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 朝がやってきた・・・新しい朝が。
 この世界はいま、レスティーナ女王の政策により人とスピリットが共存して生きるということに決まっていた。そして、いままでスピリット任せの戦争、スピリットを使用した犯罪、そういうものを全て亡くす為レスティーナ、そしてヨーティアやスピリット隊の皆はファンタズマゴリアを守るため、朝早くから活動を開始していた。
 例えば・・・。

 ガロ・リキュアの王城。その執務室にて。

「元サーギオスの領土を治める予定の領主に、この資料とこの物資を送って!それと町にあるエーテル施設の廃止の件はまだ終わってないの?それにこの件についての打ち合わせを今日・・・・」

などという忙しい元お姫様や、どう王城の実験室で。

「もっとましな人材つれてこんか――!」

 などと叫ぶ天才科学者などが大忙し、それにスピリット達もいままでのような戦争をしないですむ為に、人間と同じ仕事が出来るように勉強中であった。

「・・・・・・うー、何で二ムがこんなこと覚えないといけないのよー」

「しっかり勉強しないと学校に通えないからな。オルファやクゥなんてもう通ってるんだぞ?さぁ次々・・・」

「う―――わかんないよぅ・・・むかつく」

「むかつく〜♪」

「クゥ・・・あんたは勉強できるんだから真似しないで。むかつくから」

「ほら・・・二ム、ヒミカとクゥを困らせないの。忙しい仕事の最中勉強教えてもらっているんだから。ほら、ネリーやシアーだってきちんとやっているでしょう?」

「・・・あいつらやっている振りして寝ているだけなのに。お姉ちゃんよく見てよっ」

「「え?」」

ネリーたちの部屋に入り顔を覗いてみると・・・本の前で眠る二人

「はぁ・・・大丈夫かしらこんなので・・・」

「まぁ・・・いままで戦闘しか教わらなかったんだし仕方がないけど、眠らせるわけには行かないからな・・・強制的に起こそう。火の精霊よ・・・小さき花を咲かせよ・・・」

「え?」

「まぁ目覚ましだ、パンッっと!」

―――どぉぉぉぉぉぉん・・・・

 他にも暴動等が起きないようにアセリアやウルカ達、戦闘に生きがいを感じる者達は、今までとは逆に人間を鍛えていた・・・いままでスピリット頼りしていた人間達は直ぐにへこたれるがそこへ。

「・・・・・・死ぬ?死んで・・・人生やり直す?」

 無表情でずいっ・・・っと近寄ると。

「ひっ・・・ひぃぃぃぃ!」

「・・・アセリア殿それは一体?」

「ん・・・トキミがこうしたら良いって訓練のマニュアルくれた。・・・これ」

「なになに『恐怖・どんなへたれ男も動かす倉橋家秘伝の書』・・・」

「あとこれも。キョウコから貰った」

「ふむ・・・『死ぬ一歩手前まで追い詰め鍛える本』」

 捲ると色々な手が書かれているそれを見て「ふむ・・・」と言い

「面白いでござるな。手前も実戦して見ましょう」

「ん・・・一緒にがんばる」

 暫くして光陰が見回りに来るとそこは地獄絵図であったという。
 かなりの期間、この本は兵士に恨まれることとなった。

 そんな風にこの世界全ては動き出し始めていた・・・そして。


「さて・・・もう準備は平気か?」

「あ、はい!」

「別れの挨拶は終わったのか?」

「・・・していません」

「いいのか?ハリオンとは姉妹のようだったのに」

「どうせ、今挨拶してもこの世界を離れると忘れられるのでしょう?それなら会うのが・・・つらいんです」

「悠人さんは鈍感ですねぇ〜」

 ドアから時深さんが入ってきました、そして私達に。

「こんな鈍感な悠人さんなんか捨てて私に譲ってもらえませんか?ふふ。」

「!・・・わ、私は絶対ユート様と一緒にいるんです。離れません」

―――がしっと抱きつく私。

「だって昨日の夜に悠人さんが「ヘリオンなんてただの妹さ、俺が本気で好きなのは時深・・・君だけだよ」ってロマンチックに・・・ぽっ」

「え・・・ユ、ユート様・・・もしかして・・・ひっく・・・私のことが嫌いになったんですか・・・?」

「って待て――!!ヘリオン、俺は浮気なんてしていない、全部時深の嘘だ信じてくれ!!」

「・・・あの夜嫌がる私にこう悠人さんが野獣の様に襲いかかってきて・・・きゃん♪」

「ユ、ユート様ぁぁ・・・ひっく・・・」

「嘘止めろ時深、泣くなヘリオン、あぁぁぁぁ!」

 するとまたドアが開いて・・・そこからハリオン姉さんが現れました

「あらら〜、修羅場ですか〜?」

「はい。(きっぱり)」

「ひっく・・・うぇぇぇん・・・」

「ち、違うこれは全て時深の悪戯だ!!」

「あらら〜まぁそれは置いときまして〜、トキミさんが私をここに呼び出したんですがなんのようですか〜?」

「用があるのはこの子です。さぁヘリオン、ハリオンが来ましたよ?」

「うぐ・・・え・・・あ・・・」

 流れている涙を隠すようにハンカチで拭きとり、私は姉さんと向き合いました・・・でも私の為に呼び出してくれたなんて・・・おせっかい焼きです時深さん。

「悠人さん少し表に出てましょう?ああヘリオンさっきのは冗談ですから。」

「!!・・・あ、あぅ・・・ユ、ユート様・・・疑っていてすみません」

「はは・・・悪いのはこの悪の巫女だから気にするな・・・って痛たたたたたっ!」

「おほほほほ・・・それではまた」

 パタンッと言う音と共に退出する2人・・・訂正、さっきはおせっかい焼きだけとおもったけど追加で意地悪です。

「それで〜私に何か御用でも〜?」

「あ、ええと・・・実は私はこの体になる前はハリオンさんみたいなお姉さんが居たので・・・ちょっと最後に話をしたいなと・・・え、えへへ・・・」

「わかりましたよ〜。つきあいます〜」

 そして・・・時深に引っ張られた俺はというと。

「お前・・・いくらなんでも野獣の様に襲い掛かった・・・なんて嘘言うなよな?ヘリオン真面目すぎるから信じるところだったぞ・・・ったく」

「うふふ。」

「大体襲われたのは俺・・・。」

「うふっ・・・ちょっと困らせたかったので。それにしても今でも意外です。」

「?・・・なにがだ?」

「ヘリオンの持つ永遠神剣なのですが、本来ロウエターナルの中でもあれだけ高位の剣がカオスエターナルに寝返るなんて絶対無いはずなんですよね・・・隠しているようでしたがあの剣・・・第一位永遠神剣です。」

「そんなに凄い剣なのか・・・」

「ええ・・・刹那の時を神速とする・・・私の『時詠』と正反対の性質ですね。時を遅らせてその中で高速で動く・・・ですから。私はそう、ローガス様より聞いてます」

「なるほどな・・・。」

 そして少し真面目な顔をした時深が言う

「・・・私は少し心配です。このままエターナル同士の戦いの中であの子がついてこられるのか、それとあの剣が裏切らないのか・・・」

「もしも裏切られたならその時は俺が助けるさ・・・。永遠の時を共に生きるって誓ったんだから・・・な」

「・・・そうですね、うふふっ」

「ユート様、今戻りました〜」

 そういいヘリオンが戻ってくる・・・そのタイミングで時深は

「さぁ、行きましょうか悠人さん♪」

 っていい俺の腕に手を絡ます・・・マテ・・・。それを見てヘリオンも「行きましょうユート様」といい逆側から抱きつこうとするが・・・時深が俺の体を引っ張りそれを阻止する。・・・あ、泣き出しそう、そうおもった俺はやめろと時深に言おうとしたタイミングで・・・こけた。

「えっ・・・あ、きゃあ!」

 そういって俺を弾き飛ばし体勢を立て直そうとした為、俺は突進してきたヘリオンとぶつかり、もつれ合って地面に転がった・・・倒れた俺の口に柔らかい感触が・・・?

「あぅ・・・あぅ・・・あぅ・・・あぅ・・・。」

 目の前には耳まで顔を真っ赤にしているヘリオンの顔がまじかにあった・・・ってキスしてる!?

「こ、こら時深!お前何するんだ!!」

 そういったときには既に時深の姿は見えない。・・・あいつ逃げたな。そしてこの場には顔を真っ赤にしてへたり込んでいるヘリオンと動揺してる悠人が残されたのであった。

 ・・・しばらくあと、何も無かったかのように戻ってきた時深が「さぁ、行きましょうか」なんてほざきやがった・・・この悪の巫女め。おれは今日子から餞別としてもらったハリセンにスピリットなら一撃でマナに還るほどの力を込めて張り倒したのはいうまでもない・・・

 そして・・・『門』の開く時間がやってきた。

「皆さん・・・もうやり残した事はないですね?これを潜ればもう4周期くらいの間はこの世界に誰も干渉できません、今生の別れです・・・って痛たた」

 頭を抑えつつ涙目で言う時深・・・自業自得だな。

「はい、私は最後に姉さんと会えたので・・・満足です」

「俺も光陰達やエスペリア達と最後に語り合えたからな・・・やってくれ時深」

「はい・・・『時詠』よ、別の世界へと続く道を開け・・・」

 次第に目の前の空間に門・・・というより孔ができる。・・・ああ、俺はここを潜ってこの世界へ来て色々な人たちと巡り合い・・・戦いそして永遠を生きる子を見つけたんだな。

「さぁ、行きましょう」

 そういい潜って行った時深、それに続く俺たち暫くして孔は完全に塞がりその場所には何も残らなかった。


──それと同じ刻、1人のスピリットが何故か涙を流していた、まるで誰かを失ったかのごとく・・・。







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