第5話 To be or not to be

 

 

 

 

 

―アソクの月 緑よっつの日 朝

秋也の部屋

 

この町に留まる最大の理由が無くなってから次の行動を考えている間にひと月が過ぎ、退屈ながらも平穏な日々は続いていたが、

「今朝は妙に静かだな」

今日はいつもより遅く起床した秋也の耳に町の喧騒は聞こえず、外を見ても道を歩いている人間は1人もいなかった。

考えていても仕方がないのでとにかく下におりる事にした。

 

「おお、姫。おはよう」

秋也が店に顔を出すとダンが店の掃除をしていた。

「おはようございます。すいません、寝坊しました」

「たまにはいいさ。それよりしばらく外には出るなよ」

ダンの言葉を聞いて秋也の動きが止まった。

「何かあったんですか? 外にも誰もいないみたいでしたけど」

「いや、実はな…」

少し声のトーンを落としながら言って、ダンは手招きをした。

秋也が近づくと、他に誰がいる訳でもないが自然と声を潜める。

「エーテル研究所が襲われたらしい。だからしばらくは家の中にいろとさ」

秋也はしばらく黙り込んだ後、

「わかりました。それはそうと、また寝ててもいいですか?」

申し訳なさそうに尋ねた。

「そんな事言うなんて珍しいな。いや、初めてか。分かった。今日1日ゆっくり休め。夜も休んでていい」

「本当ですか? ありがとうございます。あ、朝食もいりませんから」

秋也は丁寧に頭を下げると軽い足取りで再び階段を上っていった。

 

「ったく、こんな時に仕事なんかやってられるか」

部屋に戻ると独りごちた。

そして着替えてから軽く運動を始め、それを終えるとベッドに座って目を閉じ、今度は瞑想を始めた。

「とりあえず、襲撃の犯人に会いに行こう」

秋也は目を閉じたまま口を開いた。

「それにラキオスも研究所をやられてそのままって事はないだろうしって、言ってる側から」

秋也は神剣の力が解放されるのを感じ、スッと目を開いた。

【まだ少々遠いですが、町から北の方ですね】

当然同じものに気付いた《真理》からはわずかに緊張が感じられた。

「行きますか」

秋也はベッドから立ち上がると深呼吸をし、精神を集中させた。

「光よ、真実を覆う衣となれ――フェイクシール」

秋也の口から流れるは言霊。

それらは《真理》の力を帯び、秋也の望む魔法(ちから)となる。

「ま、こんなところか」

そう言いながら秋也が鏡の前に立つと、そこに彼の姿はなく、ただ部屋の中が映っているだけだった。

「っし。上出来」

小さくガッツポーズ ‐鏡には映らないが‐ をしてから窓の前に立った。

窓を全開にすると、縁に足をかけて身を乗り出す。

やはり人はいなかった。

【初陣、ですか】

《真理》がポツリとつぶやいた。

「そうならない方がいいけどな」

秋也は軽口で答えると勢いよく飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―同日 昼

リュケイレムの森

 

秋也が森に入ると、予想通り誰かが戦っているのをハッキリと感じた。

自分達の気配を殺しながら、しかし極力スピードは落とさずに走る。

【くれぐれも気を抜かないでください。私達はあくまでも‘見えない’だけで、気付かれたら終わりですからね】

『わかってる』

声には出さずに《真理》と‘会話’をしながら、限られた範囲で正確な方向を探した。

すぐにスピリット達の姿が肉眼で見える位置まで来ると急に自分の鼓動が大きく聞こえるような気がして、秋也は相手からは自分の姿は見えないと分かっていても、つい木の陰に身を隠してしまった。

状況を確認しようと顔を出した時、秋也の目の前を1人の青スピリットが駆け抜けていった。

そのスピードは秋也のそれをわずかにだが上回り、敵は反応しきれずに無防備な瞬間をさらけ出し、マナの霧へと変わっていく。

秋也は彼女に見覚えがあった。

この世界に来た時、悠人を抱えて飛び去った少女だった。

「……」

【秋也?】

「……ん? ああ…」

秋也は心ここにあらずといった風で、声に出して答えていた。

【大丈夫ですか? もし辛いようならば戻りましょうか?】

《真理》は心配そうに聞くと、秋也は軽く息を吐き出した。

『大丈夫』

それだけ伝えた。

【秋也がそう言うなら。で、どうしますか?】

『とりあえず…』

秋也は《真理》に答えながらあたりをキョロキョロと見回した。

俺のカンが正しければ……いたっ!

秋也の視線の先には不恰好ながらも懸命に剣を振る高嶺悠人の姿があった。

彼は制服の上に羽織のような物を着ていた。

そして秋也の視線の先、悠人の手に握られている神剣からは最初に感じたものと同じ力を感じた。

高嶺がラキオスにいて、伝承の通りだと考えると、あれが《求め》か。

落ち着いた様子で腕を組み、木に寄りかかった時、ちょうど死角からスピリットが飛び出してきた。

その後ろにはもう1人、まだ幼い赤スピリットの姿があった。

彼女は敵スピリットを追い詰め、その小柄な体に似合わぬ神剣を敵に突き立てた。

――ッ!?

秋也は絶句した。

もちろん目の前の光景に対してという事もあるが、無邪気に笑う彼女の顔に秋也は生まれて初めて、心の底から恐怖というものを感じていた。

「――、―――!」

悠人が何かを叫んでいるようだったが、秋也の耳には言葉として認識されなかった。

【逃げて!】

《真理》の叫びに秋也は我に返ると、突き立てられた神剣が発する魔法の気配を感じてすぐに距離をとった。

次の瞬間、スピリットの体は爆発した。

「アリかよ、こんなの」

それを遠ざかりながら見ていた秋也は呟いた。

 

それからしばらく戦場から離れた場所で立ち尽くしていると、程無く悠人達が街の中に入っていくのが見えた。

「あのバカッ!」

秋也は思い出したように小さく叫ぶと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―同日

秋也の部屋

 

秋也は部屋に戻るとすぐに部屋の隅においてあったバッグをテーブルの上に載せ、中身を確認しだした。

バッテリーの切れたケータイ、数冊の文庫本、マフラーとニット帽、ルーズリーフに筆記用具……その他ろくな物は無いが、元の世界から持ってきた物を置いて行く訳にはいかなかった。

「あ」

途中で何かを取り出した。

それは2人の人物が写った写真だった。

【誰ですか?】

「片方は俺で、もう片方は俺がこうしていられる理由の全てかもしれない人だ」

【?】

「分からなくていいさ。とにかく俺にとって特別な人だって事」

秋也はそれ以上は何も言わずに作業を続けた。

 

「明日の早朝にこの町を出る」

不意に秋也が口を開いた。

【私は構いませんが、どうして急に?】

「それは…」

《真理》の言葉に秋也は手を止め、タンスの前にしゃがむと一番下の引き出しを開けた。

そこにはシワや折り目がつかないよう、ほとんどたたまれないままの制服が入っていた。

「人が必要以上に目立たないよう努力してきたっていうのに、これと同じ物を着たどっかのバカが、堂々と町中を歩いてくれたからだ」

秋也は珍しく腹立たしげな声を出した。

ちなみに、彼はダンの所で世話になり始めてからすぐにこちらの服を着て生活をしていた。

【でも秋也がここでそれを着ていたのはほんの1,2日じゃないですか。きっと誰も覚えて…「ないと言い切れるか?」】

【それにさっきのタカミネさんが誰かに見られるとも限らないじゃ…「根拠は?」】

秋也は《真理》の楽観的な言葉をことごとく否定した。

「ただでさえ俺は‘よそ者’なんだ。エトランジェかもしれないっていうのは、少しでも疑われた時点でもうアウトなんだよ。いや、もしかしたらもっと前からみんな疑っていたのかもしれない。どっちにしても、ここを離れるべきだと思う」

そう言いながら秋也は再びテーブルの上のバッグに荷物を詰め直した。

あとは水と食料と、金だな。出る前に店から持ってくか……本当はこういう恩を仇で返すようなマネはしたくなかったんだけど。

とりあえずの準備を終えた秋也はベッドに横になった。

「夜明け前に起こしてくれ」

【わかりました。秋也が決めたのなら、私は止めません】

「話が分かる相棒で助かる」

秋也は鼻で笑うと目を閉じた。

 

深夜。

秋也の部屋には人影がふたつ。

ひとつはベッドの上で穏やかな寝息を立て、もうひとつは息を潜めタンスの前に。

そして引き出しに手をかけようとした時、

「何か用ですか? オヤジさん」

感情のこもらない、無機質な言葉と共に部屋の明かりが点くと、タンスの前にはダンがいた。

驚きに固まりながらもダンが視線だけで声の主を探すと、秋也がドアに寄りかかっていた。

「噂が広まるのは早いですね。それとも以前から? どちらにしても残念だ」

構わずに続ける秋也の言葉はただ淡々としていた。

それはダンが初めて見る顔だった。

「おそらくあなたの想像通りです。そして僕は明日の朝にこの町を出て行きます。だから今は何も無かった事にしてこの部屋を出て行ってください。でなければ、‘俺’は俺を守るためにあなたを………」

殺します、とだけ冷たく言い放った。

ダンは少し困ったような顔をしながら頭をかいた。

「姫の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかったよ。それにお前の事はせいぜいバーンライト辺りから流れてきたのかと思っていたが……俺が囲っておくには、大き過ぎたみたいだな」

「そうですね。それで、どうしますか?」

ダンの事など興味は無い、とでも言いたげな顔で秋也は扉を開け、外に出るよう促した。

同時に、ダンにも見えるようにオーラフォトンを展開させた。

彼には肌でその凄さを感じることはできないが、それでも自分の目の前にいるのが人ではない事を知るには十分だった。

「俺はただ姫の様子を見にきただけだ。何も見なかったし、人に言うような事も無かった」

それだけ言ってダンは秋也の前を通り部屋を出る。

「よかった」

そして少しホッとした様な秋也の声に振り向いた。

「あなたを傷つけずにすんで」

閉じられていく扉の隙間から、いつものように愛想笑いを浮かべた秋也の顔が見えた。

それこそ、ダンがよく知る秋也(ひめ)の顔だった。

ダンは何も言わずに去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―アソクの月 緑いつつの日 早朝

酒場

 

秋也は制服を着て店に出ると、イスに座ったダンがいた。

ダンは立ち上がると秋也に近づき、何も言わずに小さな皮の袋を差し出した。

秋也がそれを受け取り、中を見ると結構な額のお金が入っていた。

「これは?」

秋也が尋ねると、

「今まで姫が働いた分だ。それと…」

ダンは少々古臭くはあったが、しっかりとした作りのローブを差し出した。

「どうしてこんな事を?」

「最初の約束は‘厄介事が持ち込まれない限りはお前を置いてやる’はずだったのにな」

ダンはボヤくように言ってから秋也に深々と頭を下げた。

「詮索して悪かった。結局、持ち込まれる前に俺が厄介事を作っちまった。勝手を言って悪いが、見送りぐらいはさせて欲しい」

秋也は黙ったまま頭を下げるダンを見下ろしていた。

時計の針の音がやけに大きく聞こえる静寂の中、秋也は静かに話し始める。

「別にオヤジさんのせいじゃありません。それに僕も結構前から町を出る気ではいたんですが、なかなかキッカケが無くてどうしようかと思っていたんです」

秋也はダンの肩に手を乗せた。

「逆の立場なら、僕も同じ事をしましたよ」

秋也は軽口を叩いてみせたが、それでもダンが頭を下げたまま黙っているので、そのまま店を出ようと扉に手をかけた。

そして、振り返らないまま言った。

「もし元の世界に帰れる事になったら、挨拶に来ます」

ダンはようやく顔を上げ、秋也の背中を見た。

「また、来てくれるのを待ってる」

秋也は一度だけ頷いて、何も言わずに扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―リュケイレムの森

 

町を出て、やがて見えなくなった頃、

【よかったですね。わだかまり無く旅立つ事ができて】

そう言う《真理》の声にも安堵感があった。

「ああ。それに路銀は十分にあるし、いい物も貰った」

秋也はうなずきながら答えると、バッグからその一部を覗かせているローブに目をやった。

そして立ち止まった。

「今のうちに距離を稼いでおきたい。少し飛ばすぞ」

秋也はバッグを置くと集中を始めた。

《真理》の波長に自身を近づけ、重ね合わせる。

大分速くはなったが、それでもまだ数秒を要していた。

よし。

秋也が力を引き出す段階に移ろうとした瞬間、

【後ろ!】

鋭い《真理》の声にとっさに前方へ跳んだ。

すぐに体勢を立て直して振り返ると、1人の黒スピリットが立っていた。

ほんの少し前まで秋也が立っていた空間に刀型の神剣を振り下ろした状態で。

秋也は舌打ちをし、迷う事なく背を向けて走り出した。

「何だよアレ!? 何で俺が襲われんだ!」

走りながら秋也は誰にともなく叫んだ。

【どうして逃げるんですか?】

「当然だろ! 目がマジだったじゃねぇか! とにかく逃げ切る方法を……」

余裕があるのか無いのか、《真理》と騒ぎながら走っていた秋也は振り返ったが、そこには誰もいなかった。

明け方の森は薄暗く、すでにある程度整備された道からも外れているため、スピリットは彼を見失ったらしい。

秋也は一気に全身の力が抜けたような気がした。

もう一度集中を始めようとした時、まだ距離はあったものの、スピリットの姿が視界に入った。

目が合う。

一直線に秋也へと近づいてくる。

クソッ、結局こうなるのか。

秋也はうつむき、息を吐き出すと共に全身の力が抜けたように体が沈む。

スピリットが自分の間合いに秋也を捉え、再び剣を振り下ろそうとした時、彼の姿が‘消えた’。

そして後ろに気配を感じて振り返ろうとする彼女の横顔に、秋也は容赦なく掌底を叩き込んだ。

スピリットの体は数メートル飛ばされ、地面に落ちた。

退()け。お前じゃ俺には勝てない」

それだけ言うとスピリットに背を向けた。

歩き出した秋也の背後で彼女は立ち上がるが、まだ少しふらついていた。

それでも刀の柄に手をかけ、地を蹴る。

スピードは先程とは比べるべくもなかったが刀を抜いた。

秋也の体は何の手応えもなく切り裂かれ、煙のように消えてしまった。

同時にスピリットは辺りに警戒を走らせるが、

「風よ、我が前に立つすべてを薙ぎ払え――スウィープ」

その姿を見つけた時にはすでに遅く、秋也の手から放たれた小さな嵐は小柄な彼女から簡単に自由を奪い、木に叩きつけた。

「もう立つなよ。次は命の保証はしない」

秋也は吐き捨てて背を向けた。

 

少し道に迷ってから秋也はようやくバッグのある場所まで戻り、それを拾った。

「余計な力を使ったな」

【そう思うなら、わざわざ逃げ回らずに倒してしまえばよかったじゃないですか】

《真理》は秋也の判断が気に入らなかったらしい。

「俺は理由がなきゃ戦わない」

秋也は歩き始めながらあっさりと答えた。

【‘自分の命を狙われた’というのでは足りないんですか?】

「いや、十分だと思うよ。でも戦わずに、相手を殺さずに済むならそっちの方がいい。だろ?」

うっすらと笑いながら問い返した。

【そうですか。私には理解しがたいですが、秋也がそう言うのであれば】

「そっか」

言いながら秋也は振り向く。

それまでの笑顔はなく、鋭い視線がそこに立つ者を射抜いていた。

「お前、俺の話を聞いていたのか?」

そこには先程のスピリットが立っていた。

何も語らず、秋也を見つめる。

「もう一度だけ言う。今退かなければ、殺す」

その言葉にやはり彼女は答えず、刀に手をかけた。

「エトランジェ……殺す」

そして秋也へと向かう。

すでにダメージはないのか、スピードは最初に切りかかった時と同程度であった。

あっという間に距離を詰め、必殺の意思をもって刀を抜く。

だが刃が秋也の体に触れた時、またもその体は手応えもなく消えるだけだった。

「3度も後ろを取られるな」

背後からの声にスピリットは振り向きざまに刀を一文字に振った。

そこには誰もいない。

次の瞬間、巨大な偃月型の刃が彼女の体を貫いた。

彼女は自分の胸から生えるその黒い刃を見つめる。

それはすぐに殺そうとした相手と同じように消えてしまった。

手からは力が抜けて軽い音と共に神剣は地に落ち、彼女が倒れると金色のマナの霧へと変わった。

秋也はそれを見届けてからしばらく自分の左手を見つめていたが、突然口元を押さえて草むらの中へ消えた。

 

しばらく経ってから戻ってきた秋也は再びバッグを拾い上げた。

「……気持ち悪い」

そう呟くとフラフラと歩き始めた。

まだ左手にある、スピリットを貫いた感触。

鼻の奥にこびりついた様に残っている血の臭い。

そして心のどこからか湧き上がる妙な達成感と征服感が何よりも秋也の不快感を大きくしていた。

「《真理》」

【はい】

「いつか俺が、誰かを笑って殺すようになった時は、俺を殺せ。お前ならそれぐらい簡単だろ?」

まだ少し心許ない足取りと違い、言葉には強い意志が感じられた。

【難しいですね】

《真理》は即答した。

【私にはそんな瞬間が来るとは到底考えられません。だって秋也は……優しい子ですから】

秋也は立ち止まり、驚きに目が大きく開かれた。

しかしすぐに鼻で笑う。

「俺が優しい? 《真理》、お前にひとつ言っておく。澤村秋也という男に変な期待をしない方がいい。俺は誰よりも傲慢で利己的な人間だ。何よりも自分が大事で、それを守る為なら大抵のことは厭わない。そういう奴だ」

つまらなそうに言うとまた歩き出した。

【大丈夫です。私、信じてますから】

なお揺るがない《真理》に秋也はただため息をつくしかなかった。

「ま、俺をどう思うかは自由だ。けど、俺は忠告したし、結局絶望するのはお前自身だって事忘れるなよ」

【大丈夫です】

秋也が何を言っても《真理》に迷いが生まれる様子はなかった。

カラン

その時、秋也の足が何かを蹴った。

視線を下に向けると、そこには例のスピリットが振るっていた神剣が転がっていた。

辺りを見回し鞘を拾うと剣を収めた。

それをジッと見つめると、やがて一言。

「お前、俺達と来るか?」

【ええ!?】

驚きの声を上げたのはもちろん《真理》だった。

「イヤか?」

【反対する理由はありませんが…】

「なら決まりだ。で、おまえはどうだ?」

だが何の反応もないのでどうしようかと思っていると、

【……承知】

低くしわがれた男の声で返事があった。

「じゃあ、よろしく。俺は秋也で、こいつが《真理》だ」

【……】

「えっと、名前ぐらい聞きたいんだが?」

【……夢幻】

「《夢幻》、ね」

どうやら、奇妙な仲間が増えたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continued