誰かが呼んでいる
誰かが泣いている、誰かが叫んでいる
遥か遠くから・・
隣り合うほど近くから・・・
ここにいると、誰もいないのかと、助けてくれと・・・
呼んでいる・・・
追憶が刻む協騒曲 プロローグ
死に逝く者、死んだモノたちが周囲に転がっている。
ジブンが殺した者、誰かが殺した者、仲間、敵、味方、他人関わらず
誰かが叫んでいた
助けを、怨嗟を、慈悲を、奇跡を、憎悪を
聞き入れる神などいないのに・・、救いの手など在りはしないのに・・・
影はただ疾る
倒れ伏すモノを踏みつけながら
異形の腕で立ち塞がる全てを屠りながら
その貌に嗤いを浮かべながら、全ての無力を嘲いながら
流れ落ちるモノに気付かぬまま・・・・
そして・・・白刃がその背を
穿つ
地に叩きつけられ異形の影はその動きを止めた
口元に笑みはもう浮かばない・・・
セカイは暗転し、赤い色に溶けて消えた・・・
・
夕日を背に誰かが嗤う、赤く紅い世界で、楽しくてたまらないと
その人影が洩らす
「永遠w・・、いk・・iみr・もの・・すn・・」
うまく聞こえない
人影の足元には夕日に赤く濡れたあの娘が倒れている
其処に行きたくても身体は何故か自由にならない
自分を見下ろしてみる
オレの身体は・・暁よりも紅い色に濡れていた
背後から流れ出る紅に足元が侵食される
人影が嗤う、笑う、ワラウ、狂ったように
俺の背後を見て嗤う
その目には・・・・
「じt・・にk・・うみ・・・・い」
眼がその視線の先を追ってしまう
そして・・振り向いてしまう
「あなたt・・m・t・・アえr・・は」
俺ではないオレに囁く
目の前にに広がる深紅を嗤いながら
「―――――――――――」
叫ぶ
その声さえも聞こえない・・