刹那の時に 我等は恐れ 我等は狂う
















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07.血塗れのココロ
















「き、緊張しますね」

隣のヘリオンが話しかけてくる
ラキオスへ行ってから三日後、遂にバーンライトとの戦闘が始まろうとしていた
セリア、ナナルゥ、ニム、ファーレーンを残し、今リーザリオに向かおうとしている

「…そうだな。恐いな」

そう言うとヘリオンが少しだけ驚いた表情になる

「シンヤ様でも恐いんですか?」
「お前俺を何だと思ってやがる」
「え?そ、それは……」

いや、言えよ
言及してやろうかと思ったが、そこでネリーが飛びついてきた
後ろにはシアーも一緒だ

「えー!シンヤ様キンチョーしてるの?」
「んー、まあな。ネリーは恐くないのか?」
「あったり前じゃん!だってネリーはくーるだもん!!」

ネリーがクール?

「………はっ」
「あー!鼻で笑ったぁ!!シアー」
「よしよし」

泣きつくネリーをシアーが撫でている
すると後ろにいたハリオンとヒミカが前に来た

「何してるんですか、シンヤ様」
「女の子を〜、いじめちゃ駄目ですよ〜?」
「違う違う。現実の厳しさってやつを教えてやっただけだ」

隣で苦笑いするヘリオンを見た後、ヒミカが溜息をつく

「まあ、皆の緊張が解けたのはいいでしょう。けど、気を抜き過ぎないようにして下さいね?」
「分かってるって」

目の前の皆を見る
そして戦う理由を再確認

「大丈夫だ、俺がみんな護ってやる」

リーザリオが、目の前に来ていた







甘く見ていたつもりはなかった
これは戦争だということも分かっていたし、自分でもある程度覚悟していたはずだった
なのに今―――

「くっそ!!」

目の前にいるのは緑の妖精
シールドはこちらの攻撃で薄れてなくなり、後一太刀加えれば勝負が決まる
しかし

(腕が、動かねえ………!!)

その後一太刀が決まらない
否、決められない
何やってる神凪 真夜、殺さなければ殺されるぞ
護ると決めたのなら―――

「おおおぁぁぁ!!」

殺せ!!

「ああ゛っ!!」

振りかぶった【桎梏】に重みを感じる
感じるのは肉を斬り、そして骨を立つ感触
そして顔を上げると―――

「あ………」

涙を流しながら消える少女を見た瞬間、全ての動きが止まる
動かない体と反比例するかのように、思考がいやにクリアだ
そしてその思考が告げている
動け、動かなければ次に消えるのはお前だぞ

動け

動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動

「シンヤ様!!」

ヒミカの声に、弛緩した体にスイッチが入る
目の前には敵の青い妖精

「動けよ!!!」

震える足に叱咤して無理矢理体を捻り、回避行動をとる
飛び上がった瞬間、俺がいた場所を、蒼を帯びた剣が貫いていた
顔を上げた敵の表情は、純粋な殺意
それは仲間を殺された事への怒りか、それとも敵に対する純粋な憎しみか……

「大丈夫ですか、シンヤ様!?」

そう言って俺とそのスピリットの前にヒミカが立つ
震える手が止まらない、体に力が入らない
んなこと言ってる場合じゃねえだろ!
動け、護るって決めたんだろうが!!

「くっそ!びびってんじゃねえよ!!」

ギリッと【桎梏】の柄を握り締める
そして立ち上がった
悲しむのも、苦しむのも全部後だ
今は―――

「すまないヒミカ。もう、戦える」

戦う時だ!!

「シンヤ様……」

ヒミカの心配そうな顔に笑いかける
もう、大丈夫だと
震えはもう、止まっていた

「あああぁぁぁ!!!」







「ハア、ハア」

戦いが終わり樹にもたれかかる
皆には少し一人にして欲しいと頼んでおいた

「くそ、今になって又かよ」

戦闘が終わって緊張の糸が消えるのと同時に、手の震えが止まらなくなった

「何が大丈夫だ、何が護ってやるだ……」

俺にできたことが一体どれほどのもんだってんだ

「くそ!」


「シンヤ様〜」

少し離れた所から声が聞こえる
これは―――

「ハリオン?」
「はい〜」

俺、一人にして欲しいって言ったよな……

「すまんハリオン今は―――」
「これ〜どうぞ〜」

そっとしておいてくれ、という前にズイッと何かが差し出される

「これは?」
「ネネの実ですよ〜。近くにあったので〜拝借してきました〜」

それって盗難じゃねえだろな…

「疲れてるときは〜甘いものが一番ですから〜」

そう言って手渡される
参ったな、お見通しか
まあ明らかに挙動不審だったから仕方が無いか

「心配させちまったな…」
「ふぁひ、ふぁふふぇふふぁ〜?」
「……」

気が付くと隣に座って自分も食べ始めている
あれだけの量一人で食べるつもりか…?

「あ、これは〜あげませんからね〜?」
「いや、そんないらないから」

そんな何気ない日常が、俺の心を少しだけ癒してくれる

「ハリオン」
「ふぁい?」
「ありがとう」











血まみれの戦場、マナが立ち上る黄金の空

俺は初めて、人を殺した













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<後書き>

シリアスは苦手〜♪(死
第二部からシリアスぶっちぎりでした第七話
改訂版では少しだけ描写を変えてみたのですが、やはり改めて書き直すと、チョッとだけでも上手になってるかなあと思ったりしなかったり(どっちだ

真夜君はしばらくこんな感じですが、死を克服する彼を楽しみにしてて下さい

次回「reason to fight against 2 ^what do you fight for?^ 」

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