作者のページに戻る

 第一章 少年

 

 

(…………)

彼女の介入は、運命を変えるものなのか。

それとも、流れのなかの小さな支流でしかないのか。

時深には分からない。

(今は ― 私の最善を尽くすだけ…)

時深は誰に聞かせるでもなくそう呟いた。

 

 

 

 

 

少年は、その才を見込まれ、その将来も嘱望されていた。

王家より分岐した、名家の第二子。

第三王女との婚約も近々発表されることとなっていた。

 

だが、その祖国は、突如として同盟を破り侵攻してきた国に亡ぼされた。

城への侵入を防ぐための最後の防衛ラインの指揮をしていたのが少年だった。

指揮といっても所詮は多勢に無勢。

少年はただ剣を振るうことしかできなかった。

そして、ついには力尽き、凶刃のもとに倒れた。

 

どくどくと血が流れる。

(ああ、こんなにも簡単に、終わるんだな。人って。)

身体が冷たくなるのがわかる。

自分の国が亡ぼされたことよりも、あんなに好きだった姫がどうなったかということよりも、ただ…死ぬのが怖かった。

 

 

「貴様は生きることを望むか。」

ふと、声が聞こえた気がした。

「あらゆる対価を支払っても生きることを望むか。」

 

逡巡のあと少年は答える。

弱々しくもはっきり「生きたい」と。

そして、その声は満足そうに笑う。

「ふふふふ。自分に忠実な貴様を我は主として認めよう。」

我は、永遠神剣第五位「陽淵」

「これから、貴様は…いや止めておこう。」

「いずれ分かることだからな。」

少年の意識はすでに闇に埋もれていた。

 

 

 

 

 

 

後書き

第二話です、最低でもオリジナルキャラを三人から四人はだそうと思っています。

そんなことを申告する必要はないか。

少年とか彼女とか、名前を出していないのに特に理由は在りません。

できれば次回少年の名前を出したいと思います。

 

 

永遠神剣第五位「陽淵」

造語です「ひえん」と読みます。

陽の光との境界線という意味。

 

作者のページに戻る