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あるロウエターナル(の誕生)のお話


それは事故だった。
居眠り運転をしたトラックが彼の運転する車に衝突した。
奇跡的に彼は即死ではなかった。
しかし、現実は無情だった。
潰れた車体にはさまれ、突き刺さった破片によって体を外に出すのはもはや不可能。
腹の半分ほどが潰れ、刻一刻と零れ落ちる命を繋ぎ止められなかった。
彼は渇望した。

“死にたくない・・・。”
“死にたくない・・・。”
“死にたくない・・・。”
“死にたくない・・・。”
“助かるのならばなにを捨てたっていい。”
“誰か・・・。”

『渇望せし者よ。
汝、その望みをかなえるために我と契約せよ。』

願いは届いた。

“だ・・れ・だ・・。”

『我は永遠神剣第3位“渇望”
汝の渇望をかなえるものなり。』

“助かるなら何だっていい。” 俺は藁にもすがる思いで切れそうになる意識で強く願った。

『汝の渇望は叶えられた。
契約は履行される。』
その言葉を聞くと俺の体は光に包まれ、いつの間にか宇宙空間のような広大な場所に立っていた。

「ここは・・?」
きょろきょろと周りを見渡すとどこからか声が聞こえ、一振りの短剣が現われた。

『契約者よ。
我は永遠神剣第3位“渇望”。
汝の願いを叶えたものなり。』

「うわ、剣が喋った!?」
驚きに目を見開く俺を無視して“渇望”は更に続けた。

『契約は果たされた。
汝の命運は我と共にある。
これから先、汝のすべては第1位永遠神剣のためにある。』

「あんたが助けてくれたのか・・。」
あの致命傷だった傷が一瞬で治っていることに比べれば剣が喋ることなど些細なことだと納得することにした。

『そうだ。
汝のすべてを捨ててでも死にたくないという純粋な思いが次元を超え我に届いた。
ゆえに汝はその代償を支払わねばならない。』

「代償・・?
一体どういうことだ?」

『汝は契約によって永遠者となった。
それによって汝の存在証明は消滅した。
これから先、永遠の戦いに身を置き誰の記憶にも残らぬ存在へと。』

「ふーん、まあいいや。
生きてるだけ儲けもんだし。
それに永遠ってことは不老になったってことかラッキー!
詳しくは後から聞くとしてこれからどうすればいいんだ?」

『それでいいのか汝・・・。』
俺のあっさりとした物言いに“渇望”はあきれたような声がにじみ出ていた。

「安心しろって。
代償とやらは果たすからよ。
俺は義理堅いことで有名なんだぜ。
それに、いままでの生活に未練なんてないし。」

『まあよい。
汝はこれからある世界へと行って貰う。
そして、そこにいるであろうエターナルと協力せよ。』

「エターナル?」

『汝のような永遠者のことだ。
彼らはわれと同じく第1位永遠神剣のために動くものたちだ。
彼らと結託し、代償を果たせ。』

「りょーかい。」
何か面白そうな予感がして思わず口元に笑みが浮かんだ。
いままでの何もない灰色の日々に比べものにならない出来事に胸を弾ませて叫んだ。
「永遠神剣第3位“渇望”の主が命ずる!
門よ開け!!」
“渇望”から流れ込む知識を元に門を開くと門の中に飛び込んだ。


あとがき
こんにちは、izumoと申します。
一気に4話投稿してますので詳しいあとがきはまた後で。
では・・。