そこは村の少し外れ、子供があっさりと駆け上がれる緩やかな丘 の、緑の絨毯の上に、
一人の男が座っていた。

ーーしかし、このお茶はあっさりしすぎだな……それとも淹れ方が拙 かったか……、

 カップ……見た目からすれば湯飲みだろうが、まぁカップを青空の 下で呷りながら……

 風が運ぶ大地の香り……青臭い草木の香り、近場に水源は無い……が、ほんの僅かな澄んだ水の香り……

 この自然が……生命が満ち溢れ、薫れる匂いに……気分良く浸っていた。




ねぇねぇ、相棒。


ーーどうした?

こんな所で油売っていていいの?

ーーあぁ…別にのんびりしててもいいだろうさ、それに今はシェスタ (午睡)の時間だ。

別に契約者さんはイタリア人ではないじゃないですか。

 笑って、そこから口を開く。

「……昔。スーツをバリッと着こなしてそこに、トレンチ(コー ト)を羽織った姿がとても似合う、陽気な気質だが……、
締 まった伊達男の爺さんが居てね……」


 ふと、何かを懐かしむかのように空を見上げ、

そもそもシェスタの時間じゃない。
                                                                                                                                                                       
「その爺さんの2周忌だよ。……俺の数えた通りならの時間だけ ど。」

 ユーノラの元に預けてある、電源が切れてゴミとなった携帯、その カレ ンダーを最後に見た時を思い出し、
そこから時折数えた通りなら………だ が。


はぁ……


「喪に服し、『爺さん見習って、陽気に供養を致しましょう』 ってね。」

 少々、方言も入った感じのイタリア語で、流れるように詠った。

 まぁ標準的? なイタリア人が聞けば「じっさまみならぇってぇ」とか聞 こえ、ただの日本人なら「外国語?」と、
判るようで訳が分からない呪文に聞こ え、

 そして……


「ウリィ~ ウリィィ~? ラスト、テスハーア?(あ の~ あのぉ~? 大丈夫ですか?)」

「……?」

「ラスト、ウネ、セィン、“ステス”アーン、シミン?(ど こか“痛い”ところはありますか?)」

 何故か目の前に、10歳前の年頃と思われる女の子が、サハドの目 の前に立って心配してくる。

 しかも、“痛い”と言う言葉を強調して言っている……つまりは、 意味合い的な心配の仕方なのだろう……

「…? 俺は大丈夫だけど……どうしてだい? お嬢さん。」

 とりあえず聞いてみる。

「だって、こんなにも気持ちがいい日なのに、おじちゃん変なことを しゃべってるんだもん。」

 ぶっちゃけ、この世界の人にとっては、「ランランルゥ~~~フォ ~~」といった感じの、
妖しい(なまめかしい意味合い)言 葉を吐いていたのだ。

「あぁ……成る程、ちょっとした事だから気にしないでくれるか な。」

 近所の子供なんだろう、微笑んで諭す。

「うんいいよ、でもね。みんな(街の人と言いたいの だろう)の前で 言ったら、頭のおかしい人に見られるから~ね、
やめた方がいいよぉ、おじちゃん。」



 子供の…容赦ない、言葉の暴力が突き刺さる。


そして相棒は 怒りと衝動に流されるまま、少女の体を押さえ、その小さな身体に 欲情をぶつけるのでぇ~あった。

きゃぁぁ助けてぇぇ、おかあぁさぁぁん


ーー“強欲”に“所縁”ちゃんよぉ……

 心の痛みと、呆れた心労によって、ため息が洩れた。



 そのため息は風に流され、イースペリアの大地に消えていった……。



 ふと姿を眩ました彼が、今、その地に立つのはイースペリア王国領の北側の大 地。



 そして、その些細な偶然が訪れが次の物語の始まりであった。



聖ヨト暦329年2月 青二の日の事である。















永遠のア セリア

ラスフォルト



第6章、3話、“イースペリア編…始まり”




願望・・・
求めること・・・それはちからとなる。

善き願いでも、悪しき求めでも。

制約・・・
誓うこと・・・それは力を呼ぶ。

そんな誓いでも、それが純粋な想いならば。

織物・・・
時と運命と想いが紡がれた・・・

織り込まれて物語をかたち作っていく。

略奪・・・
強欲であること・・・それはちからそのもの
他者を蹴落としてまで、生に執着するためのこと。


















聖ヨトの暦が始まる前の事、誰かがある大理論を発表した。



その内容は「マナ総量は一定であり、このままではごく僅かづつだが マナが減少している」と……



 その者の論は世界に受け入られなかった。


 「世迷い事だ」と、「奴は関心欲しさに言っただけさ」と言われ、


 彼の言葉は……


 警鐘に耳を塞ぎ、都合の悪い現実から目を背ける……


 危機感の無い俗人達によって無下にされてきた。


 それはまるで、異なる世界で唱えられた、大気の現象という事実の 如く……






 だが、その投げた小石で、小さくとも波紋は広がった。


 彼の言葉を信じる者達が、僅かながらにではあるが現れたのだ。


 彼の者が唱えた論は、喜劇の話位のものと扱われ、各国へ…各々の 国で図書の棚の詰まれるか
端へと追いやられたは居たが、抹消される事が無かったのだ…


 それが切欠と言える。


 そして、それを偶然にも見たものは、表面を捉えて笑うか、内面を 感じ取り
危機感に身を震わせるかだった。



 誰かが、エーテル技術や永遠神剣を捨てたらどうかと唱えた。

 その者は、次の日には、どこかの全面白い壁に被われた病院に入れ られ、二度と日を
見ることは無かった。


 また、別の誰かが、エーテル技術の代わりになる物を作ろ うとした。

 その者はある国家に金策と参ったが詐欺師扱いされ、日の当たらな い世界へと
逃げる事となった。

 後は色々と述べ切れない程、色々あったが皆、少数派の意見であっ たが為に、実る事は無かった。



 聖ヨトの暦の時代となると、

 次第に彼の者が唱えた論を元に、国家間を危険にする様な行動を
起 こしたりした為
似た行動や発言をする事は、人として
禁句(タブー) となった。

 誰しも、有得るか分らない事に費やして、馬鹿な結果になるより は、 今をより良い生活にした方が
マシだからであり、人々はただ人生を過ごしていった。


 


……だが、聖ヨトも年位経過した頃に、とある物がある事を唱えた。











世界は、永遠神剣によって支配されていると、









 この発言は、屈折した形で一般に広まり、今まで割かし懐柔的な印象であったスピリットの存在に対し
「スピリットの存在自体が危険である」という概念に発展した。

 今まで細々と暮らすか国の監視下に置かれながらも普通に暮らしていたスピリットは国有財産…
つまりは物として扱われ、「スピリットは人間以下」という低い立場に追いやられた。

 無論、それに意を唱え逆らったスピリットも居たが、温厚な関係を築くのが普通のスピリットなのだが、
スピリット同士で戦わせられたり、捕らえられ*見世物にされ処刑されていった。

 *これは散り逝く際のマナへと帰す瞬間に、金色の幻想的な燐光となるのだが、それがあまりにも綺麗な為である。

 そして、その思想は今もまだ止まる事を知らず、拡散し続けている。



 ある者はスピリット達を追い詰めたりもした。


 思想的に押さえつけもしたりした。


 それも駄目だと思う者は、人の身でも彼女達に対抗できるような手段を……と様々な方法を考えた。



擬似的な神剣……


結界……


エトランジェの様な彼女達にとっての外敵を呼び寄せる……



世迷い事の様なのかもしれない、疑心暗鬼が生み出した産物なのかも しれない、

だが、それでも……人は止める事を知らない。

それが人の業であり、人である所以なのかもしれない……




そしてまた、ここにも……


サーギオス帝国領 リーソカの街
帝国軍研究所

 目が痛くなる位、全面白に覆われた部屋に、研究員が数人詰めて機器を操作し、何かを行っていた。

「マナ率安定。FEは……」

 そこに、ドアが開き、帝国軍の軍師服を着た、やや老け気味の将校が現れる。

 それにいち早く気付いた研究員が、自分の席を立ち彼に駆け寄る。

「これはこれは…」

「“聖母”の調整はどうだね。」

 定例句での挨拶をしようとした研究員の言葉を男は質問することで打ち消す。

 まるで、彼が彼等を邪険しているかの如く、

「安定しております。マナ圧も闇の力の循環異常も御座いませんし、質量レベル、数値レベルでの
退化の兆も御座いません。」

 だが、研究員はそんな事気にせず、彼に対し歓迎の対応で説明をし始める。

「……他には?」

 どうせ彼等も、その歓迎は彼が大事な研究に金を落としてくれるからの理由で歓迎しているだけだろう。

「今のところ順調に“変化”を遂げております。」

「では、“聖母”はこのまま続けろ」

「わかりました。」

 そうわかっているからこその態度なのだろう。

「他の事では何かあるか」

「スピリットからマナ結晶への変換も順調です。この前は幼いスピリットから、フェンマロ(バレーボール位の大きさの調度品の事)
の純度の高い結晶を得る事に成功しました。」


 将校は、彼等がそう喜びながら報告している様を他所に自らの思考の世界に沈んでゆく……



 私の目の前で得意そうに語る彼等は、その分野で才能ある者だが、それ以外は殆ど無い、道徳も、義理も
コイツ等は満足の行く研究を出来るのならばどの国にでも下るだろう。

 有体に言えばコイツ等は、研究以外役にも立たない屑共だ。

 幾ら、スピリットが人間より下の存在とはいえ、人の姿形をした存在を切り刻めれるのか?
電極を通して反応を調べ、その変化に嬉々できるのか?

ーー屑め……世が世なら、貴様等のような者なぞ……

 たが、そう考えた所で宥める。

ーー……いいや、例えそうだとしても、彼等は計画の為には必要なのだ。

 人造永遠神剣を生み出し、量産しいづれ来る


 我等が生きるこの世界を……人が生きるこの世界を……

 幼き頃に読んだ予言……

 いや、一冊の書だった……

 それは私が日々抱いていた何かの恐れを埋めてくれるには十分な答えだった……

 永遠神剣を核に世界は動いている……

 その言葉は、わが生涯を根底から揺るがす程の危機感に苛まらさせるには十分過ぎる……

 いや…人生をも変えてしまったからこそ、いま、こうして今を……後の世の憂いを晴らす為に、
生涯をとしているのだ。

 人の世界は人のものであり他の存在が干渉する等という耐え難い事実など……、それを許してはならないのだから。

 

 将官は、思考に限をつけると、腰に抱えたサーベル型の剣を握る。

ーー神剣などに……我等が運命を下されててたまるか……ここはヒトの世界だ……。

 彼が握るはこの研究機関……ヒトの手が作り出した技術の結晶、人造永遠神剣……“造意”

 もっとも、術を行使する為のマナ結晶は指輪に嵌めてある程度の大きさで、そこからしても護身程度の
ものでしかないが、彼の心身を落ち着けさせれるには十分な代物だった。

 何か得体の知れない存在が、この世界に存在し、いずれ牙を向くかもしれない、そのときに……

 もし、そんな危機的状況に陥ってしまって、ただ逃げまとう選択肢しかないよりも、他に選択肢があるというのなら、
そちらを選ぶ努力はするべきであるし、その方が、逃げるしか選択肢の無い者よりも遥かにマシだというものだ。

似た理由で作者、生涯で五本目のナイフを買う

 これが己の過敏な想像だけだったのなら、まだ良いのかも知れない……。

 だが、現実はかくてこうも厳しいものであり。

ーー足掻いてみせる事が……人というものだ。

 その決意を胸に、一息つけると彼の存在を見上げた。

 ……彼等の目の前の水槽……いや、カプセルと言うべきか、その中には……


 身 体の殆どが変化し、神剣と身体が一体化した人……いや、スピリットの姿が いる……


 身体を折り曲げるよう に、そうそれはまるで、胎児が母体の中でい る様な姿勢の姿で浮かんでいる。


 身体は融けだしたよう にぐにゃりとしており、人の姿を取っている ところは少なく、その黒い髪の毛は異様に伸び、異様な生え方となっている。


 そしてその身体に普通 の黒属性の刀より、はるかに長かったその刀 は、“聖母”の身体と溶け合って見る影も無く小さくなって、
刃渡り300mm程度の 長さになってしまった。


 そんなにも無残で…そんなにも歪で…もう人の形に……いや、もう 人とは言えないその姿で…


 ただ眠り続ける。


 その時を今か今かと待ち望むかのように……


ーー醜い筈だ……歪である筈なのだ……


 だが…、不思議な事 に……


 それはあたかも、一つ の芸術品のように、見る者を惹きつける何か を感じる……


「……」

 責任者の男はただ無意に見上げていた。

「正に聖母ですな」

 何故か、それには…聖母と呼んでいい程の何かがあった……

ーー人の意のみを聞く事しかできぬ人造永遠神剣の象徴となる彼女を、この世に遣わす事が出来れば……


ーー今すぐにでなくてもいい……私がその時よりも速く朽果ても構わない……

ーー次の世代……さらには次の世代への希望へとなれば……

 そう誓う……


「………………」


「なッッ………」

 将校は自分の目を疑うように、目を何度も擦ってケースの中の“聖母”を何度も確認する。

「如何致しました?」

 将校のおかしな動きに研究員の一人が声をかける。

「いや…な、なんでもない。……それよりも一つ聞くが、“聖母”は今も生きているのか?」

「……ははっ」

 将校の質問がよほどおかしいのか、研究員は呆然と口を開けて硬直した後……軽く笑って
平静とした顔に戻る。

「何がおかしい。」

 その態度に将校は不機嫌になるのも無理は無いが……

「いえ…、それよりも質問にお答えしますが、“聖母”は計器上ならば、生態反応を示しています。
まぁ、仮死状態にはありますが……」

「……分かる様に言え。」

「単純に明確に答えますと、植物状態ですね。確かに成長はしていますが、我々が培養液による循環と
マナ供給を閉ざせば、あっというまに死んでしまうような微々たる存在です。」

「成る程、それではこれが動き出す事は?」

「自律して行動する事は不可能ですね。まぁ電子反応によって脊髄反射のような動きは稀に見せますが……」

「判った、もういい。」

 将校はその言葉に納得し、研究員を下がらせる。

 疲れていたのだろう、そこにほんの偶然が重なって疑心暗鬼を生み出してしまうところだった……


 ありえはしないのだ…あったとしてもただの偶然なのだ。


 “聖母”が……彼女が……

哂っていたなんて。









イースペリア領、ミネアの街より北東に数キロの地点の村

「ほらほら、おじさ~ん。は~や~く~」

「あ、あぁ……」

 ここは大陸の大まかな地図にも乗らない小さな村、

 サハドはそこへと訪れていた。

ーーまいったな、これではアイツ等の合流が遅くなるな。

 経過した時間と、これから消費されるであろう時間を計算すれば、遅くなる事は確定してしまったようで
溜息も出そうになったが、女の子の笑顔を見ていると心が温まり、

ーーまぁ、たまにはアイツ等を待たせてもいいだろうさ。

 まぁ、何とかなるだろう、と言った気持ちになった。



その頃……

バーンライト王国、首都サモドアより 西に数キロの地点の洞窟


 その入り口付近に数人の人影が見え隠れし洞窟の入り口を出入りしていた。

「哨戒終了、」

 ローブ姿の人が洞窟に入り、ローブを外す、そう誰かに言うと、腰に抱えていた“衝動”も外し、
洞窟の壁にかける。

「…………」

 レネヴァリーは黙って壁に背を向けるように座る。

「…ん…ッッ」

 と、そのまま眼を瞑り眠りに入ろうとしていた。

「……砂時計を三回返したら次はルーファだよ。」

 そういって、黒髪の少女は、座っていた赤い髪の少女に砂時計を放り投げる。

「んで、何であたし達、留守番なの?」

 ルーファと呼ばれた少女は砂時計を受け取ると返して地面に置く、

「ルーファ、痴呆にはまだ早い。」

 彼女たち三人は、主の……サハドの命令に従いここで待機を命じられていた。

「だってぇぇ、いつもみたいに近くに何も無いんだよ。それにソゥ ウネト(主様)が今日は
いつもより遅いし、心配になるんだもん。」

 元々サハド達の旅は、基本的に隠密行動の沿線上で動いているので、堂々とそのままスピリットを連れて道中をのんびり…と、
いう訳には行かない。

 とまぁ、ダーッイー入国の時に起きた問題も踏まえてからの事だが……

 と、まぁ…だからこそ、移動は夕方から日にちが変わるまでの5・6時間の間に動き、朝から昼位まで、隠密性に優れ、
姿を簡単に偽れる、人間であるサハドが主立って偵察に出かける。

 そして午後から、サハドは一度、待機していた彼女たちの元に帰り、その町や村の潜伏場所に案内し、
数日間そこに留まったりするのが基本的な行動である。

「確かに……今回は少々遠い。」

 黒い髪の少女……スフェは洞窟から主が向かったであろう方向を見つめた。

 静かな時間……風がひょーひょーと鳴く音が聞こえるだけの静かな時。



 その時、不意に寝ていた筈のレネヴァリーが慌てて眼を覚まし起き上がる。


「……サハド様が、小さい獲物に毒牙をかけようとして、更に大きな獲物を見つけた様な気がする。」


 そんな直感に慌てて目を覚ましたのだ。

 しかも、冷や汗を全身で流し、手を震わせて。



 そしてぇ~、そんなレネ ヴァリーの直感わぁ……(ウ●ルン風)




イースペリア領、ミネアの街より北東に数キロの地点の村、女の子の家



「どうしたのおじちゃん。入って来ないの?」

「あ、あぁ…」

 何度言っても変わらない呼び方に、反論するのも疲れたのか、サハドは肩を落として敷居を跨ぎ部屋の中に入る。

「おじちゃん、そこで座って待っててね。」

 女の子に黙って従い食卓の椅子に座る。

「やかんにお水を、いれ~て~♪ 種火からあっというまに大きな火~♯~♭~♪」

 女の子が楽しそうに小さい竈に火を付け、台を用意して引き出しから茶葉を取り出す。

「うんしょ…よっと♪」

 少々たどたどしいが、それでも火を扱うところ意外は手際良く行っている。

「葉をもみもみ~、ちっちゃい袋に入れまして、口~を、しばってやさしくポッドに
いれましょお~♪」

 恐らく少女は最近、小さいながらだけでも竈の火を扱わせて貰えるようになったのだろう。

ーー可愛らしいね~

相棒、見境無いな~って思わない?





 まず、半分正解ぃ~(ウ ●ルン風)。





ーー可愛いものを愛でる事に壁は無いさ。

契約者さん。貴方は宗教に準じている者として自覚あります?


ーーひょっとして、お二方。俺がこの子を頂いちゃおうと、そう思ってるのか?

じゃないの?
はい。


「……」

ーーこいつら。

 馬鹿な神剣達の思考に呆れつつ、視線を台所の壁に目を向ける。

ーー……中々の美人さんだこと。

 そこには額縁に飾られた、一枚の似顔絵を印刷で量産されたポスターが誇らしげに飾られている。

ーーアズ…マリャ?

まだ相棒は文字を読むのが苦手なんだね…仕方が無い、仕方が無い、教えて……

アズマリ ア・セイラス・イースペリア、このポスターはこの国の元首の肖像画ですね。

先に言うなよ!!

しかも、絵 を見るに…誇張の類の筆使いを感じません、と、なると自然なタッチで描かれたものを、印刷して大量に出まわせているものと 感じられます。

ーーつまりは、あの似顔絵通りの顔と……

えぇ…

ーーそうか、そうか、




やっぱりもう半分正解… だった ~(ウル●ン風)




「おまたせしました」

「……ほぉ、これは」

 まず鼻腔を刺激したのは香草の効いた香りだった。

 まだ、湯呑み(ティーカップ)に注いでもいないというのに香ってくるのだ、これは中々のものか、それとも……

何、このお料理展開?

ーー稀にはいいだろうよ。

「おかさんがちょうごうした、一番のイスィーイスなの。」

 ゆったりとした動作で注がれてゆく、黄金色がかった液体、

「それは、嬉しいものだな。」

 注がれた湯呑みから卑下たるものは全く持って感じない、ある程度の気品がある香りを感じるだけである。

「頂きます。」

「お砂糖、入れないの?」

「いや、まずはお茶だけの味を楽しむよ。」

 言葉で表すなら、滑らかで艶やかな優しさが、口から咽を通り過ぎていった。

「…………」

「ど、どぉ?」

 女の子はおっかなびっくりとした感じの動作で伺ってくる。

「淹れ方が上手だね、お茶の旨みを生かして淹れれるなんて、そうできるもんじゃない。」

 喜びの意思表示として、嬉しさを含めた笑みを向けてあげると、女の子俯いて顔を赤くする。

ーーうら若き女の子の、ころころ表情が変わる様は、楽しいね~

うわぁ~何気に、トウが立った世代の発言じゃないそれ?

その意見には激しく同意ですね。……遺憾ながら、




 勧められるながらに一杯、また一杯とご馳走になってゆくと、それなりに時間が経過していた。

「ん~ふっふふ~、さて、親御さんが帰ってくるだろうからこれで失礼するよ。」

「え、もう?」

「あぁ…お嬢ちゃんはいいかもしれんが、こんな大きい茶のみ友だちは普通は見かけないからな……
それで驚かれて、お嬢ちゃんに迷惑をかけちゃぁいけねぇからよ。」

「また、あそんでくれる?」

「できたらまた来るよ。まぁ、この御恩はいずれか返させて貰うけどね。」

「いいよ、いいよぉ~」

「気にしない気にしない。お嬢ちゃんが俺をお茶に誘ってくれた事が、好きでした事なら、俺も好きな具合で
恩返しするだけさ。」

 そう言って屈むと、

「…!! んんッッ……」

 サハドは彼女のおでこと頬に口づけし、穏やかに微笑む。

「ウレーシュ……ソゥマセクナマァ」

 そして少女は
おろおろと頬を染めて慌ててしまいさよならの言葉を言う前にサハドを見失ってしまったのであった。

だから~この女好きの阿呆がぁぁぁぁぁぁ

色欲魔退散、色欲魔退散、

ーーこういうレディはエレガンテに扱うのが定石でな。

もしもし~? エレガンテも糞も無いと思うですが~?

ーー僅かな運と転機の読み加減によっては、頂くか頂かないか決める。

そもそも、狙いを付けるとか付けないとかの問題ではないような……

ーーそれで、頂くとしたら繊細な硝子細工を扱うように優しく頂き、 美味しく堪能するのさ。

このぺドフィリア~ン。

ーー俺が? ……失敬な。

いやいや、明らかじゃないですか。

ーー何か、勘違いしていないか?

ねぇ、どうみてもぺドじゃん。

ーーいいか。ペドフィリァという輩はな、初潮前の女性的に未熟な女の子に欲情し手を出す輩の事だ。


新説勃発


ーー俺とは明らかに違うではないか、それに俺は愛する事、愛でる事には差別せんのが信条だ。

原理主義だぁ……とてつもない原理主義の人がいるよぉぉ……

ひぃぃぃぃ~んッッ…


*注意*
全てのムスリムがそうではありません。
というか、それはサハドや特殊な人位です。

 と、サハドが自身原理主義を説いていた頃……


バーンライ ト王国、首都サモドアより西に数キロの地 点の洞窟

「…………まだ?」

 3人はいまだ帰らぬ主を待っていたのであった。



数週間後

イースペリア領 首都イースペリア イースペリア王城 謁見の間

 同盟に属している国の外交使節が部屋から去り、先程まで緊張の面持ちだった国の重鎮も部屋を去り、
女王陛下とその手勢だけになった時。

「……ネス君」

 ふと、陛下が口を開いて隣に立っていた、情報仕官アーネスト・ウィルバーその名を呼ぶ。

「ハッ、陛下、如何致しました?」

「ちょっと……そうね、二時間位、この部屋(謁見の間)から出て行ってもらえるかしら? 勿論、他の者も」

「ッッ!? しかし……」

 アズマリアの不意の言葉に、使いっ……懐刀のアーネストも何時もの糸目が開く程に驚きを露にする。

「大丈夫よ、…えぇ……無理はしないと思うわ、」

「…御意、ですが……」

「信じるのです。女の勘を……。」

「陛下あぁ~、」

 ネスは彼女の眼を見て、頭を掻きつつ乾いた笑いをしながら後ろに下がる。

ーーどうにも、陛下の穏やかな目を見ていると、しっかりしなければならない私なのだが、

「分かりました。我々は控えさせて頂きます。」

ーー「まぁ、何とかなるか」と感じてしまうんだよな。

 それが女王陛下である所以なのだろう……





 こうして玉座の間から、彼女以外、誰も居なくなると、彼女はまた口を開く。

「そろそろ、降りてきて貰いましょうか。その体勢がどう維持されているか、どうも気になって仕方がありません。」

 アズマリア女王が上を見上げた先、玉座の間の天井……

 いや……、そこには、どうやって引力の法則に逆らっているのか分らないが、人が天井に立っていた。

 マント格好にターバンを巻いているという砂漠を旅する人といった感じの謎の人……。


*マントとターバンが多少大きい為か、骨格から性別を判断できない *


「やっと気付いてくれたか。いやーここまでして誰からもツッコミ入れられないで放置プレイされてたら、
貴女方に疑問を呈して……いや、俺泣いてたぞ。」



 そう、立っているのだ。


 何かに捉まっているのでも、張り付いている訳でもなく、垂れ下がっているのでもない。


 『重力など無いのか?』と、誰が見たとしても、ツッコミたい位に立っているのだ。


 しかも器用にローブは下を向いてないで、垂れ下がっているのだ(変な日本語だが、勘弁)。


ーー 一体どうやって……?

 180°身体を回転して、正位置を保ち、ゆっくりと降りてくる。

「よ…っと、」

 中盤辺りの高さになると、何かから解放された・・・・・・解放した、のか、そこから一気に飛び降りた。

「今までの無作法はお詫びしておきます。」

 何事も無かったかのように着地してから、右手を前に振りだし軽くお辞儀すると、礼儀良く挨拶をする。

「我が名はサハド・ザジル・ハミードと申します。以後、お見知りおきを、」

 アズマリアは目の前に対峙して、肌で感じ取るように……分った事がある。

 落ち着いた雰囲気を醸し出している目の前の男性は、その気になれば…自分が人を呼ぶ前に
屠る事の出来る力量の存在であると……。

 そしてマントの影から覗くモノを見て、それが核心となった。

「……人の身にして、永遠神剣の使い手……もしや、」

「お察しの通りです。」

 アズマリアは少し戸惑った。

 普通ならば、自分を危険視させる言い方をするのは、誇張やハッタリの色合いが濃いのだが、目の前に居る男は、
さも当然の如く、なんら違和感無い言い方で自らを肯定したのだ。

 この自信には外面穏やかにしても内面的には面を喰らう。

「そうですか……それよりも、話し合いの場だと言うのに、その顔隠しを外さないのは、何か悪意があるからでしょうか?」

 だとしても、交渉や会見の場では取り乱す訳にも行かぬので、その場を取り繕かせる為に会話を別にもってゆかせる。

「やはり、外さなければならんか。」

 そう言ってエトランジェは後頭部に手を伸ばす

ーーさて、どんな御顔をしているのかしら? 拝見させて貰いましょう。

 ……………

 サハドの顔がターバンから開放され、その姿を現した。

ーー上等。 どの様な暮らしをしたかは知りませんが、死線を潜り抜けた者だけが辿り着ける境地に達していますね。


 儀式と神託による政治だとしても、女王という人の上に立つ仕事をしているのならば、自然と人を見る目が付く、

ーー少なくとも、神剣に呑まれて厄災を運んでくる物では無い……、それならば、彼とのパイプを繋いでおいて損は無い、

「良い眼をしていますね。もちろん…整った顔も。」

ーー見えるものでも、見えないものでも……ね、

「お褒め頂、恐悦至極。」

ーー協力してもらうか……それとも利用してしまおうか……。

 アズマリアはこの時、エトランジェ……サハドをどう扱うか決めかねてた。

「あ…でも、その無精髭だけは、戴けませんね。」

「……しまったな。剃り損ねてた。」

 視線は無精髭を困ったように撫でるエトランジェと向けているが、意識は迷い事を描いている。

ーー困りましたわね。今はあまり動くべき状況ではありませんし……

 現在の諸国の情勢を考えれば、イースペリアを含む同盟勢、サーギオ ス帝国、そしてそれに連なる属国を含めた
帝国サイド、そのどちらにも属さない西方の国々

 そのバランスが3:4:3と上手い具合に成り立っているからこそ現在まで硬直状態が続いてきた。

 それが最近になり度重なる帝国サイドの事件により、3.2:3.5:3.3と、バランスが偏ってしまったが為に、
同盟諸国内にて戦意が向上し、帝国サイドへの攻勢を図るべきだという声が度重なって起きていた。

 そうしてそれを抑えている我国に、伝説の四大神剣の使い手ではなくとも、エトランジェが下に付きようものなら……
考えただけで、頭痛の種となりそうだったので、そこで思考を止めておく。

「そういえば、エトランジェ殿が我が国に如何様で?」

 ふと、この場に意外な人物が訪れた事に疑問を持ったので質問してみる。

 無論、頭の中では依然と算盤を弾き続けている。

「お近くを放浪しておりましたので、そのご挨拶に。」

ーー放浪……という事は、自らが安心して腰を落ち着けられる国があるか品定めという事ですか……

 アズマリアは報告を受けていた為、そう判断した。

 本来、アズマリアはあまり疑い深く無いが、相手が相手なので疑わずには居られない。

 予想とはいえ人の範疇を超える存在と“会話”……いや、一国の王族として“交渉”しているのだ。

 常識の物差しが合わないのも無理は無い。

 例えるなら、外人の体格の良い者(タイ○ージェット○ンとか、ス○ン・ハン○ンとか、)と、通訳無しで
会話や交渉をやろうと同じような事だと想像してもらいたい。

 無論、戦いたいと言うなら行動に移せば楽だが、それでどういう結果になるのはいわずもがなであろう。

「羨ましい。私も国務に追われてなければ、のんびりと放浪したいものですわ。」

 不意と洩らしてしまったその言葉は、半ば本気だった。

「何れ、気兼ね無い世の中になったら、ご一緒に旅でも如何です?」

 そんなエトランジェの自然な気遣いに、彼女は呆気にとられたがすぐさま平静を保つが、表情には穏やかさが残る。

「一国を放り捨てて旅に出るなんて」

「適当に代わりを立てて、平然と旅に出れば問題は無いだろ。無能の集まりじゃあるまいし。」

 何気なく、酷い様な一言……が、

「………」

 彼女は怒る訳でもなく、たた呆然とした。

「………フッ

「………フッ

 いつの間にか、互いに軽く笑い合う。



「……そうですわね、今度の四の日、お暇でしょうか?」

「あぁ……急ぎ旅でもないしね。暇だよ。」

 それは本気で旅に出ることではないと分かってはいるが、互いに野暮な事は発しない。

「それでは、お会い致しませんか。この国に寄られた方に、この国を案内して差し上げますわ。」

「…んん~っ、楽しみだ。宿は城下町に取ってあるから、詳しい連絡を入れたいなら、そこに寄越してくれ。」

 懐から宿の住所を書き綴ったメモを手渡しするサハド

「分りました。間者を遣わせます。」

 それをアズマリアは確かに受け取る。

「楽しみにしているよ。……それでは。」

 サハドはそう挨拶し、天井に幾本の銀色の糸を飛ばし、天井の装飾の部分に引っ付け、

「え? ええ!!」

 アズマリアもそれには驚きの声を上げた。

 サハドはそれに引っ張られる様に一気に天井まで上がり、

「また。」

 天井の装飾に次々と指で掴んで移動し、部屋の端まで行くと、姿を消す、

「………」

 比喩ではなく、本当に消えたのか、はてまた物陰に隠れて一目散に去っていったのか……

「相手にしたくないものですね。」

 緊張が解けたのか、ほっと胸を撫でおろす

「やれやれ……」

 落ち着きを取り戻し、穏やかな表情を作ると、

「帝国と共和国に腰を抜かせたという逸話……本当みたいね。」

 思わず、そう独り言をつぶやき、溜息を吐く。

 この私を女王とさえた、女王たる所以の力……“先見”その力が、彼の者と巡り合う事を事前に予知した。

 だからこそ、余計な混乱を招く前に人払いを命じて、単身一人で会見に臨んだ。

 それがこの国のもてなしの精神でもあるし、何より興味があった。

 万象を利益へと持ち込もうとする、デオドガンの商魂の塊である妖怪爺達が、いとも簡単に手放したと言う
エトランジェの存在に……



 出て来たのはこれまた色々とやり難い相手だと……


 そう理解した。




 ふと、問題が生じた。

 エトランジェと臨んだ会見は、話が上手くいったからか、予定した時間の半分で済んでしまった。

 まぁ、それはいい。

 が、誰かを呼ぼうにも全員が外に出たし、大声を出して呼ぶのは面倒……そもそも柄ではない。

 だからといって、一国のお姫様←(女王だが、若く居たい為)が歩いて従者を呼びに行くの も何だ……変だ。

「ネス……スロフスング?」

 使いっ走りを呼んでも来ない。

 気を使って遠くに離れたつもりだったのだろうが、

 こうなってはやりすぎだ……

ーーいずれ、あの前髪を焼き払ってやるわ……。

 本人がすぐさま焼かれている事に気付かない仕掛けが無いものか考える……が、
今は不毛なので中断する。


 それにしても……

「どうしよう」

 そう口に漏らす、国務の書類を片付けている時は、暇が買えるなら買いたいと切に願ってはいたが、
いざ、こう暇となると落ち着かない。

ーーまさしく、貧乏人根性ね……馬車馬といい勝負だわ。



 陛下の多忙? な日々は続くのであった……



あとがき
「『元に訪れた→仲間になる。』なんて使い古された ネタ など使いは致しやせん。」と有言実行してみた
ぬへで御座います。

最近、煙草を嗜む人間にとって肩身が狭いどころか、一時代のある人種への差別のように厳しくなってきました。

 もう、煙草を銜えながら散歩をするという楽しみは犯罪なのでしょうか?

 ついでに、私の愛用の煙草、BEV●Lはどうにも都内の自販機やコンビニでは早々には早々売っていないという
深刻な悩みです。

 まぁ、ニコ中ではないので耐える事は出来ますというか、無くても平気ですけどね。

今回の話。
 はい、イースペリア編で御座います。
 陛下いいですね陛下このまま愛いキャラで行きたいと思います。
 それと、陛下の懐刀ネス君を……Wilpha-Rangさんの“人剣”からお借りさせて頂きました。
もっとも、ぬへ的表現を加えて出してみましたがイメージに疾風の閣下が付いてしまった為に、
それに近いような……結果に。
 このままサハドを早々とイースペリア所属していいのか悩み所でございますが……
今後の展開に乞う期待あれ。

人物紹介

アズマリア・セイラス・イースペリア CV:かわしまりの


分類:人間
一人称:私(わたし)
容姿:肌の色は白色で、髪は
艶やかな黒髪のロングヘ アー、紫水晶のように澄んだ瞳で、睨まれると、
何かこう・・・…逆らえないものがある。

物腰からして“知的美人”の称号を奉げたい。
本人曰く「もう少し身 長があれば……」とのこと

身長:161
体重:46
B82、W57、H83


備考
 イースペリア国の女王、選定制によって14年前に女王に任命された。
精神性的には理性的外向型で丁寧かつ友愛であり聡明、現実的な理想家と言われるほど名君だが、
それはそれで本当の事だが、それは外面である。
女王気質の気があり、ストレスをそれで晴らしている。
最も、対象に対し、間接的に恥辱プレイを行う事を好む為か、周りからは「女王の周りには変な人多いのね。気苦労が
絶えないでしょうに」と思われているので簡単にはバレない。
 彼女は数人の師の教えにより、攻守にバランスのとれた優れた用兵家でもある。
彼女の師の一人は「戦場に立てば理想的な名将」と述べている。能力の高さは賞賛するが創造性に欠け、奇策相手には
生き残れるかもしれないが、奇策には勝てないと評されている。
アーネスト曰く「攻勢よりも、しゅせいの三意(守勢、守成、守政)の人ですから」と

台詞:
「さぁ、どうします? この場は矛を収め、これからを見据えつつ禍根を払うか、それとも面子を取って、

我がイースペリアと袂を別ちますか。」

「あぁぁぁ~~いい。実に素敵よ。」




アーネスト・ウィルバー CV:河之辺 淑夜(あるあるの天の声とか、疾風とか、ザビ家の坊やとか……)


分類:人間
一人称:私(わたし)、小生、
容姿:金髪碧眼。糸のような細目
愛称:ネス、ねこくん

身長:174cm
体重:65kg

武:2 暗殺術等に関しては人並みより上だが、今まで出てきたラス フォルトの面子
からしてみれば一般人あがりの印象が強い
知:3 純真無垢だった少女アズマリアに、駆け引きや知略を教えた 教師の一人……が、
最近では女王に超えられてしまったのでは? 感を感じている。
計:4 奇策を用いる事が多く、この手の事では有能。

備考
 イースペリア情報部所属の情報士官、アズマリア女王の使いっぱ、 懐刀の器はあるのだが、
アズマリアの“お使い”で猫の仮装(萌えの無い、四季の猫達に限りなく近い衣装)をして
任務に尽いたのがケチの付き始め。
 それが彼の「ねこくん」と呼ばれる所以……鹿の格好もよくされた事から、何かすると「ねこさん自重」
と良く言われる。
 愛妻家で、妻が妊娠した事を知り、イースペリア初の産休と、育児休暇を取ろうと画策する。
今作品で一番の忠義者として名を連ねる事は間違いない……
 此度、エトランジェサハドが訪れた事は天啓と確信する。


「エトランジェの大馬鹿野郎!!」
「欧米では男性が家族の為に育児休暇を取ることはよくある事である。」