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※都合により「**」の記号がついているものは聖ヨト語を話しています、ご了承ください。





あれからどれほど時間がたっただろう・・・




第一章《永遠神剣と永遠者》


地震に呑まれ転落していったセロだが気がついた時、見知らぬ場所へいた・・・

「ここはいったいどこだ・・・? 僕は確かルナを助けた後に落ちてしまってそのあとは・・・」

そんなことをぼやきながら辺りを見回す。

「周囲に山が広がっているな、山脈なのか? なんにしてもさっき僕がいた所とはちがうようだ」

とまっていても仕方がないと思い、すこしこの辺をセロは散策してみることにした。

「・・・岸壁などの質量が全く違う、見た目はほとんど変わらないが明らかに別の場所、まいったな」

調べ歩いていると人影らしきものが見えてきた・・・

「あれ、もしかしてあれは人なのか・・・?」

セロはその人影にもう少し近づいてみると、青い髪の青い瞳の少女が見えてきた。

何やら山脈のほうを見つめている。

「・・・・・」

「・・・綺麗な人だな、それにしてもなにをしているのだろう?」

真剣に岩肌を見詰めている、考えてごとをしているようにも見える。

すると・・・

「*・・・あら、どなたかしら?*」

どうやらセロに気づいた様で声をかけてくる。

「え? 何を言っているんだ?」

セロは彼女が何を話しているのかわからないようだ。

「えっと、あの、ここってどこかわかりませんか? えっと・・・」

「*? どうかしたの?*」

どちらも全く会話ができない、と言うか言葉がわかってないようだ。

(このままじゃなにもわからないな、いったいどうしたら・・・)

「*・・・・・*」

すると少女はセロの方に歩いてくる。

「*それにしても、龍の爪痕から人が現れるなんて・・・ あなたいったい何者?*」

「ほんとにわからない、いったいこう言う時どうすればいいんだろう・・・」

困り果てているセロ、しかしそのとき・・・

「*・・・へえ、命じられてきてみれば本当に龍の爪痕から召還されて来る者がいるとはね*」

見上げると崖の上には6人の可憐な少女達が立っていた。

「*!? ダーツィ大公国のスピリット隊! どうして?*」

「み、皆すべて女の子・・・? それに青と赤と緑の髪と瞳、いったいこれは?」

そう考えていると、リーダーのような少女が語りかける。

「*上からの申しつけでここの様子を調べて来いと言われてきたのよ、ここは龍の爪痕だし
 もしかしたらエトランジェじゃないか、てね。」

「*エトランジェ? じゃあやっぱりこの人は・・・?*」

そういいながらセロのほうを見る。

「何か言い争っているようだが・・・ もしかして僕が関係しているのか?」

「*もし、調べているようならつれてこいとの命令でね。 さあ、こちらへきなさい!*」

少女達は崖から飛び降り、セロのほうへ近づいてくる。

「やっぱり僕に関係があったみたいだ、どうしようか・・・」

そう考えていると、青い髪の少女がセロの前へ立った。

「*・・・・・*」

「*何のつもりかしら、邪魔立てすると容赦しないわよ。 命令はエトランジェ捕獲だけ、他は何も言い付かってないのよ*」

「*この人をつれていって戦争の道具にする気なのでしょう? そんなことは私がさせない、戦いを大きくしてはいけないわ!*」

「*戦いを早期終結させるために使うときいたけど、何か問題でもおあり?*」

「*誰も戦わなければそれでいいのに・・・ マナを集めるためだけに私達を使っているのよ、それがわからないの!?*」

また何かを言い争っている、もちろんセロにはわからない。

そして、

「*・・・もう、いいわ。 皆戦闘の準備よ*」

全員が一斉に武器のようなものを構える。

「*何を言っても無駄なら、私が止めてみせる!*」

青い髪の少女も構え、セロに話しかける。

「*そこのあなた、私から離れていて。 この戦いを終わらせるから!*」

少女もことばがわからないのがわかったのか手振りで教える。

「・・・離れていろってことだろうか、だけど1対6なんて大丈夫なのだろうか?」

セロは少女から離れ見守ることにした。

「*赤の部隊は後方で魔法を、緑の部隊は支援をたのむわ、最後の者は私と共に直接攻撃よ! いくわよ*」

リーダーがなにやら指示を出している、それに対し青の少女も、

「*いきます、えええぇい!*」

むかってくる二人に切りかかる、リーダーが攻撃を受け止め最後の一人が迎撃を仕掛ける。

ガキイイィィン!

「*なかなかやるわね、でもまだまだよ!*」

「*・・・タアアァァ!*」

ブン、ガキィン!

武器同士の乾いた音が響く。

「なんてすごいんだ、これが本当の戦い・・・」

そして、1対2の戦いが繰り広げられていると後方で魔法の詠唱が終わる。

「*隊長達、離れてください〜!*」

「*まってたわ、さあ思う存分に放つと良いわ!*」

少女の剣をはじき二人はその場から離れる。

「*!?*」

「*受けると良い、フレイムシャワー!!*」

すると火炎が降り注いでくる。

「*キャアアァァ!*」

「あ、あぶない! でも、僕なんかの力じゃ・・・ くそ! なんて無力なんだ・・・」

己の非力さを悔やんでいると頭の中に声がひびいてきた・・・

『僕を・・・ 僕を使って!』

その瞬間、突然セロの手に刀のようなものが現れる。

「・・・え、これはいったい!?」

自分の腕に握られた刀を見る。

「そんなことはどうでも良い、早く助けなければ! ハアアァァ!」

降り注ぐ火炎の中へ入っていくセロ、そして

ズシャアアァ・・・

フレイムシャワーを刀でなぎ払い火炎の中から少女を助け出した。

「*な、なんだと!? フレイムシャワーをかき消した・・・?*」

「おい、君! 大丈夫かい!?」

目を瞑っている少女に喋りかける、

「う、ううん・・・ あれ、なんであなたが・・・?」

「!?」

(どういうことだこれは・・・?)

さっきまで微塵もわからなかった言葉がすべてわかるようになっている、さらに

「僕のために戦ってくれてありがとう、借りはきっちりこれで返すよ」

なんとセロも言葉が話せるようになっていたのだ、少女も驚いたようで。

「あなた言葉が・・・? いや、それはいいわ。 ありがとう」

起き上がる少女、剣を拾いあげ敵をみる。

「とりあえず、詳しい話は後ということにしない? わたしもいろいろききたいわ」

「わかった、とにかくこの戦闘を終わらそう」

二人は構える、敵側はかなり驚いたようで後ろへ一歩下がる。

「っく・・・ エトランジェが相手というのは少し辛いものがあるわね」

「隊長、所詮相手は二人、我らが負けるはずがないです!」

「それもそうね、いくぞやつらを殲滅にかかる! できるだけエトランジェは倒すな!」

青と緑の部隊の四人が一斉にかかってくる、セロ達は・・・

「あなた、名前は?」

「セロ・ディオン。 君は?」

「私はファリィ、ブルーファリィ。 じゃあセロ、緑の部隊を任せるわ!」

「大丈夫なのか? まださっきのダメージが・・・」

「問題ないわ、それとあの赤の部隊には常に気を配っておいて。 もし何かしようとしたら教えて、いくわよ!」

「おう!」

2対4の戦いが始まりる。

ガン、バキィン!

セロの攻撃が響く、相手が二人だからなかなか大変ようだ。

(兄さんにこういう武器のあつかいを教えられてなかったらどうなっていたんだろう・・・ あれ? 前にもこんなこと・・・)

「ヤアアアァァ!」

「タアアァ!」

「! っく、さすがに二人が相手だと・・・ うわ!」

ドン、と弾き飛ばされ追い討ちをかけてくる。

ギィン!

間一髪で攻撃を受け止め反撃する。

「よし、一人は遠くへ飛ばした! 相手が一人なら・・・」

そのときあるものが目に入った。

「あの二人・・・? まさかさっきの攻撃か!?」

「おい、ファリィ! 赤の部隊がまたあの攻撃を!」

「!?」

ファリィはすぐに戦っている相手をはじき、その瞬間詠唱をした。

「マナよ、力を失わせよ」

「エーテルシンク!」

そのとき、ファリィから何かが放たれる。

「キャア!」

「あぁ!? よくも私達の仲間を! ・・・マナよ我に火球を与えよ」

「ファイアボール!」

いきりたった相手は火球をファリィへ向かって放つ。

「ファリィ、あぶない!」

ズドオォン・・・!

「ぐっ! はぁはぁ・・・」

自分の体でファリィに向かったファイアボールをうけとめる。

「セロ!? 大丈夫なの!?」

「全然平気・・・といいたいけど、ちょっと平気じゃないかもね・・・」

セロはよろめきもう戦えそうな状態ではない。

「もう終わりね、観念しなさい。 おとなしく私達とくれば悪いようにはしないわ」

「・・・!」

セロの前へ立ち剣を構え直す。

「いい加減にあきらめなさい、私は無駄な争いはしないの。 そこをどきなさい!」

「セロは連れて行かせない! 私が消えても・・・ 護ってみせる!」

「ならお望みどおり消してあげるわ、覚悟なさい!」

ファリィに向かって武器が下ろされそうになると、突然・・・

ザシュ!

何かが切り裂かれる音が聞こえる、後ろを振り返ると赤の部隊が全員切り捨てられていた。

「!? いったい何が起こったの!?」

「・・・その辺でいいだろう、これ以上そいつらに手出しすると全員ここの奴らみたいになるぜ」

光を背に人影が現れる。

「な、なんだお前は!」

「・・・・・」

「何とか言え! たああぁ!」

緑の部隊がその者に攻撃を仕掛ける。

「その姿を燃えさかる火炎と変えよ」

すると、何かを唱え始める。

「アークフレア!」

襲ってきた二人に炎が包み込み、何も叫ぶ間も与えず消滅していく。

「何なんだ、こいつの強さはいったい!?」

「仲間がみなやられた・・・ 許さないぞ貴様ぁ!」

「まて、不用意に近づくな!」

次は青部隊が仕掛ける、そしてその者も飛ぶ体勢をとる。

「【予感】、いくぞやつらを片付ける」

ダン、と地を蹴った時チャラっと金属のかすれる音が聞こえた。

「え、あれってまさか・・・」

その音に聞き覚えのあるセロはつぶやく。

「ええぃ!」

キン! と柄の部分で攻撃が受け止められ、そして・・・

「・・・・・」

ズバアアァ、と一閃。 またしても金色のマナの塵となり消えてゆく・・・

「あと、一人か・・・」

セロとファリィはあまりの強さにただ呆然と見ていることしかできない。

「一瞬で我が隊が全滅・・・ お前いったい何者なんだ!?」

「・・・俺は予感のキース。 キース・ディオンだ」

「!?」

(じゃああのペンダントは、やっぱり・・・!)

セロは何かを確信したように叫ぶ。

「兄さん! キース兄さんなんだろ!?」

「・・・セロか、久しぶりだな。 何年ぶりか」

そう、彼はキース・ディオン。 四年前の天変地異で行方不明になった正真正銘のセロの兄である。

「お、お前達は知り合いか・・・ なるほど、エトランジェ二人をつれていけばさぞ大手柄か」

「・・・残念だったな、どっちもつれて行かせねえよ。 それに俺はエトランジェじゃない」

「な、に・・・?」

「俺は永遠者、エターナル。 そして、これが俺の相棒の永遠神剣 第二位【予感】だ」

『以後お見知りおきを・・・』

キースの持っている剣から声が聞こえる。

「エターナルってもしかして・・・?」

「ファリィ、どういうことだ兄さんがなんだって? エターナル・・・?」

「聞いたことがあるわ、第三位以上が上位永遠神剣と呼ばれ、その持ち主に選ばれることで
 世界から切り離され永遠に生きるエターナルとなるって・・・」

「!?」

「まさかエターナルだと・・・ バカな! そんなことが信じられるものか!」

「そうかい、信じるか否かはお前に任せる。 さあ、とっとと終わりにしようぜ」

キースは再び構え、最後の勝負を仕掛けようとする。

「上位神剣はかなり強力だってきいたことがある。 私の永遠神剣やあいつのもってる神剣じゃ相手にならないわ・・・」

「永遠神剣・・・?」

「ヤアアァ!」

リーダーがキースへ切りかかる。

「おとなしく退いていればいいものを・・・」

敵は神剣を振り続ける、だがキースにはかすりもしない。

「な、なぜだ・・・ どうしてあたらない・・・!」

「なかなかやるじゃないか、スピリットの中でも結構良い部類に入るぜ。 だけど・・・」

剣を振り上げ相手の神剣を弾き飛ばす。

「俺の敵じゃない」

ジャアアァ・・・

「が、あ・・・!」

中心を貫き、消滅していく・・・

「片付いたか」

『キースよ平気か?』

「・・・ああ、全然平気だよ」

『うむ、それなら良い』

スピリット隊が全滅させるとキースは神剣を腰に掛けなおす。

「これが、エターナルの力・・・ 私達が苦戦してた相手をほんの一時で全滅させるなんて・・・」

「兄さん・・・」

そして、キースはセロ達の下へ歩いてくる。

「久しぶりだなセロ、大きくなったじゃないか」

「兄さんどうして! あのときの大地震で僕を助けるために行方不明になったのにどうしてここに!?」

「とうとうお前も来たんだな、この世界に・・・」

・・・そして、日が落ちて夜になってゆく。

セロとファリィはキースに連れられてラシード山脈をぬけ平原へ出る。

「よかったぁ、キースさんてセロのお兄さんだったのね。 私までやられちゃうかと思ったわ」

「お前も奴らの仲間だったら倒すとこだったぞ」

「あはは、だけど僕さっきから疑問があるんだけどちょっといいかな?」

「なんだ?」

「あのさ、この世界って一体何なんだ? エトランジェとか永遠神剣とかいったい・・・」

「・・・残念だが俺にはお前の聞きたいすべては話せそうにない」

「そういうことになら私が教えてあげようか?」

ひょこっとファリィがキースの前に顔を出す。

「そうだな、そうしてやってくれ。 俺じゃあ説明するのはおそらく無理だ」

「わかったわ、じゃあ何から話そうかな・・・」

「じゃあ、まずは君が何者なのか教えてくれないか?」

「? 私、わたしはファリィ・ブルースピリットだけど?」

「そう、それ。 そのスピリットっていったい?」

「ああ、そこからなのね。 そうね、私達はスピリットって呼ばれている種族なのよ。 人間とは違うわ」

「人間とは違う・・・ ほんとに、そうなのか? だって君はどう見ても普通の女の子じゃないか」

そうセロが言うとファリィは少し悲しそうに微笑み、

「・・・あなたもさっきみたでしょう、あんなことができるのが普通の女の子なの?」

冷たく言い放ち、話を続ける。

「私達スピリットは永遠神剣を用いて戦うためだけに存在しているのよ」

(たしかに、あの時襲ってきたやつらも大きくて重そうな武器を軽々しく扱っていた。 それがスピリット・・・)

「でも、戦うためだけに存在してるなんて悲しすぎるじゃないか・・・!」

「それがこの世の運命よ、それを覆すことができるものなんてない・・・」

「戦って消え行く。 それがスピリットに定められた運命なのよ」

ファリィは空を見上げすべてを受け入れた表情をする。

「あのときのスピリット隊だって、命つきるまではどんなことがあっても人のために戦ったでしょう?
 だってそれが私達スピリットが存在していられる理由だもの」

「・・・・・」

セロはファリィの言う事が俄かに信じられなかった。

「さあ、この話はもう終わりにしましょう」

「次は・・・ あ、そうだ間違っていないとは思うけどあなたはいったいどこの世界から来たの?」

「・・・え?」

「やっぱりハイペリアから来たのかしら? 龍の爪痕から来たんだし」

ファリィは興味津々で聞いてくる。

「ハイペリア? いや、そんな名前の世界じゃないな」

「じゃあもしかして地獄につながっているって言うバルガロアーからきたの?」

「いや、全然違う。 僕はマデュレーンっていう世界からきたんだ」

「マデュレーン? 聞いたことない世界ね・・・」

「だが、どうして急にそんなことを聞くんだ?」

「私はね、いったいこの世界のほかにいくつ世界があるんだろうって思って調べているのよ」

そういわれてセロは岸壁を見つめていたファリィを思い出す。

「ああ、だからあんなところに立っていたんだ」

「まあね、世界は多いわ。 いつか私もこの世界以外のところへいきたいとおもっているの」

それを聞いたセロは自分が飛ばされる前のマデュレーンの状況を思い出す。

「・・・・・」

「セロ、どうかしたか?」

キースは心配そうにセロに声を掛ける。

「・・・いや、なんでもないよ」

「そうか・・・」

「あ、ごめんねセロ。 話が脱線しちゃったね、えっと次は永遠神剣について話すね」

「うん、お願い」

「永遠神剣とは、私やあなた達が持つ絶対的な力を持つ剣。 所持者を選び、超絶的な力を与えると伝えられてるわ」

「そういえば、ファリィを助けるとき誰かの声がしたなあれはいったい・・・」

「神剣は意思をもっている、おそらくお前の持っている神剣がその声の主だろう」

地面においている長い刀のような神剣を見る。

『・・・・・』

「何も聞こえないわ、目覚めてないのかしら?」

「いや、ただ単にこいつがしゃべらないだけだろう。 おきているのはわかっている話してみろ」

『・・・うん、僕は目覚めているよ』

「! しゃべった、声が聞こえる」

「当然だ、だがしゃべらなかったのは理由があるようだな」

『僕、弱いから・・・ 臆病な僕は誰とも話さずに一人でいるほうがいいんだ・・・』

「すごい暗いな・・・ だけど、僕はまだ君の名前すら知らない。 教えてくれないかな? 君の名前」

『・・・永遠神剣 第六位【孤独】って言うよ』

「六位の神剣? 私の【裁制】とおなじね」

『位が同じでも僕には大した力はないよ』

孤独は寂しく語る。

『臆病な僕には名前と同じで孤独なほうがいいだ、そうすれば誰にも迷惑は掛けないですむし・・・』

(・・・! こいつはまるで、僕の心の中だ・・・)

「孤独、聞いてくれ。 君は臆病なんかじゃない」

『何を根拠にそんなこと言ってるの・・・?』

「じゃあ反対に聞くけど、本当に君は臆病ならなんで僕を助けてくれたんだい?」

『・・・!』

「あの時僕がファリィを助けれる力がほしいと願ったから助けに来てくれたんじゃないのか?」

『僕はただ・・・』

「セロを助けたいと思った、違う?」

『・・・違わないよ、僕なんかの力で助けられるならと思ったから』

その言葉をきくとセロは満足そうな顔をし、

「そうか、ならこれで話はおわりだ。 もう君は臆病者なんかじゃない、わかったね?」

『うん、ありがとう。 セロ・・・』

そして、孤独の声が頭から消えセロは皆のほうへ向きなおした。

「いい相棒になれそうでよかったじゃないか」

「そうね、じゃあ次はあなた自身についてね」

いよいよ、この世界では自分は何者なのかわかるときがくると思い緊張する。

「この世界とは違う、別の世界からきた住人・・・ それをエトランジェと呼ぶわ」

「異界の人間ということか・・・」

さらに続けて、

「それだけじゃない、エトランジェはスピリットより遥かに強い戦力になるといわれているわ」

「・・・だからあの時襲ってきた奴らは僕を連れて行こうとしたのか?」

ファリィは無言で頷く。

「エトランジェにはそれだけの能力と価値がある。 スピリットの何倍もね」

「だけど、そこまで強い力があるって言うなら連れて行かれたってすぐに逃げ出せるんじゃないのか?」

「セロ、残念ながらそれは無理だ」

突然キースが話す。

「そう、エトランジェは王族には逆らえない。 もし逆らえば己にさまざまな苦しみが与えられるわ・・・」

「・・・・・」

「だから何が何でも、お前はどんな誘惑を受けようとも行ってはいけない。 いけば間違いなく戦いの道具にされるぞ」

険しい表情で語る。

「そう、戦いをこれ以上大きくしないためにも誰も力を貸してはいけないわ」

「なに、俺がお前を守ってやるさ安心しな」

「・・・・・」

(僕の存在がそんなに重大なのか? 僕は一体どうすればいいんだ・・・)

セロは考えにふけりながら眠りについていった・・・





[あとがき]

第一章終わりました。 序章に比べて短かったし時間もあったので結構楽でした〜(ダレモキイテネーヨ)
この調子でいけば皆さんの期待を損ねずにいけそうです、がんばります。
そして、続いての第二章は感動(?)の章です。 ぜひ楽しみにしててくださいね〜^^
以上、井上真琴がお送りしました。


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