8月31日

この日は皆さんどうお過ごしでしょうか?
俺は―――

「シン君〜〜、お願い、英語の答え写させて〜〜……」
「ええい、分かったから抱きつくな!暑苦しい!!」
「真夜〜……」
「健吾はなおさら止めろ!!」
「……いよっ」
「静音は何でメイド服着てるんだよ!!?」

こんな感じです。














before「Intruder」

PAST
〜summer〜

End of Summer Vacation












「助かったよ〜、もう間に合わないかと思った」
「……つーか、もう中三だぞ?ちゃんと勉強してるのかよお前」
「し、失礼な!ちゃんと一日一時間は頑張ってるもん!!」

いや、少ねえよ。
溜息をつきながら、三人に麦茶を出す。
テーブルにいるのは姫花と健吾。
姫花ひめかは三年に喋りかけてきた豪速100マイル娘。
健吾は教科書を借りた縁で親しくなった。

そして、いま俺のベットで漫画を読んでいるのは静音しおん
姫花の親友で、これまたネジの一本や二本は抜けてそうな娘である。

「健吾も、大丈夫なのか?」
「俺の場合は塾の勉強が多すぎてな。中々終わらせられなかったんだよ」
「………」
「ん、どうした?」
「お前、塾とか行ってたんだな」
「あのなあ……今時行ってないのってお前と姫花ちゃんと静音ちゃんぐらいだぞ?」

まあ、俺は面倒臭いから行ってないだけ。
静音は行かなくても全教科満点だし……
問題は………

「ん、何か私についてる?」
「いや、何でお前はそんなに楽観的なんだろうな」
「フッフッフ、それは私が明鏡止水の極意を会得し―――」
「はいはい、いいから手を動かせ」
「ブー……最後まで言ってないのにぃ」

べたー、と机にへばりつく。
それを見た健吾が、笑いながら聞いてきた。

「そういやさ、皆は高校どこ進むんだ?」
「「浅見ヶ丘」」
「うわ、すげーシンクロ」

そう言われて姫花と顔を見合わせる。

「理由は?」
「近いから!」
「同じか」

何というかまあ、よくいうところはよく似ているのである。

「静音ちゃんは?」
「白鴎大付属女子高」
「うへー、すっごいお嬢様校!」
「頭よくないと行けねえもんな、あそこ。姫花じゃ……」
「何その目〜」
「気のせいだ」

いいよいいよ、どうせ私なんか…と愚痴りながら最後の英訳を終わらせようとしている。
これで理系科目のテストの成績ならほぼ満点なのだから驚きだ。
いつだったか健吾が「お前たちは二人で一人前だな」と言っていたのを思い出す。
俺が文型、姫花が理系だからだろうが。

「健吾は?」
「俺?俺は親の都合でさ、卒業と同時に関西の方に行くんだ。だから高校もそっちだな」
「……そうか」
「ん?どうした、俺がいないのがそんなに寂しいか?はははは」
「いや、鈴ちゃんに会えなくなるのかと」
「……少しは俺の事も考えてくれ!!」

ちなみに鈴ちゃんというのはこいつの妹である。
えらくお兄ちゃんっ子なのだが、近頃は懐いてきてくれていたのに、本当に残念だ。

「みんなバラバラだね〜」
「お前とはまた同じになりそうだがな」
「……また会える」
「そうそう!別に永遠に離ればなれって訳でもないし」

とはいっても、やはり少し淋しいのは事実だ。
少しずつ、クラスの皆も俺に対する見方を変えてきているみたいだが、やはり一番心を許せるのはこの三人だからな……
すると急に姫花が立ち上がる。

「うーん!テンションダウンな話は終わり!!宿題も終わったし、今は中学生夏の最後の思い出作りと行きましょう!!」
「どこに?」

俺の問いに、姫花は自信満々に答えた。

「お祭りだよ!!」




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「そう言われて早二時間。何してやがるあいつ等」
「フッ。分かっていないな真夜」

訝しげな目で健吾を見る。
つーか八月の終わりに夏祭りって……俺の行く高校の文化祭は真冬に行うらしいし、ここの季節感は明らかにずれているんじゃないか?

「ここまで時間をかけてくるということは、だ」
「何だよ」
「それは来てからのお楽しみだ」
「お前もう帰れよ」
「一番きついツッコミだなあ……」

そこに、やっとこさやって来た姫花たちの声が聞こえてきた。

「うおーい。シンくーん!」
「遅えぞ、一体何し…て……」
「えへへ、似合うかな?」

淡い黄色に、向日葵が描かれたの浴衣を着た姫花が言う。
後ろから来た静音や鈴ちゃんも同様に、青を基調としたものと、赤い金魚が描かれた浴衣を着ている。
なるほど、道理で遅いはずだ。
オズオズとした表情で、鈴ちゃんが聞いてくる。

「あ、あの…変じゃ、ないですか?」
「…いや、とっても似合ってるよ」
「そ、そうですか?えへへ」

短いミルクティーのような色をした髪が、さらさらと揺れる。

「真夜、私は?」
「バッチ」
「グー」

そう言って静音と拳をぶつけ合った。

「ねーねー私はぁ!!?」
「あーはいはい、似合ってるんじゃないでしょうか?」
「むー、気持ちがこもってないなあ」

そう言いながらも嬉しそうに隣に立つ。
いつもは下ろしている髪を上げているので、いつもとはまた違った印象だ。

「よし!みんな準備はいい?目標は全部の屋台制覇だよ!!」
「一人でやれ」







「おなか一杯だよぉ……」
「まさか本当に制覇するとは……」

何か腹の中に飼ってんじゃねえか…?
あたりはすっかり暗くなり、時間ではもう直ぐ花火が打ちあがる頃だ。
ちなみに

「お、お兄ちゃん大丈夫……?」
「大丈夫だ鈴。兄を信じ……グフッ」
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!?」
「……ザ○とはちがうのだよ、○クとはぁ」
「静音さん、言ってることがわかんないです」

姫花のペースにあわせた健吾が、グロッキー状態に追い込まれていた。
兄の看病をしつつ、きちんと静音に突っ込んでいる鈴ちゃんの姿を見ると、将来名ツッコミに成れるのではなかろうかと思ってしまう。

「将来に期待だな」
「何のこと?」
「こっちの話だ」

その時、最初の一発が空に上がった。

「あ、そうだ。リンゴ飴リンゴ飴」
「まだ食べんのかよ……」

最初の一発が合図だったかのように、一斉に様々な色の花火が空へと上がる。

「……ねえ、シン君」
「何だ?」
「また、みんなで花火、見れるかな?」

珍しく、沈んでいるようだ。
今日の昼間のことを、こいつなりに色々考えていたのだろう。

「……見れるよ。もし無理だった時は、俺が相手してやる」
「それってデートのお誘い?」
「やかましい」

そう言って視線を花火へと移す。

「そうだね。それも、ちょっといいかな」
「ん、何か言ったか?」
「うんん、何も!」

その時、一段と大きな花火が空へ舞い上がる。
色々あったし、色々あるだろうけど、こいつとなら歩いていける。
そう、思った。











夏 君が笑っていた季節

照りつける太陽は眩しくて アスファルトが溶けるように暑くて

だけど俺たちは 確かに笑顔でいたんだ















「お、俺が死んでも第二第三の健吾が……」
「い、いないよ!いないよお兄ちゃん!!」







<後書き>

幕間「過去〜夏篇〜」でした

一気に登場した新キャラたち。
これは外伝を読むと分かるので暇があれば読んで見て下さい。
ちなみにシリアスはほぼゼロです。

皆さんは夏休み、どう過ごしていたでしょうか?
おしょうは家でゴロゴロしてました。
え?外?
何で暑いときに外に出にゃならんのだ!!
ちなみに宿題なんてやりませんでした、ええやりませんでしたとも(威張るな
やったのは出さなきゃ居残りしてでも書かされた作文ぐらいだなあ……

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