prologue : Side Black Wing
甲高い金属のぶつかり合う音が木霊する
宙に浮かぶのは白衣の少女
未だ余裕の表情を浮かべる影が、その手に持つ杖を一降りすると、無数の剣がもう一つの影へ飛来する
その影はハッ、と一息吐き出すと手に持つ刀を振りかぶった
黒塗りの刀身は向かい来る刃の嵐を弾き、弾き、弾き飛ばす
最後の一本を弾き切ると、大きく肩で息をしながら、手に持つ刀を地面に突き立てた
「今なら、まだ許して差し上げてもいいですわよ?別に苦しむことはありませんわ。貴方も、私も、気持ち良くなれるのですから」
そう言って幼い顔からは想像できないような妖艶な笑みを浮かべる少女に、青年は笑いながら応えた
「遠慮しておこう。生憎、そちらの趣味はない」
ピクリッ、と少女が反応を示す
その表情は、怒り
「いいでしょう。マナの霧にして差し上げますわ。【 宵闇 】」
「そちらも出来れば遠慮したいな」
号音だけが唯、深い闇に響き渡る
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