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 戦いの口火を切ったのはラキオス軍の青スピリット。
「……シアーだって、やるときはやるんだから……」
 その呟くような言葉と共に、手にした剣にマナが籠もっていくのが何となく分かる。
「……そうは、させない」
 一方、そんな隙だらけの青スピリットめがけて突撃するエクスキューレ。
 ウィングハイロゥは風を巻き込み、その持ち主と共に一陣の突風となる……って、早っ!
 だが、その目標には届かない。
「あらあら〜、お姉さんを無視されちゃ困りますよ〜?」
 妙に間延びした声と共に、緑スピリットがその前に立つ。
 エクスキューレの連撃に対して、槍とハイロゥを使って上手く捌いていく。
 物腰は柔らかだが、かなりの実力者なのかも。
 ……ただ、身動きするたびに女性の象徴とも言える(?)一部分が強調されるのは勘弁。
「――いやああぁぁぁんっ!!」
 そんな二人を放って、こっちに向かってきた青い少女。
 対するは。
「うう、怖いですよ……戦うの怖いんですから、私に戦わせないで下さいよ……」
 巨大な槍斧を振りかざして対抗するフィアナ。
 振り回すには重い武器のはずだけど、敵がスピードに欠けるパワー型なのが幸いしている
みたいだ。
 となれば、残るは……
「勝負は決まったわね――貰ったわ」
「アホか」
 オレを戦力外の『人間』だと思い込んで油断していたらしい。
 とりあえずドロップキックでツッコミ。
「……っ、今の蹴りの威力、あなた何者っ!?」
 ふっふっふ。
 その質問を待っていた。
 相手が聞く前に名乗るのは三流悪役のする事なのさ。
「神聖サーギオス帝国所属エトランジェにしてスピリット翔撃隊隊長、第五位永遠神剣との
契約者。『氷点』のカケルとはオレのことだ」
「エトランジェ!?そう、だったら……」
 何か因縁でもあるのか。
 エトランジェ、という言葉に大きく反応した後、すぐにその瞳に決意の光を宿す。
「負けられない……みんなのためにも、自分のためにも!」
 赤スピリットは双剣を構え、一気に突っ込んでくる。
 ……やばいぞ。
 こいつ、剣技型の赤スピリットか。
 『氷点』は魔法型の神剣らしいから、魔法ならと思って挑発したのに。
 刃が二本ある武器に対抗する手段、というのは意外に少ない。
 そもそもそんな武器は理に適っていないから研究されていない、というのが本当だけど。
 とにかく。
 素手じゃ厳しい、何か武器、できればナイフ型の物が欲しい。

 ――そこで、脳内の回線が一本につながった。
 どうして――魔法を攻撃に使う必要がある?
 現に、氷の盾だって作れる――――盾ができて、剣が作れない理由は……ない。
 剣が作れるのに、盾が作れない奴の話は聞いたことがあるけど。

「…………『氷刃短剣(アイスダガー)』!」
 叫ぶと同時に、オレの右手には涼しげな感触が。
 できたか!?
 ひとまず敵の斬撃を弾き、改めて右手の中を見た。
 そこにあったのは……オレの中のイメージが咄嗟に投影されたんだろう、絶対にどこかで
見たことのあるナイフ。
 頑丈そうな片刃の飛び出しナイフに近いフォルム。ただし設計図を知ってるわけじゃない
から、その刃の収納機構までは再現できなかったと見えて収納は不可。
 どこだったかな……。
 その柄を見てやっと気付く。
「これ、著作権とか大丈夫なのかなあ……まあいいか。武器は手に入ったんだし」

 その柄には……間違いなく。
 『七夜』の文字が刻み込まれていた。志貴かよ。







 ※補足
  ホントに大丈夫なのか若干不安になってきました、月泉鴇音です。
  ていうかサポーターがいない。
  う〜ん、なるべくゲーム中での概念に沿った戦闘にしようとしているのですが……
  ここが私の限界なのか。
  ディフェンダーは上手く作れたんだけどなあ……。
  流れとしては――サポートしようとしていたヒミカを翔が挑発してキャンセル、という
 感じでしょうか。
  ちなみに、私の未熟さゆえに多人数での戦闘を書くことは難しいので。
  翔以外のメンバーの戦闘は、割と置き去りにされがちです。
  アクション描写のストックが乏しくて……

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