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                       〜第一章 集結〜


[運命]のローガスと[権威]のセリウスが待つ場所は、マナが常に安定し人や動物も居ない緑だけがあり、カオスエターナルが訓練や会う時などによく使われる世界である。
この世界で唯一の建造物で、先に着いて待っていたローガスとセリウスが任務のことについて話あっていた。

「ローガス、今回の任務はどういうものですか?」

「ちょっと待ってね。説明はみんなが集まってからするよ」

「みんな?私以外にも呼んだ者がいるのですか?」 

「うん、君以外にも聡明のアーサー、赤滅のオシュエル、真錬のキリ、放浪者リースを呼んだ。オシュエルとキリには、任務を説明して先に行ってもらってる」

「アーサー、オシェエル、キリはわかりますが、リースも呼んだのですか?」
 
セリウスは少し不満そうに言った。

「そうだよ。だって君がスカウトしてきたんだし、彼は今回の任務には必要なんだ」

「しかし、どうやってリースの所在地を探し当てたのですか?」
 
不思議そうにローガスに聞く。リースはそれほどに単独での行動が多くカオス、ロウでもその所在地を特定するのはかなり難しい。
 世界から世界を移動するのだからあたり前である。

「彼は最近、ロウエターナルを一人を消滅させたんだ。その時に多重の門が開いてしまって、その反応で場所の特定ができたんだよ。
 それで使者を送り彼に伝えてもらったんだ。もちろん君が来るのも伝えてもらったよ!」

 苦笑いし、ローガスはセリウスに言った。
普段は時間にルーズなリースでも、セリウスとが来ると聞いただけで少しは早く来ると判断した。ローガスの考えである

「多重に門を開いたのですかっ!」
 
 セリウスは驚いた様子だった。門を一つ開くだけでも高位のエターナルでさえ体に負担がかかり、その世界にも影響を及ぼしてしまう。
 しかし、リースは多重の門を開き、ロウエターナル一人消滅させ、その世界にも多大な影響を及ぼしたと考えられる。

「門を開かれた世界は半壊してしまった。だが、彼が門を開く前にその世界の人達を別の門で逃がして、人為的被害はなかった」

「そうですか。リースには私からよく言っておきます」

「お願いするよ」
 
ローガスは笑顔で返事をした。
二人の話が終わり、ローガスは何か書き物をし、セリウスは本を読んでいた。
 コンコンと扉がノックされ音が聞こえた。

「ローガスさん、アーサーです。失礼します」

 そう言って入って来たのは、青色の髪と目をした長身の男性だった。

「ごめんね、急な任務で呼び出しちゃって」

「暇を持て余していたからちょうどいいですよ!ところで今回の任務は僕とセリウスだけですか?」

 ローガスはセリウスに言ったことをアーサーに言った。

「リースが来るんですか!」
 
 やはり、アーサーも驚いたようすだった。(ここまで驚かれるほどリースは珍しいのである)
 その時、光の門が開き中からリースが現れた

「はぁ〜やっとついた」
 
 リースは疲れた様子で出てきた。
 門をくぐり、ローガスやセリウスが待つ世界に来るまでに、彼は[放浪]から説教と訓練をされたのだ。

《全く・・・・・お前はエターナルになって何周期なんだ?もう少し門と門を繋ぐの上手くならないのか?》
 
 これは[放浪]から皮肉の言葉であり、リース自身もわかっているものの[放浪]がこの事を言い出したら必ず訓練がされるのだ。

「だから、先刻から謝ってるだろう」
 
 そう、リースはここに来る途中にも考えごとをし、入る門を間違っていたのだ。
 だから彼自身も[放浪]の言うことには、反論できずに謝ることしかできないのである。

《わかっているのだろうな?・・・・・・・・まぁよい、それではいくぞ。今回は五つの門を同時に創り安定させよ》
 
 そう言うと訓練は開始された。
 この訓練はリース自身の精神と〔放浪〕をシンクロさせて門をイメージし、門を創り出し、どれだけ維持し続けることができるかというものだ。
 これこそが[放浪]の能力であり、〔放浪〕と呼ばれる由縁でもある。
 リースは目を閉じ精神を集中させ門をイメージする。〔放浪〕もイメージに呼応するように光輝く。
 光を手に集約し、光球を形作り投げる。光が五つに分かれて、眩い光が空間を包み込むと、リースの目の前に五つの光の門が出現した。

「どうだ?」
 
 リースは真剣な顔で[放浪]に語りかける。

《四つは安定しているが、最後の一つは不安定だな。今回はこれでいいだろう》
 
 [放浪]の声は先刻の不満気な声と違い少し満足気な声だった。
 そして、今に至るのである。

「かなり遅れちまったな」

 リースはそう言いながら扉をノックする。

「ローガス、リースだ。入るぞ」
 
 扉を開けると、そこには笑顔の青年と少し怒っている女性と珍しそうにこちらを見る男性がいた。
 笑顔の青年はもちろんローガスであり、少し怒っている女性は金色の髪と目が特徴のセリウス、珍しそうに見る男性はアーサーである。
 
「よく来てくれたね、リース」

「久しぶりですねぇ〜。リース!」
 セリウスは怒っていた声のトーンがいつもと違うのだ。

「久しぶり!」
 アーサーも少し戸惑っている声だった。

 一瞬の静寂、リースはセリウスが全て聞いているのを悟り固まっていた。
 静寂をなくすようにローガスが話し出す。

「みんなが揃ったから今回の任務を説明させてもらうよ」

「おう」
 少し固まってるリース。
「エエ」
 リースを睨むセリウス。
「ハイ」
 無関係のアーサー。

「最近になってある世界で大量のマナが発生し、そこにロウエターナルと龍などが入り込みマナ全て吸収しようとしている。・・・・・・
 ・・・先にオシュエルとキリには行ってもらったんだが、敵がどれだけいるのかがわからない。だから君達で援護に行って欲しい、そして厄介なことにその世界との門が閉じてしまった。
 そこでリースには新しい門を創ってもらい、五人で協力してロウなどの排除。もしくは追い出して欲しい・・・・・以上が今回の任務なんだ」

「わかった」
「納得した」
「理解しました」
三人は同時に頷く。

「膳は急げと言うからな、早速行くか!」
 
 やる気十分のリース。なぜかというとできるだけやる気を見せて、セリウスの怒りから少しでも回避するためである。
 神剣を構え詠唱を始める。訓練の内容を思い出し再現していく。開くのではなく門を創り出す神剣魔法。

「コンサイドー!!」

 リースが叫ぶと光の門が表れた。三人はローガスに別れの挨拶をし、門に飛び込む。門に飛び込む瞬間にセリウスはリースに言った。

「向こうの世界では・・・・・・お説教が待っていますよ♪」

「げっ!・・・・お・・・・・・お手柔らかにお願いします」

 そんな言葉しか、リースは思いつかない程ビビっていた。
 セリウスの説教はセリウスと[威信]が考え選んだ言葉を使ってくるので、説教を受けた者にはエターナル同士の戦いで傷ついたのと、同じくらいの精神的な苦痛を伴うのである。
 過去に一度、説教を受けたリースは半周期立ち直れなかったほどなのだ。

「ク・・クク・・・・・・・・クククク」

 アーサーはそのやり取りを見て、笑いをこらえるのに必死そうだった。 
 そうして三人は門の中に消えていった。
 

 ローガスから任務を聞き。先に行っていたオシュエルとキリが到着する頃には、その世界では太陽が沈む少し前だった。

「綺麗な夕日。オシュねぇはどう思う?」

「そうですね。この世界自身も綺麗ですし、マナも綺麗ですしね」

 彼女らが感嘆の息を漏らすほど、この世界は綺麗なのだ。それ程大きくなく中世のヨーロッパのような所であり、緑が残っていて、村や街、城などもある。
 マナが安定し、生き物にとっては本当に心地よい世界なのである。

「オシュねぇ〜、ところでこれからどうするの?」

オシュねぇとは、もちろんオシュエルのことだが。
 キリはエターナルになるのが若かったために、同年代の者が少なく任務上あまり会わなかったのだ。
 そういう時にオシェエルがキリと出会い。一緒の任務もあり、親しくなりオシュねぇと呼んでいるのである。

「まずは、この世界で私達の活動拠点となる場所に行きましょう」

「うん!でも・・・・ローガスが言ってたよね。今回の任務は大変だから、後で増援を送るって一体誰なんだろうね?」

「キリが来る前に少し聞いたのですが、セリウスとアーサー、リースらしいですよ」

「えっ、リースが来るの。・・・・あの放浪者が!」
 
 もう、ここまでくるとリースは珍獣扱いである。

「私も驚きましたが、今回の任務にはどうしても必要らしいですよ」

「ふぅ〜ん、そうなんだ。ところで五人もエターナルが集まるってことは・・・・・・家はそれなりに広いってことだよね?」
 
 キリが嬉しそうな顔で尋ねた。

「ええ、今回の家はローガスも太鼓判を押す程に広いらしいですよ」

「本当にやった〜!」

 嬉しそうに飛び跳ねるキリ。それを見てにこやかに笑うオシュエル。
 オシュエルもキリのことを本当の妹のように思っているのだ。

「それでは、行きましょうか?」

「うん、早く行こうよ!」

 二人は少し歩いた所にある家についた。

「オシュねぇ、ここって家だよね?」

 キリは戸惑った様子で聞きなおした。

「家というよりはお屋敷に近いですね」

「ここに住めるんだよね。キリは文句ないよ〜」
 
 キリはさっそく屋敷の扉を開け、中を走り回った。

「あんまり走り回っちゃだめですよ。後からまだお客さんが来るんですから、お茶でも飲んで待っていましょう」

 いつの間にかオシュエルはこの屋敷の主になっていた。

「は〜い」

 オシュエルの入れたハーブティーを飲みながら待っていると、屋敷の外が光出し門が出現した。中からは三人のエターナルが現れた。

「着いたぞ」

《安定した門を作れるようになったではないか》

 〔放浪〕がリースに語りかける。

「当たり前だ!お前のスパルタ教育のお陰だよ」

  リースも感謝と皮肉を交えたように言い返した。

「ご苦労様リース」

  門をくぐる前よりは少し機嫌のいいセリウス。

「あ・・・・.ありがとう」

 アーサーは門を通る前のリースとセリウスのやり取りでまだ笑っていた。
  屋敷の扉が開き、中から紫色の長い髪の女性と短い赤色の髪の少女が出てきた。

「お待ちしていましたよ」

「久しぶり。・・・・キリがここに位置一番についたんだよ」

「おう、久しぶりだな」
 
リースは笑顔で答える。

「二人とも元気にしていましたか?」

セリウスは懐かしそうな顔をしていた。

「お久しぶりです」
 
アーサーも軽い挨拶をする。

「立ち話もなんですので、中でお話しましょう」

オシュエルがそういうと五人は屋敷の中に入っていった。

こうしてこの世界に、五人のカオスエターナルが集結したのである。

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