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新たなる希望の光

第1話:『永遠神剣』




光に飲み込まれた樹竜はその時起こった衝撃によって、気を失っていた。

『使えないお前に用はない。』

夢の中、小さな時の思い出が浮かんでくる。

『少し出来たからといって調子に乗って!この役立たずが!』

小さな樹竜に対してのあまりに理不尽な虐待。

『あんたなんか私の子供ではないわ!』

小さい子供にとって何よりも辛い言葉。

『何で生まれてきたんだろうなお前。』

親、兄弟から訳も解らず嫌われる。それは耐えられるものではなかった。

他の者に比べ勉学、武道、教養、礼儀どれをとっても優れている樹竜は妬みの対象でしかなかった。

しかし樹竜はどんな時でも耐えてきた。自分が忌嫌われる存在だとわかっていても。

そう、小さい自分が家を出たとしても頼るものは何もないのだから。

そんな生活をしている時、高校に進学を考えていた樹竜に対して親は

『これで義務教育も終わったんだし、無駄なことをしないでさっさと出て行ってくれないかしら。』

この言葉は樹竜に対して喜びの感情を出させるには十分だった。

そう、これでこんな家ともオサラバできると思うだけで胸が躍りそうだった。

高校の学費、その為の生活費はいろんなバイトをしながら貯めていたので出る準備は万端だった。

そんな時、親戚のうちの一人、いつも優しくしてくれていた人から連絡があった。

『高校は、家の近くの所を通うんだって?ならこちらで一緒にすまないかい?』

その言葉は樹竜にとって何よりもありがたい事だった。何より一番信頼していた人がわざわざ自分の
ために声をかけてくれているのだから。

樹竜は二つ返事ですぐ引越しの準備をした。住む場所が決まったのだから、こんなところから一刻も
早く出て行きたかった。

これが樹竜が悠人達と出会う前の話である。













光に飲み込まれてからしばらくたち、樹竜はようやく目を覚ました。

目を開き、まず入ってきたものは、紛れもない宇宙であった。

テレビで見てきたものとは違い一方向だけではなく、全方向に大きな星、小さな星、様々な惑星などが
樹竜の目の前に広がった。

(なっ!?なんだここは?光の先が宇宙?バカな!こんな話があってたまるか!)

あまりの事態に普段では考えられないほど樹竜は混乱していた。

そんな時、目の前に小さな光が生まれその中から見たことのない玉が現れた。その玉は樹竜が今まで
見てきた物の中でも最高といっていいほどの出来栄えをしていた。

「な、なんだこれ?」

先ほどのシリアスな考えとは違い、あまりに間抜けな反応をしてしまった樹竜。

『主よこの時をずっと待っていた。』

「!????」

目の前の玉がいきなり話し始めたことに驚いてしまう。

『我は現在、永遠神剣 
第一位【光源】 全ての光を司り、癒しと破壊を与えていくもの。』

「永遠神剣?...あれ?それって、確か夢の中に出てきた声がそんなこといっていたな?」

『そう、あの時にも主に対して夢の中という形ですが連絡をしました。』

「そうだったのか。って、チョイいっと待ってくれ。」

【光源】をいろんな角度からジロジロと見る。

「玉、だよな?何で神剣なんだ?」

『神剣というのはただの名称に過ぎません。その形は様々なのです。』

「そうなのか?まぁそれならそれでいいんだけど...」

『わかって頂けて幸いです。』

「うん。ところで早速で悪いんだけど。僕が何でここに呼ばれてきたのかサッパリわからないんだよね。
そこの所の理由と、あと、その永遠神剣の説明なんかしてくれるとうれしいなー、なんて。」

『わかりました。ではまずここに来た経緯から話しましょう。』













一通り説明を受けた樹竜は確認するように【光源】に話しかける。

「つまり、悠人、光陰、今日子、瞬、佳織ちゃんの五人が僕らの言葉で言う異世界に飛ばされたと
いうこと?」

『そうです。そしてその内の4人が第六位以上の永遠神剣の持ち主となっています。』

「その近くにいた僕がちょうど間の悪いところにいたから飲み込まれてしまったと。」

『はい、ですが少し違うところがあります。本来なら飛ばされることがないはずの主でしたが、私の
力も交わり少々扉の範囲が広がったのです。』

「なるほど。」

再確認するようにうなずく。

「一応これで僕がここに来た理由がわかった。」

『すいません。主には悪いとは思ったのですが、この機会を逃すと会うことはもう無かったので強引な
方法をとってしまいました。』

「いや、その事はもういいよ。では話を先に進もうか。」

『わかりました。』

「永遠神剣についてだが、第九位が最低、順位が上がっていくごとに神剣の強さも違うということだ
な?」

『そうです。』

「そして第三位以上の神剣の持ち主がエターナルという永遠の命を得たものになる。」

『はい。現在はこの情報だけで十分でしょう。』

『フムッ』っと手を顎に当て、確認するように頷く。

「そうか。しかし一つ気になっている事があるだが、いい?」

『何でしょうか主?』

「さっき【光源】、あなたは『現在 
第一位』といったような気がしたが、それはどういう意味だ?
説明にあった、剣位吸収型という奴か?」

『それは違います。私は任意で剣の段階を変えることができるのです。ただし最低が第六位までと
なりますが。』

「なるほど、そういうことか。」

やっと納得がいったという顔をした樹竜、そこに

『ところで主、我と契約をしていただけますかな。』

「そのことか。それは別にいいが、一つ条件がある。」

『それは?』

「なに、簡単なことだよ。ただエターナルになるつもりはないと言いたかっただけ。」

『!?それは!』

「いやいや、まだ完全にならんと言っているわけではない。ただこれからやることにエターナルという
肩書きはでか過ぎるという事だ。」

『そうですか...わかりました主の条件を飲みましょう。』

「悪いな。」

『いえ。ところで主、段階の方はどうしましょう?』

「そうだなー。確かエターナルにならないのは第4位までだったな。ならそれにした方がいいだろう。」

『わかりました。それでは早速変化を行いましょう。』

「どれくらい時間はかかるんだ?」

『それほど時間はかかりません。』

「そうか。ならすぐ頼む。」

話が終わってすぐ【光源】は眩い光を放った。すると三メートルぐらいの大きさだった球体が、
テニスボール位の大きさまで小さくなってしまった。

樹竜はあまりの変化の大きさに驚きの表情を隠せなかった。いや、正確にはバカ面である。

「あのー、ですね【光源】さん。それはあまりにも変化させすぎではないでしょうか?」

『いえ、正確にはもう少し小さくなるのですが...大体いいでしょう。』

「ここまで差があるものなのか?」

見せつけられる一位と四位の差に珍しく真剣な表情のまま呟きを漏らしてしまった。

気を取り直し樹竜は真剣な表情のまま

「変化は終わったようですね。なら契約ってどうやるんだ?」

『はい。私を持ち、胸に押し当ててください。』

「こうか?」

【光源】を持ち、胸に押し当てる。すると胸の中に吸い込まれるように入っていった。

「なんかモヤモヤするが、これで終了か?」

『はい、そうです。』

フム、といいながら屈伸、ジャンプ等、様々な動きをしてみる。

「なるほど、全体的に身体能力が結構上がってるな。ところで武器とかは無いのか?」

『いえ、武器は主の想像によって出現します。しかし、現在の第四位の状態では武器は一種類しか
決められません。ですから慎重にお願いします。』

「そうか、なら使い慣れている剣だな。」

右手を前にかざし、目を瞑り集中して剣を思い浮かべる。

すると右手に光子が集まり剣の形を成していく。

目をゆっくり開けると、白銀の大剣が樹竜の手に収まっていた。

重さは感じなく、手に馴染む感じが好ましかった。

「剣はこれでいいだろう。後は力の使い方だが、【光源】なんかした?どんな能力だが頭に入って
いるんだが?」

『はい、契約と同時に我の能力全てを主の知識として認識させました。全てとはいきませんが、それは
訓練か戦っていくうちに覚えていくでしょう。』

「そうか......なら早速行くとしますか!」

『わかりました。では門を開きます。』

(さて、まだ見ぬ新天地へ行ってみますか!)


















第一話完










あとがき
  
 皆様どうも日々一生懸命にわかりやすく面白い文を提供しようと心がけているマスタです。

さて、今回は樹竜と【光源】との出会いを中心としてみました。本当ならここまでが序章の

つもりだったのですが、やっぱこれがオリキャラとして重要だろ!と思い一話目にしてみました。

2話目(実際、半分ぐらい終わってます。)には悠人たちがちゃんと出ます。期待して待っていて

くださいね!ではここで、この話の主人公と永遠神剣のことについて書きますか。


名前) 牧野 樹竜

性別) 男

年齢) 17

詳細)本編の主人公。小さいころに虐待を受けたが、そんな感じを見せない明るさは全ての人を和やか
  
   にする。本来優しい性格ではあるが、怒らせてしまうと誰にとめることは不可能である。ちなみ
   
   に、本気で起こった時には瞳の色が赤くなってしまう。この時、身体能力も爆発的に上がるが、

   それと控えに使用終了後から24時間、体中に激痛が走ってしまう。


永遠神剣【光源】

形)  玉(主の創造によって色々な武器に変化する。しかし変化を行うために武器を一度元に戻さな

      ければいけない。)

詳細)永遠神剣の中で唯一、任意で順位を変化させることができる。【光源】は全ての光を支配する事

   ができるのである。例えば防御や攻撃、サポートでも使える『オーラフォトン』があるが、【光

   源】の前では無意味である。それは『オーラフォトン』で使われている光の波長を変化させ、力

   を無効化したり、逆に自爆させるといったこともできるのである。攻撃では光を極限まで凝縮し

   て作る武器、オーラフォトンはほぼ無敵といい手も過言ではない。しかも同じ第一位の【運命】
   
   であっても【光源】にかつ事は難しい。

   (今の第四位の状態ではそこまで強くは無い。)




  とこういった感じですかね、それではまた...........

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