聖ヨト暦325年 エクの月 緑三つの日 昼
エレミア王国 首都リレルラエル近郊



「フッ……ハァァァァァァァァッ!!」


気合と共に抜き放たれた刃が閃光と化して疾る。
一瞬で数条。
閃光を見切れなかったグリーンスピリットがマナの霧となる。
漆黒の翼を広げた死神は、それを見届けもせず次の生贄を求めて戦場を舞う。


【そう…その調子ですウルカ。敵を斬り、マナを得るはスピリットの本懐……さあ…次はあちらに…】


「…承知」


ウルカと呼ばれた黒いスピリットは、自らの剣…『拘束』の命じるままに敵を斬る。
そこには何の感傷も無い。何の感慨も無い。
彼女は自らの剣から与えられるマナの快楽と戦いの高揚のためだけに剣を振り続ける。


その鬼神のような活躍に感情を持たないはずの敵が恐慌に陥る。
いや…恐慌に陥ったのは敵のスピリットの持つ神剣達なのだろう。
如何にマナを得たいという衝動があっても消滅という本能的な危機の前には逆らえない。
限りなく無に近づいた彼女達の心と神剣の怯えが恐慌となっているだけに過ぎない。


「……敵は……手前の敵は……どこだ?」


本能的な恐怖に後押しされ、敵のレッドスピリットが神剣魔法を唱え始める。
それを支援すべく、敵のブラックスピリットがハイロゥを展開し、高速で迫る。
しかしウルカは、その刃を難なく見切り…返しざまに痛烈な一撃を返した。
その瞬間を狙って、レッドスピリットの魔法が完成する。


「…マナよ、燃えさかる炎となれ。雷の力を借りて突き進め! ライトニングファイアッ!!」


雷撃を伴い突き進む灼熱の焔は過たずウルカに直撃する。
爆発の衝撃で土煙が上がり、一瞬だけ視界が遮られる。


「……その程度…手前には通じませぬ」


煙の中から声が聞こえる。
焔の直撃により、ウルカの服は多少ばかり焼き焦げていた。
しかし、ウルカ自身にとっては掠り傷程度のダメージでしかない。


「…混沌の衝撃…呑まれる恐怖に震えるか…」


言葉と共にバルガ・ロアーの闇が口を開く。
広がった闇がレッドスピリットを一瞬で喰らい尽くす。
同時に神速の踏み込みから月輪を描くように振り抜く。
ブラックスピリットは驚愕の表情を浮かべたまま、マナの霧へと変わった。
快楽が…高揚が…ウルカを熱くしていく。


【さあ…ウルカ…行きましょう…まだまだ沢山残っている…全て私達のものよ……】


「…承知…」


『拘束』の声が優しく響く。
逆らわず、ウルカは次の戦場へと飛び込んでいった…




































数時間後。ウルカ一人の手で、エレミア王国のスピリットは壊滅した。

後に残るは、無数に立ち上る金色の霧の中…夕暮れに立ち尽くすウルカのみ。

この日以来…ウルカは敵に止めを刺すことが出来なくなっていた。

この日以来…『拘束』がウルカに語りかけることもなくなっていた…

それがウルカの名を持つ部隊の始まりにして原風景。

敵を殺せぬスピリットの哀歌。











永遠のアセリア
The Spirit of Eternity Sword

〜人と剣の幻想詩〜

第一章
ACT-5
【漆黒の翼@ 刃の心】
- Uruca the BlackWing “Edge of Heart” -




聖ヨト暦329年 ルカモの月 黒五つの日 昼
帝都サーギオス スピリットの官舎 セラの私室



「……とまあ、そういう訳で第3旅団の隊長職に就くことになった。ついでに訓練士を兼任しろとさ」
「…悪夢ね……確かに貴方といると飽きそうに無いけど…よりによって、こっちに配属なんて…」


俺の言葉にセラが反応する。
むう…そんなに昨日の事が腹立たしかったか…
それとも今のことか?


「そうですよね…マスターをそんな環境においたら…それこそ危機的な状況をつくりだしかねませんし」


サラまで俺に造反しやがる…おのれ…後で再教育してやる…
というか…俺はそんなに節操無しに見られているのか……いや…確かに否定できないのが辛いが…


「ボクは気にしないよ? どんなことになってもボクはアキラについて行くし…アキラの事を独り占めするつもりも無いし」


味方は君だけだよ…ルーテシア。
まあ、あんな過去があれば心も広くなるのかも知れないが…
……さっきから俺の左腕に抱きついている君が諸悪の根源であるということにいい加減気付いて下さい。お願いだから。


「ルーテシア…今は会議中だから、そろそろ離れような〜?」
「……ルーって呼んで優しくキスしてくれたら離れる…」


いきなり何を言い出すかッ!?


「「…マスター?(…アキラ?)」」


ほら来たッ! 俺の死神がまた来たッ!?
…と、ルーテシアはニッと笑って直ぐに離れてくれた。


「あはははっ 嘘。冗談よ♪ もう、セラ姉様もサラも分かりやすいんだから♪ もっと素直になろうよ」
「……べっ…別に私は何も無いわよ? ただ、こんな時に何をしてるのか問いたいだけで…」
「そっそうですよぉ…別にマスターがどうという話じゃなくてですね…」


ルーテシアに完全に遊ばれている二人。
さもあらん。人生経験(?)の深さでは、ルーテシアには叶うまい。


「…ほんとに? 本当に何も無いなら試してみてもいいよね?」


といって、セラを俺の前に押し出すルーテシア(悪魔っ娘)。
視線が正面からぶつかり合う。
…が、すぐに目を逸らしてしまう誰かさん。
おい…流石に少し傷つくぞ…


「…姉様…2秒も持ってないよ? ボクちょっと不安になっちゃったかも…」
「もぅ…ルーテシアさん! あまりセラさんをからかっちゃダメです!」


セラの援護に入るサラ。何時の間にやら仲良くなっているようで…
…っていうか、話が進まん!


ゴホン…君達?…そろそろ…怒るぞ?


少しばかり殺気を混ぜて注意。
ビクッと身体を震わせて彼女達の動きが止まる。


「…そ、そうだったわね…話がまだ済んでなかったわよね?」
「はい。そうでした。私も忘れちゃうところでした…あ、あははは…」
「うん。ボクもちゃんと聞くから。ねっ?」


三者三様に返してくる。
やれやれ…やっとまともな話ができる。


………

……




「まずは、部隊の人員掌握と実際の引継ぎを行わないといけないんだが…」
「…残念だけどアキラ…今、ウルカ様はリーザリオに向かっている途中のはずよ。すぐには無理ね」


…むう…いきなり頓挫の方向になってきた…
まあ、しかし。任務であるなら、そういうこともある。
…その前に…リーザリオって何処だ?


「……すまん。セラ。肝心な事を忘れていた……」
「…どうしたの?」
「……考えてみれば…俺はまだここに来たばかりで詳しい事情が全く分からん!」
「……………そ、そうだったわね…つい忘れてたけど…貴方、エトランジェなのよね…」


「つい」ってなんだよ…ひょっとして俺はこの世界に溶け込みすぎてるのか?
ある意味では適応力に優れているとも言えるが。


「そうだな…この中で一番この手のことに強そうなのはセラだ。悪いが資料室まで付き合ってくれ」


ウルカ隊の副隊長をしていたぐらいなのだから、この手のことには詳しいだろう。
その辺りのことも踏まえて資料から基本的な知識を集めるのに協力してもらったほうが良さそうだ。


「…そうね…確かに。私なら資料室に入る権限も持ってるし…貴方の役に立てると思うわ」
「ボクも役に立てると思うけど? これでも高等教育も受けてるし」


さっそく割り込んでくるルーテシア。だが、ここはちょっと連れて行けない。
先程も言ったとおり…基本的に資料室には騎士以上の人間か、特別に認められたスピリットしか入れないからだ。
……まあ、親切な衛兵からの受け売りなのだが……


「残念だが、ルー…君は資料室には入れないだろ? 今回はサラと留守番だ。サラ…頼んだぞ」
「分かりました。でも、その間は何をやっておきましょうか?」
「ルーも高等教育を受けているらしいしな…この際ルーから、この世界に関する知識でも聞いておくといい」
「うん。それじゃ、ボクが優しくサラに教えておくよ♪」


…優しくという辺りに微妙に不安を誘われるが……まあ、大丈夫だろう。
ルーテシアは見た目より遥かに大人だ。問題はあるまい…


「では行くか…何にしても情勢が分からないと動けないしな…」


呟くと、俺はセラを伴って資料室へ足を運んだ。




聖ヨト暦329年 ルカモの月 黒五つの日 夕暮れ
帝都サーギオス スピリットの官舎 セラの私室



日も沈もうという頃…俺はセラの部屋に戻った。
セラの協力で、基本的な情勢や文字情報も得られている。
思ったよりも興味深い資料が多数眠っていたので、俺はあの後からずっと資料と格闘していた。
…いたのだが……正直なとこ腹も減ってきたので戻ってきたという訳である。


「あ、マスターお帰りなさい」
「おっかえり〜♪ ボク、言われた通りにちゃんと教えておいたよ」
「ただいま。どうやら問題なく済んだようだな」


戻ってくるなりルーテシアが飛び込んできた。
サラもすぐに出迎えてくれる。


「あれ? そういえばセラ姉様は?」
「途中で別れた。そういや、先に湯浴みしてくるって言ってたな」
「……そう言えば…アキラ…少し汗の臭いがするよ? 一緒に湯浴みする?」


子犬みたいに俺の体臭を嗅ぎまわるルーテシア。
っていうか、さらっと一緒にお風呂宣言をするなよ…


「マスター? 湯浴みをするのでしたら、お背中でも流しますが…」


サラもやんわりと宣言する。
どうにも俺はとんでもない事情の景品として扱われている気がする…
ある意味では男の本懐であるような気もするが…何となくアラブの王様達の気分と苦労が分かってきた…
正にインシャラー…神よ…正直な話、俺はこれだけでもう一杯一杯です。もう勘弁して下さい。
とばかりにアラーに祈りを捧げつつ、無許可で戴いてきた本をテーブルに投げ置く。
それに風呂なんて後で構わん。今は飯が最優先だ。


「ん。後でな。今は飯を食いに来ただけだから」


軽く二人の頭を撫でて、俺は官舎の食堂へと歩いていった。




聖ヨト暦329年 ルカモの月 黒五つの日 夕暮れ
帝都サーギオス スピリットの官舎 食堂



食堂…と言っても、スピリットの官舎には専属の栄養士も調理師も存在していない。
一応のところ台所はあるようだが、少なくとも俺はこの2日の間にここで料理をしているやつを見たことが無い。
埃が積もってたりしない以上、誰かが定期的に使っていることは間違いないと思うのだが…
…考えてみれば俺の食事はセラが持ってきてくれてたし…単純に考えれば使っているのはセラか。
まあいい。今は俺が使わせてもらうとするか。
食材は…まあ、野戦料理の応用で…味を確かめながら作ればいいだろう。


「……え………アキラ?」


後ろから声が聞こえる。セラか…丁度いい。


「お…セラか…ちょっと料理でも作ろうかと思ってな…」


振り返って、一瞬硬直する。
セラはちょうど湯上りらしく、髪の毛が自然に流れている。
ほんのりと桜色に染まった肌は、いつもとはまた違った色気に溢れていた。


「そう…それじゃ、私が作るわ。貴方は食卓で待っててくれる?」
「ああ…そうさせてもらうよ」


大人しく食卓のほうへ戻っていく。
台所のほうからは、すぐに食材を切る包丁の音が軽快に響いてくる。
ついでに機嫌よさげな鼻歌も。


(…料理が趣味なのかな…)


楽しそうに、手早く料理を進めていくセラの後姿を見ながら思う。
考えてみれば…昔から今まで、こうして誰かに料理を作ってもらったことがあっただろうか…
…子供の頃は、母が料理をしてくれていた。
が、すぐに母は外勤の仕事を始め…俺は作り置きの料理ばかり食べていたような気がする…
父は父で料理をしない人だったし、いつも忙しそうにしていた。
ある意味、両親とも才能に溢れていたのが不幸だったというべきかどうか…
…当時は何も感じなかったものだが……変われば変わるものだな…

まあ、「俺」によっては親に捨てられたり殺されたりした事もあったが…それはそれ。
もはや記憶と知識に過ぎない、無限にある過去の残滓。
だから、今だけはこの雰囲気を大事にしたい。


「……落ち着くなぁ……」
「…え…何か言った?」
「あー、いや。何でもない……」


台所からセラが聞いてきたが、俺は即座にそれを誤魔化す。
流石に…それは聞かなかったことにしてもらいたい。
曰く、モノの弾みという奴なのだから。


………

……




「はい。できたわよ」


十数分後…セラがちゃっちゃと料理を済ませてやってきた。
ありあわせの食材だが…しっかりと作られたものだ。
見た目にも食欲をそそられる。


「…これは驚いたな……セラ…料理は得意なのか?」
「ええ。料理は好きよ」


楽しそうに微笑むセラについ見入ってしまう。
名残惜しいが、すぐにそれから目を離し、俺は料理を食べてみた。
…む…結構旨いな…こちらの料理でいう肉野菜炒めのような感じだ。
微妙に醤油の味が無いが…まあ、この世界には無いものなのかもしれない。


「…旨い!…しかし料理というのは、やっぱり似るものだな…」
「貴方の世界でも同じようなものがあるの?」
「ああ。俺もよく作った。“キャベツ”と“玉葱”に“豚肉”を加えて炒めるんだよ…味付けに軽く“醤油”や胡椒を使ったりしてな…」
「ふぅん…ハイペリアでは、そう呼ぶのね…後でこっちの食材の名前も教えてあげるわ」


話しながらも食は進む。
ちょっと言わせてもらえれば…食器がスプーンとフォークというのがアレだ。
正直なところ…こういう料理は箸で食べたかったが……今度、自作しておこう…


………

……




「ふう…ごちそうさま」
「お粗末様。貴方は美味しそうに食べてくれるから作り甲斐があるわね」


セラが嬉しそうに笑いながら食器を片付け始める。
一昨日よりは昨日…昨日よりは今日…セラは本心からの笑顔を見せてくれるようになった。
こんなに短い付き合いなのに、彼女とは長く一緒に居るような気分になってくるから不思議だ。


「おいおい…茶化すなよ」
「本当の事よ? うちの隊の娘はやけに好き嫌いが多いのよ…やれリクェムは食べないとか…ね。
 その度に色々工夫したり、味付けを変えたりして料理をするんだけど…見た目で分かるとどうしても避けられるのよね」
「ははは…いいお姉さんぶりじゃないか」


俺は笑いながらセラが食器を洗う姿を眺める。
暫し、流れる水の音だけが場を支配する…


「……アキラ…」
「ん…どうかしたか?」
「………ごめんなさい。ちょっと呼んでみただけよ」
「………そうか」


静寂。何か言いたげなまま時だけが流れる。
どことなく…お互いに沈黙してしまう。


「あ〜あ…残念…ボク、セラ姉様を押し倒す所までいくかなぁ〜って期待してたんだけど…」


「「っ!?」」


廊下側からルーテシアの声が聞こえた瞬間、俺とセラの身体がビクッと震える。
っていうか…俺が気付けないレベルの隠密ッ!? そんなバカな!


「うふふ…賭けは私の勝ちですね♪ マスターとの付き合いは文字通り私に一日の長がありますから♪」


ってサラまでいるのか! 何時の間に小悪魔の眷属にッ!?


「…いや、お前らな…俺をなんだと思ってるんだ…」
「ちょ…ちょっと! ルー!? サラまで!」


同時に弁解を始める俺たち…
なんと言うか…間抜けだ…


「あ…そうだ。部隊に合流するために明日にはこっちを出る予定だから準備しておけよ!」


良し! とりあえずこれで強引に話の流れを変えるのだ!
このまま小悪魔どもにイニシアティブを取らせ続ける訳にはいかん。


「…マスター…平静を装っても無駄ですよ♪」
「そうそう。さっきまでの雰囲気…凄かったもんね? ボクがアキラだったら絶対押し倒しちゃってるよ」
「…マスター…ヘタレ……」


今何気に酷いことを言われなかったか? おい…


「お〜ま〜え〜ら〜な〜?」
「きゃあ〜♪ マスターが怒った〜♪」
「いや〜♪ ボク犯されちゃう〜♪」


逃げ回る小悪魔ども。


いつの間にか食卓に満ちていた静寂はどこかに去っていた…




聖ヨト暦329年 エハの月 青ニつの日 朝
バーンライト王国 リーザリオ



「……これは……ふむ…なるほど…」


ウルカは伝令のスピリットが持ってきた書簡を隅々まで読む。
内容を頭に入れると、部下に命じて書簡を灰にした。


「隊長…帝国からは何と言ってきているのですか?」


部下の一人であるレッドスピリット…『激昂』のライカは心配そうにウルカに聞く。
それにウルカはニコリと笑って答えた。


「大したことではありませぬ。単に新たな隊長殿が参られる…とのこと」
「そんな! 今まで帝国に貢献してきたウルカ様を解任するということですか!?」


納得のいかないライカが叫ぶ。
彼女にとって、隊長というのはウルカしか考えられない。
この奇跡のような隊を彼女は失いたくはなかったのだ。


「ライカ…心配は無用だ…手前の代わりに隊長となる者はエトランジェ殿だという話…ならば十分な力量を持っていよう」
「ですがっ! エトランジェとは言え所詮は人間。とても信用できるとは思えません」


ウルカの言葉に反発するライカ。
帝国で長く戦ってきた彼女は、嫌になるほど人間の醜い部分を知り過ぎていた。
数多くの同胞を殺してなお自我を保っているのは…ひとえにサーギオスの異端たるウルカ隊のスピリットであるがゆえ…
自我があり、なまじに知識もあるために、より人間に対する嫌悪感が募る。
その長くに渡って溜め込まれてきた感情が、より強い言葉となって放たれたのだ。


「それ以上は言うな…ライカ…所詮、手前らはスピリット。人の命には従わねばならぬ…」
「……………はい……ですが、オレにとっての隊長はウルカ様のみ。それだけは許して下さい…」


その名の通りに激昂するライカをやんわりとたしなめるウルカ。
ライカは歯噛みしながらもそれに従う。
それでもなお、自分の隊長はウルカしか居ないのだ…と告げながら。


「…さて、新隊長殿が来るまでには軽く敵を片付けておかねばならぬ…か…」


暫時、瞑目して考える。
すぐに優先すべき任務が決まった。


「ライカ…貴公はフレイア、ノエルの両名でリーザリオ北部の敵を抑えよ」
「はい。隊長はどうされますか?」
「手前は、フェリスとクレリアを連れてラシード山道から挟撃をかける」
「了解しました。お気をつけて…」


一礼して、部屋から退出するライカを見送り、ウルカはまた瞑目した。


(…ラキオスのスピリット隊は、ソーマ殿の手により殆どが帝国へ運ばれたはず…)


ソーマが帝国に亡命してきたとき、彼は自分のスピリットを数多く引き連れてきた。
闇よりなお深い漆黒の翼をした…光無き妖精達を。


(……あの時より3年……戦力を整えるには十分であった…ということか)


頭を振って取りとめも無い思考を追い出す。


「いや、気にはすまい…手前は手前の任務を遂行するのみ…」


『拘束』を持って立ち上がる。


「…手前の剣に意味は無く…もはや剣の声も聞こえぬ…それでも手前は……」


誰にとは無く呟くと、ウルカは部屋から出て行った。




聖ヨト暦329年 エハの月 青三つの日 昼
バーンライト王国 リーザリオ北街道



「ハッ! タッ! …ハアアァァァッッ!!」


街道にウルカの掛け声が響く。
一太刀ごとに敵のスピリット達が戦力を失っていく。
そこにクレリアが飛び込み必殺の一撃を見舞う。


「はいは〜い。お待たせ〜! ヘヴンズソーーード!!」


豪快な一撃を受けて眼前の敵はマナに還った。
離れた位置にいたレッドスピリットは慌てて大規模な神剣魔法の詠唱を始めたが、フェリスは容易くそれをバニッシュ。
そこを突いて、またクレリアの一撃が敵を仕留めた。


「……脆すぎる…これは…?」


疑念を感じるウルカ。
幾らなんでもこの程度のスピリットでリーザリオを落とすなど不可能。
これでは徒にスピリットを無駄死にさせているに過ぎない。


「ウルカ様ぁ〜……これってもしかして〜?」
「恐らく間違いありますまい……ラキオスめ…姑息な手を…」


フェリスの問いに答える。
これは、恐らくは陽動のため。戦線からウルカ達を引き離すための工作に違いない。


「クレリア。フェリス。急ぎリーザリオへ戻り、ライカ達と合流する」
「「はい!」」




─同日。リーザリオ近郊




「おかしいですわね…」
「……ええ……戦う気が無いみたいです」


ライカと共に、リーザリオの防衛を行っているフレイアが言った。
それにノエルも頷く。
ライカ自身も、この攻防に違和感を感じていた。
何しろ、敵にやる気が感じられないのだ。
隙あらばリーザリオに攻め入ろうとするが、防御を固めると即座に撤退する。
時折、神剣の意志のままに飛び込んでくる者もいたが…それをサポートするものもいない。


「気に入らないな…まるでオレ達が疲弊するのを狙っているみたいだ」
「ライカ…どうしますか?」
「貴女が望むのでしたら…私のエレメンタルブラストで全部片付けてあげてもよくってよ?」
「…待てフレイア。恐らく隊長もこのことに気付いたはず…オレ達はリーザリオで隊長が帰ってくるのを待つ」


あくまで冷静に危険な提案を退ける。
状況から考えれば迂闊な行動は取れない。
そんなライカにフレイアは艶やかに笑って言った。


「相変わらずレッドスピリットにしては消極的ですわね…でも、そんな所もまた可愛らしいのですけど」


つつっ…とにじり寄って来るフレイア。
背中に薄ら寒いものが走ったライカは同じだけ距離を取る。


「……フレイア…君の趣味をどうという気は無いけど……オレにそれを押し付けないでくれないか?」
「あん……連れないですわね…独り寂しい夜を貴女と一緒に熱く過ごしたいと思っただけですのに……」


今度こそライカの背筋にゾワゾワと悪寒が走った。


「お…おい! 正気か? オレ達は女同士だぞ!」
「ふふ…私…知ってますのよ? 貴女が実は………」
「ッ…ライカ! 敵が動き出しました!」


ライカの冷静さが消滅するその一瞬。ノエルからの警告が飛んだ。
即座に反応する二人。


「来たか…行くぞ。ノエル! フレイア! オレに続け!!」


そして彼女達は戦場へと飛び込んでいった…




聖ヨト暦329年 エハの月 青三つの日 夜
バーンライト王国 リーザリオ



日が沈む頃、ウルカはリーザリオに戻ってきていた。
ライカ達の隊も自分が率いていった隊も、被害は殆ど無い。
それでもしつこく北街道に陣取っているラキオスのスピリット達が不気味といえば不気味だった。


「それで…隊長。結局あれはなんの心算だと思います?」


ライカが開口一番に問う。
結局あの後も、両軍は適当に交戦していた。
リーザリオ近郊での戦闘では両軍ともに殆ど死者は出ていない。
実質的な死者はウルカ達に倒された3人のみ。
ライカでなくとも変に思うのは間違いない。


「手前も妙だとは感じた。しかし解せぬ…このようなこと…挑発としか思えぬ」
「そうよねぇ…お姉さんもそう感じたわ。何のために山越えまでしたのか空しくなっちゃった」
「そうですぅ〜。結局、あの一部隊しか来なかったのも疑問ですし〜」
「結局、目的が良く分からないというのが一番不気味ですわね…」
「同感です。陽動というのが丸見えというのもいただけません」


ウルカを含めた全員が、それぞれ答える。
一様に気味の悪さだけを感じていた…


「……しかし、手前らが勝手な判断で動くことはできぬ。命令通りにここを防衛するしかなかろう」
「それはその通りですが…今回は派手に動き過ぎているような気がしませんか?」


スピリット隊として帝国の指揮から外れたことを行うことはできない。
帝国の指揮に逆らえば、それは反逆罪に繋がるからだ。
ウルカは憂鬱そうに言ったが…ライカはまだ納得がいかないようだった。


「うんうん。確かに。今のラキオスが正面きって動いてくる理由が気になるのよ」


クレリアがライカに同意する。
一見、軽そうに見えるが彼女は戦術方面の達人で頭も良い。
常に暴走しがちなライカをコントロールできる数少ない人材でもある。


「そうだろ? クレリアもそう思うよな?」
「…でも、実質的には小競り合いのようなものですわよ。現状は…ですけど」


─バンッ


扉が荒々しく開かれ、外から兵士が入ってきた。


「スピリット共! すぐにサモドアへ向かえ! ラキオスの本隊と思われる部隊がサモドア山道を通過しているとの情報が入った!」
「……承知」


言うだけ言ってすぐに帰っていく兵士。
それを気にもせずに一同は顔を見合わせる。


「……そういえば…口にした言葉は現実になる…と言った哲学者がいましたわね……」
「まあ、いいじゃないか。話が早くてオレは助かるけどな」
「それじゃ、パーッと行ってパーッと片付けてくるとしましょうか」
「そうです〜。早く終わらせて楽をしませんと〜」
「では、さっそく出立するとしましょう……隊長…」


最後にノエルが締めくくる。
ウルカは腕を組み…一人一人をゆっくり眺め…そして宣言した。


「よし! 手前達は、これよりサモドアへ南下。ラキオスの侵攻を阻止する」


全員が頷く。
そして、即座に行動を開始した。




聖ヨト暦329年 エハの月 青四つの日 昼下がり
バーンライト王国 首都サモドア



「…さて…俺達は、どうしてこんな所で足止めされるかなぁ…」


思わず愚痴をこぼす俺。
しかし無理も無いと俺は思う。
何が悲しくて、サモドアの前で立ち往生をせんとならんのだ!


「うん…せっかく急いでここまで来て…今日はベッドでゆっくり休めると思ったのに……」
「そうですよね…正直な話…私も納得いかないです…」


ルーテシアとサラも同じように愚痴をこぼす。
まあ、俺は野宿には慣れてるが…この年頃の彼女達には結構辛かろう。
……一部、200周期のお年頃もいるが……


「サラはまだいいよ…移動中はずっと神剣のままだったし…ボクたちは飛び続けだったんだよ?」
「しょうがないじゃないですか…マスターだけ歩かせる訳にもいけませんでしたし」
「……口は宝だな…サラ…」
「うぅ……マスターが酷いです…」


解説するなら原因はサラの経験不足にある。
調べたところ…永遠神剣としての機能もデータも俺以上にあるくせに…使いこなすためのセンスが壊滅的に足りてない。
逆に俺には永遠神剣としてのセンスがあったのか、全ての機能を位階以上のレベルで扱えている。
そんな訳で、契約者である俺が契約神剣であるサラに機能制御の訓練を施すという訳の分からない事態となっているのだ。
さて、俺もサラも本質的には神剣だ。よって、実の所…単体でも戦えるしハイロゥも出せる。
もちろんどちらかが神剣となって二重に強化をかけたほうが最大能力は高いのだが。


─閑話休題


んで、実際にウルカ隊に合流するため出発!…となった所で問題が出た。
彼女のウイングの制御が甘かった……正直なところ…うん。走ったほうが速い。確実に。
リンクして情報を共有させてみたが…俺の制御方式はメチャクチャで参考にならないと突っ撥ねられた。
訓練させれば、そのうちマシになるだろうと思ったが…時間が惜しかったので神剣に戻してそのままここまで来たって訳だ。
…って誰に言ってるんだろうな…俺。


「という訳で…サラは本当に基礎的な部分から徹底的に訓練だな…」
「ふにゅぅ………な、なんとか頑張ってみます」


反抗せずに自分の欠点を認められるのはいい事だ。
だから、俺はサラにアレを渡すことにした。


「素直で宜しい。という訳で、こいつを持ってろ」
「?……何ですか…これ」
「何って銃だよ銃。Cz75。旧セスカ・ゾブロジョブカ社の傑作。それもスチール・モデルだ。プレミアもんだぞ?」
「あの…マスター? 残念ですが…私には使い方が判らないのですが…」


なんてこった…銃も知らないのか…俺の秘蔵の逸品もサラにかかればただのガラクタらしい。
だが、これはただの銃じゃない。『神薙』とリンクさせた一種の神剣なのだから使ってもらわないと困る。


「ねぇねぇ…それなに? 面白い形をしてるね」


ルーテシアは興味を持ったようだ。
1から説明するのも非常に面倒くさいので簡単に解説することにする。


「これはな…ハイペリアの武器だ。離れた所の敵を簡単に倒せる」
「ふ〜ん…こんな小さなのが、そんなに凄いの?」
「まあ、厳密にはそこまでじゃないが…こいつは特別に俺が調整したから凄いぞ」


まあ、嘘は吐いていないよな?
本来は銃弾が必須なんだが…こいつはオーラフォトンを撃ち出す。
威力は………まあ、試していないからどこまでのものかは分からんな。


「そうだな…試し撃ちぐらいはしておくか…えーと…的は何にしたもんかな…」


ちょうど、サモドアの鐘楼が目に入った。よし、あれにしよう。


「今から、あの鐘を撃ってみるぞ?」
「うん。楽しみだなぁ〜どんな感じなんだろ…」


吸い付くようなグリップを握る。
距離:187mと43cm。風速:2m以下。空間歪曲無し。その他環境要因無し。
一瞬で狙いをつけ、トリガーを引き絞った。
その瞬間…銃口に数個の小型魔法陣が重複展開される…


─シュパッッ!!


銃にあるまじき軽い音。
反動はスライドのリコイルのみ。
銃口からはまるで一条の光のように細く収束されたオーラフォトンの銃弾が放たれる。
そして、着弾地点から数メートルの範囲は音も無く…ごっそりと完全に消失した。
そのまま夕暮れの空を切り裂いて天へと昇る光弾……

って! なんじゃこりゃあぁぁぁぁ!! レールガンじゃないんだぞ!?
俺なにか間違えたか? 拳銃が宇宙兵器になるはずがなかろうがッ!!


「うわぁぁ……消えちゃったね……」


何か凄いものを見たとばかりに目を輝かせるルーテシア。


「マスター……流石にこれは……」


サラが微妙な目で俺を見る。
ああ…目が訴えてくる…「これを使ってどうしろと?」と訴えてくる。
済まん。予め調整しておくべきだった…


「は、はははは…ちょ〜っと…出力が大き過ぎた…かな?」


俺も微妙な笑顔で答えながらリンク係数と出力バランスを再計算する。
収束率を減らして…初速を340mぐらいに再設定。
制御陣の展開数も1個に削る。
んでもって、近くの岩に実験射撃。


─ドンッ! ドンッ!


二発撃つ。
身体に染み付いた動作。
確実に仕留める為の動作だ。
岩がオーラフォトンの弾丸で砕かれる。
よし…今度は、まともなレベルだ。


「うむ。これぐらいなら問題ないだろ。って訳で、ほい。これがサラの神剣代わり」
「って、マスター!? これ永遠神剣なんですか?」
「いんや。微妙に違う。これはあくまで『神薙』の端末。一応、能力強化も働くから役に立つぞ?」
「…つまりマスターの分身みたいなものですね? それなら喜んで受け取ります♪」


嬉しそうに俺のCz75を受け取るサラ。なんというか……現金なやつ……


「ね…ボクには?」


何かを期待する目で俺に擦り寄ってくるルーテシア。
あのな…俺は不可思議な戦場のサンタクロースでもなんでもないんだぞ?
それに、すでに神剣を持っているだろうが…『緋翼』が泣くぞ…


「ルーには既に『緋翼』がいるだろ? サラは一応スピリットの扱いだから神剣が無いと拙いの!」
「む〜。つまんない……」




「アキラ! 大変よ!」




無駄な話を続けている間に、セラが帰ってきた。
どうやら軍から状況を聞き出せてきたようだな。


「お疲れさん。で、どう大変なんだ?」
「それが…サモドア山道で、バーンライト軍とラキオス軍が交戦しているらしいのよ…」
「おいおい…いきなり穏やかじゃないな…バーンライトとラキオスは水面下の小競り合い程度じゃなかったのか?」
「ええ。本来ならそうね…でも、今回は本格的な交戦になっているらしいわ」


やってきたそばからこれだ。
どうも俺は戦争の神様にでも溺愛されているらしい。
…どうせなら美人の女神様に愛されたいもんだが…


「この状況なら、ウルカ様たちもサモドアに向かっているはず…合流してラキオスを押し返しましょう」


ふむ。最もな話だ…が、俺の知覚機能は残念ながら時間は少ないということを告げていた…


「残念だが…今近づいてきているラキオスの部隊は強敵なようだぞ…あと数時間もしたらサモドアに到着だな」
「…今更だし、もう驚かないけど…何か感じてるの?」


セラの問いに頷く。


「感じているというよりは…神剣の気配だな。既にこちら側の兵数は半減して敗走中だ。敵の7位と6位がかなり強い」
「……時間の問題…という訳ね……」
「ああ。だから仕方ない…予定には無かったが、俺たちでサモドアを防衛して恩を売っておく」


ここで恩を売っておけば皇帝としても、かなりやりやすくなるだろう。
俺の影響力が高まれば、それだけ俺が得られるもの…護れるものも増える。
今後の足場を考える上でも丁度いい機会だ。


「マスター…私も直接参戦するんですか?」
「ボクは、アキラと一緒に戦うよ。アキラが居てくれるなら何も怖くないから」


サラが聞いてくる。
ルーテシアはやる気のようだ。
まあ、やる気が無くても今後のために参戦させておくが。
そしてサラだが……


「…今回は鍛冶師に頼んだ剣ができてないからな…サラは俺の刃になってくれ。ルーはサポートを宜しくな」
「はい。マスターの命ずるままに♪」
「うん。任せてよ!」
「なら、私は援護をするわ。ルーには一人も近づけないから貴方は安心して戦って」


それぞれの答えに満足する。
結構、良いチームになれるかも知れないな…俺達は…
そのためにも…俺は全力で戦おう。
元の世界では一度、戦いを捨てた俺だが…今、俺には力を振るうべき意味がある。


身体は鋼…
心は刃…
俺は再び…戦場を駆ける剣と成る。


「よし。ならば行くぞ! サクッと片付けて皆でサモドアの名物料理でも喰うためにな」


俺の合図に笑い声が溢れる。



そして、俺たちはそのままサモドア山道へと突入した。























To be Continued...





後書(妄想チケット売り場)


読者の皆様始めまして。前の話からの方は、また会いましたね。
まいど御馴染み、Wilpha-Rangでございます。


いや、今回はウルカ隊に合流…するはずだったんですよ。はい。
その割りに、色々な問題が出てきて結局一戦やらかすはめになるのは彼の宿業なのか…
それにウルカ隊のサブスピ達も現れて…さあ、どうなることやら。
本当の合流は次回になりそうな気配です(笑)
っていうか、明らかに次回は戦闘主体になりそうだなぁ…



脳内妄想列車は現在各駅停車中(ぇ



次回。永遠のアセリア外伝『人と剣の幻想詩』…ウルカ“漆黒の翼A 交戦”…乞うご期待。



「……これは凄い……まるで蒼い牙のようだな……」


独自設定資料

World_DATA
エレミア王国
ダーツィ大公国南部に存在していた小国。
首都はリレルラエル。保有拠点はシーオスとセレスセリス。
聖ヨト暦325年エクの月にサーギオス帝国に滅ぼされ亡国となる。
国王はバウム=エレミア。


俺の死神
最近はよくアキラの周りをうろついているらしい。
色々な状況を利用してアキラを追い詰めるのが趣味…なのか?


悪魔っ娘
主にルーテシアの事を指す。
広義的には「確信犯」とも言う。
ある意味では属性。
世の中にはこれにしか興味が無いという倒錯した趣味の持ち主もいるらしい。


資料室
サーギオス城2階に存在する資料室。
エーテル技術に関する報告書からスピリット研究の資料、果ては過去の歴史資料まで大量に保管されている。
その性質と重要さゆえに騎士階級以上の権限がないと入ることができない。
階層が複数に分かれており、第1資料室と第2資料室がある。
より機密度の大きい第2資料室に入るには事前申告と宮廷書記官の同伴が必須。


食材
ファンタズマゴリアとハイペリアは近い階層に存在する世界ゆえ、様々なところに共通点がみられる。
武器や生活様式などもそうだが、食材も似通っている。
何にしろエトランジェにとってはありがたい。

豚肉(猪肉)→スリィデ
キャベツ→クァヌサ
玉葱→テノルク


ヘタレ
限定された狭義の意味では「高嶺 悠人」を指す。
本来は関西弁で「臆病者」・「根性無し」・「ダメ野郎」といった意味合いを持つ。
英語などの俗語で言えば「chicken」である。
どちらにしてもアキラには縁遠そうな言葉。
むしろ奴は暴走痴漢者に違いn…
(げぶおはっ!?


センス/Sense
様々なことに必要となる重要な要素。ある意味では才能とも言える。ニュー○イプは総じてセンスが高い。
天賦の物として与えられるものもあれば、一つをひたすらに修練することで生まれるセンスもある。
俗に前者を「天才」。後者を「凡才」と呼ぶが行き着く果ては同じだ。
それ以外にも五感による感覚という意味もあるが…ここでは才能のこととする。
何に役に立つのかは御想像の通り…だ。


Ceska Zbrojovka Model 75 First TYPE/Cz75
1975年に開発を計画されたチェコ製の自動拳銃。
その中でも初期型はフレームを最高級のスチール鋼から削りだして作ったため耐久力も高い。
Cz75は当時西側諸国が開発していた量産品の品質を上回っていたため人気も高かった。
戦闘用自動拳銃としては欠点もあるが、それでも良い銃であることは間違いない。
初期型はその希少性から現在でも一部コレクターの間では馬鹿げた高値で取引されている。
なお、某漫画でベタ褒めされているが実質的にはそこまで飛び抜けた性能では無い。

このCz75はアキラが個人的に購入したものである。
自衛軍時代の彼の拳銃は「SIG/SAUER P226 Railed Model」だった。
ちなみにアキラのいた世界においては拳銃所持は合法だが、ライセンス無しでの対人使用は罪となる。
逆に言えば、人間でない存在への使用については制限されていない。
実は外界から持ち込んだ物ではなく、自分の持っていた愛銃を『神薙』のマナで再構成しただけ。
実際の現物は未だにホテルの荷物の中に眠っている。

アキラの神剣能力による様々なギミックが施されているため危険物指定S級。
初めて試し撃ちをした時には、さながらレールガンの如く対象を消滅させた。
その後の調整で、現在は適度な威力のオーラフォトンを撃ち出すようになっている。
一応、『神薙』とリンクしているので永遠神剣としても使用可能。
サラ・ホワイトスピリットの神剣(もどき)として長く使用されることになる。




SubChara_DATA
ウルカ隊の面々
本来ならパーソナリティーで解説するべきだが…数が多いので、それぞれのイベントまではこちらで代用する。

ウルカ隊の隊員達は神剣に呑まれていない状態で高い能力を発揮している。
人間にとっては好ましくないことだが、その特性を利用して自我を失ったスピリットを指揮させることも多い。
いつもはウルカ隊のメインメンバーのみで活動させられている。

以下が現ウルカ隊のメインメンバーである。


【隊長】
ウルカ・ブラックスピリット(第6位『拘束』)
【副隊長】
セラ・ブラックスピリット(第6位『朧月』)
【分隊長】
ライカ・レッドスピリット(第7位『激昂』)
【隊員】
クレリア・ブルースピリット(第7位『蒼穹』)
フレイア・グリーンスピリット(第7位『豊穣』)
ノエル・グリーンスピリット(第8位『常緑』)
フェリス・ブルースピリット(第8位『停滞』)