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                     ―――刻み続ける時の中で―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後エターナルのマナをほんの少しだけ

 

開放して全員でラキオスに戻った

 

翌日ミーティングがあってスペリアから説明を受けた

 

そして今は

 

バーンライト戦中だ

 

 

 

 

 

 

「ですから正面からの衝突です」

 

エスペリアから作戦の説明を受ける

 

そして前線で進軍中だ

 

 

 

エルスサーオから進軍してリーザリオに向かう

 

部隊編成的には悠人とアセリア、オルファ、エスペリア

 

そして残りの皆の部隊

 

俺は1人で進軍中だ

 

 

 

「ライトニングソロゥ!」

 

 

光の刃が放たれ敵のスピリットを簡単に倒していく

 

「氷炎、皆はどうしてる」

 

【無事進軍してる】

 

「そっか」

 

皆は正面からだが俺だけは裏からあたっている

 

【我の出番は無いようだな】

 

「そう言うなって・・・」

 

ガラハムを使えばこんな戦い一瞬で終わるのだが

 

流石に不味い

 

 

昼過ぎにリーザリオが陥落、リモドアも陥落した

 

しかし

 

 

 

 

 

「この気配は・・・」

 

1、3、、、5・・・数えれない・・・

 

しかも元は――ラセリオ

 

「どうする・・・この進行速度じゃ俺が着く頃には占領されちまう・・・」

 

どうする?何かいい方法は・・・

 

【我の力を使え】

 

「あ」

 

その手があった

 

状況が状況だし・・・色々問題は起きるだろうが――仕方ないか

 

「すまない、頼むよ・・・で、使い方は」

 

【マナを流し込むだけでよい】

 

「分かった、んじゃ・・・」

 

少しづつマナを流し込む

 

しかしそれは数秒で済んだ

 

ほんの僅かな量、それだけだったが開放するには十分だったらしい

 

マナの嵐と共に現れたガラハムは、大きく翼をはためかせ咆哮した

 

「おわっ・・・すごっ・・・」

 

急いでガラハムの背中に飛び乗る。

 

【飛ぶぞ、摑まっていろ】

 

「分かった!!」

 

 

 

そうしてラセリオに向かった

 

 

 

 

 

―ラセリオ

 

 

俺がついた頃には丁度敵が進軍してきたところだった

 

「残念、この先には行かせない」

 

「くっ・・・かかれっ!!」

 

敵のスピリットが一斉に切りかかってくる

 

その数数十

 

しかし

 

 

「ぐわっ!!」

 

「1つ」

 

一瞬で真っ二つにする

 

「ひっ!!」

 

3人がひるんだ

 

「2つ、3つ、4つ」

 

次々に倒していく

 

そして

 

 

「うわぁぁぁああ!!」

 

相手にとっては最悪の相手だったろう

 

わずか数十秒で全滅させられたのだ

 

無我夢中で切りかかってくるが

 

 

 

ズサッ

 

 

 

「・・・終わり」

 

全滅させた

 

「これで全滅か」

 

安心しかけたその時

 

 

 

 

ドクン!!!!

 

 

「何だ」

 

振り向くとそこには

 

少女が立っていた

 

 

 

 

 

「誰だ・・君は」

 

「まず始めまして、私はロウエターナルのテムオリンと申します」

 

【ロウエターナル・・・】

【・・・・・】

 

氷炎、ガラハムは確実に警戒していた

 

「エターナル・・・何のようだよ」

 

「貴方に用がありましてね、単刀直入に言いましょうロウについてきて頂きたいのですよ」

 

「はぁ!?」

 

その言葉に俺は馬鹿にされていると思った

 

「馬鹿馬鹿しい、そんな話に・・・」

 

「貴方の両親に関すること、でもですか?」

 

 

ドクン

 

 

「どう・・・ゆうこと・・・だよ」

 

「私に着いて来て頂ければ、教えてあげますよ」

 

何のことかは知らないが・・・ついて行けば両親に関して何か分かるかもしれない

 

あの事故で死んだ両親の事が・・・

 

「分かったよ・・・」

 

【愁!!何言ってるの!!】

 

(大丈夫・・・いざとなったら無理矢理でも逃げるさ)

 

そしてテムオリンに着いていった

 

 

 

 

 

 

―ロウの世界

 

 

 

「どこまで行けばいいんだよ」

 

「そろそろですわ」

 

テムオリンに連れられて1つの部屋に向かう

 

悠人達は今頃どうしているだろうか

 

「ここですわ」

 

扉を開けて

 

そこに居たのは

 

 

 

「親・・・父・・・?」

 

 

・・・  ・・ありえない

 

 

 

「久しぶりだな・・・愁」

 

事故で死んだと思っていた

 

父、達也だった

 

「な・・んで・・・」

 

昔の記憶が蘇る

 

苦しみ、怒り、悲しみ、・・・そして力を欲した強欲

 

苦しみの中で消えていく

 

守りたかった命の姿を

 

「親父っ!!」

 

父の襟首を掴み問い詰める

 

「なんで生きているんだよ!!どうして俺に顔出さなかったんだよ!!どうしてここに居るんだよ!!」

 

父を仇と言わんばかりに叫ぶ

 

「愁・・・事情があるんだ・・・」

 

「母さんは!!母さんはどうなったんだよ!!」

 

「聞いてくれ!!愁!!」

 

その言葉に目が覚めて父を放す

 

テムオリンが部屋から退出するのを見計らって話し始めた

 

「俺が助かったのは・・・奇跡だった」

 

「・・・・」

 

 

次の瞬間、父は驚くべきことを話した

 

 

 

「俺は中立で・・・アイツは・・・カオスだったんだよ」

 

「なっ・・・」

 

信じられなかった

 

突きつけられた真実を

 

じゃあこの力は親譲り?

 

それなら・・・あの時の事も納得がいく

 

「俺達は違う側だったし・・・戦ったりもした、でも結婚して家庭を築いた、だけど」

 

「・・・・」

 

「ロウとカオスの数人が手を組んで俺達を殺そうとした」

 

 

親父は中立だろ・・・何でロウが絡んで来るのかと思った

 

「・・・・」

 

「数人が俺たちを助ける為に派遣された・・・だが一足遅かった、俺達は襲われて、アイツをお前を庇って・・・」

 

「死んだ・・・のか」

 

「そうだ・・・そしてあの時俺が所持していた神剣・・・中立の神剣である、氷炎だ」

 

「なっ・・・!!」

 

信じられなかった

 

氷炎を親父が持っていた?

 

つまり・・・氷炎は俺を止めようとした?

 

 

 

「その力で・・・俺は助かったんだ」

 

「愁・・・今更だが・・・戻ってくる気はないか」

 

「え・・?」

 

「中立として、また生きないか・・・今更だが」

 

「・・・」

 

「確かにお前の友人、あの世界の人々とは・・・別れることにそのうちなるかもしれない・・・」

 

確かにそれは怖かった

 

でも

 

 

それは永遠者になった時選んだ道だった

 

「俺は戻るよ・・・今ならやり直せる・・・それに、もう決めたことだ」

 

確かに

 

母さんは居ない

 

でも親父は生きていた

 

それでいいんだ

 

助けてくれた母さんの分も

 

俺は生きよう

 

そう思った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、父と生活する事になったと言う事で部屋を用意してもらった

 

部屋に入って氷炎に聞く

 

【怒ってる・・・・?】

 

「何を」

 

【黙ってたこと】

 

「怒らないよ、もう・・・いいんだよ・・・」

 

でも

 

 

もし悠人や皆と敵対した時

 

俺は戦えるのか

 

分からない

 

 

「疲れた、もう寝るわ」

 

【そう、おやすみ】

 

流石に色んな事がありすぎた

 

親父との再会、真実、そして・・・

 

とにかくもう寝ようと思って用意されていたベッドに横になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日

 

 

 

 

あれから1日たった、もう全て心の整理がついていたから

 

何も戸惑わなかった

 

時深には正直悪いと思うし

 

裏切った事には変わり無いのだ

 

そして今はと言うと・・・

 

 

「親父ぃぃ!!何で朝飯作れないんだよぉぉぉおおお!!」

 

初めてになるのだろうか

 

親子喧嘩

 

「仕方ないだろ、慣れてないんだから」

 

「だーもー!!」

 

正直ロウに来て良かったとも思った

 

誰にも縛られないし親父と居れる

 

こんな幸せはないんだろうと思った

 

でも

 

やっぱり俺は・・・・

 

 

 

 

 

 

なんとか親父の凶器のような朝飯との戦闘を終えた

 

途中でテムオリンが様子を見に来て顔を真っ青にしていた

 

「食うか?」

 

「結構ですわ」

 

即答して逃げていった

 

そして現在

 

「親父・・・頼むからあんな凶器作らないでくれ・・・」

 

「すまん・・・」

 

俺が作り直して朝飯を食う

 

そして本題に移った

 

「親父・・・中立者は誰にも縛られない・・・だよな」

 

「ああ、俺はここに留まっていても上からの命令は受けることも無い。」

 

・・・・親父って何者だ・・・?

 

「ならさ・・・俺があの世界に戻っても問題ないんだな」

 

ピタリと親父の動きが止まる

 

「無理だ」

 

「何故!!」

 

つい声を荒げてしまう

 

「確かに中立者がどう動こうが自由だ、だがエターナルの力を一般の世界に関与させるとバランスが崩れる」

 

「くっ・・・」

 

そうだ

 

元々エターナルの力と言うのはそんな物だ

 

でも

 

 

「未練が・・・あるのか?」

 

「・・・・ああ」

 

中途半端で投げ出したくなかった

 

少しだけだったけど

 

仲間だったんだ

 

「向こうの世界で・・・力を貸すことは何らかの任務が無い限り不可能だ、でも」

 

「でも?」

 

「ある程度の関与は出来る」

 

「つまり・・・?」

 

「手助けくらいは出来るということだ」

 

「本当かよ!!」

 

「本当だ、ただ」

 

「ただ?」

 

父は少し間を置いた

 

 

 

 

 

 

 

「関与が察しられたら・・・その人たちを消さないとならない」

 

「なっ・・・」

 

消す

 

 

つまりあいつらを

 

 

殺すと言う事だ

 

 

 

「それでも・・・いいのか?」

 

 

迷った

 

 

 

でも

 

 

 

 

 

 

 

「いい、それでいい」

 

 

 

やっぱり諦められない

 

 

 

「そうか・・・なら行け、信じる道をな」

 

「ああ・・・」

 

 

そして俺は

 

むこうの世界に戻ることにした

 

そう

 

 

いつでも此処には

 

 

戻ってこれるのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後

 

 

中立者という事もあってロウの世界からは出ることが簡単だった

 

ただテムオリンに

 

「いいですわね、関与はだめですわよ」

 

そう言われた

 

そして俺は

 

あの世界に

 

戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

―ファンタスマゴリア

 

 

 

 

 

この世界にはすぐ着いた

 

用件は悠人達の手助け

 

それだけだ

 

 

「さてと・・・どうするかな」

 

【彼等は今バーンライトを攻めるみたいね】

 

「バーンライトか・・・きずかれないように潰そう」

 

【了解、ばれないように、ね】

 

「分かってる」

 

双剣を製造し、マナを集中させる

 

そしてバーンライトに向かった

 

 

 

 

 

 

 

―バーンライト前線

 

 

 

 

「ラキオスはいつ攻めてくるのでしょうか」

 

あるスピリットが言った

 

「さぁ、少なくても一週間以内には攻めてくるんじゃない?」

 

もう1人が言った

 

バーンライトでは平和が続く

 

筈だった

 

 

 

 

 

 

ズサッズサッ!!

 

 

 

 

バーンライトは血の海に染まった

 

「え・・・?て、敵襲!!」

 

兵士はそれが何か分からなかった

 

ただ

 

それが敵である事だけ

 

 

「うわぁぁぁああ!!!」

 

スピリット、兵士は何が起こったか分からなかった

 

逃げるもの、戦うもの

 

誰もが次々に消えていった

 

 

 

 

 

 

 

―愁視点

 

 

 

「・・・嫌な気分だな」

 

【何が?】

 

「人を殺すの・・・」

 

【・・・決めたんでしょ】

 

「ああ・・・」

 

【誰にも迷いはある、仕方ないことだ】

 

「俺は結局何をしたいのかな・・・」

 

そう思った

 

ここを潰せば悠人達は楽になるだろう

 

だが

 

俺のやり方はあっているのだろうか

 

「終わらせよう・・・」

 

【了解した】

 

ガラハムを召還して詠唱を開始する

 

これを使えば全て終わる

 

俺は

 

どうするべきなのか

 

分からない

 

単なる人殺しなのかもしれない

 

そう思った

 

 

「フォースオブ・・・レイ・・・」

 

 

 

 

 

その瞬間

 

 

空が割れ光が降り注いだ

 

 

そして

 

 

 

次の瞬間には全て消えていた

 

 

「もう・・・戻れないんだよな・・・」

 

エーテル変換施設、そこは確実にはずした

 

悠人達が着いたらすぐにでも占領されるだろう

 

でも

 

「なんで・・・涙が・・・出るんだろうな・・・」

 

決めたはずだったのに

 

でも

 

何故か悲しかった

 

俺は

 

本当にこれでいいのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

制圧・・・いや、虐殺だろう

 

すぐに終わった

 

そして俺は

 

身を隠した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後ラキオス

 

「どうゆう事だよ・・・エスペリア」

 

「ですから・・・バーンライトは消滅しました」

 

悠人は耳を疑った

 

バーンライトの偵察部隊が言うにはバーンライトは全滅

 

いや消滅していたそうだ

 

「でも消滅って・・・」

 

「エーテル変換施設意外消滅していました」

 

「どうゆう事・・・」

 

「あくまで・・・可能性ですが」

 

「?」

 

エスペリアは予想外の言葉を言った

 

「愁様が関連している可能性があります」

 

「愁が・・・?」

 

愁が行方不明になってからもう2週間

 

最初は騒動になって捜索したが

 

今はそれどころでは無かった

 

「そしてバーンライトの生き残りの兵士の証言ですが」

 

「?」

 

「いきなり切りかかってきて次々にスピリットや兵士を切り裂いていったそうです」

 

「それって・・・」

 

「虐殺でしょうね」

 

「・・・・」

 

「そして最後に、空に龍が見えて神の怒りと言わんばかりの一撃がバーンライトを」

 

「消滅させたのか・・・」

 

しばらくの沈黙が空いた

 

「分かった・・・エスペリア、ありがとう」

 

「いえ、お役に立てて良かったです」

 

そして他のスピリッはと言うと

 

「愁様・・・どうしちゃったのかな・・・」

 

「うん・・・」

 

シアーとネリーは流石に愁を兄のように慕っていたので落ち込んでいる

 

「きっと・・・戻ってくるわ」

 

流石に全員落ち込み気味だ

 

あの時愁に助けられてから

 

気になっていたのも事実だ

 

「愁はいつ帰ってくるのぉ・・・」

 

オルファも落ち込み気味だ

 

愁と言う存在は

 

短い間に全員の士気と信頼を集めていたのだ

 

そして夜になった

 

悠人やエスペリアは必死に消滅の原因を探っていた

 

そしてセリアはと言うと

 

 

 

 

 

サァァァァアア・・・・

 

 

 

 

自分にとって愁とはどんな存在だったのか

 

そう考える

 

自分がよく来るこの丘の上

 

ここからだとラキオスがよく見える

 

ひょっとしたら愁がひょこっと帰ってくるのではないか

 

そう思ったりもした

 

 

そして今回の消滅事件

 

そんな力は四神剣でも出せない

 

だとしたら

 

あの力は愁の物でしかない

 

「何・・・やってるんですか・・・」

 

ボソリと呟く

 

なんでだろうか

 

自分はこんなに弱かっただろうか

 

そう思って戻ろうとした時

 

丘から見える森に

 

何かが見えた

 

 

 

 

 

 

 

―愁視点

 

 

 

 

 

「流石に情報無いと辛いし、ここらじゃないと氷炎が情報感知できないんじゃ仕方ないよな」

 

【ボクだって万能じゃないし、ここから詰め所の情報探ることしか無理だよ】

 

「だよな・・・とにかく情報集めて戻ろう、テムオリンに何か言われるわ」

 

【うむ、あの者は身長が無い上に口うるさいからな】

 

ガラハムが意外なことを言った

 

「そればれたらガラハム、殺されるぞ」

 

【失言だった】

 

そう言うガラハム

 

でも複雑な気持ちだった

 

全滅させたのは俺なんだと

 

そう思った

 

「さてと、そろそろ戻るか」

 

そう言って戻ろうとした

 

 

 

 

ザッ

 

 

 

「ん?」

 

振り向くとそこには

 

セリアの姿があった

 

「セリア・・・」

 

「こんな所で・・・何、してるんですか・・・」

 

かなり走ったのだろう息が荒い

 

「・・・・」

 

何も答えられない

 

悠人や皆を捨てて

 

エターナルになったのだから

 

「セリア・・・その・・・」

 

エターナルとばれていない以上消す必要は無かった

 

でも知っていたら消さなければならない

 

怖かったのだ

 

「皆を置いて・・・何してるんですか・・・」

 

「悪い・・・何も言えない」

 

言える訳が無い

 

あんな事

 

「バーンライトを消滅させたの・・・愁様ですよね・・・」

 

ドクン

 

 

あのときの記憶が蘇る

 

虐殺の記憶が

 

「そうだ・・・」

 

「何で・・・」

 

セリアが尋ねて来る

 

「何も言えないよ・・・」

 

そう言った

 

「なら・・・」

 

セリアは神剣を取り出していた

 

「セリア・・・」

 

「無理矢理でも・・・聞き出します・・・」

 

【愁・・・どうするの?】

 

氷炎が尋ねて来る

 

(エターナルってことはバレてないはしてない、いざとなったら気絶させよう)

 

仕方なく双剣を製造する

 

「はぁっ!!」

 

セリアが切りかかってくる

 

でも弾くのなんて簡単だった

 

でも俺は

 

反撃できなかった

 

「なんでっ・・・なんで居なくなったんですかっ!!」

 

受け流しているとセリアが言った

 

「え・・・」

 

その目にあったのは涙だった

 

 

「悠人様やエスペリア、皆の前から・・・どうしてっ!!」

 

 

胸を打たれた

 

自分の行動は

 

皆を傷つけていた

 

「私はただ・・・一緒に居たいだけなのにっ・・・」

 

その言葉がどう意味するか

 

愁には分かっていた

 

セリアの想い

 

それが良く分かった

 

「セリア・・・」

 

でも俺は

 

もう手遅れなのだ

 

「俺も一緒に居たかったよ・・・でももう遅いんだ・・・」

 

するとセリアは攻撃を止めた

 

「遅く・・・ないですよ・・・」

 

ポツリと言った

 

「・・・・」

 

・・・どろうしてだろうか

 

大切な存在が・・・心の中にできはじめていたのは

 

 

 

そして俺は

 

黙ってセリアに近づき

 

強く抱きしめる

 

「え・・・」

 

戸惑っているが気にしない

 

「ごめん・・・でも・・・もう遅いんだ・・・」

 

自分がエターナルじゃなかったら

 

そう思ったが

 

でも

 

決意はあった

 

「・・・愁様」

 

しっかりと抱きしめているセリアが呟く

 

どれだけこの子が愛しいのか

 

このまま全て放り出そうとも考えた

 

でも

 

「俺もセリアと居たかった・・・でも今日の事は・・・忘れるんだ」

 

「えっ?」

 

 

ドンッ

 

 

 

次の瞬間

 

俺はセリアを気絶させた

 

「ごめん・・・」

 

そう呟いた

 

そして

 

名残はあったが

 

その場を後にした

 

 

 

 

 

 

-その後ロウの世界にて

 

 

「くっそ・・・」

 

なんで今頃迷うのか

 

なんで今頃苦しい思いをしなければならないのか

 

分からない

 

【愁・・・気持ちは分かるけど・・・】

 

「分かってるっ・・・でもっ・・・」

 

あの言葉

 

俺が皆を傷つけた

 

それに自分自身が悔しかった

 

【主よ、確かに悔しいかもしれない、しかし時には耐えなければならないのだ】

 

ガラハムに言われてハッとした

 

「耐える・・・か・・・俺はいつまで耐えればいいのかな」

 

ここに来たことは後悔してない

 

親父とも再会したし

 

気に入ってもいた

 

でも

 

「悪い・・・もう寝る・・・」

 

【そ・・・おやすみ・・・】

 

そう告げて眠りに落ちた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、氷炎の話を聞く限り変わった動きがなかったのでロウの世界に居ることにした

 

どっちにしろ、そんな気分になれなかった

 

そして今は朝食の途中

 

「愁・・・何かあったか?」

 

父が聞いてくる

 

「え?何が?」

 

「何がって・・・顔色悪いぞ」

 

「・・・・」

 

パンを頬張りながら俯く

 

「向こうで・・・何かあったんだな」

 

「っ!!」

 

驚いた

 

「図星か」

 

「ちょっと・・・な・・・」

 

「はぁ・・・何があった、そんなに大変なことか?」

 

親父に相談すれば少しは軽くなるかと思った

 

「親父・・・」

 

「ん?」

 

「自分のせいで他人を傷つけたと分かった時さ、どうすればいいと思う」

 

「難しい質問だな」

 

「・・・・」

 

「つまりお前がエターナルになったせいで他の人達を傷つけたとしたら・・・か?」

 

「ああ・・・」

 

やっぱおみ通しかと思った

 

「お前の信じる道は何だ?」

 

「え?」

 

「少しでもあの人達を助けたい、そうだろう?ならそれでいい、突き進め」

 

「それでいいのかな・・・」

 

「それでいいんだ、迷うな迷ったら終わりだぞ」

 

・・・確かにそうだな

 

すると俺は少しだけだが楽になった

 

「ああ、ありがと」

 

朝食を終え、片付けをしようとした時

 

「達也さん、愁さんも、お話がありますの、着いて来てください」

 

テムオリンに呼ばれた

 

 

 

 

 

 

 

 

−テムオリンの部屋

 

 

 

 

俺達はテムオリンに呼び出されて部屋に来ていた

 

「して、話とは?」

 

出されたコーヒーをすすりながら言う親父

 

「単刀直入に言います、達也さん、例のが謎の永遠者が絡んできています」

 

「・・・奴等がか?」

 

「ええ、それも・・・かなり大きな気配が」

 

ハッとした

 

そういえば時深もそんな事を言っていた

 

「つまり・・・やつらへの警戒を強めろと・・・?」

 

「そうですわ」

 

そして俺は思った

 

これはいけるんじゃないか?

 

そう、上手くいけば・・・皆のところに戻れる!!

 

「テムオリン」

 

「なんですか?」

 

親父までもがこちらを向いている

 

「それ、俺にやらせてくれないか」

 

「愁さんにですか?」

 

「ああ、実は・・・」

 

すると俺は時深から聞いた話を聞かせた

 

「カオスにもやはり情報が・・・」

 

しばらく考えていたが不意に

 

「いいんじゃないか?」

 

親父が言った

 

「親父?」

 

「そうですわね、ただし条件が1つ」

 

「?」

 

「タキオスを同行させますわ」

 

「タキオスさんを?」

 

タキオスとは何度か打ち合ったことがあったが中々手ごわい

 

本人曰く日ごろの鍛錬だそうだ

 

「一応、ですわ」

 

「心強いよ、ありがとう」

 

その後部屋に戻っていった

 

数日後、悠人達の動きを感知し、活動を再開させた

 

 

 

 

 

 

 

−ラキオス 付近の森

 

 

 

 

 

 

悠人達が目指す次の目標

 

ダーツィ公国

 

同盟軍に宣戦布告したのだ

 

前回同様

 

俺が力を加えていることは気づかれては駄目なのだ

 

 

 

 

ザッ―

 

 

時折地面を蹴り高速で移動する

 

行き先はラキオス

 

スピリットの館だ

 

【なんで今更館に行くの?】

 

「ちょっと・・・名残があってな」

 

【そう・・・見つからないようにね】

 

氷炎に言われる

 

しばらくしてラキオスについた

 

だが

 

 

 

【愁〜!ここ城内だよ!!】

 

「あ、間違えた」

 

俺の方向音痴のせいで

 

迷ったようだ・・・

 

「仕方ない・・・もどろ・・・・ん?」

 

【愁?】

 

身を隠し見てみるとレスティーナが入っていくところだった

 

「あの部屋に何が・・・?」

 

【いってみる?】

 

「やばくないか?」

 

【テムにはボクが言っておくよ】

 

そう言われ部屋に近づいて中を見てみる

 

「あまりこられなくて御免なさいね、カオリ」

 

(カオリ・・・?高嶺の妹か)

 

「王女様!」

 

「退屈はしませんでしたか?」

 

そんな感じの普通の会話だった

 

だが

 

「あの本・・・」

 

ラキオスの過去の歴史書の簡単なものだ

 

そして気がついたのは

 

(氷炎)

 

【んー?】

 

「これって・・・歴史の連鎖、じゃないか?」

 

【だろうね】

 

だとしたら

 

危ない

 

その間にも話は続けられている

 

そして

 

「この本に出てくる勇者様は・・・どうなったんですか?」

 

「これはただの・・・古い御伽噺ですから」

 

そう言った

 

違う

 

勇者は

 

殺されたのだ

 

 

「――待った」

 

そして俺は部屋にはいっていった

 

「愁!?何故此処に!」

 

レスティーナとカオリはかなり驚いていた

 

「佐藤・・・先輩?」

 

「や、カオリちゃん」

 

カオリに手を振る

 

「貴方は行方不明なのでは・・・?」

 

「もう知っているんだろ、バーンライトは俺が消した事を」

 

ラキオスの王女である彼女はとっくに俺が原因だと言うことを知っていてもおかしくない

 

「・・・・・」

 

「事情は言えないけど・・・とにかく今は戻れない」

 

「そうですか・・・」

 

レスティーナが俯き加減で言う

 

「カオリちゃん」

 

「は、はい」

 

「勇者がどうなったか知りたい?」

 

「ダメです!」

 

レスティーナが止めるが気にしない

 

「はい・・・」

 

「真相を知っても驚かないか?」

 

コクリと頷いた

 

「勇者は・・・王子に殺された」

 

「っ!!」

 

「事情は知らない、でもそれが真実なんだ」

 

一瞬混乱したらどうしようかと思ったが大丈夫だった

 

「そうですか・・・ありがとうございます」

 

そして俺はレスティーナに告げた

 

「俺がここに来た事は誰にも言わないでくれ」

 

「・・・分かっています」

 

その後館に向かった

 

 

 

−館付近 丘

 

 

ここから全てが始まって

 

全てが終わった

 

ここに居るのは

 

やはり名残があったからだ

 

「ふぅ・・・」

 

吹く風に吹かれながらその場に座る

 

【安心した?】

 

「ああ」

 

ダーツィは陥落し、今はイースペリアへの進軍だそうだ

 

 

 

また・・・いくのかな

 

そう思った

 

そして俺はその場を後にした

 

 

 

 

 

 

−翌日 イースペリア防衛線

 

 

 

 

その日俺は胸騒ぎがしていた

 

何かが引っかかる

 

そんな感じが

 

「つまり多数の拠点、それを壊滅させればいいのか」

 

【うん、ただし】

 

「分かっている、バレないようにだろ」

 

【そそ】

 

今回も前回同様

 

各拠点を制圧するのだ

 

そして俺は地面を蹴ったが

 

やはり胸騒ぎが収まらなかった

 

しばらくするとランサと呼ばれる拠点に着いた

 

「制圧開始するぞ」

 

【了解、油断しないでね】

 

同時に双剣を精製、ランサ内に進む

 

 

 

 

「なっ、なんだお前は!!」

 

敵のスピリットが言う

 

しかし俺は答えず、戦闘を開始する

 

「くっ・・・かかれっ!!」

 

同時に多くのスピリットが切りかかってくるだが

 

 

 

 

ヒュッ・・・ドサッ

 

 

「遅い」

 

「ひっ・・・」

 

エターナルにとってはスピリットを殺すなど容易い

 

「うわぁぁぁぁあああ!!」

 

残りのスピリットが切りかかってくる

 

「氷炎、フルスピードで」

 

【おっけー】

 

同時に

 

相手の目には

 

ありえないものが見えた

 

 

 

ズサッズサッズササササ!!!

 

「なっ・・・なんだ!!!」

 

そう

 

それは

 

カマイタチのように見えた

 

「うわぁぁぁああっ!!」

 

「じゃあな」

 

最後に残ったスピリットに止めを刺したその時

 

 

ザッ

 

 

 

「ん?」

 

振り向くとそこには悠人達が居た

 

「愁・・・だよな・・・」

 

「・・・・・」

 

予定が狂った、本来なら悠人達はもっと遅いはずなのだ

 

悠人だけではない、後ろのエスペリア、アセリア、ネリーなどと言った全員が驚いていた

 

ただセリアを除いて

 

彼女は何処か・・・複雑な表情をしていた

 

「はぁ・・・」

 

【どうする?逃げる?】

 

(どうやってだよ)

 

【んー・・・】

 

逃げようにも手段がないのだ

 

「どうして・・・ここに・・・」

 

悠人が言う

 

「見て分からないか?制圧だよ」

 

「そうじゃないっ!!なんで俺たちの前から消えたっ!!」

 

心を打たれた

 

でも

 

「ちょっとした事情があってな、悪いがそこをどいてくれ」

 

「それはできない・・・」

 

悠人が求めを構える

 

「・・・・仕方ないか」

 

悠人だけではない、他の全員もだ

 

「悪いが・・・ラキオスに戻ってもらう」

 

「俺を倒せたらな」

 

同時に悠人達が切りかかってきた

 

 

 

キィィィイイン!!!

 

 

求めを弾く、次にエスペリアやアセリアが切りかかってくる

 

「ふぅ・・・」

 

それを全て軽々と弾く

 

しかしそれも長くは続かない

 

「流石に・・・この数じゃきついかな・・・」

 

相手を殺したくない思いと、本気の力を解放できない以上かなり厳しい

 

「はぁっ!!」

 

悠人達全員が切りかかってきて次の対処をしようとした

 

 

 

 

しかし

 

 

 

 

 

ドゴォォォォオオオオン!!!

 

 

 

「ぐわぁぁぁぁっ!!」

 

悠人達が弾き飛ばされた

 

「・・・タキオスさん、関与いダメなんじゃ・・・」

 

そこに立っていたのはタキオスだった

 

「愁殿よ、流石に今回ばかりは助けざる終えませんぞ」

 

「すいません、でも・・・」

 

「分かっている、とりあえず引きましょうぞ」

 

悠人達はタキオスと俺の光景に驚いていた

 

圧倒的な力の持ち主に

 

「愁っ!!」

 

「悪いが悠人・・・ここまでだ、じゃあな」

 

次元の空間に入ろうとしたその時

 

「愁様っ!!」

 

セリアの声が聞こえた

 

ふと足を止めた

 

「・・・・・ごめん」

 

それだけ言って俺は消えた

 

 

 

その場にはかなりのダメージを負った悠人達が残された

 

「な・・・んでっ!・・・」

 

セリアが呟いた

 

 

 

 

 

−数日後 防衛戦

 

 

 

 

あの後俺はロウに戻りタキオスさんに礼を言った

 

それに対してタキオスさんは

 

たいしたことはない

 

それだけ言った

 

そして俺はまたこの世界に来た

 

【前は災難だったね】

 

「・・・ああ」

 

セリアの最後の言葉、悠人の叫び

 

全てが重かった

 

何も考えられない

 

悲しい

 

悲しいってなんだろうか

 

分からない

 

苦しみたくない

 

でも―

 

 

 

 

コンコン

 

 

部屋のドアを誰かが叩く

 

「はい・・・」

 

「入りますわよ」

 

入ってきたのはテムオリンだ

 

「テムか・・・どうかした・・・?」

 

「ええ、貴方に任せていた仕事に進展がありまして」

 

「何・・・?」

 

元気の無い声で言う

 

「どうやら・・・カオス以外が本格的に関与している事が判明しました」

 

「カオス以外?」

 

「ええ、詳細は不明です、ですから」

 

「ん?」

 

次の言葉に俺は言葉を失った

 

「向こうの世界に・・・戻っていただきます」

 

 

しばらくの沈黙が流れた

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

「ですから、向こうの世界に戻って、様子を見て欲しいのです」

 

戻れる?

 

俺は戻れるのか?

 

 

もう一度テムが言った

 

「ですから向こうの世界に戻って頂きたいのです」

 

「テム」

 

「はい?」

 

そう

 

もう苦しまなくていいんだ

 

「断ると思うか?」

 

「そう言うと思っていました、向こうの世界の人達の記憶からはタキオスの事を消してありますから大丈夫ですわよ」

 

「ああ、すまない」

 

そしてテムが部屋を出て行くときに

 

「ありがとう」

 

そういうとテムは笑顔だけを返してくれた

 

 

 

 

 

 

 

−イースペリア戦

 

悠人達は既にイースペリアに侵入、制圧を開始していた

 

俺は急いでイースペリアに入る

 

そう、誰かと合流するためだ

 

【ダメだね、気配が感じ取れない・・・それに静か過ぎる】

 

「それは分かる・・・とりあえず合流だ」

 

どれだけ進んだだろうか、城前で戦っている1人のスピリット

 

「くっ・・・」

 

セリアだ

 

だがいつもの調子ではない、押されている

 

あのセリアが

 

「厳しい・・・ですね・・・」

 

次の瞬間

 

 

 

キィィィイイン!!

 

 

熱病が弾かれた

 

「しまっ・・・」

 

敵の3人のスピリットが剣を振り上げる

 

 

 

「無茶するなよ」

 

「え?」

 

 

 

 

ズサッ

 

3人のスピリットが両断された

 

「え・・・愁様・・・?」

 

「ったく・・・無茶するなよ・・・」

 

予想外の援軍に驚くセリア

 

「どうして・・・」

 

「こっちも色々あってな・・・ラキオスに戻ることになってな・・・」

 

かなりセリアが驚いていたが気がつかなかった

 

熱病を拾い上げセリアのほうを向く

 

「とにかく・・・無茶は・・・「ドサッ」えっ・・・・」

 

セリアが俺に抱きついてきた

 

いつもの冷静な姿は無かった

 

「セリア・・・?」

 

「愁様っ・・・良かった・・・」

 

熱病を地面に落とし彼女を抱きしめる

 

「ただいま・・・それと・・・愁でいいよ・・・」

 

「・・・愁っ・・・」

 

 

この温もりをもう失いたくない・・・そう思った

 

彼女を離し熱病を手渡す

 

城内に進もうとしたその時

 

 

 

ドクン

 

 

何かが来る

 

「セリアっ戻れ!!」

 

「え?」

 

何かが来るのが分かった

 

とにかく

 

「後ろにいてろ!!」

 

詠唱を済ませシールドを展開する

 

次の瞬間

 

 

ドゴォォォォオオォオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

マナ消失だ

 

 

 

 

「あぶなっ・・・」

 

後1歩遅れていたら流石の愁でも大怪我だろう

 

「これは・・・マナ消失・・・」

 

「ああ・・・そうみたいだ・・・悠人達は防いでるみたいだ・・・、大丈夫だ」

 

しばらくしてそれが去った

 

そして

 

「いい光景じゃないよな・・・」

 

そこにあったのは

 

完全に消えうせた

 

イースぺリア

 

そして俺は混乱するセリアを落ち着かせ悠人達のところに向かった

 

 

 

 

 

−駐留所 

 

 

イースペリアのマナ消失を確認してから数十分後

 

俺とセリアは悠人たちの所に向かっていた

 

そして

 

「セリア!!・・・って愁!?」

 

流石に悠人は驚いた

 

「よ、悠人、色々事情があってラキオスに戻ることになった」

 

「色々って・・・」

 

「言葉通りだ、またよろしくな」

 

「あ・・・ああ」

 

悠人と話した後、エスペリア達に色々と説明した

 

もちろんタキオスさんのことは覚えてはいなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

- ラキオス 

 

 

【愁、いい加減疲れたんだけど】

 

「悪い、遅くなって」

 

現在、ラキオス領内だ

 

ちょっとした事情と言うかガラハムのわがままと言うか

 

合流した後竜の穴にむかったのだ

 

「もう夜だぞ・・・眠い・・・」

 

【でも眠気を吹き飛ばすほど嬉しい事があるでしょ〜】

 

「は?」

 

なんだか氷炎がニヤニヤしているように感じた

 

【いや、だって彼女に会えたんでしょ、帰ったらもう愁は部屋で・・・】

 

「折るぞ・・・駄剣」

 

【ごめん・・・】

 

流石に黙る氷炎

 

そして城に近づいた

 

 

 

 

 

 

 

 

【愁!この気配っ!!】

 

「4・・5・・6・・・駄目だ数え切れない」

 

【奇襲かな】

 

「だろうな、急ごうっ・・・!!」

 

速度を上げて場内に入る

 

 

 

 

ガシャンっ!!!

 

 

 

窓を叩き割り場内に入る

 

 

「敵かっ!!」

 

敵のスピリットが切りかかってくる

 

【とりあえず7人確認】

 

(わかってる、決めるぞ)

 

7人の4相手が切りかかってくる

 

それを後ろに下がって回避する

 

そして一瞬で距離を詰めて

 

「バーディカルエアレイド」

 

高く飛び、一瞬でスピリットが居た所を消し飛ばす

 

正確には広範囲に高速の斬撃を行い、同時にマナを消失させているのだ

 

「まだいるな・・・急ごう」

 

【了解】

 

最大速度で走る

 

向かう先は

 

王の部屋

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

「・・・・・っ」

 

【無残だね・・・】

 

そこにあったのは王

 

いや、王だった物だ

 

腸がえぐり出され、頭が割れている

 

その横には王妃の死体だ

 

そして気になった

 

「レスティーナは!?」

 

【わかんない、でも愁・・・館から】

 

「分かってるよ、妙な気配がする上、城内に気配はない」

 

嫌な予感がした

 

とてつもなく嫌な予感が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

−館

 

 

 

「氷炎っ!!もっと早く!!」

 

【無理だよっこれが限界】

 

最大速度で館に向かう

 

しばらくして

 

 

「館が燃えている・・・」

 

【愁・・・これ・・・】

 

「数は・・・1?」

 

【敵はね、見方は皆居る】

 

 

しばらく走ってその先に見えたのは

 

 

 

 

 

「・・・・つっ!!」

 

 

 

ありえないような光景

 

 

倒れているエスペリアやアセリア

 

暴走している悠人

 

悠人がこっちに走ってくる

 

目標は俺の後ろに居るブラックスピリット

 

 

だけど

 

 

俺はどうでもよかった

 

 

「どけっ!!愁っ!!」

 

 

悠人が俺を弾き飛ばそうとオーラを展開する

 

 

 

 

 

 

 

バシィィィン

 

 

 

「つっ!!」

 

悠人が仰け反る

 

「何をする!俺は佳織をっ!!「・・・てやる」は?」

 

 

そして

 

俺はとんでもないことを言った

 

 

 

「殺してやる」

 

 

次の瞬間俺は完全に我を失い、全速力で悠人に直行する

 

 

 

 

 

キィィィィィン

 

 

 

 

「ごはっ!!」

 

 

悠人の腹に蹴りを打ち込み、そのまま倒れた悠人を踏みつける

 

 

「・・・その程度の神剣に飲まれて・・・皆を傷つけたのか」

 

皆を傷つけた悠人が・・・許せなかった

 

「ぐっ!!どけよっ!!佳織がっ!!」

 

「馬鹿は死ななきゃ直らない・・・本当だな」

 

【愁っ!!正気っ!?】

 

氷炎が止めるが気にしない

 

 

 

 

 

「じゃあな」

 

 

 

剣を振り落とそうとしたその時

 

 

「愁っ!!やめてくださいっ!!」

 

 

 

 

ピタリと

 

 

 

手が止まった

 

 

「セリアっ・・・」

 

「ここで悠人様を殺しても何にもなりませんっ!!」

 

確かにそうだ

 

俺の頭の中はいつのまにかクリーンになっていた

 

悠人のほうを見ると気を失っていた

 

 

 

そして俺の矛先は

 

 

 

「そこのスピリット、大人しく佳織ちゃんを放せ、さもないと・・・」

 

氷炎を構える

 

「手前は主の命を遂行するまで、邪魔はさせません」

 

「そうかい、なら」

 

距離を詰めて一撃で決めようと思ったが

 

佳織を人質に取られている以上手は出せない

 

 

「くっ・・・」

 

 

いつのまにかそのスピリットはハィロウで空に飛んでいた

 

「最後に聞かせろ!お前の主は誰だ!!」

 

「手前の主、誓いの瞬殿だ」

 

 

やはりな

 

だとしたら容赦はしない

 

「そうか、なら容赦はしない・・・」

 

そう言った

 

 

 

その後、全員を救助し、館で事情を聞く事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

−館

 

 

 

自分が居ない間に一体何があったのか

 

とりあえずそれを聞くために館に戻った

 

実は放火された火はと言うと、たいしたことはなくすぐ消された

 

佳織の拉致については幼いネリー達は悲しんでいた

 

とりあえず何があったか事情を聞いているうちに悠人が目覚めた

 

事情を話し、敵は瞬であることを話すとすぐにサーギオスに行くと言った

 

 

 

すると

 

 

 

 

バキッ!!!

 

 

問答無用で殴り飛ばした

 

「何をするんだっ!!」

 

「いい加減にしろ!お前は死にたいのか?」

 

「つっ・・・」

 

「そしてお前は・・・自分の力の暴走で皆を傷つけたんだぞ!!」

 

「なっ・・・・」

 

ふと悠人が皆に目をやると必ずどこかを怪我していた

 

その後どうなったかというと

 

最高権力者であるレスティーナがサーギオスへの攻撃を決定、そしてマロリガンへの進行を発表した

 

 

 

 

 

 

 

 

−館 付近の丘

 

 

 

 

心地のよい風が流れる

 

俺はよくここに来る

 

気分転換とか考え事とかまぁ・・・そんなとこだ

 

 

 

 

(テム?聞こえるか?)

 

一応経過報告も・・・だ

 

(聞こえてますわよ)

 

(おー、繋がった、早速だけど経過報告)

 

(ええ)

 

(今のところ永遠者の干渉はない、変わった事も・・・ないな)

 

(そうですか、おかしいですね・・・)

 

(どうした?)

 

(いえ、こちらからでは何らかのエターナルの反応があったのですが)

 

(え・・・?どこで)

 

(ソーンリームと言う地域ですね、微かにですが反応が)

 

(そっか・・・こっちも気をつけてみる)

 

(ええ、それでは)

 

 

テムとの交信を終えて丘の上からラキオスを眺める

 

「平和だな・・・」

 

【だねぇ・・・】

 

【うむ】

 

 

もしマロリガンとの戦いが始まったらどうなるのか

 

分からなかった

 

そんな事を考えて風に吹かれていると

 

 

「愁?」

 

「ん・・・セリアか」

 

振り向くとそこにはセリアが立っていた

 

「セリアもよくここにくるのか」

 

「はい」

 

少し笑うとセリアは俺の横に座った

 

そういえば・・・セリアと出会ってからもう3ヶ月か

 

いつのまにか凄く大切で

 

彼女と言う存在が好きになっていた

 

でも

 

 

 

 

 

 

でも、もし俺がまた戻ったら

 

どうなるのかな

 

全部消えてしまうのかな

 

そう考えた

 

 

「なぁ・・・セリア」

 

「はい?」

 

「セリアは・・・今度の戦いどれくらい続くのかな」

 

一瞬考えた後に言った

 

「相手はマロリガンですし・・・多分長くなると思います」

 

「・・・・」

 

戦いが長引くということはそれなりの危険を伴うということ

 

「でも」

 

「ん?」

 

 

 

 

「私は―――愁がいればいいですから」

 

驚きセリアを見ると少し顔が赤くなっていた

 

 

なんでこんなに愛しいのか

 

なんでこんなに守りたいと思うのか

 

俺には分からない

 

でも

 

「セリア」

 

「はい?・・「トサ」え?」

 

ふと俺は彼女を抱きしめていた

 

「しゅ・・・う?」

 

「セリア・・・大丈夫、俺が・・・護るから」

 

「・・・・はい」

 

 

しばらく

 

 

俺は彼女を抱きしめていた

 

まるで繋ぎ止めるように

 

 

 

 

マロリガンとの戦いは近い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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