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第三章   エトランジェ







今俺たちは、廊下を歩いている。
そう、俺と悠人だ。
よくわからんが、王様に会いに行くらしい。
しかし、王様か、ファンタジーもいいとこだな。
いや、それなら六王の家もファンタジーか。
「ふん、くだらない感傷だな」
あの家に未練なんか無いがね。
「ん?何か言ったか?」
先を歩いていた悠人が、こっちを向いて聞いてきた。
「いや、ただの独り言だよ」
「そうか、ならいいよ」
そう言って、また歩き出した。
さっきの会話や、今の態度からして悠人は、俺と違う世界の人間らしい。
ちなみに、さっきの会話は。


「はじめまして、俺の名前は、高峰悠人だ」
そう言って、男(悠人というらしい)は、右手を出してきた。
ありえない。
こんな簡単に握手しようなんて普通考えられない。
ま、俺の世界ならだけど。
「はじめまして、六王天魔だ」
俺も、一様形式上右手を握り返す。
「六王?珍しい名前だな」
「え?珍しいのか?」
俺は、すこし驚いていた。
そりゃそうだ、俺の世界で六王を知らない人間のが、珍しい。
悠人が、俺の世界じゃないの人間じゃない可能性が高くなったな。
「ああ。まあいいや、よろしく」
「よろしく」
それから、悠人は俺を謁見の間に連れて行くといった。
何でも王様が会いたがってるらしい。
そして、今に至るわけだ。





しばらくして、謁見の間に着いた。
王座には、じーさん(多分王様)と、そばに美人のねーちゃん(多分王女様)がいた。
「ほう、こやつが新たなエトランジェか」
エトランジェ?
なにそれ?
おいおいおいおい、俺の知らない言葉を使わんでくれ。
『エトランジェとは、お前のような異世界から来た人間のことだ』
俺の疑問には、望みが答えてくれた。
「はっ、ご命令道理連れてまいりました」
悠人が、答える。
「ふむ、さてエトランジェよ、名をなんと申す?」
じーさんが、聞いてきた。
名前?俺のか?いや、俺のだろう。
「六王天魔だ」
簡潔に、答える。
うん、そのほうがいい。
「テンマか、ではテンマよエトランジェとして我が国に従うがいい」
・・・・・・はぁ?
なに言ってんだ、このジジィ。
頭大丈夫ですか?
「なんで、俺があんたに従わなくちゃいけないんだ?」
「貴様が、エトランジェである以上、わしに従うのは、当然であろう」
えっと、唯我独尊?ん?ちがうかな?
それとも、王様宣言?いや、王様だけど。
そんなことを考えてると、ねーちゃんがジジィの前に、出てきた。
「求めのユートよ、この者のが従わぬのなら、妹の命がどうなるかわかっているでしょう?」
疑問系だが、有無を言わさぬ口調だ。
なるほど、つまり妹を、殺されたくないなら従わせろってことか。
「はぁ、わかった、従おう」
「え?」
俺の答えに、謁見の間にいた全員が、固まった。
そりゃそうか、さっきまで反抗的だったのが急に従うだもんな。
「従おう、と言ったんだが何か問題でも?」
一番最初に回復したのは、ねーちゃんだった。
「いえ、問題はありませんが」
「煮え切らないってところか?」
「はい、急に意見を変えたのはなぜです?」
ねーちゃん以外も回復してきたらしく、聞き耳を立てている。
「別に、どっちにしろ従う以外に、選択肢が無かっただけさ」
まあ、それもあるけどね。
『別の意味もあると?』
望みが、語りかけてくる。
(ん?あ、そうだ剣)
『何だ?』
(あいつは、聖はこの世界にいるんだな)
『いるぞ、やつもお前と同じく永遠神剣を持っている』
(そうか、わかった)
それを、聞いてから俺はねーちゃんに言った。
「ただし、条件がある」
それに答えたのはねーちゃんでなく、そばにいた兵士だった。
「貴様、いい加減にしろ!!何様のつもりだ」
何様?俺様ですが?何か問題でも?
「よい、テンマよ、条件とはなんだ?」
兵士を無視して言う。
「一つ、衣食住の安定」
まあ、基本でしょ。
「二つ、ある人物を探して欲しいこれだけだ」
二つ目は絶対やってくれんと困る。
「ふむ、一つ目はわかるが二つ目のはどういうことだ?」
ジジィの癖に物分りの悪いやつだな。
「二つ目のは、俺の世界から最低あと一人来ている奴を探して欲しいんだ」
そう、これが、これが一番大切だ。
「そのエトランジェも神剣を持っているのですか?」
「ああ」
俺は、簡潔に答える。
「わかった。探しておこう」
ジジィが言う。
よし、これでこの世界での情報源は手に入れた。
まぁせいぜい利用させてもらいますか。
「ですが、こちらからも条件があります」
「ん?条件?」
まあ、予想はつくけど。
『ほう、どんなものと見る?』
「そうです、その条件とは」
一度言葉を区切る。
(力試しだろ。自国の戦力は知っておかなきゃ)
『なるほど』
「我が国のスピリットと、戦ってもらいます」
ほらね。
「・・・・・・・ジョートー」


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