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##魂の牢獄##






第1話 日常からの乖離







              《目覚めよ…汝は選ばれし者…》

《汝は、心強き者…》
《汝は、心優しき者…》

《汝は、力を持ちし者…》
《汝は、力を望みし者…》
《汝は、力を忌みし者…》
《汝の、望みをかなえよ…》








昼休み




「…って声が誰も居ないのに聞こえたんだよ!マジで恐くない?お化け?ってゆーかストーカー?
 ストーカーだったら最低!マジキモイ!防犯対策しないと!」

毎度のことながら、俺は悠華のうるさい声をBGMに読書に勤しむ。

「どーせ気のせいだろ〜?幽霊とかお化け大好きじゃん?それにストーカーな訳ないじゃん、
 誰が好き好んでお前をつけるんだ? 
自意識過剰なんじゃね〜の?」(本を読みながら)

「た、拓真さん…」

早百合がおろおろと俺に注意を促すが、俺が悪いんじゃなくうるさい悠華が悪い。

「何言ってんの!あたしみたいにカワイイ子は山あり谷ありの人生が後にも先にも続いていてひとつ乗り越え
 るたびに経験値がたまってレベルが上がるたびにどんどんどんどん美しく可憐に育っていってそのうちアイ
 ドルなんかにスカウトされちゃってりなんかして全国からかわいい〜彼女にしたい〜なんていうファンレタ
 ーともラブレターともいえるお手紙もらって最終的には白馬の王子様が迎えに来てくれて二人は永遠の旅路
 に飛び立ち遥かなる花園へ…って、聞いてんの!バカ拓真!!」

あ〜うるさい…

「しっかり聞いて分別して捨ててるぞ〜」(ページめくりながら)

「ふざけんなー!!!」ごすっ(ひじうち)

「げふっ!何すんだ!妄想夢見女!」

「あああぁぁぁ…」

早百合が情けない声をあげるが、俺達には届かない。

「なによー!か弱い女の子が恐い思いして人に聞いてもらいたくてでも他に人がいなくて仕方なくバカのあんたに
 聞かせてあげたんだからもっとしっかり喜び勇んで聞きなさいよー!!」

「誰がか弱い女の子だ!思いっきり体重かかったヒジいれたくせに!
 っていうか仕方なく与太話に付き合わされる身になってみやがれ!!自己中武闘派男女改!!」

「あたしは重くないわよ!!!」どすっ(正拳)

「ごふっ!!…つっこむとこはそこかよ………がく…」

「きゃああぁぁ!拓真さ〜ん!?」

やっぱり早百合が悲鳴を上げるが俺達には届かない。



………これがいつも通りだったりする、我が学園生活。

……泣きたい。

……






放課後



「いてて…まだ痛みやがる。あの、高慢自己中暴れ牛女」

「ま〜たやったのか… まるで子供だね」

なぜか笑顔満面の村雨。すごくムカつく。

「本当のバカは殴られても学習しない…」

……ボソッと言っても聞こえてるぞ、大輝

「学校での夫婦漫才は控えめにってね」

「智哉ー!! 誰と誰が夫婦だー!!!?」

「そうか〜?俺の知る限り、悠華があそこまで気に入ってるのはおまえだけだぞ?」

「…と、彼女の幼馴染、村雨殿が申しておりますが?」

その笑顔、本気でムカつく。

「………気に入られてもぜんぜんうれしくない…」

「またまた〜嬉しいくせに! ついついケンカしちゃうんだろ?オコサマ〜」

「智哉!さっきからうるせ〜!!」

「(図星を指されると怒る…と)」

「(お子様の条件クリアだな)」

「(だね… メモメモ…)」

こいつら… 俺で遊んでやがる…

「い・い・か・げ・ん・に…」

と、そこへ…

「ねぇ早百合、こっちからバカっぽいバカらしいバカの声がバカらしく聞こえたよね?」

「悠華ちゃん!バカバカって言いすぎ!」

奴が来た。

「げ」

「お〜、噂をすれば何とかってね。偶然って怖いね〜拓真くん?」

…いい加減にしやがれ。智哉。

「ちょっと、今、『げ』とか言わなかった?バカ拓真!」

「言ったがどうした!?耳でか女!っていうかバカバカいうな!バカ女!!」

「でかくないわよ!失礼ね!バカにバカって言って何が悪いのよ!ちなみにあたしはバカじゃないわよ〜だ!!」

「ち、ちょっとふたりとも…」

慌てる早百合と…

「いや〜いつ見てもほほえましいね〜」

「どっちも子供だからな…」

「バカともいうな」

微笑む外野ども。てめぇら、覚えとけよ。

「あわわわ…」

「早百合、まあ落ち着きな」

「ででででも…」

「仲がいい証拠じゃないか」

「そうそう。仲睦まじいってね〜」

「……小学生のな」




その時、

キィィィィン!

「え?」

「わ!?」

「なんだ?」

「耳鳴り!?」

「なに!?」

「きゃあ!?」

突然、脳に響き渡るような甲高い音が俺達を襲った。


キィン!! キィィィィィィン!!!


音はだんだん大きくなり、俺の意識は白んでいった…






《汝は、選ばれた… 目覚めよ…》

重々しい声が聞こえた…気がした。

………

……










〈???〉




………

……



……さらさら…

心地いい音と、いい香りがする…

…ゆさゆさ…

「た……さ… …くま…ん!」

体が揺さぶられ、馴染みのある声がする…

「ん… 俺は…?」

「あ… 良かった… 気がつきましたか?」

嬉しそうな早百合が俺を覗き込んでいた。うわ!か、顔が近い!

「え…?さ、早百合?どうして…?」

「気づいたら拓真さんが倒れていて… でも、よかった…」

少し落ち着いたのか、早百合が身を引く。た、助かった。静まれ心臓!

「その…心配してくれてありがと。え…っと… みんなは?」

「近くには誰も…」

「ここは?」

「…分かりません……」

「何が…起こった?」

「……すみません…」

反転して、泣き顔になる。やばい、ど、どうしよう…

「そ、そっか… じ、じゃあ、まずはみんなを探そう! がんばるぞー えいえいおー」

むりやり明るい声を出す。…はっきりいって恥ずかしい。

「……(くす)そうですね、がんばりましょう」

…不自然なのがばれたかな?アホみたいだ、俺。ま、気まずいよりはいっか。




とりあえず立ち上がり、辺りを見やる。

周りは木々に囲まれ、そばには小さな清流が流れている。そうか、この音だったんだ。

…香りの正体は… もしかして早百合!? …女の子っていい香りがするんだな〜…って!

何考えてんだ俺!早百合が不思議そうに見てるだろ!切り替えろ!

え〜と…ごほん!




まちがいなく、さっきまで居た自分達の町ではない、と思う。隅から隅まで知っているわけじゃないけど、

こんな自然豊かなところは絶対に無い。どうしてこんなところに居るんだ?

「………考えてもわかんないか。やっぱりみんなを探すのが先決だな!」

「あの…拓真さん? その…、鉄の棒みたいなものは何ですか?」

「へ?」


目を右手に移すと、何故か俺は一振りの刀を握りしめていた。

「な、なんで… って早百合も、それは?」

「え?」

同じように早百合は白木拵えの刀を持っていた。

「ど、どうしてこんなもの持っているの!?」

とさ、と音がした。きっと放り出したのだろう。その頃には、俺は俺の持つ刀を見つめていた。

うろたえ、混乱する。しかし、刀から目をそらすことはできなかった。




鉄拵えの刀だ。今は鞘に納まっている。刃渡りは俺の足元から胸の高さ、150cmほどもあるだろうか。

長い。普通の刀より長いだろう。絶対。

それに、この刀からは不思議な感じがする。早百合に言われるまで持っていることすら気づかなかった。

まるで体の一部のように…。

そうあるのが自然だというかのように…。




ようやく早百合の方へ目をやる。

やはり刀は地面に落ちていたが、早百合も目を離せないようだった。

早百合の持っていた刀は俺のに対し、白木拵えだ。確か護神刀ってこんな感じだったかと思う。

刃渡りは俺のよりかなり短い。脇差ってやつだろうか。

やはりこちらも不思議な神々しさを感じる。

この二本の刀はいったい何なんだ?



「………」

「………」



静寂が流れる。



「こ、これって本物… なのかな…?」

かすれた声がした。

「そ、そうだな!案外おもちゃかなんかだったりで…はずれとか書いてあったり…」

軽口をたたくが、声は上ずる。ええい、見るのが一番!やったろうじゃん!

そして柄に手をやり、引き抜く!


「これは… 本物だ。真剣だ…」

と、

キィィィン!!

また、あの時の脳に直接響く甲高い音と

《汝、力を欲するか?》

男の声がした。

「な…!?」

なんだ!?誰だ!?

周りには誰も居ない!?




そのとき、突然俺達の目の前に二人の少女が、空から降ってきた。

…空から?

「え?」

「お前達が、エトランジェか?」

青髪・青眼の少女が剣を携え、こちらを睨み付けていた。





続く









あとがき

皆様、はじめまして。タスクと申す者です。

自分は、オリジナルの神剣を考えていたところ「こんな設定面白いな〜」っていうものがいろいろ出てきまして、

あれこれしている間に「SS書いてみたい」になり、結果、こうなりました(爆

今までSS書いたことも無いのに大それたことをしてしまったと思っていますが、

自分なりにがんばって楽しく書いていきたいと思います。


稚拙な文で失礼致しました。こんな文章でも楽しんでいただければ喜ばしい限りです。

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