時は朝、場所は食卓
第二詰所のメンバーはハリオンが用意した朝食を摂っていた
パンを取ろうと伸ばした真夜の手が誰かの手と重なる
これがヘリオン等なら「あ、ごめん」「いえ、私こそ」、といったイベントでも起きそうだが、生憎相手が悪かった

「よおセリア。お前は上司に譲る気はないのか?」
「上司?ああ、そうでしたね。それより女性に譲ろうという誠意はないのですか?」
「普段ならあるんだがな。生憎今は全力で破棄したい気分だよ」
「奇遇ですね。私も普段は上司には誠意を持って接するんですが。あなたには全くその気になれません」
「やんのか?俺は女相手でも手加減しねえぞ?」
「いいんですかそんな事言って?負けても言い訳できませんよ?」
「構わねえよ。勝つのは俺だ」
「神剣無しなら負けません」
「やってみろ」

それを遠くで見ていたヘリオンが隣にいるハリオンに耳打ちをする

「い、いいんですか?放っておいて」
「あらあら〜。どうしましょうか〜」
「ふ、二人の後ろに龍が……ていうか持ってたパンがボロボロに!?」

いつの間にか周りの皆が下がっている
そして二人組み合おうとしたその時
詰所の扉が突如開いた

「エトランジェ・シンヤ!レスティーナ姫様がお呼びだ!!」
「「あぁ!!?」」
「ひ、ひい!?」















Intruder
06.reason to fight against
















「お、真夜。遅かったな…て、何でそんなイラついてるんだ?」
「……別に」
「んな殺気を帯びた目で言っても説得力ないぞ……」

レバーでも食べろ、と言う悠人をスルーしてレスティーナに話しかける

「それで、なんですか?早くしないと穏やかな心を持ちながら、激しい怒りで最強の戦士に覚醒しそうなんですけど」
「それはそれで我が国にとっては良いような気がしますが……あなたはカオリとの面識はありますか?」
「あ?ああ、ありますけど」

そうですか、と言うとレスティーナは微笑む

「今日はエトランジェ・ユートとカオリを面会させる事になっていたのです。それで、どうせならと」
「そういうことか……」

そんじゃ、一ヶ月ぶりの再会といきますか







「佳織!」
「お兄ちゃん!!」

うんうん、感動の再会ってやつだな
なんか俺の存在が場違いな気も……
暫く抱き合って二言三言喋っていた二人は離れてこちらに近付いてくる

「もういいのか?」
「ああ」

うーむ……といっても話す事なんかねえしな
何かないかと考えていると、高嶺が先に話しかけてきた

「あの……神凪先輩」
「ん?」
「ごめんなさい。私のせいで神凪先輩まで巻き込んでしまって……」

……こいつは悠人と同じような事言いやがって
こんなとこは悠人に似てるな
苦笑して頭を撫でる

「いいって。知らないとこで知らない奴のために戦うよりか数倍マシだ」
「でも……」
「気にすんな。ココに来たのも、戦うって決めたのも俺の意思だ。安心しろ、ちゃんと悠人は護ってやるからよ」

おどけて言うと高嶺は少しだけ笑う

「お願いします。お兄ちゃん、時々危なっかしいから」
「ああ」

そう言って手を離すとレスティーナが近付いてきた

「もういいですか?」
「はい。高嶺のこと、宜しくお願いします」
「任せなさい。悪いようにはしません」







「ホントによかったのか?」
「あ?」

詰め所への帰り道、いきなり悠人に言われ聞き返す

「いやさ、真夜は俺と違って佳織を助ける明確な理由なんかないだろ?命までかけて戦う理由なんか無『スパーン!!』ぐふあ!!」

最後まで言い切る前に頭を思い切り張り倒した

「な、何するんだよ!!」
「ゴチャゴチャうっせーんだよお前は。まだんな事考えてたのか?」

まあそれがこいつのイイとこでもあるんだろうが

「お前も、お前の妹も、俺の大事な友達だ。そいつらが困ってる。俺が戦う理由はそれで十分だ!」

「それに」と付け加える
脳裏には昨日あった少女たちの姿

「守りたいって思うものもできたしな」
「守りたいもの?」
「あぁ」

そう言うと納得できたのかは知らないが

「分かった。もう俺からは何も言わない」

そう言って右手を差し出してきた

「よろしくな、真夜」
「ああ」

俺は差し出された手を握り返しながらそう答えた










Code:1 welcome to Phantasmagoria End
to be continued next stage ....

血と死の螺旋に『桎梏』され 
歩む先は屍の道
されど唯 進み続ける









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