「ふむ、あの妖精たちに回収されてしまいましたか」

 

 

闇の中で影が呟く

 

 

「駒を無駄にしてしまいましたね。・・・・・まぁ、いいでしょう」

 

 

人影が続ける

 

 

「戯曲は、始まったばかりですから」

 

 

人影が闇に消える

 

 

「永遠は永い、互いにまた逢える時を待ちましょう」

 

 

残響を残して

 

 

 

 

 

 

 

追憶が刻む協騒曲  「招かれた異邦者」

 

 

 

 

 

『・・・・』

 

 

「・・・ん、・・・くぅ」

 

 

『・・・・たー?』

 

 

久し振りに爽やかな朝、頭痛も吐き気もなくまどろみが続く

 

 

『・・・すたー!』

 

 

妙に騒がしい・・・・

 

 

「・・ん、ふあぁ・・・・」

 

 

『マスター!!』

 

 

キーーーーーーーーン

 

「っつ、うるせぇ!!」  『あうぅ』

 

 

頭に響く騒音に目が完全に覚める

 

 

「痛っ。ん? ここは・・・・」

 

 

起き上がると妙な頭痛と見慣れない洋風の部屋があった

 

まだ寝惚けてるようだ

 

 

取り合えず状況を確認。

 

頬をつねる、・・・痛い

 

自分の格好をみる、・・・妙に汚れている

 

窓の外を見る、・・・見慣れない風景、どうやら二階に居るらしい

 

 

『あの~、目ぇ覚めました?』

 

 

怖ごわとした声が頭に響く

 

声がした方を見ると鎖にがんじがらめにされた見覚えのある刀

 

丈夫そうな錠前が付いている

 

手に取ってみる、昨日より軽い・・・

 

 

『マ、マスター?』

 

「・・・・・・はぁ、夢じゃないのか」

 

 

ここまでに至る経緯を思い出し溜息がもれた

 

変わり過ぎた日常を嘆く

 

それに最近、急に溜息の回数が増えた気がする

 

 

「不幸はこれが元かね?」

 

『不幸って、ひどいですぅ』

 

「黙れポンコツ」

 

(ぽ、ポンコツって・・・ぐすん)

 

 

【無為】を無視して状況を確認し直す

 

携帯は、・・・圏外

 

ドアには・・・鍵が掛かっている

 

窓から飛び降りるのは・・・出来ないことも無いが無謀だろう

 

見事に八方塞がり

 

 

「当たり前か・・・・で、ここはどこだ?【無為】」

 

『・・ぐすん、どうせ私はポンコツで役立たずでなまくらですよー。ふえーん』

 

 

・・・いじけていやがる。・・ちっ、しょうがない・・

 

 

「・・・・・はぁ、悪かったよ。・・・・・【無為】力を貸してくれ。おまえが必要だ」

 

 

真摯に聞こえるように努力する。自分で聞いていても白々しいが

 

 

『・・・マスター・・・・、はい!私がんばります』

 

(・・・・・・単純

 

 

こんなんでもやる気が出るらしい

 

随分とテンションの上下の激しい神剣だ。扱いやすくて良いんだが

 

 

(何でこんなのと契約したんだろう?)

 

 

聞こえないよう後悔した

 

 

『で、場所の話でしたね。ここは・・・・』

 

「ここはランサって町だよ」

 

『!! むぅー』

 

 

気づくとドアが開いていた

 

喋り声は聞こえていたらしい

 

そこには見覚えある蒼髪の少女が立っていた

 

 

「起きたみたいだね。大丈夫? ボクの言葉、わかる?」

 

『割り込むなー!!(黙ってろ)はいー・・・・ぐすっ』

 

 

喚くポンコツを黙らせる。

 

気を取り直して

 

 

「・・・ああ、大丈夫だ。ところでランサ・・だったか?」

 

「そう、イースペリアの東の国境の街だよ」

 

「イースペリア・・・」

 

 

聞いた事もない地名が続く

 

ある場所として思い当たる国もない

 

 

「その様子だとホントに知らないみたいだね。・・・エトランジェ様なのかな?・・変な言葉喋ってたし」

 

 

見慣れない格好だし・・と覗き込んでくる

 

今度は知っている言葉だった

 

 

邦者(エトランジェ)。・・・つまり俺は異世界の住人って事か?」

 

「そうなります。エトランジェ様」

 

 

青い妖精の背後から黒の妖精が現れる

 

強くなった頭痛に半眼で睨む

 

 

「・・・・あんたは、」

 

「あ、キファ姉・・「昨夜は失礼いたしました」

 

 

頭痛の原因がしれっと言ってくる

 

謝意は全く感じない

 

どころか妙な敵意を感じる

 

 

「わが国の女王が貴方との面会を望んでおられます。エトランジェ様どうかご同行を」

 

 

事務的に伝えてくる口調はとても冷たい

 

態度だけは礼儀正しいが

 

エトランジェ様か・・・・

 

・・・・何か気に入らないな

 

 

「・・・・蒼夜、神名蒼夜だ」

 

「へ?「名前だ、エトランジェ様じゃ面倒だろう?」

 

「カミナソーヤ?・・変な名前」

 

「・・・・名が蒼夜、神名はファミリーネームだ」

 

「成程、ボクはルティア、ルティア・B(ブルー)・スピリット。よろしくソーヤ」

 

「様をつけなさい。ルティア」

 

「むー」

 

「別に構わないが」

 

 

面白く無さそうな顔になる青い妖精もといルティア

 

無愛想な黒の妖精の方を向き

 

 

「こっちは「・・・キファ・B(ブラック)・スピリットといいます。イースペリア所属のスピリットです。」

 

「・・・・スピリット?」

 

「この世界にいる妖精のことです。あなた方の世界には・・・・いないのでしたね」

 

 

・・・伝承が確かなら、と振り向きながら洩らす

 

この世界では妖精の事をスピリットと言うらしい

 

 

(神剣の知識も完璧じゃないのか?)

 

『・・すみません~』

 

 

まぁ、別に良いが

 

伝える事は伝えたとさっさと部屋を出て行こうとするキファ

 

 

「伝承というのは?」

 

「後二名、レッドスピリットとグリーンスピリットがいます。後ほど紹介します、ルティアよろしくね」

 

「あ、はーーい」

 

 

俺の質問を無視してルティアに後を任せ行ってしまう

 

何故かとても不機嫌そうだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・何が気に入らないのかね?・・彼女は」

 

 

「あぁ~~、キファ姉は男の人嫌いだから・・・」

 

 

気まずそうにルティアが言う

 

昨夜の出来事を思い出す

 

よかった、どうやらちゃんと男と認識されたらしい

 

 

「成程、嫌われているわけだ」

 

「ごめんね。えと、ソーヤ様?」

 

「・・好きに呼べばいい「じゃあ、蒼くん」

 

 

聞き覚えの無い呼称に問い返す

 

蒼クン?

 

 

「・・・・何故、・・そうなる?」

 

「このほうが呼びやすいから」

 

「だからって」

 

「いいって言ったのはそっちでしょー、男の子がぐちぐち言わない」

 

 

確かにいいとは言ったがここまで馴れ馴れしくされるとは思わなかった

 

が、言った以上は仕方ない

 

 

(撤回するようなタイプでは無さそうだしな)

 

 

短い間でもそんな事だけはわかってしまった

 

と言うかこの馴れ馴れしさは岬に近いものがある

 

自然と溜息が出る

 

 

「はぁ~、で?「何? どうしたの?」俺は何をすればいい?」

 

『脱走とかですか?』

 

(黙れポンコツ、行く当てがあるのか?)   『あうぅ、言ったのはマスターですよぅ~』

 

 

抗議は無視する         

 

 

『ひ、ひどー』

 

 

嘆く【無為】を手に取り

 

 

「これは解いてもらえないのか」

 

 

鎖についた錠前を指す

 

 

「あ~、それは無理。偉い人の許可が無いと」

 

「成程、どっちにしろ王都に来いって事か」

 

 

錠前を見下ろし考え込む

 

 

『そんな鎖引きちぎれませんか~?』

 

(無理だ、加護の力を阻害するらしい。感じないか?)

 

『あぅ、たしかにマスターとの繋がりがおかしくなってますぅ』

 

(何とかできるか?)

 

『時間を掛ければある程度なら出来ると思います』

 

(王都とやらに着くまでに頼む。お前が頼りだ)

 

『頼り・・・・・はい!! マスターが望むのなら』

 

(・・・・・・・・ホントに単純

 

 

 

 

「蒼くん?どうしたの?」

 

「・・ん、考え込んでただけだ。自分の今後をな」

 

 

長く【無為】と話していたせいか、いぶかしまれた・・

 

 

「あんまり深刻になんないほうがいいよ。成るようにしか成らないんだから」

 

「そう・・・だな」

 

 

・・わけではないようだ。さっきの呼び名といいほんとうに馴れ馴れしい

 

悪い気は不思議としないが

 

 

「そんじゃあ、1番隊のみんなを紹介するから着替えて降りてきて。汚れた服のままじゃ嫌でしょ?」

 

 

と言うだけ言って部屋の外に行ってしまう、が

 

顔だけ出して

 

 

「着替えはそこだよ。・・・・・後、昨日は助けてくれてありがとう」

 

 

と言って今度こそ行ってしまう

 

その時の彼女が妙に顔が赤かった気がしたが気のせいだろう

 

・・多分

 

 

 

「・・さて、どうしたものかな」

 

 

とりあえずは着替えよう

 

用意された着替えに腕を通す、多少ぶかついているのには目をつぶって

 

上に自分の黒いジャケットを羽織る

 

何とか格好がつき、【無為】を手に取る

 

 

で?・・・どうするこれから」

 

『へ?』

 

 

手に取った【無為】に問いかける

 

一応はこいつに助けてもらった訳だし

 

 

『どうするってマスターに任せますよ? わたし』

 

「いいのか? それで」

 

『ええ、マスターがわたしと共に存在し続ける事。それが私が貴方に求める代償です』

 

 

存在し続ける事か・・・

 

また不思議な言い回しをする

 

 

「・・・・・・わかった。とりあえずは状況任せか」

 

『はい

 

「じゃあ、行くか」

 

 

廊下に出て階下へ向かう

 

これからどうなるにせよ、足場が無ければ立ち位置も決まらない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ちぇるしー、チェルシー・G・スピリット・・・・」

 

「・・あ、アリア・R・スピリットです!?よ、よろしくお、おねがっ   ガンッ

 

 

残りの隊員の紹介すると案内されたリビングで

 

感情を感じない声とテーブルを叩き割りそうな挨拶が響いた

 

赤い妖精、アリアというらしい、が頭を抑えて苦しんでいる

 

・・・かなり反応に困った

 

 

『まともでしたから。痛そうですねー』

 

(・・・・たしかにな)

 

 

ふらふらと俯いたまま動く

 

「うぅ~痛い「・・・・大丈夫か?」っつ、だ、だいじょぶです!! ソーや゛」  ゴンッ

 

「さま゛――」

 

 

今度は見事にこけた

 

 

『なんて言うかお約束ですねぇー』

 

 

おまえが言うか

 

 

「ちょっと落ち着きなよアリィ」「・・・アリア、はい」

 

 

二人が介抱に向かう。慣れてるあたり日常茶飯事らしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご、ごめんなさい」

 

 

ぺこぺこと何度も頭を下げてくる

 

何かまたどこかにぶつけそうだ

 

そんなアリアに小っこい妖精、チェルシーが

 

 

「アリア・・・落ち着く」

 

「は、はいぃ」

 

 

年下の子に注意される姿はかなり・・・だった

 

 

『間抜けですねー』

 

(・・・おまえもどちらかと言えば同類だろうが)

 

 

アリアもようやく落ち着いたようだ

 

 

「お騒がせしましたソーヤ様」

 

「蒼夜でいい、ルティアにも言ったが。様付けされると居心地が悪い」

 

「はぁ、ではえっとソーヤさん?」

 

「あぁ「・・・・わかった、ソーヤ」・・・・・・・・」

 

「・・・・こ、こらチェル」

 

 

アリアの口元が少し引き攣る

 

ルティアはカラカラと笑っていたが

 

 

「いいじゃん、蒼くんがいいって言ったんだから」

 

「蒼くんって、ルティア。・・でもぉ」

 

「許可したのは俺だ、別にいいさ」 

 

 

慌てるアリアに苦笑しながら伝える

 

また転ばれても困る

 

 

『じゃあ』

 

(お前に許可した覚えはないが?)

 

『ぶぅー』

 

 

馬鹿剣・・・もとい、ポンコツは無視して

 

 

「・・・賑やかでいいな」

 

「あはははは・・・、ところでキファ姉は?」

 

 

皮肉を笑って流しながらルティアが話を変える

 

そいえばさっきから見かけない

 

 

「ここの守備隊に連絡してます。あ、終わったみたいですね」

 

 

俺が来たのとは違う扉が開く

 

 

「ふぅ・・・、準備できたようですね。エトランジェ様」

 

 

相変わらず事務的に接してくる

 

ここまで来るといっそ清々しく・・・、など全くない

 

 

「それでは王都へ向かいましょう。みんな準備した?」

 

「はい!」 コク 「あ゛、忘れてた」

 

 

それぞれ返事を返す

 

冷徹女もといキファが半眼で

 

 

ル~ティ~ア~。早くしなさい!! 二分よ」

 

「えぇ~、いいジャンちょっと位遅れても」

 

「・・・・そう言って登城に半日遅れたのは何日前?」

 

「あ、・・・・あはははは。すぐします。今すぐします」

 

 

乾いた笑いを残しながら青い髪を揺らして階段に行こうとする

 

隣に来ていたアリアに小声で聞く

 

 

何日前なんだ?」   「・・・一週間前なんです」

 

「・・・・・・」

 

「な、何だよ~」

 

「・・別に、それより「・・・・一分経過」らしいがいいのか?」

 

「わ~~!! チェル待って。わ~~んみんながボクをイジメル~・・・」

 

 

ちなみにランサから出発できたのは十分後

 

王都への道は遠そうだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永遠神剣

 

 

第六位【月影(つきかげ)

 

質素な日本刀の形状をした神剣でキファと契約している。下位神剣の為弱い自我しか持っていない、主に忠

実で魔法も直接攻撃も得意。キファの技量も相まってイースペリアでもトップクラスの力を持つ

 

 

第七位【夢氷(むひょう)】 

 

片刃のバスターソードの形状をした神剣でルティアと契約している。獰猛で好戦的な神剣でルティアを戦いに駆り立てる。直接攻撃が得意でオーラを帯びた強力な斬撃を放てる

 

 

第七位【紅炎(こうえん)】 

 

細身のダブルセイバー型の神剣でアリアと契約している。詠唱速度に優れ他の神剣よりも発動までが早い

 

 

第八位【実り】

 

小型のハルバード型の神剣でチェルシーと契約している。防御だけでなく攻撃面でも優れている。