???



ひょう…と、吹き抜ける風が樹海を揺らす。
得も知れぬ湿気と緑の匂いが同時に彼の嗅覚を刺激する。


(……いい訓練日和だ……)


心の中で彼は呟く。
纏まりの悪い黒髪を森林迷彩が施されたバンダナで結ぶと、手元の端末を操作していく。
度の入っていない眼鏡の奥の瞳が無感情に液晶の光を反射した。


(…3、2、1…)


計時を終えると同時に、手元の通信機を取る。
スイッチを入れると同時に、彼は口を開いた。


「…それでは予定通り、実戦評価試験を開始する。判っているだろうが訓練だからといって安心するな。
 敵は下級とは言え、眷属だ。油断すると死を招くことを憶えておけ……いいな?」
『アルファ01、了解』
『ブラボー01、了解』
『チャーリー01、了解』
『デルタ01、了解』


通信機から、それぞれの分隊長の返答が返ってくる。
誰とは無しに軽く頷くと、続けて指令を下した。


「今回、私は戦闘に参加しないし、指示も出さない。貴様らが訓練で身に付けた力……遺憾なく発揮して見せろ!」
『『了解!!』』


そして、木々を揺らす鋼の戦場音楽が響き始める。


─これは人と神との物語。

─これは星詠む世界の物語。

─奏でる大地の物語。




………

……






「さて、では評価を行うとしようか…」


集まった訓練兵達を前に、黒髪の小柄な教官が立ち上がる。
それなりに整った顔立ちだが、どこか茫洋としており、それなのに微塵の隙も無い。
おおよそ戦場には似合わない姿だが、無駄なく鍛え上げられた肉体は凡百であることを拒否するかのようだ。
こうして見ると、訓練兵達の平均身長のほうが彼より高かった。


「まずは、アルファ分隊…廣瀬の隊だな…各自の技術は及第点だが、連携のタイミングが悪い。
 中級以上の相手の場合は、それが致命的になることを判っておけ。
 廣瀬(ひろせ)訓練兵。中級D’VAと完全武装した貴様らとの戦力差はどのぐらいと教えた?」


教官の言葉に、廣瀬と呼ばれた年若い少年は直立不動の姿勢を取る。
そのまま、よく通る声で回答した。


「ハッ! 4名であります!」
「そうだ。それも装攻騎士(ナイツ)が4名、連携してやっと互角だ…つまり単体で抗うことは不可能と知れ」
「ハッ! 肝に銘じます。教官殿ッ!!」
「よし。貴様らの今後の課題は、LASTシステム同調による完全連携だ。いいな?」
「ハッ! 了解いたしましたッ!!」


廣瀬の返事に頷くと、教官はペラリと書類を捲る。


「続いてブラボー分隊…如月隊…貴様らは、もっと広い視点を持つように心掛けろ。
 中盤戦から、貴様らだけが突出しすぎている。今回のように戦力差が明確なときならともかくだが…
 今の状況で敵の増援や遊撃を受けたら全滅するぞ。他部隊と合わせた行動を忘れるな」
「はい!」


今度は、健康的に日焼けした少女が直立不動で返事をする。


「よし。貴様らは、今後シミュレーターによる戦術訓練を主眼に行う…無様を晒したくなければ励めよ?」
「はっ! 全力を尽くします!」


「続いてチャーリー分隊………」


次々と訓練の結果を評価、指摘していく教官。
自らの教え子達が戦場で戦えるよう…生き延びれるよう…育て上げていく。


─ピピッ


唐突に通信機が秘匿回路による伝送波を受信する。
表情を変えぬままに、教官はコードを入力。回線を構築した。
直ぐに通信機から声が聞こえてくる。


『アキラか!? 少々拙いことになった。訓練は中止して、さっさとヒヨッコ共を連れて戻ってくれ』
「…ケンか。どういうことだ?」


焦ったように言ってくるケンの言葉に、教官…アキラは冷静に聞き返す。


『旧上九一色で、例の“ブラッディ・ルージュ”が見つかった。ダメージは負わせたが…現在、富士方面に逃走中だ』
「…あの“鮮血姫”か…拙いな…鉢合わせするかも知れん」
『ハウンド以外のチューナーにも声は掛けてるが…人数は期待できねぇ。対応しようにも時間が厳しいしな』
「こっちは“久遠”で援護する。位置を送るから、新兵共の回収にヘリを寄越してくれ」
『了解だ。データリンクはA377で通してる。そっちで合わせればターゲットの位置を取れるはずだ』
「了解」


通信を切る。
俄かに不穏な空気が満ち始める。
だが、彼はそれを気にせず己の教え子達に指示を下し始めた。
どこまでも落ち着いた雰囲気の教官に、多少は安心したのか訓練兵達も気を取り直す。


「……と、言う訳だ。迎えにヘリが来てくれる。貴様らは纏まって撤収しろ…指揮は廣瀬、貴様がとれ」
「ハッ! 指揮任務拝命致しました!」
「よし。では行け!」
(あら、どちらへ行かれますの?)


突然、樹海内にそぐなわない声が響いた。
それは無垢でありながら、妖艶、淫靡。
純真を思わせながら、どこまでも深い悪意の篭った声。


「…その声…まさか、こんなに早く?」


驚いたように周囲の気配を探り始めるアキラ。
だが、樹海の篭るような妖気に隠され、気配は見つからない。


(うふふ…久方ぶりですね…フェンリル。まさか貴方が私の媒体を連れてきて下さるなんて思いませんでした)


『ケンだ。“鮮血姫”は樹海近辺で力尽きて消滅した』
「…ケン。残念ながら終わっていないようだ…こっちに支援しに来てくれ」
『な、なにぃ!? 一体どういうこった! 説明しやがれ!』
「急げ! 時間が無い」
『ちくしょう、後で説明しろよ!』


─ぷちり…


肉を引き裂くような不気味な音がする。


「へ?」


廣瀬は自らの腹から生える鮮血に濡れた白い腕を見た。


「な、なんだよ…これ?
これぇーーーーぇねげふぉ!?


─ぶちぶちっばちゅっ!


続いて廣瀬の腹を広げながら、美しい白磁の肌を持つ妖艶な美少女が這いずり出てくる。
少女が蠢く度に廣瀬の体は、蠢動し、爆ぜ、白蝋の如く痩せこけていく…
余りにも非現実的。余りもの悪夢。
訓練兵達は、そのおぞましさに身を震わせ…それでも金縛りにあったかのように動けない。


「……廣瀬……ルージュを抱いていたのか……」


頭を振ったのも束の間。
すぐにアキラは、AMD“久遠”を展開する。
腕の一部を霊子変換・武装化。重粒子連装レールキャノンへと変わる。


「動くな…ルージュ。幾ら、お前でもこいつを受ければタダでは済まんぞ?」
「私にもアスター姉様のように聞いてくれるのね……で・す・け・ど」


ルージュの唇が酷薄に歪む。
次の瞬間…


「う、うわぁぁぁぁ!?」
「ひっ! いや! いやぁぁぁぁぁ!」
「ぐ…あ、あがぁぁぁっ!?」


廣瀬であったモノが弾け飛び、その血が訓練兵達を無慈悲に侵食、喰らっていく…
生きながらに不定形のモノに侵され喰らわれるという恐怖は如何程のものであろうか。
もはや、訓練兵達は半狂乱になりながら自らに武器を突き立て始めた。


「………」


アキラは無表情で思考トリガーを引き絞る。
軽い音とオゾンを焼く臭気と共に、ルージュに光弾が撃ち込まれた。
光弾は恐るべき速度と正確さを以って彼女を貫き、勢いを殺さずに樹海の木々を消滅させ、富士の裾野の一部を破壊した。


「うふふふ…あははは…良いわ。相変わらずの人でなし…ちょっとは動揺してくれるかと期待したんだけど」


砕け散るルージュの美身が哄笑を残しながら肉片と鮮血へ変わる。
だが、肝心のディヴァイン・コアを捉えた手応えは無い。


(…囮?)


瞬時に、周辺状況を再確認。
彼の前から、ルージュの気配は消えていない。
即ち、この場にコアは存在している。
だが、目の前にあるのは妖血に侵された彼の教え子達のみ。


(…そういうことか…)


無言で“マイネ・ライヒス”を起動。
周辺の物理法則・現象を掌握。
空間ごと妖血の洗礼を免れた唯一の訓練兵…如月を拘束した。


「えっ! ど、どうして!?」


蒼白になりながら、自らの置かれた状況に更に混乱していく如月。
そこにアキラの無慈悲な言葉が掛けられた。


「如月は、廣瀬と恋愛関係だったはずだな?」
「教官!?」
「性的交渉があったのなら、そちらに移動していても不思議ではない…」
「な、何を言って…」
「運が悪かったな」


ギシッ…と何かが軋むような異音が響く。


(フェンリル! 貴方…自分の教え子ごと私を葬るつもり!?)


どこか焦ったかのような声が放たれる。


「ルージュ…お前が、アスター…いや、エステルと同じだと思ったのが私の間違いだった…」
(フェ、フェンリルッ! 止めなさい!)
「教官ッ!?」


如月とルージュが期せずして怯えたような声を上げた。
しかし、アキラの表情は何処までも冷たい。
まるで氷で作った仮面のように、いかなる感傷もそこには無い。


「欲を出さずに潜んでいるべきだったな…再生直後…一時的とは言えランクの下がったお前では、抵抗できまい。
 そして如月…恨むなら貴様を救えない私の弱さを恨め。貴様にはその権利がある」
「うそ…嘘ですよね!? こんな…嫌ですっ!…まだ死にたくない!!」


絶望に身を震わせる如月。
だが、運命は覆らない。
そして、いっそ優しいとも見える目でアキラは言った。


「…せめて苦しまずに逝け…」


─座標特定完了。空間隔離完了。限定範囲内、分子振動停止。
─コード“白き静寂”発動承認。



それは一瞬の出来事だった。
如月の周囲が一瞬だけ光ったかと思うと、次の瞬間…彼女はシャラシャラと音を立てて崩れていった。
周囲の物理法則を操作し、一瞬で絶対零度の環境を作り出したのだ。
あらゆる運動が停止した状態では、物質はその姿を保つことは出来ない。
硝子のように…氷細工のように…砕け崩壊していく。
幻想的で…どうしようもなく美しく…一片の慈悲も無い光景。


塵となって消滅した如月には目もくれず、彼は教え子達のほうへと向き直った。
妖血に侵された者達。
既に命無く、一片の痕跡すらなく犠牲者達は喪われていた…


「…17名…折角の逸材達が…全く、何という損失だ」


残った妖血を悉く蒸発・消滅させながら呟く。
上級D’VA…それも“鮮血姫”を、仕留められたのだから喜ぶべき事なのだろう。
正面からぶつかり合えば、それこそ一つの街が消滅してもおかしくは無かった。
だが、“鮮血姫”は選択を誤った。
フェンリルという存在を甘く見すぎた。
ゆえに、さしたる被害無く消滅させられたのだ。
最小限の被害と労力で人類を脅かす大敵の一つを取り除けた。
喜ぶべき所なはずだ。
なのに…


「…虚しい…」


彼の心はどうしようもなく虚ろだった。


得たはずのものは果てしなく遠く。


あるはずの心は、何処までも灰色に染まっていた…


それは磨耗しつつある孤狼の話。


虚無である事を止めた虚無の思い出。


─遠き世界の想いの欠片─










永遠のアセリア
The Spirit of Eternity Sword

〜人と剣の幻想詩〜

第二章
“Oath and Emperor”
ACT-5

【アキラの同盟国漫遊記B】
- In the Barnlait “Pleasure Trip V” -




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑一つの日 未明
バーンライト王国 街道沿い




「む……ぅ?」


視界が流転し、俺は意識が浮上するのを感じた。
茫洋とする思考を取りまとめ、閉じていた目を開く。
周囲は一面の草原。
隣ではアティがブランケットに包まって寝ている。


(…野営中だったな…そう言えば)


心の中で独りごちる。
久々に…いや、この世界に来てから二度目の過去の夢だ。
それも軍に居たときのとはまた…


「…おや、もう起きたのかい?」


俺の思考を中断するかのように声が掛けられる。
柔らかい落ち着いた声の持ち主だ。


「ああ、ミュラーか…まあな。見張りを変わろうか?」
「いや、いいよ。もうすぐ夜も明けるしね」


彼女の言に、そうか…と答えて俺は燃える焚き火を見つめた。
パチパチと聞こえてくる音と揺らめく赤い炎が、何故か俺の心を満たしていく。


「それにしても、何だかうなされていたけど…夢見でも悪かったのかな?」


柔和に微笑みながら問いかけてくるミュラー。
落ち着いた雰囲気の大人の女性…といった感じだが、騙されてはいけない。
まあ、そんな事を気にしても仕方が無いのだがね…
そういう訳で、俺は素直に回答することにする。


「ん。ちょっと昔の夢を見ただけだ。あっちの世界のね」
「ふふ…君でも感傷に浸ることがあるんだね。少し意外かな?」


ちょっと珍しいものを見れたかな…と言わんばかりに笑顔になる。
失敬な…俺とて無感動でも不感症でもないんだぞ?


「ま、俺も人の子だってことさ。たまには昔の夢を見て感傷に浸っても罰は当たるまい」
「夢か…言われてみれば、ここ数十年は夢を見た事がなかったね…」


おいおい、数十年か…
俺に負けず劣らず、ミュラーも化物じみた存在なのかも知れんな…
いや、それは言うまい。
どんな存在だろうと俺は俺。彼女は彼女なのだし。
しかし、夢を全く見ないとはまた…


「夢も見ないというのは珍しいな。涸れてるのか?」


多少、悪戯心でからかってみる。
決してセクハラではない。


「あはは…面白いことを言うんだね。何なら、また確かめてみるかい?」
「………冗談だ」


サラリ…と避わしてはくれなかったので、こちらが譲歩。
ってか、少し殺気が出てたぞ…おい。
…本気ではなかったという事は分かっているが。


「でも、私から見れば今が夢みたいなものだからかな…夢を見ないのは」


どこか遠い目をして空の彼方を見つめるミュラーには、ほんの少しだけ影が差しているように感じた。
俺には、その想いがどのようなものかは分かりかねるが…彼女もまた、過去に多くの想いを残しているのだろう。


「フッ…こんな話をしたからには、きっと今晩は夢を見るぞ? 賭けてもいい」
「そうかな…まあ、楽しみにしておくとするよ」


こうして俺たちは、夜が明けるまで取り留めの無い会話を交わすのだった。




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑一つの日 夕刻
バーンライト王国 首都サモドア




「おぉ…こうして見ると、随分と久しぶりといった感じになってくるものだな…」


通用門を抜けると、左右を見渡しながらアキラが言う。
数ヶ月前に一度訪れただけなのだから当然といえば当然の反応だ。


「サモドアも昔に比べると随分大きくなったものだね」


ミュラーも懐かしそうに呟く。
彼女としても、ここに何らかの思い出があるのかも知れない。
だが、それは誰にも分からない類のものであることは確かだ。


「ふ〜ん…キロノキロと比べると小さいけど、活気はあるみたいね」
「バーンライトはダスカトロン砂漠の影響からは逃れているからな…マナ資源と人口比の関係で、ダーツィよりは余裕がある」


アルティールの感想にアキラが説明する。
こうして見ると、本当にタダの観光客にしか見えない所が不思議である。


「うちも砂漠の影響を考えないとマナが減る一方なのよね…父様はどうする気なのかしら」
「帝国は法皇の壁で砂漠化を遮っているが…どちらにしろ現状のエーテル技術をどうにかしない限りは厳しいだろうな」
「そうだね…今の傾向が続けば砂漠の拡大は目に見えているからね」


アキラとミュラーは共に、エーテル技術が砂漠化の一因であることを知っていた。
それが、どこから得た知識なのかはともかく、状況に対する危惧は同じなのである。
知らないのはアルティールばかり。
ゆえに彼女は彼らに質問する。


「ねえ、エーテル技術と砂漠化って関係があるの?」
「ふむ。そうだな…明らかに関係がある。砂漠がマナ消失地帯だということは知っているか?」


彼女の質問に質問で返す。
とは言え、回答のための布石でもあるのだが。
アルティールは、その形の良い顎に人差し指を当てながら考えて…すぐに答えた。


「…確か、殆どのマナが希薄になっててスピリットの活動もかなり阻害されるって聞いたことがあるわ」
「その通りだ。アティが言ったとおり、砂漠ではマナが希薄なせいでスピリット達の活動にも支障が出る。
 そして、一般的には余り知られてはいないが、マナというのはあらゆる生命の根源素だ。
 それゆえに、マナが限りなく空疎化した地帯であるダスカトロン砂漠では草木一本育つことは無い」
「ちょっと待って! マナが生命の根源なんて初めて聞くんだけど…それって…つまり…」


何かを続けようとして口篭る。
それを繋ぐようにミュラーが、どこか物憂げな表情で先を口にした。


「アルティールの思った通りだよ。エーテル技術というのは生命を加工して扱う技術という事になるね」
「…よく知っているな。その通りだ」
「そんな…じゃあ、出産率の低下や収穫率の低下も…」
「マナを限界までエーテル化すれば、当然ながら新しい生命の発生は減少する。減少したマナのせいで砂漠も広がる」


アキラの言葉に衝撃を受けたのか、アルティールは黙ってしまった。
エーテル技術…引いては自分達の生活・文化を維持する根幹となるものが原因だったと聞けば、そうなるだろう。
彼の言葉を正しく理解したのなら、その中に潜む真実も理解してしまうのだから。
即ち、砂漠の拡大は自業自得である…と。
まあ、その業は彼女の国だけではなく、この大陸の全ての国に言えることではあるのだが。


「…おっと、残りは後日だな。今日はもう遅くなるし、まずは宿を取るとしよう」


考え込み始めたアルティールの手を取ると、アキラは案内するかのように歩き出す。
後で、そのときの事をミュラーにからかわれてアルティールが赤面するのは、ここ最近の日常となっていた。
ちなみに、美女を二人も引き連れて宿に入る彼を見て、サモドアの若者達が本能的な殺意を抱いたのも日常茶飯事である。




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑二つの日 昼頃
バーンライト王国 首都サモドア 王城 資料室




「…しかし、意外だな。お前が俺を手伝うとは思わなかった」


帝国と比べれば閑散とした資料室でアキラは苦笑しながら言った。
笑いながらも、その目は積まれた資料と報告書をしっかりと見ている。


「意外ですか…これでも帝国の一員として心掛けている心算でしたがね」


書棚のほうから、どこか皮肉気な…聞く者によっては不快感をも感じる声が返ってくる。
そこでは、くすんだ金髪。上半身裸に帝国の紋章がついた外套を着た
変態…もとい、男が幾つかの資料を纏めていた。
男の名は、ソーマ・ル・ソーマ。
大陸に名高き軍師にして訓練士。そして
変態である!


「まあ、仕事され捗れば俺としては、どうでも良いんだが…然るに、そろそろ人形主義では限界な事は悟ったか?」
「…いえいえ、あれはあくまで私のポリシーですからね。私は平凡な人間なので逆らわれるのが怖ろしいだけですよ」


アキラの皮肉に自嘲の皮を被った皮肉で返すソーマ。
いい性格である。
一体どのような経験をすると、このように捻じ曲がれるのであろうか?
それとも、その認識こそが“この世界”の共通認識であるに過ぎないのか。
理由は、まず後者であろう。


「…妖精は純粋だからな…上手く付き合えば自分から尽くしてくれるというのに」
「貴方と私は同好の士ではありますが、方向性が違いますからな…それに私には貴方のように特別な力もありません」


その言葉には、純粋な渇望と嫉妬のようなものが込められている。
それは、そう在る事しか出来なかったが故の心情なのか…


「…私の祖父はエトランジェでした。その血は、母へと受け継がれ、そして今…私にも流れています」


皮肉と自嘲。若干の自己嫌悪を含めた嘲笑を浮かべる。


「人間よりも、ほんの少しだけ力を持ち、ほんの少しだけ魔術を扱えるだけの中途半端な存在。
 来訪者にも妖精にも及ばないにも関わらず、来歴を知られれば追われるのみ…そんな私の唯一の力なのですよ。彼女達は」


独白。誰にも語らず、知られる事の無かった事を彼は呟いていた。


「あの形がお前が望んだ力の形…と言いたい訳か。ま、腐れて何も出来ない者よりは評価に値するがな…」


書類に次々とサインを走らせながら、アキラが返す。
それを聞いて、ソーマは心底驚いたような表情となる。
それも当然か。
スピリットに情けをかけ、彼女達を人と変わらず扱う特異な存在が自身の在り方を否定しなかったのだから。


「これは…まさに意外でしたね。まさか貴方が私を否定しないとは…」
「立場が違えば、そのような事もある。ま、俺の女達に手を出せば容赦無く引き裂いてやるがな」


一通りの記入を終え、書類を纏める。
それを見ながら、ソーマは今度こそ呆れたような…それでも楽しそうな笑みを浮かべた。


「まあ、お互いに事情と不干渉を成立させられるぐらいには理解がある…ということですかね」
「そういう事だ。どうこう言おうが、お前の第1旅団の力は第3旅団のそれに匹敵しているからな。利用価値がある」


本人を前に、暗に利用価値が無ければ認めてやらん…というような発言をするアキラ。
ニヤリと浮かべる微笑は、まるで鮫が笑うかのように獰猛でありながらも、どこか荘厳だった。
ソーマもそれに応え、どこか皮肉気で嘲るような何時もの笑みを浮かべる。
本質的には相容れない在り方でありながら、互いに価値を認め利用し合える関係。
そのスタンスは、ソーマにとっては最も信頼できるものであった。


「では、せいぜい見捨てられないように私の価値を高めておくとしましょうか」
「そうするがいい。それだけの価値を見せれば、お前の求めているだろう力…そのヒントをくれてやる」
「…私の求めるものが分かるとでも?」
「クォーターであるとは言え、マナの素体を持っているんだ…扱えない事は無いと思うのだがな?」


思わせぶりなアキラの発言にソーマは確信する。
この男からなら、自分の求めているものを得られるかもしれないと。


「いいでしょう。実に遣り甲斐のある目標が見えてきましたよ…感謝させていただきます」
「そう思うのなら、心を喰わせて鍛え上げるやり方から変えてみるんだな」
「…ふ、私にも希望と言うものが見えてきた以上…ポリシーを曲げるとしても逆らう理由はありませんね」
「ふふふふふ…」
「ははははは…」



資料室に響く、二者の哄笑。
どこか歪んだ、その声を聞いた者達の間でまたも変な伝説が付くことになるのは言うまでも無い。


“怪奇!? バーンライト王城資料室から聞こえてくる不気味な声”


このせいで、資料室を独りで利用しようとする者が少なくなったとかどうとか…




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑三つの日 昼前
バーンライト王国 首都サモドア




昼前の街中、アキラとアルティールは連れ立って歩いていた。
理由は単純である。
クレリアから頼まれた“例の物(当然だが酒の類である)”を入手するために出た所を彼女に見られたからだ。
ちなみにミュラーは王城に招かれて、剣術師達の話に付き合わされている。


「あ、このペンダント可愛い〜♪ こっちのも捨てがたいけど…う〜ん」


デート気分ではしゃいでいるアルティールに引っ張りまわされながら、アキラは考えている。
これも運命か…と。


(装飾品か…そう言えば、ルー以外はそういうのを持っていなかったな…幾つか買ってやるか…)


このような、意外とマメな所がより事態の混迷を呼んでいるのだが、彼の素なので本人は分かっていない。
ナチュラル・ボーン・ジゴロの本領発揮と言った所であろうか…
そんな彼の心中も知らずに、アルティールは幾つかのアクセサリを見てアキラを満面の笑みで見つめる。


「ねえ、こっちのペンダントとこっちのイヤリング…どっちが似合うかな?」
「お、嬢ちゃん、御目が高いね〜。どちらも俺っちの自信作だよ? いや〜そっちの彼氏も羨ましいねぇ」


店主の親父の軽口を受けながら、彼氏という発言に過剰に嬉しそうに反応するアルティール。
とりあえず否定すべき要素もないのでアキラは何も言わずに装飾品を見比べ始めた。


「そうだな…どちらも良いが、俺が薦めるのはそちらのブルー・アメジストのブローチだな」
「なんで?…少し地味な感じもするんだけど」
「いや、その宝石の色が、丁度アティの瞳の色と同じような色なんでな…それにブローチなら剣の邪魔にもならないし」
「え、あ、あたしの瞳の色っ!?」


微笑を浮かべながら話す、アキラの横顔と(恥ずかしい)台詞に瞬時に真っ赤になる。
店主も、流石に驚きを隠せない。
最早、地で女性篭絡術を発動してるとしか思えない領域だ。
当然ながら本人には、そのつもりは一切無いのだが。


「いや…兄ちゃん凄い事を言うなぁ…でも、言われてみれば確かに似合うな」
「店主の装飾が素晴らしいできだからだろう。一見では地味だが、この精緻かつバランスの取れた銀飾も秀逸だ。
 それに、嵌め込まれているブルー・アメジストのカットも実に良く調和している」
「わはははは。いやぁ、そうかい! そこまで見てもらえると俺も職人冥利に尽きるってもんよ!」


訂正しよう。
彼は女誑しなどでは無かった。
寧ろ人誑しである。
店主も早速、彼の事を気に入ってあれこれ自分の作品の自慢を始めている。


「…ふむ。成る程。…それで価格のほうなのだが」
「これぐらいでどうだい? いや、見る目があるねぇ…特別にオーダーも…」
「分かった。全て買おう」
「毎度っ!!」


そういう訳で、なし崩しに様々な装飾品まで手に入れてしまった。
勿論、誰に渡すという話は見事に隠されている。


「じゃ、アティ…俺がつけてやろう」
「え? えぇぇぇぇぇ!?」


最早、彼女は大混乱。
こうして久しぶりに主導権を取り返しながらアキラは街を散策する。
アルティールは赤くなったり脱力したり、散々アキラにやり返されたのであった。
この事が、より彼の首を絞めるという事実に気付いていないのも相変わらずだったが…




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑三つの日 昼下がり
バーンライト王国 首都サモドア




「ほう…赤い人影…ねえ?」
「うん。まあ、剣術師達から聞いた噂なんだけどね…サモドア南の山地近くの廃城で出るらしいよ」


昼飯時にミュラーが持ってきた話は、良くある怪談のようなものだった。
曰く、街外れの廃城で一晩を過ごしていると“赤い人影”と呼ばれる得体の知れないモノが出るらしい。
曰く、それは死んだ廃城の主であり、夜な夜な生贄を求めてうろついている。
曰く、それを確かめて生きて帰ったものは誰もいない…


「んで…生きて帰ったものが居ないのにどうしてそんな話が出るんだろうな?」
「…バカ? そんなの作り話だからに決まってるじゃない! はい、そういう事で決定!」
「アルティール…なんだか足が震えているけどどうしたのかな?」
「ああ、単に怪談の類が怖いんーーーーーんげっ!?」
「このバカアキラ! 黙りなさい!! あ、あああ、あたしがそんな駄話で怖がる訳ないでしょ!?」


アキラの足をアルティールの踵が踏み抜く。
常人では骨ごと砕けて悶絶するのは間違い無いぐらいの威力が込められていた。
笑い事で済んでいるのはひとえに相手がアキラだからである。


「怖くないなら問題がないね。実は、その廃城の調査をしてもらえないかとの話があってね」


悪戯っぽく微笑んでミュラーが続ける。
どこか幼く感じさせる、その笑みに店内の何名かの男達が赤面した。
そんな外部の動揺を気にせず、アキラが確認する。


「誰からの依頼なんだ?」


やや、声のトーンを低くして聞いた。
彼女の目をみて、ある程度は真面目な話なのだと察したが故の対応。
同じようにミュラーは、今度は小さめの声で返した。
まるで睦言を語り合うかのような様子に、周りの空気が緊張する。
…色々な意味で…


「王妃ラフォス様だね…報酬も出すと言っていたけど、どうかな?」


王妃からの依頼という一言で、アキラは軽く瞑目した。
バーンライト王妃、ラフォス。
彼女は一言で言えば、女狐。或いは切れ者である。
バーンライトがラキオスに潰されて居ないのは、偏に彼女の尽力があるためなのだから。
その彼女の依頼と言うことであれば、そこに何らかの意図が絡んでいるのは明白である。


「なるほどね…内政の布石に使いたい訳だ。いいだろう、引き受けるとしようか」


目を開くとアキラは、にこやかに笑うと頷く。
今度は、店にいる女性達の何名かが赤面していた。
もう、周りの男達は爆発寸前である。


「ちょ、ちょっと! いいの? そんなに簡単に決めちゃって」


我に返ったアルティールが、アキラとミュラーに顔を近づける。
そして火に油は注がれた。


「おい、そこの兄ちゃん…昼間っから見せ付けてくれんじゃねーか?」


そして筋骨隆々。身体に幾つもの傷をつけた歴戦の戦士ですと言わんばかりの男が絡んできた。
どこぞの酒場の店主には劣るものの、威圧感だけは無駄なほど発散されていた。
店の各所で、「やれ! 殺れ! 殺ってしまえ!」と訴えるような視線が注がれる。
ミュラーもアルティールも白い眼で男を一瞥。
アキラはまたか…といったように厭きれた表情を浮かべた。


「何か用かな。少年?」


見事なまでの笑顔に刃物のような殺気を乗せてアキラは言った。
蛇に睨まれた蛙とは、まさに今のような状況か…


「今、ちょっと忙しいから…」


アキラの人差し指と親指の間で、金属製のスプーンがグシャリと潰れる。


「後に…」


潰れたスプーンは、そのままパチンコ玉のように圧縮される。


「してくれるよね?」


そのまま、指弾で弾くと…元スプーンは分厚いエーテル加工の石壁に罅を入れてめり込んだ。
男は、人形のようにカクカクと頷くと、何も言わずに店外へ逃げていった。


「…脅かし過ぎじゃない?」
「まあ、あの彼にも良い経験になったんじゃないのかな」
「お前らな…毎度、あの対応を強いられる俺の気持ちにもなれよ…」


アキラの呟きが謀殺されたことは言うまでも無い。




聖ヨト暦329年ソネスの月 緑四つの日 夕刻
バーンライト王国 サモドア南部山地 廃城近辺




その城は、夕闇の中で黒々とした威容を見せていた。
城といってもサモドアやサーギオスのそれとは趣向が異なる。
何のために、こんな所に存在しているのか…
…その理由すら分かりにくい。
城と言うには小さく…どちらかと言えば、領主の館といったほうが近いかもしれない。


「これは……」


アキラの呟きが流れる風に溶ける。


「また…」


アルティールの呆けたような声が響く。


「何だろうね…」


ミュラーの驚いたような声が流れる。


「…これは、まさか…どういう事だ…何故奴らが此処に居る!?」


微妙な…そして、困惑するかのような表情でアキラは呟いた。




………

……






「それで、アキラは何か知ってるみたいだけど?」


吹き荒ぶ風に乱れ舞う髪を押さえながらアルティールが聞く。
何も言わないが、ミュラーも何か言いたげな視線をアキラにぶつけている。
そのアキラは、風にコートをはためかせながら城を睨んでいた。


「ねえ、何か言ってよ…ねえってば!」


襟首を引っ張ってアルティールが言うが、いつもとは違いビクともしない。
仕方なく彼女は引っ張るのを諦め、逆の方向で攻めてみる事にした。
即ち、背中にピッタリと抱きつく。
男なら誰もが逆らえない絶大な威力を持った攻撃である。


「………」


反応無し。
ちょっと女としてのプライドを傷つけられたアルティールが凹んだ。
そこに、にっこりと笑顔で現れるミュラー。
アキラの正面に回り込んで同じようにアキラを抱きしめた。
後ろにアルティール。
前にミュラー。
世の男性が体験すれば、某拳王の如く“漢立ち”で死ねること確実なシチュエーション。
ところが…


「……済まないが、ここから先は俺一人で行ったほうが良さそうだ」


彼はギャグへの突入を徹底的に拒否したのであった。
何時もの彼ではない展開に、驚きの表情で互いに彼の顔を見上げる彼女達。
その顔は、何時もの彼には無い冷厳たる眼差しをしていた。


「理由ぐらいは聞かせて貰えるかい?」


事情があると見た、ミュラーが真面目な表情をして聞く。
それに一つ頷くとアキラは答える。


「俺の記憶が確かならば…この中には間違いなくD’VAが居る」
「ディーヴァってあれよね? ハイペリアにいるっていう凄いやつ…何で??」


アルティールの言葉に首肯する。
何故…という疑問には答えられない。
何故なら彼にも理由など分からないのだから…


「並みのスピリットやエトランジェでは相手にすらならん…危険な奴だ」
「そうなると…一人じゃ、余計に危険だと思うよ? それに神剣も持っていないのに君一人には任せられない」
「神剣なら直ぐにでも呼べるさ。それに仮にアレだとするなら…外に出られるようになれば手に負えなくなる」
「…なら、アキラ。もし私が、永遠神剣を使えると言ったら?」


ミュラーの言葉に少し考える。
アルティールも驚いたかのようにミュラーを見つめた。


「ミュラーの能力で神剣を持てれば…或いは」
「アキラも…アルティールも…秘密にしてくれるね?」


彼女の目を見て、二人とも真剣な目で首肯した。


「…『完全』よ…私に力を」


…瞬間。永遠神剣の気配が発生し、アキラの『神薙』と共鳴した。
自らの手から血刀を造り出すミュラーを見て、どこか納得したかのような表情をするアキラ。
落ち着きながら、ミュラーの神剣の気配を隠蔽していく。
知らない神剣の気配が近場で発生すれば、色々と拙いことになりかねない。


「先生…本当に神剣を…」


アルティールが呟く。
別に、ミュラーの得体の知れない部分を怖れている訳ではない。
彼女の内に渦巻くのは軽い無力感。
神剣を扱えず、また技術も足りず…満足に二人の力となれない自分への悔しさ。
思わず、白くなるほど拳を握ってしまう。


「…と、なると…むしろアティを一人で残すほうが危険か…」


呟くと、虚空へと手を伸ばす。
何も無いはずの空間がマナの黄金を散らし、空間が割れる。
そこから現れるは、彼が打った神刀。
漆黒を纏う、不変の刃。
『鳴神』であった。


「アティ…これをお前に貸そう。力を引き出せるかはお前次第だ」
「…これって…神剣?」


突然、手渡される刀をまじまじと見つめる。
刀とアキラの両方を視線が行き来する。
そんな、アルティールの迷いや心配を断ち切るようにアキラは、にこりと微笑んだ。


「秘密だ。でも、こいつは必ずアティを護ってくれる」
「………うん。絶対に使いこなしてみせる!」


アキラの笑顔につられてアルティールも何時もの調子を取り戻していた。
虚空から武器が出てきた所などが完全にスルーされている辺り、アキラの非常識さは既に納得済みのようである。


「さて…恐らく、中では中級以下の雑魚が隠れている筈だ。油断はするな…俺と共に入ったら絶対に襲ってくるからな…」
「ふふ。恨みでも買っているのかな…何にしても背中は守ってあげるよ」
「あたしだって足手まといにはならない。だから、アキラ…安心して戦って」


お互いに笑顔で頷きあう。
そして、アキラは最後の確認とばかりに口を開いた。


「最後に。中で人間の少女を見つけたら手を出すな。そいつが親玉だ。あと…敵が不気味だからって怯むなよ?」
「「うん」」


そして、アキラは同じように虚空へ手を伸ばす。
今度は、輝くような黄金の刀が手に握られていた。
言うまでも無く、『七鍵』である。
言うまでも無く、見知らぬ二人の女性の姿にアキラに圧力を掛けている。


【…………………………………マスター?】
(……………)
【………………………今すぐ人化しても宜しいですか?】
(……く、詳しい話は後でする……)
【………………………私を放置して…遊び倒していましたね?】
(……い、いや…落ち着けサラ。放置した訳じゃ……)
【………………………まさか…もう手を付けたなんて言いませんよね?】
(……………)
【まさか、幾らマスターが野獣だからって…そんな…私達と言うものがありながら、また二人も!?】
(…まて、野獣って何だ!? それにサラ達を蔑ろにした覚えはないぞ!?)
【…そして、逆らえないようにあんな事まで…え、私達も!? 待って、そんな酷いっ!】
(ぬおおおおおぉ!? また俺の肖像権が侵害されているっ! おいこら正気に戻れ、アホ剣!!)
【嫌! 許してマスター! そこだけは!? はうああぁぁぁ!?】


彼の内面で、そんな馬鹿なことが行われているとは露知らず。


戦い前の緊張感に包まれるミュラーとアルティールであった。























To be Continued...





後書(妄想チケット売り場)


読者の皆様始めまして。前の話からの方は、また会いましたね。
まいど御馴染み、Wilpha-Rangでございます。


プレジャートリップB 〜バーンライト編〜
あれ? 何だか微妙にシリアス? あれ?
どこぞの迷剣が出ると何故にこうなるのでしょうか?
それはともかく。
何故か、この世界に存在するD’VA。
漆黒と深紅…再び。
謎は謎を呼び始めた…




次回。永遠のアセリア外伝『人と剣の幻想詩』…第ニ章“アキラの同盟国漫遊記C”…乞うご期待。



「……随分と腑抜けたじゃない? 本当に貴方…フェンリル?……」


独自設定資料

World_DATA
装攻騎士(ナイツ)
氣術を習得し、人を超える身体能力を発揮する武装警察。
特殊な機動甲冑に身を包み、チーム単位でD’VAを狩る常人の延長線上の攻性組織。
熟練した一部のナイツの中には単体で中級D’VAに匹敵するものも居る。
一般的なナイツと中級眷属の戦力差は4:1である。
ファンタズマゴリアで言えば、黒狼1匹分ぐらい(笑)


鮮血姫(ブラッディ・ルージュ)
正式な名は、ルージュ・ローゼンブラウ。
血と死を支配する上級D’VA。
素体が吸血種であったためか、破格の戦闘能力を持つ。
万物を切り裂く血刀と、死線を見切り、あらゆるものを殺す能力がある。
その特殊能力のせいか、快楽殺人症である。
彼女と正面から戦えたのは、ケンとアキラのみ。
複製型のディヴァイン・コアを持ち、性交によりコアを犠牲者に植え付ける事ができる。
植えつけられたコアは、彼女の本体が消滅したときに活動を開始し、新たな本体となる。


妖血
ルージュの操る血のスライム。
犠牲者を溶かし、マナとして吸収する。
放置しておくと大変な事になるので注意。


ディヴァイン・コア
D’VAの心臓部分。
これを破壊されると死ぬ。
上級以上のD’VAはコアを破壊されない限り致命傷とはならない。
まあ、しつこく身体を破壊されれば、再生のためのエネルギーを消費して、やはり死ぬのだが。


資料室の怪奇
帝国派の国々の資料室では良く怪奇現象が起きるという…
…単に、変なエトランジェや半裸の変態の仕業だという説もあるが。


人誑し
アキラの代名詞。
まあ、彼だけでもなく世の中にはこのような者は意外と居るらしい。
ある意味ではカリスマと言えなくも無い。
本人には自覚が無い場合が多い。


各国重要人物
まあ、国王とか姫様とか、そんな感じのやつ。
一応、下記にリストアップしてみたりする。


ラキオス王国
国王:ルーグゥ・ダイ・ラキオス
※自分の器というものを理解できない小物。王としてはそれなりだが、策に溺れ過ぎるきらいがある。
王妃:クーレリ・ダイ・ラキオス
※国政にも母である事にも興味が無い貴族の女。毒にも薬にもならない。
王女:レスティーナ・ダイ・ラキオス
※後の統一女王。器量・容姿・才覚ともに優れる。

イースペリア王国
女王:アズマリア・セイラス・イースペリア
※うら若い女王。レスティーナとは親友。高い政治手腕でイースペリアの舵を取る。

デオドガン商業組合
キャラバン長:フッシ=ザレントール
※砂漠の漢。一矢報いるためには自爆も辞さないムスリム気質の人間。

マロリガン共和国
大統領:クェド=ギン
※運命に抗う漢。頑固。存在するだけで周囲のハードボイルド属性を+10する異能を持つ。
秘書:ルビア
※大統領の公私での補佐役。だが、彼女の気持ちにクェド=ギンは応えることが出来ない。

神聖サーギオス帝国
皇帝:ウィルハルト・セヅナス・ゼィ・サーギオス(人剣ver)
皇帝:セヅナス・サーギオス(正規ver)
※存在し得ない皇帝。戦士としても皇帝としても高い才覚を持つ(人剣ver)
※仮面の幼皇帝。『誓い』によって操られる只の人形(正規ver)

バーンライト王国
国王:アイデス・ギィ・パーンライト
※臆病者。王としての才覚も気概も無い。
王妃:ラフォス・ギィ・バーンライト
※策謀家。アイデスの代わりに辣腕を振るう。バーンライトの立役者。

ダーツィ
大公:アーサミ・ダーツィ
※国土の砂漠化のせいで、基本的にやる気無し。

公子〜公女は人剣の独自設定。
公子:アーデル・ダーツィ
※ダーツィの後継者。9(9)歳。父親を反面教師にしてシッカリ者に成長中。
公女:アイシャ・ダーツィ
※第一公女。25(20)歳。ふわふわしたハリオン風味のお姉さん。
公女:アルティール・ダーツィ
※第二公女。20(17)歳。ダーツィで最も活力に溢れる暴走公女。

サルドバルト
国王:ダゥタス・ダイ・サルドバルド
※臆病で不摂生な老人。妖精趣味。


漢立ち
我が人生に一片の悔い無し!
…これ以上の説明が必要なのだろうか?




Skill_DATA
※Nothing




Personaly_DATA
※Nothing




SubChara_DATA
ルージュ・ローゼンブラウ/Rouge Rosenblau
身長:158cm 体重:45kg 上級D’VA。銀髪紅眼。Size:77/53/74
知的能力:高い 精神性:感情的外向型 性格:純粋・高慢 容貌:美少女
性別:女性
神剣:無し
年齢:68(外見16)
職業:不明
解説:
血と死を支配する上級D’VA。
素体が吸血種であったためか、破格の戦闘能力を持つ。
万物を切り裂く血刀と、死線を見切り、あらゆるものを殺す能力がある。
その特殊能力のせいか、快楽殺人症である。
彼女と正面から戦えたのは、ケンとアキラのみ。
複製型のディヴァイン・コアを持ち、性交によりコアを犠牲者に植え付ける事ができる。
植えつけられたコアは、彼女の本体が消滅したときに活動を開始し、新たな本体となる。
姉にアスター・ローゼンブラウが居る。
性格的なものもあり、姉妹仲は悪いようだ。
アキラのAMD…“久遠”を欲しがっている。



「お久しぶりですわね…フェンリル」




Eternity Sword_DATA
※Nothing