光が弾けた・・・これで決まったはず・・・・。
俺とメダリオは同時に反対の方向に吹き飛ばされていた。
メダリオのぶつかった壁に行動可能な赤スピリットが神剣魔法で攻撃していく・・・。
いくつの攻撃を打ち込まれたのだろうか?
メダリオの飛ばされた位置には既に濃い煙が立ち込めている。
スピリットの総攻撃の為だ。
俺は敵の姿を想像していた。これでも無傷なら化け物だ・・・そう思いつつ俺はその煙の中に沈む敵を見つけた・・・だが。
「・・・危ない、危ない・・・咄嗟の防御が間に合わなければ死んでいましたね」
そう傷だらけのメダリオがでてくるが・・・・・大きな傷は無い・・・顔も笑ったまま・・・・まずいもう俺も時深も力が残ってない・・・。
「止めと・・・そろそろいきま・・・!?・・・こ、これは体から力が・・・」
「?」
なんだ・・・?今までメダリオの放っていたオーラフォトンの力が薄れていく?
「くっ・・・なんてことでしょうあれ程に体に満ちていた力が消えるとは・・・まぁよいです、今の貴方達ならこれで・・・」
チャキッっと『流転』を構えるメダリオ。あの構えは・・・・『絶転』だ。超高速回転での突撃体制。限界まで体を捻り、跳躍しようと構える。
「お逝きなさい・・・はぁぁ!」
高速回転で突進してくるメダリオ・・・だが俺には止める手段がない。
「くっ、『タイムトリップファン』お願い『時詠』よあの攻撃を受け止めて!」
時深が立ち上がり止めようとするが・・・俺にはわかる無理だ
「っ・・・俺にかまうな、逃げろ!」
その瞬間・・・・俺たちとメダリオの間の空間が爆発、両方とも吹き飛ばされてるが・・・向こうはまだもう一度仕掛ける体力が残っている・・・!
「時深平気か!おいっ!・・・ッ」
「うっ・・・悠人さん・・・逃げてください」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・いい加減に・・・死んでくださいよ」
三者三様の有様・・・流石のメダリオもいまのでかなりの力を消耗したようだ。
それでも俺たちの不利は変わらない・・・だがここで空間に異変が起こる。俺たちの後方、スピリットやレスディーナのいる位置から『門』が出現した。
「「「えっ?」」」
そこから出るのはこの世界の戦闘衣の上に黒い法衣を纏ったツインテールの少女、手には黒塗りの鞘を持つ・・・まさか。
「ヘリオン!?」
「ユ、ユート様!!」
戦闘中ということも忘れて俺にしがみ付いてくるヘリオン、それを俺は抱きしめる・・・・・無事だったのか・・・よかった・・・。
「貴方は・・・ロウエターナルですね?協力しなさい、そして倒してしまいましょう」
俺はハッっとなる・・・確かにヘリオンの神剣からでる力はロウのオーラ・・・まさか。
『その心配はない『聖賢』の所有者よ・・・我の所有者は汝と友に歩むことを願っている・・・我は味方だ』
その時頭に直接声が響く、向こうの神剣がこちらの聖賢を媒体に声を掛けたらしい。
聖賢と似た、威厳のある声。
「ユート様・・・私はユート様が好きです!ユート様が嫌いならそれでもいい!せめて私を傍に置かせてください!!」
オドオドしていたあの少女が、勇気を出して精一杯振り絞った言葉。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はは・・・、ヘリオン・・・あの時はごめん・・・そして遅れたけど俺からも言うよ。俺も君が好きだ。共に永遠の時を生きてくれるかい?」
「・・・・・・はい!!」
すると、いままでずっとその光景を見ていたメダリオが。
「・・・茶番はそれで終わりですか?・・・なら死んでくださいよ」
酷い怒気を込めた声でそういい、『絶転』を仕掛ける・・・。
「みんな、お願い立ち上がって!『エンジェリッククレイドル』」
黒き暖かなオーラが舞い上がり・・・俺たち全員の傷が癒されていく。そしてその黒き障壁はメダリオの斬撃全てを受け止める。
──ギィィィィィィィィン
「こ、こんなことが・・・僕の技が・・・効かない?」
動揺するメダリオ、俺も驚く。緻密にオーラフォトンの力は絶対の障壁を作り出しつつ・・・俺たちの体の傷の大半を癒す。天使のゆりかご・・・一時の安らぎを与える神剣魔法。
すぅっと神剣を構えるヘリオン。
「私は、本当は戦いたくはないんです、でも私達に・・・いえ、ユート様に危害を加えるのなら!!はぁぁ『星火燎原の太刀』」
ヘリオンは跳躍し、空中からハイロゥの力を使ってメダリオへと翔ける。その刃はその名の通りに無数の斬撃が燎原の火の如く叩きつけられる・・・。
「止めです!『居合いの太刀』」
最後は居合い切りでメダリオを上下2つに分断する。
「・・・く・・・これは・・・参りましたね。こうなるとは予想できま・・・」
そして水月の双剣メダリオはこの世界から消えた。
その戦闘後
「これで残りのエターナルは4人・・・まだまだ気を抜けませんね」
「そうですね時深さま。・・・ところでそちらの方もお味方ですか?私達を助けてくれたみたいですが」
「ですね〜黒スピリットみたいな感じ〜ですけどね〜」
「!・・・はい。私は『刹那』のヘリオンといいます」
そういいヘリオンはぺこっと頭を下げ挨拶したが・・・目の端に涙が浮かんでいるのを俺は見逃さなかった。
(つらいんだろうな・・・ハリオンにまで忘れられているんじゃ)
それからヘリオンをみんなに紹介していく。とりわけきつそうだったのはニムントールに紹介した時だ。初めて会ったため彼女の性格上人見知りする。今までの親友のその態度をされ、心を痛めたのかもしれない。
軽く紹介を終えると時深がここにいる全員に声を掛ける。
「いま敵も先鋭が倒された為、油断しているはず・・・急ぎましょう」
そして俺たちは最終決戦の場所、再生の永遠神剣の在る地、キレハニに向かう為にニーハスの拠点に向った・・・。
―――その進軍の最中
「ヘリオンあの時は・・・ごめんなさい」
「いえ、時深様。確かに私のあんな姿を見せられたら止めたくなるのが分かります。お気になさらないで」
(それにユート様の為だったのでしょう?時深様)
そういうヘリオンだが顔は微妙だ・・・・あの時の光景が忘れられないのだろう。
あのあとヘリオンにもどういう未来だったのかを・・・見せたらしい。でもこういう時でもヘリオンは相手ほ気遣いすぎる・・・。きっと時深の為に平常を装っているのだろう。だが・・・ヘリオンの気質だと俺のためだということがあるからきっと許すのだろう・・・時間はかかるのかもしれないが。
1つ気になったのはその光景を見たあと、俺と自分の永遠神剣を見て不思議な顔をしたくらいか。何か違和感がある、そんな表情を。
後方のラキオスから俺たちを眺める視線があった、だが俺は気が付かなかった。
(くっ・・・舐めんじゃないよっ・・・)
「それでは私達は少数で乗り込みます。他の方々はドミオンをひきつけていてくださいませ」
「このセリア、了解しました」
「・・・お姉ちゃん・・・」
「心配しないで二ム。私達は生きて帰ってきます」
セリアが我々先鋭以外を率いてミ二オンを倒す。そして我々はエターナルとの対峙をする、そういうことに決まった。
部隊は・・・俺、時深、ヘリオンは個々で強いので状況によって配置を変える。そして光陰・今日子・ウルカの部隊、エスペリア・アセリア・オルファの部隊、ヒミカ・ハリオン・ファーレーン。それ以外はセリアが率いることになった。俺たちは後方にいて、セリアたちがある程度ミニオンの注意を引き付けるのを待っていた・・・。
「じゃあヘリオン、君の神剣の試練の為メダリオは強化されていたんだね?」
「はい、それが終わっている今はもう平気のはずです!」
(流れる気だけでエターナルを強化するなんて・・・一体どんな神剣なんだ?)
「その剣は・・・第二位だよね?」
「ええ、『闇薙』様といいます。でもこれは本来の剣の1割の力の剣らしいです」
「!!・・・じゃあ・・・時深から聞いていたがもしかするとそこまで強大な力の剣ということは・・・第一位永遠神剣なのか?」
「はい、本来の名は『刹那』というらしいです」
(時深が恐れるわけだ・・・世界に10本とない永遠神剣。しかもロウ側の永遠神剣だったんだから)
―――時深が教えてくれた内容の中では、上位永遠神剣は第三位から第一位の剣のことを言うらしい。だから悠人が分身の剣であるヘリオンの刀―――第三位を作れるのなら第一位と思うのも当然である。
ヘリオン自身、元の剣が何位なのかは知らない。
そんな会話をしているうちに時深がやってきた・・・時間か。
「悠人さん、いよいよエターナルとの決戦です・・・。参りましょう」
「ああ・・・行くぞみんな!!」
「「「おお―――!!」」」
そして俺たちは進む・・・瞬のいる場所へ―――この世界を救う為に。
それから俺たちはどんどん先に進んでいく。途中でミリオン部隊が現れ、それを引き付ける為にヒミカ隊が残っていった。
そして現在目の前には、ロウエターナル「業火のントゥシトラ」が立ちふさがっていた。・・・人間とまるで違う怪物、俺はそうおもった・・・別の世界の生物なのだろう、肉の塊のような外見に無数の触手が蠢いていた。
こいつの永遠神剣は王冠らしいが・・・そもそも剣といえるのか?
「ここは俺たちが引き受ける、ユートたちは先に向ってくれ・・・あとから追いつく」
「あたしらにまかせなさいって!」
「手前にお任せを・・・」
残ると言い出したのは光陰の部隊、確かにここで止まるわけにも行かない・・・エトランジュではエターナルの相手はきついだろうが任せることにして俺たちは敵の横を抜けて先へと進むことにした。
「分かった―――行くぞみんな!」
「キシャャャャシャシャ・・・キェェェェ!」
ントゥシトラが触手を放つ、それを今日子は避けつつ・・・。
「『ライトニングブラスト』」
雷撃を放つ・・・だがンドゥシトラの無数の触手、それが集まり肉の盾と化してその攻撃を防いだ・・そこに。
「『ワールウインド』」
「『星火燎原の太刀』」
光陰とウルカと左右からの同時攻撃、肉がごっそり削られる・・・そして上部に位置する王冠、それも切り裂く・・・だが。
「キュルル・・・キシャァァァァ!!」
「んな・・・再生したぁ!?」
「まさに化け物だな・・・こいつぁ・・・」
「これは・・・時間がかかりますな」
「だな・・・だが俺たちも瞬の所まで行かないといけない・・・行くぞみんな!」
「あいあいさー」「承知」
その頃俺は・・・神殿前にいた。そして・・・・変態ちっくなボンテージ女が道を塞いでいる・・・っいてうかこいつは。
「まだ生きていたんですか・・・「不浄のミトセマール」・・・しぶといですね。」
「あんたが止めを刺し忘れたのがいけないんだよ!この厚化粧のおばさんが!!」
ブチッ・・・・何かが切れる音が。
「お、お、おばさんですって―――!この変態女よくも人にそんなことを!」
「本当のことじゃないか・・・っていうか変態女って私かぁぁぁ!?」
低レベルな会話を始める二人・・・おいおいさっき圧勝したんだから早く倒せよな時深。
「時深、今はそんなこと言い争ってる場合じゃないだろ?早く暴走を止めないと」
「うるさい、へたれ!!」
・・・・・だめだ、これは。
「よ、よしみんな時深を置いて先に進むぞ!」
(もしかして・・・負けた未来の原因って時深のせいじゃないだろうな・・・ぉぃ)
そんなことを思いつつ、キレハ二の神殿内部に・・・俺たちは進んだ。
この世界で古くから建てられていた神殿・・・そこは永遠神剣『再生』の収められている場所。
長い回廊が続き・・・その果てにある空間に眠っているという。
しばらく回廊を進むと・・・目の前にとてつもないオーラを纏う男が立っている・・・だがなんだこの空気は?覚えがあるような・・・。
すっ・・・とヘリオンが俺の前へとでる。
「・・・タキオス様、ですね?」
「ヘリオン・・・無事だったのか」
「?・・・ヘリオン知り合いなのか?」
その時『聖賢』が鳴る・・・・・。
『ユートよ、気をつけろ・・・そのものは第三位永遠神剣『無我』を持つ・・・エターナルとなる前は有名な戦士であった男・・・そして前の持ち主と何度も戦った相手だ』
「ユート様・・・この方は、ターク様です。覚えていらっしゃいますか?」
「!!・・・タークはあの日死んだはず・・・。それにあいつの持ってたのは四位、三位じゃなかったしオーラの量もまったく違う」
『おそらく分身の剣をつくり我々に近づいていたのだろう・・・目的は不明だが・・・な』
そんな会話を『聖賢』と交えていると、男・・・タキオスから声が掛かる。
「久しぶりだな・・・ユート。・・・いや、今は聖賢者ユウトか。再び貴様とあい刃を交えるのを楽しみにしていた。」
「・・・・・・なぜだ?もし敵なら何故俺たちと共に戦っていたんだ?」
「それは、貴様に興味があったからだ。エトランジュの状態でも既にかなりの力を持っていた貴様と剣を交えたく・・・な。そして・・・。」
タキオスはヘリオンに顔を向ける
「知っていたかユート、永遠神剣の第九位に『失望』なんてものは存在しない、そのことを。」
「え・・・?」
「なに?」
そしてタキオスは目を閉じると・・・語りはじめた。
「すべてはテムオリン様のおかげでもある。俺が人間の戦士だった頃、戦火に俺の町は焼き払われ・・・そして妹・・・唯一の家族の妹を亡くした。その後俺は一人で戦場を転々とし、テムオリン様と出会い・・・そしてエターナルとなった。妹を失った俺に残ってるのは強い奴と戦いたい、それだけだったからな」
「そしてあれから何周期たったのかは既に覚えてはいないが、ある日テムオリン様はこう言った。「貴方の妹さん、生き返らせて上げましたわ」・・・と、ある星の世界で神剣を持つ少女として生まれ変わらせ・・・テムオリン様は作った剣を持たせたと。ある目的のための剣を。そして俺はこの周期に入り探した・・・探しつくした、そしてついに見つけたのだが・・・テムオリン様の計画の成功と共にこの世界は消滅する。だから俺は対策を練りヘリオンをエターナルとさせ生き残らせようとしたのだ。・・・だが弱い心と力ではエターナルにはなれない。諦めていたところで貴様が現れた」
そして俺を指差す。
「貴様に恋慕の心を抱いてからヘリオンは心も体も強くなった、そして俺は・・・タークとして紛れ込み密かに貴様の行動を助けていた。貴様は俺の読みどおりにどんどん勝ち進みそしてエターナルとなった。そしてヘリオンもエターナルとなる力を得た。だが・・・まさかロウを捨てカオスに走るとは・・・ここまで想っているとは想わなかったよ・・・ふふ」
「・・・事情は分かった、だが俺の目的は瞬を倒すことだ・・・どいてもらえないか?」
そういうとタキオスは剣をかまえ、そしていう。
「ふっ・・・俺のもう1つの望み、それは強い敵と戦うことといっただろう?ここを通りたければ倒して見せろ!聖賢者ユウトよ!!」
「わかった・・・なら―――全力で行く!」
「私も・・・すみませんタキオス様・・・いえ、兄なんです・・・ね。私もどことなく見覚えがあると思っていました。懐かしい感じも・・・。でもいまはユート様のために戦います!」
「ヘリオンよ・・・遠慮はいらないぞ、好きな男と共に戦い、そしてこの俺を倒してみせよ!」
そういい俺たちは黒い刃のタキオス・・・ロウエターナルの戦士に戦いを挑んだ。
「いきます・・・『ダークインパクト』」
闇の衝撃が地面を走る・・・続いて
「はぁぁぁぁ!!マナよ神剣に集え。一条の光と化して敵を打て!『オーラフォンビーム』」
光と闇の衝撃が天と地から襲い掛かる!・・・それを。
「ふっ・・・『無我』よ、全てを打ち消すがいい!!」
タキオスの作り出す闇のオーラフォトン、それが2つの衝撃を消滅させた。
同時刻、光陰達はントゥシトラと激戦を繰り広げていた。
「シャァァァァァ!!」
「くぅぅ、光陰!なんか手考えて。このままじゃこっちの体力が持たない!」
「手前も・・・耐えるのは限界です」
ントゥシトラの攻撃は触手、そしてその体が武器である。体を傷つけると酸のようなものが降りかかり攻撃者にダメージが掛かる。そして即再生し、体内の神剣に近づけさせない。
初めは王冠が神剣だと思っていた。
だが違う・・・本体はあの体内だ、たまにその位置を庇うその行動がそれを証明している。
「ギャァァァァァァ!!」
「ちっ、また炎の攻撃か・・・『プロテクション』」
炎帝の炎を因果の力で打ち消す。
(考えろ・・・考えろ光陰・・・、どうやったら倒せる?)
「えーい、体内の剣ごと貫く・・・いっけぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!」
「ば、馬鹿、今日子!!」
空虚の技『イグジード』がントゥシトラを貫こうとするが・・・。
「シャシャシャァァァァ!」
「・・・げ!」
触手の大半がその剣の前に立ちふさがり、空虚を絡め取る
「触手野郎は・・・消えろって!『ワールウインド』」
根元を全て切断し今日子を呪縛から解放させる。
(意外に触手は切断しやすい・・・ならあの手で。)
「今日子、ウルカこっちにこい!」
「ん?」
「承知した」
「奴の触手は切断しやすい、そして再生まで体より時間が少し掛かる・・・きった本数が多いほどな。んでだ、ウルカが前方に飛び注意をひきつけてくれ、そこに俺が攻撃を仕掛け叩ききる。そしてウルカはそのままの位置で居合いで再生してくる物を片っ端から切断。俺はそのまま今日子のみに『プロテクション』今日子は俺の攻撃と同時に突撃、敵内部の永遠神剣を貫いてくれ。」
やり方は簡単だ・・・あとはタイミングさえ合えば、そして俺の技が効けば。
すっと全員武器を構える・・・。
「いくぜっ!」
「はっ!異形の物よ・・・我の前に立ったことを呪われよ」
ウルカが居合いの構えを保ちつつ敵に接近・・・全ての注意がウルカに向いたところで準備していた技を・・・。
「因果よ・・・お前の力最高まで引き出せ。旋風をも超えるほどの竜巻となりて・・・はっ!」
回転させた『因果』その太刀が敵に届く
『サイクロンスラッシュ』
触れた瞬間切断・・・どころではない、粉微塵となり散る敵の触手。
「フシュルル・・・」
再生しようとするが、そこはウルカの高速の斬撃がそれを阻止し・・・走ってきた今日子の『イグジード』がントゥシトラを貫き、内部の神剣を破壊した。
その頃・・・。
「おばん、ねこかぶり、ダサダサの服でわらっちゃうわ・・・・・」
「変態、女王様気取り?かっこわるーい、厚化粧はそっちでしょうが・・・」
・・・放置。
そして神殿内部。
「ちっ・・・ヘリオンここは接近戦でいくぞ、はぁ!」
俺は剣を構え突進、そして近距離で剣を振るい、右薙ぎから繋ぐ高速の剣舞を見舞おうとした。
「『絶対防御』・・・さぁユート、これを貫いて見せろ!」
俺の剣舞は全て壁に阻まれる・・・だがタキオスの空間をも断つ剣も避け続ける・・・。
1撃1撃の威力は確かにでかい、だがその分避けやすい。
・・・と俺の周りの空間が全て・・・封鎖される。絶対防御の力を逆に使った技、そしてその空間ごと切り捨てようとタキオスは剣を振り上げる。
そこにヘリオンが突進、構えから居合いの太刀と見えた為、タキオスは防御をヘリオンの方にも向け再びかけるが・・・。
「永遠神剣の『闇薙ぎ』様、私に力を貸してください。我が剣に宿れ、闇薙ぎの力、闇と混沌を切り裂く刃へと・・・行きます!!『居合いの太刀・零』」
ヘリオンの太刀が絶対防御と重なる、そしてその瞬間。
「ぐはっ!?」
防御を無視する一撃がタキオスに突き刺さった。
ヘリオンの技、それは防御そのものの貫通を可能とする技、たとえ絶対防御でも止めることは出来ない。
そしてその一撃はタキオスの絶対防御にほころびを作る。
俺の周りの封鎖も解けた・・・これなら。
「『聖賢』・・・今こそ俺に力を!!『コネクティドヴィル』」
龍をも一撃で倒す俺の最強の技・・・ヘリオンに絶対防御を解かれた瞬間を狙った・・・これできまったはず・・・そうおもった。
だが、立ち上がるタキオス。
完全に攻撃は直撃した、なのに立ち上がる。
「・・・ふふふ・・・ははは!楽しいぞユートよ、さぁ力を惜しむな全力で向って来い!!」
全身からマナの光が抜けていっているのに俺に向って突き進むタキオス・・・く、ならもう一撃・・・そう思った瞬間。
「『闇薙』様、この空間を貴方の領域とし、悠人様が光速で動ける空間を作って!!『刹那の空間』」
ヘリオンのサポートスキル、俺の体が加速され敵の動きが止まるかのように感じる。これなら・・・いける!!そして俺は『オーラフォトンブレード』、オーラを込めたを斬撃を六回もタキオスの体に叩き込んだところで空間の支配が解ける。
「!・・・ぐはっ・・・な、何ぃぃ・・・いつの間にこれだけの攻撃を・・・」
驚くタキオス・・・当然だ、刹那の時にあれだけの斬撃を食らったとは思えないだろう。
「これで最後だ!!『コネクティドヴィル』!!」
「させん!!『空間切断』!!」
2人の最強技がぶつかり・・・そして戦闘は終わった。
「ふ・・・ふふ、ユートよ中々楽しめたぞ。再び会えることを楽しみにしている」
「はぁ・・・はぁ・・・あ、あんたも病気だな・・・よくそんな傷でそんなことが言える」
「ふ・・・戦いが俺の生きがいだからな」
「タキオス・・・様。」
「ミ・・・いや、ヘリオン気にするな。そしてお前がそちらを選んだのも俺にとっては安心できる。その男、単純で鈍感だが信頼はできるからな」
「お、俺はやっぱり鈍感なのか・・・」
「「「はい」」」
観戦していたエスペリア達の声がはもっていた・・・それを聞いたヘリオンも。
「ユ、ユート様は鈍感なんかじゃありません!!・・・少しだけ鈍いだけです・・・ってあわわ・・・違います、ごめんなさいユート様〜」
「・・・ふっ俺はどうせ「へたれ」で「鈍感」な男さ・・・」
いじけてみた。
「・・・ははは・・・次に会うのを楽しみにしている・・・ではな、聖賢者ユートそして『刹那』のヘリオン」
タキオスは動けない・・・時間がたてばこの世界から姿を消すだろう、そう思い俺たちは先へ進む。
まだテムオリン・・・そして『再生』の破壊が残っているのだから。
何故か私の目からは一滴の涙が、落ちていました・・・・あの優しい瞳を持つ兄とこれからは敵として戦わなければならないということ、それが悲しくて・・・。
でもタキオス様・・・わたしはそれでもユート様と共に歩んで行きます、たとえ貴方が敵となるとしても。
私はタキオス様から視線を外し悠人さまの後を追いかけて行きます。
この世界の未来を守るため。