その日、早朝から戦闘が繰り広げられていた。
戦場の名はヒエムナ。
街の中、人々が逃げまどう中、俺たちヤマト隊は駆け回っていた。
「住民の避難を優先するんだ!無用な戦闘は避け、常に二人一組で行動するように・・」
「了解!」
「俺は一人で動く!何かあったら各自の判断で動くこと。・・・さあ、散開」
必要事項だけ申し送りし、俺たちは火が上がる街の中に散らばっていった。
「クソっ!ラキオスは速駆するほど卑怯な連中かよ」
【精進】引き抜き、俺は街の中心部へ向け駆けだした。
『心されよ主殿。中には【求め】反応がある』
「求め・・・・悠人かよ!」
毒づく俺に、【精進】はなだめようとするも効果はなく、使えるようになった技の事を話すと黙ってしまった。
俺は自分の無力さを思い知らされる事になった、今日という日を絶対に忘れないだろう。
 

 創世の刃
永遠のアセリア another if story
act3 出会いは唐突に、されど別れは突然に。

 
「うおおぁぁぁ!」
振り抜かれる【精進】と、マナ霧に変わるスピリット。
【精進】から伝えられる衝動は、今日は俺の心に麻薬を与えなかった。
それほどまでに切迫する事態。
何体のスピリットがこの戦いに投入されているのか、全く持って理解できなかった。
恐らく、バーンライトのスピリットの大半が投入されているのだろう。
【精進】が伝えてくる【求め】の気配は、徐々に大きなものへと変わっていった。
 
早朝 ヒエムナ スピリット隊宿舎
 
カンカンカンカンカンカン
けたたましくなる警鐘。
敵襲を告げる合図がヒエムナの街を襲った。
ボンヤリとする頭が急激に覚醒されていき、状況が整理されていく。
『どうやら【求め】達が来たようです』
「と言うことはラキオス軍の速駆か!」
急いで着替え【精進】を腰に下げ、コートを羽織る。
一頻り着替え終えると、部屋にレイアとエルが入ってきた。
「失礼します!」
「入るぞ!」
言うことは決まっていた。
「レイア!エル!ヤマト隊宿舎前に招集、急げ」
「「了解!」」
 
現在 ヒエムナ 中央広場
 
「【求め】ぇぇ!今すぐ戦闘を止めろ!!」
中央にいるユートが目を見開き、俺の出現に驚いていた。
一人で敵陣の真っ直中に躍り込んできたのだから当たり前だろう。
「大和!!」
悠人の前に数人のスピリットが立ちふさがり、神剣を構えている。
(青スピリット1、緑1、赤1。どうする?下手にやり合っても勝ち目は無い)
俺は構えを崩さないように腰を落とし、数名の敵とにらみ合う。
広場は乱戦状態で、民家は壊され、美しかった町並みが崩壊していた。
ラキオスのスピリットたちは精鋭らしく、少数部隊だった。
ギリっと奥歯が軋み、自分が歯を食いしばっていたことに気づく。
「今すぐ軍を退け!街の中を戦場にしやがって・・・何人が戦闘に巻き込まれて死んだと思ってやがる!!それがラキオス軍の・・・・人間のやることかっ」
悠人は目に見えて狼狽えた。
俺が叫んでいる間に更に数人のスピリットが悠人の許に集う。
人数どころか、今掛かって来られたら俺はただ一方的に殺されるだけだろう。
「ヤマト様!」
「ヤマト!」
にらみ合っているうちに二人が合流するも、人数の上では向こうの優位は変わらない。
(どうする?こちらは三人・・・・不意でも打てればあるいは?)
突然、ラキオス側のスピリットが一人動き出した。
「ん・・・・行く!」
その青スピリットは長大な剣を携え、俺たちに躍りかかってきた。
レイア達を密集させ、俺は全力でオーラフォトンを展開する。
「アセリア!!待てっ!」
アセリアという名を聞き、レイアとエルの動きが一瞬止まる。
「アセリア・・・・〈ラキオスの蒼い牙〉!?」
「本隊のお出ましか・・・・・」
驚いている二人。
俺はわけも判らず攻撃してくる刃を防ぐことで精一杯だった。
「アセリア!!戻れ!」
悠人はしきりに声を張り、アセリアを止めようとしているが、アセリアに至っては無表情で俺たちに刃を向けてくるばかりだった。
(チャンスか?向こうは統率がとれていない)
後ろに目配せするとエルが無言で頷く。
「エル・・・詠唱を始めてくれ。威力は押さえてくれよ?」
「了解・・・。神剣の主たる我が命ずる」
ひたすら攻撃してくるアセリアの剣を、展開した障壁で防いでいるが限界が近い。
突然、ビシッと障壁にヒビが入った。
(限界・・・・か)
「お待たせ!良いよヤマト」
その声が聞こえた瞬間、一度障壁を解き、居合いでアセリアに打ち込む。
一撃を神剣で巧みに防ぎ、距離を取るためか、バックステップで下がるアセリア。
そのまま悠人に合流し、態勢を整え始める。
「よし!今だエル!」
横に飛び退き、エルの魔法の射線上から飛び退く。
「フレイム・レーザー!!」
威力を押さえ、全力では無いまでも破壊力十分の魔法が放たれる。
ラキオス軍の面々が驚愕に顔を染めた。
「くそ、何で気づかなかったんだ!みんな、俺の後ろに!!」
悠人がすぐに全員の前に立ち、抵抗のオーラを広げる。
 
「レイア・・・・切り込む。行くぞ」
今度はレイアに声を掛け、体を前傾にして居合いの姿勢を取る。
レイアも神剣を構え、ハイロゥを展開している。
魔法を打ち終えたエルも、神剣を構えいつでも行けると合図してきた。
悠人の展開したオーラに魔法が直撃した瞬間、俺たちは一陣の旋風と化した。
「おおおおぉぉぉ!」
「はああぁぁっ!」
抵抗のオーラが消滅し、悠人が無防備になった瞬間、俺ははそれを待っていた。
神速の一歩、神速の抜刀が密集している集団の一部を狙う。
誰も反応出来ない速度で繰り出された一撃。
しかし、一人の少女が反応していた。
鋼がぶつかりあう乾いた音が響く。
目の前には昨夜、悠人の使いで来たへリオンが刀を握り、俺の一撃を防いでいた。
「お前っ」
俺は一瞬怯んでしまった。
ラキオスの精鋭たちはその一瞬を見逃すほど甘くは無かった。
「!!貰いました!」
突き込まれる緑スピリットの槍。
かわすには絶望的な速度。
俺の身体を遅滞なく貫くであろう速度で迫っていた。
その時、突然横方向からの衝撃が俺の身体を突き飛ばした。
「えっ?」
俺の貫かれるはずだった槍に、赤い髪の少女が貫かれていた。
「な・・・んで・・・・」
「バカヤマト・・・」
金の霧がエルを包む。
「でもこれでやっと・・・・仲間達を殺さなくって済むんだね」
エルの顔は美しく、とても晴れやかに笑っていた。
そしてそのままマナに還り始めるエルの美しい笑顔。
「最後だから言っとくけど・・・アンタのコト、結構好きだったよ・・・」
今まで、そこにいたことが嘘であるかのように、エルの身体は消えていった
 
何が起きたか判らなかった。
突然突き飛ばされ、自分の変わりに貫かれた少女。
霧に還った少女。
「えっ、エル!」
レイアが叫び、その声を聞き現実に引き戻された俺。
「ヤマト様!」
無意識のうちに反応し、振り下ろされたアセリアの剣を防ぎ後方へ飛び下がる。
レイアがハイロゥを展開し、俺の横に降り立った。
その瞳には大きな涙が浮かんでいて、哀しみがありありと伝わってきた。
レイアも俺も、早朝からの連戦で身体はボロボロだった。
「退け大和!もう戦えないだろう」
悠人は俺に向かい叫んでくる。
俺の心は別の方向へと向かっていた。
ラキオスの幼い赤スピリットが、詠唱している事にも気づいていなかった。
「パパ、下がって!ファイアボール」
二発の火球が俺に接近して来るも、俺にはもう目に入っていなかった。
俺の眼前で、俺のせいで守りたかった人の一人が死んだ。
そのことが今俺の中の全てだった。
「ヤマト様!避けてください!!」
レイアの声が聞こえる。
そんなことはもうどうでも良かった。このまま死んでももういい、そうさえ思えた。
避けられない距離まで飛んできた火球。
俺が避けないと判ったのか、レイアが俺の前に楯として立っていた。
「あぐっ!!」
少女のか細い声が聞こえ、俺はハッとした。
「レイアっ!」
「ヤマト様は・・・・退いてください。私が・・・殿を」
立っているのもやっとという面持ちなのに、笑っていた。
自分の命を捨ててでも、俺を逃がそうとしてくれていた。
「バカ言うな!置いて・・・」
「行きます」
レイアは神剣を構え、俺の声も聞かず飛びかかっていった。
「待て!レイア!!」
それから起きた出来事は、俺の目に焼き付いて離れてくれなくなっていた。
 
「ラキオス!【求め】!!戦争!!!」
俺は叫んでいた。
「俺がしっかりしていれば。俺が感情に流されたりしなければ」
たられば言ってももう仕方がない。ならば俺がやるべき事は一つだけ。
握りしめる拳から皮が破れ、出血する。
「【精進】・・・・限界まで俺に力を貸せ!」
『それでは貴殿が持ちますまい。死ぬ気か?』
「死ぬ気で奴らを一人残らず・・・殺す」
頭が真っ白になり、逆に冷静さを呼び起こす。・・・・いや、冷酷さなのか?
俺は駆けだしていた。瞬時に【精進】から、獰猛な力が流れ込んでくる。
ラキオスの精鋭スピリット部隊の中心、悠人目がけて。
身体に漲る力のせいか、俺の意識は【精進】なのか俺なのか判らなくなっていた。
刃から溢れるオーラが禍々しく、血のように紅い光を放っている。
「お前達は許さん・・・・」
周囲を取り囲むラキオスのスピリット隊。
その全てを殺せと、俺の中の何かが命令していた。
後は気の向くまま、蹂躙の爪牙となり、敵を食い散らすのみ。
まずはエルを貫いた緑スピリット。
「きゃっ!!」
「お前がエルを殺した・・・・」
身体が異様に軽く、スピ−ドは先ほどより遙かに速かった。
「死ね」
首を狙った一撃は、惜しくも青い剣に阻まれる。
レイアを斬った蒼き牙の剣。
ぶつかり合う刃が乾いた音を上げ、俺たちをはじきとばした。
俺は空中にいる間に刀を鞘に収め、居合いの姿勢をとっていた。
「捧げよう・・・・貴様らの命。・・・・あの二人に」
【精進】が教えてくれた技、全てを刈り取る真空の剣。
「〈虚空の太刀〉」
抜き放たれた居合いの太刀は、鋭く空気を切り裂き、真空の刃となり周囲にいたスピリット達全員を襲った。
周囲に倒れ込み、動かなくなっているスピリット達。
中心に立ち、俺は誰を殺そうか考えていた。
「止めろ!俺の仲間を・・・死なせるか!」
悠人が【求め】を構え、俺に向かってくる。
その様子を見ながら、俺は自分が笑っている気がした。
「おおおおおおお!!」
咆吼をあげる誰か。
もうすでに俺の意識は限界まで薄くなっていた。
これが【精進】の言っていた身体の限界だと、薄々ながら気づいた。
悠人に向かい駆け出す身体。
悠人の持つ【求め】と【精進】の刃が咬み合い、激しくオーラフォトンの火花を散らす。
それは命が最後に放つ儚い、されど美しい輝きによく似ていた。
右、左、上段、下段、突き、袈裟、逆袈裟。
様々な角度から、緩急を付けた刃が悠人を襲う。
辛うじて攻撃を防ぎ、少ないチャンスに反撃してくる悠人。
俺も悠人も笑っていて、それは愉悦の笑みだと感じた。
瞬時に悠人が俺の視界から消え、俺は追うでもなく、立ち尽くしていた。
身体の限界だった。節々が悲鳴を上げ、もう動くことを拒否していた。
突然、背後からの衝撃が俺を貫く。
赤スピリットの放った神剣魔法が、右脇腹を貫いた。
それはエルが放った魔法と同じもので、エルが最も得意としていた魔法だ。
「が・・・は」
口から溢れ出る鮮血が空中に撒かれ、すぐにマナに変わって消えていく。
辛うじて振り返ると、そこにはショートカットの赤スピリットが立っていた。
血が溢れているであろう脇腹を見ると、そこから金色の輝きが溢れ出している。
輝く生命の欠片達が大空へ還り、儚く揺れる金が壮絶なまでに美しかった
その消えゆく生命の光を見届け、俺の意識は断絶した。
 
三日後 ヒエムナ 旧ダーツィスピリット隊宿舎
 
「う・・・ん。ぐっ」
痛みに目を覚ます。俺の身体はベッドに寝かし付けられていたらしい。
「ここは・・・何処だ?」
「あっ!気がつかれました?」
元気の良さそうな、それでいて心配そうな聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。
恐らく、あの黒スピリットの少女、へリオンの声。
「良かったです〜・・・目が覚めなかったらどうしようかと」
なぜ敵であるはずの彼女が俺の心配をしていたのだろう、と疑問に思う。
「ここは何処だ?・・・・俺は何日眠っていた?」
「ひ、ヒエムナの宿舎です。ヤマト様は三日間意識が無かったんですよ」
「そうか・・・・」
だんだん頭が覚醒していき、重大な事を思い出した。
「そうだ!戦争はどうなった!?ダーツィは・・・」
俺の突然の大声に、ビクッと肩を竦ませ、言いづらそうにしているへリオン。
俺は痛みの抜けきらない身体を無理矢理動かし、肩に掴みかかった。
「どうなった!!言・・・・ぐうぅ!」
意識が飛びそうになるくらいの激痛が、全身を駆けめぐる。
歯を食いしばり、少女の言葉を聞くまではと、意識を保たせる。
「い、今ユート様達が、キロノキロの攻略を・・・・きゃっ!」
少女の瞳は怯えに染まり、今にも泣き出しそうになっていた。
その小柄な身体を突き飛ばし、俺は傷ついた身体を奮い立たせる。
幸い、【精進】は近くに置かれていて、引っ掴むとコートを羽織り駆けだした。
もう全身の痛みなど関係なく、【精進】から流れ込む力に身をゆだねた。
「な、お前・・・・止まれ!!」
宿舎を出ようとした俺の前に立ちふさがるラキオス兵。
当て身を食らわせると、すぐに気絶してしまった。
扉を蹴破り、俺は首都へと足を進めた。
 
 
数時間後 首都キロノキロ付近
 
俺は身体を神剣で強化し、限界のスピードで走り抜けた。
遠目には首都キロノキロが見え、所々で黒煙が上がっている。
『もう間に合いますまい・・・主殿、止まられよ』
【精進】が声とともに強制力を使い、俺の身体にさらなる負荷を掛けてきた。
「うるさい!まだ・・・・判らないだろうが!」
意識が飛びそうなのに、身体は駆け続けていた。
足がもつれて転びそうになるが、それでも俺は足を速め続けた。
『ふぅ・・・主殿もなかなかに頑固者の様だ。某が諦めよう』
【精進】からの強制力が止み、逆に流れ込む力が増す。
『身体の負荷も、これで少しは楽になられるだろう。急がれよ主殿』
「サンキュ」
キロノキロの城壁は、もう目前まで迫っていた。
 
同時刻 首都キロノキロ 城壁内広場
 
そこに、あの美しかった城の面影は存在していなかった。
所々で破壊の跡が見られ、荒れ放題の城内を走りぬけた。
城壁広場に着いたとき、ラキオスのスピリット隊を発見した。
「・・・・遅かった」
今までが嘘のように全身から力が抜け、手から【精進】がこぼれ落ちる。
カランと乾いた音を立て、地面を転がる【精進】。
その音で気づいたのか、ラキオススピリット隊の面々が俺を見て驚いていた。
一番驚いていたのは、悠人と俺を貫いた赤スピリットだった。
「大和!お前、動いて平気なのか!?」
駆け寄ってくる悠人。【求め】は腰の鞘に収められ、腰で揺れていた。
「・・・・何のために戦ったんだろう?」
「大和?」
俺の横にしゃがみ込み、俺の顔をのぞき込んでくる悠人。
俺は泣いていた。初めて人前で泣いた涙は、ただ虚しいだけだった。
「ダーツィ大公に・・・せっかく約束させたのに・・・自由にさせるって・・・・。
スピリット達に自由を・・・与えるって。うわべだけでも・・・約束させたのに!」
俺は拳を石畳に叩き付けた。何度も何度も叩き付けた。
皮膚が破れ、血が噴き出し、石畳を赤く染めるまで叩き付けた。
「それなのに死んじまって!俺は何のために戦ったッ!俺はどう償えばいい!・・・・俺は・・・何のためにいくつもの命を殺めた!あといくつ殺せばいいんだ・・・・」
心が壊れ、喉が張り裂けんばかりの慟哭だった。
その様子を沈痛な面持ちで眺めるラキオスの面々。
「もういい・・・何も言うな大和!!しっかりしろ」
「しっかりしろ?・・・してるさ!してるから、自分を責める以外に方法が無いことが解ってるんだよっ!レイアも・・・エルも他の仲間達もみんな・・・俺のせいで死んだんだ!!こんなことってあるか?戦争だから?ふざけんなよっ!!スピリット達死ななきゃならない理由が何処にある!?ないだろう!彼女たちは・・・戦わされているだけだろうが!!」
俺は泣いているのか、怒っているのか解らなくなってきていた。
そこにいた全員が俺の言葉を聞き、何ともいえない表情をつくっていた。
突然、一人の緑スピリットが俺の近くまで来て、しゃがみ込み俺を抱きしめた。
「貴方様も・・・・お優しい方なのですね。私たちの同胞のために戦ってくれていたなんて。・・・・今は泣いてください。私が、こうしていて差し上げますから・・・」
その手は温かく俺の頭を胸に抱え込み、優しく撫でつける。
「くっ・・・う・・うあああぁぁぁぁ」
俺はこの何日かで、出会った人物を、守りたいと思っていた人を二人亡くした。
人の縁とは不思議なもので、突然の出会いがあれば突然の別れがあると言うこと。
俺は自分を呪い、また自らに戦うことを償いとした。
背負うべき十字架は大きくなるが、それは戦争という虚しい行為が終わった後、何処かに突き立ててやればいい。
戦争とは何なのか?この血で血を洗う行為に何の意味を見出すのか?
俺には理解できなかった。
ただ一つ、理解できたとするならばそれは
[俺は無力で、力はあってもそれを正しく使えない、矮小な人間の一人]
だったと言うこと。
自らの無力さを知った俺は、ただただ泣き続ける事しかできなかった。
無力さを知り、その上で強くなることを胸に誓ったこの日。
俺はこの日、世界の在り方を変えようと誓った日でもあった。
 
 
 
強さは時として破壊しか生まず、弱さは時として哀しみを彩る。
強さを知り、弱さを知ることで人は前に進めるもの。
今は無力しか知らない存在も、やがて強さを知り、守ることを志すだろう。
力とは守ること。力とは誰かを思い、その思いを守りたいと願うことなのだろう。
全ては壊すためにあるのではない。
全ては尊重されるべき命で、全ては意味を持って生まれる。
全てはその天命を全うするべくしてこの世に生を受けたのだろう。
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