言葉についてふと疑問(一応、完結編)




「やあっ!!」「でりゃあぁぁっ!!!」
「・・甘いです!」

ブン!ブゥン!! ガキイィィン!!!

かつてラキオスで1,2と言われた、その時すら比較にならない速さをもつ”永遠のアセリア”の剣を難なくかわし、
エトランジェであった時以上の威力をもつ”聖賢者ユウト”の剣を無造作に扇で受け止める”時詠のトキミ”。

「やはり通じない・・・」「くっ、二人がかりでもダメか!・・・」
「・・では続いて、防御の特訓といたしましょう。ユウトさん、行きますよ。」
「なっ!!ちょっと待て!!!」

急いでオーラフォトンのバリアを張るユウト。それが完成するかしないかというタイミングで、

「・・タイム・アクセラレイト・・・」

ビシシ、ズギャン!!!
「くぁっ!!」

かろうじて間に合ったオーラフォトンのバリアに、オーラフォトンを纏った扇の攻撃がとてつもない速さではいる。その数4発。
最初の3発は威力こそそれほどでもないが(・・といっても並みのスピリットが喰らって生き残れるかのレベル)、音だけ聴けば一撃と
聴き間違えるほどに速く、
最後の一撃は速度こそ前の3発に劣るが(それでも並みのスピリットでは見えないだろう・・)、とてつもない威力であった。
実際3発目まで何とかしのいだと言ったレベルのユウトが即座に作り上げたオーラフォトン・バリアは、最後の一撃でほとんど砕かれた。
それでも靴のかかとの一部が固めの土に埋まっている程度で、体自体に大きな傷はなく、何とか凌いだといえるだろうが、
「・・はぁ、まだまだですね。・・・もし私が寸止めしなかったら、ユウトさん大怪我してますよ。」
ということらしい・・


 永遠神剣第3位’時詠’ならびに’時果’より高位の第2位である’聖賢’。
同じ第3位ではあるが、そのポテンシャルは第2位に匹敵あるいは凌駕するとも言われる’永遠’。
・・だがしかし、扱い手がそれを引き出せなければ「宝の持ち腐れ」であり、このような無様な結果が生じる。

・・・つまりこれは、ユウトとアセリアがエターナルになったばかりの話・・・。


「さて、今日の訓練はとりあえずここまでにしましょうか。」
「ちょっと待て!・・トキミ、おまえは’時詠’を使って未来予測をしているんだろう!?」
「もちろんです。これが私の剣の能力(ちから)なのですから。」
何をいまさらと言った感じで答えるトキミに対し、成り立てエターナルである二人は納得がいかない表情でほぼ同時に、
「・・それって、どんな攻撃も通じないって事じゃないのか・・?」「・・トキミ、・・ちょっと卑怯・・・。」
「卑怯はないでしょ! 卑怯は!」
卑怯といわれてちょっとむっと来た時深だが、すぐに落ち着いて2人の若きエターナルに諭すようにいった。

「いいですか。たしかに今の悠人さんたちにはほとんど反則のような力に見えるかもしれません。・・ですが私を倒す
 方法が無いわけではもちろんありません。」
「まず一つは私と同質の力、つまり時を操る、見るといった類の能力で対抗すること。こうなると後は単なるその力比べです。」
「・・そんなの持ってないから無理じゃないか。」
悠人がすねたように言う。この辺の態度は場合によっては相手の反感を買うのだが、こと時深に関しては「かわいい」部類に入るらしく、
少し微笑んだようになる。
「そうですね。私も’聖賢’の能力全てを知っているわけではありませんが、確かにそういう可能性も高いですね。」
(’永遠’もそうかはさらに不明ですが・・)
などとなんとなく感じ、考えながら時深は講釈を続ける。
「もしそれでも方法はあります。私は時の先、つまり相手が次にする攻撃といったものを読めるわけですが、全ての未来を読んでいる
 わけではないということです。」
「・・どういうこと?」
文字通り’永遠者’となっても変わらない口調でアセリアは尋ねた。
「・・前に悠人さんには少し言ったことですが、時を読むのには力を使います。遠い時間であれば尚のこと。さらにその事象を見れても
 記憶するのはあくまで私の頭ですから限界があります。そこに無理に情報を流すと帰って悪影響・・下手すると取り返しのつかない
 事態になりかねません・・・」
「・・ですから、私は未来を読むときは基本的になるべく近い時間のみを、戦いに関して言えば相手の次の攻撃が何かを読む程度で
 あえて留めるのです。」
「その相手の攻撃を読めるってことをさっきから言ってるんじゃないか」
彼女の言わんとすることに全然気付いていない不出来な教え子に、小さく溜息をついて彼女は続けた。
「はぁ、ここまで言ってもわからないとは・・ いいですか悠人さん。相手の攻撃を読んだ後、私はどうすればいいですか?」
「え? それは・・」
「・・・受けるか避けるか ・・とにかくその攻撃でやられないようにする・・」

 逆にいきなり質問されてしどろもどろになる悠人とは対照的にアセリアはあっさり答える。
こと戦いの知識に関しては、生まれながらのスピリットであった青の少女にまだ分があるようだ。
「その通りです。・・逆に言えばそれしかできないわけです。いくら先の行動が読めても何もしなければ当然のことながらやられる
 だけです。」
ここにいたってやっと、悠人とアセリアは彼女の言わんとすることがわかった。
「もうわかりましたね。・・要するに次の瞬間を読まれても防御する術のない強力な攻撃、あるいは避ける術のない速い一撃を与えれば
 いいだけです。」
「そうなれば、’ちょっと’年季の差があるとはいえ同じエターナル同士。私に勝てない道理はありません。」
’ちょっと’のところを強調した発言に対し悠人はあえて何も突っ込まずにいれたのだが、(アセリアは当然のことながらその辺りの事に
 全く気付いていない)次の少し意地悪そうな口調の言葉にはさすがに苦笑せずにいられなかった。
「・・もっとも、わざわざ真っ向から受けてやったのに、私の動きを止めることすらできなかった今の悠人さんでは論外ですけどね。」
「・・・せいぜい精進するよ。」「・・・がんばる。」

’聖賢者ユウト’、’時詠みのトキミ’、’永遠のアセリア’
ラキオスの、いや、この世界’ファンタズマゴリア’に住む者全てにとって最後の希望であるカオス・エターナルたち。
・・・しかし3人でいるときは、だいたいいつもこんな感じであった・・・

************************************

「さて、今日の訓練はこのくらいにして、まだ何か聞きたいことはありますか?」
「・・・ん。」
アセリアが手を挙げる。
(何故手を挙げるか?アセリア・・・)
「はい、アセリア。」
まるで生徒(それも小学生)を当てる教師のように時深はアセリアを指差して発言を促した。
(なんだ、このノリは・・いや、何も言うまい・・)
というヘタレな思考振りも実に悠人らしい。
「ん。 ・・・戦いに関することじゃないけど、いいか?」
「・・アセリアにしては珍しい。 どうぞ。」
「ん、それじゃ・・」

 この時どこからか、カチリッ、と何かがはまるというか外れるというか、な音を聞いたような気が悠人と時深にはした。
・・いや、「後になってみるとそんな音がしたような気がする」といった感じだ。・・というのも、
「何故ここにいるみんなはこの世界のことを”ファンタズマゴリア”と言っている? それはユートがカオリがそれっぽいと言ってたから
 私たちが使うようになっただけ。でもユートも、そしてカオリもちょっと悲しいけど、はじめからいなかったことになってるはず。
 なのにここにいるみんなは当然のようにこの世界のことを”ファンタズマゴリア”と言っている。この前来たロウ・エターナルもたしか
 そう言ってた。・・かなり不思議・・・」
悠人と時深は唖然とした。 せずにはいられなかった。・・・その理由はもちろん、話の中身というより、
「ア、アセリア、どうしたんだ!? 何か悪いものでも食ったのか!!?」
「・・こ、これはさすがに予測できなかった・・・」
「・・・ん?どうかしたのか?」
「・・いや、アセリアが、一息で、あんなに長い台詞をしゃべるなんて・・・」
「・・・ある意味、最も驚異的な現象です・・・。」
「ん? ・・私、何かおかしかったか・・?」
「へ?」「え?」「・・・・・・」

・・・それから数秒間、微妙な沈黙が流れた・・・・・

「・・さ、さ〜て、ここが”ファンタズマゴリア”と何故呼ばれているか、だったよな。言われてみれば、確かに変だよな、どうして
 だろう?」
その口調は何故か棒読み気味である・・
「ユート、・・・逃げてる・・・」
「いやー、不思議だなあ。 ・・時深はどうしてか知ってるか?」
アセリアに視線を合わせず(合わせれず^^;)、時深に振る悠人。・・だが、答えはあっさりと出た。

「ああ、それは多分、私です。」
「おまえかーーー!!!」
アセリアに出せない分の反動もあって思いっきり突っ込んでしまう悠人であった・・・

「・・・いやあ、エターナルや私自身について説明する時につい口に出してしまって、レスティーナ女王に「それはなんですか?」
 「ああ、・・いえ、この世界のことを知人がこう呼んでいたものですから。」「なるほどファンタズマゴリアですか・・」と言った
 具合で、後は伝言ゲームと言った感じで・・」
「ったく・・って、知人って俺のことか!?」
「他に誰がいるんです? ファンタジーといわれて真っ先に”ファンタズマゴリア”が出るあたり、さすがといいますか。」
「さすが、なんなんだよ・・・?」
「さあ、なんでしょう?」
「ユート、すごい」
「・・・・・」
’さすが’の部分しか認識していなかったのであろうアセリアの評価に、またもや力が抜ける悠人であった・・・


 ・・と、不意に、反撃できるような−客観的に見ればやはりヘタレ要素満載な−言葉についての疑問ができたので悠人は聞いてみる。
「・・俺も一つ質問いいか?時深」
「? ええ、構いませんけど?」
悠人はコホンと一呼吸置いて言った。
「・・俺がこう聞こえるだけかもしれないが、スピリットにしろエトランジェにしろ、何故技名が’英語’なんだ?」
「・・へ?」「??」
「・・いや、よく考えてみるとおかしいんだよな。英語とはわかるんだが、俺の知らない単語も出てくるし・・’インスパイア’なんて
 単語、俺に限らず普通の高校生は多分知らないだろ?」
「いや、それは言われてみればもっともだけど、それは神剣が決めていることだろうし・・」
「エイゴって、なんだ・・?」
突然の悠人の指摘に口調が乱れる、というか素の口調になる時深と、もはや頭は「???」だろうアセリア。
だが悠人は(本人にとっては)反撃の言葉を放つことにする。
「ふむ、確かに道理だ。・・・しかし自分で言う分には何語でも構わないはず! ・・そこで時深に聞きたい。」
「な、なに・・・?」

「なんで、時深の技名も、英語なんだ・・?」

ピキッ
「・・ユート、よくわからないけど、」

「巫女・・しかも由緒正しき、平安の戦巫女だろう? それが何で異国の言葉なんだ?」

ピキピキッ
「・・・ユート、ユート!」

「やっぱり由緒正しき日本のっていうなら日本語を使うべき・・・って、なんだ、アセリア?」
「・・・よくわからないけど、なんだか、トキミにマナが集まってる・・・」
「な、なに!!?」


・・2人は目撃した。
自分たちより1周期は長く戦っている戦士に膨大なマナが集まる姿を。
膨大で目にくっきりと見えるほど密度の濃いオーラフォトンが展開されるのを。
「・・アセリア、少し離れてた方がいいわよ。」
「あ、う。 ・・・ユート」
「・・な、なんだ・・・」
「・・・ごめん。 これは無理。 ・・・祈ってるから。」
「なにをだ!!」
「・・・さぁ、ユウトさん・・・」

・・・悠人は見てしまった。
顔を上げた時深の口元が引きつっていたことを、
・・何よりその双眸が怪しく光っていたのを!!(注:どちらも悠人視点での話です)
「・・由緒正しき日本語、お聞かせしますね。」
「あ、あ、あ・・・」
「致命の〜〜〜〜(クリティカル)」
「ふ、防げ!オーラフォト、」

「一撃!!!!!(ワン!!!!!)」

キラーン
「こ、こんな、こんなことで・・・・・」
悠人、いや、’聖賢者ユウト’は星になった・・・・・
(・・・人選を誤ったか? BY 剣の中の人)

「・・・ふっ、つまらぬヘタレを斬ってしまった・・・」
「・・・・ユート。」


「・・・このSS群の中で最後までギャグだった。 ・・ある意味、すごい・・・」
・・などとちょっと感慨深い’永遠のアセリア’なのであった。



<おまけ(あとがきに代えて)>
今日子     :「「言葉についてうんぬん」、一応完結おめでとー! 乾杯!!」
他のみんな   :「カンパァーーーーイ!!!」
今日子     :「ではさっそく、出演したみんな、・・星になった悠人を除いて、感想をお願い!」
ほとんどの人たち:「出番が少ない!!!」
エスペリア   :「私は出番は多かったのですが、・・・ああいうのはさすがに・・・」
アセリア    :「私は結構でてたから、良い・・・・・」
今日子     :「私も、・・・出番がハリセン一撃だけってあるか!!」
全員      :「・・・・・・・」

(数秒間の沈黙後)

今日子     :「え〜、ここでこれを書いた作者から電報が来てるから読むわよ。」
光陰      :「電報なんて本人出したことないくせに。あれって結構費用がかかるんだよな。」
今日子     :「はいそこ黙る!! なになに「チチキトク、クニカエ」」
ビリビリビリ
アセリア    :「どうして破る?」
オルファリル  :「あはは、おっもしろ〜い♪」
ウルカ     :「愚かな・・・」
ヨーティア   :「とりあえず基本を試す精神は悪くないが、方向性がダメダメだね・・・」
イオ      :「基本、なのでしょうか?」
今日子     :「はあっはあ ・・・何々?(カンペを見ながら)このカンペから読んでください?」
トキミ     :「なんて不精な・・・」
レスティーナ  :「あなたにだけは言われたくないと思いますよ?」
2人      :「・・・・・・・・・」(睨みあい)
佳織      :「じょ、女王様にトキミさん。辞めましょうよ。」
瞬       :「佳織の言うとおりだ。・・・僕はどうでもいいけどね。」

・・・・・・・・・

一同      :「なんでここにいる!!?」
瞬       :「僕のことかい? それはこれからわかるさ。ところで岬、続けなくていいのか?」
今日子     :「・・あんたに言われるのもなんだけど、確かにこのままだときりがなさそうだから進めるわよ。なになに?」
(作者コメント) :「いやぁ〜。 本当にすいません! 許してください!!!!」
トキミ     :「って、いきなり謝ってますね。なかなかのヘタレ具合です。・・悠人さんほどではありませんが・・」
(作者コメント) :「ちなみに謝罪の内容 1.キャラのイメージが変わってしまったかもしれないこと。 2.遅筆なこと。」
ヨーティア   :「あ〜、2は気にしなくていいな。 ・・どうせ誰も期待してないし。」
イオ      :「・・情けないことですが、おそらくはヨーティア様の言うとおりですね。」
(作者コメント) :「そこ、突っ込まない! ・・んで、3.各話毎に書き方、というより見易さが違うこと。 いやぁ〜、完結編
          書くに当たって前のを見直してたらそれに気付いて少々凹みました・・。」
光陰      :「・・なんか、突込みまで用意されたこのカンペ読んでる今日子の方が不憫になってきたんだが・・・。」
今日子     :「・・わかってくれる? ・・普通にきれようかこんな自分にしょげようか精神が争って何とか均衡を保ってる
          状態なんだけど・・。」
瞬       :「・・とにかくすすめろ。 同情する気はないが、さっさと終わらせた方がましだと思うぞ。」
今日子     :「くっ、秋月のちょっと冷静な発言すらなんとなく嬉しくなってくるわ。えと、(こんなダメ作者な私ですが、」

(作者コメント) :「次は永遠戦争に関係するらしい連続長編を書きたいと思います。」

一同      :「・・・・・・・・・・・」

作者      :「さん、ハイ♪」
瞬以外     :「えーーーーーーーーー!!!?」
作者      :「はい、ということで時間もないから登場キャラをチャッチャと発表します。」
瞬以外     :「え? ・・・・・ゴクリ(つばを飲み込む音)・・・」
作者      :「まずはラキオスが主な舞台となるので、レスティーナ!」
レスティーナ  :「! ・・ま、まあ、当然ですね。(内心ホッ)」
作者      :「続いて、な、なんと、 ヨーティア、イオコンビ〜〜!!」
イオ      :「!! ヨーティア様、やりましたよ!!」
ヨーティア   :「! ・・ふ、ふん、あたしを忘れないなんて、凡人にしてはまあまあだね・・・。」
作者      :「そしてそして、ついにこの時代が来たのか〜!? 我らが愛すべき「ロリ」こと、碧光陰〜!!!」
光陰      :「・・・いや、もう慣れた、慣れたぞ〜。 そんでもって結構嬉しいぞ〜!」
作者      :「・・・とりあえず、ここにいる面々については以上・・・・・」
呼ばれずな面々 :「・・・・へ゛・・・・・・?」
瞬       :「ちょっと待て、俺と佳織を忘れてるぞ? そのために呼んだんじゃないのか?」
作者      :「ん? ・・ああ、シュンとトキミは保留ね。 佳織はまず間違いなく出ないから。」
瞬       :「なんだと!!?」
当然不満な面々 :「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!??」
光陰      :「ま、まてまて。 秋月やみんなも落ち着け。 呼ばれた俺が言うのもなんだが・・」

光陰      :「・・えらく中途半端な人選だが、何を書こうとしてるんだ?あんた・・?」
作者      :「・・大風呂敷を広げましょう。「真実の永遠戦争」 光陰には期待してるからw」


まだまだ一悶着ありそうだけど、この話はここでおしまい♪
では、次回作でお会いしましょう!♪^^


<追伸>
星になった人  :「最後のおまけ、・・おまけ、全部でれなかった ・・・次回作、多分出番ないのに・・・・・」


The next SS
「Eternal War of The Truth」
(・・の予定^^;)


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