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プレ・プロローグ 過去 欠けた夢

これは...いつかの記憶...大事な、忘れてはならない思い出...


 領地の哨戒任務中、■■は久々に休暇を楽しんでいた。

「おーい!リスフィー!」

 ■■は休憩中らしき彼女に向かって声をかけた。

「あ。■■■さん。あなたも今日はお休みですか?」

「ああ。そのお茶、オレも貰っていいかな?」

「はい、もちろんです。ささ、今日のはいい味が出てるんですよー」

「ん...ほう、確かに美味いな。後味もさわやかだし...気に入った」

「そうですか!じゃぁ、これからそのお茶の材料を買いに行きましょう!」

「ふむ...それも悪くなさそうだ。この味なら■■が自分で買う価値もある」

「ささ、早く行きましょう!」

「あまりはしゃぐな...行くまでに疲れてしまう...」

 その日は久しぶりののんびりとした楽しい一日だったことを覚えている...
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 そこは戦場だった。剣戟が、閃光が、悲鳴が、辺りを支配する空間...

「■■■さん!?どうしてここに!下がってください!ここは危険です!」

 そう彼女は言っていた...傷だらけで、それでも勇敢に剣を構えて。

「リスフィ!ダメだ...後方の部隊がやられた...このままでは挟撃に遭うぞ!」

 ドォォォォォンッ!

 すぐ側を赤スピリットの神剣魔法が通り過ぎていき、後方で爆発を起こす。

「く...ここもダメですか...もう、逃げ場は無いみたいですね...」

「まだだッ!後方部隊を奇襲した敵部隊は疲弊しているらしい...
 うまくすれば、取り戻せるかもしれない...」

「わかりました...ここはもう放棄するしかありませんね...危険ですが仕方ありません。
 ■■■さんも私たちと一緒に行きましょう...わたしがこの命に代えてもお守りいたします。
 さあ皆、急ぎましょう!」

「わかった!でも自分の命を最優先に考えてくれ!皆絶対に生き残るぞ!」

 そして、リスフィ達の部隊と共に■■は後方の敵部隊へと突撃した...
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「アァァァァァァァァァァッ!ウァァァァァァァァァッ!」

 ■■はただひたすらに走っていた...

 大事な、一番大事な存在になるはずだった人もいた。

 ■■に心を許してくれた子達もいた...守ってやりたいとも思ったのに。

 でも、もう叶わない。■■が無力だったせいで。

 結局一番役立たずな■■だけが生き残ってしまった...

 笑顔で話しかけてくれたあの子も、■■の無駄話につきあってくれたあの子も...

 皆、皆...

 ■■が、守れるだけの力を持っていれば...

 ■■に、共に戦えるだけの力があれば...

 彼女が最期に言ったあの言葉。それをただの夢で終わらせないことが出来たかもしれない...

 ......■■は...強くなろう。誰よりも、何よりも。

 そしていつか、君の夢を叶えてみせる。

 それが、今の■■の、'願い’だ...

 そのために、戦おうと思う。
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プロローグ 始まり、侵入者

「...誰も、いないな...?」

 時刻は日の出からいくばくか。未だ街の大部分は眠りの中にある。

 ラキオス城。その城壁沿いの道、行き止まりに一人の人間(?)の姿があった。

「あの昨日の門番め...まさか本当に叩き出されるとは思わなかったぞ...」

 そう言いつつ周囲を何度も確認しているその姿は、かなり挙動不審である。

 そしてその姿。全身をほぼ黒で統一し、髪の色、目の色も黒。

 おまけとばかりに黒いフード。どう見ても怪しい。

 唯一の例外は左足に巻いた蒼い布と右腕の青い腕輪だろう。

 それによって怪しさが抑えられているわけではないが...

「よし...作戦、開始...」

 その言葉と共にその人間(?)は走り出し、

 「ァァァァ...ッ!せい!ハァッ!」

 ダダダダダ...ズダン!ダン!ダァン!

 十分な助走から城壁に向かって疾走。地を蹴り、壁を蹴り、

 さらにもう一度今度は反対側の壁を蹴る。

 それによって空を舞うその体はなんの妨害もなく城壁を飛び越えてしまった。

 その動きはどう見ても人間には不可能なレベル。

 可能なのは戦闘能力に優れたスピリット、もしくはエトランジェにしか出来ない動きだろう。

「よし...うまくいったか...げっ...」

 まんまと城内に忍び込んだ人間(?)改めスピリット(仮)。だが、

「.........ん?」

 目の前、視界の下方に少女がいた。

 青い目、青い髪。片手には剣を、片手には剣の手入れ道具らしきものを。

 どうやら剣の手入れをしていた所にスピリット(仮)は飛び込んでしまったようだ。

「あ〜...」

「......」

 気まずい空気が流れる...

「何か、用か?」

「あ〜...その、エトランジェ殿、いるか?」

「ん?ユートに用か」

「ああ」

「...ついてくる」

 そう言って少女は立ち上がり足早に歩き出す。

「おいおい...そう簡単に...ってまずい、見失ったらやばい」

 スピリット(仮)は小さく呟きその少女を追って歩き出した...




―このスピリットは疑うことを知らないのか...?―

 そう思いつつスピリット(仮)は歩いている。

 ...どうやら自分が怪しい格好だということはわかっているようだ。

「.........」

 少女は何も言わず黙々と歩いているので話しかけにくい雰囲気である。

―まぁ...いいか。これでうまくいくといいんだけどな―

 黙々と歩くこと数分。

「ここで待つ」

 建物の前まで歩き、少女はそう言い中へ入っていく。

「わかった」

―この建物...見たかぎり宿舎のようだな。外には菜園もあり、か。
ふむ、手入れもよくできているようだ―

 そうして周囲を眺めること数分。

「...ぃぞ」

「...は?」

「...い」

 二、三人の声が近づいてくる。

 そして、

「あ〜...俺に用があるってのは...あんたか?」

 そう言って少年が建物から出てスピリット(仮)に近づこうとする。

「ユートさま、油断してはいけません。刺客かもしれないのですから」

 その少年を押さえるのは緑色の目をした少女。

「...ユートに用があると言った」

 これはさっき案内してくれた青い少女。

「ああ。エトランジェ殿に用があってな。ま、自己紹介をしようか」

 そしてスピリット(仮)はフードを取り、顔を見せる。

「オレの名前はリスフィリア・ブラックスピリット。

 ラキオスのスピリット隊に入れてもらいたいのだが」


続く...


<あとがき>
皆様はじめまして。初投稿の志刻です。
オリジナルキャラがいきなり本編キャラと深く関わってます。
一応設定としては既にラキオス王は死んでます(哀れ王)
本編では丁度マロリガンとの戦闘に備えている頃でしょうか。
後は伏線だらけであることにお詫びを。
■■■は後々登場するのでお楽しみに、とだけ...
感想、ツッコミお待ちしております...が、
色々矛盾点があるかと思いますが強烈なツッコミはご勘弁を...


おまけ

オリジナルキャラ紹介


リスフィリア・ブラックスピリット

人間(?)スピリット(仮)ときてやっと最後に名前が出た人。

この物語の主人公。

永遠神剣第■位「■■」の主。

名前から察する黒スピリットであること以外はまだ謎に包まれている。

神剣の力を解放せずとも身体能力はかなり高いようだ。

外見は全身をほぼ黒で統一。髪の色、目の色も黒。

例外的に腕輪とスカーフは青色。

スピリットは誕生次第即どこかに送られる、さらに女性しかいないはず。

その二つの点において矛盾している。


リスフィ

何者かの夢に出てきた名前。どうやらスピリットのようだ。


■■■
?????

まだまだ伏線があるためこの程度しか紹介できません...が、話の進行と共に追加していきます。

 

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