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永遠のアセリア二次創作
望みを叶え 第一話 宴
ここはラキオスの城の中で、現在はほぼ無礼講に近い大宴会がくり広げられ、もの凄い活気に満ち溢れている。
誰かが肩を組み歌えば、みんなが手を取り合い踊り出す。最近になってやってきた悠人やアセリアといった不思議で強い戦友もその中に見えて楽しそうだ。
またそれが終わればみんな古くから互いに友である様に話しだし、誰かが頼み、巫女装束を着た巫女が舞いだし、活気に花を添える。
しかしそんな中にもただ楽しむことができない者はいる。
エスペリアである。
女王であり、主君でもあり、よき理解者であるレスティーナからは楽しむように言われ、それなりに楽しみ酒を口にしたりもしているが、
それでも心の中には一人の人のことが離れずにその表情から曇りはとれない。
その思い人の名はラスクいい、その人は自分の身も心も救いながらそのために消えてしまった人である。
また、互いに惹かれ合いながらも立場の違いによりそのまま思いを伝えることもできなかった。
その人がこの場でこの状況を見てくれたらなと心の中で思うとさすがに少し気分が落ち込んでしまうのだ。
そしてまた思い出がよみがえってきた。
夕食を作っていて、ジュースを飲んでお話をして、そして・・・と思いだしそうなときだった。
「どうしたの〜?エスペリア〜 こんなおめでたい席でそんなにしけた表情して〜」
そう声を掛けられて、その声の方を振り返るとそこに巫女装束を着たエターナル・・・時深が不思議そうな表情をして立っていた。
しかししゃべり方がおかしい・・・よく見ると顔も赤い。
・・・完璧に酔っている。
しかも、しゃべるなり肩を組んできた・・・酒臭い・・・相当飲んでいるのだろう、あとに尾を引かなければいいが。
(思ってもそれは後の祭りこの時点でもう二日酔いになる事は確定していた・・・もちろんそこにいるエスペリアは未来が見えるのに抑えておけないだれかさんではないので、そのことの予想しかできないが・・・)
そして時深は(酔っぱらいの常として酒の席で寂しそうな表情をしている)エスペリアに説教を始めた。
「こ〜んなめでたい所でそんな表情をしてっちゃ〜ど〜ゆ〜事なの〜?」
【舌が回ってない・・・これは明日が心配です。】などとその口調に返事より先に心配すると
「なぁにだぁ〜まりしてんのよ〜、寂し〜じゃないの〜・・・い〜わよ、ど〜せあたしなんかあたしなんか〜〜〜〜」といじけて叫びだした。
それに我に返ったエスペリアは
「すみません、どうしてもこういう雰囲気は慣れなくて」とその場を慌てて取り繕う。
それに気を取り直したのか、時深は
「そんなこたぁ〜ど〜でもい〜のよ、それにあんたぁそ〜ゆ〜表情は今してちゃ〜だめなののよ〜・・・せっかく誰も犠牲にならずに勝てたんだからもっとよろこ〜びなさい。」
と再び説教を始める・・・どうやら一人物思いにふけっているのが気に障ったようである。
そのことを感じ取ったエスペリアは謝るが、
「いけません、今は謝るんじゃなくて、飲むの、それとも私とじゃぁ飲めないと言うの〜?」と時深はいちゃもんを付けるが
「そんなことはありえません」とエスペリアは完全否定、すると
「じゃぁなんで飲めないってゆ〜の〜?」と時深はさっき言われた答えも忘れ更に聞いてくるので
「だから雰囲気になれなくて・・・」と答えると
「相も変わらず嘘が下手ね〜あんたは」と時深は嘘と断定
「そんな嘘なんて私は・・・」とエスペリアは言うが
「い〜え私には貴方が何を考えているかなんて分かるんです・・・男のことでしょ〜?いつもそんな表情してるからバレバレよ〜。」と構わずに続ける。
「!?それは・・・」とエスペリアは言葉に詰まる・・・雰囲気になれていないのは本当なのであるが確かにラスクのことを考えていた、でもそんなことはおくびにも出していないし、この人と一緒にいたことは少ない。
しかも自分自身が普段出さないように気を付けているのに何故・・・?と驚いていると
「あはは〜ぁ、引っかかった〜。だめよ〜エスペリア〜、嘘つくときは最後までつき通さないと〜。」と時深は笑って続けた。
エスペリアは赤面した。
カマを掛けられてこんなにも簡単にかかってしまう自分と、この酔っぱらった時深の勘の良さ、そしてこのことがばれた事実に
「でもね〜エスペリア、いつまでも過去に縛られていたら面白くないわよ〜。」と時深は構わずに続ける、がこれはエスペリアには承服できないことであった
「それはそうですけど・・・でも、やっぱり私は忘れることはできません。
ラスク様は私を絶望から救ってくれたんですから、どうしたって忘れられません」ときっぱりと答える。
そうそれは彼が彼女にとっての全てであるかのようだった・・・しかしそう言ったエスペリアに時深はものすご〜い炎を燃やしていた。
俗に言う嫉妬の炎というやつだ・・・そして時深はもの凄い一言を口にする・・・そしてそれは軽い戦争の始まりでもあった。
「でも捨てられたんじゃぁ希望も絶望も有ったもんじゃないわよね〜」と毒をはいた・・・それは酔っぱらいの無分別な一言であった。
しかしいくら相手がベロベロに酔っていて理性が飛んでいると分かってもそれはエスペリアにとっては我慢の出来る話ではなかった。
だから叫んだ
「そ、そんなことありません。ラスク様は私のことを捨てたりなんてしていません。」
その瞬間、一瞬時が止まって、また動き出した。
そして叫び終わったエスペリアははっとした。
ここは酒の席で、怒るのは厳禁・・・
なのに自分は叫んでしまった・・・これでは宴会も丸つぶれである。
しかも私は何を言ってるの?
こんな恥ずかしいことがみんなに知られたら・・・そう思うとエスペリアの顔は真っ赤な林檎のように染まった。
そして周りを見渡すと・・・誰も―――いや2人のエターナルは何かあったのかと言いたげだが―――こっちを見もせずにおしゃべりや食事、ダンスといった思い思いの行動をとっている。
まるで何事もなかったかのように・・・
それを見たエスペリアはほとんどの人が気付いていないようなので混乱した。
そして誰からも声を掛けられないままにせわしなく周りをきょろきょろと見ると
「痛い痛い痛い痛い〜〜〜〜〜ちょおっと時詠なにす!いたたたたたた」と頭を抱えもがく時深の声が聞こえてきた。
時詠が怒って時深を痛めつけて(折檻して)いるのだ。
ただ、エスペリアはそのことが分からないのでおろおろするばかり・・・
おろおろおろおろ、ばたばたばたばた、エスペリアと時深の行動は傍から見れば出し物のように見えないでもないのだが・・・本人達は必死である。
ちなみにこのとき時深と時詠の間では、時詠により身も凍るようなやりとりが行われていた。
そして時深はもがく・・・それで酔いも醒めている。
その一方でエスペリアはまだ訳が分からずにおろおろしていた。
ただ周りの様子は見なくて正解だった。
ほとんどの人がこのことには気付いていないが、2人の男女が2人の方を見て、(実際は悠人が一言言ってアセリアがつっこんでいただけだが)いちゃついていたからである。
もちろんその2人はユートとアセリアの2人であるが、エスペリアがこれを見たら自分のことと思って恥ずかしくて卒倒していただろう・・・
実際は時深がネタになっているにも関わらずに・・・
しかしさすがに見かねたのか、献身が何が起こっているのかを教えた・・・刺激をへらしてだが・・・。
そしてエスペリアがその事象を理解した頃、時深が起きあがった・・・そして
「ぅ〜〜〜〜まだ頭に響く〜〜」・・・当然の事だ。
第3位神剣時詠の力は普通とは比にならず、やろうと思えば精神崩壊を引き起こすことも造作もない。
その時詠が折檻しているのだ、限界ギリギリまでやられるのは当然で、時深の精神はもうボロボロの状態なのだ。
しかも時詠みにこのことについて償うと約束して未来を見た瞬間に頭が更に痛くなって
「ぅ〜〜〜説教が待ってるよ〜〜〜」と漏らしてしまった。
「せっ、説教ですか?」とあまり聞き慣れないことを耳にしてエスペリアの頭に?が浮かぶ。
「あっえと、何でもないんです、忘れてください。」と時深は誤魔化した、エスペリアも誤魔化されてはどうしようもないので
「は、はぁ」と頷くことしかできない。
「でも私、何か非道いこと言ったみたいですね・・・時詠があれだけ怒ったのは久しぶりです。」とあまり自分の記憶が残ってないことをサラッと主張する時深・・・実際残ってないのだが、
キャラを崩さないためのフォローはさすがと言ったところだ。
「はぁ、そんなに怒ってらっしゃったんですか?」と合点が行かないまでも相づちを打つエスペリア、大人の会話だ・・・「自分にはこうは出来ない」とは作者の言葉
「はい・・・頭が壊れる寸前まで怒られました。」と同情を誘い、何とかエスペリアの怒りが後に引かないようにする・・・さすがにこの辺は千年の経験といったところか・・・
「そ、そうなんですか?お気の毒に」とエスペリアは狙い通りにその言葉を口にする・・・時深の狙い通りに・・・そして
「いえ、すいませんでした、貴方には何からなにまでお世話になったのに。」と時深は謝罪の言葉を口にする・・・そう言われてはもう怒ってはいられないエスペリアである、あっさりと
「いえ、もう過ぎた事ですし、酒中別人とも言いますし」と無罪放免を言い渡す、しかしこのまま無罪放免にされても時深は困るのである・・・このまま何もしないで終わらしてしまうと今度は時詠だけじゃなく、
もっと強い敵まで作ってしまうことになるから。
だから
「いえ、このままではだめです、私が貴方の悩みの元を取り除きます。」ともうこんな事を言う者が出ないようにしようとエスペリアに根本の解決を申し出る。
「っ!そ、それは・・・無理です・・・」とエスペリアは顔を真っ青にして断る・・・当然だろう、彼女だけでなく、人々全ての中では死んだ人は生き返らないのだ。
それでもその死んだ人の事を思い出さないようにするということはその記憶からも消してしまうということである。
そんなこと承服できるはずがない。
「いえ、私に任せておいて下さい、必ず貴方の悩みの根を取り除きますから。」と時深は拒絶を許さない構え
「でもラスク様は・・・」死んでいることを知らないのだと思ったエスペリアはそのことを伝えようとするが、言葉が出ない。
「大丈夫です、私には生死は関係有りませんから。」と時深が続けるのを見てエスペリアは完全に記憶を消す気だと確信してしまった
「そんな、ラスク様を忘れるなんて私には・・・」とエスペリアはもう泣きそうな表情をしている。
そして時深は大いなる勘違いに気付き、こう言った
「え?何を言ってるんですか?私はあなたの悲しい表情はもうこれきり見たくありませんから、絶対に貴方の元に連れ戻すと言ってるんですよ。」
この一言はエスペリアにとっては衝撃的すぎるものだった、その衝撃はエスペリアを一瞬硬直させる程であった。
そして、それが本当ならという思いで
「え?そ、そんな、死んだ人が生きかえるなんて」と聞くと
「私を信じて下さい、必ず貴方の元に帰ってきますから。」と本当なのであるという確証を持てる答えが返ってきた。
「そんなことが・・・本当に?」とエスペリアが聞き返してしまうのは期待が大きすぎることの裏返しである。
そのことは時深にも分かっているので
「はい、私には出来ます・・・ですから、今はこの宴を楽しんで下さい。」と安心させるように、この二度と無い時を楽しめるようにエスペリアに促した。
「えーとそれは〜。」とエスペリアは口ごもる、最初に言ったように、いつも彼女は宴は準備する方で騒ぐのは慣れていないのだ。
しかし、時深はそんなことはお構い無しである、いやだから余計にと言うように
「それともなんですか?私の酒は飲めないとでも言うのですか?そもそも宴で騒がないのは、いけません。お酒に失礼です」と時深は持論(半分ヤケ入りの説教)を展開する
「いえ、そんなことは」とエスペリアは押され気味。
それを見て、ここが好機と見たのか
「なら今は楽しんで下さい、貴方は主役の一人なのですから悲しい表情はいけませんよ、それに・・・」と時深はエスペリアを送り出すが、エスペリアはまだ乗り気ではない。
「それに何ですか?」と聞き返すのはその証拠。
しかし聞き返されて、時深しまったと心の奥で叫んだ。
この後のことを教えてしまってはいけない、ここはなんとしても取り繕わねば。
そう考えたときにはもう次の言葉は出ていてくれた
「皆さんに失礼に当たりますよ」時詠のナイスフォローだった。
そう言われてはエスペリアも元も子もない。
結局気が進まないながらも酒宴の中に入ることとなった。
しかしそれは悪夢の始まりであった。
その夜の酒宴では無くなるはずのない酒が無くなるまでエスペリアのお酌をし続けた。
その時には酒をかなり飲んで、かなり酔っていたから、彼女はかなり大胆になっていた
しかも時深に埋め込まれた理論は最強の武器となって誰も断ることが出来なかった
「私のお酒を断るのですか?」
この一言は大抵の人には飲もうという気になってしまう様にする殺し文句である。
しかも断れば時深伝授の必殺の理論がエスペリア風に語られるのである。
時深が語れば断れる者もいようが、エスペリアが相手だと誰も断ることが出来なかった。
よって酒が尽きた頃にはもはや死屍累々という惨状になっていて、次の日に二日酔いにかかっていない者はエスペリアが覚醒する前に館に帰された年少組と、スピリットより格段に酒に強いエターナル(自爆して我を失った時深以外)の2人(ユート、アセリア)だけだった。
あとがき
こんにちは海坊です。
本当は一話完結の予定で書き始めたのですが、長くなりそうです。
次回の予告とかは出来ていません、まだ決まってませんので・・・
ちなみに今回の主人公はエスペリアです、一応。
ですから一応エスペリアに宴会の中心にはなってもらうつもりです。
こんな先の見えない者ですが皆さんが石を投げずに読んでいただけたら幸いです。
最後にこんな平凡な物を最後まで読んでいただいてありがとうございました、まだまだ続けますのでよろしくお願いします
でわこのへんで
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