亡者に捧げる輪舞曲
第2章:目覚めに向かうアンダンテ - 第1部
《夢の中:祖母の部屋》 おばあちゃんがまだ元気だった頃、僕はよくフルートの演奏を聴かせてもらった。 おばあちゃんは外国の学校で勉強をしていた、ってお母さんから聞いた。 外国で勉強をするのはすごいことなんだって。 僕はそういう難しい事は解らないけど、おばあちゃんの吹くフルートは凄いっていつも思う。 何度聴いても飽きない、優しい音色が部屋中に響く。 その演奏が終わると、僕はいつも通り思いっきり拍手をした。 「ありがとう、直樹」 うれしそうに僕の頭をなでてくれるおばあちゃん。 僕も嬉しくなって、おばあちゃんのように笑った。 「ねぇ、おばあちゃん。この曲って何ていう名前なの?」 「名前はもう忘れてしまったねぇ・・・。」 少し困った顔をして答えてくれるおばあちゃん。 残念だな・・・。 「急にどうしたんだい?」 「えとね、学校の音楽の授業でね、リコーダーの発表会があるんだ。そこで発表したかったんだけど・・・。」 「あら、そうなの。でもね、直樹。この曲はとっても難しいから、直樹にはまだ無理だよ。」 おばあちゃんの演奏を聴いていると、確かに難しそうだな、って思ったけど。 おばあちゃんにそう言われたら諦めるしかないのかな。 「うーん・・・、そうだねぇ。もし直樹がもっと大きくなって、楽器が上手になったら演奏できるように、楽譜を書いてあげようか。」 「ほんと?」 「ゆっくり書くから、もう少し待っててね。」 「うん!」 僕は嬉しくなっておばあちゃんに抱きついた。 おばあちゃんも僕を抱きしめて、懐かしむように言った。 「この曲はね、おばあちゃんのとても大好きな曲なの。直樹も上手に演奏できるように頑張ってね。」 フルートの音色と変わらないくらい優しい声。 だけど、少しだけ、悲しい気持ちも感じてしまった。 《レミル村:中央市場》 「今日はこんなに買うのかい?」 八百屋の主人が籠の中身を見てびっくりして俺に尋ねた。 確かに、いつもの買い物の倍近くはある。 こんなにたくさんの食材を一体何に使うのかと言うと・・・。 「ええ、イーシャ達の親友が帰ってくるそうですから。」 「ああ、そういえば彼らの帰ってくる日だったな。俺も後で何か持って行かないとな。」 そう、彼女達の親友が、遠くの都会から帰ってくる日なのだ。 一週間ぐらい前に手紙が来て、イーシャがやけに喜んでいたっけ。 ここら一帯は小さな村や町の集まった合衆国のような形態を取っていて、各集落から代表者を出して半年に1回、大きな都市で会合を行うらしい。 村長の娘であるその親友は、幼馴染を連れて怪我で動けない村長の代わりに会合に行っているそうだ。 今回の会合が開かれる場所はここからそう遠くない場所にあるらしいのだが、 最近出ている盗賊団を警戒して遠回りをしたため、行って帰ってくるだけでもかなりの時間がかかるらしい。 「毎度あり!また頼むよー。」 代金を払い、メモを見る。 そのメモには、この世界では俺にしか書けないであろう文字で今日の買い物リストが記されている。 ----------いきなりこの世界にやってきて、約1ヶ月が過ぎた。 1ヶ月、と言っても日数の数え方が違うので、俺の世界よりも少し短いみたいだ。 言葉も喋れなかった俺は、イーシャ達の宿屋の経営を手伝う傍ら、言葉の勉強も一生懸命やった。 それでもなかなか喋ることが出来なかったけど、ある日、急に解るようになった。 「1,2ヶ月もその言葉だけで生活していれば、いきなり解るようになるよ。頭が慣れるんだろうね。」 と、ホームステイをやったヤツが言っていた事を思い出した。 さて、次の買い物はっと・・・。 《レミル村:門の前》 うろうろ、うろうろ。 落ち着かない雰囲気でイーシャが行ったり来たりを繰り返す。 時刻は夕刻。 そろそろ彼女らが来てもいい頃だろうということで出迎えに来ているのだ。 「イーシャ・・・。少しは落ち着いてよ、もぅ。」 「だって、待っても待ちきれないんだもん。」 クゥの諫言にも耳を貸さず、答えている間もそわそわと落ち着き無く動くイーシャ。 そりゃ、1ヶ月以上も会っていない友達と会うのが楽しみなのは分かるけど・・・。 「ずっとそうしていて、疲れないか?」 出迎えに来てからはや半刻。 その間ずっと彼女は動き続けている。 対して、俺とクゥは「立っているのも疲れるだろ」という警備当番の人の言葉に甘えて、彼らの使う長椅子を貸してもらっている。 当番の若者(と言っても、俺よりも年上に見えるけど)も、イーシャには半ば呆れているようだ。 「大体さ、手紙には夜になるかも、って書いてあったんだろ?そんなんじゃパーティする前に力尽きちまうぞ。」 「そうなんだけど・・・。私、黙って待ってるのって嫌いなんだもん。」 結局、聞く耳持たないという感じで彼女はせわしなく動き出す。 俺は説得するのを諦めて、ぼーっと空を眺める。 ゆっくりと形を変えながら動く雲を眺めて、平和だなぁ、と訳もなく思ってしまう。 元の世界では常に時間に追われていて、空をゆっくりと眺める時間なんてなかったように思う。 同じ時間の流れなのに、過ごし方が変わるだけで時間の流れが遅くなった気がするから不思議なもんだ。 「お、人影が見えてきたぞ。」 しばらくして、見張りをしていた警備当番の人が言った。 よく注意してみれば、視界の片隅にもぞもぞと動く人影らしき影が見えた。 俺にはほとんど見えないけど、他の人は結構見えているみたいだった。 「あれ、3人いるぞ。彼女らは2人で行ったんじゃなかったか?」 「手紙に・・・、盗賊団対策の傭兵を雇ったって、書いてましたから・・・。その人と、一緒じゃないんでしょうか。」 「ああ。そういえば、村を出るときに探してくるとか言ってたな。」 クゥの説明に納得したように頷く若者。 少しずつ人影が近づくにつれ、輪郭がはっきりしてくる。 「やっぱりエリスたちだ!おーい!」 俺にはまだ性別すら判別が付かないのに、イーシャたちにはもう見えているようで、彼女は嬉しそうに人影の見える方向へ走って行った。 ・・・こっちの人たち、視力がいいなぁ。 やはり文明の利器は視聴覚に悪影響を及ぼすみたいだ。 「俺達も行くか。荷物多いだろうし、持ってあげたほうがいいだろ?」 「・・・あ、そうですね。」 俺とクゥも、その人影に向かって歩き出した。 彼女らがはっきりと見えるぐらいまで近づいた頃には、イーシャは彼女らと随分と楽しそうに話をしていた。 彼女と専ら話しているのは黒髪の女性で、なぜか荷物を1つも持っていない。 その代わり、その隣の茶髪の青年が、見るに耐えないほどの大量な荷物を持っていた。 ・・・だけど、恐ろしいことに、そんな荷物を持っている彼は疲れた素振りを見せていない。 ものすごい体力の持ち主のようだ。 そして彼の隣にいる黒髪の青年はほとんど荷物を持っていない。 目立った荷物といえば、何か大きな物を布に包んで背中に背負っているぐらいだ。 黒髪の女性がこっちに気付いたみたいで、大きく手を振りながら小走り近づいてきた。 茶髪の青年は流石に走れないのか、マイペースで歩いてくる。 「クゥちゃん、お久しぶりー。元気してたー?」 「うん、エリスさんも、元気そう。長旅お疲れ様。」 「ありがと。隣の人がナオキ君、だっけ?さっきイーシャが言ってたけど。」 「はい、高嶺 直樹っす。」 「あたしはエリシア・ガロス。エリスでいいよ。」 よろしくねー、と言って手を差し出してきた。 元の世界では握手をする習慣ってのはあんまりなかったけど、こっちに来てからはもう慣れた。 よろしく、と差し出された手を握る。 と、何を考えたのか握手したまま手を上下にブンブンと振り始めた。 ・・・見た目は俺よりも大人っぽいのに。 やがて後ろにいた2人もこっちに追いついた。 「エル、先に行くなんてひどいじゃないか。せっかく君の分まで持っているっていうのに。」 「あはは、ごめーん。」 「まったく。大体だな、君は日頃から面倒な事は全部僕に押し付けて・・・。」 「もう、分かったってば。クルドの話って長いんだから。」 エリスはクルドと呼んだ青年の言葉を受け流そうとしたみたいだけど、彼は構わずくどくどと喋りだす。 ・・・たくさんの荷物を持ったままで、疲れないんだろうか? 「ディ、ディオさん・・・。疲れて、ないの?」 エリスとは違う呼び方で青年に話しかけるクゥ。 エリスは渡りに船、とでも言わんばかりに「そーだそーだ」とクゥに同意する。 「心配には及ばない、クゥ。そんなヤワな鍛え方はしていないものでね。」 だが、彼は「心外だ」と言わんばかりに小さく嘆息して言った。 鍛えている、とは言ったけど・・・。 彼の第一印象は「細い」だ。 肩幅は広いけど、とても鍛えているようには見えない。 「えー・・・っと。荷物、持ちますよ。」 このまま説教が再開されるのも面倒なので、荷物持ちを買って出る。 彼ぐらいしか持たせてもらえるような荷物を所持していないのだ。 「ん、君は・・・?」 初めて見る俺を、多少警戒するように俺を見てきた。 まぁ、いきなり見ず知らずのヤツに近づかれたら、俺もそうするだろうけど。 「イーシャ達の宿屋に居候させてもらってる高嶺 直樹っす。よろしく。」 「なるほどね。僕はクルーディオ・リカード。ディオと呼んでくれ。」 ディオもエリス同様に手を差し出そうとしたけど、両手とも荷物で塞がっていることに気付いて少しばつの悪い顔をした。 片方の荷物を下ろし、改めて握手をする。 見た目は俺よりも細く見えるのに、大きくてたくましい手だった。 よく見てみると腕も程よく筋肉が付いている。 必要な部分だけ鍛えているから細く見えるのか・・・。 「それじゃ、それ持ちますよ。ものすごく大変そうだし。」 「いや、それには及ばない。さっきも言ったが、この程度でへこたれるような鍛え方はしていないからね。」 ・・・でも、なぁ。 鍛えているからって疲れるのには変わらないと思うんだけど。 頑なに拒むディオを見兼ねてイーシャが口を挟んできた。 「ディオ、遠慮せずに持ってもらったら?人の好意は無下にするものじゃないよ。」 「ふむ・・・、それもそうだな。」 どうぞ、とディオは握手をする際におろしていた荷物をこっちに差し出してきた。 案外あっさりと言いくるめられたな、とか思いながらその荷物を手に取る。 「中身は古い本ばかりだ。扱いには注意して欲しい。」 一体何冊入っているんだろう、と思うほどの重量感が俺の手に圧し掛かってくる。 でも、持てない重さではなかった。 「あれ、そーいえばユー君は?」 ふと、エリスが思い出したようにディオに訊ねる。 ユー君、というのはさっき一緒に来ていた黒髪の青年の事だろうか。 「彼は僕の後ろから付いてきていたはずだが・・・。」 そう言いながら彼は後ろを振り返ってみた。 俺もその方向を見てみると、その黒髪の青年は遠くの森をじっと眺めていた。 ・・・いや、睨みつけていた、と言ったほうが正しいかもしれない。 目は森のほうに向けられているんだけど・・・、いや、森の向こうにある山、か? 俺もそっちを見てみたけど、いつも通り、何の変哲も無い山だった。 「ユー君、どうしたの?」 その険しい表情に気が付かなかったのか、エリスは軽い調子で声をかけた。 見られていたことに気付いたのだろう、彼は表情を崩してこっちを向いた。 「いや、なんでもない。」 今まで見られていたのが気恥ずかしかったのか、少し顔が赤くなっている。 「それならいいんだけど・・・。あ、みんな紹介するね。この人が傭兵やってるユート君。 盗賊団のこともあるし、少し警戒のために来てもらったの。イーシャ達の宿屋に泊まってもらうから、仲良くしてねー。」 「ユート・ラスフォルトだ、よろしく。」 一人一人挨拶をして握手する。 相変わらず、クゥは顔を赤く染めて、触る程度の握手だったけど。 彼女は人見知りが激しいらしく、初対面の人とはマトモに話すことも出来ないのだ。 俺の番が周ってきたので、さっき預かった荷物を降ろす。 「高嶺 直樹っす。宿屋の手伝いしてるんで、何かあったら声かけてくださいね。」 月並みな自己紹介をして、手を差し出す。 彼は一瞬戸惑ったような顔をしたけど、すぐに笑顔に戻って握手してきた。 「珍しい名前だな。色んな場所に行ってきたけど、タカミネ、っていう名前は聞いたことがないよ。」 当然だ、とは声に出さずに苦笑する。 こっちでは「言葉が通じないほどの遠くから来た人」という扱いになっている。 そっちのほうが色々と都合もいいので、訂正しようとも思わなかった。 「それじゃ、村に戻ろっか。ご馳走準備してるから、一杯食べてよ。」 「わ、楽しみー。」 みんなが村のほうへ足を向ける中、俺はユートが見ていた、森のほうをもう一度見てみた。 やはり相変わらずの、暗い森と山があるだけだ。 ユートは・・・何を見ていたんだろう。 少し疑問に思いながら、みんなの後を追いかけた。 《宿屋:食堂》 「きゃー!クゥちゃんかわいー!」 「えっ・・・!あっ・・・、ちょ、ちょっとエリスさん・・・!」 酒の勢いで抱きつくエリスを抑えることが出来ずに、苦しそうにもがくクゥ。 だけど、彼女の力で振りほどくことも出来ず----------エリスの力が強いのかもしれないけど----------されるがままになる。 彼らが「旅のお土産に」と持ってきた酒を飲み始めてから、ずっとこんな調子だった。 そもそも、お土産で持ってきたものを彼らが一番飲むってのは少しおかしい気もするけど。 クゥは困ったような表情をしてこっちを見てくる。 目で「助けてください」と必死に訴えていた。 「----------諦めてくれ。俺には無理だ。」 そんなー、と声が聞こえた気がする。 気がする、というのはエリスの嬌声で他の声が聞こえないからなんだけど。 すまん、クゥ。俺もそうはなりたくないんだ。 一度されそうになって必死で逃げたんだ。耐えてくれ。 「全く、エルは面倒な事がある度に僕に押し付けるんだからな。大体だな・・・。」 「で、ディオ。かなり酔ってるんじゃ・・・?」 「僕は酔ってなどいない!」 イーシャのほうも大変そうだ。 エリスに比べて声がボソボソとしているから、こっちまでは聞こえてこない。 大半がエリスに対する愚痴なのは判るけど。 「・・・大変そうだな。」 唯一マトモに話せるユートが呆れたように呟いた。 彼は酒が苦手なのか口をつけておらず、今朝の八百屋の主人が持ってきた果実ジュースを飲んでいた。 俺もアルコール類は苦手なので果実ジュースだ。 「本当に。客がいない日でよかったですよ。」 苦笑し、ユートに同意する。 これだけ大騒ぎをしていれば客から苦情が来るだろう。 「敬語は止めてくれ。見た感じ歳近そうだし。」 「んー・・・、判った。普通に話すよ。」 一応ユートはここの宿屋の客として来ている。 客に対しては敬語が普通なのだけど、その本人からの要望とあらば普通に話していいんだろう。 こっちの言葉の敬語って日本語以上にややこしいから、使わなくて済むんならそっちのほうがいい。 「な、ナオキさん・・・!」 息も絶え絶えにエリスの抱擁からクゥ逃げてきた。 と、言うことは、さっきまで彼女に抱きついていたエリスもこっちに来る訳で。 「何よー、ナオ君。このあたしから楽しみを盗ろうってーの?お姉さんに返しなさいー。」 間延びした声で訴えてくる彼女。 彼女の声が聞こえて、クゥは身をすくませた。 ・・・何か、トラウマにでもなっているようだ。 「え、えー・・・っと。」 タラリ、と冷や汗を流す。 クゥが俺の後ろに逃げ込んでいる限り、俺に逃げるという選択は無い。 何か、何か彼女を抑える方法は・・・! 「あ、そ、そうです、ナオキさん。あのギター、でしたっけ。あれの演奏を・・・。」 そういって入り口の前に立てかけてあったギターを指差すクゥ。 別にこの場で演奏する気はなかったが、この騒ぎの後でいつも通り練習をしようと思って持ってきていたものだ。 なるほど、芸を見せて納得させろ、と・・・。 クゥはあるときギターの練習を聴いて以来、あの音色が気に入ったようだった。 俺の練習中にたまに来て、じっと耳を澄ませていた。 それならば、とギターを手に取り、椅子に座って構える。 何事か、という感じで騒いでいたエリスも、愚痴を言っていたディオも静まる。 演奏する曲は・・・祖母が残したあの曲。 祖母の死後に家の整理をしていたら、俺宛の封筒が置いてあった。 中身は俺が好きだったフルートの曲の楽譜だ。 それを俺がギター用に編曲しなおした曲、それで行こう。 口で小さくカウントを取って、指を細かく動かす。 ギターというのは繊細な楽器で、指の力加減一つで音がガラリと変わってしまう。 出来るだけ祖母のフルートが奏でた優しい音色を再現すべく、絶妙な力加減で演奏をしていく。 楽器そのものが違っても、あの優しさは表すことが出来るはず、そう信じて弦を弾いた。 ギターの奏でる音が、今までエリスの嬌声で支配されていた空間に優しく広がっていく。 クゥだけでなく、みんなが聴き入ってくれているというのが雰囲気で分かった。 目だった失敗もなく、曲のラストを弾き終える。 椅子から立ち、一礼をするとみんなが拍手をしてくれた。 エリスもディオも酔いが少しだけ醒めたのか、多少は冷静さを取り戻していた。 演奏した甲斐があったようだ。 口々に「凄かった」とみんなが言ってくれている最中、ユートはゆらりと立ち上がり、無言で部屋を出て行った。 「・・・ユート、さん?」 クゥがユートに気付いてぼそ、と呟く。 他の人もユートに気付いたのか、入り口のほうを見やる。 「多分、疲れているんだろ。そっとしておいたほうがいいんじゃないの?」 と、軽く言っておく。 だけど、気付いていた。 彼が俺の演奏が終わる直前、うつむいて----------涙を、流していたことを。 確かに、さっきの演奏は俺の中では一番上手く演奏できたという自信はあるけど、感動するものでは決してない。 それに、あの表情。 とても、とても寂しそうだった。 一体彼が演奏を聴いて、何を想ったのか。 俺にはそれを知る由も無く、夜は更けていった。