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     ―終わらない鎮魂歌―
            【第一話、戦い×初陣×迷い】


―第一所詰め所 繕の部屋

(スースースー・・・)
寝息を立てながら眠る繕
もう日は昇っている上にそろそろ朝食の時間だ
【繕、もう朝だ起きるのだ】
繕を起こそうとする【刹那】だったが無駄だった
「ん・・・待て・・・あと少し・・・」
そう呟く繕
【しかしもう朝だ、そろそろ朝食だぞ?】
「大丈夫・・・ちゃんと起きるから・・・」
そう言い再び眠る
【こうなれば・・・】
【刹那】はニヤリとする
次の瞬間、繕に強制力をかけたのだ



キィィィィィィィイイイイイイン



「どわぁぁぁぁああああっ!!」
いきなりの強制力に目を覚ます繕
【起きたか】
そう言う【刹那】
「起きたか、じゃないだろ!!いきなり強制力使ってさ!!」
もう目は完全に覚めている
【お前が目を覚まさないからだ】
呆れて言う
「ったく・・・朝から頭痛いな・・・」
しぶしぶ【刹那】を持ち部屋から出る
【痛くしたからな】
そう言う【刹那】
「へいへい・・・」
そう言い食卓に下りていった
この時、繕は平和がそろそろ終わるとは思ってなかった





―館の食卓 朝



繕が降りた時にはもう既にアセリア、オルファ、エスペリア、悠人が食卓に居た
正直起こしてくれた【刹那】に感謝してしまう
「おはよ、悠人」
そう言う繕
「ん、おはよ」
悠人が言い返す
「アセリア達もおはよ」
「ん・・・」
「おはようございます」
「おっはよぉ〜」
そう言う三人、アセリアだけはいつもどうり無口だったが
そして食卓に付き、食事をし始めた
数分後、オルファの口から驚きの言葉が出た
「ねえねえゼン〜」
「ん?なんだオルファ?」
すぐに聞き返す
「あのね、この前パパとお風呂入ったんだけどね、パパの下に付いてるアレ何?」
オルファの質問に唖然とする繕
「え・・・・?」
しばらく食卓が硬直した。アセリアだけはお茶を飲んでいたが
「オ、オルファ!食事中にそんな事言っちゃいけません!」
顔を真っ赤にして言うエスペリア
それに対して悠人は死んだような顔をしていた
「えーなんでー?」
不満そうに言うオルファ
「じゃあゼン、せっくすって何ー?」
完全に唖然とする。
一体オルファはどこでこんな知識を仕入れてくるのだろうかと思う
「オ、オルファ・・・」
身体全体から生気が抜けていく感じがしたひと時だった
その後、むくれるオルファをエスペリアがなんとかなだめていたが
悠人もかなり焦っていた、その中でアセリアだけが落ち着いていたのである。





―第一所詰め所
  食後




一騒ぎあった食事の後繕は気分を晴らす為に外を歩いていた。
(オルファは一体どこからあんな知識を持ってくるんだ・・・)
そう思いながら歩いていた
すると繕は見慣れない場所まで来ていたことに気づいた
「あれ・・・ここどこだ?」
また道に迷ったようだ
【またか・・・繕・・・】
呆れて言う【刹那】
「うう・・・情け無い・・・」
そう思うのだった
そして頭の中に一つアイディアが浮かんだ
「せーつーなー」
笑いながら言う
【な、なんだ?】
絶対、変なことを考えてると思いながら言う
「なぁ、神剣の気配って確か探れたよな?」
【出来るが・・・それがどうした?】
ニヤっとする繕
「それで悠人かエスペリアの神剣の気配探れないかなー?」
やっぱりかと思う【刹那】
【断る、第一迷ったのはお前の責任だろう?】
ビシっと言われる
「駄目か・・・」
がっかりする繕だったなにしろ名案だったからだ
「仕方ないなぁ・・・」
じふしぶ歩き出したその時だった
「キャッ!!」
「わっ!!」
不意に誰かとぶつかる
「ってて・・ごめん、大丈夫?」
「あ・・・だ、大丈夫ですっ!」
手を伸ばした時思った、ここはスピリットの館の近くだ一般人が居る訳無いと
じゃあこの子は誰なんだ?
そう思った
ぶつかった少女はまだ幼く、黒く長い髪を後ろで束ねていた
「君は・・・誰だ?」
疑問に思い聞いてみる
「あ・・私はヘリオン、【失望】のヘリオンですっ!」
なるほどと思った
(そうか・・・この子がエスペリア達以外のスピリットか・・・)
そう思った
「あ、あの・・・?」
ヘリオンが恐る恐る聞いてくる
「ん?」
「貴方は誰なんですか?悠人様じゃないし・・・」
完全に疑問に思われてる
「ああ、俺は神崎 繕だ、悠人とは違うもう一人のエトランジェさ」
そう言う
「あなたがもう一人の・・・」
驚くヘリオン
「そんなに驚かなくても・・・」
驚くヘリオンを落ち着かせる繕
(にしても・・・可愛い・・・)
ふとそう思う
確かにアセリアやエスペリアもそうだがこの子は小動物を思わせる
そう思ったのだ
「所でヘリオン」
「は、はい」
ヘリオンが繕のほうを向く
「実は恥ずかしい事に道に迷ってな・・・案内して欲しいんだけど・・・」
恥ずかしそうに言う
「あ・・・はい、分かりました、こっちです」
そう言い繕を案内する




―第二所詰め所付近




気が付くと一所詰めと良く似た構造の建物の近くに来ていた
(あれ、ここって見たこと無いよな・・・)
そう思いへリオンに聞いてみる
「なぁヘリオン、あの建物はなんなんだ?見たところ一所詰めに似ているけど」
「はい、あれは二所詰めです」
「二所詰め?そんな所があったのか・・・」
「はい、あそこには私を含めて今は五人のスピリットが居ます」
説明していくヘリオン
「なるほどな・・・」
感心してしまう
(でも彼女も・・・まだ幼いのに戦わないと駄目なんだな・・・)
そう思うと胸が苦しくなる
そしてヘリオンに話し掛けようとした次の瞬間だった


「あー!!」
声の方を向くとそこにはオルファと同じくらいの女の子が居た
一人は青い髪の毛のポニーテールの子だ
もう一人はお河童の髪の毛が青い子だった
「ヘリオン、その人誰ー?」
「だれー?」
二人が言う
「この方は悠人様とは別のエトランジェ様です・・・」
ドギマギしながら言うヘリオン
こうゆう性格なんだなと思う
「なあ、ヘリオン、彼女達は誰なんだ?」
ふと思う聞いてみる
「二人はネリーとシアーです」
「【静寂】のネリーだよっ!!」
「【孤独】のシアーですぅ」
二人は対照的だなと思う
「神崎 繕だよろしくな」
そう言う
「ゼン様は悠人様よりしっかりしてるように見えるねっ!!」
そう言うネリー
「ん?なんでだ?」
「だって、見た目的にそう思うよっ」
なんだか悠人が可哀想になってくる
その後しばらく二人と喋り別れたのであった



―第一所詰め所付近



大分歩いたと思いへリオンに聞いてみる
「随分敷地が広いんだな、ここは」
「はい、そうですね」
なんだかヘリオンはニコニコしていた
なんでだろう、と思いながら歩いていくと不意に声を掛けられた
「あれ〜ヘリオンじゃないですかぁ〜」
ゆっくりとした口調だと思った
そこには緑の髪の毛の女性が居た
「あ・・・ハリオン」
そう言うヘリオン、どうやら彼女の名前はハリオンと言うようだ
「そちらの方は誰ですかぁー?」
聞いてくるハリオンだった口調的にお姉さん系を思わせる
「ヘリオンの彼氏ですかぁー?」
そう言うとヘリオンは顔を真っ赤にしていた
「ち、違いますよぉ・・・こちらの方はもう一人のエトランジェ様です・・・」
真っ赤な顔をしながら言う
「神崎 繕だ、よろしく」
「【大樹】のハリオンですぅ宜しくお願いしますぅー」
ゆったりとした口調で言う、天然だ、と思う
その後ハリオンと別れ一所詰め所の前まで来たときだった



「なぁヘリオン・・・」
「なんですか?」
すぐに振り向くヘリオン
「なんで君達は戦わないといけないのかな・・・」
驚いた顔をしてヘリオンが言う
「それは私達がスピリットだからですよ・・・」
その言葉に驚く繕
「それだけでか・・・?」
「私達は人間の為に戦って散る運命なんですよ・・・」
悲しそうな顔をするヘリオン
「違う・・・それは違う、君達はどう見たって普通の女の子じゃないか!」
つい強い口調になってしまう
「俺は道具として君達を見たことはないし、君達は道具じゃないんだ」
そう言う繕
「すまない・・・こんな事言って・・・」
そう謝る
「道案内ありがとうな・・・」
暗い表情で一所詰め所に戻っていく

「ありがとうございます・・・」

繕が行った後へリオンが呟いた





―第一所詰め所 




時間はもう昼だった
ヘリオンと別れ一所詰めに付いた頃にはもう昼だったのである
繕はすぐに食卓に向かったのであった
(人の為の道具・・・・か・・・)
心の中で呟く
食卓に付き食事をしている時ふと思ったのだ
(本当にそうなのだろうか・・・スピリットと人は共存出来ないのだろうか・・・)
そんな事を考えていると食事が進まない
「繕、全然食べてないじゃないか」
不安そうに言う悠人
「ああ、すまない、ちょっとな・・・」
「何かあったのですか?」
エスペリアが心配そうに聞いてくる
「ゼン大丈夫〜 ?」
オルファにまで心配されてしまう
そして思い切って聞いてみることにした
「なぁ、エスペリア」
「なんでしょうか?」
「人とスピリットは今は使う側と使われる側だ」
そう言い言葉を切る
「でも本当にそうなのか?俺はスピリットと人間も同じだと思うんだ」
そう言う繕
「どうしてそう思われるのですか・・・?」
「さっき、昼前に君達以外のスピリットに会ったんだ、二所詰めで」
「あの子達に会ったんですね・・・」
エスペリアは暗い顔をしていた
「ああ、ネリーやシアー、ここにいるオルファだってまだ小さいのに戦わないといけない、何故だ?」
「・・・」
エスペリアは何も言わない
「それだけじゃない、どうしてスピリットだけが戦わないといけない?スピリットだって生きているだろ」
自分の疑問をエスペリアにぶつけるとエスペリアは言った
「確かにゼン様がそう思ってくれるのは喜ばしいことです、でも私達はスピリットなのです」
「なっ・・・」
「神剣と共にあり、神剣と共に消えていく、それが私達なんです」
エスペリアは言った
「分かった・・・でも俺は君達を道具としてみない、俺は君達を大切な仲間だと思ってる」
そう言い食卓を後にした繕だった




―第二所詰め所付近 昼過ぎ




繕は気分を晴らす為に外を歩いていた
(この国は平和だな・・・)
つくづく思う
この世界に飛ばされてもう1ヶ月が経っている、この国の人間じゃない繕でもこの国が平和だと言うことは分かった
心地よい風が吹いていた
(戦いになればこの自然も失われるのかな・・・)
ふとそう思う
(いや・・・俺が護る・・・悠人も、エスペリアやヘリオン達も・・・)
そう思った
しばらく歩いていると訓練所の近くまで来た、繕はふと目をやった
(訓練所か・・・行って見るか・・・)
そう思い訓練所に行く
(久々に訓練といくか)
そう思い訓練所に入ろうとした
「てぇぇぃっ!」
中から女性の声が聞こえる
(先客がいたか・・・でもあれは・・・)
そう、そこに居たのはヘリオンでもネリーやシアーでも無かった
(誰だろう・・・?)
そう思っていると訓練が終わったようだ
まあいいかと思い訓練所に入っていった
「ふぅっ・・・」
一息つく彼女だった

「お疲れ様、」
ハッとして振り向いた
「貴方は・・・?」
不思議そうに聞いてくる
彼女は赤い髪ので短い子だった
「ああ、俺は神崎、神崎 繕だ、この国のもう一人のエトランジェって言ったほうがいいか」
自己紹介しておく
「私は【赤光】のヒミカです、宜しくお願いします」
非常に礼儀正しいな、と思った
「ゼン様はどうしてここに?」
「ああ、訓練だよ」
「そうだったんですか・・・私邪魔でしたか?」
ヒミカが聞いてくる
「いや、邪魔じゃないよ、先に居たのはヒミカだし」
そう言い【刹那】を変異させる
「それは・・・」
目を丸くするヒミカ
「ん?こいつがどうかしたか?」
「永遠神剣・・・ですよね・・・」
「ん?そうだけど」
はて、と思う
「どうして驚いてるんだい?」
聞いてみる
「いえ、非固定の神剣なんて初めて見たもので・・・」
「なるほどね、まあこいつみたいに形変えれるのは少ないと思うし」
そう言いながらもう訓練をしている、その速度にヒミカは驚いていた
「早い・・・」
「そうか?」
そんなに速くしていないと思ったのだが
ヒミカが何かいいかけた次の瞬間だった


カーンカーンカーン!!


警戒音が鳴る
すると一人の兵士が走ってきた
「ゼン様!!首都サドモアが我が国に対して宣戦布告して来ました、すぐに謁見の間へ!!」
(とうとう始まるのか・・・)
そう思うと
(ヒミカ、いくぞ!!)
そう言い急ぐのだった



―謁見の間

着いたときにはもう既に悠人やエスペリアを初めとするスピリットの面々がもう揃っていた
勿論緊迫した空気を張り詰めて
「すまない、遅くなった」
「いや、大丈夫だ」
悠人と繕は言葉を交わす
ふと目を王座にやると王はそこには居なかった
(なぜあのクソ王が居ない・・・?)
疑問に思う繕
すると王の変わりにレスティーナが口を開いた
「貴方達が知っての通り、サドモアが我が国に宣戦布告して来ました、貴方達にはエルスサーオへ向かい敵を迎撃してもらいます」
冷静に言い放つ
「エトランジェ。【求め】のユートよ」
「ハッ!!」
「貴方には期待しています頑張ってください」
そう言うレスティーナ
そして疑問に思ったことを聞く事にした
「レスティーナ王女」
「なんでしょうか?」
「国王はどこに行ったんだ?」
するとレスティーナは苦い表情をする
「父は今他の国に出ています」
「なんだと?」
おかしい、と思った
「とにかく貴方達には戦ってもらいます、頑張ってください」
そう言い終わるとエスペリア達は動き出した
(何を考えている・・・こんな時に不在なんて・・・)
そう思った
そして繕は戦場へ向かったのだった





―エルスサーオ  




到着し、エスペリアが悠人に何かと説明している
どうやら悠人もスピリット隊隊長と言う事もあり焦っているようだ
(今日が俺の初陣になるのか・・・)
今更だがつくづくそう思う
エルスサーオと言う街はラキオスの近くにあるのである
防衛力は低く、しかし攻め落とせれると厄介である

「私達はエルスサーオを拠点に首都サドモアに進軍します」
エスペリアが説明していく
「防衛力が劣るのでしばらくは迎撃戦と予想されます」
確かに迎撃は確実だが相手の戦力が上な以上、持久戦になる
(どうしたものかな・・・)
そう思っていると作戦の説明が終わったようだ
そしてしばらく悠人やエスペリア達と話をし、作戦開始時刻が近づいた
「・・・・」
緊張しているのか、黙っている悠人
「悠人、硬くなるなって、隊長だし仕方ないかもしれないけどお前がしっかりしないと隊が崩れる」
「ぜ、繕・・・」
少し驚く悠人
「少しは俺の緊張感のなさを見習えよ」
そう言いおもいっきり悠人の背中を叩く
「いてっ!ったく・・・お前も緊張感持てよ・・・」
少し笑いながら言う悠人だった
「そうだな」
そうこういっている内に作戦開始時刻になったようだ
「よし、行きますか」
「皆、行こう!!」
そう二人は言い進軍を開始した




―エルスサーオ 前線




どれくらい経っただろうか、オルファが口を開いた
「パパは隊長さんだね、オルファなーんでもゆうこと聞くよっ」
「お、オルファ・・・」
悠人が言う
「オルファは偉いな、悠人の事思ってるんだな」
「うん、オルファはパパ大好きだよっ!」
「悠人は幸せ者だな、ハイベリアじゃこいつの成績と言ったらそんな言葉掛けたくなくなるほど・・「わぁぁぁぁぁぁぁあああああ」」
悠人がこれは不味いと思い焦る
「冗談だ、落ち着け少年」
笑いながら言う
すると黙っていたエスペリアが口を開いた
「オルファ!そのような口の利き方はいけません!」
いきなりの怒った声に拍子抜けする繕
「ぷーなんで?パパはパパだよ?」
むくれて言うオルファ
「そうだぞエスペリア、オルファはオルファなりに悠人の事心配してるだけじゃないか」
「ゼン様、私達は隊長である悠人様の命令に従わなければならないのです」
「エスペリア、いいんだ、別に俺も何が違うって訳じゃないし」
そう言う悠人
オルファにとってはまさに助け船だったろう
「ほら♪、パパもそう言ってるもん」
そう言って悠人のほうにさすり寄る
しかしエスペリアはそれを許さなかった
「ユート様、ゼン様、ラキオス軍スピリット隊隊長補佐の立場から申し上げます、私達は道具です人ではありません」
「なっ・・・」
「御二方がどう思われようとこれは紛れも無い事実です、もう今までのようには参りません」
「・・・」
黙り込んでしまう
「アセリア、特にオルファ!」
「う、うん・・・」
悲しそうに言うオルファ
「ん」
アセリアはいつもと変わらない
「私達はユート様の剣であり楯です、ユート様の言葉は自分の命より重いと考えなさい」
(いい加減腹が立ってきた)
そう思った
「な、無茶苦茶な事言うなよエスペリア!」
「何がおかしな事なのでしょう、私達は・・・スピリット、戦う道具なのです」
そこで繕の怒りは頂点に達した
「言いたいことはそれだけか・・・?」
「はい・・?」
エスペリアが繕のほうを向いた次の瞬間だった
「ふざけるなっ!道具として扱え?そんなの無理だろ!!」
繕が怒っている
「じゃあ死ねっていったら死ぬのかよ!!」
「そうです!!」
「なっ・・・」
驚く繕
「スピリットとはそうゆう物ですっ!!」
エスペリアが強く言うからそれ以上は何も言わなかった


(どうしてだよっ・・・エスペリアも皆もっ・・・・)


そう思った繕だった



to be continued



後書き



どうも・・・蓮です・・・
テストが近くなり死にそうです・・・乙
なんかごっちゃで・・・すみません・・・
また暇を見つけて書きたいので宜しくお願いします。


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