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 いよいよ対サーギオス帝国戦が始まった。 

 

 と言ってもやる事に別に何ら変わりはなし、所詮はLvが30にも満たずアイスバニッシャーもXまでしか使えぬ連中どもよ、

正直何だかもうどうでもよくなってることだしこのまま一気に突っ切る! 何? 現実を見ろ? 逃避するな? うるさい! 

知った事か! もう嫌なんだ! 現実を見るのが! 何故か訓練士になっている自称大天才様とか!

何故か技術士になっている自称マスター・オブ・マナ消失とか! スケスケのオーラを使う友人とか!

その他にも色々ありすぎて中間管理職の俺は心労が絶えない! これって労災効かないのかよ!

ああもう、バカ剣! 今からでも遅くない! 今すぐ俺をイービルルートに導いてくれええええぇぇ――――――!

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

永遠のアセリア外伝 BADエンドの如く白昼夢であれ

〜しかし世の中には覚めない悪夢もあるわけで〜

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 サーギオス戦は特に滞り無く進んだ、まぁスピリットのみんなが奇妙奇天烈な技をかましまくるのだ。

 敵さんも戦略の立てようが無く成すすべなくマナの塵に、アーメンソーメンヒヤソーメン。

 ちなみに自分は重症のため今は前線に出ていない、理由? 語るまでも無い。回想VTRスタート!

 

 

 

「ごめん今日子! あのときは思わずノリで! つい手が……いやプレイヤーの意志がかかってて……!」

「……悠? 別にアタシは怒ってないよ。男なら、いや漢ならあの選択はしょうがないことだと思っているし」

 おおさすがは今日子! CGのコンプリートがどれだけ大切な事かよく分かっておられる!

「でもね? 世の中にはね? 落とし前をつけなきゃいけない時ってのがあるのよ悠、だからとりあえず……」

「とりあえず?」

 

「指つめてもらおうか」

 

「ひぃっっ!?」

 何デスカ今日子さんその言葉! いつの時代の暴力団の言葉だよ! つーか指無くなったら剣持てない!

さらに言うとマウス握れないからPCギャルゲーが出来ない! もっと言うと一人遊(報道規制がかかりました)

 キーーーン。

(も、『求め』の契約者よ! 助けてくれ!)

 なんと『空虚』まで怯えきっている! マジですか!

(人間というのは一瞬とはいえ我々の力を)

「それはもういいっ! 何とかしろバカ剣っ!」

(『求め』! ちょ、ちょっと大マジで助けてくれ!)

(『空虚』は戦いを放棄した……『因果』もだ……ついでに我もだ)

「(う、裏切りやがったっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――!)」

「おら『空虚』! いつまで呆けてやがる! 仕事だ!」

(ひぃぃぃいぃいいぃぃぃぃぃぃぃぃっ! は、はいぃ女王様!)

 女王様!? そう呼ばせているのか!?

「食らっとけ、ピッピ●チュウ直伝一千万ボルトぉぉぉぉぉ―――!」

「んなっ!? ピ●チュウは十万ボルトまでしかアァァァァァ―――!

 

 

 

 ――以上、VTR終了。今に至れ。

 つまり、なんだ、あの後『求め』・『空虚』・高嶺悠人の3人で被害者友の会が結成されたのは偶然ではなく必然だというわけだ。

 件の今日子さんも至って問題無し、某大海賊漫画の雷神さん並みに敵兵に裁きを下してらっしゃる。もしかして心綱とかも

持っているんじゃなかろうか?

「よっ、悠人。ごくろうさん」

「お前が毎回あの電撃を食らっていたのかと思うと正直同情、そして尊敬するよ」

「え、何でだ? 気持ち良いだろアレ」

「Mかお前は」

「はっはっそれはどーかな、 ! おっと敵さんの登場だ。覚えたての新技を試すいい機会だぜ」

「ああ……また1人犠牲者が……」

「おっと落ち込むのは早いぜ悠人、この威力を見てもそんな事が言えるかな! 行くぞ新技、『ゲイル』の進化版『サイドル』!」

「既に嫌な予感しかしないのは俺だけか!?」

 えーと、サイドルってどういう意味だったかな! 確か学校でのテストの問題で見たことがあるような……

 

 

 ”sidle”:[動](おそるおそる)にじり寄る  [名]横歩き、にじり寄り

 

 ちなみに

 『にじりよる』(躙り寄る):すわりながらじりじり寄る。じわじわと相手に迫り寄る。

 

 

「やっぱし!」

 つーかそんな単語がテストに出る俺の学校って一体!

 そしてヨーティア、お主は本当に何を教えておるのじゃあぁぁぁぁぁ!

 

「敵だね、ボクはいつでも大丈………………夫じゃな〜い! 何なのコレ〜!」

 両手をワキワキさせながら絶妙なスピードで詰め寄る光陰、その姿まさに変質者の如し。

 どうやら敵スピリットもなかなかのロリっ子だったらしくボルテージどんどん上昇中。

 しかし一瞬で相手の年齢を看破するその観察眼だけは本当に敬意に値する。

「うおーーーーー! もう辛抱たまらーーーーーんっ!」

 そう言ってエトランジェパワー全開で飛び上がり、ル●ンダイブよろしくその上回転まで加え、もはや人間ドリルと化した光陰が

今まさにスピリットの肢体に突き刺ささらんとする―――――!

「本当にこりんやっちゃなこんの真性炉理M坊主はー!」

Interrupt!

 

 なんとサポーターの今日子さんから雷が飛来! 見事バニッシュは成功し光陰含む敵スピリット隊は黒炭となった。

「へっ……どうだ悠人……キマってただろ……? ごふっ」

「確かに、お互いの『キマる』の意味はまるで違っているだろうけど」

 

 

Lv17 サイドル

属性 緑  アタックタイミング  ターゲット 変(態)E(EROのE)

対HP(エッチポイント) 120%

MB 0〜100  マインド+99

最大回数16 行動回数16

 (ヤケになった)『因果』にはロリを求めようとする能力がある。ただ契約者の本能を単純に増強するのみ。

 だが、肉体、精神ともに狂人な光陰はそれで充分なのだ。一飛びの高さはエトランジェ最狂。にじり寄れ!

 ただし、男キャラ・年増には発動しない。

 

Lv17 天誅と書いてオシオキブラストと読め

属性 物理  インタラプト  ターゲット 割F

対HP 99%

MB 0〜100  マインド+49

最大回数16 行動回数16

 光陰が『サイドル』を発動した時サポーターに今日子が居る時のみ発動。

光陰含め雷を落とす、容赦なし、骨も残らないと思え。

 まったく今日子がSに光陰がMと来てはバランス良すぎなんだよねぇ、

将来どんな子供が生まれるか楽しm『バリバリ!』ギャー! 何か飛んできやがった! アー!

 

 

「敵が来たぞ!」

 ケガも治り最前線に復帰したのはいいが敵は休んでくれるわけがない、といきなりそこでヨーティアから神剣通信が入る。

『だいじょーぶだユート、そこでじっとしていな』

『バシュッ! バシュッ!』

 すると目の前で何故か敵が消えた、何が起きたのかと考えていると再びヨーティアから神剣通信。

「マナ消失さ、地面にトラップが仕掛けてあって踏むと超小型のマナ消失が起きる仕組みなんだよ」

 既にこの時点でこれを作った犯人が予想できるがまだツッこまないでおく。

「そんなことしたらマナの最大量とかが減ってしまうんじゃないのか?」

『そーれが上手いこと出来ていてね、この時に無くなるマナ量はエーテルをマナに戻す時に僅かに無くなるマナ量と大差ないんだよ』

 ふーん、それなら多用さえしなければ問題なしか。さすがマスター・オブ・マナ消失、その異名は伊達ではない。

『昔、誰かさんが好きだった道具でね……マナの使い方がなっちゃいないのさ、おまえと同じでね……』

 ちなみにヨーティアにはクェド・ギン生存のことは言っていない、ケンカになりそうだし、そのとばっちりは俺に来るんだし、

これ以上悩みの種を増やすのも、同じように中間管理職でストレス貯め込んでハイロゥが黒くなりつつあるエスペリアを見るのも

もうごめんだと言う事で頼んますマジ。

 実際この前淹れてもらったお茶スゥータスの実が入っていたぞ、無論丸ごと。

 

 戦闘開始後スキップ機能にてすぐに黒ずんでいくライフバーを横目に問題無くトーン・シレタの森に到着。

 そういやここは一部のヒロインにとって重要な場所だったな、ウルカの部下を引き連れたりエスペリアを持っていこうと

ソーマ・ル・ソーマのおっさんがどこからともなく

「ソーマ! クールポーズ!」

ジャキイイイイイイン!

 

「…………………………OTL」

 

 

ただいま、再び報道規制がかかっております。しばらくの間、BGM:徹●の部屋 でお待ち下さい。

 

ル〜ルルッルルル ル〜ルルッルルル ル〜ル〜ル〜ル〜ル〜ル〜♪

ル〜ルルッルルル ル〜ルルッルルル ル〜ル〜ル〜ル〜ルルッル〜テララララン♪

 

 

 

「…ト殿! ……殿! ………ユート殿! しっかり!」

「はうぅうぅっっっ!? 夢!? 今のは夢か!」

「いーや、夢では無いですよ。現実を見なさいハリガネボーイ」

「うわあああああああああああっ!? お化けーーー!」

 思わず月並みなセリフが出るくらい驚いてしまった! だ、だって目の前にソーマがっ! 死んだはずのソーマがぁっっ!

「お化けとは失礼ですね、私の名前はソーマ・ラ・ソーマ、ソーマ家の長男です」

 へ? 長男?

「そして私がソーマ・リ・ソーマ、ソーマ家の次男です」

「おわあっ!」

 いきなり背後からにゅっと現れる影! なんつーか見分けつかねえ!

「続きまして私がソーマ・レ・ソーマ、ソーマ家の四男です」

 さらに背後からもう1人! 古いマジックじゃあるまいし不気味この上ない。

 さあ今度は上からか下からか! もうどうでもいいから早くしてくれ。

「最後に私がソーマ・ロ・ソーマ、ソーマ家の五男です」

 普通に現れた、自分身構えていただけに格好悪い、どうやら五男は他のヤツに比べて控えめなのか。

 

「「「「5人揃って、変態戦隊略して変隊『ソーマ・ザ・ファイブ』!」」」」

『ズドォォォォン!』

 背後で鳴る戦隊物おなじみの爆発音! ポーズを取るソーマたち! 逃げる俺ら! ごーあうぇい!

「待ちなさい! 何で逃げるのです!」

「当たり前だ! ただでさえ気味の悪い面が4人分も並んだら誰だって逃げるわ! 子供たちも泣くぞ絶対!」

「くーるじゃないくーるじゃないくーるじゃないくーるじゃないいいぃぃぃぃぃぃぃ!」

「シアーもこわいぃぃこわいぃぃこわいぃぃぃくーるじゃないいいぃぃぃぃぃぃぃ!」

「パパァこわいよころしていいていうかもうころしてやるんだからぁぁぁぁぁぁぁ!」

「いいから帰れイロモノ! だいたい四人しか居ないのにファイブとは何事だ!」

「あなたが殺したんじゃないですかエトランジェ! 三男のソーマ・ル・ソーマを!」

「ええ!? じゃあやっぱりおまえら実は五つ子だったとか!?」

「ええそうですよ! 中でもソーマ・ル・ソーマは我が兄弟の中でも随一の変態でした!」

 それは誇る事なのか!?

「とにかく! おまえらのような腹出した微露出狂変態学者を野放しにしておくと気持ち悪い!

わいせつ物陳列罪にて速やかにキモ・速・斬!」

「許さないのはこっちの方です! 三男の敵、討たせてもらいますよ!」

 そう言って俺を取り囲むソーマ4兄弟。

「ふふふ……完全に包囲しました、これでもう逃げられませんよ……!」

「誰が逃げるか……う!?」

 何という事だ、ただでさえまともに見るのも嫌なあの顔が俺を完全包囲している……! 何処を見てもソーマソーマソーマ!

嫌だ! ここに居たくない! 凄く逃げ出したい! ラキオス国王よりもむかつく顔の四重奏! このままでは……っ!

(契約者よ! 早くここから退避させろ! うぇっぷ……おえぇ〜〜)

 うわぁ『求め』までまいってるよ! 他の皆も気持ち悪さのあまり動けないっぽいし、アセリアまで半泣きだ。

「「「「どどどどうしましたかララララキオスのエトラララランジェ、このののの程度でおしままままいですかかかか?」」」」

 4人分微妙にずれてユニゾンして聞こえる声! もう許してくれっ!

「「「「はははははははははははははははh『ズドバキャッ!』」」」」

 ――え?

「「「な、何事です!」」」」

「……ふふ、うふふふふふふ」

 も、もしかして……っ!

「「「「エ、エスペリアッ!?」」」」

 声は俺とソーマ三人分、一人は既にお星様の彼方。

 

「アラソーマサマ、コンナトコロデアウナンテキグウデスネ、ソレニシテモゴニンキョウダイダッタトハ、ハジメテシリマシタ」

 

 どうやら大量のソーマの出現がエスペリアのどこかをおかしくしてしまったらしい、エスペリアファンはただちに

ブラウザを閉じるんだ! もしくはこのSSの半径2mあたりからすぐに離脱しろ!

 

「コノマエコロシキッタカトオモッタノニ……マダイキノコリガイルトハズイブントシブトイノデスネ。ゴアンシンヲ、

コンドコソハカクジツニ、ソリュウシレベルマデチリニカエシテアゲマス……………!

アア、アトサンカイモソーマサマヲコロセルナンテマルデユメノヨウ――――――――――――――――――――――!」

 

 

 

 ここからしばらくは、音声のみでお楽しみ下さい(元よりそうだろ)

 

 

 

「ソーマサマ? ココロヤスラカニキイテクダサイ」

「「「ひいぃぃいいぃいいぃぃいぃいぃいいぃぃっ!?」」」

「ニガシマセンヨ? サアソコニハイツクバリナサイ!」

「ユート危ない!」

「うわっ! ……さんきゅ、アセリア。ていうか今のセリフは本来サーギオス城内で使われるセリフのはずなのにっ!」

「ソノヨウナタイドハイタダケマセンネ? ドウヤラシツケガタリナイミタイデス」

「アセリアッ! エーテルシンクで行動制限をかけるんだっ!」

「だめっ、効かないっ! 無効化されたっ!?」

「クエマセン、クエマセンヨコンナモノハァッ!」

「こ、光陰! トラスケード! 大マジで俺らに!」

「あ、ああっ! 悠人! 今回のルートエスペリアだけは選ぶなよ!」

「承知!」

「アトヒトォォォツ! アトヒトォォォツ!」

「「「ユートさまぁ〜! バニッシュできないよ〜!」」」

「くそっ! ネリー+シアー+セリアの3連アイスバニッシュでもダメか……! ん? 今何かおかしかったような……」

「気のせいでしょうユート様。それに、もう決着はついたようです」

 

 

「……えーと、その、あの」

 こういうときは何と言えば良いのか。さながらミートソース状態のエスペリアに向かって何と。

「ア、アセリア。何か言ってくれないか」

 思わず他人に振ってしまった。

「ん、エスペリア。いつのまにレッドスピリットになったんだ?」

「ツッコミどころが違う!」

 と、ゆっくりとこちらを向くエスペリアさん。良かった、どうやら北京原人並みに理性はあると見える。

「……つ」

「「「「「「「「「「「「「つ?」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

「ツギハ、キサマラカァァァァァァァァァァァァァァッ!」

「「「「「「「「「「「「「ぎゃーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」」」」

 

 その後、キングコング、じゃなかった、エスペリアをなだめるのに3秒、挫折するのに1秒、捕獲用檻を作るのに3分、

ラスクの写真をエサに檻の中に誘い込むのに3日間、反抗期が過ぎるのを待つまで1ヶ月、既にターン数はこの戦いだけで

200を超え、SSランクが不可能になりきった今日この頃、四方八方飛び回るエスペリアを見ながら、お茶を啜るのであった。

 

『ずずずぅ〜っ』

「……風流だなぁ」

「どこがですか」

「や、セリア。俺に怒っても」

「……それもそうですね」

「キキーッ! ウキキーッ!」

 

 

 

 

 

 ――さて、いろいろあったが、本当にいろいろあったが、忘れたいくらいいろいろあったが、サーギオス城前に着いた。

「ああ……長かった、ほんっと〜に長かった」

「ユートさま、本当にいつのまにこんなにもの時間がたってしまったのでしょうか……? 私はほんの数十ターン分ぐらいしか

戦っていた記憶は無いのですが……」

 そりゃあ無いだろう、まああの時の記憶が残ってなかったのは不幸中の幸いだ、いくらエスペリアでもあの時のことを

覚えていたらただじゃすまなくなっているだろう……

「気にするなよ、ちょっと画面表示がバグったんじゃないか?」

「そうなのでしょうか……?」

「それよりも、今はサーギオスをどう攻めるかだけど……」

「ん……ユートは、怖くないのか?」

 おお、本編通りのセリフを正しい場所で聞くのは久しぶりだ。だけど、だけどな。

「正直な話、アセリアは怖いか?」

 我ら、すなわちLv99。相手、すなわちLv30未満。

「……そうだった」

 うむ、アセリアも分かってきたようだな。システムと言う名の神剣支配からの脱却方法を。

 

 というわけで、城中での戦闘も鍛え上げた各自の華麗なる技で切り抜け……

「なでなでなで♪」

 華麗なる技で切り抜け……

「斬・鉄・剣!」

 切り抜け……

「ブラスケード!」

 ……うわーん。

 

 

『バンッ!』

 思いきり皇帝の間の扉を開く!

「……え〜とう〜んとその、ああ! 瞬! 決着をつけに来た!

それでえ〜と何だったっけな、ここまで出かかってるのに……あ、うん! 佳織を返してもらうぞ!」

「……悠人、今の いかにも僕たちの名前を忘れちゃって思い出すのに苦労しました な喋り方は何なんだ?」

「……ゴメン、マジで」

「お兄ちゃん……ヒドイよぅ」

 だってしょうがないだろ、もう、大切な義妹の名前さえ忘れさせるくらい強烈な出来事が続きまくったんだから。

「フン、そんな薄情な奴に佳織を渡すわけにはいかないな」

 うう、ごもっとも。

「で、どうするんだ瞬? 俺とお前のLv差は歴然。体力の数値の桁すら違う俺に勝てるつもりか?」

「無論だ、悠人、僕は頭の悪いお前とは違ってね、策なんていくらでもある。例えば悠人、これな〜んだ?」

「なっ! ……それは! PS2版の初回限定版に同梱されていた永遠のアセリア設定資料集! うらやましーっ!」

「隙があるぞ、悠人ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「のわっ!?」

「ちっ……かわしたか」

「くっ……なんと卑劣な! 純粋なファン魂を利用しやがって!」

 実際このSSの作者も欲しがっているのに!

「瞬……おまえだけは許さないっ! いくぞっ! 幻の技! 『ホーリーU』!

 精霊光のオーラが俺を包む。

「フン、それのどこが幻の技なんだ?」

「知らないのか? 俺のサポートスキルである『ホーリー』は、TとVだけあって何故かUは無いんだっ!」(PS2版未確認)

「「「な、なんだってーーーーーー!?」」」

「見たか瞬! この技でおまえを倒す!」

「いやでも悠人、いくら幻の技でも『U』なんだから『V』よりもは低い、良くても同程度の能力なんじゃないのか?」

 冷静なツッコミを入れる秋月 瞬、それに対し。

「し、しまったぁ!」

 アホか、いやアフォか。このような感想を持ったのは誰であろう? 恐らく全員である。

「相変わらず頭悪いな悠人!」

 うわーん反論できねえー

「相変わらず頭悪いですねユート様!」

 うわーんセリアにまで言われた顔上げられねえー

「ん……へたれ」

 うわーん! アセリアまでーーーーー!

「そんなエセ幻技これで始末してやる! マナよ、僕に従え。オーラとなりて、敵をぶち殺せ

 これは……オーラフォトンレイの準備……!

「行くぞ悠人……!」

 

 

 

「オォォラフォトンッ、礼ッッ!」

 

「礼!?」

 

 

『ガッツーーーーーーン!』

 

 容赦無く繰り出されたオーラフォトンを纏うおじぎ! もちろん手は体の真横ピンッと真っ直ぐ! 足も伸ばしつま先は少し開いて

おじぎの角度は60度ぴったり! 最も理想的な礼の仕方だ!

「あ痛ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 凄く痛い! Lv99の俺でも凄く痛い! こんな技を習得してやがるとは、秋月 瞬、なんという男……!

 

 

 

「ううぇあ痛っつあああ! おのれ悠人おぉぉぉぉ!」

 

「「「「「もっとアフォが居たぁーーっ!」」」」」

 

 こいつ本当に瞬か? ここまで頭悪く無かったはずなんだが。

「とにかくよくもやってくれたな瞬! こうなったら俺もヨーティアから結局教わった新技で対抗してやる!」

「な、何だと!」

 気合を入れて思いっきり叫ぶ!

 

 

「行くぞっ! ホーリーの上位スキル! フォーーーーー! リー!」

 

両手を上げ腰をひねりあのポーズをとる! さぁ瞬、バッチこーい!

 

 

「「「「「「「「「「「「「「……OTL……」」」」」」」」」」」」」」

「みんな! 黙らないでくれ! むしろこんな技しか教えてもらえなかった俺に同情してくれぇぇ!

 半泣きになって叫ぶ、悪いのは俺じゃない、あの大天才様だ!

「とにかく行くぞ瞬! うおぉぉぉぉぉぉ!」

 腰をダンサブルに振りつつ瞬に迫る! 両手は後頭部に当て本家HGよりも激しく振りまくる!

 

「……はっ! そ、そんな見かけに騙されるものかっ! ならばこちらもだ! オォォラフォー! トンゲイッ!」

「な、何だとぉっ!」

 何と瞬まで腰を振り始めやがった! こうなったらどっちが最後まで腰を振っていられるか勝負だ!

「こんなところで腰を振り振りか……馬鹿げてるけど、仕方ない、うおおぉぉっ!」

『誓い』よ。腰に力をッッッ! 全てを腰を振る為に使う力をっ!」

 今ここに、時を越えて選ばれた四神剣の勇者たちの、腰のぶつけ合いによる最終決戦が始まった―――!

「バカ剣ッ、いちいち腰を小振りにさせるな! こんなところで止まってられないんだぞ!」

『パンッ! パンッ! パンッ!』

「悠人! 音だけ聴いているとスゴくエロい感じだぞー! もっとだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「アンタはこんな時までそんな事しか考えられんのかー!」

 ぴしゃーんごろごろずがびーん。

 

 決闘開始から実に30分、さしもの瞬も疲れてきたらしく腰の振りが衰えてきた。

「まだまだぁっ! もっと動けるはずだ! うおおぉぉぉっ!」

「ぐあっ! 僕が……僕が負けるなんて……認めないッ! 認めないぞぉぉぉぉぉッッ!」

 ぎっくり腰となって崩れ落ちる瞬に最後の一振りをかます、瞬はきりもみ状態で吹っ飛んだ。

 ちなみに皆は既に引いている、もといヒイている、どうやら俺たちの戦闘は見るに耐えなかったらしい。

「どうだ瞬っ! 俺は……1人じゃないんだっ!」

 いや、今は真実1人なんだけど。

「フン、自分の弱さにそんな言い訳をつけたのか……」

 うん。

「……っくぅ、ぐっ! がぁっ……があぁあああぁぁぁぁぁああぁぁ! ぐうぅうごのれがぁぁああああぁあぁぁあああっ!」

 マナの塵へと帰っていく瞬、俺たちは黙ってそれを見つめる。このまま黙って終わってくれ、頼むから。

「……『誓い』っ! このままではマズい……フュージョンするぞっ!」

 えぇ!?

「フュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ジョンッ! たあっ!」

 えぇーーーーー!?

「説明してやろうっ! 僕と『誓い』の心が1つになった瞬間、なんと統べし聖剣シュンへと変身するんだっ!

ビバ日本分化! ビバ日本アニメ! ビバドラ●ンボーーーーーーーール!」

 ちくしょう、もう何でもありなのかーーーーーー!

『ズドーーーーーーン』

「……あれ? 瞬?」

 しかし出てきた瞬はまるで凄い感じがしない、まさか……

「もしかして……フュージョン、失敗か?」

「……みたいだな、何なんだこのすべすべ肌は。やけに自分からかぐわしい石鹸の香りがするんだが……」

 エターナル化した瞬からは何故か石鹸の香りがする。

「……! まさか、凄く言いたくないんだけど」

 その、とても、言いにくいんだけど。

 

 

 

「すべる石鹸シュン?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「今すぐに、この世界をマナに還してやるっっ!」

「「「「「「「「「「「Σ(゜Д゜)やつあたりだーーーー!」」」」」」」」」」」

 

「うるさいっ! いきなり変なエターナルにされた僕の気持ちが分かるかっ!」

「いやフュージョン失敗したのはおまえらだろ! やつあたりもいい加減にしやがれ!」

「うるさい! それがだめならこの世界を石鹸の泡まみれな世界にしてやる! 貴様にはさぞ似合うだろうさ! つるつるーっ!」

 そんな世界にされてたまるかっ! 皆が皆滑って転びまくってスカートの中は覗き放題ではあるけど。

「お兄ちゃん……怖いよ……!」

「あ! え、え〜と……佳織! おまえだけでも守るからなっ!」

「……お兄ちゃん、また忘れてたね」

 しかし正直このすべる石鹸シュンだけには何故か敵う気がしない、Lv99でも。

「ほらほら、剣を向けてみろよ。このつるつる肌の前では剣なんて滑って効くわけないんだからさ。あははははははは……」

 いよいよもって万事休すかと思われたその瞬間、頭の中に声が聞こえた。

『悠人さん!』

「え?」

『悠人さん! 聞こえますか! 今すぐに『門』を……!』

 もん? いやテキストを読んでいる人なら何の事か分かっているんだろうけどこちらとしては言葉でしか聞いていないから

頭の中で漢字に変換しなければならないわけで。

 紋? 文? 問? もんもんもんもんもんもんもんもんもんもん悶々悶々……あ! 『悶』か! と言う事は何かい?

何となく頭の中に浮かんでいる確か時深とか言ったような気がする少女を材料に妄想しろってことなのか! 悶々と!

 そんなことを考えているとさらに頭の中に新しいイメージが送られてくる、これは……神社とかにあるしめ縄?

ということはなんだ! まさか! 縄で縛られた少女をイメージしろと!? 縛り!? 緊縛!? 縄巫女!? エロいよーぅ。

 しかし頼まれたからには引きうけるのが主人公としての勤め、己が最大の精神力と妄想力を持って想像してやろう!

 

 ………………ウッ、ハァハァ………くぅううぅっ!? くくく……う、S属性を掻き立てられる………ああ〜〜♪

 

 ………ん!? あ! 誰だ! 勝手に俺のイメージを破壊するな! あー! 今までで最もリアルにできた妄想がああぁぁぁぁ!

「何やってんですか悠人さーーーーーーーーーーん!」

『ズガッシャーーーーーーーーー!』

「あいたぁーーーーーーーーっ!?」

 何と目の前には今まさに俺の頭の中でいぢめられていた時深が居た。

「と、時深っ!?」

「わ、私を使ってあんなことやこんなことを勝手に妄想して……! 『悶』じゃなくて『門』です! 開いたり閉めたりするやつです!」

 何と、そうだったのか!

「ご、ごめん! 勘違いしてつい……!」

「勘違いじゃすみませんよ……! もう……その気になればいくらでも見せてあげますのに

「まじですか!」

 むっはーですよ、ていうか別に門考えなくても来れるんだ。

(契約者よ……なかなか素晴らしい妄想だったぞ、我をここまで楽しませたのは本当に久しぶりだ……ハァハァ)

 おお、なんと俺の妄想力は『求め』のお墨付きらしい、グレートワンダフルMy妄想。

「おい……おまえら、いつまで僕を無視している……」

「あ、すべる石鹸シュン」

「統べし聖剣シュンと言えええええぇぇぇぇ!」

「「「「「「「「「「「「「「やだ」」」」」」」」」」」」」」

「ちくしょー! 覚えてろよ! 絶対にこの世界マナに還しきってやるからなぁぁぁぁ!」

 そう言ってすべる石鹸シュンは消えてしまった、さようなら、できれば永遠に。それはそうと……

「……で、時深。いきなりでなんだけど」

「何ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今からでも遅くないから、俺たちの

時間遡らせて白昼夢を見ていたような

BADエンドに連れてってくれないか?」

 

 

「お断りします、何か面白そうなので」

 

 

 

 ……結局、落胆のあまり、自分は意識を失ってしまうのであった……

 

 

 追記。

 その1:これからの自分は『神剣に飲まれてしまった高嶺悠人』として生きることにする、でないと自分を疑いそうだから。

 その2:ひとまず、あの技はもう使わない事にする。

 その3:あの戦い以来『悠人×瞬』な風潮が広まったらしくヘリオンがハイペリアで言う同人誌を書き始めたようだが無視する。

 

 

 

 

to be continued…

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 後書き、それは逃れられぬ宿命……

 

 どうも、今日も今日とて死線を巡り歩く終焉の黒猫です。

 さてやっぱりごめんなさい、特に今回は謝る事がたくさんあります。

 まず第1に、全開予告していた某有名新伝奇ヴィジュアルノベルネタが入らなかった事です。次回で絶対入れるつもりなので

今度こそまぁ知っている人は楽しみにしていて下さい。

 そして第2に、前変で色々とおかしいところが発見されました。これについてはいつか修正版を書くつもりなのでお待ち下さい。

 

 そして第3に……一番申し訳無い事ですが……2つ目で終われませんでした、すごくごめんなさい。

前回で『続編が中編になってしまわないよう精進します』と言ったのに……ダメでした。

 ええ計画性ゼロですとも、これで終わらせるつもりがサーギオス戦終わった程度ですよ、というわけで。

 

マロリガン攻略戦

サーギオス攻略戦

ロウ・エターナル戦

 

 と、3話構成になる形となりましたw よって今度こそ完結変です、やっぱり執筆未定ですがごゆるりとお待ち下さい。

 

 批判・意見・感想は大歓迎です、「ここが良かった」から「ここおかしいぞ!」までPS2版しかやったことのない作者に

何とぞご伝授してやって下さい。

 

 それでは、今回はこの辺で。このSSを読んでくれた人達に、万言にも尽きせぬ感謝を。

 

 

4/22 23:56