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プロローグ


2941年
それまで平和だったカタリナ連邦に突如として襲い掛かった軍事大国ノースオリア共和国。
完全なる奇襲によって開戦から半年でカタリナはその領土の4割を奪われることとなる。
前回の戦争からおよそ200年…
カタリナの人々が平和ボケするには十分であった。

2944年…
開戦から3年、いまだにこの戦いの終わりは見えない。
緒戦で後れを取ったカタリナ軍であるが、地の利を生かし膠着状態に持ち込むまでそれほどかからなかった。
戦局は疲弊したまま今日に至っている……


2944年6月13日カタリナ連邦ノルマディア地方、現地時間16時27分、前線から約5km地点の街道…
突然目の前の地面から土柱が何本も立ち上がる、そして空気を切り裂くチューンという音
道の反対側の林の中のいたるところから発射の閃光がホタルのように輝いている。
すでにこの状態になってから20分がたとうとしていた。
補給品を満載したトラックの車列とその護衛一個中隊は突然現れた敵偵察隊の攻撃を受け道の端で足止めを食らっていた。
敵は道の反対側約100mの林の中から機関銃とロケット砲で攻撃してくる。
すでに装甲戦闘車一両とトラック二台がやられ路上で派手に炎を吹き上げていた。

馬鹿!閃光を狙って撃つんだ!」

自身のAR-89Tの弾倉を交換しながら隣にいたMINIMIをバカスカ撃っている新兵に激を飛ばす。

(ただ撃てばいいって言うもんでもないのに、まったく…これだから新入りは!)

悪態を考えながら自身も銃を構えなおす。
突然、道の反対側が派手に吹き飛び土の塊がヘルメットにバラバラとあたる。
敵がRPGで狙っていたようだ。

「ちくしょ…」

呟きながら身を隠す。

――バカン!!
と横にいた補充兵が動かなくなった。
ヘルメットごと頭を打ち抜かれ脳漿混じりの血が流れている。

「狙撃兵だ!身を隠せ、狙われるぞ!」

と叫んだが既に遅かった。
数人が頭を続けて打ち抜かれ絶命する。
シュネアは舌打ちし隣にいる指揮官に叫ぶ。

「ルージュ!これじゃ拉致あかないよ!!」
「そうね……メレット!

と無表情に答えて幼馴染の中尉はそのさらに隣にいる無線手を呼ぶ
「司令部宛”我中隊規模の攻撃を受ける。直ちに攻撃及び救急へりを要請す”現在位置も忘れずに伝えて」
了解といってメレットは指示どおりの無線をとばす。

「このままじゃまずい…わね」

と中隊長ことルージュは無表情にぼやく。
死傷者多数、まだ致命的な数には至っていないがそれでも時間の問題である。
おまけにこっちは武器弾薬満載のトラックのそばにいるのだ、いつ誘爆して被害がでるかわからない。
肝心の護衛の戦車は…
二両は前日までの大雨のため泥に足を取られ行動不能、一両は射撃系にトラブルが発生していた。
頼みの綱は30mm機関砲の歩兵戦闘車だがトラックが邪魔で思うように攻撃できていなかった。
本部からの返答は救急ヘリならすぐ送れるが、戦闘ヘリは準備できていなかったためすぐには送れないというものだった。
はぁっとため息をつく
開戦から三年もたつのにいまだに兵士の質はあまり向上していなかった。
同じ隊ならともかく違う兵科との連携にはまだまだ課題は多い。
─バスン!
はじけるような音が響いてその方向を見る

あっあっあっあああぁぁぁぁぁぁ──!

兵士の一人が指を吹き飛ばされ、手を凝視しながら戦慄した表情で叫んでいる

「──衛生兵!」

叫ぶ…がだれもこない。いやこれないのだ。
衛生兵は総出で負傷者の治療に当たっていた。
近くにいる衛生兵をみるが左腕をRPGで吹き飛ばされた者の治療で精一杯のようだ

「いたい!いたいよぉぉぉぉ!もうだめぇ!!死ぬぅ!たすけてぇぇ!!!」
「だいじょうぶ、死にはしない!だめだ傷口をみるな!見ちゃだめだよ!!」

悲鳴を上げながら助けを求める新兵の少女、彼女が傷を見ないよう覆いかぶさりながら治療していた。
ぱっと見、女同士が絡み合う怪しい状況だがその治療中の腕は肩から少し先がちぎれ飛んでおり筋肉や骨が露出していた。
本人が見れば確実に錯乱状態へと発展するだろう。

「ミリエス着ました!!」

ようやく来たもう一人の衛生兵ミリエスはてきぱきと指を吹き飛ばされた者の治療を始める。
皮一枚でつながってぶら下がる指を丁寧に元の位置に戻し包帯で固定する。

(このままじゃ消耗戦ね……こうなったら)
「シュネア!!」

となりにいる幼馴染がふりむく。

「軍曹!自分の分隊を率いて敵の後方に迂回し強襲しろ!ミリシアもつれていけ」

「了解」と短く答え分隊各員に声をかけ走ってゆく。
ミリシアも治療が完了するとそれに続いていく。
遠くからヘリの爆音が近づいてきていた……



自分の分隊員をかき集め身を隠しながら林まで迂回する。
道路を横切れば敵にばれるのでどこか回りこめそうなところを探す。
分隊はクリル、フロイド、サリア、ジョンそして衛生兵のミリエス五人。
だがもう一人ドサクサ紛れにカメラマンがまぎれこんでいた。前線に行きたいと補給基地で騒いでいたやつだ。
「命の保障ができない」と言ったにもかかわらず、「足手まといにはならない」といって強引についてきていた。
ただ単にスクープほしさに見えたが、論議している時間が惜しいので最後尾に着くよう指示して走り出す。
しばらくすると道路の下に水路のトンネルをみつた、どうやら林側へ渡れるようだ。
隊員を待たせ安全確認のためトンネルに入っる。
中は蜘蛛の巣だらけな上かび臭い空気に顔をしかめながら慎重に出口まで歩く。
壁によって出口を確認したが、幸い出口に敵の伏兵など無く安全確認の後「クリア」と短く合図し部下たちを渡らせた。
水路から上がり状況を確認するとどうやら死角で、敵の位置は見えない。
しかし絶え間ない銃声はその位置を正確に教えてくれていた。

「行くぞ!続け!!」

隊員に合図し林の中へ入ってゆく。部下たちも一列になってつづいてくる
夕方になったせいなのか、霧がたちこめはじめていた……


時計を見る17;00ジャスト…

「まいったね…こりゃ……」

誰に言うでもなく呟く。
たちこめはじめた霧はまたたくまに1m先の視界まで奪ってしまった。
これほどの季節外れの濃霧は体験したことが無い。
さらに困ったことに先ほどまで聞こえていた銃声がぱたりとやんでしまったのだ。
おかけで今自分たちがどの辺にいるかさえもわからない始末。
下手に動いて敵と鉢合わせなんていうのもカンベンである。

「本隊との通信は?」
「だめです軍曹…ノイズばかりでつながりません」

通信兵のジョンは力なく答えた。ほかの皆も不安な顔をしている。
無理もない、本隊から孤立したとなればこんな一個分隊では敵に全滅されるのがおちだからだ。
しかもこの濃霧ではすぐ前に何があるのかさえわからない。

(これじゃあ撤退もままならない…か)

どうしようか思案に暮れる。だがそのとき

「軍曹!みてください霧が晴れます!」

一昨日補充されたばかりの新入りサリアが喚起の声を上げる。
見ればうっすらとだが周りの景色が鮮明になりだしていたもう五十メートル四方は見渡せるくらいになっている。


シュネアは困惑していた。無線は通じず、周りの地形と地図が一致しないし、ノルマディアには生育しないような植物群
もともとあまり深く考えるような頭を持ってないシュネアはあたまからけむりを出していた。

「シュネ…おちついて」

伍長のクリルが肩をたたきながら心配そうにのぞきこんでいた。
ルージュとともに付き合いの長いクリル。心中を察して心配してくれたのだ。

「うん…わかってる」

少し落ち着きを取り戻し冷静に考える。
無線は通じず現在位置も不明、こちらにあるのは武器弾薬、幸いなことに携帯食と水もある。
まずはこの森を抜けて位置を確認できるところまで移動するのがベストだろう。広いところに出れば無線も通じるかもしれない。
日もとっくに沈んでいて月もでていない、敵に見つかる可能性も低いだろう。

「よし…じゃあとりあえず――!?」

ドゴォォォン!
突然数十メートル先から爆音が上がる

「敵!!?」

皆即座に地面に伏せる
続けて二回さらに爆発が起こる。
幸いこちらを狙ってはいないようだ。

「軍曹どうします!?」
(どうしますと聞かれても…)

確かにいまは敵との遭遇は避けたい。
しかし攻撃されてるのは味方かもしれないのだ。見捨てるわけには行かない。

「やられてるのは味方かもしれない!とりあえず様子を見に行こう、アタシとクリルとフロイドで先行!
 サリアとジョンはミリィと記者さんのお守りだ!戦列縦隊、いくぞ!!」

そう部下たちに指示を出し自分を先頭に続かせる。


プロローグ終


あとがき
くはーやってしまいました。アセリア感が微塵もないプロローグですがお許しください。
はーいそこ!戦国自衛隊とか言わないように。映画は見たことないですから!
このカタリナ連邦というのは自分の考えていた一次創作にでてくる架空の国です。
移民の国で様々な人種の人が暮らしており、髪や瞳の色も様々という設定。
まぁこの一次創作膨らみすぎて文章に起こせずに現在に至っておりおかしな点もあるとは思いますがご容赦ください。
当然「永遠のアセリア」の真の主人公高嶺 悠人が住む地球とは別の世界にある国です。他の惑星とも言えるかな?
カタリナの敵国ノースオリアは敵国の名前で悩んでたときに友達が考えてくれました。
友達いわくノース(北)がつくと敵っぽいよねということで…ってそりゃノースコ○ア(北○鮮)だろがぁΣ( ̄□ ̄ )
と鋭いつっこみもいれたところで友達もこのSSに一枚かませろと言ってきたのでそのうち出てくるかもしれません。

用語解説

◆AR-89T
カタリナ軍の制式ライフル。
アサルトライフル89タイプの略です。
はい自衛隊の89式小銃そのものですごめんなさい。
種類 軍用ライフル
製造国 日本
設計・製造 豊和工業
口径 5.56mm
銃身長 420mm
ライフリング 6条右回り
使用弾薬 5.56mm×45
装弾数 30・20発
作動方式 ガス直圧作動、ターンロックボルト
全長 約920mm(固定銃床型)
約670mm(折り曲げ銃床型)
重量 3,500g
発射速度 最大約850発/分
銃口初速 920m/s
有効射程 500m
(Wikipediaより抜粋)
なぜって自分が電動ガンで持ってるので書きやすいと思ったからです。
もっと詳しくはWikipediaで89式小銃と検索してみてください。

◆M-249 MINIMI
アメリカ軍などに配備されている軽機関銃です。
自衛隊にも配備されています。
種別 分隊支援火器
口径 5.56mm
銃身長 465mm
ライフリング -
使用弾薬 5.56mm×45
装弾数 200発箱形マガジン(M27)
30発(M16用マガジン)
100発(C-Mag)
作動方式 ガス直圧作動、オープンボルト
全長 1,038mm
重量 6.9kg(無装填状態)
10kg(200発装填状態)
発射速度 ベルト給弾時 毎分725発
マガジン装着時 毎分1000発
銃口初速 -
有効射程 FN発表値1,000m
米軍の方針:肩撃ち・点標的で600m、肩撃ち・面標的あるいは伏射・点標的で800m
オーストラリア陸軍の方針:伏射・点標的で400m
(Wikipediaより抜粋)
もっと詳しくはWikipediaでM249と検索してみてください。

◆RPG-7
Rocket-Propelled Grenade(ロケット推進擲弾)の略
多分一番有名なロケットランチャーかと思われます。
中東地方の武装勢力や映画などでもよく見かけます。
身近なところでは数年前の不審船事件で海上保安庁の警備艇に向けても発射されました。
映画「ブラックホークダウン」でも『RPG!!』と叫んでるあれです。
以下の数字は、RPG-7の販売元、ロソボロンエクスポールト社(Rosoboronexport)による。

発射器

口径:40mm
重量:6.3kg(光学照準器付)
全長:650mm
弾頭

PG-7V-汎用弾頭。1961年採用
弾頭:成形炸薬弾
重量:2.2kg
直径:85mm
貫通能力:260mm

PG-7VL-汎用弾頭。1977年採用
弾頭:成形炸薬弾
重量:2.6kg
直径:93mm
貫通能力:600mmのRHA(Rolled Homogeneous Armour、圧延均質甲鈑)を貫通

PG-7VR-重装甲用弾頭
弾頭:タンデム成形炸薬弾。1988年採用
重量:4.5kg
直径:65mm + 105mm
貫通能力:爆発反応装甲を貫通後、RHAを750mm貫通

TBG-7V-対歩兵用、市街戦用弾頭。1988年採用
弾頭:サーモバリック弾頭
重量:4.5kg
直径:105mm
殺傷能力:半径8m

OG-7V-対歩兵用弾頭。1999年採用。ロケット・エンジンを有さず、文字通りの擲弾。
弾頭:
重量:2.0kg
直径:40mm
殺傷能力:
(Wikipediaより抜粋)
詳しくはWikipediaでRPGと検索してみてください。

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