???


眠っているときに見る夢で…自然とこれは夢だと分かるようなことはないか?
もっとも余が特別なだけという可能性もあるが、あえて問いたいと思う。




……ふむ、お前らにもそのようなことがあったりするのか……結構。




確かに皇帝だからというわけではなく、誰しもそのようなことがあるのだな…


しかし、多少違うところも多い。


夢というものは概ねの所では自分の欲望や抑圧された願望。または経験というものが形を伴って映るもの…
だが、余の夢はそれらのものとは全く違う。
明確に…明瞭に繰り広げられるそれは明らかに我らが世界で行われる事ではないのだから。


永遠神剣。
無数の可能性が散らばり…その数だけ無限に広がる系樹世界。
それらの世界を渡る永遠存在や跳躍者。プレインウォーカーの数々。
それらの存在は悉く強大であり、さながら神の如き力を発揮して世界を賭けて戦う。
幾つもの世界が喪われ、それと同じ数だけ護られ。
消滅しては誕生する。


夢の中では、どうやら余もその一員であったらしい。
辺境世界にも近い世界のそれも宇宙の果てにある我が故郷…
余は、その世界の輪廻を司り…民を…生ける物の魂を喰らいながら強大化する神と戦っていた。




─ウィルハルト・ウルグ・ゼ・リュース・レム・アークミルズ
─ミルズの剣皇…またはウルグの覇王。




それが、夢の中での余の名前だ。
ふむ。今と比べると随分と長い。
高貴な血筋のものは長い名を持っていたという話もあるぐらいだ。
つまり、余は夢の中でも王と呼ばれるべき存在であった…ということになる。








─転








夢が先へと進む。
いつもの光景。光り輝くオーラを纏う神を前に余は進み出る。
吹き付ける風が余の深紅の髪と漆黒の外套をはためかせる。
それでも怨敵の姿からは一瞬たりとも目をそらしはせぬ。


『…偽神、ザリオス・セルク・イルシュ・ロゥ・セヴァール……我が父と我が友……そして我が最愛の妻の仇を殺らせてもらうぞ…』


神に向けて宣言する余の声は冷たく固い。
いや、むしろそう振舞わないと耐え難いのであろう…
記憶に無い過去を見せ付けられる余の心ですら、あれを見ると無限に暗い感情が湧き出てくるのだ。


─憎悪…永遠を誓い合った仲間の悉くを永劫に失ったことへの果てしない憎悪。
─悲哀…生きる意義をも操られ、神の生贄としてのみに存在を赦されている我が民への悲哀。
─憤怒…永遠者であるがゆえに神を気取り、全てを自らの一部とするために喰らうだけの存在に対する無限の怒り。
─渇望…ゆえに目の前の偽神を討ち、全てを解放することを求める…自らの何を失おうとも。


『……無駄な努力を続けに来たか……如何に汝が幾度我を斃そうとも……同属である我を完全に消滅させることはできぬ…』


絶対唯一を気取り、それゆえの憐れみでもって余を見下す。
だが、余もその程度のことでは動じない。


【…主よ…我が最後の主よ…最後の確認をする……本当にあれをやって構わぬのだな?】
(…無論だ。『剣皇』よ…力を解放せよ)


余の相棒…永遠神剣第3位『剣皇』が語りかけてくる。
それに余は頷き、最後の力を使うことを命じた。



【承知した。主よ…お主と共に過ごした2周期は我が生の中でも有意義なものであったぞ…】
(…『剣皇』…すまぬ…余の我侭に最後まで付き合わせてしまったな…)
【フッ…主らしくない台詞だ。気にすることは無い…我も、汝の妻を消滅させた存在を赦しておけぬだけのことよ…では、去らばだ!】
(……ああ、ではな……)


最期の会話を交わすと同時に『剣皇』の意識が消えた。
それと同時に膨大なマナが余の身体に漲り、その内なる属性を悉く反転させていく。
空間に満ちていく反属性のオーラが余の周囲全てのものを次々と金色の光へと昇華し始めていた…
無論、余ですらも例外ではない。


『……な、汝は正気か! まさか………我と共に対消滅する気だと言うのか!?』


焦ったようにこの場から逃げようとするが…もう遅い。
この時空間…奴の神殿に関わる全ての“刻”は虚数転移により既に閉じられている。
いや、厳密には我が『剣皇』の概念子で時間軸をクラインスペース化…即ち“時空隔絶”したのだ。
閉じた空間内の因果で繋がる全てを…自分を含め例外無く原初のマナへと還してしまう最後の…正しく捨て身の技。
転生者の扱う“時間断絶”を参考とし、余が辛酸苦難の果てに生み出した最後の技…
“光をもたらす者”共の手口を真似るのは気に入らないが…選り好みはできぬ。


3位の限界まで溜め込んだマナを全て反転・対消滅させれば……超弦境界励起による連鎖反応でこの時間は原初へと還る。
また、これによる滅びは此処に繋がっている全ての存在・因果…隣接世界にすら影響を与える。
“保険”などという姑息な手段すら無意味となるほどの…窮極の回帰だ。
繋がる未来(可能性)の断絶…原初マナの完全解放…
本来なら世界から切り離された“永遠者”や“転生者”には全く通用しない力。
だが、もし余が相手と共に心中するとあらばどうだ?
目の前の偽神の神名ごと対消滅してしまえばどうだ?
この世界に繋がっている隣接世界、此処から派生する可能性の全てを巻き込んででも…余は奴を仕留めねばならぬのだ。
例え我が身を永劫に失おうとも…必ずや!


『…手遅れだ。偽神……既にこの空間全てを侵食させてもらった…逃げ場は無い。余と共に完全に消滅してもらうぞ……』


全てを光へと変換しながら余は近づいていく……時間は無い。
既に余の身体すら半ばが昇華されている。
余の裡にある守護の龍も、余の神名も全てが光へと昇華していく。
もはや止められず…最終崩壊は間近。


『や、やめろ……近づくな! この虚数の海で……今の汝と我が近づけば…………』


愚かしい…分かっていて余はそれを行おうとしているというに…このようなモノに我が妻は喰われたと言うのか……
九番世界の守護……■■■■■の使命を投げ打ってまで遂げるべき復讐の相手がこれか……
苦笑に顔を歪めながら余は呟いた。


『さて、余の目的を果たすには…それしかない故にな……』


『剣皇』の刃が偽神を貫く。
その瞬間、無音の衝撃を伴って光が爆発した。
失われた過去も…届くべき未来も、余も奴も…全てが光となって消失する。
この世界に隣接する全ての世界が事象衝突により原初のマナへと還っていく……
世界外や狭間からこの光景を見れば…さぞや美しい滅びであったことであろうな……









─夢は終わる。








この日、“事象系樹”の一つ…呼び名も知れぬ九番基幹世界は内包世界の半数を失い…全ての“刻”から隔絶された…





以降、現在に至るまで九番基幹世界に“渡る”ための全ての<門>は封じられたままとなっている……





そして神名を失い、消えるべき定めであった余は如何なる因果か…この八番世界の果てで新たに“人間”として生を受けている……









永遠のアセリア
The Spirit of Eternity Sword

〜人と剣の幻想詩〜

第二章
“Oath and Emperor”
ACT-1

【日々是訓練也】
- Go ahead,make my day? -




聖ヨト暦329年アソクの月 緑三つの日 未明
帝都サーギオス 皇帝の自室





「む…ぅ……また、あの夢か………」


ベッドの上で目覚めた余は水差しから水を飲む。
時刻は明け方…太陽すらまだ昇っていない。
まだ起き出すには早い。
が…なんとはなく寝る気にはなれずに余は外套だけをまとって中庭へと足を運ぶ。


─ビュッ…ヒュン! シッ…ヒュッ!!


月光に照らされながらそこでは先客が刀を振っていた。
目に見えぬ線をなぞるかのように一定の刃筋を繰り返し…気になるのか途中で何度もやり直す。
その度に目に見えて刃筋は美しく、無駄なく洗練されていく。


「………ふむ……見事な剣舞だな……」


思わず漏らした呟きと同時に、刀が鞘へと納まる。
月下にて白刃を振り続けていた男は音もなく片膝をつく。


「…これは陛下…御見苦しい所をお見せ致しました」


慇懃に言ってくる…が、余には分かる。
これが奴なりの気遣いなのだ。


「…フ…良い。それに気にする必要は無い。最早、この国で余に次いで力をもつお前が余に必要以上に気遣いを見せる必要は無い」
「……やれやれ……それなら気にしないことにするぞ? …で、どうしたんだウィル?」


許しさえ出ればこれだ。
この男の名はアキラ。我が帝国のエトランジェ。
顔は美女のようだが、れっきとした男だ。
化粧をさせてドレスを着せ、ついでに笑顔で黙らせておけば女神と言われても納得するであろう。


「……クッ…」


想像して思わず忍び笑いを漏らしてしまった。
すまぬ…余は嘘をついた。
この男の眼差しと皮肉げな口元を見て女性と思える奴はおるまい。
それに鍛え上げられた肉体と程よい長躯は女性としてみるには余りに無理がある。


「………今…すんげぇ失礼なことを考えていただろ……?」


憮然とした表情を浮かべるアキラを見て…夢に見た親友を思い出す。
もう、恐らくは二度と巡りあう事すらない遠い過去の日。
あれが本当に余の記憶かどうかは分からぬが…奴を見ていれば、どこか心が温かくなるのだ…


「いや…すまぬ。お前を女装させればどこぞに姫として紹介しても使えそうだと思ったのだが……すぐ無理だと思ってな……ククッ…」


難しげな顔で何かを暫し考え……嫌なものを見たかのように渋い顔になる。


─ゴンッ


「……殴るぞ……」
「…アキラよ……殴ってからそれを言うのはどうかと思うぞ?」


頭が殴られた痛みを訴える。
が、それも心地良い。
余は生まれて以来、王として育てられ王として扱われ…直接に当たってくれる者はいなかった。
…だが、今の余にはこやつがいる。
時には教師のように。時には悪友のように。時には余の刃として…
ゆえに余は、泰然と構え続けることができるのだ。


「まあ良い。とりあえずは先程の剣舞を続けよ。どうにも眠れぬのでな…どうせならさっきのあれを見ていたい」
「…まだ完全じゃないし…正直、見せるためのもんじゃないが……ま、好きにしてくれ」


そういうと再び刀を構える。
持っている剣は、彼が鍛冶師に頼んで自ら打ったと言う刀らしい。
なんでも最初に使っていた黄金の神剣は別の事に使っているとのことだが…


─チキッ……フヒュヒュヒュッ! シュッ! ヴァッ! ヴァヴァッ! キンッ!


再び刀を振り始める。
ブラックスピリットを髣髴とさせる居合いの動作から鞘に納めず、ブルースピリットのような剣撃へと…
目に見えぬ相手を仕留めると同時に血振りを行い、自然に鞘へ…
その動作をひたすらに繰り返す。
一つも動作がずれぬよう、全てが同じ刃筋を通るよう…無数に繰り返される修練。


─チキッ………ッッ!!


動作が変化する。
先程の剣舞が基本的な修練…技巧と精妙さを重視したものなら、今のそれが意味するものは必殺だ。
先に行われていた剣舞も目に止まらぬ程の速度であったが、今のこれは明らかに意味合いが違う。
居合いに似ているが…神速を超える速度で振り抜かれた刃は……無音・無風であった……
少しでも戦いの技に携わる者であれば…その異常さに背筋が寒くなるであろう事は想像に難くない。
余にも、それが人外の魔技であることだけは分かる。


─チキッ………ッッ!!


繰り返す。
どうやらアキラはこの技に、全く納得できていないらしい。
なんとも貪欲なことだ…


「……だめだな……“入り”が甘い……力も半数は逃げちまってる……どうにも経験不足だな…」


…これでダメだという…
彼の行う技の完成形がいったいどの様なものなのか…多少興味がでてきた。


「アキラよ……余から見れば十分過ぎるほどだと思うのだが……お前の技とはどのようなものなのだ?」


一瞬動きが止まる。
暫し考えるように沈黙する。
しかし、すぐに口を開いた。


「……近くて遠い世界。“幻像”の名を持つ剣聖の技が一つ……<桜花幻影の太刀>ミラージュ・ブレード
 …神名宿す刃は神妙にして無明。無音にして無風。故に全ての力は戻らず失われず…触れしものを悉く血桜へと帰す魔剣也…
 桜花の幻、その身に宿したくば心に神を宿すことより始めよ…心に神観えらば斬る前に斬り終える事を求めよ…是即ち奥義也…」


─チキッ………ッッ!!


余の目でも追えぬ白刃…振り抜かれた刀を見て、初めて技が終わったのだと理解できる。


「…一見、完璧に見えるが…まだ神妙の極めには届いてない。入りも甘いから、勘の良い奴には避けられちまう。
 その上…力も数割が逃げてるから、敵に当てた瞬間…ヘタすりゃ反作用で俺も敵と一緒に木っ端微塵になっちまうな……
 っていうか斬る前に斬れって言われてもなぁ……無茶を言いやがるぜ…異界の達人様は……」


─チキッ………ッッ!!


繰り返される。
幾つか余には理解できぬ単語も混じっていたが…やはり魔技であることには変わりないようだ。
数度だけ繰り返してアキラは刀を鞘に戻した。


「があ〜! ダメだ! 流石に知識として得ても、使いこなすのには長い経験と熟練がいるか……くそぅ……」


心底残念そうに大地に仰向けとなる。
休憩に入ったのであろう。


「ふむ…終わったのなら茶に付き合え。余は久々にお前の淹れるハーブティーを飲みたいぞ」
「ああ、構わん。どうせ今はこれ以上伸びそうに無い…この際、息抜きでもするさ…」


軽く身体を解し始めるアキラを見る。
それを見ていると、どうにも余も身体を動かしたくなってくる。
が…朝から兵士やら廷臣に文句は言われたくない。
黙って終わるのを待つ。


「よっしゃ…それじゃ行くか」
「うむ…では後に余の部屋に来るがいい」
「へいへい…」




そして余の1日がまた始まる。




聖ヨト暦329年アソクの月 緑三つの日 午前
帝都サーギオス アキラの自室



俺は自らの机の前に座って書類業務に集中していた。
将軍の座について二ヶ月。
俺は恐るべき事実に直面している。


「………なんで、他の将軍は全く仕事をしてないんだよ………」


そう。今、俺が呟いたとおりの事実だ。
奴らは自分の権益と遊興にしか興味が無いらしく、軍務や内務は殆ど放置…政策にすら興味が無い。
無能を通り越して、いっそ清々しくもある。
そりゃあ…ウィル……もとい、陛下も苦労している訳だ。


「……っていうか…何だよこのエーテル配分の杜撰さは……内務規定も軍規も帝法すら杜撰そのものじゃねーか……」


帝国…如何に最終権限が皇帝にあり、全てを皇帝が行う事が可能だといっても…陛下が全てを把握している訳ではない。
見れば見るほど内部の腐敗具合と派閥構造が浮かび上がってくる。
軍部と政治部そして研究部の足並みさえ微妙だ。なんていうか……そう、好き勝手に動いている状態だ。
よって、俺はその辺りの権限と意志を統一すべく忙しい日常の合間にこれを行っているのである。


一度、帝都の様子なども(内密に)視察したことがあるが…正直アレだった。
正に消費することに慣れた身勝手な現代人と同じ病に罹っているような様相だ。
自分達の楽な生活さえ保障されていれば、国が何をしていようとも全く興味を抱かない。
戦争等に関しても自分達に被害が及ばないものだから気楽なものだ。
スピリットに対する考え方も、腐れきっている。
正直なところ、仮に外出や休暇といったものが認められたとしても…俺の隊の連中を外出させたいとは思えない。
つい先月なぞ、非合法にスピリットを集めて違法な風俗をしていた連中を発見したので取り合えず一斉摘発してやった。
流石にルーの親父さんのような連中ではなく、その扱いも酷いもので正直そのことは余り思い出したくは無いんだが……
ちなみに保護したスピリットはセラに預けて再教育させている。
ソーマやネツァーに預ければ元の木阿弥よりもなお悪い結果になることは目に見えていたしな…
…その辺りの苦労ぐらいはしてやるべきだろう。


─カリカリ…


部屋の中に俺のペンの音だけが響く。
……ワープロが欲しくなるのは…俺も現代病に罹っているがゆえなのか…


─コンコン


丁寧なノックが響く。
…確か…来客の予定は無かったはずだが…


「開いてるよ」
「…失礼します。アキラ様、紅茶を用意してまいりました…」


サーギオスの女官が入ってきた。
女官と言っているが…要するにメイドのようなものだ。
やはり皇帝やら王族ってのは、そういう辺りに何らかの思い入れのようなものが存在しているらしい。


「……何だラハっちか……」
「……ラハッチではありません。ラハーチィです」


憮然とした表情で俺の前に紅茶を置く。


「また毒入りかい?」
「はい。いつもの方々のご命令ですので」


苦笑しながら紅茶を口に運ぶ。
無味無臭。常人であれば数分以内には死亡確定の毒が確かに含まれている。
だが毒素なんぞは、本質的に俺には通用しない。
永遠神剣だから…というだけでもなく、耐毒訓練と『ブラック・ドッグ』隊員なら誰でも受けているナノテクの恩恵だ。
身体に取り込まれた毒物は片っ端から無力化されていく。


「……うん。毒は抜きにして、相変わらず美味い紅茶だ」
「ありがとうございます」


そうそう。彼女はラハーチィ。
メイドの格好なんぞをしているが…これでも有能なスパイである。
まあ、俺の同業とも言えるな。
スピリットに家族を殺されたという何とも因果な経歴の持ち主で…今でもスピリットやエトランジェを憎んでいるらしい。
最初なぞ夜伽とか言って迫ってきた上に、いきなり刺されかけて驚いた。
勿論その後は、強制的に酔うほどのマナを注入して…気絶するまで責め抜いてやったのだが。
…うむ。それは別の話だ。


「…しかし連中も懲りないねぇ…いい加減に無駄だって気付いても良さそうなものなんだが……」
「……あの方々は自分の都合でしか物事を判断できませんから」


自らの仕える者を散々に扱き下ろす発言に俺はまたも苦笑を浮かべる。


「辛辣だな……」
「お褒めに預かり光栄です」


しれっと言う。
最初に比べると随分変わってくれたものだ。


「…そろそろ本気で俺の側に来ないか? そろそろ連中の余命も長く無いぞ」
「………申し訳ありません………」


本気で誘ってみるが敢え無く断られる。
本当に申し訳なさそうな表情をしている所を見ると…やはりまだ葛藤があるのだろう。
俺は嘆息して諦めた。


「残念だな……ま、そのうち気が変わってくれることを期待しておくよ」
「………はい。それではそろそろ失礼致します」


洗練された所作で一礼すると彼女は去っていく。
結果の報告にでも行くのだろう。
彼女の報告を聞いて真っ赤になっている連中の姿を思い浮かべ俺は失笑してしまう。
ま、今のうちだけだ……好きにさせておくさ。




聖ヨト暦329年アソクの月 緑三つの日 昼前
帝都サーギオス ???



「しかし…これはどういうことなのだ!」

「まあまあ……落ち着きなさい」

「これが落ち着いていられようか! 戦えば帝国でも無双……毒や謀殺すら通じぬとあらば…我らの未来は無いぞ!」

「如何なる手を使ったものか……忌々しいことに…奴は陛下にも気に入られている…」

「我が配下の妖精達も、影では奴の所へ移りたがっているという話…何とも恥知らずな…」

「気に入りませんな…妖精とは人に従順であることが美徳であるというものを…」

「だが、これは実に由々しき事態ですぞ?」

「………ふむ…奴は本当に“エトランジェ”なのか? 『誓い』も持たず、伝承にすら無い神剣を扱う…」

「「………………」」

「無駄な時間は使うべきではありますまい……それにいざとなれば殿下には退位して戴けばよい……」

「ふむ…それに奴の持つ妖精の数は5部隊も無い……我らが力を結集すれば排除できぬこともあるまいて」


(………どこまでも愚かしい方々ですね……彼に泳がされている事も知らずに………)


「ふふふ…では我らの輝かしい未来のために…」

「「我らが未来のために」」




─暗転




聖ヨト暦329年アソクの月 緑五つの日 昼
帝都サーギオス スピリットの食堂




扉を開き、アキラは食堂の中へと入る。
既に下層の兵士や一部の騎士からは絶大な支持を得ているアキラではあったが、食堂に入るたびに敬礼されたり周りが緊張するのには辟易していたため食事は常に自室かスピリットの食堂で摂ることに決めていた。
アキラが内務や法整備を行い始めて以来、スピリット達の衣食住に関する部分はかなり改善されている。
スピリットでも、ある程度の私物を持つことができるようになり食事の質も向上。宿舎には大浴場まで作られている。
当然、基本的には公正であるアキラは、スピリットだけでなく下層の兵士や騎士達の処遇も大幅に改善していた。
その分のエーテルや資金は無駄な既得権益と必要の無いエーテルを使う上流層の特殊法を改定することで賄われていた。
明確な証拠書類と改善で得られる利得等、諸要素を理路整然と語るアキラの言を皇帝が認めたための結果でもある。
当然ながら既得権益を失う側からは猛反発がでたが、アキラ一人の価値には及ばず仕舞い。
それもあってアキラは上級貴族や貴族系の騎士には蛇蝎の如く忌み嫌われている。
それらの政争に自分を支持してくれる兵士や騎士を巻き込むのも気に入らず…アキラはここに来るのだ。


自分の血統を無意味に誇るものほどスピリットには近づきたがらないゆえに。


「あら、アキラじゃない。やっほ〜元気ぃ?」
「……アキラ様、今日はこちらでお食事ですか?」
「アキラ様…うふふ…今日はご一緒ですわね」


既に食事に来ているらしいクレリア・ノエル・フレイアが声をかけてくる。
それにアキラは片手を上げて「よう!」と答えると、カウンターから配膳された食事を受け取った。


「クレリアにノエル、そしてフレイアか…他の連中はどうしたんだ?」
「…まだ、アキラ様の課題を終えていませんので…」


ノエルは冷静に言いながら、昼食に混ざっているリクェムを的確に選り分けていく。
ほとんどの事をそつなくこなす彼女の唯一の天敵が、このリクェムだった…


「…ノエル……まだリクェムを喰えないのか……」
「………苦いのは…嫌いです」
「…別の苦いのは好きなのにね〜」
「…私もアキラ様の熱くて苦いのが欲しいですわ〜♪」
「……………クレリア達の冗談はいつも笑えません…」


早速、クレリアとフレイアがノエルをからかい始める。
無表情で…微かに上気して言うノエル。
アキラは流石に突っ込む気にもなれず黙々と食事を続ける。


なお、期待した読者諸氏には申し訳無いが…ノエルが好きな苦いものとはアカスクのことである…
アキラは一度、楽しみにしていたアカスクの半分以上をノエルに飲まれて半泣きになりかけた経緯があり…それ以来…酒の管理は厳重にしている。
ちなみにクレリアはアキラと同格の酒豪でよく一緒に飲んでいるところを見られている。
フレイアに関しては……まあ台詞だけを聞けば非常に危ない気がしないが…恐らく気のせいだろう。


「しかし…セラやウルカも来てないのは解せないな……彼女達なら苦労するほどのものでもなかったと思うんだが…」
「そりゃあ、そうよ〜。まだ終わってないのはライカとフェリスとセシルだけね。他の娘達はまあ…監視兼教師ってやつよ」
「……交代で食事をするということになりました」


報告を聞いて微妙に渋い顔になるアキラ。
流石に成熟したスピリットに上級教育や高等戦術理論による教導を行うというのは難しいものらしい。
ウルカやセラは部隊長の経験がある以上、問題無かった。
クレリアやノエル。フレイアも、その辺りは非常に優秀。
サラは記憶力に分析力が尋常では無いし、ルーテシアはリューンダイクの教育のお陰で非常に知力が高い。


「……なるほどな…まあいつもの話な訳だ……」
「そゆこと♪」
「まあ…ライカはあの通りの性格ですし…フェリスにセシルはまだまだですから…」


クレリアとフレイアが同意した。


「それにしても…次からノエルの課題はリクェムの克服にするべきかな……」
「ッッ!! アキラ様……貴方は…私にこの…あくまの植物を食べろというのですか…?」


アキラの一言でビクッと震えて、何とも困ったような表情を浮かべる。
手に持つフォークがカタカタと震え始める。
目は嫌そうにリクェムを見つめていた…


「ああ……そんな顔をしているノエルも……なんて可愛らしいのでしょう…できる事なら昼食はノエルにしてしまいたい…」
「はいはい。バカなこと言ってないで、そろそろ交代しに行かないと怒られちゃうわよ?」


ノエルを見て一人悶え始めたフレイアをクレリアが引き摺るように連れて行く。
それを機とばかりにノエルも席を立つ。


「ごちそうさまでした。それでは私達は交代に行かねばなりませんので……」
「………うまく逃げたな………」


ピクッ…と引き攣った笑顔を見せながらノエルが後ずさっていく…
そのまま脱兎の如く逃げ去って行くのであった。




聖ヨト暦329年アソクの月 黒ニつの日 午後
帝都サーギオス 第8訓練場




「よぉし……では初めてもらおうか……」


俺の言葉にスピリット達は迅速に相方の前に並んでいく。

ウルカとセラ。
ライカとクレリア。
フレイアとノエル。
フェリスとセシル。
ルーテシアとサラ。

これが最近の訓練で最も多いパターンだ。


ウルカは技術的にはほぼ完璧なため、防御の巧いセラと訓練させて互いの更なる技量向上を図る。
ライカとクレリアは思考戦術をさせるための組み合わせだ。レッドスピリットとブルースピリットの組み合わせというのも狙っている。
フレイアとノエルは同属性ゆえの技量練磨を行わせる。防御力と攻撃力の双方を練成するためだ。
フェリスとセシルは…まあ、経験のためだな。お互いに経験不足が否めない以上、それぞれの欠点を突きあってもらう。
ルーとサラに関しては特殊だからなぁ……何だか違う事でヒートアップしていきそうだが……監視には気をつけよう……


「内容はいつも通り。まずは攻撃側と守備側に分かれろ。3分単位で攻守交替! 10セット終了したら休憩だ! では始めッ!!」


俺の掛け声と共に、一斉に動き出す。
たちまち訓練場に剣撃の音が鳴り響く…




………

……






「って! ライカ! お前はもう少し考えろ!! 突撃と力ばかりが剣技じゃねーぞ! 何のためのダブルセイバーだと思ってんだ!?」
「はぁ…はぁ…こ、こっちだって全力でやってんだよ! 大体、どうしろってんだ! それに明らかに相性が悪ぃだろ!?」
「攻めるなら敵の武器ごと破壊する気で行け! 防御を崩すんじゃなくて防御を破壊しろ! 相性の問題では無い!」
「くぅぅ〜〜…アキラ…お前は鬼だ! 悪魔だちくしょーーー!!」
「フ…褒め言葉と受けておこう……ってクレリアも防御を障壁だけに任せるんじゃない! 見切って刃の軌道を逸らすようにしてみろ」
「はいは〜い♪ 了解〜♪」
「ライカ!! 言ってるそばから忘れてんじゃねぇぇぇぇーーー!!」
「……し、死ぬ……オレは真面目に死ねる……」




………

……






「さあ……ノエル? 私の胸に飛び込んでいらっしゃい……♪」
「………………嫌です」
「…おい…そこの魔乳と並乳……もう少し真面目に訓練しろ……」
「いやですわ……そんなに正直なこと言わないで下さいませ♪」
「…………アキラ様……私は今…精神的苦痛を感じています」
「……ノエルはリクェムで特別訓練したい……と。ふむふむ……」
「さあ! フレイア! 行きますよッ!!」




………

……






「リープアタックですぅ〜!」
「わわっ……ひゃっ!?」
「セシル! 避けるときに目を瞑るな! 2撃目で死にたいのか!! ハイロゥとシールドも上手く使え!」
「あ、あわわ…アキラ様ッ!?」
「隙ありですぅ〜!」
「は…はうぅぅぅぅ!?」
「…………セシルは精神訓練からやり直しな?」
「ぁぅ……」




………

……






「んっふっふ……サラ……ボクのほうが勝ったら……今日の夜伽はボクに譲ってもらうよ…」
「うふふふ……ルーテシアさん…もう奇策は通じませんよ? …それより私が勝ったら……分かっていますよね?」
「いいよ? そのときは秘伝の技を教えてあげても……」
「「んふふふ…(うふふふ…)」」
「…どうでもいいからさっさと始めんかあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「「ごっごめんなさいぃぃ〜!?」」




………

……






「ふむ…流石にウルカとセラには言うべきことは無いな…」
「……恐縮です」
「…まあ当然よ」
「よしよし…それじゃ、次の段階だ。鞘が破壊された事を想定して居合い無しでやってみろ」
「…アキラ殿…それは流石に……」
「無いとは言えまい? やっておいても損は無い。最初は様子を見て評価するから試しと思って気軽にやってみろ」
「「はい!」」




………

……






3分間1交代の10セット…即ち60分の基礎戦闘訓練を終えた時にはスピリット達は疲労困憊となっていた…
俺は30分間の休憩と水分の補給を命じて、これまでの成果を検証していく。


…まあ、少々の問題はあれど…基礎技術が身に着いてきていることは確かだ。
後は何名かに絞って個人訓練をした上で…実践を積んでいけば技が実際に身となっていくだろう。


「んむぅ〜……信頼できる訓練士でもいればなぁ……」


思わず呟いてしまう。
流石に一人で全ての訓練を見るのはどうにも厳しい。
集中的に訓練できる訳ではないので…やはりどうしても目の届かない部分が出てきてしまうのだ。


(うーむ……基礎メニューをもう少しマニュアル化して……色別に一人を集中強化…そのまま訓練士として代用する…)


─ふにょん


(……んで、定期的に様子を見て足りない分を俺が補強していく……おお! いいぞ! なかなかの名案だ!)


─たゆんったゆんっ


「……っていうかなあ! フレイア!! 魔乳攻撃は禁止!! 乗せるな! 挟むな! 俺の理性が危ないから!!」
「いやねぇ……ほんの冗談ですわよ? ほら何だか悩んでいたみたいですから。私の愛ですわ♪」


何だか向こうでは若干名が羨ましそうにフレイアを見ていたが…気にしない…気にしたくない。


「ね、ね? サラ…大変だよ…もっとアキラに揉んでもらわないと……」
「…マッサージですか?」
「違うよ! もう……昔、聞いた話なんだけど…好きな人と愛し合って胸を揉んでもらうと大きくなるんだって♪」
「あ、あああのっ! それじゃあ…あ、アキラ様の御夜伽に行けば…はうぅ…私も行って良いですか?」
「そうだね……せめてセラ姉様ぐらいあれば………」
「……マスター…やっぱり大きいのが好きなんでしょうか……」
「あぅあぅ…む、無視しないで下さいよぉ〜」



あ〜聞こえてない。俺には聞こえてない……訳が無いだろうが!
ひそひそ話しなのに聞こえてしまう自分の聴覚の鋭さが憎い…憎いぞコンチクショウ!
いつの間にかウルカ隊の面々が何かに毒されつつある。
これは由々しき事態だ。
その根源に俺が関わってしまってるのも由々しき事態だ…


考えてもみてくれ…サラ。セラ。ルーですら相当に濃厚なのに…
最大規模で加わる7名…………
…いかん……俺ひょっとして死ぬかも………
アレか? 緊急事態にはオーラフォトンで代用か!?
っていうか、何でデフォでこんな技術が神剣にはあるのか俺に解説してもらいたい。
最近…俺は怖いぞ。
まるで俺のほうが彼女達の生贄になっているような気が……
拙い…本格的に拙いぞ…これ以上ウルカ隊の人員を増やしては拙い!
タダでさえスピリットは美女揃い。その上、特殊な環境のせいか男に対して無防備過ぎる。
もし…帝国の全軍を動かすことになったりしようものなら………



(……………………死ぬ…俺は間違いなく死ぬ…それも乾涸びて死ぬ………………………)



「…アキラ殿?」


ウルカの声で危険な妄想から立ち返る。
危なかった…危うく無限妄想の海に沈み帰って来れなくなる所だった…
いつも清廉で礼儀正しいウルカ(とセラ)だけが救いだ…
…やれやれ…やっといつもの調子が戻ってきた。


「ん…ウルカか…どうかしたか?」
「……アキラ殿…もし宜しければ手前の訓練に付き合って頂けませぬか?」


訓練…ね。
なるほど、まあ確かにウルカの技量からしてみればあの程度でそうそう疲弊はすまい。
それにウルカの超人的な剣技は俺にとっても良い刺激になる。
ゆえに、二つ返事で引き受けることにする。


「構わんぞ。いつもの実戦形式か?」
「はい。できれますれば…そちらで」


微笑を浮かべながら話すウルカ。
やれやれ…随分とまあ、楽しみにされたものだ。
訓練場の中央まで歩き、数歩の間合いを取る。


「例によって、神剣魔法は無しでいいな?」
「…ええ。剣の技を磨くのが目的でありますゆえ…」


そう言って『拘束』に手をかけ居合いの構えとなるウルカ。
俺も、この前完成したばかりの日本刀…『鳴神(なるかみ)』を構える。


は? …普通の日本刀で神剣と打ち合えるのかって?
甘い。某会社の缶コーヒーより甘い。
これは、この世界の人間が使うような飾りだけのモノじゃない。
鋼を精錬したものをエーテル化し、俺自身のマナと竜氣を込め、錬金術と奉納鍛刀によって打ち上げられた…神剣に限りなく近い武器だ。
まあ作成に際しては、あの『偽典』とか言う剣の技術を一部に導入している。
なに? パチモンじゃねーかって? ああ、そうだよ! 悪かったな!!


さておき…『鳴神』には神剣としての機能を全く与えていない…(っていうか、与える必要性が無い)
そして、その余剰分の領域に概念呪賦とルーンによる呪符刻印で一つの効果を付加しておいた。
…それらの意味するところは唯ひとつ…<不変不壊>
これにより『鳴神』は例え高位神剣と打ち合っても折れず…曲がることも無い……はずだ!
まあ、対抗する概念存在とぶつかれば保障の限りでは無いが…それでも特化しているだけに砕かれることはそうそうないだろう。
長くなったが…兎に角、切れ味が鈍ることも無く…決して壊れないということのみに特化した武器だと思ってくれればいい。



ああ、突っ込みは勘弁してくれ。高位神剣なんて辺りには無いし…試せないんだから予測するしかないだろ?



「…アキラ殿、神剣は使わぬのでありましょうか?」
「なに…神剣じゃ無いが…新しく打ち上げた『鳴神』を試したいんでな。それに、『七鍵』を持たずとも俺は十分に戦えるぞ?」


ウルカの問いに、ニヤリと笑みを浮かべて俺は答える。
…まあ自分自身だけでも並みのエトランジェぐらいの戦闘力はあるつもりだ。


「うぅ…私が……私がいるのに………マスターの浮気者〜〜〜!!」


向こうで変な勘違いをしている者が約一名…神剣じゃないって言ったろうが! ほぼ神剣なだけで!
俺はつい叫んでしまう。


「そこっ! 誤解を招くような発言はしないっ!!」
「……今更だよね?」
「そうね…アキラだし…」


ルー…セラ…君達もか? 君達もなのか?
俺はもはや、この路線からは逃れられないのかっ!?


「……まあ、落ち着いて下さい。アキラ殿……今は…今だけは手前を……」
「…ん……あ、ああ…」


発言がどことなくアレだったような気がするが…俺の気のせいだよな?
ウルカは既に、闘いの喜びに気を昂ぶらせている。
これ以上待たせるのも酷というものだろう。


「………来い!……」
「……参ります……」


互いに黒き疾風と化し、俺達は剣を交え始めた。




………

……






─キンッ! キシュッ!! キキンッ!


刃が空を裂き、互いに噛み合い涼やかな音を立てる。
アキラとウルカの剣腕は、ほぼ互角であり互いに決め手を欠くままに舞い続ける。
居合いで痛打を与えるべく振るえば、それは刹那の見切りによって反撃へと転じられ…転ずれば同じく返し刃をもらう。


─チキッ……キキキキィン!!


距離を見切ったウルカが神速の居合いを連撃で放つ。
入り・抜き・返しの全てが無拍子で行われる正に神業の居合い。
如何なる速さをもってしても、抜かれた刃を捉えることは叶わず…それゆえに受けるきることが不可能な超連撃。
アキラは無理に受けずに螺旋を描くように居合いの死角へと逃げ、構えを変える。
神速の居合いを前に逃げ続ければ、いずれは追い詰められ致命の一撃をもらうことは必定。
ゆえに即時に次の手を打つ。


「……フッ! ハアッッ!!」


両手で大上段に構えた『鳴神』が一呼吸の1万分の1…即ち「毫(ごう)」の速度で振り抜かれる。
弧月を描く刃の先端が僅かに音速を突破し、空間に衝撃波を疾らせた!


─ヴアァッッ!!


「…これはっ!」


突風が砂塵を巻き上げ真空の衝撃がウルカを襲う。
堪らずハイロゥを展開し、シールドを張り巡らせる。
衝撃波の通過に慌ててウルカ隊のスピリット達が散らばった。


─ビッ!


一瞬…そう、まさに一瞬…奪われた視界の中でウルカの首筋には『鳴神』の刃が当てられていた…


「………参りました………」
「勝負あり…だな? やれやれ…これでやっと5勝5敗か……」


お互いに武器を下ろし、礼を行う。
アキラとウルカの模擬戦の時には必ず行われる一種の儀式であった。


「…また腕を上げられましたか? 先週よりも刃筋が整っておりましたが…それにあの疾風の剛剣…お見事です」
「そりゃ、負け越しのままだと悔しいからな…連日、早朝から自主的に訓練させてもらったよ。
 それよりウルカも最初に比べると恐ろしい程に反応速度が上がっているよな? さっきの居合いは正直危なかった……」
「…いえ、手前などまだまだ……もし、そう感じるのでしたら、それはアキラ殿の訓練の成果でありましょう」
「ははは。言葉通りに受け取っておくよ」


照れたように言うウルカ。
笑顔で互いに健闘を称え合う。
だが、笑顔ではいられない者達もその場にはいた……


「ちょっと…アキラ…それにウルカ様…健闘を称え合うのは良いのですけど……これを見てどうにも思わないのかしら?」
「「あ…」」


両名が同時に絶句する。
アキラが最後に放った一撃は、見事にセラ達を砂塗れにしていた……
汗で濡れる髪や肌に砂塵が張り付いて何とも居心地が悪そうである。


「これは…つい失念しておりました…申し訳ありませぬ」
「わははは…すまんすまん。それじゃ、午後の戦技訓練は終了。全員、風呂に入って身体を休めておくこと。休むも訓練だ」


アキラの台詞に若干名がワッと沸き立つ。
見た目がそうでなくても実際には人生経験は短い。
少女達を微笑ましく見守りながらアキラは誰一人として失いたくは無いものだな……と思っていた。




聖ヨト暦329年アソクの月 黒四つの日 夕刻
帝都サーギオス 皇帝の部屋




「……以上だ。これが施行されれば、実質的に浮くエーテル数は最大規模で現状の3.27倍になる」
「……うむ…しかし、3.27倍とはな……それほどに浪費しておるか…」


俺の報告に難しい顔をして答える陛下。
まあ、実質的には浪費というよりは無駄な溜め込みだ。


「…浪費というよりは私腹目的の溜め込みだな。全く動いていないエーテル資源を調査した結果だ」
「ふむ……それにしてもこの名簿…錚々たる顔ぶれだな…連中も黙っていまい」


どことなく渋い顔で呟く。
もっともな事だ。渡した資料の一つである名簿には帝国でも名立たる貴族達の殆どが列記されている。
このエーテル関連の改正法が成り立てば、ここに記されている全ての人間は不利益を被るのだ。
連中は自分に降りかかる不利益というものを決して許容できない。
強引に事を進めれば…最悪のところでは内乱が起こり得る。


「…ま、どうするかはウィルが決めればいい。どちらに決めても俺はそれに従う」
「……数値を2倍ほどに抑えてみるか…その上で従えないとなるなら……分かっておるな?」


陛下の言葉に俺は軽く肩を竦める。
言わんとすることは勿論、理解している。


「元々、第3旅団というのはそのための部隊なんだろ? やると決まればさっさと殺らせてもらうさ」
「うむ……おお、そう言えば第3旅団と言えば…スピリット達はどうだ? モノになっているか?」
「そうだな…戦闘能力で言えばかなりのレベルに達している。だが戦術、特務、指揮、内務を全てこなせるのは…まだ2名ぐらいか…」
「……お前は随分な完璧主義者だな……」


呆れたように言ってくる。
今更ではあるが…そんなことは自分でも良く分かっている。
だが、俺の求めているものは命令を実行するだけの戦闘機械では無い。
状況を的確に汲み取り、的確に判断し、己と戦友を護り、助けることのできる百戦錬磨の兵士だ。
ゆえに多少、厳しくなろうとも俺は多くの教導を行うことにしている。


「フ…何ならウィルも一緒に鍛えてやろうか? そうだな…訓練後には皆が一緒に風呂に入ってくれるかもな」
「なぁっ!? ば、ばばばば、馬鹿なことを申すでないっ!! 余には生涯一人と心に決めた女性(ひと)がおるのだっ!」
「ほほぅ………生涯一人…ね? これは意外なことを聞けたな……」
「む………」


俺の軽口に王者の威厳も無く狼狽した陛下は瞬時に口を噤む。
その辺りは流石としか言いようが無い。


「では、このぐらいで退散するとしよう…何かあれば俺を呼んでくれ。それから不穏な気配を感じても教えてくれ。
 万が一…ってこともあるから…その場合にはスピリットを夜警につけてやる」
「うむ…………言っておくが…夜伽などは要らんぞ? 念のためだが…」


俺の言葉にふと思い出したかのように付け加える。
ははは…冴えてるな。もう俺の悪戯心を見抜いていやがる。


「ちっ…読まれたか…」


軽く邪笑を浮かべる。
それを見て「やはりな…」とばかりに嘆息し、ウィルは空っぽのティーカップを俺に投げつける。


「ええい! お前なぞ、さっさと仕事にでも戻るがよいわ!」
「わははははは♪」


投げつけられたティーカップを軽やかに受け取る。
俺は笑い声を響かせながら部屋を出た。




聖ヨト暦329年アソクの月 黒四つの日 深夜
帝都サーギオス アキラの部屋




─コンコン


ノックの音に俺は格闘中の書類から目を離す。
こんな深夜にいったい誰だ?
今日は忙しいから誰も来なくて構わないと言っておいた筈なんだが…
知覚範囲を若干拡大する。


─範囲内数値化完了。不要情報を自動削除。
─10.23m前方にマナ構成体反応1。
─各種数値情報を既存のデータと照合。近似値3。
─情報子検証。全方向一致。
─概念子検証。全方向一致。
─対象確定…ルーテシア・レッドスピリット(99.97%)



「…ルーか? 扉は開いてるぞ」
「…うん」


扉を開けて入ってくる…手には何故か自分の枕を持参している。
正直、俺は少しばかり辟易していた。
全く…この忙しいときに…
書類に目を通し、要所要所に自分のサインを入れながら対応する。


「今日は忙しいって言っただろ……何か用なのか?」


自然と冷たい言い方になってしまう。
が、ルーは俯いたまま動こうとしない。
視線を向けると……ルーは無言で涙を溢れさせていた。
いかん…流石にキツい対応だったか…


「あ……ごめんな…別にそういう意味で言ったんじゃないぞ?」


思わず立ち上がって、ルーに近づく。
ルーは首を振って涙を拭い、慌てて笑顔を浮かべる。


「ご、ごめんね…やっぱり何でもないの……邪魔しちゃったよね? ボク、自分の部屋に戻るから…」
「バカ! こんな時間にこんな顔して来ておいて何でも無い訳がないだろう…」


ゆっくりとルーを抱き寄せる。
するとルーは、押し殺したような声で嗚咽し始めてしまった。
俺の胸元に熱い雨がポツリ…ポツリと染み込んでいく。
嗚咽の合間には「…姉様……父様…」という言葉が混じっている。
それを聞いて俺は何故ルーがこんな時間に急にやってきたのかを理解した。
あれ以来明るくなったとは思っていたが…まだ完全に克服した訳では無かったのだ。
身体は大人であっても…心はまだ少女のものに過ぎない。
背負った重すぎる過去を完全に自らのものとするには…余りにも幼過ぎた。
だから俺は黙って抱き締める事で悲しみを受け止めてやる。
その程度のことも…その程度の重さも受け止めきれずに、どうして男などと名乗れようか…
ゆっくりと…ゆっくりと…優しく髪を撫ぜる。
ルーの悲しみが溶けるよう…凄惨な過去は過ぎ…家族の肖像が温かい灯火となれるよう…




………

……






「……全く…怖い夢を見て眠れないとはね……今日は特別だからな?」


泣き止んだルーをベッドに寝かせて、俺も隣に寝転ぶ。
ちなみにアレをしたい訳ではないので服は着たままだ。


「……うん……えへへ…やっぱりアキラって優しいよね…」


ようやく安住の地を見つけたかのように胸の中で安らぐルーを見て、俺も少しだけ温かい気持ちになる。
性欲でも愛欲でも無い…何と言うか…保護欲のようなものを誘われる姿だ。
確かにアレのときは最高に淫らな姿を見せてくれるが…こう…これはこれで……って落ち着け。変な気分になるな俺!
即座に感情部分の一部を沈静、迂回経路を通すことで自律制御。すぐさま加熱する思考を落ち着ける。
よし。OK。世は全て事もなし。


「……どうしたの?」


不思議そうな瞳が至近距離で交差する。
あ、制御失敗……可愛い過ぎる……脈拍が倍増。呼吸機能が停止。防壁は諸共に破壊された。
自然と顔が近づいていく。
待て! 今それに走るのは俺のプライドが許さん! 止まれ! 止まれ! 止まれ!!
止まらない。ならば、違う方向に思考誘導・感情変換。
…辛うじて成功。


「んっ……」


ルーが俺のキスを受け入れる。
もし俺がここで深く熱い口付けを交わせば…後はなし崩しの展開となる。
しかし、俺は欲望を受け流し…軽く啄ばむキスで終わらせる。
同時に軽く神剣能力で誘眠物質を分泌させ、眠りの安らぎを与えた。
すぐにルーの顔が、とろん…としていく。


「…お休み。ルー。良い夢を…」
「うん……ありがと……アキラ………」


俺の言葉に嬉しそうに答えて目蓋を閉じると、すぐに軽い寝息を立て始める。
あ、危なかった………危うく俺のダンディズムが完全崩壊する所だった……
ホッと一息。
後は残った書類を片付けるだけだ。


「さて……それじゃ、もう一仕事……っておい……」


身を起こそうとすると、ルーの手が俺の服を掴んでいるのに気付く。
可愛らしい寝顔も俺の腕の上だ…
……動けん……
仕方が無いので軽めの結界を部屋のギリギリまで展開し、俺も休むことにする。
やれやれ…これでまた明日は朝から仕事だな…


溜息一つ。
ランプの灯りを燈したまま、俺は目を閉じるのであった。








ちなみに…翌朝、調子の戻ったルーの特別に濃厚な御奉仕で目覚めされられる羽目になったのは言うまでも無い。




…頼むから朝ぐらいは爽やかに目覚めさせてくれ…














To be Continued...





後書(妄想チケット売り場)


読者の皆様始めまして。前の話からの方は、また会いましたね。
まいど御馴染み、Wilpha-Rangでございます。


2章が始まりました。
皇帝ウィルハルトの過去(前世)の一部が明らかとなります。
新将軍のアキラは日々忙しく書類や訓練。任務に哨戒と馬車馬のように働いています。
まあ、夜も馬車馬になっていることは、最早常連様には語るまでもありませんよね?


さて、今回は帝国におけるアキラ達の日常と訓練模様を描いてみました。
存在しえない皇帝とイリーガル・エトランジェのせいで、随分と帝国は改善されつつあります。
ですが、それを歓迎できない存在もまた、人間・非人間を問わずに居る筈ですね?


という訳で…次回は久々に裏方にもスポットが当てられます。
ちなみに、この話を見て既に気付かれている方々も居られるとは思いますが…
この『人と剣の幻想詩』には「聖なる神名」の設定も盛り込まれています。
…当然その辺りもオリ設定と交じり合っていますが。
ゆえに、オフィシャルと乖離することも当然の如くありますので、その辺は御理解願います。



脳内妄想列車は現在発進(発信?)中!



次回。永遠のアセリア外伝『人と剣の幻想詩』…幕間“秩序と混沌の舞踏祭”…乞うご期待。



「……あら…そんなに慌ててどちらへ行かれるんですの?……」


独自設定資料

World_DATA
系樹世界
世界構造のことで、エターナルや神族(永遠神剣)、転生体であれば本能的・直観的にそれを理解している。
この世界概念は古くから様々に用いられてきたもので、それぞれにより呼び方は異なるが本質的には同じものだ。
「人剣」または筆者オリジナルの世界観である「StarGazer〜星詠む世界で大地は謳う〜」ではユグドラシル・ワールド・ネットワークと呼ばれる。
また、Xuse様の独自の設定では「時間軸」または「時間樹」となる。
系樹世界は「根源」が存在する因果地平の彼方をゼロ・ポイントとし、そこから世界が分かれることで多くの系統樹が生まれる。
所謂、多元宇宙が誕生するのである。
「永遠神剣シリーズ」とのクロスのため、この系統樹が生まれる際には「永遠神剣」が基軸になるものとする。
特に「根源」の直系である「神柱(みはしら)の永遠神剣/根源神剣とも呼ばれる」達は、その世界が内包するべき無数の可能性を持っている。
しかし、根源神剣は無数の可能性の無秩序な集合体であるが故に、これを自発的に扱うことは出来ない。
その代わりに自らが「時間軸」の正に「軸」の部分となることで一つの基幹世界となる訳である。
クトゥルフ神話を御存知の諸氏がいるなら、アザトースを想像してみると分かりやすいかもしれない。
微細な意味では違うが……根っこの部分では同じだからだ。

さて、基幹世界となった根源神剣は次に自らの可能性の分割により「原初永遠神剣」と呼ばれる神剣達を産み落とす。
これが俗に1位や天位・地位などと呼ばれる神剣達だ。
1位の神剣達は、根源神剣の可能性から別れ…それぞれに欠落と個性を与えたものである。
そして個性と自我が発生しているがゆえに自発的に活動できる。
活動できる複数の存在が出来た場合…そこに生まれるのは接触と衝突。
単体でも世界に匹敵する事象同士の衝突によって、さらに幾つかの1位が無数に砕かれ、それ以下の永遠神剣が誕生する。
誕生した幾つかの神剣は、基幹世界の中の可能性となり…この時点で初めて可能性世界が動き出していくのである。
後は、時間経過と可能性の展開具合によって無数のパラレルワールドを内包する時間樹が完成するのである。

なお、一つの基幹世界(時間樹)に存在する可能性や根源素子の数は定量である。
それゆえに、世界が拡大していくほど先端世界の可能性やマナは枯渇していく。
分枝などによる世界増加や他の分枝の成長で事象限界が来た場合、最もマナの薄い世界(可能性の薄い世界)が自動的に消滅する。
パソコンのメインメモリと同じ原理だ。
どこかで限界が来るゆえに、割り当てていたマナや可能性を解放しなければ、システム全てが停止してしまうのである。
しかし当然だが、消される側は納得できない訳で自らの所属する世界の可能性を底上げするために他の時間を剪定する者達もいる。
俗にそれを善しとして行っているのが“光をもたらす者”と呼ばれる転生者達である。

現在、根源に直結する基幹世界の数は9つ…
それぞれに個別の可能性を与えられ、独自の世界を構築している。
場所によってはエターナル達が存亡を賭けて戦っているところもあれば、転生者達が時間管理を行っている場所もある。
何にしろ世界は怖ろしいほどに広大で、なかなかに決着がつくことは無い。
或いは、それすらも何らかの意志の上で踊らされているだけなのか……


ちなみに現代世界的な発展を続ける世界は7番基幹世界“エト・カ・リファ”となっている。
ファンタズマゴリアなどが存在する世界は8番基幹世界。ウィルハルトの元世界は9番基幹世界である。
1番基幹世界に拠点を置く、緋焔幻帝捜界旅団(フレイム・シーカー)と呼ばれる集団は組織内での世界名称を決めているらしい。
彼らの命名においては以下の通りである。


1stLGN:セントラル・グランティア
2ndLGN:ダブル・スパイラル
3rdLGN:トリニティ・オーシャン
4thLGN:テトラ・エレメント
5thLGN:クィンテット・セレスティア
6thLGN:ヘクサ・ファンタズム
7thLGN:セヴンス・ヘヴン
8thLGN:エィス・リヴェルシア
9thLGN:ナインス・エリュシオル


跳躍者
<門>に干渉して世界を渡ることのできるものの総称。
それぞれに特徴があったりする。
エターナルや転生者は“永遠神剣”でアクセスする。
まあ、この辺りは世界構成的に正規のアカウントとパスで飛んでいるようなものだ。
次は、異能や特殊装備を扱う跳躍者。
<門>を通らずに、想念波を隣接事象へ転送…リバースウェーブにより自らを概念化させて跳躍する者。
これは明らかにイリーガルな世界移動者であり、エターナルや転生者にとっては頭の痛い存在だ。
場合によっては彼らそのものがイレギュラーとなり計画に大きな支障がきたされる場合もあるゆえに。
最後はプレインウォーカー。
平行世界を転移する魔法で世界を旅する存在。
極めて高い魔力と恐るべき戦闘能力を持っており、エターナルとしても侮れない相手だ。
何にしても永遠神剣以外にも世界を渡る手段は数多いようだ。


時空隔絶
技というよりは最終手段に近いのでスキルデータとしては載せない。
9番世界の守護であったウィルハルトが最期に使用したラストリゾート。
一定の範囲内を周囲の時間・空間から完全に隔絶し、空間内を虚数属性化。
更に超弦境界励起によって事象界面と虚数空間を接触させることで対消滅(事象衝突)を引き起こす。
行使するためには少なくとも3位の限界近くのマナを必要とするため、技は技でも力技(笑)
隔絶した時空内の存在は、自らを構成する全ての要素を根源へと還されてしまう。
当然だが、発動者自身も例外では無い。
発動時点で虚数の海の沸騰により、近世界すらも巻き込んでしまうのが難点と言えば難点。
怖ろしいことに、時空隔絶による崩壊は時間軸に存在する因果の糸から本体までも辿っていくため、巻き込まれると消滅確定となる。
発動すれば1位でも、概念存在でも問答無用で消滅(マナ解放)させることが可能…
…なのだが、流石に元々のマナ量が違い過ぎる1位の神剣相手には通用しないことだろう。
っていうか、発動させる前にこっちが消滅させられるわい!
後は、危機察知力に優れた相手にも通用しないと思われる。
だって発動される前に逃げるか倒すかしちゃうだろうから(爆)
なお、技自体が不完全だったのか、ウィルハルトは全ての力を失ったが…辛うじて転生できたようだ。


超弦境界励起
[Super-string Excitation Boundary Interference Theory]
超次元境界干渉とも呼ばれる。
隣接するサブユニバースや高次元から物質世界に干渉・現界するための理論である。
高次元に本体を持つ想念体や神性体は標準的に行使してくる。
上位永遠神剣と完全にシンクロできるエターナルも稀に、これを扱える場合がある。


事象界面
[Closs-world Phenomenon Boundary]
事象物理学の研究により、論理的に提唱されたもの。
各事象世界との間隙に薄い膜状の形態で存在しているとされ、事象界面の存在により事象衝突や事象融合が防止されていると考えられている。
つまり、事象界面が破壊されると隣接している事象世界の双方が対消滅(事象衝突)することになる。
また、事象界面はその事象世界に存在しない因子を拒否する「抵抗力」を持っている。
もし別の事象世界から何らかの技術により因子を持ち込んだ場合、因子自体が世界に合わせるために調整変化してしまうか、悪ければ界面抵抗に耐えられずに消滅してしまうことになるだろう。
「風と渡る者<ファランディア>」や「界を渡る風<ウィルファラン>」は、事象界面を超えるための特殊な装置や因子を保有している者である。
エターナル等は<門>を通るため、これらの制約は受けない。


“光をもたらす者”
他の分枝世界や、それらから派生する組織を破壊することを優先する者達で構成される組織。
出雲から神剣を奪うべく攻勢をかけてみたり、自分達の事をクルセイダーなどと呼んでいたり何かとアレな組織。
まあ、逆から穿ってみてみれば…自分に正直な人たちか?


<門>
言わずと知れているような気がするが…門である。
基本的に形のある者ではなく、力場のような存在。
永遠神剣や、それに類する“力”によって解放・通過することができる。
ちなみに門にも種類があり、それぞれに繋がる先や機能が異なる。

タイム・ゲート:同一RSA座標軸内の別時間に移動するためのゲート。
ローカル・ゲート:同一基幹世界内のパラレルワールドへ移動するためのゲート。
グローバル・ゲート:別の基幹世界へと移動するためのゲート。
クロス・ゲート:遺跡のようなものであり、繋がれた二つの世界間の双方向移動を可能とするゲート。


「顔は美女のようだが…」
皇帝ウィルハルトによるアキラの容貌の批評。
そのうち女装されそうで怖いぞ…


「ワープロが欲しくなる…」
現代病の一環です(爆)


ナノテク/ナノマシン
ナノ・テクノロジーの事。
アキラの世界はD'VAという対抗存在がいるためか、裏世界の科学力は現代と比べ物にならない。
『ブラック・ドッグ』の隊員が必ずインストールする特殊ナノマシン“SLAST”はAMDとリンクすることで寄生者に超人的な力を与える。
AMDとリンクしなくてもSLASTは常時稼動しており、体調・神経系・遺伝子へのダメージを治療し常に最適な状態に維持し続けている。
そのため、毒・ウィルス・神経剤・放射能などを受けても簡単には被害を受けない。
その恩恵もあり、SLASTが稼動している間は殆ど老化も抑えられているし千切れた四肢もゆっくりではあるが再生する。
SLASTは強力なナノマシンではあるが、一部ではD'VAを元にして造られたのではないか? という疑念も上がっている。
事実、SLASTによるメンタルラインへの圧迫は強烈であり、並大抵の精神ではインストールに耐えられない。
そのことも考慮して次世代型互換機であるLASTが作られた。
LASTのほうは、体調維持。傷害治癒。生体制御の三点に特化したもので、負担も少なく前線兵士に試験的に投与されている。
ちなみにナノマシンが体内外で暴走しないように基本命令としてリミッターとアポトーシスが設定されているそうだ。


夜伽
いわゆる夜のお相手。
現代世界では滅多に御目にかかれない。


マナ強制注入
通常、人間の保有するマナは微少であり、スピリットのようにマナを直接生命力に変換することは出来ない。
ただし、それをエーテル変換しオドへと変える事で人間への受け渡しも可能となる。
これを利用すれば、神剣魔法で人間も癒すことが可能だが、通常のスピリットには不可能な話である。
オドの直接注入はスピリットのマナ交換と同じ快楽をもたらす。
その上、肉体機能も掌握されてしまうのでイきたくてもイけなかったり、逆に倒れるまでイかせ続けることもできてしまう。
なお、やろうと思えば『求め』や『誓い』も同じようなことができる…マナを無駄に浪費する事になるが(笑)


あくまの植物
緑色した小粋なアイツ。
苦み走った大人の味わい。
その名はリクェム(ピーマン)。
あかいあくまとは関係が無い…はずだ!


魔乳
それは、まさに魔乳だった…
豊穣の名に相応しく…それは大きく…美しく…何より重力を無視して上を向いていた。
ハリオン&ナナルゥも魔乳予備軍だと思われる。
なお、大きいだけでは魔乳の称号は得られない。
人を狂わせる魔力(魅力?)あってこその称号なのだ!(ぉぃ
ちなみに当作品でのSizeのB値はあくまでトップのみでの数値であることをお断りしておく。

対HP効果:3000 (属性効果付き)


奉納鍛刀
日本で神剣を打つときに行われる魔術的儀礼。
極一部の刀匠だけに伝授されており、これを扱えるものは殆ど存在しない。
知識や技法だけなら様々な部分に流出している。
奉納鍛刀を行うためには身体・精神・技術・素材・儀礼・霊力の全てが一定の水準を超えている必要がある。
ファンタズマゴリアはマナが豊富なため、比較的にこれを行いやすい。


ダンディズム
あって無きようなもの。男の在り方。伊達好み。
一種のプライドと言えないことも無い。
だが、似たようなものは女性にだって存在している。
ハードボイルド物では普遍的に存在しているスタイル。
……今のアキラがダンディズムを語るのはどうかと筆者は思う(笑)




Skill_DATA

桜花幻影の太刀 (アタックスキル)
修得Lv:不明
Lv:16 属性:黒
対HP効果:不明 最大回数:不明 行動回数:不明
種別:アタック(初撃はスタートサポート)
ターゲット:変動 ターゲットスキルLV:16
MB:90〜100 または 0〜10
MD:0
台詞
「抜く前に斬る……故に必中必殺!!」
「……夢幻の如く…血桜と散れ…」
パラメータ変動
攻撃:+0 防御:+0 抵抗:+0 回数:+0
青:+0 赤:+0 緑:+0 黒:+0

【解説】
“幻影”の二つ名を持つ孤高の剣聖が使ったという剣技の一つ。
技を昇華していった結果、因果の逆転を生み出すまでに達している。
敵を斬るために抜くのではなく、敵が斬られた後に抜く。
必中は避けられないが、高い直感力や運に恵まれていれば被害を軽減することで必殺を避けることが可能。
「斬る」という概念に特化した技のため、霊現象や非物質にも有効な技。
ちなみに中途半端な実力で、この技を行使すると反発力で自分も木っ端微塵になりかねない。
ウィルハルトが評価した通り、まさに魔技。




Personaly_DATA
クレリア・ブルースピリット/Cleria Blue-Spirit(『蒼穹』のクレリア)
身長:162cm 体重:47kg スピリット。青髪碧眼。Size:83/57/78
知的能力:高い 精神性:理性的外向型 性格:陽気。ノリが軽い。 容貌:かなり良い
性別:女性 誕生日:聖ヨト暦309年エハの月 青一つ
年齢:19(外見:18)
技能:長剣技。神剣魔法。小隊指揮。高等戦術概論。軍務知識。高速飛行。
属性:青
神剣:第7位『蒼穹』
光輪:ウイングハイロウ
特筆事項:指揮適性。酒豪。
所持品:スピリット用服飾品。

基本能力コード(常人の平均値を10とした場合。右は修正済みの値)
筋力:17+20=37/85(230%)
耐久:16+20=36/82(230%)
敏捷:18+20=38/87(230%)
魔力:15+20=35/80(230%)
感覚:18+20=38/87(230%)
幸運:14+20=34/78(230%)

戦闘パラメータ(LV1の状態で)
生命力:450
攻撃力:116%
防御力:100%
抵抗力:100%


特殊能力:
<千里眼>

※凄まじい視力を持つと共に、少し先の展開を瞬間的に把握する。
※相手の行動や行いたいことが何となく理解できる。
※そのため、バニッシュ可能LVが通常より高くなる。

<強運>
※運が強い。とにかく勝負所では運が高くなる。
※1回の戦闘時において1度だけ致命傷となる攻撃を完全回避できる。


解説:
ウルカ隊の姐さん役。
豪奢な青髪をポニーテールに纏め上げた美人。
とにかく陽気で軽い性格の持ち主だが、実際には理性的で知性に満ちている。
戦術面でも生活面でも優れたオールラウンダー的存在。
初々しい娘(スピリット)をみると、ついからかいたくなってしまう癖を持つ。
セシルとかヘリオンとかは確実に獲物にされると思われる。
何かと明け透けな性格だが、意外と一途なところもあったり…
趣味は、お祭り騒ぎ。
酒に関してはアキラに匹敵する酒豪。
剣技に関しては帝国のブルースピリットの中で最も優れており、ウルカとも何とかやり合えるほど。
突撃型ではなく、スピードと撹乱を兼ね合わせたヒットアンドアウェイを得意とする。


フレイア・グリーンスピリット/Flaya Green-Spirit(『豊穣』のフレイア)
身長:159cm 体重:48kg スピリット。緑髪緑眼。Size:96/56/88
知的能力:かなり高い 精神性:感情的外向型 性格:令嬢。ちょっと妄想癖あり。 容貌:非常に良い
性別:女性 誕生日:聖ヨト暦308年チーニの月 緑五つ
年齢:20(外見:20)
技能:槍術。神剣魔法。小隊指揮(中級)。料理技術。貴族社会知識。家令奉仕。
属性:緑
神剣:第7位『豊穣』
光輪:シールドハイロウ
特筆事項:元シュライン家直属妖精。
所持品:スピリット用服飾品。家紋の指輪。

基本能力コード(常人の平均値を10とした場合。右は修正済みの値)
筋力:15+20=35/80(230%)
耐久:19+20=39/89(230%)
敏捷:16+20=36/83(230%)
魔力:13+20=33/75(230%)
感覚:17+20=37/85(230%)
幸運:14+20=34/78(230%)

戦闘パラメータ(LV1の状態で)
生命力:400
攻撃力:100%
防御力:110%
抵抗力:90%

特殊能力:
<風と大地の恩寵>
※グリーンスピリットの力の源である風と大地に好かれていることを示す能力。
※グリーンスピリット固有のスキル威力と最大使用回数が増加する。
※また、抵抗力の増加率も引き上げるため属性攻撃にも耐えやすくなる。


解説:
帝国貴族の一角であるシュライン家の妖精。
元々はシュライン家令嬢の専属メイド兼護衛として使われていた。
令嬢の教育から護衛、主人の夜伽までを卒なくこなせる万能妖精。
数年前に起こった帝国研究所の消滅事件でシュライン家が巻き込まれたため帝国軍に所属を変える。
所属後から何かと問題行動が目立ったため、ウルカ隊に転属させられることに…
俗に言うバイセクシャルな性癖の持ち主で、よくライカに言い寄る姿を見るとか見ないとか(笑)
更にスピリットとしては規格外の魔乳は凶器そのもので、料理をしている姿を目撃した若い兵士が血を噴いて昏倒したという逸話がある。
それはともかくとして…セラと並びウルカ隊の食事番。
彼女達が居ないと、ウルカ隊の食事の質は著しく低下する。
戦闘能力もなかなかに高く、防御とサポートで高い実力を発揮する。
必殺技はエレメンタル・ブラスト。


フェリス・ブルースピリット/Felice Blue-Spirit(『停滞』のフェリス)
身長:155cm 体重:41kg スピリット。青髪碧眼。Size:76/55/75
知的能力:高い 精神性:感情的外向型 性格:丁寧。マイペース。 容貌:かなり良い
性別:女性 誕生日:聖ヨト暦313年シーレの月 青四つ
年齢:15(外見:16)
技能:長剣技。神剣魔法。戦術知識。歌唱。
属性:青
神剣:第8位『停滞』
光輪:ウイングハイロウ
特筆事項:美声。
所持品:スピリット用服飾品。

基本能力コード(常人の平均値を10とした場合。右は修正済みの値)
筋力:15+20=35/77(220%)
耐久:14+20=34/74(220%)
敏捷:16+20=36/79(220%)
魔力:15+20=35/77(220%)
感覚:16+20=36/79(220%)
幸運:12+20=32/70(220%)

戦闘パラメータ(LV1の状態で)
生命力:360
攻撃力:106%
防御力:95%
抵抗力:101%


特殊能力:
<記憶力>

※特に戦闘に役立つという訳では無いが、優れた記憶力を持つ。
※憶えようと思って見たものを写真のように精細に思い出すことが可能。


解説:
ウルカ隊随一のぽややん少女。
いつもマイペースに事を進めていく。
どこと無くハリオンと通じる所があるが、天然が入っていない分だけまとも。
戦闘でも独特のマイペースさで敵の調子を狂わせていく。
得意技はバニッシュスキルと氷寒魔法。
ハーブティーが大好き。
趣味としては歌が好きであり、暇なときは何かにつけて小声で歌っている。
最近ではセシルと仲が良いようだ。
特に秀でた戦闘能力は持たないが、それでもウルカ隊の名を持つだけの強さはある。


ノエル・グリーンスピリット/Noel Green-Spirit(『常緑』のノエル)
身長:156cm 体重:44kg スピリット。緑髪緑眼。Size:79/56/78
知的能力:高い 精神性:理性的外向型 性格:真面目。やや慇懃。 容貌:かなり良い
性別:女性 誕生日:聖ヨト暦314年エクの月 赤ニつ
年齢:14(外見:16)
技能:槍術。神剣魔法。気配感知。
属性:緑
神剣:第8位『常緑』
光輪:シールドハイロウ
特筆事項:奴に酒を見せてはならない(byアキラ) リクェム食べなさい!(byセラ)
所持品:スピリット用服飾品。

基本能力コード(常人の平均値を10とした場合。右は修正済みの値)
筋力:16+20=36/79(220%)
耐久:18+20=38/83(220%)
敏捷:17+20=37/81(220%)
魔力:14+20=34/74(220%)
感覚:17+20=37/81(220%)
幸運:12+20=32/70(220%)

戦闘パラメータ(LV1の状態で)
生命力:400
攻撃力:110%
防御力:110%
抵抗力:70%

特殊能力:
<直感>
※凄まじく勘が良い。
※不意打ちや敵の初動、更には勝利するために必要な事まで直感的に理解してしまう。
※身体・技量ともに高まれば素晴らしい能力を発揮できるだろう。


解説:
ウルカ隊の年少組の一人。
何はともあれリクェムが苦手。
敵がリクェムを投げつけてきたら思わず逃げてしまうぐらいにリクェムが苦手。
それはさておき、年少ではあるがノエルは並みのスピリットよりは十分に強い。
神剣魔法は回復系しか扱えないが、近接戦闘能力はブルースピリットに匹敵する。
防衛力も高く、ヘタな攻撃ではノエルに傷一つ付ける事すら叶わないだろう。
暇な時にはボーっとするのが密かな楽しみ。
フレイアによく迫られるため、微妙に苦手意識を持っている。
なお、一度アキラの高級アカスクの半分以上を飲んでしまったことがある。
…その後、酒乱スキルを発動し…笑うわ怒るわ泣くわ脱ぐわの大騒ぎになってしまい、アキラは始末書を書かされたという…




SubChara_DATA
ウィルハルト・ウルグ・ゼ・リュース・レム・アークミルズ
身長:179cm 体重:71kg エターナル/転生者。紅髪紫瞳。
知的能力:非常に高い 精神性:理性的外向型 性格:王様 容貌:美形
性別:男性
神剣:第3位『剣皇』
神名:不明
守護:グレートドラゴン『希望を映す蒼雷の王』
年齢:2000歳以上(外見22)
職業:アークミルズ帝国 最終皇帝
解説:
ウィルハルトの転生前のデータ。
転生者でありながらエターナルとなっている稀有な存在。
旧くは九番世界の守護の一人であり、父親と妻、親友夫妻と共に活動していた。
別の基幹世界からの要請により調査に出ていた隙に、偽神ザリオスの侵入を許してしまう。
その後、永くにわたる戦い…ザリオスの策略により全ての身内を失ったウィルハルトは非常手段を取ることになる。
他世界のロウ・エターナルに協力し、世界の幾つかを滅ぼすことで『剣皇』の限界までマナを集めたのである。
後の展開は冒頭にある通り。
彼は自らの守護すべき世界の半数を犠牲に、ザリオスを消滅させるのであった。
これにより、ザリオスに喰らわれた可能性は原初マナとなって各世界へと還ったのである。
『剣皇』を失い、神名も失った彼が何故に人間としてファンタズマゴリアに転生したのかは分かっていない。


「さて、余の目的を果たすには…それしかない故にな……」


ザリオス・セルク・イルシュ・ロゥ・セヴァール
身長:222cm 体重:138kg 神性体。金髪金瞳。
知的能力:極めて高い 精神性:理性的外向型 性格:神 容貌:神話の美
性別:男神
神格:第2位
神名:不明
守護:無し
年齢:不明
職業:主神
解説:
ウィルハルト達が不在だった2周期のうちに世界律を奪った偽神。
輪廻における魂のエネルギーをマナに変える事で神格1位への昇格を狙っていた。
戦いの果てにウィルハルトと共に対消滅することになる。
ウィルハルトが生き残っている以上、ザリオスも生き延びている可能性は高い。
このことが如何なる影響をもたらすのかは完全に不明。


「ククク…我だけが絶対至上の唯一神となるのだ……」




Eternity Sword_DATA
永遠神剣 第3位 『剣皇(けんおう)』
優美な装飾が施されたクレイモアの形状をした永遠神剣。
第3位とはなっているが、実質的な剣格は第2位に近い。
ザリオスの件がなければ遠からず昇格していたことは確実。
極めて高度なオーラフォトン制御により、契約者の能力を著しく高める。
また、機能の発展系として上位の強制干渉を弾くという特殊能力を持っている。
その代償としてか、神剣魔法や知識共有などに関してはかなり劣っている。
契約者の実力が高ければ高いほどより大きな力を発揮できるということだが、逆に契約者が弱ければ4位にも劣る。
ウィルハルトのことを気に入っており、「死した果てまでも我は汝のみを契約者とする」と誓った。
ザリオスとの決戦で消失したと思われる。


神刀『鳴神(なるかみ)』
エーテル結晶化した鋼をアキラ自身の構成マナで安定化させ、竜氣を込めることで準備完了。
後は、元の世界の錬金技術と奉納鍛刀により、三日三晩を掛けて打ち上げた神刀。
打ちあがった刀身には概念呪賦とルーンによる呪符刻印で<不変不壊>の概念が付与された。
永遠神剣としての機能は何一つとして持たないが、壊れないという部分だけは神剣をも凌駕している。
三尺三寸(99cm)の刀身に長めの柄を拵えた名刀。
黒のエーテルにより漆黒に輝く刀身は、鋼鉄の甲冑すら薄紙のように切り裂いてしまう。
一流の訓練士が持てば、武器の面ではスピリットと対等になれるだろう。
アキラ曰く。「仕事が無くなったら鍛冶師になってみるのも一興だな…」
『鳴神』を神剣だと思ってサラがジェラシーを発揮したのは俺達だけの秘密だ(笑)