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- 終わらない鎮魂歌 -
第4章第一話、目覚めるチカラ







マロリガン戦後、今日子と光陰の二名のエトランジェ及び、残党の稲妻部隊がラキオス軍に加わりラキオスの戦力は帝国と互角まで達していた

何より一番大きかったのは・・・エトランジェすら退けるチカラを持つ繕だった

帝国に宣戦布告後、悠人達は4つの部隊に分けて帝国に進軍する事になった

メンバーは


第一部隊、悠人・アセリア・オルファ・エスペリア

第二部隊、光陰、そして二所詰めのネリー、シアー、ニムントール、セリア、ファーレーン、ルナを除くメンバー

第三部隊、繕・ルナ・ネリー・シアー・ニムントール・セリア・ファーレーン

第四部隊、今日子、そして稲妻部隊だ




現在、俺達はレスティーナの政権の下、帝国に布告した


進軍ルート・・・といいたいが


まず帝国領に入るには旧ダーツィ領から進軍して法王の壁を突破してリエルラエルに進軍するのだ


そして・・・進軍が開始された




これが最後の戦いになる
















誰もが     そう思っていた












―前線






「はっ・・・!」


帝国のスピリットが俺に切りかかってくるが俺は弓となっている【刹那】で敵を射抜く

「降り注げ・・・アローレイン!!」 

敵の拠点へとマナの矢が降り注ぐ、味方が進軍、悠人達が敵を切り裂く

全て順調だった


敵がいったん引いていくのを確認すると皆が集まってくる




俺は腰を下ろして考えた


(今回の敵は秋月だ・・・何をしてくるか分からない・・・それに・・・)


あの砂漠でであった変態男

あの時は即効で終わらせたが・・・あの微笑は





嫌な    予感がした
 






「ゼン?どうしたの?」

ルナが心配そうに尋ねてくる

「ああ・・・悪い、なんでもない」

コイツに心配を掛けるわけにはいかない・・・それに妙なのだ


俺は休んでいる悠人達に自分の疑問をぶつけた

「なぁ3人とも、おかしくないか?」

「何がだ?」

首を傾げる3人

「今俺達が攻めているのは帝国の要ともなる法皇の壁だ・・・なのに敵が少なすぎる」

「・・・確かにな」

光陰がしばらく考えた後ハッとした

「・・・相手はエーテルジャンプを使えるんだよな?ならもしかしたら・・・」

「ん?」

「あの壁を攻略するのには時間がかかる、その時に一気に来る可能性もある」

それは不味い

俺やこの3人は防げても

他のメンバー、特に年少組みは耐えられないだろう

「・・・とにかく・・・エスペリア!!ちょっときてくれ!!」

俺はエスペリアを呼び光陰の考えを伝える

「確かに・・・その可能性はありますね」

「ああ、だから――」



俺には考えがあった





「法皇の壁は俺がなんとかする」











それに驚く3人

「繕っ!!」

「俺が奴等を引き付ける・・・その間に壁を突破してケムセラウトを制圧しろ」


「無茶なっ!!」

悠人が叫ぶ


「そんなことして・・・お前まで消えたら・・・」

悲しそうな表情になる悠人

「バッカ、俺の力は証明済みだろ?ガーディアンだって使えるんだ、心配ない」


確かにそうだと悠人は思った

繕だけの力でもかなり強いのにあの守護者が居るのだ

だが流石に・・・一人じゃ危険すぎる

しばらく考えていると

「あの・・・ゼンだけじゃ心配だし・・・私も行きます」

「ルナ?!」

繕が驚く

「こっちの部隊にはブルースピリットは足りてるし・・・いざとなったら助けられるし」

「・・・だそうだ、繕、ルナと行ってくれ」

悠人は内心安心して言った

「駄目と言ってもついてくるんだろ?・・・分かった、行こう」



しばらくの休息を終えて俺達は進軍を再会した










―法皇の壁






「さて・・・ルナ、気をつけろよ?」

「そう言うゼンこそ」


悠人達は既に裏口からケムセラウトに向かっている


「さて・・・敵さんが来たようだ」


既に敵の気配が少なくても8感じられる


「守護者よ、我に力を――請神、ガーディアンっ!!」


三体の大きな犬が現れる

ルナも神剣を構える


「いくぜ・・・はぁっ!!」

3発の矢を放つ、それは全て命中して敵をマナに還す

「さぁいけっ!!ガーディアンっ!!」

残り5の敵に飛び掛る守護者


「はぁっ!!」

ルナが二人を相手にしている

苦戦を強いられると予想したが・・・





ズサッ





ルナの神剣が敵を切り裂きマナに還す


こちらも残りの敵は全て守護者が倒したようだ



「・・・おかしい」

「うん・・・とりあえず壁をこえ・・・」

言い終わらないうちにルナの表情が驚愕に染まる

「どうし・・・」

俺は見た


数にして15


しかもそのスピリットは




「・・・あの変態のスピリットか!!」

そう・・・相手はソーマズフェアリー、ソーマの忠実なる僕であり・・・帝国の主力のひとつ

あいつらがルナを集中的に狙ったらひとたまりもない


「ちっ!!」

俺は守護者に指示を出して俺とルナの周りに陣をとらせる


ルナは俺の背中をカバーしてくれている


「・・・ゼンの予想、あたったね」

「・・・光陰のもな」

お互いに苦笑して神剣を構える

「ルナ」

「・・・ん?」

「前言ったよな、俺が君を護るって」


「え・・・あ、うん・・・」

少し顔が赤くなる

「こいつら多分相当強い、だけど・・・俺を信じて欲しい」

するとルナは苦笑して

「当たり前だよっ」

改めて構え直すと相手が切りかかってくる

ソーマの部隊だけあってかなりの手慣れだろう




敵のブラックスピリットが居合いを放つ


その速さは『ライトニング』のブラックスピリットを越えるだろう




「はぁっ!!」



ガキィィイイイン! !


居合いは繕に届くことなく防がれる


「くらえっ・・・!!」


俺は守護者に自分とルナの周辺の防御を命ずるとマナを集中する


「マナよオーラへと変われ――アローレインっ!!」


上空から光の矢が降り注ぐ



15体の内4体がそれの餌食となる


しかし俺は気がつかなかった


戦っているのは   『俺』  だけじゃないことを


そして俺は聞いた



彼女の悲鳴を
 




―ルナSaid







「やぁっ!!」


私は今二人のスピリットと対峙していた


少し離れたところではゼンが敵の相手をしている






キィィイイン




「・・・くっ!!」



しかし流石にアセリアが苦戦するだけあってこのスピリット達はかなりの手慣れだ


相手のスピリットの攻撃を回避して相手を切り裂く


「次っ!!」

【月欠】を構え直して次の相手に掛かろうとしたが





ヒュゴォォオオオオオ!!




「・・・しまっ!!」


ブラックスピリットの支援技、ダークインパクトが自分を襲う


ダメージはたいしたことはないが動けない



それを見つけた敵の内の4人が――

   

「くっ!!」


なんとか二人の神剣を退ける







ズサリ・・・・と


次の瞬間、自分の体が熱くなって力が抜けていくのを感じた




「ぁ・・・・うぁっ・・・・」




敵の黒・赤スピリットの神剣が突き刺さる




案の定・・・致命傷ではないようだが、かなり酷い傷だ





ドサッ




力が抜けていく、視界が薄れる・・・敵のスピリットが迫る




(あはは・・・無茶・・・しちゃったかな?)



先程ゼンが表情を変えて自分の所に走ってくるがどうでもいい


ただ――とても眠い



寝よう



そう思ったとき






















【ここで諦めるの?】


















声が聞こえた



(・・・え?)



【貴方はここで諦めて、それでいいの?】


(貴方は・・・?【月欠】なの?)


声の主に問う


【貴女にはそう呼ばれていましたね、私は――永遠神剣第3位【想い】】

(三・・・・位?)

【ええ、私はある事情から4位神剣となっていました】

(そう・・・でも私はもう駄目みたいだね・・・)


諦めがちに言う


【・・・何を言っているの?貴女を助けるために私が出てきたのよ】

(・・・え?)

【彼を大切と想い、愛する気持ちが私を目覚めさせた】

(・・・)


【彼を、仲間を護る力が必要?】


(それは――私も繕のように永遠者になるってこと?)

【・・・ええ、貴女には資格があるわ】



自分も彼のように



私は――繕と一緒に居たいし・・・護りたい





(うん・・・私は願う、ゼンや皆を護る力が欲しい!!)




次の瞬間世界が光に包まれた




【契約はここに成り立ちました――私は永遠神剣第三位【想い】・・・貴女に大切な人を護るための力を渡しましょう】






自分が握っていたのは







古代文字の様な文字が刻まれた両刃の片手剣だった






















―繕  Said





敵を切り伏せてルナに駆け寄ろうとした時俺は見た




眩い光が溢れるのを



(っ・・・・刹那!!これは・・・)

【繕、これは――エターナルの力だ】




まさか、と俺の心の中で思った




「刹那っ!!とにかくルナを助ける!!出し惜しみせず本気出せ!!」

【承知した、いくぞっ!!】


マナを開放して両手剣となった刹那を構え光に飛び込む








































ズサッ!!







そこには敵のスピリットの姿は無かった




そこには












「・・・ルナ? 」




そこに居たのは




いつもと違う神剣を持った彼女だった





「・・・ゼン、私」




彼女の口から発せられる言葉は分かっていた




だから――




「私エター「ドサッ」・・・えっ」




言い終わらない内に彼女を抱きしめる




彼女の神剣を見た瞬間分かってしまったのだ


彼女が――     永遠者   になったと言う事を


それと同時に抑えていたものがあふれ出す



「なんでっ・・・なんでだよっ!!エターナルになったら皆から忘れられるんだぞ!!そんなの・・・俺だけでよかったのにっ・・・どうしてっ・・・」



自分はエターナルになったから分かる


この世界での全てが終わったら  皆  の記憶からは自分の事は消える


父が、母がそうしてきたように、自分もそうしようといつの間にか決めていた





少し前に・・・刹那に自分の意思を伝えたのだ




永遠者になる、と




「ゼン・・・」

「皆から忘れられるのは俺だけでよかった!!なのに――どうしてっ・・・」


もし彼女が永遠者になったのならば


これからきっと多くの事から苦しむ事になるだろう


だから――

自然と彼女を抱きしめる手が強くなった


「・・・私、ね・・・分かってて選んだんだよ?」



言葉を疑った



分かってて――なら・・・



「なっ・・・皆から忘れられる、それが怖くないのかよッ!!」


「私だって怖いよ!!でも・・・私の記憶からゼンが消えるのはもっと嫌!!皆から忘れられて、それでも・・・私はゼンと一緒に居たいのっ!!」


その叫びに驚き自然と手の力が弱まる


「ルナ・・・」

頭に上っていた血が引いていく


「私は――ゼンと一緒に居たいの・・・ゼンは卑怯だよっ・・・」



卑怯――? 俺がか?



「卑怯って・・・」


「私はゼンの事好きだったのに・・・エターナルになったら全部忘れる・・・それでサヨウナラなんて・・・卑怯だよ」


ズサリと俺の心に突き刺さるものがあった


―俺だって出来る事なら忘れたくない、でも彼女を傷つけたくない・・それに――永遠者となればもっと辛い事が待っているかもしれないから


「俺だって好きだよ――誰よりも、君を愛してる・・・でもッ!!エターナルになればずっと戦う事になるんだぞ!!それで君を傷つけるのは・・・嫌なんだ」


消え入りそうな声――だが返ってきたのは予想していなかった返答だった


「あの・・・ね、私は別に傷ついても構わないよ」


「・・・ッ!!」




「私は傷ついても・・・ゼンが傍に居てくれる、それだけで何よりも嬉しいから――いくら苦しんでも私はゼンの傍に居れればいいの・・・」



ルナは俺の福の裾を掴んで顔を埋めながら言う



「ルナ・・・」








「ゼンは・・・私にとってたっと一人だけで・・・世界で唯一私が好きな人だから――」



つまり彼女は――自分で選んで――



なら俺は――

「ルナ・・・その、さ・・・俺でいいのか?」


するとルナは顔を埋めたまま






「・・・うん」









俺はまた腕に力を込めて彼女を抱きしめる


彼女の体はさっきよりもかなり力が抜けている


「あはは・・・なんか言いたい事言ったら力抜けちゃって・・・」



「・・・無理するな、いきなりエターナルの力使うからだ」



完全に体重を自分に預けて安堵しているルナ



「あの・・・ね、さっき言ってた言葉・・・もっかいいってくれないかな・・・」




流石に勢いで本音を言ったのでいざ言おうとすると恥ずかしい




「俺は――君が好きだ、だれよりも君を・・・ルナを愛してる」



そう言うと真っ赤になるルナ




「うん・・・私も、だから――」


「え?」と言った瞬間俺の顔の前に彼女の顔があった




そのまま伝わってくる彼女の温もり、優しさ、想い――身長差が結構あるけど背伸びして唇を合わせている




そんな彼女が誰よりも、何もより大好きで――





たった少しの時間が永遠と感じられて唇を離すと彼女は顔を赤くしながら微笑んでいた





「これでお互い様だね」


笑いながら言う


「む・・・何がだ」



「ゼンは一人で抱え込もうとしてたし私は勝手にエターナルになっちゃったし・・・これでお互い様」


また俺の胸に顔を埋めてくるルナ



「馬鹿、俺は正直嬉しいんだぞ?これで――君とずっと居られるから」



「うん・・・ずっと一緒だよ?ゼンっ♪」


心から嬉しそうな笑顔を見せるルナ




それが俺には嬉しかった




 
                             ――だけど






             ――この時、最後にああなるなんて誰も思いつかなかった










遠くでは悠人達がケムセラウトを落としたらしく歓声が聞こえる


「行こう、ルナ、悠人達が待ってる」


「うんっ♪」



俺は彼女の手を握ると


悠人達の居る方向に二人で向かっていった










                    ―もし神様がいたならば






                   ―二人に僅かな希望を与えて欲しい








                 ―今はしばらくこの幻想の大地と二人のの幸福を願おう









                        ―ケムセラウトから響く歓声は







                    ―二人が合流した後もずっと続いていた







 










                  『もしこの世界が二つならば、もう一つの世界はどうなっているのだろうか』





                          【刹那】が呟いた











                                 続く


後書き


読者の皆様こんにちわー。いやはや・・・半年くらいぶりでしょうか?それくらいの長い間更新できず申し訳ありませんでしたっ!!汗
今回ヒロインのルナの覚醒という事で書かせて頂きましたがどうでしたでしょうか?(本当はあーんなことやこーんなことを入れようかと考えていたのですが  by心の声)




ルナ:へぇ〜・・・そんな事考えていたんですか〜♪
作者:ひぃッ!!



待ってくださいルナさん、今は後書きの途中であって小説ではないですよっ!!



繕:・・・そんな事考えていたのか
作者:ぜ、繕君まで!!!


二人揃って神剣構えるのやめてください!!


繕&ルナ:問答無用ッ!!
作者:ぎゃああああああああ!!!





ピンポンパンポン♪ 只今エネルギー波が発生しましたため今しばらくおまちください♪




刹那:哀れな作者よ
想い:そうですね・・・





―数分後




繕:まったく、蓮も変な事を考える・・・
ルナ:本当だねー・・・そんなお年頃なのは分かるけど


今何気に酷い事言われましたよね(天の声)



繕:でも・・・ちょっとは期待してたかも・・・
ルナ:ぜ、ゼン・・・
繕:しまった・・・つい本音が・・・


反射的に神剣構えるの止めましょうね繕君(天の声)

ルナ:でも・・・ゼンがそう言うなら・・・
繕:ルナ・・・




あーあー、今後書きなのに勝手に愛の空間作らないでねー・・・って無駄か、ほっとこう(天の声)




さてと本題に戻りましょうか。

実は今回、結構書く暇が探せばある事が分かってきまして、重大なメッセージを残させて頂きました
勘の良い方はお気づきの方も居るかもしれませんが・・・



今回、『終わらない鎮魂歌』と『刻み続ける時の中で』の二作品の合同作品を勝手ながら製作させていただきます事にしました


身勝手は承知の上ですがどうかお許しください
内容は仮設定(ネタバレをおもいっきり含む)を見ていただければ分かりますが簡潔に言えば・・・


―二つに割れた世界がひとつになってしまった 真実の物語   です


また、先程愛の空間構成してる二人にぶっ飛ばされましたが先に注意書きを


*この小説は一部、R15又はR18の内容を含む事が稀にあります。そういった系統に嫌な気分を感じる方はそこを飛ばして下さると幸いです


又、皆さんのおかげでなんとか2万HITを達成できました。感謝しても尽きません。近いうちに記念作品を書かせていただく予定です
さて、もうこの作品を書かせていただいて2年です。長いですねー・・・正直永遠のアセリアが自分の中からもう離れませんね(笑)
この作品ももうそろそろ大詰め、頑張っていきます。では長くなりましたがこの辺で

今回、後書きを書く時BGMに使わせていただいたのは.hack//GU 
より やさしいその手 です。


さてで最後に予告っぽい物を




           『想いは力へと変わる、ならその力は何処に行くのだろうか?』




では皆様お元気で



平成19年 6月13日 部活で大怪我して休養してる夕方

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