さあ交えよう
言葉を 刃を
お互いを知っていくために















Intruder
05.introduce myself















「ここか……」

悠人とは途中で別れ、今俺は一つの家屋の前に立っていた
簡素だが、人が暮らす息遣いが感じられる
【桎梏】が感じる気配は九人
その証拠に中からは誰かが喋っている声が聞こえる
エスペリアがドアをノックすると、一瞬音が止むが、直ぐに騒がしい足音が近付いて来た
ドアを開けると共に一人の小柄な少女が現れる
青いポニーテールを揺らし、俺に言った

「ねえねえ、新しいエトランジェってどこ!?」







「あー。実は新しいエトランジェだったりする神凪 真夜だ。見た目からは想像できないみたいだが、ホントにエトランジェなんでよろしく」

そう言った俺に対し、先程の少女は舌を出して笑う
見回すとそこには察知した通り九人の少女たちが並んでいた
そしてその中から一人、ラセリオで会った青い髪の少女、セリアが前に出る

「自己紹介の前に、一つ言っておく事が」
「何だ?」
「私は、あなたのことを信用できません」

セリア!!と叱咤するエスペリアを遮って俺は前に出る

「なぜ、と聞いてもいいか?」
「あなたのような実力も分からない。どこから来たのかも分からないような人を、信用しろと?」
「分からないか……じゃあ試してやろうか?今、ここで」
「試させてほしいのですか?」

チリッとあたりの空気が張り詰める
セリアの右手は腰に差した【熱病】へ、俺の手が【桎梏】へと伸びる
互いの手が神剣に触れた時、赤い髪の少女が間に割って入ってきた

「セリア、止めなさい」
「止めるの、ヒミカ?」
るならそれ相応の場所で、よ」

そして俺のほうに向き直る

「少々荒っぽくなってしまいましたが、基本的に私たちの見解は同じです。私たちの上に立つ以上は―――」
「私たちよりも強くなくては困る、か?」

ヒミカと呼ばれた少女は無言で頷く
周りを見渡すと

「私は〜、別に構いませんけど〜」
「わ、私も構いません!」
「ネリーはどっちでもー!」
「し、シアーはネリーと一緒でいい……」
「ニムは誰でもいいし」

…………

「なあ、半数がなんだか微妙な見解なんだが、何かこのことに対する一言を」
「……とりあえず訓練場に行きましょう」
「はぐらかした!?」







場所はうって変わって訓練場
第二詰所にいた面々だけでなく、悠人やそこの住人だろうスピリットも集まっている

「なあ、これは一体どういうことだ?」
「俺が強いか弱いか確かめたいんだと」
「信用ないな」
「ありがとよ」

壁にもたれて悠人と会話していると、準備ができたのか、皆がこちらを見ていた
それを見て壁に預けていた体を離す

「頑張れよ」
「当然!」

そう言って片手を挙げた後、刀を抜いて前に出た

「そんじゃ、始めるか」

それに呼応するかのように、三人が前に出る
一人は覆面の少女、一人はさっきのヒミカと呼ばれた少女
そしてセリアだ

「三対一です。よろしいですか?」
「自信がないなら全員でもいいが?」
「ずいぶんな余裕ですね」
「スピリット三人にビクビクする副隊長がお好みか?」
「フフフフ……」
「ハハハハ……」

周りの年少組が恐がって一歩下がってるのでココまでにして
覆面の少女に問いかける

「俺が全員ぶっ飛ばせば俺の勝ちでいいんだな?」
「ええ。できればですが」

いつの間にか各々が立ち位置を入れ替えている
戦る気満々か
一歩下がると覆面の少女が声を発した

「永遠神剣第六位【月光】のファーレーンです」
「【桎梏】の神凪 真夜だ。勝てたらこれからもよろしくな」







両者がバックステップし一度距離を空ける
先ず攻めてくるのは【赤光】のヒミカ
身の丈はあろうダブルセイバーを振り回し、叩きつける!

「ぜあぁぁ!!」
「“流旋ストリーム”」

向かい来る“スイング”を最小限の動きで避け、すぐさま攻撃に移る
しかし、隙だらけのヒミカを庇うように刃が【桎梏】遮った
セリアだ
押し切れないと一瞬で判断
更に迫ってくるファーレーンの攻撃を回避するため真夜はアクションを取る
手に込める力を押から僅かに引へ
そして跳躍し【熱病】の剣の腹に乗る
そこから更に跳躍し、三人から距離をとろうとした


ドン


しかし、動きは後ろにある何かに遮られた
真夜は背後のそれを見る

(ハイロゥか!)

それはヒミカの物であろうスフィアハイロゥ
その片方が真夜の動きを止めていた
空中で完全に勢いを殺された真夜にセリア、ファーレーンが翼を広げ詰め寄る

(凌げるか!?)

その思考をすぐさま破棄する
信じろ、己の力を、イオの託してくれた技術を!!

「月を模したこの動き、捉え切れますか?」
「全力で行くわよ、【熱病】!!」

“月輪の太刀”と“インパルスブロウ”が同時に発動される
先ず来るのは月光色の鋭い斬戟
その背後からは蒼を帯びた重厚たる一撃が迫ってくる
対する真夜は“流旋”を使う
しかし【月光】受けている間にも【熱病】が迫ってきた
だから


ガッ!!


「なん!?」

一度弾いた【月光】を空いた左手で掴み取る
手の平から伝わる痛みを無視し、轟音を立てる【熱病】を見る
受けるのは無理と判断し、“流旋”でながす
勢いに乗った体は止まらず、セリアがこちらを追い越した
そして真夜はすぐさま左手に握った【月光】をファーレーンごと

「おおあああぁぁ!!」

全力で以って投げ飛ばした
向かう先はヒミカ
ヒミカはファーレーンを受け止め、対する真夜は着地と同時に“疾空アクセル”を放った
向かう先は動きを止めたヒミカとファーレーン
斬るか?と考えるがその思考を打ち消した
【桎梏】を左手に持ち替え、一気に詰め寄る
先ずはヒミカ
振りかぶった右手にオーラを纏わせ叩きつける

「がっ!!」

吹き飛ぶヒミカを一瞥し、そのまま回転
背後にいる未だ体勢を整え切れていないファーレーンに右蹴りを叩き込んだ

「あう!」

心の中で「ごめん」、と二人に謝り、右手に持ち直した【桎梏】を構える
切っ先の先に立つのはセリアだ

「まだ戦るか?」
「当然でしょ」

構えを取るセリアに真夜は参ったな、と考える

(“疾空”は使いきっちまったし、これ以上の発動は無理だ)

残っているのは“流旋”と後一つ

(これはまだ完成してねえから、できれば使いたくなかったんだがなあ)

しかし勝つにはこれしかない
そう判断した真夜はオーラを刀身に纏わせ始めた
それを見たセリアが

(何か来る!!)

ハイロゥを全開にし、駆け出す
単純な力比べになれば、スピリットとエトランジェなら確実にエトランジェが有利だ
いくならあの男が技を放つ前!!
そう考えたセリアは一歩踏み込み、力を解放した

「はああぁぁぁ!!」

全力を込めた“リープアタック”を振り下ろす
対する真夜は真正面からこれを受けた

ガァン!!

金属同士がぶつかり合う音が訓練場中に響き渡る
今まで回避しかしていなかった真夜が何故剣を受けたのか
セリアのその疑問を吹き飛ばすように、目の前にいきなり一面の花弁が舞い上がった

「何!?」

そして先程までぶつかり合う重みを感じていた【熱病】が軽くなるのに気付く
行く先を探そうとするも、花弁によって視界が塞がれ相手の位置がつかめない
セリアが振り返ろうとしたとき、首筋にひんやりとした感覚が伝わった
【桎梏】の刀身だ
そして背後に回っていた真夜はセリアに問いかけた

「まだ戦るか?」







「か、勝った……」

誰かの呟きが訓練場に木霊する
俺は一息ついて鞘に【桎梏】を収めた
“春風桜花”が上手く作用してくれたおかげだな
イオとのオーラコントロールの訓練時に開発していた技だが、何しろ扱いが難しく今で発動できる確率が五割の代物だからな

「あ゛ー、疲れた……」

“疾空”の限界使用で脚がもうガクガクだ
仰向けに寝転がった俺のところにヒミカ、ファーレーン
そして遅れてセリアが近付いてきた

「結構思い切りぶん殴っちまったけど、大丈夫か?」
「はい、この程度は」
「ファーレーンは?」
「全く問題ないです」

そりゃよかった、と言うとセリアが一歩前に出てくる

「それで、俺はお前等の信用に足る人物か?」
「……少なくとも、こと戦闘に関しては問題ありません」

ですが、と付け加える

「それと信用とはまた別問題です。それはこれから判断します」
「そうかい」

まあこちらも依存はないし、とりあえずこれでいいだろう
しかし、やっぱり言葉に少しカチンときたので、反撃してやる事にした

「おい」
「何ですか?」
「パンツ見えてグフッ!!」

そして顔面に蹴りを叩き込まれた俺は意識を閉じていった






<おまけ>

「ここは…」

ふとあたりを見回すと知らない部屋の中にいた
えっと……

「確か、訓練所で戦ってて……」

いかん、思いだせん
つーか何かやたら顔が痛いんだけど……
コンコン、とノックの音がして一人の少女が入ってきた
たしか

「ニムントール?」
「あ、起きてたんだ。もう直ぐ夕食だって」

そっか、と言って立ち上がる
ふと気付いて左手を見ると

「傷が、消えてる?」

確か思い切り刀を握ったはずだったんだが
鈍い痛みも今はなくなり、手の平には傷一つ付いてない

「一体……」
「ニムが直してあげたの」



「別に、ニムはそのぐらいの傷大した事ないと思ったんだけど。お姉ちゃんが言うから……」

成る程、グリーンスピリットの回復魔法って奴か
納得した俺は自分より二周り以上は小さい少女の頭を撫でてやった

「さんきゅ、ニム」
「さんきゅ?って!頭撫でるな!あとニムって呼ぶなー!!」
「まあいいじゃねえか。ホレホレホレ」
「撫〜で〜る〜な〜!!」








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<後書き>

第五話「自己紹介をしよう」
なんかまあ、セリアと真夜の仲が悪い悪い(汗
まあこれから次第に互いに信頼していく姿を見ていてやってください

冒頭の詩と、戦闘シーンは自分で言うのもなんですが中々いけてるんじゃないかと(ぇ
面倒だと思わなかったら見てみてください
最後に登場した“春風桜花”は下に記載しておきます


<スキル説明>

春風桜花(しゅんぷうおうか)

刀身にオーラを纏わせ、敵に叩き付ける剣技です。
特性上威力は高く、一撃毎に舞い散る桜の花を模したオーラフォトンが生み出されます。
レベルが低いと、対したダメージは与えられず、撹乱程度にしか使えませんが、成長するにつれて敵を倒すのに十分な威力を発揮します

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