夜の暗闇の中、上弦の月明かりを頼りに、レネヴァリーを肩に担ぎ俺はここまで歩いていた。

あ、そうそう、ちなみに相棒と妖精はあの後。洞窟から出て元の現場に戻ったら
荷物集めて、そのまま歩き出して、昼夜を繰り返して、今に至るんだよ。

ーー誰に…話して……いるんだ?

僕の声が、聞こえる存在に対してだよ~相棒♪。

 目指すは目の前の、蜃気楼か本物かは分からない街。

 ここまで互いに蓄えていた水も底を尽き、齧っている根っ子からは水分を感じない。

ーーこれだったら……、もうちょっと……コイツで…楽しむべきだったか………。

 サハドは横から、担がれているレネヴァリーを見るが、レネヴァリーの目は虚ろで唇はかさかさに乾いていた。

ーー軽い……脱水症状か………こんなになっている奴を犯っても……、つまらねぇしな……。

 目の前に向き直ろうとすると、突如、目の前が暗闇に染まる。

ーーな…ん……だ…と…………。

 遂には、サハド自身もダウンしてしまった。

ーーば………か……な…。

 彼自身の経験上、まだ動ける範囲内だったのだが、彼の予想とは裏腹に、現実は甚く厳しかった。



 その日、デオドガン所属のキャラバンがデオドガン付近の砂漠で一人の遭難者と
一人のスピリットを捕獲。

 双方がマロリガン共和国かサーギオス帝国の者なのか所在が不明な為、組合の警備団が
所有する留置所に拘留する事に決定、

そして僕はマナの気配を完全に消して、相棒の所有していたただのナイフに
成りすます事にしましたとさ。





永遠のアセリア

ラスフォルト



第3章、1話目、囚われし運命って事で……





願望・・・
求めること・・・それはちからとなる。

善き願いでも、悪しき求めでも。

制約・・・
誓うこと・・・それは力を呼ぶ。

そんな誓いでも、それが純粋な想いならば。

織物・・・
時と運命と想いが紡がれた・・・

織り込まれて物語をかたち作っていく。

略奪・・・
強欲であること・・・それはちからそのもの
他者を蹴落としてまで、生に執着するためのこと。




デオドガン 警備団、詰合所 牢屋。

 ぼやけた感覚の状態から目が覚めた。

 目を開けるとそこは薄暗い石畳の地面で、身体はその床に横たわっているようである。

「うっ・・・あぁ~……だりぃ~」

 身体中が鉛で出来ているのでは? と、いうくらいに重い、ついでに石畳の床は冷たく横に
なっている為、頬は冷たい。

 そして………自分の両手が、後ろで“縛られている”と言う事に気付いた。

ーーあっちゃ~、捕まっちまった、って事か……。

 当の俺は、至って冷静でいる。

ーー俺を拘束しているのは後手に掬ばれた縄だけで……牢は……。

 慌てても解決策は出て来ないものなので。

 俺は身体を動かして、器用に立っと、目線を180度回して周りの状況を確認する。

ーー壁と床は石を積み上げたもので、通路側には木を杭のように埋め込んで柵みたいに
なっている、か……。

 鉄とコンクリートではなく石と木材で使われた留置所と言ったところだろう。

ーーまぁ、柵代りの木の堅さは尋常じゃねぇな。

 軽く策の部分を蹴って見るが、想像よりも堅いと判断できる。

ーー木に何か塗っているのか? それだとしてもこの硬さは………。

「おい!! 何をしている!!」

 硬さに疑問を持ちすぎて蹴りすぎていたのが仇となったのか、見張りの兵に気付かれてしまった。

ーー流石、“強欲”の翻訳能力、よく分かるぜ。

 “強欲”に与えられた力の一つである翻訳能力のお陰か、意味の分からない語源の言葉を
聞いているのに意味が分かる。

「別に……。」

 恐らくたどたどしい言葉になっているだろうが、一応相手に伝えた。

 何かに納得すると、部屋の隅っこの壁に、よっかかるようにして座り落ち着く。

 そんな様子に、見張りの人間が何かを思い出したようで、慌ててその場を立ち去る。

ーーしかし……調子が悪いよなぁ、病喰らった時、以来か………

 また、目蓋が重くなって沈んできた。

ーー今は、まだ、休むか……。



デオドガン ザレントール邸

 デオドガンの街の一角に、デオドガン商業組合のキャラバン隊長、フッシ・ザレントール
の邸宅がそこにあった。

 そしてそこに、顔中に髭を蓄えた屈強な大男が、床に座って湯飲み片手に馬乳酒を煽っている。

 彼の名は、この家の主でもあるフッシ・ザレントール。

 そんな彼は、癖のある者揃いのデオドガン商業組合のキャラバン隊の隊長である。

 そんな彼が、珍しく、何時もの調子とは違った気分で酒を呷っていた。

ーー訳が分からんな。…………まったく。

 その原因は、数日前に仕事帰りのキャラバンの仲間が拾った、二人だった。

ーー我々の文化とは違う服装の男と、本当はこの国で処刑されるべきであった鬼子が寄り添って
拾われる………か。

 フッシは最初、その部下の報告を聞いた時耳を疑った。

 キャラバンが使う街道を使わずして、普通の人間がこの砂漠を生き残ることは不可能、それが
常識である。

 そう…それが、常識なのだが。

「在る筈が……ない……ないのだ。」

 だが、現に連れて来られた時には驚いた。

 それも、脱水症状を起こしていらが、スピリットと不可思議な格好の男なのだから。

ーーいったいどうやって?

 もし……アレが伝説にあるエトランジェというのならば………いやいや。

 フッシの疑問は半ば当たっていた。

 だが…それでも、フッシの疑問は終わってはいない。

 彼が、エトランジェであるか否かなのは置いておくとしても、あの鬼子(レネヴァリー)が何故、
普通の人間とともにして居られるのか?

 そういってフッシは手元にあった資料に再び目を通す、その資料には“鬼子”についての
情報が書き綴られていた。



 その頃、サハドとは違った牢屋では、永遠神剣を没収され、牢屋内に張り付けにされる様に
レネヴァリーが拘留されていた。

 サハドの牢と違い、レネヴァリーの牢は厳重な作りになっており、彼女一人に対して大げさ
過ぎるのではないのだろうかと言わんばかりである。

 …………………………………………………………………………………………・・・…

 そんな中、彼女……レネヴァリーが目を覚ました、その目は眠気眼で虚ろであるが、
確かに目は覚ましていた。

ーーこ…こ…は?

 レネヴァリーは不思議に思った。

ーー何処?

 そこは明らかに自分が気絶する前に見た光景と明らかに違う光景辺りを見回す、
尤も、拘束されているから首が動いて見える分の世界しか見れないのだが………

「………動けない……。」

 手枷と鎖につながれて、手が上に上げたまま動かず、首は首輪と鎖に繋がれその先には
黒々とし傷が目立つ鉄球に鎖が繋がっていた。

 見たままに言えば、鎖と手枷で万歳させられ、首輪に繋がった鎖の長さで調整されて
鉄球の重さから首が肩の高さより下になって、座らされていると言う酷い格好になっていた。

ーーふざけッッ…糞ッッ!! 殺してやる、絶対にコロシテヤル

 レネヴァリィは自分自身に起こった不遇に憤怒し、有りっ丈の呪詛を吐いていた。

「ソサレク、ソサレク、ソサレク、ソサレク、ソサレク、ソサレク、ソサレク、ソサレク、
ソサレク、ソサレク、ソサレク、ソサレク、ソサレク、ソサレク、ソサレク、ソサレク、」

 誰に対してか、誰が原因かは分からずとしても…………。

 繋がりに使われている鎖がジャラジャラと音を立てる…、レネヴァリーの精神で燃え盛る
怨嗟の炎を音に現しているかのように聞える。

 ジャラジャラと、ジャラジャラと、静まり返った牢屋内を鎖の音だけがその場を支配していた。



同時刻、牢屋 サハドの牢、

 サハドは不意に眠気から覚めた。

ジャラ……ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…

「う、うぅぅんッッッ、?…?」

ジャラ……ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…

 いや……正確には、起こされたと言った方がいいのかも知れない、

ジャラ……ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ガッッ…

 サハドの耳には先程から、何かの金属が擦れる音が聞えてくる。

ーー………苛々するな。

 その音には流石にサハドも気分を悪くする。

ジャラ……ガッッ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ガッッ…ジャラ…

 眠気で薄れていた意識もハッキリと起きてしまい、サハドは次第と怒りを募らせてゆく。

ジャラ……ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…

『喧しい!! こっちは捕まって寝る事しか出来ねぇんだ!! 黙ってろ!!』

 サハドは寝惚けていた為か、聖ヨト語でも日本語でもない、イスラム圏で使われる言葉で
怒鳴った。



同時刻、牢屋 レネヴァリィの牢、

 レネヴァリィはブツブツと、呪詛めいた呪文もとい、独り言を呟きながら鎖を弄っていた。

ジャラ…ジャラ……ジャラ…ガッッ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ…

 そして、鎖を弄っている一定の合間に引きちぎろうと引っ張っていたのだが・・・

ジャラ…ジャラ……ジャラ…ジャラ…『ヾΠΦ!! ийЯЧφл£!! σνжб!!』

 突如、牢屋内に翻訳不可能な叫び声が響いた。

「な…何?」

 流石に、レネヴァリィも動かし続けていた手の動きを止める。



同時刻、牢屋 サハドの牢、

 ようやく、音が鳴り止んだ様でサハドはのんびりとしながら再び目を…………

ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ……ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…

 閉じようとしたのだが、再び聞えてきた擦れる音にまたもや邪魔された。

ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ……ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…

 バキッッ

ーーほぅ#………。

 何かがはちきれる音と共に、手元の辺りが自由になる、手元の異変に腕を動かしてみると
左手が左前方に“在った”、

「……………あ………取れた、」

ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ……ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…

その事実に身を起こしてみるともう片方の腕も左手と同じ位置に“在る”。

ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ……ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…

 まぁ…簡単に言えば縄が切れて後に回されていた拘束が解け両手が自由になっただけなのだが……

ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ……ジャラ……ジャラ…ジャラ…ジャラ…

「~♪」

ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ……ガッッ……ジャラ……ジャラ…ジャラ…

「強欲、」

 掌の、何も無い空間から、掌より小さい黒い狭間が出現すると、そこから黒い糸が瞬時に
幾束も飛び出し……、形成され……、

 そして………、そこには“強欲”の頼もしい刀身が形成される。

呼んだかい? 相棒。

ーー応よ、相棒。力を借りるぜ……、無条件で。

構わないよ。

 身体に力が漲るのがしみじみと実感できる、“強欲”を懐にしまい、無作法に牢を蹴り破る。

「脱出成功~っと。」

 蹴り飛ばされて外れたドアの部分から、サハドは悠々と出る。

 衝撃か、破片で頭を打ったのか?衛兵がドアの前で一人倒れていた。

ジャラ…ジャラ…ジャラ…ジャラ……ガッッ……ガッッ……ジャラ……ジャラ……

ーー喧しいんじゃ……。

 不快感にシワを寄せ、サハドは喧しい金属音を頼りに牢屋内を歩いてゆく。



「それは本当なのだろうな。」

 フッシは早歩きで歩きながら、留置所の入り口を開け、入ってきた。

「はい、間違いありません、砂漠で意識を失っていた男が目を覚ましました。」

 先程、サハドが起きた事を確認した衛兵はフッシにその事を報告しフッシと共に牢屋に戻ってきた。



 サハドは牢屋内を歩いていた。

 その背中に、澱んだ空気を纏わせながら……。

到着~♪

 そして、ようやく喧しい音のする部屋の前に辿り着いた。

ジャラ…ジャラ…ジャラ……ガッッ……ジャラ…ジャラ……ガッッ……ジャラ…ジャラ……ガッッ……

ーー人の休んでいる所を邪魔しやがって、

 懐から“強欲”を静かに抜くと、いきなり牢の鍵穴に向かって“強欲”の刃先を突き刺した。

ジャラ…ジャラ……ガッッ……ジャラ…………………

 無意識の内に“強欲”の刃にオーラフォトンが纏われ、その勢いで鍵穴が派手に破壊された。

「お~お~至近距離でリボルバーをブッ放したみたいだなぁ。」

ふざけるな~~!!

ーーどうした相棒、そんなに慌てて。

君がそんな危険な事をするからだろ!!

 扉の取っ手を握って軽く右に左に動かす、その動作でサハドは開いたと満足する。

咄嗟に僕が君を介してオーラを発しなかったら、僕の身体が折れてたぞ、

ーー荒療治って以外と上手くいくんだよ。

そして、そのまま扉を開ける、

確信犯だな、絶対、僕がやるって確信してただろぉぉぉぉぉ!!!

「手前ぇ……さっきから五月蝿いんだよ。」

……!!?……この悪魔 この刃殺しィィィ

 サハドの目の前に居た牢屋の住人は目を見開いた。

「ソ…ソウ、サハド?」

 そこで、鎖に繋がれ壁に張り付けられているレネヴァリーの姿を見つけた。

「意外な奴発見~………おぉ、おぉ~絶景かな、絶景かな、」

 どこか儚さを兼ね備えた彫刻の様なレネヴァリーの姿に、サハドはそそるものを感じた。


 そして、そんなサハドを見つめてたレネヴァリーは、その姿に、救いの神を見重ねた。

「それにしてもお前、ここいらで何をしたんだ? 」

 どこからか入手したのか分からないが、サハドは懐から皮袋の水筒を取り出し、
それに口を付け軽く喉を潤す。

「特にこれと言って、覚えはございませんが。」

「それにしちゃぁ、厳重すぎるだろ。余程の事をやらかさなけりゃ、ここまでされんぞ。」

「そうですかね?」

 ふと、前に「試しただけです。
」とレネヴァリーが言っていたのを思い出した。

ーー成る程。と言う事は……コイツ“試し”と称して色々殺っているな……。

「………まぁ、程々にしておけよ。」

 レネヴァリーの拘束を“強欲”で斬り外す。

 これで、レネヴァリーを束縛する物は無くなった。

「助かりました。」

 身体が自由になりレネヴァリーは起き上がる。

「気にするな。それよりも俺は眠い、寝るからな。」

 そう言ってサハドは“強欲”を懐に隠す様にしまい、上着を部屋のベットの上に敷いて、その上に寝る。

「えっ!? えっえっえぇ~!!??」

 レネヴァリーが、驚いてうろたえているのも無視して、サハドは本能の赴くまま寝る。

「サハド様、そんなつれない事を言わないで下さいよ~。」

「喧しい邪魔が入ってくるまで寝かせろ。俺は寝るべきなんだ………。」

 そこでサハドは、眠りの世界に段々と浸ってゆく………。

「おい! 起きろ!」

 筈だったのだが、嫌な印象を受ける声に邪魔され、彼は再び目を覚ました。 

声を掛けたのはドア(元)のある場所に立っているよ

 その目を開けて、ドアの方を見てみれば、喧しそうな奴が入ってくる。

「…………」

 サハドを起こそうとしたレネヴァリーも、手の動きを止め、冷ややかな目で来訪者を迎える。

 尤も迎える気は更々無い様だが。

ーーってコイツ、俺の水飲もうとしやがって………。

 呷っていた途中で引っ込めたのかよく分かるように、皮袋の水筒がレネヴァリー右手に握られてたままである。

ーー良し、後で弄っておこう。

「あぁぁん? 何か用か?」

「隊長がお呼びだ、来て貰おう。」

「後でもいいだろ。今は無性に寝たい気分なんだ。」

 さも、眠たいんだ、と言わんばかりに欠伸をし、うつろ眼でそう言うが。

「いい訳無いだろ!!」

 相手の怒鳴り声で却下された。

「………これ以上は無駄だろう。私が話そう」

 そう言って、後ろから話している男より遥かに丈夫そうで、
屈強な大男が出てきた。

「し、しかし、隊長が自ら……」

 その男のがたいは大きく、顔は髭を蓄え、雄ライオンの印象を受ける


「組合の古参達が、速く知りたいとせがんで来ているんだ。答えてやらんといかんだろ。」

「首領のお出ましですか。」

「ほぅ……。微妙に訛りがあるが………喋れるようだな。」

「えぇ……。」

 部屋の真ん中に男が立つと目線を合わせ、質問を投げかける。

「それでは話が早い。単刀直入に聞くがお前は何だ? どこから来た。
マロリガンか? 帝国か?

「さぁ…? 俺も良くも覚えていないんだけどね。」

あれ? 言わないの!? 記憶を失っている訳でも無いのに。

ーーどう見ても、感じても、ここは別の世界だしな。帰り方も知らないし、ここは様子見を兼ねて、
全てを忘れてしまった事にする。

「では、知っている事だけでも喋って貰おうか。」

ーー何より、「僕は違う世界から来たんです~って答えて、」、イタイ人を見る目で見られるのは
嫌だからな。

わぁ~、賢い~…………ズルイ方だけど

「気付いたら砂漠のど真ん中に居てさ。どうしてこんな所に居るのかさえ分からないわ、起きる前の
記憶が無いわって困っててさ、自分が誰だか分かんないし、何でこんな所に居るのかも不思議で
仕方が無かったのよ。」

ーーまぁ、これは事実だな。

「それで散々悩んだ挙句、砂漠の真ん中にただ突っ立ってる訳にもいかないし、とりあえず
水を求めようと、探しに動いたら彷徨って死に掛けてさ。」

結構、しぶとく生きたみたいだね。

 強欲は俺の記憶を覗いているのだろう、素直に感想を溢す。

「それで砂漠を歩いていた二人に助けられて水を貰っていたら、今度はその二人が連れていた
アイツに襲われてさ。」

 そういって顎をしゃくってレネヴァリーを指す。

………あれ? あれって……確か……

 成る程と、フッシは納得する。

 だが、彼としては、サハドが何故レネヴァリーと一緒に居て無事なのか疑問に思っている。

 そして、サハドもその考えを見越しているのか、再び答え始める。

「必死に抵抗して足掻いてたら、コイツが根負けしてダウンしてね。そこをうまく抑えたって訳。」

「それだけでは、従えられている訳が無いと思うのだが、」

 確かに、弱って捕まったからといって、相手が大人しくしている、といったら大間違いである。

「あぁ……。弱まっていた所を、とことん犯って仕込んだよ。今じゃこの通り。」

 レネヴァリーはサハドの首に手を通し捉まりながら、さながら猫の様に抱きついていた。

「つまり、この“鬼子”は、お前の僕だと言いたいのか?」

 フッシは驚きながらも、サハドに再確認する。

                                       しもべ

「確かに、不本意だがコイツは俺の僕だ、」

 その言葉にレネヴァリーは、とっても不機嫌な顔をし、サハドの背中を叩く。

「とても信じられないな。この“鬼子”は幾つかのキャラバンを襲撃し、多くの命を奪っている。」

ーー成る程……結構、突っ走ってるな~。

「だが、コイツは俺が言い聞かせてあるから。言付けを聞くし、俺の命無ければ無闇に、
手は出さないぞ。」

 レネヴァリーも同意しているのか、その顎でサハドの肩を叩く(相槌をうっている)。

「成る程、………躾はしてあるから大丈夫と言いたいのかね。君にはその様な力は無いと感じるが。」

「だが、現に従えているんだけど。」

「いつまでも強い者が弱いものに従うと思わんがね。」

 それは、フッシの言う通りであった。

 この世界では、確かにスピリットが人間を襲うという事を禁忌としており人を襲う事はしないが、
レネヴァリーの場合は、先のフッシの言葉の通り、人を殺す事に躊躇いは無いのだ。

 それはつまり、強くなければ彼女と出会ったら最後、生きるも死ぬも彼女次第となってしまうのである。

 そんな彼女に何となく生かされているのなら兎も角、従わせていると言うのだから、疑われても
何等おかしくはない。

 例外はあるのだが、フッシは普通に、“その考え(例外)は無い”と言う前提で話をしている。

「じゃぁ、どうしろと?」

「そこでだ、貴様には試練を受けて貰おう。」

「成る程。」

ーーグダグダ言い合うよりは、シンプルでいい。

おやおや、展開が面白くなってきましたよ~♪

ーーコイツ!! 何かムカつく。



 彼の意思とは関係無く、彼を取り巻く運命は斜め45度を全力で突っ走ってゆく。



 あたかも、それは一つの喜劇の様に………。



次回、ボク、死ぬ。 だよ~乞うご期待!!(嘘)

ーー勝手に殺すな!!









サハドの受難は続く。









あとがき?
お久し振りです。

読んで頂いた皆々様、どうも。ぬへで御座います。 

近頃は、モノを発売延期をする組織が多くて、ソレに対し深い苛立ちを覚えております。

「延期はしても、せめて2週間でしょ! それが何!? 発売日未定って。後半年でも伸ばす気か!」

 こんな愚痴が幾らでも零れてしまっています。

今回は特に熱く語るものはありませんね。



前回にも負けないドス黒い光景を軽くお送りしてしまいましたが、別に他意は御座いません(本当に)。


永遠神剣・第9位 【強欲】
全長 : 325mm
刃長 : 175mm
刃厚 : 6.4mm

外見的には:ブラックコーティングされたタントースタイルの分厚いブレードで、ブレードバックに刻まれた
イカツいセレーション、ボリュームのある、ハンドルが荒々しいデザインのナイフ
(アメリカとかのユーザが好む様なデザイン)。

 エトランジュであるサハド(佐杷)の所有する剣で、エトランジュが持つべきである永遠神剣にしては
かなりの下級の位であるが、使い手であるサハドの使い方が出来ている為か、意外と戦えている。



 神剣の精神として“強欲”は、幼い印象を受け、快楽依存主義と見られるのだが、
実際のところ何十周期も生きている最古クラスの永遠神剣なので、とっても狡猾。

 何故、ファンタスマゴリテに流れ付いたのかは分からないが、彼は、自身の本来の姿に戻る為に
マナを求める。


新しき契約者の剣となり……。