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 神聖サーギオス帝国首都、帝都サーギオス。
 人ごみの中、ソーマの奴に教えられた通りの場所を探す。
 しかし、人は多いのに、人それぞれの生活があるだろうのに……
(活気が、無いな)
 そう。街行く人々には、活気が、生気が欠けているように思える。
 気のせいかも知れないのだけれど、なんて言うんだろうか。
 魂を抜かれたような……じゃ相応しくない。
 疲れ切った、とも違う。
 飽きた……いや。
(――飽きさせられた、とでも言おうか?)
 抱いていた欲望を全て満たして、求めるものが既に無くなったかのような。
 求めよされば与えられん、とは誰だったか知らないがよくもまあ言ったものだ。
 皮肉なものだと思う。
(…………ふん。これを見ると、いくら我でも『秩序』に賛同したくもなるわ)
 ん?
 何か言ったか、『氷点』?
(……)
 答えてくれるつもりはどうやら無さそうだな。失言、だったのか?
 何故だろうか、オレは妙にその言葉が気になっていた。
 目的地を探すほうに集中しようとしながらも、それを遮られる位には。

「これ、か」
 オレが洋館、と聞いてイメージするそのままの建物がそこにはあった。
 密室殺人か、もしくはギャルゲーのイベントあたりが起こりそうな感じの。
 当然呼び鈴も付いてるってことは、これ……紐を引けばいいんだよな?
「……何やってんだよ、あんた」
 おおっと。
 背後から声をかけてきた赤スピリット。
 腰まで届くストレートの長髪に、割と……いや、かなり悪い目つき。
 しかも相当に美人。
 さっきは死にかけたせいで、そんな所見てる余裕無かったもんなあ……。
「あ、えっと……」
「何やってんだって聞いてんだよ。こんな所で怪しい真似して――あんた、名前は?」
 やばい。
 敵意というか、どちらかと言えば殺意にも近いオーラを感じる。やっぱり、スピリットが
人間を殺せないという法則はエトランジェには当てはまらないみたいだ。
 って、今はそれどころじゃない。
 えっと、横文字名の世界らしいから……
「カケルだ。カケル・ニイザキ」
「あん?」
 瞬間、殺意が一気に消滅する。
「カケルって……じゃあ、あんたの神剣名は?」
 本人照合、なのか?
「『氷点』だけど」
「……あっちゃあ、マジかよ……」
 ぽりぽり、と頭をかく赤スピリット。
「悪いな、隊長殿。中入ってくれよ。たまにいる、妖精趣味の覗き野郎かと思ったんでね」
「あ、いや、気にしなくていいよ」
 割とビビり気味のチキンなオレを尻目に、彼女は一人で中に入ってしまう。
 ――――そして。
 玄関口で、思いっ切り、だろう。その声を張り上げた。

「出て来い、落第者共(フランクゲッターズ)!隊長殿のお出ましだ!」







 ※補足
  第3話終了いたしました。月泉鴇音です。
  章題の由来はもちろん、某アドベンチャーゲームです。
  
  さて、それはさておいて。
  いよいよ名簿に書かれていたスピリット達が登場しますね。
  ちなみに名簿を見れば分かるのですが、赤スピリットの名前は『アリエス』です。
  ところで、フランクゲッターズ(Flunk 
getters)の『flunk』とは試験などでの『落第点』 のことを指します。落第点を取るもの、つまり落第者というわけですね。
  あと、アリエスが翔に殺気を放ってたのはただの脅しです。
  殺せるわけじゃありません。
  あの時点ではエトランジェだと知らなかったわけですから。

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