子はまるで捕食者のように…
真っ白なエプロンが、まるで今から“食材”を新鮮なうちに頂いちゃいますと言わんばかりに見える。


「…アキラ殿…手前は最近、部下達の将来が心配でたまりませぬ…」
「はぐはぐむぐむぐはぐはぐ」
「ウルカ姉様、ボクもう色々と手遅れだと思うな」
「…ライカ。私は助けないわよ。自業自得だから」


じりじり…
にじにじ…


「は、薄情者ーーー!!」
「ふふふ…追い詰めましたわ…さあ、私とネットリと熱い夜を過ごしましょう♪」




………

……






「な、何だか帰りにくいですね…」
「(コクコク)」
「あらぁ〜、面白いじゃない。暫く見てましょうよ♪」


涼やかな月夜。
城内待機から帰ってきたセシル・フェリス・クレリアの三名は扉の前で立ち往生していたり…


「セシルちゃん、アキラが居なくて寂しかったら…お姉さんが慰めてあげるわよん♪」
「……え、遠慮させてください……」
「慰めるって…添い寝したりするんですか〜? お子様みたいですね〜」
「ん〜、フェリスちゃんにも教えてあげよっか?」
「もう! クレリアさんっ!!」
「はいはい。冗談、冗談」


…サーギオスは何処までも平和だった…




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜侵入より65分後〜
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城内/錬金科学棟




「ミュラー! 左翼15。任せた! アティ! 右翼4だ。術に気をつけろ!」
「了解だよ」
「任せてっ」


何処までも続くような大理石の回廊を抜けて、そこに入った時に数度目の戦闘が開始された。
流石に慣れたのか、アルティールもミュラーもアキラの指示に機敏に反応して敵を蹴散らしていく。
アキラにとっては見慣れた雑魚のようなものだが、彼女らにとってはそうでもない。
しかし、密度の濃い実戦と城内に満ちる魔氣のせいか、彼女らは素晴らしい勢いで対応し成長していた。
ミュラーの剣技は更に鋭く速く冴えていき、アルティールも既に<氣>の扱いに長け始めている。


(…連れて来たのは割りと正解だったかも知れんな…)


心の中で微笑を浮かべながらアキラは目の前の異形を相手取る。
D’VAと言うよりは魔族。幻想種の類。
PVによる憑依覚醒で幻想から受肉したのであろう。
まあ、だからといって醜い姿かと言われれば、そうでもなく。
むしろ自然の造形した荒々しさと人智の輝きが同居している。
鷲の頭部に獅子の鬣(たてがみ)。
自然岩から削りだしたかのような荒々しくも実戦に即した肉体。
手は人間と同じように五指でありながら、その爪は獅子の如き鋭さ。
足は俊敏に駆けるそれでありながら、鳥族の特徴をも備える。
広がる翼は、羽ばたけば一日千里をも翔ける。
彼を見る猛禽の瞳には賢者の如き知性を宿し、その嘴をして流暢な人語を話す。


「はて…我が君の城に攻め入る御仁が居ると来て見れば…貴殿からは懐かしき気配が致しますな…」
「………」
「ふむ…この世界には我らに匹敵するだけの猛者は居らぬとばかり思っておりましたが…」
「…グウィル・ガレオン…何故ここに居る? 隠遁したというのは嘘か?」


かの異形の言葉を軽く遮ると、アキラはそう聞いた。
彼は自らの名を聞かされ、まるで鳥のように小首を傾げる。


「? はて…貴殿は某を知っておられるようで…しかし奇怪ですな…某の記憶には貴殿の姿はありませなんだ」
「色々とあってな…姿が変わったのさ。忘れたのか? フェンリルだ」
「おお…言われてみれば、その気配は確かに。某も耄碌したものですな」


やれやれ…とばかりに器用に肩を竦めて見せる。
それを見て、アキラは変わらんな…とばかりに苦笑して見せた。


「ま、あんたの事だ。何があったかは知らないが…旧知であってもタダで通す気はなかろう?」
「話が早いですな…そうそう、確かに貴殿はそんな御仁でした」
「そういう訳で…流儀に沿って手っ取り早く“力”で決めようか」
「そうですな。しかし、見れば『久遠』も無い様子…それで某を超えられますかな?」


二対の猛獣が獰猛に笑う。
トントンと軽快にステップを踏み始めながら鳥人は構える。
ズン…と軽く震脚を響かせて半身の自然体で鬼人は構える。


「な〜に…心配は要らん。むしろ今の俺は昔よりも技を磨いているつもりだ」
「それは重畳。久方振りの楽しみ…某を失望させないでもらいたいですな」


そして見えざるゴングが鳴った!




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜侵入より66分後〜
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城内/錬金科学棟




「相手は妖術師ね…時間を与えるのは危険。一息に決める!」


『鳴神』を腰溜めに構えると、アルティールは<氣>を全身に巡らせる。
アキラに教授された<龍門>の知識と<氣術>の修練が、ここに来ての実戦で一気に結実していた。
『鳴神』から供給されるマナの流れが分かる。
マナがオドへと変わり、龍門で氣へと転ずるのが感じられる。
準神剣とも言える『鳴神』の補助もあり、彼女は僅かに数日という異端の速度で、その深奥を理解した。


─グバッ!


すらりと伸びた美しい脚に、竜氣の前段階である昂氣が満ちる。
古流柔術や合気術に於いて、秘中の秘とされる氣術の深奥…人が宇宙を体現するための奥義。
口伝として伝えられながら、ありえざる幻想として捨てられた伝承。
人が人を超え、生きながらに神業を振るうための秘奥。
それを惜し気もなく使う。
それは自らが成した技が如何なものかを知らぬゆえか…
ともあれ爆発的に増した脚力が弾丸の如き加速を与え、瞬時に敵との間合いを詰めた。


「えっと…確か、こう!!」


氣の流れを制御して恐るべき速度で『鳴神』を振るう。
切っ先に集った黒のマナと昂氣が見事な弧月を描き、同時に周りの大気が凶悪な牙と化す!


─ドッ…ゴォォォォォン!!


いとも容易く雲燿の域に達したそれは集ったエネルギーの後押しで全てを砕く衝撃波となって妖術師達を殲滅した。
まあ、周りの被害も凄い事になっているのはお約束とも言えたが。


「す、すご…こんなのって…」


自らの為した所業を思わず呆然と見てしまうアルティール。
己の技の威力を見て、逆に恐怖を覚えてしまう。
彼女は達してしまったのだ。
そして、到達してしまった力は捨てたくても捨てる事はできない。
この瞬間、彼女は達人の道へと堕ちた。
暴走公女が、めでたく理不尽の世界に足を踏み入れたとも言う。


「も、もうこれからは気軽に人を殴れないかも…」


ごもっとも。




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜侵入より67分後〜
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城内/錬金科学棟




「ふふ…アルティールはアレに達したんだね…なら私も師匠として負けられないね」


弟子の成長に驚きながら、ミュラーは呟いていた。
既に自らの流派のうちで<氣>の太源を理解し、活用を為している彼女にとっては竜氣も理解の範疇内にある。
特に、オーラと言う形で擬似的に竜氣を体感できたのは大きかった。
そのため、彼女は既に竜氣を自らに合う形で使用し始めている。


(まあ、まさかアルティールまでもがこの境地に入ってくるとは、少し予想外だったけどね)


嬉しくもあり寂しくもある。
到達した先にあるのは永遠の孤独に等しい。
事実、彼女をしてもその身に宿る孤独…そして渇望を満たす術は存在していなかった。
そう、あの日までは…


「彼と会ってからは、本当に退屈する暇が無いね…」


異形の拳士と打ち合うアキラを見て、また笑みが浮かぶ。


「そう…まだまだ世の中には未知が溢れている…」


猛る妖獣の群れの攻撃を避けながら黒檀の杖を捻る。
納められていた仕込みの白刃が姿を見せる。


「GRRrrrrra!」


ガルム級…と呼ばれる種別の妖獣が飛び掛る。
その顎は容易に鋼鉄を噛み砕き、その爪は人体を骨ごと引き裂く。
動きも俊敏。
並みの戦士では、その影すらも捉える事は叶うまい。
だが…


「遅いよ…」


正に一閃。
ミュラーの魂の色…白銀を纏う暗黒光(ブラックライト)の輝きが迸る。
それは白刃に宿り、黒鋼よりもなお強靭なガルムの毛皮ごと一刀両断に斬り裂いた。
アルティールのように爆発的に放射するのでは無く、あくまで剃刀のように鋭く…飛燕のように速く。
<氣>の制御に熟達しているミュラーならではの扱い。
なればこそ、その刃に触れれば万象、相斬られるが摂理。
そこには一切の無駄も浪費も無く、死神が魂を狩るかのように死を量産する。


「竜鳴剣・一式・魂砕……とでも名付けるかな」


剣聖は艶やかに笑う。
新しい悪戯を思いついたかのように。
楽しい玩具を手にしたかのように。
その笑みは、どこまでも透明で、どこまでも無邪気。
戦というのも馬鹿らしくなってくる程の、絢爛なる死の舞踏(ダンス・マカブル)


剣聖は舞い続ける…




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜侵入より68分後〜
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城内/錬金科学棟




「シッ! フンッ!」
「フッ…覇ッ!!」


ガレオンのジャブから変化したフックを辛うじて受け流すと、アキラはそのまま肘撃から掌打へと繋ぐ。
流水の如く加える必中のカウンターをガレオンは強靭な腹筋で受け止め、掌打はウィービングで避ける。
そのまま至近距離の間合いであることを生かし、ガレオンはアキラの首をロック。
胸板を肋骨ごと粉砕せんと膝蹴りを放つ!


「ぬんっ!」
「なんのっ!」


受ければ即死する程の威力が伴われたそれを避わせぬと判断し、瞬時に竜氣による硬化で防御。
岩塊を打ち付けたかのような衝撃にガレオンが慌てて距離を取ろうとした瞬間を狙い、居合い気味に『七鍵』を振り抜く…
…が、それは一呼吸だけ足りずに必殺の機会を損じてしまう。


「…逃がさん!」


離れた距離をアキラは無理に追わずに、今度は魔力式を通した17の光弾を放つ。
放たれたそれは、一つ一つが複雑な軌道を描き、ガレオンを貫くべく恐るべき速度で迫る。


「…まだまだですな」


迫る光弾。
音速に近い速度で迫るそれをガレオンは魔力の輝きに満ちる障壁で、あっさりと無力化した。
単純に強力な障壁ではなく、雨霰と降り注ぐ攻撃を確実に弾くための多重障壁。
恐るべきは、瞬時に自らの防御手段を構築しうる思考能力であろう。
そして間合いが開いたために、目まぐるしく動いた戦闘に暫しの停滞が訪れた。


「驚きましたぞ…あの時とは違って本当に技に磨きがかかっているとは…驚嘆に値しますな」
「言っただろう? 色々とあったんだよ…色々とな…」
「それに、あの御嬢様方も本当にお強い。チューナーに匹敵しておりますな」
「ま、あれは予想外だったがな…今度からは、からかうのも命懸けになりそうだ」


軽口を叩き合う。
『七鍵』が「なんて出鱈目な…」と呟いていたが、アキラは気にせず笑っていた。
そうしながらも二人は、じりじりと微妙な足捌きを使い、互いに有利な間合いを取ろうと牽制し合う。


もうすぐ互いの間合いが重なり合う…


「さて、第2ラウンドと洒落込みましょうか…」
「俺としては最終ラウンドにしたいんだがな…」


あと一足…


…と。




「いい加減にして下さらないかしら…煩くてとても休んでいられませんわ!」




どこか怒りを帯びた気だるげな声が響いた。




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夜 〜侵入より70分後〜
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城内/錬金科学棟




「…この声は…」
「ふむ…ルージュお嬢様ですな…」
「城主様のお出まし…ということだね」
「ちょっと可愛い声だったかも…」


それぞれが周囲に気を配ると同時に、上階へと繋がる扉がバガンとばかりに蹴り開けられた。
不機嫌150%と言わんばかりに、そこから深紅のゴスロリ……ルージュが姿を現す。
何故か手にはテ○ィベアを持っていたが。


「…寝起きのようでございますな…」
「…そう言えばルージュは低血圧(?)だったな…」


どこか気の抜けたような獣王が二名ほど…脱力したように呟く。


「おだまりなさいっ! 淑女の城に乗り込んだ挙句に破壊行為を繰り返す馬鹿は誰ですか!
 今直ぐに殺して差し上げますから名乗りなさい!」


ガーっと吼え猛る鮮血姫。
何と言うか…とても迫力が無いが油断は出来ない。
してはいけない。
これでも上級D’VA。
13番因子『死』と18番因子『月』を併せ持つ恐るべき人類の敵なのだ。
…多分。恐らく。


「…アルティールの親戚(同類)かな?」
「そう言えば、何処かキャラが被っているな…」
「何か言った?」
「「…何も」」


もはや、完全にやる気を削がれて弛緩した空気が漂う。


「…そう、私を無視するのね…なら、
とりあえず皆殺しにするわ」


「「「「何故に!?」」」」




………

……






皆殺し宣言と共に、ルージュがふわりと舞い降りる。
めくるめく殺戮と血の快楽への期待か、どこか目付きが怪しい。


「…フェンリル殿。この際、責任を取ってルージュお嬢様を止めてもらいますぞ?」
「…節操が無いぞガレオン。一応、俺は宿敵と認識されていると思うんだが?」


ガレオンとアキラが汗を浮かべながら後じさる。


「…確か、ルージュは『死』と『月』を持ってたよな…もう、死線投影は復活してるのか?」
「…至極残念ながら…」
「…俺に死ねと?」
「…フェンリル殿にしかできますまい」


鬼気とともにルージュが迫る。
絶世の美女とでも言える彼女だけに、逆に怖い。
何気に手に持っているテ○ィ・ベアがさらに恐怖を誘う。
…色んな意味で。


「フェンリル? フェンリルが来てるですって? うふふ…わざわざ死にに来たのね…」


地獄の底から響いてくるような黒い声でルージュが呟く。
ミュラーとアルティールは要領よく退避済みである。


「お、お嬢様…彼がフェンリル殿でございます」
「情け容赦なく売りやがった!?」
「某はお嬢様の下僕であるからして…別に売った訳ではございませぬ」


ギンッ…と音を立てるかのような邪眼でアキラのほうを睨む。
が、すぐにガレオンのほうを向いて言った。


「ガレオン…あのフェンリルが、こんな腑抜けた優男な訳ないでしょう…私を騙すつもり?」
(腑抜けた優男ッ!?)


スギャンとばかりに、アキラの心に打撃を与える。
今までで一番堪えたのは間違いない。
逆に焦るのはガレオン。
ルージュの矛先を懸命に回避する。


「め、滅相もございませぬ。お疑いならば気配や霊気でも探れば宜しいでしょうに」


その言葉で、またも視線がアキラに移る。
色々と既にダメージを受けているアキラは、どこか諦め切っている。
そんな事情など全力で知らんとばかりに、上から下まで嘗め回すように視姦(?)するルージュ。
そして…


「……随分と腑抜けたじゃない? 本当に貴方…フェンリル?」
「見た目だけで全てを判断するんじゃねぇぇぇ!!」


言葉の刃で止めを刺しました。
心で半泣きになりながらも叫ぶアキラ。
色んな意味で虚を突かれたルージュが半歩だけ下がった。


「嘘よ! フェンリルならもっと、こう冷徹で外道で人でなしで容赦なく私を狩るはずでしょう?」
「そりゃ、お前が遊び半分に殺すわ壊すわ攫うわ盗むわで迷惑かけまくるからだろうがっ!」
「当たり前でしょ。世界は私の遊び場なんですもの。それに殺すのはとても気持ち良いのよ?」
「相手を選びやがれ!(…そう言えば快楽殺人症だったな…)」


もはや、顔を付き合わせて喋りあうアキラとルージュはかなりの勢いで放置され始めていた。


「ほう…なるほど。剣聖とまで呼ばれているとは、女性の身で素晴らしい活躍ですな…」
「単に人が、そう呼んでいるだけに過ぎないよ」
「そう言えば、そちらのお嬢様も素晴らしい剣技でございました。雲燿の妙技など数十年ぶりに拝見致しました」
「え? そ、そう?」


ガレオンの異形に少し引きつつもアルティールは喜ぶ。
こっちは既に、マッタリとお茶会ムードである。
彼の薦めで、彼女らは部屋のテーブルに着き始めていた。
どうやら、あっちの騒ぎに関わりたくは無いということで意見が一致したらしい。


「…ふふん。なら私を止めてみれば? 『久遠』も無しにできるものならね」
「ほほう…いい加減に俺にも考えがあるぞ?」


二人の間に紫電のような氣が走る。


「貴方と殺し合うんだったら悪くないわ…最高にハイになれそうですもの」
「…そのままに殺り合っても解決になりそうにないな…ならば…」


魔速の勢いでルージュが飛び出す。
振りぬかれる繊手の先には濃厚な死の気配。
触れた場所に「死線」を投影すると同時に完殺する『死』と『月』の共鳴葬技。
その前には一切の防御は無効。
触れた場所から殺される。


「さようなら…フェンリ…ルっ!?」


─ずべしゃっ!


そして、見事にルージュはこけた。


「な、なによこれ!?」


疑問も当然。
ルージュの両足首は蒼い輝きを纏う、オーラフォトンの鎖で拘束されていたのだから。
あの勢いで、突然足を拘束されれば転倒するのは当たり前である。


「こんなもの…殺してしまえば簡単に…!?」


オーラフォトンの鎖に指を這わせようとした刹那、今度は手首同士を拘束される。
その瞬間をルージュは全く認識できなかった。
瞬く間に動きを封じられるルージュ。
その顔が悔しげに歪む。


「…見た事が無いだろ? 永遠神剣の力を使った拘束だ」
「…永遠、神剣?」
「いやぁ…真面目に正面からお前とやったら城が消し飛びかねないからな」
「くっ…こ、殺しなさい!」


あっさりと取り押さえられた事に対する屈辱に歯噛みする。
それを見てアキラはニヤリと笑い…


「殺しても、バックアップがある以上…無駄だろ? 殺すよりはお仕置きすることにする」
「は? おし、おき?」
「…コアをSLASTでハッキングした後…朝まで休まず徹底的にイかせ続けてやる…」
「な、なななな!?」
「よかったな〜。夜族な上にD’VAで。人間だったら確実に廃人になれるぞ〜♪」


素晴らしく爽やかな笑顔でアキラが宣言する。
元々、この手の事はルージュも好きだが…フェンリルの責めを想像すると逆に怖い。


「う、うそ…ちょっと待って!?」
「待たん」
「いやーー! 人でなしーー!!」
「うむ。実に的確な表現だ♪ ふははははは」


こうして、ルージュはアキラに担がれて行くのだった。
その夜、ルージュがどのような体験をしたのかを知る者は居ない…




聖ヨト暦329年ソネスの月 黒一つの日 昼
バーンライト王国 首都サモドア 王妃の執務室




「して、あの廃城の件は片付いたと言うのですね?」
「ああ、間違いなく。もう、跡形も無いし行方不明者が出る事もあるまい」


バーンライトの女狐と有名な、王妃ラフォスを前にアキラは結末だけを告げた。
まあ、要するに廃城には正体不明の怪物が巣くっており、危険だったので破壊した…と。
勿論、大嘘なのであるが城はもう無いため真偽の程を確かめるのは不可能である。
ラフォスとしては、ここ暫く頭を悩ませていた問題が片付いたので、真偽を気にするつもりも無かったが。


「そうですか。ご苦労様でした。流石は帝国のエトランジェですね」
「なに、大した手間でも無かった。任務のついでのようなものだし気にするな」


そう言い放つアキラを見て、ラフォスは改めてエトランジェというものの脅威を感じた。
城一つを跡形も無く破壊して、それを大した手間ではないと言う。
スピリットとは違い、自由意志を持つものが、それだけの力を有する。
それは、あまりにも危険なのではないか?


「…ま、報告は以上だ。俺もそろそろ帝国へ戻らないといかんのでな」
「分かりました。それではお気をつけて」


アキラは軽く会釈をすると扉を開く。
と、その前にラフォスは一つだけ問いを発してみた。


「アキラ殿、貴方はそれだけの力を持ちながら何故、人に従っているのですか?」


答えは期待していなかった。
だが、ふとアキラは足を止めると簡潔に、こう答えたのだった。


「運命を打ち砕くために」


扉が閉まる。
もう、アキラは振り返ることは無かった。
ラフォスは瞑目して考える。


運命とは何か…と。




聖ヨト暦329年ソネスの月 黒一つの日 昼下がり
バーンライト王国 首都サモドア




「待たせたな」


城門で待っていた集団にアキラは声を掛ける。
女性3名に男性1名という集団だ。
揃いも揃って美女の集団に、パリっとした服装の執事が混じっていると、どこの貴族様ご一行だ…と突っ込みたくなるだろう。
まあ、そのような訳でもなく、事実はもっと物騒な集団である。


「いえいえ、割と速かったと思いますぞ」


執事風の男…人の姿をとったガレオンが大仰に礼を取る。
何気に楽しんでいるように見えるのは気のせいだろうか。


「おそーい! あたし達を待たせるなんていい度胸してるわよね」
「そうかしら? アルティールは淑女としては落ち着きが無いのではなくって?」


黝い長めの髪と、よく動く碧眼を持った女性が軽く怒ってみせる。
それを冷ややかに見ているのは黒い日傘を持った人外の美少女。
アルティールとルージュである。


「済んだみたいだね…それじゃ、行こうか」


二人のじゃれあいを眺めながら微笑んでいたミュラーがアキラに問う。


「ああ、そろそろ戻らないと陛下が心配だからな」
【本当に心配なのは第3旅団の皆さんでしょうけどね〜】
(ま、両方だけどな…)


そう言いながら笑うアキラの右手をアルティールが取る。
対抗心を燃やしたかのように左手をルージュが取る。
ガレオンとミュラーは微笑ましいものを見るかのような表情で見守る。


こうして、数週間に渡るアキラの漫遊記は終わりを告げるのであった。




…なお、当然の如く帰った先でエトランジェ様ご本人が皆様からお仕置きをされたのは言うまでも無い。
ルーテシアは新しい出会いに割りと喜んでいたが…
セラとラハーチィは鬼神の如きキシャーーーを見せたという。




あな怖ろしや恐ろしや♪










To be Continued...





後書(妄想チケット売り場)


読者の皆様始めまして。前の話からの方は、また会いましたね。
まいど御馴染み、Wilpha-Rangでございます。


プレジャートリップC 〜バーンライト編〜
こうして漫遊編は終了です。
それにしても…どんどん引っ掛けていくなぁ…
ルージュにしても、前話での流れとは裏腹に合流。
ある程度は予定調和的でしたが…はは、予測されていた方も居ましたね(笑)
さて、次回はランサ編。
余り長い展開にはならないとは思いますがご期待下さいませ。





独自設定資料

World_DATA
黄金の右

拳闘士の必殺技。伝家の宝刀(笑)
右があれば左もあるのはお約束。
喰らった者は、例外なく“車田飛び”と呼称される構図で吹き飛ばされるらしい。
つーか、そんな拳闘士は間違っとる!


新しい世界
垣間見えてはイけないモノ。
覗いてしまったら、引き返せない…かも?
嬉々として境界を越えるものも割りと多いとか。


眷属
語彙的なものは国語辞典でも調べてもらいたい。
ここでは、D'VAに属する類の存在の事を示す。
類友にスピリットなどの存在が当てはまる。
いわゆる神剣の眷属である。


ナイトゴーント級(中級)
中級D'VAの中でも、元々は対D'VA兵器であった類の眷属の事を指す。
D'VAに対抗するための装備が豊富に搭載されている上に、重力子制御によるイナーシャル・キャンセラー・フィールドを持つ。
端的にいえば、質量エネルギーを利用した攻撃は全く通用しない。
姿形は、首の無い3mほどのフルプレートアーマー。
複製型のコアを有しており、母機(クイーン)と呼ばれる存在から生み出される。
これらの事からも推測できる通り、その在り方は蜂などのそれに近い。


妖霊(下級〜中級)
未練を残して死んだ魂魄のうちの「魄」の部分にPVが憑き、D'VAへと転じたもの。
陰気の部分である魄を核としているだけはあり、理性と呼べるものは殆どなく渇望のままに生者の魂を求める。
霊的存在であるため、【力】を付与されていない攻撃では倒す事が出来ないが、所詮はヤラレ役である。
強力な術の代償に。魔力の代替に。或いは、間に合わせの盾に。今日も彼らは上級D'VAに扱き使われるのであった。
…なお、稀に多くの魂を吸収する事で上位の存在へと転化する妖霊もいるらしい。


ガンマレイ・ブレード
近距離ガンマ・レーザー発信器。
詳しい物理的解説は避けるが、ごく短距離にガンマレーザーを照射するシステム。
立派な核兵器である(爆)
当然だが、人間がまともに喰らえば塵一つ残らず消滅する。
某ガ○ダム種を御存知の方ならば、超小型のジェネシスをビームサーベル代わりにしてると思いねぇ。


AIS
アーティフィシャル・インテリジェンス・スクリプト。通称アイス。
いわゆる人工知能を構成する膨大な処理系言語。
隠秘学の流用により構成されるAISで記述される人工知能は、ノイマン型処理と非ノイマン型処理の両方をこなす。
科学とオカルトが混ざっているために、様々な問題も発生しているのは言うまでも無い。
自立したAISが、ネットワークを彷徨っているという怪談などが、その典型である。


H.T.M.R.(Hyper Trace Missile Launcher)
弾頭それぞれに高度な知覚機能と機動性を付与した誘導ミサイルシステム。
ナイトゴーントに搭載されるそれは、単体の弾頭が手榴弾ほどのサイズでありながら、恐るべき破壊効率を持つ。
同時に12発撃ち出されるミサイルは個々に軌道計算・障害回避・追尾選択・同期連携を行い、標的を冷徹に打ち砕く。
撃たれてから逃げきるのは至難。
ちなみに戦闘機に搭載される大型モデルも存在する。


昂氣
古流の柔術や合気道で伝えられる口伝の一つ。
源流は大陸にまで遡るとも言われる。
いわゆる太極であり、クンフーの極みでもある。
その意図するところは大宇宙との合一。
昂氣を纏うに至ったものは自然と覚者(仏陀)への道を見出すという…
昂氣や竜氣は纏う者の魂の色を映す。
当然だが、生半で目覚めたり習得できるものではない。
アティが、そこに至れたのはミュラーの基礎教育の賜物であり、アキラの竜氣や『鳴神』の補助の恩恵あってこそ。


テ○ィ・ベア
色々な意味で凶器。
鮮血姫が持っている以上、たぶん狂気。
きっと夜な夜な徘徊したり、何故かナイフを持ってたり、牙が生えてたりするに違いない。


因子(幻想因子)
上級以上のD'VAが保有するコアの属性にして幻想を現実へと持ち込む因子。
これを保有しているために上級D'VAは恐るべき存在力(戦闘能力とも言う)を誇っているのである。
タロットカードの大アルカナに即した因子が存在している。
例えば、『死』の因子を持つ者は、文字通りに死を自由に操作できる。
『力』の因子を持つ者は、力技で物理法則を無視する(筋力で空間を引き裂く…等)
上級D'VAは、他の上級D'VAを倒し、吸収することで自らの因子を増やす事が可能。
理論上では22因子全ての保有が可能だが、実際に同時に扱えるのは3つまでである。
現在、複数因子を保有しているD'VAは、ルージュを含めても極少数。


皆殺し宣言
ルージュのお約束(笑)
しかし、とりあえずで皆殺・完殺されるほうは堪ったものではない。
ですので、お嬢様を無視するのは止めてあげて下さいプリーズ。


腑抜けた優男
=アキラ(爆)
確かに見た目では納得。
アキラ本人の理想像は高○ 健とかアル・○チーノだそうなので尚更痛い。
観念しろアキラ。
打ちひしがれろアキラ。
もう、渋いダンディには戻れないから(笑)
それにしても言葉で致命傷を与えるとは…流石はルージュお嬢様。


死線投影
因子『死』と因子『月』の共鳴葬技。
万物の死を司るラインを、自らの指先が触れる部分に創り出し、触れる場所から殺してしまう。
元からある死線や死点を突くわけでは無いので、存在力で2ランク以上の格上には全く通用しない。
まあ、それでも触れた先から実体・非実体に関わらず、完殺できるだけ犯罪的に凶悪な技とも言える。
ちなみに、手持ち武器を介しても発動可能。
鞭や鋼糸を使われると手に負えなくなる。


キシャー!
漢字で書くと「鬼殺ャー!」…(マテ
鬼女や般若が出現する際の怪音だと言われている。
この叫びを聞いた男は、身体や(ピー)が竦み上がり、抵抗不能の状態でオシオキされるという…
これによる世界修正は、神であっても無効化することはできない(笑)
っていうか、素直にオシオキされろ。




Skill_DATA

竜氣の加護 (サポートスキル)
修得Lv:52
Lv:15 属性:無
対HP効果:20% 最大回数:3 行動回数:1
種別:スタートサポート(ab)
ターゲット:味方【全体】 ターゲットスキルLV:16
MB:0〜100
MD:0
台詞
マナよ…我が求めに応じよ…昂ぶる竜の加護となりて我らに力をもたらせ!!
「怖れるな…過剰な怖れは身を滅ぼす」
パラメータ変動
攻撃:+20 防御:+20 抵抗:+20 回数:+1
青:+10 赤:+10 緑:+10 黒:+10
※サポートスキルの回数は増えない。

【解説】
アキラの持つ“操竜師”としての力を、オーラフォトンへと流用したもの。
神剣能力よりは固有能力に近いため、マインドバランスに左右されないという利点がある。
神剣干渉によるオーラフォトンを氣に変換。
自己の龍門を通し、竜氣へと変換後に広域へのオーラとして放射する。
このオーラの加護を享けた者は、一切の精神的悪影響から逃れる事ができる他、自らの力をより引き出せるようになる。
エトランジェや神剣魔法の常識に反し、一般人にも効果をもたらすと言う規格外な付随効果を持つ。


身動・血風蓮華 (アタックスキル)
修得Lv:60
Lv:15 属性:白
対HP効果:1600 最大回数:3 行動回数:1
種別:アタック
ターゲット:敵【全体】 ターゲットスキルLV:16
MB:75〜100
MD:-2
台詞
…其に踏み入れば悉く血風蓮華と成す…
「さて、纏めて相手にさせてもらうよ?」
パラメータ変動
攻撃:+0 防御:+0 抵抗:+0 回数:+0
青:+0 赤:+0 緑:+0 黒:+0

【解説】
永遠神剣『完全』の力を使ったミュラーの舞剣奥義。
あえて敵集団の只中に身を置くことで、全ての敵を同時に斬殺する。
『完全』の持つ、白の属性が上乗せされるため並みのスピリットでは耐える事すら出来ない。
オールラウンダー時には、サポートスキルで攻撃力を底上げした上で、この奥義を使用するのが彼女の定石。
ミュラーは神剣の保有を否定しているため、この技を見るときは己の最後の時だと考えるべきだろう…


護剣・弧月雲燿 (アタックスキル)
修得Lv:特殊
Lv:14 属性:無
対HP効果:1200 最大回数:4 行動回数:1
種別:アタック
ターゲット:敵【全体】 ターゲットスキルLV:16
MB:0〜100
MD:0
台詞
いくわよ…弧月雲燿っ!
「吹き飛びなさい!」
パラメータ変動
攻撃:+0 防御:+0 抵抗:+0 回数:+0
青:+0 赤:+0 緑:+0 黒:+0

【解説】
昂氣を発動したアルティールが使用した剣技。
特に神剣の力に頼ったものでは無いために、個人でも使用可能。
『鳴神』で発動した場合は、対HP効果が+200、黒属性が付加される。
剣圧による衝撃波と真空刃で、敵の一団を纏めて攻撃する。
多くの敵と戦うときには極めて有効だが、扱う力が大きいため頻繁には使用できない。


竜鳴剣・一式・魂砕 (アタックスキル)
修得Lv:特殊
Lv:15 属性:黒
対HP効果:2000(CH) 最大回数:16 行動回数:2
種別:アタック
ターゲット:敵【単体】 ターゲットスキルLV:16
MB:0〜100
MD:0
台詞
触れれば万象、相斬られるが定め…
「これに耐えられるかな?」
パラメータ変動
攻撃:+0 防御:+0 抵抗:+0 回数:+0
青:+0 赤:+0 緑:+0 黒:+0

【解説】
属性を付加した昂氣(または竜氣)を武器に纏わせ、殺傷力を高めたもの。
ミュラーは氣の制御に長けており、少ない消耗で凶悪な威力を持つ攻撃を繰り出す事ができる。
魂砕による攻撃は、障壁による防御を一切無視するため命中した場合は必ずクリティカルが発生する。
よって、防御者は全力を以って回避するか神剣で受けるかしなければならない。
彼女自身の剣腕を考えると、まさに必殺技と呼ぶに相応しい。




Personaly_DATA
※Nothing




SubChara_DATA
グウィル・ガレオン/Gwill Galeon
身長:188cm 体重:70kg 幻想種/D'VA。人間時:黒髪紅眼。
知的能力:高い 精神性:理性的外向型 性格:紳士・学者肌 容貌:鳥人
性別:男性
神剣:無し
年齢:226
職業:執事(?)
解説:
幻想種から覚醒した上級D'VA。
鷲の頭部に戦士の肉体。獅子の強靭と天翔ける翼を持つ。
見ただけでも分かる、正に人外の存在。
拳闘術に酷似した、独特な戦闘スタイルを持ちながら高い魔術力をも兼ね備える。
持ち前の知的好奇心の余り、D'VAでありながら人間の書に埋もれて隠遁していた変わり者。
そんな彼も現在は、ルージュの執事をやっている。
何気にイイ根性の持ち主であり、自らの危機をサラリと避わす食わせ物(笑)


「…おお、言われてみれば確かに…」
某はお嬢様の下僕であるからして…別に売った訳ではございませぬ




Eternity Sword_DATA
A.M.D.『久遠』
永遠神剣では無いが、似たような存在なので此処に記す。
『久遠』はアキラの使用していたAMDであり、アキラと共に膨大な戦闘経験を得ている。
リンケージ・コアは、通常のAMDと同じく人工因子0番『愚者』で構成。
アキラのイメージに同調することで、強力な科学兵装を持つ戦闘形態へと移行できる。
10年近くに渡る戦歴のうちに、21番因子『世界』。20番因子『審判』を吸収している。
単独で高速飛行を行い、強固な装甲と防御結界を持ち、広域殲滅を得意とする。
そのこともあり、向こうの世界では最凶にして至高のAMDとも呼ばれる。
膨大な戦闘経験と複数因子を持つコアという事で、現在は研究資料兼データベースとして封印中。
D'VAにとっては天敵であると同時に得がたい獲物でもある。