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新たなる希望の光

第3話:行方の決め手!?




持っていた大剣を地面に突き刺し、エスペリアを抱き上げ悠人達のところへ行く。

「あ、あの...」

いきなりの事で少し動揺してしまう。そんなことは気にせず

「気にしないでください。今は怪我をしているのですから仲間のところに行くのが一番いいでしょう。」

笑顔で返され、そのまま沈黙してしまう。

止まっていた時が動き出したように、悠人達が走って近づいてくる。

「エスペリア!」

「エスペリアお姉ちゃん!大丈夫!?」

「エスペリア...大丈夫か?」

悠人達がいろいろ聞いてくるが、

「はいはい!皆さん落ち着こうねー。とりあえず地面に寝かせるから話はそれから。」

樹竜が大きな声を上げて全員にいう。ゆっくりとエスペリアを地面に降ろし寝かせた。

「ありがとうございます。」

「なんのなんの、困った時はお互い様といいますからね!気にしないで下さい。」

元気よく返事をする樹竜。初めて会ったというのにそれほど警戒心を持たない自分とアセリアたちに
少々疑問を持ってしまった。

(なぜかしら?敵とも思えませんし...)

考えるが答えは出ない。

すると唯一この人物を知っているものから声が出た。

「樹竜!なんでお前がこんなとこにいるんだ?」

「ムッ!こんなところとは失礼だな。せっかく困っていると思って助けに来たというのに。」

突き刺した大剣を取りに行きながら悠人の質問に答える。

「いやね、この世界に来てから北にある洞窟にずっと居たわけなのだよ。街に行けばもっと
良かったのかもしれないが、言葉が通じるという確証も無かった訳だから...」

真実と嘘を半々に混ぜながら話しているうちに少しずつ声が小さくなっていく

「樹竜?どうした?」

「...それなのに、それなのにお前ときたら。」

いきなり掴みかかり

「こんな美人やかわいい子に囲まれながら暮らしやがって〜!」

「そ、それは悪かったな...」

さすがにその発言には悠人も少し引いた。

泣きながら首を絞めていた。もちろん力は入っていない。日常で起こっていた事が今起きていて悠人
は心の重荷が少し取れた気がしていた。

「まぁ、冗談はさて置きこちらの女性の怪我を治さないとね。」

樹竜を見ながら考えているエスペリアの方を向き

「少しビックリすると思いますが、痛みはありませんから。」

笑顔で話す樹竜に僅かながら警戒心を持ちながらも、悠人と楽しそうに会話を交わしていた。そのこと
から少しは信じていい気がしていた。

だが、彼の行動からそうも言っていられなくなった。

持っていた大剣を両手でしっかり掴み

「お、おい...まさか...」

冗談だと思いながらも、悠人は呟く

気にせず樹竜はそのまま大剣を

突き刺した。

「っ!?」

何が起きたかエスペリアには分からなかった。ただ自分の腹の辺りに大剣が突き刺さっている、そう
見えるのだが痛みは感じない。

「樹竜!お前何やっているんだ!」

「お姉ちゃん!」

悠人とオルファが驚いて叫びながら近づいてくる。

だがアセリアだけは違っていた。普段の表情をしながらゆっくりと歩いてくる。

「二人とも...落ち着け。」

いつもと同じ喋り方でアセリアが声をかける

「アセリアお姉ちゃん!どうして落ち着いていられるの!エスペリアお姉ちゃんが刺されちゃったん
だよ。」

オルファは必死になって抗議する。

「あーー、なんか勘違いしているようだが少し静かにしてくれないかな?治療に集中できない。」

マイペースで話していく樹竜。

エスペリアの方を改めて向き、大きく息を吐き出し、目を瞑った。

そして、ゆっくりと突き刺さっていた大剣を抜いた。

「はい!治療はもう終わりましたよ。」

大剣を再び地面に刺して答える。

エスペリアは半信半疑ながらも動かしてみる。

すると今までの傷が嘘であったかのように消えていた。

傷が消えるのは神剣魔法でもあるからそれほど驚くことは無い。しかし今回は神剣魔法は使っていない。

「ふぅー」

樹竜はどういうことか剣を支えに立っている。戦闘では傷を負ったわけではなかったのだが、なぜか少
し苦しそうだ。

「大丈夫ですか?」

「...ん?あぁ平気ですよ。少しふらついただけですから。」

「すまない樹竜。疑ってしまって。」

「ごめんなさい、オルファも嘘ついているっておもっちゃった。」

後ろから悠人とオルファと呼ばれる少女のすまなそうな声が聞こえてきた。

「気にすんなよ悠人、誤解するような方法でやっちまったからな疑われてもしょうがない。オルファち
ゃんもあんまり気にしないでね。そうじゃないとお兄ちゃんも気にしちゃうからね。」

オルファの頭を優しくなでながら、二人に対して答えた。

「ところで先を急いでるんだろう急がなくていいのか?」

「そうなんだが...」

樹竜の言葉に口篭る悠人

「...?どうした?」

「樹竜!」

「な、なんだよ...!」

いきなり大きな声を上げ、すごい形相で掴みかかってくる悠人、ビックリして少し引いてしまう樹竜。

「教えてくれどうすれば、そんな力が入る!」

「ハッ?ち、ちょっと落ち着け、先に訳を話せ。」

肩に手を置きなんとか落ち着かせようとする。

「はい、深呼吸」

そういって深呼吸をさせる。それで少し落ち着いたのか先ほどの言葉の説明をおこなう。

「なるほどねー。ここに居る皆、城に捕まっている佳織ちゃんを守るために力が欲しいと。」

「あぁ。」

「そういうことなら僕なんかに聞くんじゃなくて、後ろに居る君の仲間に聞いた方がいいよ。実際この
世界に来たのはお前と同じくらいなんだから。」

「そうだな。」

そういって後ろで待っていたエスペリアに聞きにいった。

(悠人さすがに必死だな。佳織ちゃんの事もあるが、さっきの戦闘で自分が何もできなかったことが尾
を引いているんだな。)

(わかっていても何もできない悔しさは我にもありますから...気持ちは分かります。)

(...そうだな。)

【光源】と会話をしながら悠人の事を見ている樹竜。はっきりいってやることが無いから待っているだ
けである。

しばらくすると悠人はアセリアの剣と自分の剣を重ね目を瞑った。

(あれは何しているんだ?)

(どうやら少女が彼の神剣に会うための道を作っているようですね。)

(なるほどねー)

人生経験豊富な【光源】の言葉は重かったが、それを気にしない様に樹竜は気楽に答えた。

呑気に会話をしていると悠人の方から神剣の気配がしてきた。

「アセリアの剣、エスペリア、オルファ、樹竜の剣が感じられる。まるでレーダーでもつ
けてるみたいだ。これなら...戦える!!」

「私の剣が共鳴しています。ユート様は【求め】の力を使えるはずです。」

「わかった。」

「だが...」

樹竜の突然の言葉に振り向き。

「出来立ての力に過信しない様に、まだ慣れていないんだ無理に突っ込むようなことはするなよ。」

珍しく真剣な言葉に悠人も気持ちを引き締め

「わかった。」

「ん!わかっていればいいんだ。じゃあな頑張れよ!」

厄介ごとは御免!というように逃げようとする樹竜。だがその行動が分かっていたように悠人は肩を掴


「もちろん、手伝ってくれるよな!」

笑顔でいわれると心が揺れる。まだどの国にも属さないつもりでいたので悠人の言葉でも入るつもりは
無かった。だが

「お兄ちゃん、お願いてつだってー。」

「お願いします、ユート様のために力をお貸しくださいキリュウ様。」

「ん...頼む。」

三人の美女、美少女に頼まれてしまうとさすがに断りづらい。全員を見回して

「わ、わかったよ。君たちには負けた、今回から手伝おう。」

「そうか!」

軽く溜息を吐き、苦笑いをしながら樹竜は答えた。悠人は手を握りながら喜んだ。

「ありがとうございます、キリュウ様。」

「ん...」

「やったー!」

三者三様に喜びを上げている樹竜は軽く咳き込み注目を集める。

「仲間になったからにはちゃんと自己紹介しなくちゃね。僕は牧野樹竜、悠人と同じ世界の住人で永遠
真剣 第四位【光源】の使い手。よろしく!」

「私はエスペリア・グリーンスピリット、ラキオス軍のスピリット隊に属しており、永遠神剣 
第七位
【献身】の使い手です、よろしくお願いします。」

「オルファはね、オルファリル・レッドスピリットっていうんだよ。でこれは永遠神剣 
第八位 【理念】っ
ていうんだよ!よろしくねお兄ちゃん。」

「アセリア...アセリア・ブルースピリット...」

自己紹介が終わり樹竜の方から提案があった。

「なぁ悠人、このままぞろぞろ行っても見つかりやすいから二部隊に分けていかないか?」

「そうだな...どうするエスペリア。」

「そうですね、確かにその方がいいかもしれません。」

「ということだ、メンバーの方はそっちの方で決めてくれ。新参者はのんびりしていますから。」

そういうとアセリアたちの方に歩いていった。


しばらくするとメンバーが決った。悠人、アセリア、オルファそして樹竜、エスペリアの組に別れた。

「ではさっそく...!?...マズイな二部隊以上に囲まれているな。」

「!?どうする?」

「決まっている。撃破していくんだよ。」

「そうだな!」

「悠人、やはりここは全員を連れて先に行け。ここは僕一人で何とかしよう。」

「!?それは危険です!」

話を聞いていたエスペリアが入ってきた。

「大丈夫ですよエスペリアさん。時間が無いのでしょ?ならここは行くしかないでしょ?」

「だが...」

「悠人、僕を想ってくれるのはうれしいけど、佳織ちゃんまで危険にするつもりかい?」

「そ、それは...」

「大丈夫、僕もここで死ぬ気は無いから。後からのんびりと追着こう。」

笑顔でいわれる。それがいつもの余裕の顔であることがわかった。それだけで

「...わかった。」

「ユート様!?」

「だが、やっぱり先に決めたメンバーで行く!」

「!?だけど!」

「俺もお前を信じているんだ、お前も俺を信じてくれ。」

そういわれると信じないわけには行かない。

「わかった。だが気をつけろよ。」

「わかってるって。」

そういって二人は別れた。

「エスペリアさん、すみません。こんな危険なことに巻き込んでしまって...」

「気になさらないで下さい。私たちが消える事など...たいして問題ではありませんし。」

その言葉を聞き、樹竜はエスペリアの頭を軽く小突いた。

「キャッ!」

「そんな哀しいこと言わないで下さい。僕たちは誰が死ぬのも本当は嫌なんです。スピリットも人間も
関係ありません。ただ死んで欲しくないんです。」

「...ですが、それでも...」

「話は終わりです...来ますよ!!」

二人だけの戦闘。これで勝てるのだろうか...という心配があったが実際戦闘が始まるとそれが杞憂
に終わる。










第三話完





後書き

やばいやばいと想いながらも遅れて出してしまった。だが授業も来週で終わり!次回はもっと長い
SSを書けるようにしたいなー。ちなみに本当はもうレスティーナと樹竜が合う予定だったんですが、
それは次回のお楽しみということで...では!!

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