永遠のアセリアAnother Story
〜もう一人のエトランジェ、もう一つの物語〜
第三話〜影と光、大儀と本心〜
〜龍の魂同盟、会談会場〜
「…では、イースペリアからは援軍は出せない…と?」
ラキオス王が不敵な笑みを浮かべながらメルフィオネアに話しかける。
「ええ…残念ながら。我が軍は先のダーツィ戦からこの方、部隊再編、ならびに防衛力強化が懸念されておりますゆえ、
援軍派遣は難しいかと(ニヤついてんじゃないわよ…このヒヒジジイ)」
「…守り手(ガーディアン)を欠いたイースペリアに、防衛なぞできるのかね?(フン…女狐めが…)」
『守り手』…そう呼ばれたスピリット、エミリオン・ブラックスピリットは…
いや、「彼女の心」は、今は深い闇の中である…。
公式発表では、「死んだ」となっているが…。
「……そのための、部隊再編でございます…」
「まぁ、よい。貴公らの力を借りずとも、バーンライトごとき、我が精鋭軍の敵ではない」
「…左様でございますか。陛下のお力をとくと見せていただきますわ」
「見ておれ…バーンライトなぞ、一気に呑み込んでみせよう…。これにて会談は終了とする。
よろしいかな?」
「私は、別に構いませんわ。」
「わ、私どもも…け、結構です。」
メルフィオネアは気丈に、サルドバルド王は気弱にそれぞれ答え、会合は終了した。
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〜夜、会合終了後、メルフィオネア帰国の道中〜
月夜の中、メルフィオネアを乗せた馬車は、ゆっくりと街道を走っていた。
「…影?」
「…これに」
メルフィオネアが声を掛けると、気配が現れる。
「何か分かった?」
「ラキオスには…エトランジェがいる模様です」
「ふーん…あのヒヒジジイによく付いたわねぇ…」
「それが…ラキオス王は…エトランジェの妹君を、人質にしている模様でございます」
とたん、メルフィオネアの目が険しくなる
「…あのヒヒジジイ…小物のくせに、やる事は汚いんだから…」
「いかが致しますか?」
「そのエトランジェの名前は、分かる?」
「はっ…「求めのユート」…そう申しておりました」
「…「求めのユート」…ね。他国の情報は?」
「サルドバルド、デオドガン、ダーツィ、バーンライトにはそういった人物がいる気配はない…とのこと」
「マロリガンと帝国は?」
「…警戒が厳しく、調べるのが難しいと…」
「臭うわね…。帝国はともかく、マロリガンまで…。引き続き調査を続行。でも、安全な範囲でね。
殺されては元も子もないのだから」
「…御意…」
影の気配が消えると、メルフィオネアはなにやら思案を始めた。
「(最初の一手はラキオスか…ヒヒジジイのお手並み、拝見といきましょうか…)」
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〜同時刻、イースペリアスピリット宿舎〜
「(寝苦しいな…少し、夜風に当たってくるか…)」
愁は寝汗を拭き、寝巻きから服を着替えると、部屋を後にした。
「これはシュウ殿、お出かけですかな?」
衛兵の一人が、愁に話し掛ける。
「こんばんは。なんだか寝苦しくて…。散歩でもしてきます。」
「それでしたら、西門を抜けた辺りに、景色のとてもよい場所がございます。
そちらへ行かれてはどうでしょうか?」
「へぇ〜…そんな場所があるんですか…それじゃ、ちょっと行って来ます」
「はい。それでは、お気をつけて」
衛兵はにこやかに敬礼をする。愁もつられて笑顔で挨拶をした。
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〜西門周辺、小さな丘〜
西門を抜け、少し歩くと拓けた場所に出た。
小さな丘であり、周りには色とりどりの花とホタル(のようなもの)が舞っていた。
「ここか…確かに、綺麗な場所だなぁ…ん?…誰か居る…」
愁が中央に置かれた切り株に目をやると、人影が一つ…切り株に座っていた。
「…エミィさん?」
愁はゆっくりと近づく。その影は黒髪の女性…これから、戦場で共に戦う仲間…エミリオンであった。
月光に照らされた彼女は、とても美しく、神秘的でいて…
それでいて…悲しそうで…儚い感じがした…。
「…シュウ様…?」
愁の存在に気付き、振り返るエミィ。
「こんばんは、エミィさん。それから、僕の事はシュウでいいよ」
「…こんばんは、シュウ…」
相変わらず、エミィの感情は希薄だった。
「エミィさんは…ここによく来るの?」
切り株の横に腰を下ろしながら、愁が尋ねる。
「…はい。…月光浴は…好きですから…」
「…そっか…」
二人の会話が途切れる…月光とホタル(もどき)の灯りが、二人の周りを照らしている。
「…シュウ…」
エミィが足元にある花を見つめながら、愁に声を掛ける。
「ん?…何?」
「花は…好きですか…?」
「そうだね…僕は好きだよ?」
「私は…花を見ていると…悲しく、なります…」
月を見ながら、エミィは呟いた。
「…どうして?枯れちゃうからかい?」
「…わかりません。…ただ…悲しいのです…」
「…そっか…。いつか…綺麗だなって、思えたらいいね」
二人の間を、花弁を乗せて風が駆け抜ける。
「じゃあ、僕は戻るけど…エミィさんは?」
「私は…もう少し…います」
「わかった。風邪、引かないようにね」
愁は腰をあげながら、エミィに声を掛ける。
「……シュウ…心とは…感情があれば…私は、満たされるのでしょうか…」
少し小さくなった愁の背中を見ながら、エミィはそっと呟いた…
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〜その後、愁の部屋〜
「(『驚愕』…エミィさんの人格を、元に戻す方法って…ないかな…)」
ベッドに横になりながら、愁が問いかける。
「(…できないことは…ない。…でも、駄目…)」
「(どうして?)」
「(『焦燥』が…よしとしない…)」
「(なんだって…まさか!?『焦燥』は、エミィさんを食い物に!?)」
「(違う…『焦燥』は…『彼女が壊れない』ように…感情を…抑えてる…でも…理由は、語ってくれなかった…)」
「(…それがウソの可能性は…?)」
「(多分…本当…あの剣の語りかけは…優しかった…)」
「(…そっか)」
残念そうな顔をしながらも、納得する愁。
「(シュウは…私を…疑わないの…?)」
「(…僕達はパートナー、『相棒』だろ?相棒の話を信じないで、どうするのさ。正直、残念だとは思う。
でも…それは『絶対』じゃない。何か解決策があるかもしれない。突然、元に戻るかもしれない。
未来は誰にも分からないのだから…だから、僕は…諦めない…)」
「(マスター…)」
「(もう遅い…そろそろ僕は寝るよ…)」
「(うん…おやすみなさい…シュウ)」
愁の意識が月光の中、徐々に夢の中へと向かっていった…
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〜早朝、シュウの部屋〜
「ん…眩しいな…」
顔に照りつけるあ朝日に顔をしかめながら、愁は目を覚ました。
寝ぼけながら着替えを済ませると、愁は厨房へと足を向けた。
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〜イースペリア、スピリット宿舎厨房〜
「あ…そっか。どうも朝食をつくるクセが抜けないな…」
厨房に立って、意識が覚醒したようである。
愁はふと、窓から外を覗いてみた。
「あれは…シェリムさんと…エミィさん…訓練…してるみたいだけど…」
外ではシェリムとエミィが、組み手を行っていた。
シェリムの攻撃をエミィがことごとくかわし、受け流している。
「あれじゃ、お腹空かして戻るだろうなぁ。…よし!ちょっと頑張ってみるか!」
愁は意を決して、朝食作りに取り掛かろうとした…が…
「野菜とか調味料とか…全然、分かんないや…」
3秒で動きで止まった。
そこに、うしろから大きな欠伸が聞こえてきた。
「ふぁ〜あぁぁぁ…お、シュウ、早いな。厨房に突っ立ってどうしたんだ?つまみ食いか?」
シャーリィが愁に気付き、声を掛ける。
「ちがうって!…そうだ!シャーリィさん、教えてほしいことが…」
会話の途中で、シャーリィが身震いを起こす。
「待て待て!その「シャーリィさん」ってのやめてくれ…体がかゆくなる…」
「え?じゃあ、何て…」
「シャーリィでいいよ!シャーリィで!」
「わ、わかった…シャ、シャーリィ」
照れながら、愁はそれに応じた。
「よしよし♪で、なんだ?料理なら教えられないぜ?」
「いや、違うんだ。僕が作るから、材料の説明をしてほしいんだ」
「なぁんだ、そんなことか。いいぜ♪お安い御用だ♪」
「ありがとう。じゃあ早速…」
こうして、愁の朝食作りはスタートした。
〜1時間後、ダイニング〜
「…ふぅ…エミィ、ありがとうございます」
「…いえ…こちらこそ…」
「いい稽古になりました…って、あら?この匂いは…?」
二人が汗を拭きながら戻って来ると、部屋には鼻をくすぐる好い匂いがたちこめていた。
「あ、おはよう。シェリムさん、エミィさん」
「よっ♪お勤めご苦労♪」
厨房から顔をだしながら、挨拶をするシュウとシャーリィ
「おはよう、二人とも…って!シャーリィ、まさかあなたがこの料理を!?
いつの間にこんなモノ作れるようになったの!?」
「…なんか腹立つけど、オレじゃないよ。シュウが作るって言うから、材料教えてただけ」
ムスッとしながら、シャーリィが答える。
「そうなの…。シュウ、料理が出来たんですね」
「まぁ…うちは親が共働きだから…覚えちゃったみたいでね…」
少し暗い顔をしながらも、愁は笑顔で答える。
「ま、まぁ…とりあえず、食べてみてよ。感想も聞きたいしさ」
「そうですね…。それでは、頂きましょう」
シェリムが席に着く。
「…そうですね…」
エミィもそれに倣う。
「おぅ♪」
すでに座っていたシャーリィは、嬉々としてその時を待っている。
「「「「いただきます。」」」」
全員が手を合わせ、食事が始まった。
「あら…」
「おっ…」
「ん…」
三人は一口食事を口に運ぶと声を漏らした。
「え…何!?おいしくなかった!?」
あたふたしながら愁が三人の様子を伺う。
「…その逆だよ。うまいじゃん♪やるなぁ、シュウ」
バンバンと、シュウの背中を叩くシャーリィ
「…えぇ。味付けも彩りも、よく考えられていますし」
口元を拭きながら、シェリムも答える。
「…おいしいです…。」
エミィも、食事の箸を止めて答える。
三人の反応に、愁は安堵した。
「よかったぁ…。少し多めに作っておいたから、どんどん食べてよ。ね?」
「えぇ。もちろん♪」
にこやかに微笑むシェリム。
「言われるまでもねぇさ♪」
さらに喜びを顔に出しながら、食事を再開するシャーリィ。
「…はい。頂きます…」
表情こそ変わらないものの、エミィも返答する。
こうして戦友(なかま)達との朝食は会話も入り、華やかに進んでいった。
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〜朝食後、ダイニング〜
「そういえば…シュウ、シャーリィ」
椅子に腰掛けていたシェリムが、後片付けをしている二人に声を掛けた。
「何ですか?シェリムさん」
「なんだ?シェリム」
愁の言葉に、シェリムが溜め息をつく。
「…シュウ、できれば「シェリムさん」はやめてほしいのですが…その…他人行儀に、聞こえますので…」
シェリムは少し照れながら、愁に伝える。
「う、うん。わかったよ、シェリムさ……シェリム。」
愁も、少し照れながら答える。
「……それで!?話って何だよ?シェリム」
シャーリィはそれが面白くないのか、少しむくれながらシェリムに聞く。
「…あ…あぁ!ごめんなさい、シャーリィ。脱線してしまったわね…こほん…
今日のお昼に来るように、との陛下からの伝達がありました。おそらく、
今後の予定と新たに編入されるスピリットの紹介、と思われます」
「メルフィオネアさん…会合は昨日までって言ってたけど、もう帰ってきてたのか」
「なぁんだ。姐御からの呼び出しかぁ」
「えぇ。…ちょっとシャーリィ!陛下を「姐御」と呼ぶなと何度言えば…」
「いいじゃん。あの人気にしてないし、むしろ嬉しそうだし…」
「まぁまぁ、シェリム…」
シャーリィに煽られ気味のシェリムを、愁が止める。
「まったく…陛下もシュウも、シャーリィに甘すぎます…もぅ」
半ば諦めたように、シェリムが言う。
「お昼かぁ…それならまだ、時間があるね…三人共、お願いがあるんだけど…」
「「「何でしょう(何だ(何ですか))?」」」
「今日だけじゃないんだけどさ、僕に書き取りを教えてほしいんだ。…話せるってだけじゃ、不便だからね」
愁は、少し苦笑いを浮かべながら言った。
「そんな事でしたら、お任せください」
シェリムは別に問題ない、といった感じで答える。
「おぅ!別にいいぜ♪」
シャーリィは教える事が好きなのか、嬉しそうに答える。
「…わかりました…」
エミィは…あくまで事務的に回答した…。
「それでは、早速始めましょうか」
愁の横に座るシェリム。
「だな♪」
反対隣に座るシャーリィ。
「…(こくり)」
対面に座るエミィ。
「うん。よろしく頼むよ」
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〜正午、イースペリア謁見会場〜
「第一部隊、参りました」
愁は玉座に座るメルフィオネアに向かって敬礼をした。
「ご苦労様。早速だけど、話をするわね。…二人とも、いらっしゃい」
そう言うと部屋の端から二人のスピリットが、メルフィオネアの横に控えた。
かたや、ウェーブのかかった髪の少女、かたやショーットカットに髪飾りの少女…
「彼女達はウィレルとリュメルダって言うの。今後、第一部隊に配属となったわ。仲良くしてあげてね♪」
「よろしくお願いいたします」
「あ、あの…よ、よろしくお願いします…」
ハキハキと答えるリュメルダ、そして…オドオドとしながら答えるウィレル。
「うん。よろしくね」
愁も二人に、挨拶を返す。
「それで、シュウ。今後の予定だけど…」
「はい。どういった予定でしょうか?」
「しばらくは、訓練ね。いつ戦争が始まるか…戦闘に参加してもらうようになるか、分からないけど…覚悟だけは、しておいて」
「…はい。わかりました(覚悟…できるのか…今の僕に…)」
「それじゃあ、伝達事項はおしまい。シュウ以外は帰っていいわよ」
第一部隊全員がきょとんとする。
「陛下、シュウ以外というのは…?」
シェリムが口火を切って質問する。
「ちょっとした密談ってやつよ♪」
小悪魔のように笑いながら答えるメルフィオネア。
「なっ、何言ってるんですか!?」
愁はドギマギしながら言う。
「…分かりました。第一部隊は隊長――シュウ以外は宿舎へと戻ります。シュウが戻り次第、訓練開始…でよろしいですか?」
「それでいいわ。…よろしく頼むわね。シェリム」
「心得ております」
シェリムは、メルフィオネアをよく知っていた。
ふざけている時こそ、込み入った話や、考えがあることを…
「では、失礼いたします。ウィレル、リュメルダ、貴方達もいらっしゃい」
シェリムは新たに加わった二名に優しく声を掛ける。
「はい」
「は、はい!」
二人は、シェリム達のあと付いて行きながら会場を後にした。
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「さて……人払いをお願い」
メルフィオネアの一声の後、会場にはシュウとメルフィオネアだけとなった。
「メルフィオネアさん…密談って言うのは…」
「…シュウ、『ユート』という名前に聞き覚えはない?」
シュウの顔色が変わる。
「やっぱりあるみたいね…」
メルフィオネアの顔が悲しみを帯びる。
「悠人君の名前をどこで!?」
「…ラキオスにいるらしいわ。そこで、エトランジェをやってるそうよ」
「同盟国に…それじゃ、すぐに会えるんですか!?」
嬉々として質問をする愁。
「…無理ね」
しかし帰ってきたのは…予想した回答ではなかった。
「どうしてですか!?」
「あそこのヒヒジジイ、ラキオス王は、小物のクセにやることが汚くてね…貴方が行ったら、すぐに拉致されるわ」
「そんな…じゃ、どうして悠人君は、そんな人の味方をしているんですか!?」
「妹さんが…人質になってるらしいわ」
愁の目つきが凍り始める…
「…っ!?(なんて目つきをするの…この子は…前にも見たけど…以前とは、比べ物にならないわね…)」
「そんな腐れ外道…僕が潰してやりますよ…この命に代えても…」
「(マスター…いけない!…怒りだけで、心を染めては…いけない!)」
一瞬怯んだメルフィオネアだったが、すぐ落ち着きを取り戻し、言葉を続ける。
「…駄目よ」
「…何故です!!」
「仮にも同盟国の王を殺したとなると…私は…貴方の首を、はねなければならない。
でもよく聞いて。私は、領土に興味はないと前に言ったけど、あんなヒヒジジイにくれてやる気は更々無いから。
そのユート君も…今は無理だけど、できるだけ…努力はしてみる」
申し訳なさそうに答えるメルフィオネアを見て、愁の激情は、水を打ったように静かになっていた。
「…すいません…困らせてしまって…(君にもごめん…『驚愕』…)」
「(シュウが無事なら…いい…)」
慰めるように『驚愕』は語り掛ける。
「いいのよ…。でも、その内ユート君と…会えるかもしれないわ。」
「本当ですか!?」
「ラキオスは、近々バーンライトと戦争になる…。これは避けられないわ。ヒヒジジイの戦略に穴が無いとは思えない…。
そこで、貴方達の出番な訳♪」
わざと明るくふるまうメルフィオネア。
「僕達…ですか?」
「そう。第一部隊は、通称「遊撃部隊」。ヒヒジジイの、穴埋め作業をやってもらうことになりそうよ」
「…その「ヒヒジジイ」の為に、動くんですか…」
「恩を売っておくのよ。それで、こちらが優勢を頂くわ。ユート君への謁見要請も…場合によっては出せるようになるわ」
「なるほど…。メルフィオネアさんって、食えない人ですね…いい意味で」
「あら、ありがとう♪」
二人はクスクスと笑いあう。
「それじゃ、そろそろ僕も行きます」
「えぇ。仲間のところに行ってきなさいな」
「それでは…失礼します」
愁は一礼すると、謁見会場を後にした。
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「…陛下」
「影?どうしたの?」
「実は…」
『影』と呼ばれた人物がぼそぼそとメルフィオネアに耳打ちをする。
途端、メルフィオネアの顔が険しくなる。
「龍のマナを…ヒヒジジイ、いきなり大博打にでたわね…」
「いかがいたしましょうか?」
「…まだ時ではないわ。開戦してから援軍に向かったほうが、恩を売りやすいわ」
少し思案して、メルフィオネアは『影』に告げる。
「…御意」
「…監視を怠らないようにね」
「…心得ております」
影の気配が消える。
「…さすがの「青い牙」でも…荷が勝ちすぎているわね…」
「(死ぬんじゃないわよ…ユート君…)」
メルフィオネアは、まだ見ぬもう一人のエトランジェの無事を、誰も居ない謁見会場で祈っていた…
第四話に続く
〜あとがき〜
ども、右端です。
訓練パートに入れなかったorz
次こそ訓練パートです(汗
次のお話は
「シュウ、人を…スピリットを斬れますか?」ってな感じの話です。
ご期待ください。
感想、クレーム、指摘じゃんじゃんくださいね♪
感想は右端の栄養源であります(笑
それでは!
第四話にご期待ください!
注:ひょっとすると外伝のほうが早くUPするかもしれません(汗
By右端の人