Oath and Promise

Chapter3
流れ巡る赤き剣 -Oath- 




遠くから金属と金属がぶつかり合う音、爆音が聞こえてくる。

「僕は・・・ここに居るしかないのかな」

部屋の隅に座り、何度目かも分からない言葉を口にする。

『でも、今戦えば僕は確実に命を落とす。
 それは彼女達にとっても望む事じゃない』

「分かってるよ・・・。
 セレも、セーラさんも、メトゥラも。
 皆優しいから・・・。」

だからこそ許せなかった。
この里の事を何も知らない、何も見ていない人間が彼女達の里を蹂躙するのを。

「クソォ・・・僕に力があれば・・・」

『自分を責めちゃダメだ』

「分かってても割り切れないよ・・・」

未だに続く鋼と鋼がぶつかり合う様な音。
今はそれが一刻も早く終わる事を願った。

『―――――僕よ、誰か来たようだ』

「みたい・・・だね」

階下から人の気配がする。
何かを探している様に移動を繰り返す。

「ここに来るかな?」

『間違いなく』

『僕』と会話しながらその時を待つ。
間も無くして、階段を上がる音が聞こえてくる。

「おお、人が居た!」

中年の様な男性が真っ白な兜の間から笑みを漏らす。
心底安心したような笑み。
だが瞬にとってその相手は、今まさに彼女達を蹂躙する悪魔の国の使者にしか見えなかった。

『僕よ、絶対に抵抗するな。
 後ろにエレメントが控えている』

「(エレメントが!?)」

『・・・だが、自我が無いな。
 恐らくセーラが言った「傀儡兵士」という状態なのだろう』

「(くそ・・・!)」

「大丈夫だったかい!?
 怪我とかしてないかい!?」

駆け寄り、心底心配したような顔を向ける男性。

「はい・・・大丈夫、です・・・」

そう答えると

「そうか、良かった!
 でも悪魔達に捕まってたんだ、国に戻って清めないと」

安堵。
心の底から、偽りの感情など無くその感情を込めて男性は言った。
―――――だからこそ、余計に腹が立った。

「いえ・・・大丈夫ですので」

「いやいや、奴等の家に捕らわれていたんだ。
 清めないと・・・」

「清めないと・・・どうなるって言うんですか?」

「・・・・・・どうしたんだい?」

男性から安堵の表情が消える。
正直、心配してくれて悪い気がしない。
だが状況が状況だった。

「清めないと、どうなるんですか?」

「君の存在自体が奴等の様になってしまうんだぞ!?」

男性の顔には少しの怒気と、少しの悲しみ。
そして大半は焦り、困惑にも似た感情で表情が塗りつぶされていた。

「別に良いですよ・・・」

「君はあんな穢れた存在と一緒の存在になりたいって言うのかい!?」

この一言。
この一言で瞬の理性、セレ達との約束という堤防が決壊し、感情という濁流があふれ出した。

「貴方に・・・彼女達の何が分かるって言うんだ!!
 普通に御飯を食べて、笑って、他愛の無い会話をして、仲間と少し喧嘩して・・・!
 皆僕達と何も変わらないじゃないか!」

「・・・君は・・・私達人間と悪魔が同じ存在だと言うのかい?」

声のトーンが一気に下がる。
先程まで見ず知らずの瞬を心配し、気にかけてくれていた男性はもう其処には居なかった。
居るのは悪魔と呼ばれるエレメントを駆逐するという使命を纏った一人の人間。

「可哀想に・・・もうそこまで悪魔に毒されていたか・・・。
 君はもう助からない。
 だからせめて―――――」

男性の腕が上へと上がって行く。
パチリ、と指がなった瞬間

「苦しまず、神の元へ」

死刑宣告が言い渡された。

『跳べ!!』

「―――――!!」

直感に『僕』からの2重警告、体勢も何も考えず思いっきり跳んだ。
先程まで立って居た場所には一本の剣が振り下ろされていた。

「何が―――――」

『まだだ!』

言葉を紡ぐよりも早く再度2重の警告が頭に響く。
避けれない、防げ。
警告はいたってシンプルだった。
だから手に持っていた赤い剣を盾代わりにして攻撃を―――――

「な!?」

防げなかった。
いや、防いだといえば防いだ。
だがたった一撃で瞬の体は宙を舞い、物理の法則に従い地面にその体を叩き付ける。

「―――――ッホ、ゲホッ、ゲホ!」

一瞬呼吸が止まり、咳き込む。
この一瞬が絶望的なまでのタイムロスとなる。

「あ―――――」

上げた視界には青い髪をした少女。
だがその目に光は宿っておらず、無機質で圧倒的なまでの力差をダイレクトに伝えてきた。
頭上には剣を振り上げている。
思考のみが体を支配し、体を動かす事が出来ない。
剣が、振り下ろされ始めた。
スローモーション。
何もかも、時間すらも遅く感じる。
だが止まらない。
少しずつではあるが確実に死が歩み寄る。
死ぬ。
樋山瞬にあの一撃を回避する術は無い。
ならば無様に頭を割られ、即死するだろう。

「(死ぬ?
  ―――――嫌だ、それは嫌だ!)」

死にたくない、まだやりたい事もある。
だが、現実では着実に死が近づく。
生きたい。
あの一撃は必殺だ。
樋山瞬を殺すには3度殺したってお釣りが来るような、完璧な必殺。
生きるにはどうするか?
防げない、避けれない。
ならばただ一つ。
振り下ろされる前に目の前の青い死神を倒すのみ。

【契約者よ、生を誓うか?
 誓うならば、我がその誓いを叶えよう】

声がする。
『僕』とは違う、もう1人の声。

「(誓う・・・生きたい!)」

目の前に迫る恐怖を振り払うように声に従う。

【ならばその誓い、叶えるだけの力を与えよう】

体中に力が漏れ無く行き渡り、少女の攻撃が遅く見える。
だが楽観視は決して出来ない。
あの一撃を食らって生きていられる自信等無い。
振り下ろされる必殺の剣。
だが、その必殺の剣はそれを凌駕する高速の必殺の剣によりその役目を果たさず地に転がった。

「―――――え?」

男性がその光景を見て声を上げる。
男性が思い描いた光景、それは青い少女が少年を浄化するものだった。
だが現実では少女の腰が両断され、上半身と下半身の2つに分かれて地に寝そべっている。
血も体も金色の塵となり、少女は消滅した。

「あ・・・・あああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!?」

人間がエレメントに打ち勝つ等ありえない事だ。
そのありえない光景を目の当たりにし、男性は腰を抜かし必死で逃げようとする。

「はぁっ・・・はぁっ!!」

呼吸は乱れる程運動はしていない。
ただ腕が剣を握り横へ薙ぎ払っただけ、それだけの運動だった。
なのに心臓は爆発しそうな程脈打っていた。

「(殺した・・・。
  人と変わらない子を・・・僕が・・・!
  自分が生きる為とはいえ、殺した!)」

「あ、あああ・・・
 悪魔・・・いや、魔神の子だぁぁぁぁぁぁっ!!」

地に這い蹲り逃げようとする男性、赤い剣は瞬にこう告げた。

【契約者よ、ヤツを生かしておくと厄介だ】

「(僕は・・・僕は・・・!!)」

【ふむ、我の声すら聞こえぬか。
 ならば、契約者の安全を優先する為・・・】

剣の声は笑っていた。
契約者の為に、と言いながらも何か策略を張り巡らせているように聞こえる。

【我がヤツを消してやろう】

「うあ・・・・・!?
 ああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

想像を絶する頭痛が訪れ、瞬の体が勝手に動く。
逃げようとする男性の後ろに立ち、そのまま剣を

「さらばだ、人間よ」

振り下ろすが僅かに外れ、鈍い音と共に剣が床に突き刺さる。

「む・・・?
 契約者め、まだ意識が・・・!?」

剣は知らない。
瞬の体は完全に剣の支配下に入っている事を。
そして、支配下に入れながらもそれを妨害する3人目の存在を。

『クッ・・・!
 僕、しっかりしろ!!
 チィッ、随分奥まで潜ってる!』

「いや、契約者の意識は確実に支配下においたはず!
 誰だ・・・我の邪魔をするのは、誰だ!!」

『僕よ、しっかりするんだ!!
 今この時は引き篭もってる時か!?
 以前『僕』の見せた映像の中に居ただろう!
 殺した者の事を忘れず、背負い続けると言った男が!
 その男は何十人と殺した、でも背負い続けた!
 僕は1人の事すら背負えないのか!?』

(忘れず・・・背負う・・・)

「契約者の意識が・・・覚醒する!?」

『このまま剣に流されると、もっと酷い事になるぞ!
 剣の支配に負けるんじゃない!
 彼女達を守りたいんだろう!?』

(守りたい・・・こんな所で止まってられない・・・)

「馬鹿な!
 一度取り込まれた意識がそう易々と戻るはず無い!」

『守りたいなら罪から逃げるんじゃない。
 向き合って、背負って生きるんだ!』

「そうだ・・・罪の意識に潰されてる場合じゃない。
 今はやらないといけない事が残ってるんだ」

【な・・・!?
 馬鹿な・・・こんな事がありえるなど・・・!!】

「僕が生きる為に力を与えてくれた事には感謝しよう。
 だが、この体は僕のものだ。
 お前には渡さない!」

【契約者よ、汝は自我を失った哀れな妖精を消滅させた。
 自分が生きる為とはいえ、随分と・・・】

「無駄だ。
 そうやって僕の意識を底に落とし、体を操る気だな?
 背負ってみせるさ、罪も、罰も。
 生きる為、理不尽な支配から彼女達を守る為にも僕は戦う!」

【・・・意思は随分固いな。
 力ずくで支配するには少々力が心元無いが・・・仕方ない】

『僕よ、気をつけろ。
 その剣は強制力を働かせ、力ずくで体を奪う気だ』

【マナを頂く為、その体を我に寄越せ!】

「が・・・ぐ―――――!」

凄まじい頭痛。
頭に釘を打ち込まれ、ハンマーで叩きつけられているかの様な錯覚さえ覚える。

【苦しいだろう、痛いだろう。
 開放されたくば、我に―――――】

「ふざ・・・けるなぁぁぁぁぁぁ!!」

頭痛を振り払い、自己の意識をはっきりと持つ。
侵食してくる様な感覚を剣へと押し返す。

【むぅ!
 力が不足しているとは言え、我の支配をあっさりと跳ね除けるとは・・・!】

「絶対に渡さない・・・!
 今この体を奪われるわけにはいかない!」

頭痛が引いていく。
先程の狂いそうな痛みは嘘の様に無くなっていった。

【ふむ・・・よかろう。
 契約者よ、力を欲したな。
 支配した意識が復活するなど、今までの契約者ではありえなかった。
 興味が沸いた故、暫く力を貸してやろう】

「何を企んでる?
 さっきまで敵意剥き出しだったのに」

【企むとは聞こえが悪い。
 確かに代償は要求しよう。
 だが、暫くの間我は契約者を支配する事は諦める】

「そう言いながら、急に不意打ちしてきたりしてな」

【随分と我も信用を無くしたものだ。
 だが、当然と言えば当然か。
 ・・・で、どうするのだ?
 我の力を得、妖精と戦うか。
 それとも我を放棄し、ここに留まるか】

「・・・良いだろう。
 今度支配しようとしても返り討ちにしてやる」

【契約成立だ。
 我の名は『誓い』。
 覚えておくが良い】

『僕』に見せてもらった映像の中で聞いた事がある名。
金髪で見慣れない服を着、黒いコートを羽織っていた男が持っていた剣と名も姿も一緒だった。

「(『誓い』・・・?
  やっぱり、この剣は秋月瞬ってヤツが持ってた剣か・・・。
  あれ?
  でも、ここはエリスニアエムス、 あそこはファンタズマゴリアって名前だったはず。
  しかもこいつ、最後に砕けなかったか?)」

【契約者よ、行かぬのか?】

「あ、ああ。
 言われなくとも行くよ」

手に吸い付くような『誓い』を握り、意識をはっきり持つ。

「・・・あの人は逃げたのか」

【この事が後々に影響しなければ良いがな。
 さぁ、行くぞ契約者】

「ちょっと待て」

【何だ】

「その契約者って言うのは止めるんだ」

【契約者は契約者であろう】

「僕には瞬って名前がある」

【名前なぞに興味は無い】

「ならお前もアホ剣で十分って意味か?
 クソ剣、バカ剣、ボロ剣・・・もっと良いの無いかな」

『なまくら、ポンコツ・・・』

「なまくらにポンコツ・・・他は・・・」

【待て、契約者よ。
 我は第5位に位置する神剣だ。
 そんな名前が許されると思っているのか?】

「人の名前も呼べないような剣が何言っても無駄だと思うけど?」

【ぬ・・・】

「やっぱりアホ剣とか、いつかの彼が言ったバカ剣が呼びやすいかな」

【・・・分かった。
 名前を呼ぶ、だからその名は止めろ】

「最初からそう言ってれば良いんだよ」

【・・・こんな契約者初めてだ】

「何か言ったかな?
 このバカ剣」

【グ・・・!
 このような屈辱も初めてだ・・・!】

『『誓い』は支配を好み、プライド高い。
 こんな風に呼ばれたのは初めてだろう』

「ほら、行くよ『誓い』」

【・・・了解した、シュン】

そうして階段を一気に飛び降り、外へと駆け出した。






「すぐ近くに二人と大勢、東も同じく二人と大勢・・・。
 北と更に東も1人に大勢が集まってるな
 まずは近くから行ってみるか」

外の情報が一気に把握出来る。
今まで視界のみに頼っていた瞬には奇妙な感覚だろう。
走っている速度も既に人間の域を逸していた。

【神剣の加護がある内は身体能力が飛躍的に高まっている。
 多少走った程度では全く息は切れぬはずだ】

「便利だな・・・」

そう言いながら里の中を駆け抜ける。
所々に動かない人が見えるが、気にしてはいられない。

「(皆・・・どうか無事で・・・!)」

そう願うしかなかった。

【契や・・・シュンよ、見えてきたぞ】

「・・・一瞬間違えかけたろ」

【仕方なかろう、今までずっとそう呼び続けていたのだ。
 いきなり変えれるはずなどない】

「ま、そういう事にしとこうか」

目の前には2人の少女。
良く見知った白い髪の少女に赤い髪の少女だ

「セレ、メトゥラ!」

「シュン!?
 どうして来ちゃったのよ!」

「バカセレ、前見なさ―――――!」

セレが後ろを向いた瞬間、光の宿らない少女がセレに飛び掛る。

「させるか!」

そのまま速度を落とさず走り、『誓い』を前に突き出す。
セレの頬を少し掠め、鈍い音と共に襲い掛かってきた少女の心臓を貫き、少女は金色の塵へと変化した。

「嘘、シュン・・・」

「アンタ、その剣・・・」

「さて・・・。
 死にたい者からかかって来るんだな!」

顔は余裕ぶってみせているが、内心では吐き気がしそうだった。
また殺した。
仲間を護る為とは言え、また殺した。
その考えが脳から離れない。
だが、今は命のやり取りをしている地獄の中に居る。
それも自分からここに飛び込んだのだ。
今更泣き言等は許されない。

「まったく、無茶しちゃって・・・」

セレが微笑みながら横に立つ。

「そうね、人を殺したのは今日が初めてのようなヤツがアタシ達を守ろうだなんて・・・」

「「10年早いよ!」」

まさに呼吸ピッタリだった。
セレが敵に飛び込み、メトゥラが詠唱に入る。
セレの手には何も握られていない。
いや、セレ自身から永遠神剣の反応が見られない。

「セィッ!」

神剣の加護がある状態なのに、辛うじて拳を確認出来た。
ウインドエレメントが障壁を作り出すが、たった一撃で粉砕される。
まるで、ガラスが割れるような光景だった。
そして、そのままウインドエレメントが金色の塵になった。

「え?
 今、一発だったのに・・・」

【あの妖精、只者ではないな。
 素手で障壁を叩き割り、更にもう一撃加えおった】

「見えなかったぞ・・・」

攻撃を終えたセレが大きく後方に跳躍し、元居た場所に戻ってきた。
その瞬間

「フレイムシャワーッ!」

業火の雨が降り注ぎ、セレに飛び掛ろうとしていたエレメント3人が一瞬で消滅した。
普段言い合いばかりしてる姿からは想像出来ないような連携。

「ほら、神剣使えるんだったら他の所行って!」

「そうそう。
 私達はまだまだ大丈夫だから。
 東の方にリルとティミスが戦ってるはずだからそっちへ行って!
 リル辺りは体力無いから厳しいと思う、フォロー御願い!」

「ああ、分かった。
 ・・・また後でな」

「勿論よ。
 シュン、アンタこそ無茶しないようにね」

「さ、どんどん来ーい!」

その場の二人を残し、東に居る二人の方へと瞬は走り出した。






「ハッ!」

銀の刃が煌き、敵が両断される。
既に15人。
それだけの数のエレメントを黒い少女は倒していた。

「・・・リル殿、大丈夫ですか?」

「・・・うん。
 まだ・・・いけるよ。
 ティミスお姉ちゃんは・・・大丈夫?」

緑の少女はそう答えるが、喋るのがやっとと言うところだ。

「自分はまだ大丈夫です。
 リル殿・・・無理はなさらぬように」

周囲にはまだエレメントが数人残っている。
ティミスシアは宣言通り体力が残っているが、リルレイアの体力は既に限界だった。

「そろそろ限界だろう。
 神の御慈悲だ、苦しまずに逝くが良い」

汚れた物を見るかの様な目で、白い甲冑に身を纏った男がそう告げる。

「リル殿、来ます!」

「うん・・・!」

黒と緑のエレメントが迎撃しようとした瞬間―――――。

「やらせない!」

二人の間を赤い風が吹き抜けた。
その風は敵エレメントに一気に迫り、両断した。

「「―――――え?」」

緑と黒の少女が唖然とする。
彼女達の見知った人間とはエレメントに指示を出し見下す存在だ。
決して前線に出る事等無い。
だが、今前に立つ少年は赤い神剣を握りエレメント一人を一撃で消滅させた。
それは彼女達の理解の範疇を超えていた。

「な・・・人間が、悪魔を滅ぼした!?」

それは男も同じだったのだろう。
既に取り乱し、悪魔を駆逐するという任務を忘れていた。

「そうか、こいつが魔神の子・・・!
 アイツの言ってた事は事実だったのか!」

【どうやら敵に知れ渡ったようだな】

「遅かれ早かれバレる事さ」

「殺せぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

男が絶叫し、命令を下す。
周囲に居た4人のエレメントが囲むようにして瞬に襲い掛かる。

「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

『誓い』を前に突き出したまま正面のファイアエレメントに突進する。
剣が振り下ろされるより早くファイアエレメントを貫くが、そのまま速度を緩めずに突き刺したエレメントに体当たりし駆け抜ける。
残り3人のエレメントと距離を開けたところで突き刺したエレメントに背を向け、『誓い』を順手に握る。
そのまま後ろから前へと切り裂き、すぐさま踵を返して更に奥へと走り出す。
金色の塵と化したのを横目で確認し、奥で指示をしていた人間を蹴り飛ばして喉元に剣を当てた。

「今すぐ彼女達を止めろ、止めないとこのまま首を刎ねる」

「ひ・・・!
 お、お前達・・・攻撃を止めろ!」

周囲の3人はすぐさま剣を納めた。

「よし・・・次はこのまま里から撤収しろ。
 戻ってきたりしたら・・・分かるな?」

「そ、それは・・・!」

「出来ないか?
 ならここで死んでもらおう」

剣に力を込め、男の喉下に少しだけ剣を刺す。
僅かに皮膚を裂き、一筋の鮮血が喉を伝う。

「分かった、里から撤収する!
 だから殺さないでくれ・・・」

「それで良い。
 さっさと行け!」

剣を下ろし、男に後ろを向けて二人の方へ歩き出す。
途中で3人のエレメントとすれ違いかけた時

「殺せ!
 その小僧を殺せ!!」

男の命令で3人のエレメントが瞬に牙を―――――

「そう簡単に私達の言葉に従うわけ無いだろう」

「・・・お人好し」

「殺すのは出来るだけ避けたいよ・・・」

剥く寸前に銀の刃、閃光の様な一撃、赤い一閃がそれぞれの敵を仕留めていた。

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

「しかし、まさか人間に助けられるとは・・・」

「・・・意外、優しいだけかと思ったのに」

「目の前で理不尽に襲われてる人を見捨てられる人間じゃなくてね」

「・・・で、あの人はどうするの?」

「自分がやりましょう」

「いや、僕がやる。
 警告したのは僕だ。」

そう言いながらティミスシアを制し、前に歩き出す。

「あ・・・あああ・・・た、助けて・・・」

「僕の警告を無視した自分を呪うんだね。
 それじゃ・・・君達の言葉を借りようか」

剣を構え

「苦しまず、神の元へ」

そのまま剣を横へと薙ぎ払った。
これでもう戻れない、言い訳は出来ない。
エレメントを殺し、そして人間も殺した。

「・・・これで僕も君達と同じく粛清対象かな?」

「私達に加勢した時から粛清対象だと思う・・・」

戦いが1段落し、気が抜けたのかリルレイアが地面に座り込む。

「ティミス、リル。
 西の方でセレとメトゥラが戦ってるからそっちの加勢を御願いするよ。
 僕は森の方に1人で居る人を助けてくる」

「・・・承知」

「うん・・・」

「それじゃ、また後で―――――」

駆け出そうとした時、不意に声がかかる。

「・・・シュン、殿。
 お気をつけて」

「・・・ああ!」

それを聞き遂げると森の方へと疾走を開始した。







森に入って異変に気が付いた。

「・・・凄いな」

【うむ。
 一人であの人数を蹴散らしているようだ】

察知した気配では先程から戦いが開始したようだ。
気配のみで詳細は分からないが、1人で15人近くの相手をしている。
更に敵と思われるその15人。
その反応がポツポツと消えていっている。

「まさか、凄い強いヤツが敵に居るのか!?」

【そればかりは行って見なくては分かるまい】

「ああ、敵かもしれないから気合入れないと」

その先にある、昼間に3人と挨拶をした広場。
そこが戦場だった。

「着いた!」

広場に入り、現状を確認した。
そこには1人の見知った顔。
ウォーターエレメントのフィルが1人立っていた。
敵は10人、察知した気配は既に3分の2まで減少していた。

「嘘・・・」

「あらシュンさん、こんばんは」

瞬の方を向き、にこりと微笑み挨拶をするフィル。
明らかに場違いな笑顔。

「今だ、かかれ!!」

その隙を指揮官が見逃すわけも無く、一斉に敵が飛び掛る。

「フィル、危な―――――!」

い、と言う瞬間。
その瞬間に少女は敵を跳び越えていた。

「知り合いと話もさせてくれないなんて・・・。
 意外に狭量なんですね」

目を瞑ったまま静かに口を開く。
それが終わった時、敵は10人から8人に減っていた。

「何が起こったんだ?」

【あの妖精・・・ただの妖精とは何か違うな】

「どう言う事だ?」

【分からぬ。
 ただ、何かが違う。
 そういえば、あの白い妖精も何かが違う感じがしたな・・・】

『誓い』と会話をしてる間にも戦いは続く。
2人が前から、残りが左右から挟みかける。

「やれやれ、いい加減力の差を理解して頂けると嬉しいのですが・・・」

また姿が消える。
現れた時には前の2人が金色の塵と化し、瞬の前に立っていた。

「シュンさんも神剣を使えるようですね・・・」

「あ、ああ」

「ここは大丈夫ですので、北のセーラさんの所へ行ってあげてくださいな」

「でも・・・フィル、後ろ!」

「知っています」

後ろからの攻撃を、振り向かずに剣でガードした。
瞬が此処に来てからフィルの目はずっと閉じられたままだった。

「マナが教えてくれますから」

「マナが?」

「はい。
 私は生まれた時から周囲のマナの動きが分かるのです。
 つまり私は全方位、360°動きを知る事が出来ます」

そのまま振り向かずに剣を流し、薙ぎ払う。
これで7人へと減った。
全てを知っているかのような流れる動作。
瞬や里のエレメントとは強さの桁が1つか2つ程飛び抜けていた。

「しかし、私もセーラさんが気になりますね。
 ここは早々に終わらせて加勢に行きましょうか」

ふわり、と。
その擬音語がしそうな程優雅に敵へと振り返った。

「殺せ・・・何が何でも殺せぇぇぇぇぇぇ!」

襲い掛かるエレメント。
数では負けるも、フィルのその強さは正に一方的な暴力だった。
ガードを掻い潜り一撃、回避を予想していた様に追撃をかける。
反撃する隙すら見出せず、7人のエレメントは1分も耐えられずに金色の塵となった。

「嘘だ・・・こんなバケモノ、存在するはずが・・・。
 まさか、こいつが神の仰っていた魔神!?」

「失礼ですね、最初に警告したでしょう。
 私を倒したいのなら、もっと強い者を連れて来なさいと。
 例えば・・・貴方の国の大将軍・・・
 そうですね、貴方は見逃してあげましょう。
 ですが伝言を御願いします」

「伝言だと・・・?」

「ええ。
 聖王国ロザリアの大将軍バンガント殿にですよ。
 ・・・これで舞台は整いました、踊れる日を心待ちにしております、と」

その台詞を言う瞬間、フィルから殺気の様なものが溢れ出る。
一部だったのかもしれない、全力だったのかも分からない。
ただ言える事、それは

「(・・・強さの桁が違う)」

「くっ・・・・!」

男が逃げる様に去っていく。
それを見届けると

「さ、シュンさん。
 セーラさんの元へと参りましょうか」

「あ、ああ・・・」

「あら、ダメですよ?
 レディーが誘ってるのですからもっと元気良く返事しないと」

そこには先程の戦いが嘘の様な笑顔を向ける青い少女が居た。

「・・・分かった。
 で、セーラさんは北西の方だな」

「ええ」

赤と青の一陣の風が森を吹き抜けた。








「あら、里の方にも動きがありますね」

「4人が北に向かってるな・・・。
 残るはセーラさんの所のみ、か」

「あの人の事ですから大丈夫でしょうが・・・急ぎましょうか」

「ああ。
 ・・・敵の残りも集まってきてるな」

「本格的に急いだ方が良さそうですね」

「と言っても、これが全速力なんだけど・・・」

「それでは、私が先行しましょう」

「宜しく。
 というか、フィル一人で事足りそうなのは気のせいかな」

「あらあら、他力本願はいけませんよ」

「分かってるよ」

「それでは、お先に」

そうして青い風は一層速度を増し駆けて行った。






「チッ、手間かけさせやがって・・・」

里の北に位置する森の中、戦いは終了していた。
周囲には30人近いエレメント、中央には気絶している青い女性、セーラ・ウォーターエレメント。

「そう言うなって。
 たった1人でここまで頑張ったんだ。
 他の奴等に比べれば大したもんじゃねぇか」

「ま、見てて退屈はしなかったがな」

ハハハ、と白い鎧の男が二人笑う。

「これだけの強さの悪魔を捕まえたんだ、褒美もたんまり貰えるだろうさ」

「んじゃ、帰って王に差し出すとするか」

手は縛られ、神剣も取り上げられた状況。
エレメントに担がれた時、4人の少女が森の中から現れた。

「お母さん!?」

「クッ、遅かったか・・・!」

黒い少女が刀を構えるが

「おおっと、こいつの命が惜しけりゃ神剣を捨てるんだな。
 俺を斬り殺しても構わんが、その前にコイツの首が飛ぶぜ?」

「・・・外道め!」

「これだからロザリアの連中は・・・。
 まったく、人質なんて恥ってものを知らないのかしら」

「・・・最低」

各々3人が神剣を捨てる。

「おい、そこの白いヤツ。
 神剣を捨てろ」

「・・・私は神剣なんて持ってないよ」

「はぁ?
 てめぇも悪魔だろが、例外なく持ってるだろ?」

「持って無いってば。
 ・・・あえて言うならこの―――――」

そう言い、隣の木を殴る。
少女の一撃なのに木は大きな音をたてて圧し折れた。

「―――――拳が武器よ」

金に輝く美しい眼で相手を射抜くように睨み、オーラフォトンを展開して威圧する。
いや、威圧しても状況は変わらないと理解しているのだろう。
その眼は光が宿っているのも関わらずに暗く、怒りと悔しさが入り混じっていた。

「おい、どうすんだよ・・・」

「関係ねぇ、仲間諸共縛って連れて帰るぞ。
 こっちが1人やられりゃヤツ等の仲間を1人やれば良いだけだ」

「な、なるほど・・・。
 へへ、んじゃ縛って・・・」

「バカセレ!
 どうしてアンタ一人ででも戦わないのよ!」

「仕方ないじゃん、皆が人質なんだし」

「セレ殿、我々に構わずに縄を破って・・・!」

「でも、それをしたら・・・セーラお姉ちゃんが」

「う・・・」

「ね?
 私が逆らう事は出来ないの」

「敵、1人来ます」

周囲のエレメントが気配を察知したのか、男に告げる。

「へっ、また来やがったか」

「人質見せてそいつも頂くか」

「残念、人質は返してもらうよ」

刹那、上空から降り立った1人の男が捕らえられた4人の周囲に居たエレメントを切り伏せた。

「な!?」

「セレ、縄破って3人を守るぞ!」

「え、シュン!?」

「早く!」

「で、でも、お母さんが!」

「そっちは大丈夫だから!」

セーラが捕らえられた方でも悲鳴が上がり、エレメントが金色の塵となる。

「何!?
 敵は1人じゃなかったのか!?」

「自我を失った者がそんな臨機応変に現状を伝えるものですか。
 言われた事を果たすだけ人形にしたのは貴方達でしょう」

「さて、どうしたものか・・・」

「・・・形勢逆転」

「美味しい所、しっかり持って行っちゃって」

縄を抜け、3人が神剣を手に取る。
何故バラバラに行動した瞬とフィルが連携を取れたか。
先行していたフィルは4人が到着した事を察してその場で待機。
マナを利用して会話を盗み聞き、瞬にそれを伝えたのだ。
後は瞬が敵を飛び越え、4人の近くに降り立った。
当然、気を取られた人間や自我を無くしたエレメントが続いてきたフィルに気付くはずもない。
例え気付いたとしてもフィルの速度には対応出来ないだろうが。

「は、ははは・・・。
 まさかシュンに助けられるなんて・・・」

「嫌だったか?」

「・・・そんなわけないじゃん」

セレが何かをボソボソと呟き、正面の敵に疾走した。

「あ、セレ!
 ・・・もう、前衛が居ないと神剣魔法使えないじゃないの」

「メトゥラ殿、我々が前に」

「・・・頑張る」

「あら、それじゃ御願いしようかしら」

「それじゃ僕、セレ、フィルはこっちの敵を相手にするから、メトゥラ、ティミス、リルは逆の敵宜しく」

「承知。
 シュン殿、御武運を」

「・・・気をつけてね」

「ま、怪我しないようにね」

「ああ、そっちも気をつけて」

そうして踵を返し、3人とは逆の敵の群れへと飛び込んだ。

「後ろ、少しは気にした方が良い」

1人金色の塵に。

「そう言うシュンだって、倒すときはしっかり倒さないと反撃がくるよ?」

また1人。

「2人とも、戦いの途中に何を言ってるんですか・・・」

「たった6人で・・・40人近い悪魔を相手にしているだと!?」

しかも1人は気絶している者を守りながら戦っている。
男達は知らない。
彼女達がこの里でトップクラスの実力者である事。
そしてもう1人の少年は、エレメントでは到底扱えないとされる第5位の神剣を所有している事を。

「何だ、何なんだこいつら!」

「とにかく逃げて報告を・・・!」

「さっきまでの強気の発言は何処行ったのかな?」

金の眼の少女がそう言いながら、最後の1人がマナの塵と化した。
男達は逃げようとするが、神剣の加護を得た者から逃げ切れるはずもなく、すぐに捕まった。

「・・・戦いに必死だったから気付かなかったけど、結構傷出来てるなぁ」

「ホント、だらしないなぁ。
 傷だらけじゃん」

「僕は戦う事なんて初めてなの!
 訓練とかも受けてないのに・・・」

瞬の体は細かい傷が大量に出来ていた。
そのまま地面にへたり込む。

「痛たたた・・・。
 あの数だと神剣魔法も使い難いわね、巻き込みそうで怖かったわ」

「・・・疲れた」

「メトゥラ殿、既に自分は巻き込まれたのですが・・・」

「あら、でもアタシも抗魔の印持ってるからダメージは大した事ないでしょ?」

更に3人傷まみれで到着。
もっとも、1人は仲間の手によるものが大半みたいだが。

「・・・怪我してないのはセレとフィムだけみたいだな」

「耐久力無いくせに、力と速度、勘だけは凄いからね」

「何よそれ!
 まるで私が直感パワーバカみたいじゃない!」

「・・・いや、ある程度は当たってると思う」

「うわ、シュンまで!」

「で、この人間はどうしましょう」

ひょい、と男を両脇に担いだフィルが顔を出す。

「んー・・・さっきまで酷い事されちゃったし?」

「逃がしては後々面倒な事になりましょう。
 やはりここは・・・」

「・・・皆の仇」

「3人とも、気持ちは分かるけど待ってくれ」

「シュン?」

「今此処で決めるより、縛って少しの間捕虜扱いにしないか?
 情報を聞き出すとか、使い道はあるはずだ」

「ロザリアの情報とか?」

「ああ。
 他にもエレメントの里を知ってれば、聞き出して注意を促す事だって出来る」

「そう簡単に情報を吐いてくれるとは思わないけど・・・」

メトゥラがフィルに担がれた男2人を見る。

「そうですね・・・。
 色々利用出来そうですので、捕虜にしてみますか。
 皆さんはどうですか?」

「ふむ・・・。
 シュン殿やフィル殿がそう言うのなら・・・。
 殺すのはそれからでも良いでしょう」

ギロリと殺気を込めて睨み付けるティミスシア。

「いや、有益な情報を吐いた場合は殺さずに逃がす」

「何故です!?」

「ティミス・・・殺されると分かったら情報も言わないでしょ・・・。
 どうせ殺されるのに情報なんて言うもんかーって」

「む・・・」

「メトゥラ、正解。
 10ポイント獲得」

「何よ、その10ポイントって・・・」

「いや・・・僕等の世界にあったクイズ番組のノリで・・・」

「はぁ?
 ・・・まぁ、シュンの世界の事はまた後で聞くとして・・・」

「お母さんも心配だし、里に戻ろっか」

「だな」

「・・・っと」

セーラを背負い、セレが里へ向かって歩き出す。

「そういえば、さ」

「・・・帰らないの?」

「いや、帰るけど・・・。
 牢屋って何処にあるんだ?」

「「「「・・・あ」」」」

メトゥラ、ティミスシア、リルレイア、フィルが同時に気付く事態。
暫しの沈黙の後

「アタシはこの里に住んで長いけど、牢屋なんて単語一回も出て来た事ないわよ?」

「まさか・・・縛って誰かが預かるの?」

「自分の家などに置かれては、大変困るのですが・・・。
 その、何かの拍子に斬ってしまいそうで・・・。」

何かに怒り、ティミスシアが刀を振るう姿が容易に想像できる。
瞬の頭の中では「容易に想像可能な行為=十二分にやりそうな事」と決まっている。

「・・・帰ってから決めようか」

「そうしましょうか・・・」

こうして、戦いの夜は終わった。
里は静まり返り、生存者は森から帰ってきた7名のみだった。



シュンと『誓い』の次回予告

「Chapter3終了、僕は自分を褒めたい。
 良く頑張った、僕!
 お疲れ様、僕!」

【いきなり何を言っておるのだ】

「だってそうじゃないか。
 いきなり殺されかけ、変な剣には操られかけ、あまつさえ殺し合いまでしたんだぞ」

【変な剣・・・とは我の事なのだろうな。
 最初はシュンが暴れなければ回避できたであろう。
 それよりも変な剣というのを訂正しろ】

「そんな事言っても仕方ないだろ。
 恩人達をあそこまで言われたのに怒れないでどうするんだ」

【結果殺されかけ、我に操られかけ、殺し合いをしたのだがな
 それにしても随分と殺したな・・・いやはや】

「うるさいな・・・今でも罪悪感を感じてるんだ。
 蒸し返すなんて性格悪いぞ」

【ふん。
 我を変な剣呼ばわりした挙句、無視した罰だ】

「そんなに気にさわったのか?」

【汝に分からんだろう。
 今まで契約者を支配し、また利用してきた我にとってはこれ程の屈辱は初めてだ】

「うわ、こいつ最悪だな・・・。
 神剣というより、本当に魔剣じゃないか・・・」

【ええい、さっさと予告とやらに移れ】




「さて、戦いもひと段落・・・してないのか」

【うむ、どうやらロザリアが別の国に侵略を開始したそうだ】

「場所は?」

【確か年長の青い妖精がガルバリア共和国、と言っておったな】

「そこって・・・エレメントが平等に暮らせる国じゃないか!」

【だからこそ叩くのだろう。
 奴等からすれば悪魔と共存する悪魔の国というわけだ】

「次回、Oath and Promise!
 Chapter4、 理想郷侵攻 -Utopia-・・・って僕一人で言ってるじゃないか、恥ずかしい!」

【一人で言うのも大変だな。
 傍から見ればさぞ滑稽な姿なのだろう】

「・・・何で言わなかったのかな?」

【我が言っても他人には聞こえまい。
 つまり、言うだけ無駄と言う事だ。
 それぐらい汝の頭で考えるが良い、愚か者】

「んな、さっき何て言った!?」

【む、聞こえなかったのか?
 愚か者、と言ったのだが・・・。
 我の声が聞こえないという事はありえないであろうから・・・まさか、理解出来なかったのか?
 ここまで愚か者とは・・・。
 いや、愚か者に失礼だなこの場合】

「ハ、ハハハハハハ」

【む、シュン、こら!
 意味も無く乾いた笑いを振り撒きながら柄に縄を結びつけて家の軒先に吊るすでない!】

「うるさい、このアホ剣!
 そこで雨風に曝されて風化しろ!」

【神剣は風化などせんわ。
 まして、風化してもどれ程の月日を要すやら】

「・・・セレ、僕等の世界にあった訓練方法を教えよう。
 うん、吊るされた物を殴って攻撃力を鍛えるんだけど・・・」

【むお!?
 シュンよ、その妖精はマズイ!
 我が砕けるではないか!!】

「ああ、砕かないようにだけ注意してな。
 あれ無いと戦えないから」

【シュン、貴様!
 あ、こら、妖精よ止めろ!
 ぐお、我が悪かった!
 だからこの妖精を止めてくれ!】


更新事項

登場キャラ
バンガント・ヴァスファーン
大国である聖王国ロザリアの大将軍。
詳細は不明。
フィル・ウォーターエレメントと何かの因縁があるようだ。


特殊スキル
樋山瞬
指揮能力W:部隊を指揮する際に必要な能力。この能力が高ければ高いほど部隊の能力に+補正が加わる。
単独戦闘:たった一人でも戦い抜く技術。このスキルを持つ者はオールラウンダーとして配置可能。

セレ
神速攻撃:敵に防御の間さえ与えない攻撃テクニック。行動回数が+1回される。
威圧のオーラ:オーラフォトンを開放し、敵を威圧する能力。敵部隊の全パラメータが-5%される

メトゥラ
マナ操作:周囲のマナを少し操作する能力。神剣魔法の威力を底上げする。
抗魔の印:神剣魔法を軽減するスキル。本人だけでなく、同部隊内の仲間も範囲に入る。(このスキルに重複効果は無い)

セーラ
単独戦闘:たった一人でも戦い抜く技術。このスキルを持つ者はオールラウンダーとして配置可能。

ティミス
神速攻撃:敵に反撃の間さえ与えない攻撃テクニック。行動回数が+1回される。
指揮能力V:部隊を指揮する際に必要な能力。この能力が高ければ高いほど部隊の能力に+補正が加わる。

フィル
心眼:周囲のマナの流れを読み取り、それを映像として捉える能力。敵の攻撃成功率を大幅に減少させる。
絶対攻撃:無駄の無いスマートな一撃。一定確立で敵の反撃をキャンセルする。
単独戦闘:たった一人でも戦い抜く技術。このスキルを持つ者はオールラウンダーとして配置可能。