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                          ―――刻み続ける時の中で―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっててて・・・・」

 

どれくらい経ったのだろうか

 

ここは何処なのか

 

分からない

 

「ここ・・・どこだよ・・・」

 

辺りは見渡す限り森

 

【やっと目が覚めた?】

 

「お陰様で・・・え?」

 

いきなりの声に驚く

 

見渡すが誰も居ない

 

「誰だ?」

 

【あ、ごめん驚かせたかな、手に握ってるでしょ】

 

 

・・・・手?

 

ふと手に目をやると手には十字架の装飾をした腕輪の様なものが握られていた

 

「なんで喋れるの・・・まさか俺頭狂った?」

 

ゴッド、俺悪い事しましたか

 

そう思う

 

【あー、説明するね、まずボクの名前は永遠神剣第2位【氷炎】、よろしく】

 

「あ、ああ・・・よろしく・・・んでどゆこと?」

 

【んーとね】

 

その後神剣についての説明、この世界について、スピリットの存在、その他諸々

 

説明を受けなんとなく納得した

 

【理解した?】

 

「ああ、分かった、つまりここは異世界、そゆ事か・・・」

 

うん、多分俺は悪い夢を見ているんだ

 

そう思うことにした

 

俺はとんでもないところに飛ばれたようだと思った

 

「で、俺はどうすればいい」

 

【まずして欲しいのはボクとの契約かな】

 

「契約・・・何をするんだ?」

 

なんか色んな説明を受ける

 

【ここまではいい?】

 

「つまり・・・契約しないと俺は正直ヤバイのか」

 

【そうゆうこと、どうする?】

 

「はぁ・・・契約するよ・・・ここで暴れても仕方ないしな・・・」

 

【なら目を瞑って念じて】

 

言われたとおりに目を閉じて念じる

 

すると自然と体に力が沸いてくる

 

【契約完了】

 

「ちょっ・・・なんだよこの力」

 

ありえない程の力を感じた

 

そして俺は僅かに恐怖を感じた

 

 

そういえば気になることが1つあった・・・

 

 

 

「氷炎、1つ質問」

 

【何?】

 

「俺が飛ばされたとき、他に4人くらいこなかったか?」

 

【んー、1ヶ月前にきたような・・・】

 

1ヶ月?俺が飛ばされてそんなに経つのか

 

「その1人の誰でもいい、一番近い場所は?」

 

【この近くのラキオスって国】

 

「とりあえず、そこいこう」

 

歩き出そうとした時

 

【そうそう、言い忘れ】

 

ふと足を止める

 

「ん?」

 

【戦うとき、迷わないでね】

 

よく分からなかったがとりあえず納得した

 

また進もうしたつぎの瞬間

 

 

 

 

 

 

ガサガサ

 

 

 

 

「む?」

 

草むらから剣とか槍をもった女の子が出てきた

 

【あれがスピリット、気をつけて仕掛けてくるよ】

 

「分かった」

 

するとその中の1人が口を開いた

 

「エトランジェ?どうしてここに」

 

赤色の目をした女性だ

 

(エトランジェ?)

【この世界で呼ばれている愁みたいな人のことだよ】

 

なるほど

 

でもここで考えても仕方ない

 

目の前の奴等は敵なのだ

 

「君達は何者だ?」

 

「ダーツィ公国のスピリットです、私たちに大人しくついてきてくれませんか?」

 

そう言いはなつ女性

 

「俺が向かってるのはラキオスなんだよね、どいてくれないかな」

 

「それは無理です、なら力づくでも連れて行きます」

 

すると武器を構えるスピリット

 

「やるしか・・・ないか」

 

相手との距離はそれなりにある

 

いける

 

 

2人のうち1人が切りかかってくる

 

神剣魔法を発動するために詠唱を開始する

 

後20メートル

 

「サンダーストライク!!」

 

詠唱が完了したと同時に雷が相手を襲う

 

 

 

 

 

 

 

・・・ちょっと待て、なんで俺は戦い方を知ってるんだ?

 

そんな疑問を抱いたが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やりますねっ!!ですが!!」

 

見事に回避された

 

「しまっ・・・」

 

距離を詰められて近接戦に持ち込まれる

 

「やべ・・・詠唱を・・・」

 

間に合わない

 

―殺られる

 

死にたくない・・・・死にたくない――

 

【愁!!回避!!】

 

氷炎が言うが聞こえない

 

死ぬ

 

 

そう思った次の瞬間

 

 

 

「うわぁぁぁぁあああああ!!!」

 

 

 

次の瞬間

 

 

周りを一瞬で焼き払った

 

「なっ!!」

 

 

 

 

 

ドゴォォオオオオオオン!!!!

 

 

 

数秒後

 

 

「くっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」

 

俺は生きているのか

 

でも体がもちそうにない

 

1人はなんとか殺ったがもう1人が襲ってくる

 

 

「く・・・そ・・・」

 

なんなのだろうか

 

俺はにをしたのだろうか・・・

 

しかし

 

相手の剣が振り下ろされる

 

諦めかけた次の瞬間

 

 

「ズサッ!!」

 

襲ってきたスピリットが切り裂かれた

 

 

「なんだ・・・?」

 

ヨロヨロの体を無理矢理起こして見ると掛けてくる少年の姿が見えた

 

「佐藤!!佐藤だよな!!」

 

「高・・・嶺・・・?」

 

そこに居たのは間違いなく高嶺悠人だった

 

「大丈夫か!!何があったんだよ!!」

 

「はは・・・悪い・・・死に掛けたわ・・・」

 

「とにかく治療を・・・エスペリア!!こっちだ!!」

 

エスペリアと呼ばれる女性から治療を受けてなんとか一命はとりとめた

 

その後、悠人達に運ばれて、ラキオスに入った

 

 

 

 

―ラキオス 

 

 

 

どれくらい眠っていたのかな

 

分からない

 

「ここ・・・は?」

 

気がつくと俺はベッドで寝ていた

 

【目が覚めた?】

 

氷炎が心配そうに尋ねてくる

 

「ああ・・・俺はいったい・・・・」

 

確か俺はダーツィのスピリットとかいうのに襲われて

 

それで・・・

 

「氷炎・・・」

 

【何?】

 

あの時死に掛けた

 

その時出たあの力は何なのか

 

気になった

 

「あの力は・・・なんなんだ?」

 

【うん、説明しといたほうがよさそうだね】

 

「ん・・・?」

 

痛みがまだ抜けておらず、体が痛い

 

【あれはね、オーバーリミットって言うボクの能力なんだ、瞬間的に限界以上の力を引き出して魔力を向上させる、そんな技だよ】

 

「でも・・・なんでそんな技が・・・」

 

【多分死ぬって思ったときに発動したんだろうね、でも1つ聞きたいことがあるんだけど】

 

「何だ?」

 

【あの時・・・心に迷いがあったよね・・・迷いがなかったら勝てたと思う、どうして?】

 

どうやら――コイツには何でもお見通しのようだ

 

「・・・・」

 

少し間を置いた

 

そして言った

 

「はぁ・・・あの時・・・昔の記憶がフラッシュバックしたんだ・・・」

 

【昔の記憶?】

 

「俺は・・・いや、俺のせいで・・・親父達は死んだんだ・・・俺のせいで・・・」

 

【・・・・】

 

「不慮な事故・・・とでもいっとこうかな・・・でもあれは俺のせいっ・・・」

 

 

昔の事を思い出し悔しさと怒りが込みあがる

 

【そっか・・・でも・・・その両親のためにも・・・生きるべきじゃないかな】

 

「氷炎?」

 

【とにかく・・・迷ったらダメなんだよ】

 

その声はどこか悲しげだった

 

しばらくして悠人達が来てスピリットを紹介され

 

王の間に連れて行かれた

 

 

 

 

 

 

―王の間

 

 

 

 

体の調子が回復して王の間に連れてこられた訳だが

 

なんなんでしょうか、この王の態度は

 

「であるからして、お前はわが国に従え」

 

「はぁ・・・別に助けられたわけだし・・・別にいいですけど・・・」

 

「がっははは、それでいい!!」

 

なんか凄い五月蝿い王です

 

ただ

 

ふと目をやったのは近くに立っている少女

 

「なんなんだろうな・・・あの子だけ妙に雰囲気違う・・・」

 

レスティーナと言ったか、彼女だけはこの中で一番雰囲気が違う

 

「早速だがお前の力を見てみたい」

 

 

・・・なんか変な事言い出しましたよ

 

「はぁ・・・どうしろと」

 

悠人達に助けられた上、佳織が人質じゃ逆らえない

 

「求めの持ち主と戦ってみよ!!」

 

「なっ!!」

 

悠人が驚いている

 

 

「・・・仕方ないか」

 

仕方なさそうに神剣を構える悠人

 

「本気で行くぞ・・・悠人」

 

「ああ!!!」

 

 

求めを構え切りかかってくる悠人

 

「そうだよな・・・氷炎・・・迷っては・・・いられないんだな」

 

あと僅かで切られると言う次の瞬間

 

 

 

「氷炎、プロテクト」

【了解】

 

あの時同様戦い方が完全に分かる

 

どうしてか・・・俺には分からなかった

 

体の周りを光のバリアが包み込み悠人の攻撃を弾く

 

【2位神剣の能力使いこなせてないんだから無茶はやめてよね】

(だから2位の力って良くわかんないんだって)

 

悠人の攻撃を弾き返しそれなりの距離を取る

 

「くっ!」

 

再度求めを構え切りかかってくる悠人

 

「迎撃するべきか・・・」

 

 

距離は十分にある、詠唱を開始する

 

 

 

 

 

「タイムフォード」

 

 

その瞬間

 

全ての時が止まった

 

止まったといっても止めるのは5秒だけだ

 

「今だっ!!」

 

―光の槍よ、害をなす物に破滅の祝福を

 

「ホーリーランスっ!!」

 

光の無数の槍が悠人に降り注ぐ

 

しかも5秒とはいえ止まっているので防御が出来ない

 

次の瞬間

 

時間が動き出した

 

 

 

ドォォオオオオオン

 

 

「ぐわああああああ!!」

 

無数の光の槍が悠人を襲う

 

「ぐっ・・・」

 

「勝負あり、・・・かな」

 

求めを落とし完全に追い詰められた悠人

 

周りのエスペリアを含み、全員が何が起ったか分からなかった

 

「勝負あり!!」

 

決着がつき、王の間を後にした

 

 

 

 

―訓練場付近

 

 

 

 

あの後、一所詰めに連れて行かれ、部屋を教えてもらい適当に挨拶を済ませた

 

そして今は自主訓練に向かっていた

 

【愁・・・無茶しすぎ】

 

氷炎が心配そうに言ってきた

 

「悪い・・・流石に無茶しすぎた・・・流石に苦しい・・・」

 

【言わんこっちゃ無い、無茶するせいでマナが逆流して死んだらどうするの?】

 

「ああ・・・ごめん・・・」

 

そう、まだ神剣を使いこなしてない愁にとってあれほどの戦闘は負担が大きすぎた

 

なんとか耐えられたが下手をしたらマナが逆流して死んでいただろう

 

「流石に・・・厳しい・・・な・・・・っ!!」

 

頭が割れるように痛い

 

【ちょっ!本当に大丈夫?無理そうなら休んだほうが・・・】

 

「大丈夫だって・・・多分・・・」

 

【はぁ・・・分かったけど無茶は】

 

「しないよ」

 

あれこれ言っているうちに訓練場に着いた

 

しばらく氷炎に言われたとうりに訓練を続ける

 

大分慣れたようで戦闘とかにも慣れた

 

氷炎曰く、後は実践だけだそうだ

 

しばらくして

 

「あれー、先客がいるー」

 

「いるー」

 

2人組みの少女が入ってきた

 

「えーと・・・確かネリーとシアー・・・・だっけ?」

 

「そうー(ですー)」

 

どうやら二人は訓練をしにきたようだ

 

(氷炎)

 

【ん?】

 

(実践って・・・このことだよな)

 

【まさか愁・・・そんな趣味が・・・】

 

変な目つきで見てくる

 

(違うぞ、勘違いだ)

 

【あの二人相手にやるんでしょ、幼女虐めはダメだよ】

 

(む・・・分かってる)

 

話をしていると

 

 

 

 

「愁私たちの相手してー」

 

「してー」

 

(う・・・ダメだこんな子にストレートに言われたら断れない・・・)

 

【うん、あってるけど言訳だよね】

 

「ああ、いいぞ」

 

とりあえず移動して2人が構える

 

「どっからでもいいぞ」

 

「いくよー」

 

「よー」

 

2人が同時に切りかかってくる

 

【愁、常に冷静にね】

(分かってる)

 

バックステップで回避、そして先程練習していた技を発動する

 

 

 

イメージするのは・・・2本の剣・・・いけるっ!!

 

 

ネリーとシアーが切りかかってくる

 

あたるかあたらないかという次の瞬間

 

 

キィィィイン!!

 

攻撃をはじいた

 

そして手に握られていたのは2本の剣だ

 

【マナでの構成、上手く行ったね】

(正直・・・無理かと思った)

 

 

「むー、いくよー」

 

また2人が切りかかってくる

 

それを軽々と弾き返す

 

「ネリー、スピード落ちてるぞ」

 

「愁が強すぎなんだよー!!」

 

しかしかなり消耗している上、2人が相手だ

 

「いくぞ・・・」

 

地にマナを叩き付け衝撃波を起こす

 

2人がバランスを崩したその時

 

 

 

 

ガッ!!

 

 

「はぅっ!!」

 

シアーの持っていた神剣を弾き飛ばす

 

そしてネリーの神剣も

 

「ふぅ・・・終わり」

 

構成された剣をマナに戻す

 

「愁強すぎー」

 

「すぎー」

 

「いや・・そんなことないって」

 

そういって歩き出そうとしたが

 

「ぐっ・・・」

 

頭痛が酷くなって膝をつく

 

「愁!!」

 

「大丈夫・・・たいしたことない・・・」

 

ネリー達に心配をかけまいと一所詰めに戻っていった

 

 

 

 

 

-一所詰め

 

 

「く・・・はぁっ・・」

 

流石に無茶し過ぎたか、かなり体が重い

 

【1日でほとんどできるようになったのはいいけど、無茶しすぎだよ】

 

「流石に・・・な・・・厳しいわ・・・」

 

【まだ夕食まで時間あるし、少し休んだら?】

 

「そーする・・・」

 

そう言ってベッドに横になった

 

そしてどれだけ時間が経ったのか

 

夜中くらいになった

 

その時

 

 

キィィィイイイイン!!!

 

 

「何だ!!」

 

突然の音に目が覚めた

 

【愁!!大変、求めが暴走してる!!】

 

「はぁ?どゆことだよ!!」

 

【とにかく外!!森に急いで!!】

 

コートを羽織り急いで外に出る

 

反応がある方向に走り続ける

 

そして見えて来たのは

 

「ユート様ぁ・・・」

 

「くっ・・・」

 

泣きそうになっているネリーと見覚えの無いブルースピリット

 

そして悠人

 

ではなかった

 

正確に言えば支配された悠人だ

 

意味の分からない触手で今にも2人に襲い掛かりそうだ

 

「止めろぉぉおおおおおおお!!!」

 

そのそれに気づいてこちらを向く

 

「愁?」

 

泣きそうな顔でこちらを見ているネリー

 

「誰かと思えば氷炎の主か、邪魔をするな、エターナルには関係ない」

 

【悪いね求め、愁が止めるといっている以上止めないとダメなんだよね】

 

「ほう・・なら黙らせるだけだ!!」

 

同時に触手が襲い掛かってくる

 

「ぐっ!!」

 

早すぎて詠唱できないのだ、剣を構成しようにも時間がない

 

「そちらの弱点は知り尽くしている」

 

そう言い全ての触手を俺に向けた

 

だが

 

【愁、遊びすぎだよ】

 

「悪い」

 

一瞬にして全て弾き返した

 

「何っ!!」

 

 

そう

 

握られていたのは

 

炎と氷

 

2つのマナで構成された

 

2つの剣だった

 

「馬鹿な!!何故そんな業を!!」

 

「残念」

 

ヒュッ

 

 

マナの波動が襲い掛かり触手を消し飛ばす

 

そう、先程の防御は全て作戦だったのだ

 

「ぐわっ!!」

 

【求め、愁を甘く見すぎだよ】

 

一瞬で距離を詰めて峰打ち

 

悠人が倒れた

 

「大丈夫?ネリー」

 

「愁〜!!」

 

泣きながら抱きついてくるネリー

 

よっぽど怖かったのだろう

 

「もう大丈夫だから」

 

そう言ってもう1人の方を見る

 

「君は・・・誰だ」

 

「あ・・・私はセリア、セリアブルースピリットです」

 

「あー・・・君が・・・」

 

新しく配属されたとか言う人だろう

 

「とにかく、助かりました」

 

笑顔を返して一所詰めに戻ろうとした

 

その時

 

 

ガタッ!!

 

 

 

「セリア!!」

 

セリアが倒れた

 

「ちょっと・・・無茶し過ぎました・・・」

 

駆け寄ってみてみるといくつかの攻撃された後があった

 

「あの時・・・」

 

「大丈夫・・・です・・・」

 

「大丈夫な訳ないだろ!!」

 

肩を貸して一所詰めに向かう

 

ネリーはエスペリアを呼びに行った

 

「ったく・・・悠人・・・」

 

流石に悠人を恨んだ

 

「悠人様は悪くありません・・・」

 

セリアが辛そうに言う

 

「・・・・・」

 

沈黙が流れる

 

その後は何もしゃべらなかった

 

エスペリアと合流してセリアを任せる

 

でも

 

 

この出会いが全てを変えるなんて

 

 

思わなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日

 

 

 

あれからセリアはなんとか回復した

 

もう少し遅かったら危なかったそうだ

 

そして気がかりなのが

 

「氷炎・・・求めの言うエターナルって何だ」

 

【やっぱ教えないとダメなんだよね・・・】

 

辛そうに言う氷炎

 

【エターナル、名前の通り永遠者って意味だよ】

 

「永遠者?」

 

【普通3位以上に与えられる階級みたいものなんだ】

 

「へぇ・・・」

 

【そしてEクラスの神剣のマスターがエターナルになると本来の神剣の力を解放できる】

 

「ならいいんじゃないか?」

 

【最後まで聞いて、確かに絶対的な力を得る事になる、でも】

 

「でも?」

 

【全ての人達から本人の記憶が消えて永遠の戦いに身を投じることになる】

 

「なっ・・・」

 

【黙っててごめん・・・】

 

そしてしばらくの沈黙が流れた

 

でも

 

思った

 

 

俺には・・・親はもう居ない

 

なら俺は捨てるものなど何も無い

 

悠人や光陰、皆から忘れられるのは辛い

 

でも・・・理由は分からないが俺の本能がエターナルの道を選んでいた

 

 

 

 

「氷炎」

 

【ん?】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エターナルに・・・・なるよ」

 

 

 

 

 

 

 

そう言った

 

【今・・・なんて?】

 

信じられないという雰囲気で驚く氷炎

 

「エターナルになるって言ったんだ」

 

【なんで、そう思ったの・・・皆の記憶から消えるんだよ?】

 

「前に俺のせいで両親が死んだって言っただろ」

 

【うん】

 

「誰かが消えるのは・・・嫌なんだよ、もう」

 

ここにきてからもう1ヶ月だろうか

 

いつのまにか

 

誰かを失うのはもう嫌だと思った

 

【そっか・・・なら・・・いいんだね】

 

 

「・・・・ああ」

 

 

いいんだ

 

これで

 

次の瞬間

 

俺は光に包まれて

 

エターナルとしての力を得た

 

【・・・終わったよ】

 

「そっか・・・ならもう行こう、皆は俺の事覚えてない」

 

ここに居る理由も無い

 

立ち去ろうとしたその時

 

「ちょっと待ったぁああああああ!!!」

 

誰かに引き止められた

 

「誰?」

 

そこに立っていたのは巫女装束の女性だった

 

「貴方がイレギュラーである以上ここで消えてもらったら困るんですよ!!」

 

かなり怒っている

 

「えーと・・・どなた?」

 

【時深、お久しぶり】

 

「氷炎、久しぶりですね」

 

この2人どうやら知り合いのようだ

 

「えーと・・・イレギュラーって・・・氷炎」

 

【んーとね】

 

「それは私から説明します」

 

時深と呼ばれた女性が言った

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

「つまり俺は本来ここには居なくて、ありえない存在だと言う事か」

 

「そうなりますね」

 

話の内容を聞く限り俺は異端者のようだ

 

「しかし、ここまで関わった以上、消えるとバランスが崩れるのか」

 

「はい」

 

「でも記憶はもう消えてるんだろう」

 

そうたずねる

 

「いいえ、この世界のバランスを保つ為にまだ消えては居ません」

 

「つまり?」

 

「こちらの極秘情報ですが・・・カオスとロウと言う組織があるのは説明しましたね?」

 

「ああ」

 

「実は今回・・・どちらか分からないですが、変な気配を察知したので」

 

・・・・変な気配?

 

良く分からなかったがとりあえず分かったのは

 

「つまり・・・この世界にいて様子を見ろと」

 

「そうです」

 

 

 

 

しばらくの沈黙が流れた

 

 

 

 

「分かった、様子を見よう」

 

「分かってくれて嬉しいです」

 

その後時深は帰っていった

 

 

 

「これから大変だな」

 

【だね】

 

 

龍討伐戦前の事だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―龍討伐戦

 

 

 

 

 

 

「くっ!!!」

 

悠人がエルスサーオで敵を迎え撃っている

 

「はぁっ!!」

 

アセリアの一撃があいてを切り裂く

 

同様にエスペリアやセリア、ネリーもそうだ

 

【愁、僕たちの目的、分かってるよね】

 

(サードガラハムを屈服させる、だろ)

 

そう、表では龍討伐と言っているが、エターナルの愁にとってはそんなのただの口実だ

 

「流石に・・・なぁ・・・」

 

ため息をついたその時

 

「愁!!後ろ!!」

 

悠人が叫ぶ

 

「ん?」

 

後ろから3人のスピリットが切りかかってきた

 

「まとめていくぞ」

【無茶言うねぇ・・・】

 

瞬間的に距離を開ける

 

詠唱開始

 

3人が切りかかってくるがもう遅い

 

「オーバーリミッツ発動」

 

瞬時にマナが収束し始める

 

高速詠唱の完成だ

 

「降り注げ光の刃よ、ライトニングソロゥ!!」

 

空から光の矢が降り注ぐ

 

「ぐわっ!!」

 

3人は一瞬にしてマナに還った

 

「ふぅ・・・」

 

オーバーリミッツを解除する

 

「悠人!!ここは頼む!!」

 

「ああ!!」

 

そう

 

全て順調だ

 

 

 

 

 

 

 

―サードガラハムの洞窟

 

 

 

 

「我を起こすのは誰だ」

 

「俺だ」

 

洞窟にすぐに到着してサードガラハムと対峙する

 

「御主・・・エターナルかその神剣は・・・」

 

【ガラハム、久しぶりです】

 

「氷炎か、何世紀ぶりか」

 

「知り合い?氷炎」

 

【うん】

 

どうも氷炎の知り合いは多いな、と思う

 

「して、我になんのようだ」

 

「あんたに力を貸して欲しい、門番のアンタの力が」

 

「ほう・・・つまりお前は全て知っているのだな」

 

「ああ」

 

多分この龍も謎の気配とやらを察知しているのだろう

 

「いいだろう、ならば協力を・・・「愁!!」む?」

 

「悠人!!嫌なタイミングに・・・」

 

「氷炎の主よ、この者は」

 

「あー・・・まぁ色々あって・・・」

 

【説明しとくから彼をなんとかして】

 

と氷炎が言った

 

「悠人、下がれ!!」

 

とりあえずこうなった以上芝居をするしかない

 

「うぉぉおおおお!!」

 

悠人だけのようだ、エスペリア達はきていない

 

「ふん!!」

 

サードガラハムがブレスを放つ

 

「ぐわっ!!」

 

モロに食らったのだ、無事ではすまない

 

壁に叩きつけられ悠人が気絶した

 

「邪魔者は消えた、続きを」

 

「分かった」

 

氷炎を着けている腕を出す

 

目を瞑り念じる

 

そして次の瞬間

 

「・・・どこ?」

 

「ここだ」

 

氷炎の十字架の装飾の中心の穴に赤い宝石が埋め込まれている

 

「これで我をいつでも呼べる」

 

「あんた・・・この宝石の中に居るのか?」

 

「そうだ」

 

下手にガラハムを使うと大事になりそうだ

 

そう思った

 

 

 

ここから全てが

 

 

 

 

 

動き出す

 

 

 

 

 

 

 

 

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