第四章
街
半日ほど歩き続けて、ようやく街に着いた。
日はすでに傾き始めていた。
ふと見ると、門の入り口には、立ちふさがるように男が立っていた。
その巨躯は、普通の人間であれば圧倒されるだろう。
巨大な双剣を突き付け、男は静かに言った。
「大将の命だ。大人しく付いてきてもらうぜ。」
僕は一定の距離を保ちながら、お決まりの台詞を言う。
「嫌だと言ったら?」
「力ずくでも…、はぁっ。」
光陰は、自分たちの勝利を半ば確信していた。
感じられる神剣の力は微弱。
恐らくは自分と同等か、それ以下。
因果の力で今日子を隠し、不意をついて打撃を与える、それで自分たちの初陣は終わる―。
だが、その思惑は見事に外された。
ヴィアは、身体をひねり、いとも容易く一撃を躱す。
そして…。
今日子、いや空虚は飛び出すタイミングを完全に失っていた。
ほんの数瞬で、光陰は膝をついていた。
あわよくば、神剣を破壊し、吸収するつもりでいた空虚は、押し黙るしかなかった。
神剣の力が同等ならば、左右するのは持ち主の力。
目の前にいる少年は、すでに私にも気付いている。
「っう!」
光陰は呻く。
斬りつけられ流れた血が、金色の霧となって消える。
「で、どうするの?」
「後ろに隠している人を使う?」
「いやぁ、気付かれているなら無駄だろうな。」
光陰は、あっけらかんと言う。
このあたりは、元来の彼の性格だろう。
「俺たちが負けたんだ。大将もしばらくは何もしないと思う。」
ヴィアは、神剣を腰に挿し、街へと歩き出す。
光陰は、少年の背に向かって、一つの質問をする。
「名前を教えてくれないか。」
「…僕の名前は、ヴィアだ。」
それは、一つの出会いの物語。
小さな変化。
小さな歪み。
少年は、歩を進める。
「かっ、は。」
血が口許から、吹き出す。
少女の面影が残る、そんな彼女が、必死で剣を振るっている。
「終夜(おわりのよる)」
その神剣に認められるための、厳しすぎる鍛錬。
ただ、生き長らえるためだけに。
神剣と目の前の気配に認められなければ、死が待っている。
それだけが、今彼女に分かることだった。
どんなに苦しくても、自分で選んだ道。
彼女もまた、徐々に歩を進めていた。
終夜(おわりのよる)
今の段階では、何位の神剣であるかというのも不明。
造語のようなもので、夜の終わり、朝の始まり、どちらともとれるように無い頭で考えました。
第四章
やっと終わりました。
自分の文章力の無さに、涙が出ます。
第五章は未定です。
なんとか頑張ります。