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    ―終わらない鎮魂歌第一章―
      【第二話、ラキオスのエトランジェと龍】



どれくらい眠ったのだろうか全く分からない
しかしかなり熟睡していたようだ
「ん・・・んん・・・」
ゆっくりと目を開ける、すると眩い光が目に入ってくる
「眩しいな・・・」
そう思い【刹那】のほうを見る
「おはよう、【刹那】」
【起きたか、繕】
そう言うと立ち上がる
(今日から訓練だったな・・・)
そう思い刹那を見る
「それで、どんな訓練をするんだ?」
【刹那】に尋ねる
【かなり厳しいぞ、並の身体じゃもたないだろうな】
キッパリと言った
「そんなに厳しいのか・・・」
【言った筈だ、かなり厳しいとな】
「そうだな・・・生きる為にも・・・仕方ないな」
そう言い【刹那】の訓練に入る。
しかしその訓練メニューは思ったより過酷な物だった






―同日、夕方
 繕と【刹那】の訓練場所


「ッっ!・・・ハァッ・・・ハァッ・・・」
かなり息が荒い、そう、なにしろ【刹那】の超過酷な訓練をしたのである。
内容は・・・

基本的な素振り
マナのコントロール
精神安定の訓練
それから反射神経等の強化だ


そう、これらはマナのコントロールを除いてはたいして現代の訓練と変わらないが・・・
そう、内容が有り得ないほど厳しいのである。

周りはもう薄暗くなって来ている
「ハァっ・・・どうだ・・・耐えた・・・ぜ・・・」
そうは言ってもかなりバテている、今にも倒れそうだ
【ほう・・・正直驚いた・・・まさか並の体でこの訓練に耐えるとはな・・・】
【刹那】はかなり驚いているようだ
「【刹那】・・・どうだった、訓練は?」
【刹那】に問う
【正直驚いた、まさかお前がここまでとはな・・・】
【このままいけば、技術的にはかなり安定した物になるぞ】
【刹那】がそう言う
「当たり前だ・・・こんな・・キツイ訓練してんだから・・・なっ・・・」
そう言うとその場に倒れこんだ
【繕っ!】
【刹那】が心配そうに言う
「大丈夫だ・・・少し疲れただけだ・・・」
【そうか・・なら良いがな・・・】
「しばらく休ませてくれ・・・」
【繕】
「なんだ?」
【刹那】の急な問いに少し驚く
【このまま行くと確かに能力的にはかなり安定してる物になるだが下手をするとお前が限界になりかねん】
【刹那】にしては珍しい言葉だった
【お前が限界なら少しでも訓練の内容を軽・・・「大丈夫だ」】
【刹那】が言い終わる前に言う
【何?】
「俺なら心配ない、お前も言っただろ厳しい訓練だってな、それに俺はこの程度じゃへタレねぇよ」
笑いながら言う
辺りはもう真っ暗で心地よい風が吹いていた
【そうか、なら良い、だが無茶はしてはならないぞ?】
【刹那】が言う
「分かった」
そう言うと繕は眠りに落ちていった



そうやって訓練の日々が三週間続いた、訓練にも体が完全に慣れていた。
そう、とうとう旅立つ日が来たのだ。もう自分に迷いは無かった、生きる為に、そして護る為に自分は【刹那】を振るうのだと


―旅立ちの日 朝


その日は非常に良く晴れていた、【刹那】と出会い1ヶ月が過ぎようとしていた。
「さてと・・・【刹那】、行くか」
【そうだな、出発しよう】
そう言い歩き始めた。
もう後戻りは出来ない、そんな事は分かっていた自分はこのかけがえの無い相棒と共に歩むのだと
そう自分に言い、迷いは振り切った。
【所で繕、ラキオスら向かうのだな?】
歩きながら【刹那】が尋ねてくる
「そうだな、ラキオスのエトランジェも気になるし」
そう言いラキオス方面に歩き出そうとした次の瞬間だった

キィィィィィィィィィィィィイイイン

大きな力を感じたのだ
「刹那・・・この力は・・・」
【ああ、この気配はラキオスを守護する龍の気配だ】
「龍?なんでそんな奴の気配がするんだ?」
【恐らく龍を討とうとする者が居るのだろう】
「いや・・・そんな気配は感じられないが」
【うむ、しかしわずかだが龍の気配にまじって3人・・・いや4人の気配がする】
「まさか・・・ラキオスのエトランジェか!?」
【可能性は有る】
「ラキオスより洞窟に行く方が近い、急ごう」
【そうだな・・・よし速度を上げよう】
そう言い速度を上げる、最初の頃とは比べ物にならないほどの速度だ
走りながら【刹那】が言う
【ラキオスを護るサードガラハムを討つとは・・・一体何を考えているのだ・・・】
「さぁな・・・でも重要な龍なんだろ?龍を討つなんて一体何を考えているんだろうな・・・」
洞窟に近づくほどマナが荒れている
しばらくすると洞窟に着いた
【どうする?様子を見てみるか?】
「そうだな・・・様子を見よう」
そう言って様子を見る
「ぐはぁっ!」
誰かがサードガラハムに飛ばされ壁に叩きつけられる
(ん・・・あれは・・・!)
そう、忘れもしない、離れ離れになった一人、高嶺 悠人 である。
「ユート様っ!下がってくださいっ」
そう言い放つ女性、しかし繕は全く見覚えが無い
「なぁ【刹那】、あれがスピリットなのか?」
【そうだ、どうやらスピリットは3人居るな】
「にしてもスピリットって可愛いよな・・・」
【繕、見とれている暇があったら目の前に集中しろ】
【刹那】が呆れて言う
「そうだな、悠人を助けに行くか」
再度サードガラハムの方を伺う
「ていやぁぁぁぁぁぁ!」
青い髪の毛の女の子がサードガラハムに切りかかるが全く効いていない
「その程度の攻撃では我には効かぬ、アイスプレス!」
サードガラハムの攻撃はまるで容赦無かった
「ぐはぁっ!」
「きゃあっ!」
などの悲鳴が聞こえる
悠人達はかなりのダメージを負っている、これ以上は無理だろう
「くそっ・・・」
悔しそうに言う悠人
「その程度か、小さき者共よ、まあ良い、次はお前達の国を焼き払ってやろう」
そう言い放つサードガラハム
「なん・・・だと・・・」
そう言う悠人、しかし力が入らないその時だった

「そうされると、困るんだよね」

どこからともなく聞こえてくる声
「え・・・?」
とっさのことで驚く悠人
「む、誰だ?」
サードガラハムはたいして驚いてない様子
そこに立っていたのは大鎌を持つ見慣れた青年だった
「神崎!」
離れていた友も名を叫ぶ悠人
「よお、高嶺、生きてるか?」
そう言う
悠人が何か言おうとしたが「話は後だ」と言う
「さてと、サードガラハムさんよ、戦いは止めてもらえないよな」
無理だと分かっていたが一応聞く
「ここで見逃すとまた必ず我を倒しに来る、ここで始末しておかならないのでな」
そう言うサードガラハム
「それは困るね、生憎、大切な友人を殺させる訳には行かないんでね・・・」
言い終わった瞬間もう【刹那】を握り飛び掛っていった
(刹那、あれやるぞ)
【分かった】
そう言う。サードガラハムは素早く攻撃態勢に入り攻撃してくる
並のスピリットなどでは回避出来ないだろう、が、しかし
「加速。」
そう言い放つと繕の速度が急激に上がる
「なっ・・・!」
驚きを隠せない悠人
「何だと・・・」
サードガラハムも流石に驚いている
「遅い」
そう言い放つと
「こちらからも行くよ」
【刹那】を構え攻撃態勢に入る
「集えマナよ、その力漆黒の刃へと変えて解き放て・・・死迅閃っ!」
大鎌から大きな漆黒の刃が放たれる、その速度も異常だ、回避する事はほぼ不可能だろう
「終わりだ」
そう言うとサードガラハムは既に倒れていた
目の前の出来事に呆然とする悠人
自分達があれだけ苦戦した龍を一撃で倒したのだ。
「我を倒したか・・・どうやら門は開かれたのだな・・・」
なんのことだと考える繕
「我は人間は好かんが、妖精達は近くに感じている」
「求めを持つ者よ、決してその力に溺れるな、妖精達を護って見せよ」
「ちょっと待て!どうゆうことだ!」
呆気にとられる悠人
「絶大な力を持つ小さき者よ」
自分の事だろうと思い振り向く
「ん?」
「その力は絶大だ、決して誤らないようにな」
「どうゆうことだ?」
そう言うとサードガラハムは消えて行った
「お主たちにマナの導きがあらんことを・・・・」
そう最後に言い残して
「なんだ・・・この違和感は・・・」
(確かに悠人を殺そうとした龍は倒した、悠人達もそれが目的の筈だ、しかしなんだこの違和感は)
そう思い悠人の方を向く
やはり悠人も難しそうな顔をしている
「悠人、久々の再開に喜びたいんだけど、まず説明してくれないかな」
そう言い後ろに居るスピリットの方を見る
「ああ、悪い」
そう言ってラキオスに自分が居ること、佳織が人質に取られている事を説明した
「なるほどな・・・」
難しそうな顔をする
「佳織ちゃんを人質にね・・・」
そう言う
「所で、高嶺後ろの彼女達は誰なんだ?スピリットって事は分かるが」
「ああ、そうだったな後俺の事は悠人でいいから」
「分かった、じゃ俺も繕でいいぜ」
そう言うと彼女達を紹介していく
「【献身】のエスペリアです宜しくお願いします」
(美人だし、礼儀正しいな・・・)
「【理念】のオルファリルだよっ!宜しくね」
(明るいんだな・・・小鳥に良く似てる・・・)
「ん・・・【存在】のアセリア・・・」
(無口だな・・・まぁいいか・・・)
紹介が終わると自分も紹介する
「初めまして、神崎 繕だ、宜しく、ちなみにこっちの大鎌は【刹那】だ」
紹介が終わると悠人が尋ねてくる
「なぁ繕、【刹那】は何位なんだ?」
「ん、二位だ」
「二位だって?!」
驚きが隠せない悠人達
「ちなみに3位以上はえたー・・・【待て繕】」
(なんだ?)
【エターナルのことは誰にも言うな、絶対にだ】
(え?なんでだ?)
【エターナルについては伏せておいたほうがいい、それにこちらにも都合があってな】
(なるほどな、分かった)
「どうしたんだ?繕?」
「いや、何でも無いさて行くか」
そう言うと真っ先にオルファが反応する
「うんっ!行こうパパ!」
その言葉に驚きが隠せない
すると悠人の肩を掴むと
「オルファ?こいつちょっと借りるね」
ありったけの笑顔で聞く、勿論悠人に対して殺気を込めて
「うんっいいよ」
了承を得るとすぐに引っ張っていく
「さてと悠人、どうゆう事かな?こっちの世界で子供作るなんて関心しないな」
目を細めて言う
「これには色々と事情が・・・」
「小さい子にパパなんて呼ばせてか?」
冷たい目線で見る
「だから事情があってな・・・」
「まあ分かった・・・よーく分かった」
そう言うとアセリア達の所に戻っていく
悠人もそれについて行って色々説明している。



―リクディウス山脈 夕方

 


悠人達と合流してサードガラハムを倒して帰る途中だった
(なんか後味悪いな・・・なんだこの消えない違和感は・・・)
そう思いながら歩き続ける
そうしてふと疑問に思ったことを【刹那】に聞いてみる
(なぁ、どうしてこの世界の言語とかが分かるんだ?)
ずっと気になっていた事だ、エスペリアやアセリアと話している時もこの世界の言葉を喋れていた
【それは我の力だ】
(ほー)
感心したように言う
【永遠神剣の力を使えば異世界の言葉を喋るなど容易いことだ】
(そうなのか、まるで翻訳機だな)
嫌味を言ってみる
【我を道具と一緒にするでない!】
怒る【刹那】
(分かった分かった、すまない)
【分かれば良いがな】
そう言い悠人達の顔色を見てみる
やはりサードガラハムとの戦いでかなりの体力を消耗したらしくフラフラだ
(かなり疲れてるな・・・特に悠人・・・)
悠人がさっきから変な事には自分も気が付いていた
「くっ・・・駄目だ・・・頭がっ・・・」
そう言い体がふらつく
「悠人!!」
「ユート様!!」
ほぼ同時にエスペリアと繕が言う
「大丈夫だ・・・少し疲れただけだ・・・」
この時エスペリアの表情がわずかだが曇ったことを見逃さなかった
(なんだ・・・?エスペリアのあの表情は・・・)
疑問に思う
「パパァ病気なの?」
心配そうに聞いてくるオルファ
「大丈夫、少し疲れただけだから・・・」
「アセリアとオルファは先に行っていて下さい、私は後で追いつきます」
そう言い二人を行かせる
「さてと・・・エスペリア、聞きたいんだが悠人のあの状態はなんだ?いくらなんでも異常だ」
かなりの小声で聞いてみる
「それは・・・」
エスペリアが口を開こうとした次の瞬間だった
「ぐぅっ!」
悠人に異変が起こった
「どうした悠人!!」
「ユート様っ!どうなされたんですか!?」
悠人は今にも倒れそうだ
「おか・・・しい・・・身体がっ!」
悠人が地面にへたれ込む
これは異常だと思い【刹那】に聞いてみる
(刹那っ一体何が起こっているんだ!)
【どうやらあの者は【求め】の干渉を受けているようだ、この状態ではそう長く持たない】
「干渉・・・だと・・・!?」
そう言い悠人の方を振り向いた時だった
【求め】は強く、妖しい光を放っていた
「うわぁぁぁぁああっ!がぁっ・・・うわぁぁぁぁっ」
ドサッ
「キャッ!!」
そこには悠人に押さえ込まれたエスペリアの姿があった
「おい悠人!!何してんだ!!」
【あの者は神剣の干渉を受けすぎている、どうにかせねばな・・・】
「仕方ないっ!手洗い真似はしたくないけど・・・」
そう言いエスペリアのほうに駆けていく
「ユート様っ!負けないで下さいっ!」
そう言うが今の悠人にはほとんど聞こえない
「エスペリアっ!俺・・・俺っもう・・・!!」
「ユート様・・・」
エスペリアが諦めかけたその瞬間だった
「こっの・・・へタレがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
繕の怒りの蹴りが悠人の腹に炸裂する
「ぐはぁっ!」
そう言い悠人は近くの木に叩きつけられる
エトランジェの力+【刹那】の力は恐ろしい、普通はあそこまでは飛ばないだろう
「ユート様っ!」
とっさの事にエスペリアは目を丸くし血相を変えている
「ゼン様っ!何を!」
そう繕に尋ねる
「あのまま放って置ける訳ないだろ!」
そう言い悠人の襟首を掴み睨み付ける
「悠人っ!お前はそんな剣に支配されるほどヤワだったのか?!」
「ぜ・・・ん・・・うわぁぁぁぁぁぁぁっ」
そう言い近くの木に頭を何度も打ち付ける
「ユート様っ!それでは貴方がっ・・・」
言い終わらないうちに悠人は剣を落とし倒れこむ
「悠人っ!」
急いで駆け寄り悠人を起こす
「悠人っ!大丈夫か?」
「ああ・・・なんとかな・・・お前のおかげで目が覚めたよ・・・」
そう苦笑して言う悠人
「そうか・・・なら今は休んどけ・・・」
そう言い悠人を背負う
「ユート様は・・・?」
「なんとか大丈夫みたいだ」
安心したのかエスペリアが安堵の声を漏らす
「にしても・・・あれが剣の干渉か・・・」
「ええ・・・剣の干渉は今まで何度かあったんです・・・」
それには流石の繕も目を丸くした
「何・・・だって・・・!」
「それで悠人はどうしたんだ?」
自分の心が不安に満ちていくのが分かった
「その時はユート様は自分で干渉に耐えました」
エスペリアが言う
そして思いがけない事を言う
「でも、もし【求め】の欲求を満たせばユート様の負担が軽くなります・・・」
暗い顔で言う
「正気なのか?それがどう言う事なのか分かっているのか?」
驚いて聞く
「分かっています・・・」
その顔には不安と決意の意思があった
「そうはさせない・・・絶対に・・・」
「ゼン様?」
「また悠人に干渉してくるようなら・・・俺が止めてみせる・・・」
強く、そして決意を込めて言った
その後ラキオスに戻るまで二人はほとんど口をきかなかった。




to be continued


後書き

ふぅーテストも近くなりながらなんとき書き終えた蓮です!
多分忘れている方も多いかと・・・汗
今回は主人公である繕君の技について紹介します

<NEW SKILL>


死迅閃

マナを収束し強大な刃えと変えて放つ一撃必殺技である。
それはグリーンスピリットやエトランジェの防御を持っても防ぎきれないことがある。
ただ、強力な為、連射は不可能であり、再度発動まで時間が掛かる。



こんな感じです。なんかもうごっちゃで・・・次回はなんとしてもマシな作品に・・・では皆さん、お元気で。



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