―不明
  夢の中

―数人の人が自分をみている

―いらないものを見る目

―邪魔者を見る目

―そして・・・・・物を見るような目・・・・・・。




─不明
  謎の森

箕鏡尊が光の中から出て最初に目にしたのは見覚えの無い森だった。
少なくともさっきまでいた神社ではない。
あたりに人の気配は無い。
もちろん悠人たちもいない。
とりあえずさっきまで見ていた夢のことを考える。

ミコ(またこの夢ですか。何の夢なんでしょうね?やっぱり捨てられる前の夢なんでしょうか?しかし ずっと見て無かったのに何で今頃・・・・・?)

尊は幼い頃に捨てられた過去を持っていた。
そのことは心の傷にはなっているし、その前の記憶が無い事は今でも気になっている。

ミコ(まぁ、夢なんて見ようと思って見れるものじゃないですし、気にすることもありませんね。 それより今は現状を把握しないと・・・・・・。)

空を見上げるとかすかに白んでいた。
鳥の鳴き声もするのでどうやら朝らしい。

ミコ(う〜ん。ここはどこなんでしょうね〜?)

心の中でのつぶやきに答えるものはいない・・・・・・
はずだった。

??『ここはファンタズマゴリアだよ。』
ミコ「!?」

いきなり声がしたので再度あたりを見回してみるがやはり人はいない。
目に映るのは木と草だけだった

??『あ・今君の心に直接話し掛けてるんだよ。』

さっきと同じやや甲高い声が尊の頭に響く。
不意打ちだった一回目に比べいくらか落ち着いて尊は返事をした。

ミコ「心に・・・・・・ですか?」
??『そう。あ・自己紹介がまだだったね。私は永遠神剣第千位【幻想】だよ。ヨロシクね♪』
ミコ「永遠神剣?」
幻想『そうだよ。見てもらったほうが早いかな?』

次の瞬間、尊の目の前に闇の穴があいた。
そこからでてきたのは・・・・・・

ミコ「大鎌・・・・・・・・ですね?」

思わず声に出してしまった。

幻想『それでも剣なのー!』

幻想はかわいらしい声で反論する。

ミコ「そうなんですか。まぁどうでもいいですが。」
幻想『どうでもよくないのにぃ。』

幻想に顔は無いがもしあったなら、今はほっぺたを膨らませて怒っているだろう。

ミコ(からかうと面白い子(?)ですねぇ。)
幻想『聞こえてるよ。』

不機嫌そうな声で幻想が言う。

ミコ「まぁ。分かってて思ったんですが。」
幻想『ぷ〜。意地悪ぅ〜。』

ちょっといじけモードになる幻想。
さすがにまずいと思ったのか、尊は幻想をからかうのを止めた。

ミコ「ごめんなさい。謝りますから機嫌を直してください。」
幻想『ホントに?』
ミコ「もちろんです。」
幻想『じゃあ許してあげるよ〜。』

幼さゆえかさっきまでの機嫌の悪さはどこへやら。
もうすっかり幻想は機嫌を直していた。

ミコ(ふぅ。幼い子は単純だからいいですね。)

尊は今度は幻想が心の声を聞いている事を完璧に忘れていた。

幻想『それも聞こえてるよ!』

そういわれてつい思ってしまった事を後悔した。
一回へそを曲げてしまった幼い子(?)の頑固さは筋金入りだった。
今度は幻想の機嫌を直すのに数十分もかかった。


機嫌を直した幻想に尊は自分について自己紹介した。

ミコ「僕は、尊、箕鏡尊です。ヨロシク」
幻想『うん。ミコトでいいよね?あ・この世界には苗字って物は無いから他の人に名乗る時もミコトっていうといいよ。』
ミコ「分かりました。」
幻想『私はさっき言ったとおり、私は永遠神剣第千位【幻想】だよ。ヨロシクね。』
ミコ「はい。ヨロシク。でもさっきから言ってる永遠神剣ってなんですか?」
幻想『え〜っとねぇ。永遠神剣って言うのは神につくられし聖剣って呼ばれてるものだよ。 永遠神剣には1〜10の位と名前があってくらいの数字が小さいほど大きな力を持っていて、それぞれの名前にちなんだ力や目的をもったものが多いんだ。 でも位の低い神剣は自我が無いものも多いから明確な目的があるのは上位神剣だけなんだよ。ここまではいい?』
ミコ「いいですけど・・・・・・幻想って第千位なんでしょう?もう十とかって域じゃないと思うんですけど・・・・・・・。それに低位の神剣には自我が無いはずなのになんで幻想には自我があるんですか?」
幻想『さぁ?』
ミコ「さぁって、それでいいんですか?」
幻想『いいんじゃない?別に困ってないし。』
ミコ「・・・・そうですか。」

もう尊は何も言う事が出来なかった。

幻想『じゃあ話をすすめるね。永遠神剣は自分の目的を果たすために自分の持ち主を探すんだよ。 あ・でも持ち主には誰でもなれるわけじゃなくてミコトみたいな異世界からきたエトランジェとか妖精であるスピリットしかなれないんだ。』
ミコ「あぁ、やっぱり僕は異世界に来たんですね。」
幻想『そうだよ。そっかぁ、その説明もしなきゃね。 ここはさっきも言ったとおりファンタズマゴリアだよ。 ミコトが居た世界から見れば異世界ってやつだね。 ファンタズマゴリアはマナっていう特殊な物質が満ちてる世界で、気候とかもマナの影響を受けてるから砂漠の隣に極寒地があったりもするんだよ。 で・ミコトが居た世界・・・・って言ってもこの世界から見た異世界すべてはハイペリアって呼ばれてるよ。 だからミコトはハイペリアから来たって事になるね。 この世界とかの説明はこんなもんかな。』
ミコ「なるほど。」
幻想『それじゃあ話を戻すね。神剣は自分にあった持ち主を発見したらその人に寄生するの。』

幻想はとんでもない事をさらりと言ってのけた。

ミコ「寄生って言うと持ち主は操り人形みたいなものですか?」
幻想『そんなことないってば。人の話は最後まで聞いてよ。 神剣はまずその持ち主と契約してさっきも言ったとおり目的を達成しようとするんだよ。 寄生って言うのはその契約を破った時に持ち主を取り込んじゃうからそういわれるようになったの。 神剣の説明はこんなところだから早速本題に入るね。 今からミコトと契約するから。』
ミコ「・・・・・・は?」

唐突な幻想の言葉に尊は一瞬反応が遅れた。

幻想『だ〜か〜ら〜。ミコトと契約してあげるっていってんの。 ありがたく思いなよ。』
ミコ「いや僕の意思無視ですか?」
幻想『まぁまぁ。それで強くなれるんだからいいじゃん。』
ミコ「その前に強くなる意味がないじゃないですか」
幻想『あ・言い忘れてたけど、ファンタズマゴリアは大陸中が戦争中だよ』
ミコ「え・・・・」
幻想『戦争中に丸腰できりぬけられるほどミコトは強いのかな〜?』
ミコ「・・・・・・・・」

詰みだった。

幻想『まぁまぁ、私は楽しめればそれでいいから特別何かしてもらうわけじゃないし。』
ミコ「それはまたなんと言うか・・・・あっさりしてますね〜。」
幻想『そうかな。ねぇ・・・・・・・ミコトは私なんかじゃいや?』
ミコ「う・・・・」

涙声の幼い声で聞いてくる幻想。
尊は罪悪感にかられる。

ミコ(そんな声でいわれたら断れるわけ無いですね。ま・嫌じゃないですし。)
ミコ「いいや。嫌なはず無いじゃないですか。断る理由がどこにあるんですか?」
幻想『じゃあ決まりだね。・・・・・・・・っとよし。契約完了♪』
ミコ「え?なんか早くないですか?もっとなんかあってもいいと思うんですけど。」
幻想『え〜。そんな事言われても終わりなんだもん。』
ミコ「まぁいいですか。これからヨロシク。幻想。」
幻想『うん♪』

幻想の明るい声がミコトの頭の中に響いた。
ミコトがふと空を見上げると空はだいぶ明るくなっていた。

ミコ「さて、だいぶ明るくなってきましたしこれからどうしますか?」
幻想『とりあえず街にでてみようよ。 ちょっと遠いけどここをまっすぐ行けばあるはずだから。』
ミコ「わりました。じゃあ行きましょう。」
幻想『うん。』

ミコトは薄暗い森の中を歩き出した。






─聖ヨト歴330年 エクの月 青 みっつ日 夕方
 守り龍の寝床前

尊はもう半日以上物まず食わずで歩き続けていた。
さっきから、腹は空腹を訴え続けている。
ミコトはすぐ近くに洞窟があることを気づきそこで休む事にした。

ミコ「ふぅ。街まではまだなんですか?」
幻想『・・・・・・・・』
ミコ「どうしました?」
幻想「この洞窟の奥で誰かが戦ってる。エトランジェ1人とスピリット3人。 相手は・・・・・・・たぶん龍。」

尊はその言葉を聞いて幻想を握りなおした。
言われてみれば洞窟に入ったあたりから何となく緊張感のようなものが感じられていた。

ミコ「この世界は龍までいるんですか。龍は強つよいんですか?」
幻想『世界の守護者なんていわれるほど強いよ。』
ミコ「今、どんな感じですか?」
幻想『圧倒的に龍が有利だね。このままだとたぶん4人は死んじゃうよ。』
ミコ「知ってしまった以上は見殺しにはしたくないですね。 幻想、サポート頼みますよ。」
幻想『まっかせてよ!』
ミコ「よし。行きます。」


―同日 夕方
 守り龍の寝床最奥

ユウ「くそっ。」

悠人は目の前にいる龍を睨みつけた。
自分の数倍の大きさのある龍とは力にも数倍もの違いがあった。
そしてもう味方はすでに動ける状態ではない。
アセリアは爪で背中をざっくりと切られたためまともに動けない。
オルファは翼で打たれた際に体を壁に打ち付けられ気を失っている。
そしてエスペリアは氷の息吹を受けて氷付けになっていた。
唯一動ける悠人ももう体中は傷だらけである。
戦況は絶望的だった。

龍 「さらばだ。」

龍の攻撃が悠人に迫ったが悠人はもうそれをかわせるほど早くは動けない。
悠人は死を覚悟し目をつぶった。
しかし龍の攻撃が悠人のとどく事はなかった。
悠人が目をあけるとそこには大鎌を持ったエトランジェが立っていた。




尊は龍を見た。
自分の数倍はある龍を目の前にしても不思議と恐怖心はわいてこなかった。

ミコ(さて。勢いよく飛び出したはいいですけど、これからどうしましょう。)
幻想『大丈夫。戦闘に関しての知識を私が送るから。』
ミコ(は〜。そんなこともできるんですね〜。)

そんなやりとりを心の中でしていると目の前の龍、サードガラハムが問いかけてきた。

サー「人間よ。主は何をしにここに来た?我はそこにいるおろかな人間を滅ぼさねばならん。 用が無いなら退くがよい。」
ミコ「そういうわけにはいけませんねぇ。人が死ぬのを黙って見過ごす事は出来ませんよ。 それにしてもエトランジェって言うのはユウトさんでしたか。」

突然自分の名前を呼ばれ悠人は驚く。

ユウ「お前・・・・ミコトか?何でここに?」
ミコ「さぁ僕にも分からないんですよ。ま・とりあえず今は・・・・。」

サードガラハムの翼による一撃をミコトは軽々とよけた。
そして次の瞬間にはサードガラハムの上を飛んでいた。

ミコ「この方を倒してしまわないと。」

そういいつつ体重を乗せた一撃をサードガラハムの背中に入れる。

サー「グオォォォォ。」

サードガラハムのうめき声が辺り一帯に響いた。
今度はサードガラハムの翼による一撃が尊を襲った。

ミコ「盾 2 展開」

そう尊が唱えると尊の前方にオーラフォトンによるバリアが現れた。
サードガラハムの攻撃はそのバリアによって阻まれる。
さらにサードガラハムは口から氷の息吹をはいた。

ミコ「対魔法 1 消滅」

また尊が唱えると今度は氷の息吹は跡形も泣く消えていた。
今度は尊が攻撃を加えた。
サードガラハムの翼、腕、脚などを切りつける。
あっという間にサードガラハムは傷だらけになった。
一通り攻撃がすんだところでミコトは距離をとった。

ミコ「闇雷 5 標的 1 掃射!」

幻想から闇の雷が放たれた。
その雷はサードガラハムを貫通した。

サー「グアァァアァァ。」

さきほどの悲鳴とは比べ物にならないくらい大きな絶叫が洞窟内に響いた。
もうサードガラハムは動かなかった。
悠人は自分があれだけ苦戦した龍をあっというまに倒してしまう強さに驚くばかりだった。




尊がアセリアたちに回復魔法を施しエスペリアを氷の中から助け出したところでサードガラハムが口を開いた。

サー「我がここで滅びるもまたマナの導きか・・・・・・。」
ユウ「な?!まだ死んでないのか?」

悠人は求めを構えようとしたがそれを尊が制した。

ミコ「ユウトさんもうこの龍に力は残っていません。これ以上は無意味です。」

その言葉を聞いて悠人は求めをおろした。
悠人が落ち着いたことを確認すると、尊はサードガラハムに問い掛けた。

ミコ「どういうことですか?僕たちを試していたようですけど。」
ユウ「な?・・・・・」

悠人は突然の言葉に驚いた。

サードガラハムはエスペリアたちのほうを向いた。

サー「小さき妖精達よ。これから始まるであろう事は、お前達の未来も変えていくだろう。」

サードガラハムがさっきとはうって変わって優しささえ感じられる声で言った。
アセリアやオルファリルも、龍の言葉を聞き入っている。

サー「我は人は好かんが、妖精達は近くに感じている。お前達に未来があることを願う」
エス「守り龍様・・・」

最後にサードガラハムは悠人のほうを向いた。
もう身体全体が霧へと変化していた。
サー「求めの所有者よ。」
ユー「な、何だ?」

動揺しながら返事を返す。

サー「自らが求めることに純粋であれ。負けぬように・・・小さき妖精達を守るのだ。」
ユウ「な、ちょっと待てよ。お前は俺たちを倒そうとしていたんじゃないのか?」

しかし悠人の問いにサードガラハムは答えなかった。

サー「幻想の所有者よ・・・・・」
ミコ「なんですか?」
サー「お前は何者なのだ?」
ミコ「・・・・・・・・・・」

尊は言葉を返す事が出来なかった。

サー「まぁよいか。小さき者たちよ。お前たちの未来に幸あらん事を。さらばだ。」

そういい終えた後、龍がいたはずの場所にはもう何も残っていない。

ミコ(何者だ・・・か。それは僕が聞きたいですよ)

その言葉は誰にも届かなかった。