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マデュレーン・・・それはハイペリアと異なった別の世界。
人間という存在も、服装や見た目もハイペリアのものとほとんど変わらないが二つ違うところがある。

一つは天変地異がすごく不安定なこと。
大地震、大津波、台風、火山噴火と毎日災害が起こっているといっても過言ではない。
なぜ、このような出来事が多発しているのかはだれにもわからない。

そして、もう一つは肉親のいない自分達とは異なる者のことを「異者」と呼び蔑むこと・・・
この、一人の「異者」によって世界が変わる言うことも誰にもわからないのだろう。

たった一人を除いて・・・・・







序章《崩れゆく世界》



「・・・さて、今日も一日がんばろうかな」

自分の家の前で大きく背伸びをしている青年。

「よし、学校に行くとしますか・・・」

歩き出す青年、彼の名前はセロ・ディオン。

四年前に兄が行方不明になり、両親は幼いころに亡くしている十七歳の青年である。

「ねえ、見て! あれって・・・」

歩いているセロに対して周りの人々が指を刺しながら。

「あれってさ、異者じゃん。 近寄らないほうがいいぜ」

セロを異者と呼ぶ人たちはコソコソ話をし始める。

「・・・・・」

セロは少し悲しげな表情をしながら、学校への道をたどる。

(・・・まあ、もう慣れたな。 四年前から続いてるしね、早く行こう)

心の中でそういうとセロは走り出す。

・・・そして、ようやく学校に着いた。 セロは自分の教室に向かう。

「みんなおはよう」

セロは明るく挨拶を交わす、もちろん誰も返事を返してくれるものはいない。

「・・・・・」

そうして、自分の席に着くと授業の準備を始める。

・・・準備をしているうちにたくさんの女生徒の声と共に一人の青年が教室へ来る。

「あ、カーズ様が来たわ! みんな行こう!」

そう叫ぶとクラスの女子はカーズと呼ばれた青年の下へ行く。

「カーズ様、おはようございます!」

全員が元気よく挨拶すると、

「ああ、おはよう。 今日もみんなお美しいね」

「キャー!」

黄色い声援が飛ぶ。 彼の名前はカーズ・クロイツェンス。 容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の秀才であり、
クロイツェンス家の御曹子。 そして、許婚もいるという。

カーズは席に着こうとするとセロに気がつく。

「・・・ん? なんだ、異者もきてたのか。 まったくもって気がつかなかったよ」

セロに向かって嫌味な挨拶をする。

「ああ、おはようカーズ。 今日も大変だな」

それに対して普通に挨拶を返すセロ、もちろん嫌味なつもりで言ったわけではない。

「・・・フン」

カーズはつまらなそうに席へ着く。

「全く、なぜ俺のような才のある者がいる場所に異者なんて汚らわしい奴がいるとはにわかに信じがたいな」

「まあ、その辺は仕方ないだろう。 学校で決まったことだし我慢してくれ」

「やだね、俺は異者が嫌いなんだよ。 自分達と異なるものは嫌いなタチでね」

「・・・・・」

セロが黙り込んでしまうと教室の扉のほうから綺麗な女性の声か聞こえてくる。

「カーズ、いい加減になさったらどうなんですの?」

青いポニーテール髪の女子が入ってきてカーズの前に立つ。

「・・・これはこれは、誰かと思えば愛しのミディじゃないか。 いい加減とはどういうことだ?」

ミディと呼ばれた女子は少し怒った表情をし、

「セロのことよ、何もそこまで言わなくてもいいでしょう。 気に入らないならほおっておけば良いんではなくて?」

この青い髪の女子の名前はミディ・ロンドマース。 ロンドマース家の令嬢であり、カーズの許婚でもある。
カーズと同じく天才的な才能をもち、男女問わず憧れの的である。

「だがな、ミディ。 そいつは異者だ俺ともお前とも違う、なぜそんな奴を庇う?」

「そうですよ、ミディ様! そんな奴を庇うなんて変だよ」

「そうだそうだ!」

ほかの生徒も便乗して声を上げる。

「・・・でも、だからって!」

「ミディ、いくら君でもそれ以上続けると俺は怒りそうだ。 ここはおとなしく退いてくれないか?」

このままではと思い、セロはミディに声をかける。

「・・・ご令嬢、僕のことはもう大丈夫です。 庇ってくれてありがとうございました」

「セロ・・・」

するとミディは、小声でセロに話しかける。

「私はなぜみんなが異者と呼ぶのかいつも疑問に思ってますわ、あなたも四年前のキースさんが行方不明になるまでは
 何一つ私達と変わらないと言うのに・・・」

「・・・? 兄さんを知っているのですか?」

「ええ、私ね許婚ってことでカーズと婚約が決まってる身だけどほんとのこというとキースさんの事好きだったのです・・・
 でも、あの人はそんなに気づいてなかっただろうし行方不明になっちゃって思いも告げられなかったのですわ」

「・・・・・」

会話をしてるとカーズが割ってはいる。

「異者の分際で俺のミディと何話している! 離れろ、汚らわしいやつめ!」

「カーズ!」

「なぜ、こんな奴を気にかける。 どうでもいいだろう!」

「・・・カーズ、あなたにはあとで話があります、お昼へ庭園にきなさい」

そういうとミディは自分の席へ向かう。

「・・チッ」

(あのご令嬢は兄さんを知っていたのか、それに好きだったとは・・・)

セロはしばらく考えこんでいる。

そして、ミディが席へつくと、予鈴が鳴り教員が入ってくる。

「・・・えー今日新しく転入するものがいる、入れ」

あまりよくない顔色で扉のほうへ声かける。

ガララ・・・

ゆっくり扉を開けると紫色でロングヘアーの女生徒が入ってくる。

「みなさん、おはようございます。 あたしの名前はルナ・マスラスと言います、よろしくお願いします」

そして、ルナと言う娘は礼をする。

「オオォォー! 可愛いじゃん〜!」

男子達に声が上がる。

「だが、彼女は両親は先日あった暴風雨で両親を亡くし今は一人の身だ。 仲良くしてくれ」

最後に教員は余計なことを言うと、ルナに指示を出した。

「では、ルナよ。 お前の席はそうだな・・・」

ちらっとセロの方向を見るとセロの回りの席が空いているのを確認すると、

「あそこにしよう、セロの隣の席にするといい。 では、HRは終わりとする」

そういい終えると教員はそそくさに出て行く。

・・・ルナは浮かない顔でセロの隣の席へ座る、すると周囲の声は。

「なんだ、あいつ異者だったのかよ・・・」

「まったく嫌になるわね、また増えるなんて・・・」

「いくら可愛くても異者はちょっと関わりたくないよな・・・」

コソコソルナのほうへ向いて会話をする生徒。

「・・・・・」

その様子をみてセロは寂しげな表情をする・・・

(そうか、この娘も天変地異で肉親をすべて亡くしたのか・・・ 昔の僕を思い出すな・・・)

そうして、午前の授業が始まろうとしていた。

授業が始まってルナは何やら探している。

(あれ?)

「そっか、今日は初日だからまだ本とか届いてなかったんだ。 どうしよう・・・」

困るルナ、辺り見回し見させてもおうとするが周囲は一切反応しない。 関わらないようにしてるんだろう。

・・・すると、ルナの目の前へ本が差し出される。

「・・・え?」

セロだった。 彼女のほうに向かずただ本を差し出している。

「借りていいの・・・?」

無言で頷く。

「でも、あなたが勉強できなくなっちゃうよ・・・」

「・・・大丈夫、内容は全部僕のここに入ってるからさ」

そういいながら自分の頭をつつく。

「・・・うん、わかった。 ありがとう」

本を受け取るとうれしそうな笑顔を見せる。

その様子を見てたのか教員が問題を指す。

「なんだセロ、ずいぶん余裕じゃないか。 この問題をやってみろ」

そう言うと学年で一人しか解けてない問題を押し付ける。

「よし、カーズ。 ついでにお前もやってみろ」

「了解です、先生。 異者なんかじゃ無理だってことがわかってるご様子で」

ドッと笑いが響く教室。

「あ、あたしのせいで迷惑が・・・」

「だから大丈夫だって言ってるでしょ、気にしないでね」

そうして、問題に挑戦する二人。

「ふ、楽勝だな」

余裕の笑いを浮かべるカーズ。

「・・・・・」

一方無言で問題を解くセロ。

同時に書き終えたようだ。

「よし、では採点だ。 まずはカーズ、もちろん正解だ流石だな」

キャーっと声援があがる。

「フフ、当然ですよ。 こんなのわからないわけがない」

「確かに言うとおりだね」

無言だったセロがしゃべる。

「どれ、セロのほうはと・・・ な、何ぃ正解だ・・・ しかもこちらのほうがわかりやすく解けてる・・・」

「何だと!?」

カーズは解いた問題を見る。

「た、確かにここをこうすればもっとわかりやすく・・・ くそ!」

「うそ、カーズ様に勝ったのあの異者?」

「そんなわけないわ、マグレよマグレ!」

そんなことを言われながらセロは自分の席に戻っていく。

「すごいね、あなた! あたしわかんなかったよあの問題!」

「別にすごくはないよ。 僕は普通に覚えて普通にやっただけなんだから・・・」

「そういわないでよ〜、そしたらあたしは普通以下ってことになっちゃうよ〜」

「あはは・・・」

(面白くない・・・ 異者風情が! お前はだけはゆるさないぞ・・・!)

・・・午前の授業がすべて終わり、お昼の時間になった。

「あ、あのお昼一緒に食べない!?」

ルナがセロにたずねる。

「え? 僕は別にかまわないけど、楽しくもなんともないと思うよ?」

「いいから、いいから!」

そういいながらルナは屋上へ連れて行く。

ちょうどよさそうなベンチを見つける二人ですわり、

「じゃあ食べましょう」

「そうだね」

「いただきます〜」

食事をし始める二人。

「・・・・・」

静かに食器がぶつかる音が響く。

(は、話すことがない、どうしよう・・・ あれ?)

「そういえば、まだちゃんとお名前きいてなかったわ。 お名前は?」

「・・・僕の名前はセロ・ディオンって言うんだ」

・・・そういい終わった後、また沈黙が続いてしまう。

(会話が終わっちゃったよ、どうしましょう〜〜・・・!)

ルナが思考回路をぐるぐる回していると、セロが話しかける。

「・・・君は僕とこうやって一緒に食事して楽しいのかな? この通り僕はあまりしゃべらないしね」

「え、あ、うん。 楽しいよ、一緒に食べるのってあたし好きなんだ」

「そうか、それはよかった。 僕でも役に立てて」

「正直本当は君のことがずっと気にかかってたんだよ、最近両親を亡くしたって聞いたからね・・・」

「うん・・・」

「同じ教訓の中で生きてるからわかるけど、異者って呼ばれるのはやっぱり辛いよね。 他人から蔑まれるのってさ」

そう言うと食べ終わった食器を片付けながら、

「もし・・・」

「え?」

「もし、辛いことがあったらさ、僕に話してね。 人から受ける仕打ちの辛さは誰よりもわかるつもりだよ」

立ち上がって扉のほうに歩きながら、

「僕もさ、ルナと一緒に食事ができてとても楽しかったよ。 じゃあまたね」

言い終わるとセロは階段を降りて行く。

「セロさん・・・」

(・・・あたしも行こう。 そうだ、そろそろ荷物が届いてるかも一階に行ってみよう)

そう考えるとルナはセロを追うように階段を下りていく・・・

場所が変わり、カーズは言われたとおり庭園へやってきた。

「たしかあいつは何時もここで食事していると聞いたが・・・ ん? あそこか」

見つけると大きな木の下でミディが座っているのを見つけた。

「やっときましたわね」

「ミディ、話とはいったいなんだ?」

「・・・あなたのセロのような人たちに対する態度の理由を聞きたいのです」

「ほかの奴らだって異者といってるじゃないか、なぜ俺だけ問われなきゃいけないんだ?」

「あなただけは異常過ぎるからです、なぜそこまで過敏に拒絶するのですか?」

「・・・君にはわからないだろうさ、あいつら異者の非道を知らない」

カーズの腕は怒りに震える。

「奴らは・・・ 奴らは肉親がいない憎しみを俺にぶつけてきた・・・!
 初めは仲良くしようともした、なぜ奴らを異者と呼んでいることに疑問だって抱いた!」

「俺だって初めから異者を毛嫌いしていたわけじゃない、だが異者とよんでいる奴はそんな感じの理由があるんじゃないのか!?」

力強く語らうカーズ、その怒る瞳に偽りは感じられない。

「・・・そういうことでしたか、あなたの態度の理由がわかりましたわ」

立ち上がるミディ。

「ですが、カーズ。 異者はみな、あなたの思っているような方ばかりではありません」

「・・・・・」

「あなたの言葉に偽りはないと思いますが、少なくともセロと今日きたルナという娘はそんな方ではありませんわ」

「だけど・・・!」

「・・・私はいきますわ、それじゃあごきげんよう」

そう言うと歩き始める、そのときミディはある何かに気がついた。

(え、何・・・ この声? 誰かが呼んでる・・・?)

「・・・ミディ? どうした?」

突然空を見上げるミディに疑問を抱くカーズ。

「いえ、別に何も・・・」

フラフラと学校の裏門の方へ歩いてゆく。

「いったいどうしたんだ、さっきと全然雰囲気が違う。 心配だな・・・ 行くか」

そうしてミディの後を追うカーズ。



・・・ルナが階段を下りてると三人くらいの女子生徒がソロリソロリと近づき後ろから背中を強く押した。

「きゃあ!?」

勢いよく落ちるルナ、足ひねって倒れてしまう。

「痛っ・・・ 何なのいきなり・・・?」

三人がルナの前へくると話し始める。

「あんたが今日転入してきたって言う異者ね、私達の歓迎よろこんでいただけたかしら?」

「あなた達がやったのね、どうして!?」

「うるさいわね、異者の分際で!」

「生意気な口たたくんじゃないわよ!」

そう言うとルナの髪をつかみ、

「ちょっと顔がいいからって調子こいてるんじゃないわよ!」

パン! と平手が響く。

「こんな生意気な小娘には制裁が必要ではなくて?」

「その意見さんせ〜」

「さあ、こっちにきなさい!」

引っ張って人気のなさそうな教室へ連れてゆく。

「痛ぅ・・・ 何、するの?」

「何ってこんな状況になってもわかんないの? 出てきなさい!」

一人の女が呼ぶと数人の男達が入ってくる。

「へへへ、姐さん。 今日はこの娘ですかい?」

「そうよ、好きなようにしちゃって」

「では、遠慮なく!」

男達は飛び掛りルナの制服を破り始める。

「いやああぁぁぁ! やめて!」

そう叫んでいると、見張りをしていた女生徒が。

「大変、先生の見回りここに来るわ。 今回は引きましょう!」

「・・・しかたないわね、あんたたちやめなさい」

「っち・・・!」

「うぅ、ひっく・・・ひぐ・・・」

全員でていき、服を破られたルナだけが残される。

そして、午後授業が始まる。

「ルナの奴どうしたんだろう・・・?」

もどってこないルナの席を見つめるセロ。

・・・そうしてすべての授業が終わり放課後となる。

(結局ルナは戻ってこなかったな・・・)

屋上一人でそんなことを考えていると、突然扉が開き無残に制服を破られたルナが姿を現す。

「!? ルナ、どうしたんだ! それにその格好は・・・」

「あ、あは、ちょっとね・・・」

笑顔を作り笑ってみせる。

「・・・何があったんだ?」

「べ、別に・・・ あの、ちょっとね・・・」

セロには無理に表情を作っているのがすぐにわかった、すると・・・

ギュ、っとルナを抱きしめてあげるセロ。

「ちょ、ちょっとセロさん!?」

「言ったでしょ、辛いことがあったら言ってくれってさ・・・」

「あたし、辛いことなんて別に・・・」

「ならどうして何かあったことを話してくれないんだ?」

「・・・・・」

「泣きたかったらさ、泣いても良いんだよ。 いまここには僕しかいないから・・・」

頭をなでながら優しく言う。

「・・・ぅ、うわあああぁぁん!」

思いっきり泣いてしまうルナ。

「よしよし、辛かったね。 大丈夫だよ、もう君を傷つける人はいない大丈夫だから・・・」

「ひぐ、ひぐ、・・・」

十分にたくさん涙を流したルナは事と説明する。

「私ねお昼のときに三人の女子にちょっとやられちゃって、そしたら男の人たちに・・・」

セロは破かれた制服を見て言う。

「それがショックで出れなかったんだな。 よしよし、大変だったね・・・」

「・・・ありがとう、セロさん。 おかげでもうすっかり大丈夫です!」

「それなら、よかった。 しっかりな」

「はい!」

すると、また扉が開きあのときの男達が顔を出す。

「へっへっへ、みつけたぜ異者のお嬢ちゃん・・・」

「!? あなた達は!」

「やっぱ我慢できなくてよ、まあ異者ならヤっちまっても平気だろう」

「そういうことでよ、きてくれよ!」

セロ達のほうへ歩いてくる。

「・・・あいつらが、その男達なのか?」

「うん・・・」

「そうか、なら僕は君を守ろう。 全力でね」

「で、でも相手の人数は多くてたいへんだよ・・・」

「なに、彼らは相手にしないさ」

するとセロはルナをお姫様抱っこし、フェンスへ足をかける。

「しっかりつかまってろよ、あと口はあけるな舌かむぞ! はぁ!」

屋上から飛び降りるセロ。

「な、何いいいいぃぃ!?」

「ちょっと待って、セロさん! ここ屋上・・・!」

「口はあけるなといったはずだ、大丈夫だよ。 僕は慣れてるから・・・」

ズドオオォォン・・・!

きれいに着地に成功する。

(行方不明の兄さん鍛えられてたのがこんな形で役に立つとはな・・・)

「よし、逃げるぞ。 ウオオォ!」

ダダダダダ! 全速力で走るセロ。

「・・・ここまでくればもう平気だろう、あとのことはどうにかするさ」

ひとまず逃げ切りセロは一息つく。

「ごめんね、あたしのために本当に迷惑かけちゃって・・・」

「気にしないでって、僕は自分がやりたいからやったんだ。 でなきゃあの時に君を奴らに差し出すさ」

「そう、なんだ・・・」

「あ、あの・・・」

「ん? どうしたのルナ?」

「あ、あのねセロさん。 あたしほんとは!」

ルナが何かを言いかけると突如、

ガシャアァァ、グラグラグラグラ!

「え、何!?」

ものすごい揺れが二人を襲う。

「すごい揺れだ・・・! これはいったい!?」

なおも地震はさらに強さを増してゆく。

「キャアアアァァァ!!」

あまりに強い揺れでルナの足元に地割れが発生してしまった!

「!! ルナ!」

パシ! ガララ・・・

ルナを助けセロも落ちそうなる間一髪崖の縁をつかみ命拾いする。

「大丈夫か、ルナ!?」

「私は全然平気! セロさんがたすけてくれたから・・・」

「やばいくらいすごい揺れだ、これは四年前と同じ・・・ いや、それ以上か!?」

そんなことを考えているうちに、崖の縁が今にも崩れそうになっていく。

(まずい、このままじゃ二人とも助からない・・・ しかたないこれしか方法はないか・・・)

「ルナ、僕が今から上へ放り投げるから何とか崖の上に行って! できるよね?」

「わかんないけど、セロさんが言うなら!」

「いい返事だ、じゃあ3、2、1でいくよ! 3、2、1!」

ブオォン!

勢いよく投げられるルナ、余裕で上へたどり着く。

「いけたよ、はやくセロさんもあがって!」

「ああ、わかってる。 ってそれは無理みたいだな」

「・・・え?」

ガララ・・・

崖崩れが起こり下のほうへ落ちるがかろうじてつかむことができる。

「ルナ、君だけでもにげるんだ! 今おきてるのは地震だけじゃない、ここは海岸近くだ大津波も来るぞ!」

「いや! セロさんを残して逃げれない!」

「・・・大丈夫だよ、君が行った後すぐに僕も行く。 だから迷わずいくんだ!」

満面の笑顔を返すとルナは決意する。

「わかったわ、絶対の約束だからね。 守ってね!」

「ああ・・・」

ルナは走り去る、そしてセロが取り残される。

「ごめん、ルナ。 約束守れそうにないや・・・」

手が離れ落ちてゆくセロ・・・

「せめて、君だけでも無事で・・・」


カーズはミディを追って学校を出てしばらく行っているとこちらでも地震が発生していた。

「う、うわ! 何なんだ急に!?」

足場が悪くなりひざを突くカーズ。

「そうだ、ミディはいったいどこに!?」

追っていたミディのほうを見ると、何かに操られるかのように足場の悪いいところでも難なく歩いている。

「いったいどうしたと言うんだ・・・ それにこの揺れ具合は尋常じゃない!」

そして、立っているのも辛い中ミディを追いかける。

(こっちなの・・・? なぜ私はこちらに向かっているのでしょう、でも・・・)

ずっと歩き続けているとついに足場が崩れひざをついてしまう。

「ミディ!」

「カーズ・・・?」

するとカーズはミディに追いつき声をかける。

「私はいったい・・・? どうしてここに?」

「そんなことはどうでもいい、早くここを離れないと・・・! うわ!」

崖が崩れ岩雪崩がおきている。

「どうする・・・ ミディ。 立てるか!?」

「う、うん。 痛っ・・・?」

よく見ると足を切っていた、とても歩けそうな傷じゃない。

「だめそうだな、許婚の俺がついていながら申し訳ない・・・」

そうして、どうするか考えていると・・・

ズガアアァン!

「今度はいったい何なんだ!?」

今度はあちこちで爆発がおき始めている。

ザアアァァ・・・

「さらに暴風雨か・・・ この世界は一体どうなってしまうんだ・・・」

「カーズ! あぶないですわ!」

「・・・え」

ドゴオオォオン!

「うわあぁ・・・!」

爆風に包まれるカーズ。

「カーズーーー! ・・・あっちこっちで崩れてきてる、四年前より遥かに強い天変地異・・・ 世界が崩れていくようですわ・・・」

さらに暴風雨と揺れが強くなっていく、そして・・・

大量の雨で水嵩があがり強い土石流が流れてくる。

「もう、だめなのかしら・・・?」

ミディは土石流に飲み込まれていく・・・


一方、セロのところから後にし、走り続けているルナだが、

「セロさんご無事で・・・」

そう言うと同時に自分に影がかかる。

「え、どうして影なんかが・・・?」

見上げると最強の大津波がルナを呑み込む。

(そんな、ここまで逃げたのに・・・ セロさんの約束破っちゃった・・・)

派手な音を立てながら流されてしまう・・・





そして、世界は崩れゆく・・・





[あとがき]


序章終わりです〜。 疲れました〜・・・
これからの展開に交互期待(誰
こんな出来損ないの乱文を読んでくれた方ありがとうございます。
完結までがんばるのでこれからもよろしくお願いします。





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