私はサーギオス帝国との最後の戦いを姉さんから聞いていました。
皇帝であったシュンを倒しサーギオスは滅んだらしいです、でもさらに強大な敵が現れて・・・。そしてユート様は戦う為の力『求め』を失くしたらしいです。
幸いというのかユート様は最後の戦いの記憶をなくして全てが終わったと思っているらしいです。時深様という我々の味方をしてくださる方が、そうしたらしいのです。
いままで傷つきながらも戦ってきたユート様をヨーティア様、レスティーナ様、他いろいろな人の意見の一致によって元の世界へ戻すということが決まりました。
最愛の妹である佳織様を救出したのです、それならもう戦い続ける目的も義務もありません。それなら何も知らないうちに帰そう、新たな脅威が襲い、それにユート様が、気がつく前に・・・と。
元の世界には10日後・・・戻ると聞かされました。
「そうですか・・・ユート様、元の世界に帰っちゃうんですね・・・」
「そうなの〜、だから告白するのなら今のうちよ〜」
「そうですよね、告白しないと・・・って・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
(な、なんで私がユート様のことを好きなのをばれてるの?あぅ・・・こ、困った、どうしよう)
「なんでって〜・・・ヘリオンちゃん寝てる間そう呟いてたから〜」
「ああぁぁぁぁぁぅ・・・・・」
恥ずかしくて顔が真っ赤になっているのが分かります・・・しかも次の一言で。
「それにユートさんも〜、ヘリオンちゃん好きなんでしょうね〜」
「・・・えっ?」
「だって〜、貴方が倒れた時相当慌てて・・・助ける手段がサーギオスのエトランジュを倒すことだって聞くと・・・死ぬほどがんばって戦っていたわよ〜、同じ部隊だったからよくわかるの〜」
「そ、そんなこといわれても。わわわ、わたしなんかが告白なんて身分が・・・」
「気にしない人だと思うけどね〜」
そんな会話がされていた頃・・・・。
「これは・・・あのヘリオンという子は・・・」
そこには巫女服の少女がいた。場所はラキオスの客室の1つ。時深用に城の客間の1つを開放してもらったらしい。
そして彼女は1枚の手鏡と、呪術の道具を持ち占っていた。・・・この先の未来、悠人がこの世界に残って戦うのか、それとも元の世界へと帰還するのかを。
いままで彼女が悠人を占った未来において、本来はアセリアやエスペリアと結ばれていた確立が高かった。でもいまは誰とも結ばれず、ヘリオンという少女を可愛がっている。そんな未来は今まで見えなかったから・・・だから占う。未来を。
鏡に映る未来、もしユートがこの世界に残ると仮定した場合に、それでヘリオンがユートと共に『エターナル』になれるかを"視"ていたのだが・・・。
険しい表情で・・・呟く。
「・・・危険です」
そういい立ち上がり・・・その姿を消した。
(昨日、悠人さんの相談で・・・私が記憶を消したというのは喋っている。そして瞬を倒す力『エターナル』になるかどうかの選択を迫ってそれを考えているはず・・・。答えは9日後『門』が開きもとの世界へと帰れる日まで・・・それまでに済ませないと・・・。)
そしてその日の夜・・・。
「ユート様、こんな夜更けに呼び出されて何の御用でしょうか?」
「お、きたか、ヘリオン」
「はい♪」
わたしはみんなが寝静まった時間に自分の部屋まで来てくれとユート様に言われたため、ユート様のお部屋に来ていました。
こんな時間なのが不安だけどもユート様なら何もしないという信頼があったので了解しました。
とはいっても朝、姉さんと告白やなにやら話していたので正直、正面から顔を見づらいですが。
私はユート様の部屋へと入ります。
2人してベッドに腰を下ろして、ユート様からの会話が始まるのを待ちます。
「突然だがヘリオン質問があるんだ、聞いてもらえるかな?」
「え、あ、はい」
「・・・もし俺が君に忘れられたら・・・どうする?」
「・・・え?」
「ちょっと長くなるが・・・」
私は時深様がユート様にした説明をされました・・・『エターナル』となるか元の世界に帰るか・・・それを選べといわれ、ユート様は残り、『エターナル』になることを選んだらしいのです。『エターナル』となる条件の1つ・・・同じ『エターナル』以外の全ての人の記憶から抹消され、そして永遠の時を生き続けるのだと・・・。
私はそのことを知りませんでした。
もしかしたら・・・ユート様がこの世界に残るのなら少しでも一緒にいられる・・・そんな甘い願望を粉々にされたかのように思いました。
「・・・それで俺は1つ聞きたいんだ」
「・・・はい」
「佳織や光陰達にはとても話せないからな・・・。俺が全てから忘れられる・・・それで世界を救えるのかどうかはわからない、それでもやるべきなのか・・・君はどう思う?・・・ヘリオン?」
「っ・・・・・・」
(この人はなんて鈍感なのだろう・・・ユート様のことだけを想っている私にこんな質問をするなんて・・・残酷すぎますユート様)
暫く沈黙が流れる・・・。私からの返事がないことを訝しげに思ったのでしょう。ユート様は、声を掛けてくる。
「・・・ヘリオン?」
私は顔を上げ正面からユート様を見上げ・・・言いました。
抑えきれないこの気持ち・・・それを吐き出すように声を荒げてしまいます。
『そんなこと・・・私に言わせないで下さい!!わたしは好きな人を忘れたくなんてないんです!」
驚くユート様・・・でも私の言葉は止まらない・・・。
「初めて・・・ユート様は覚えてないでしょうがラースの森で助けられたあの日からわたしの命はユート様の為とずっと思っていたのです。あの日からずっと想い続けてきた・・・それなの・・・に・・・ひっく・・・ひっく」
わたしは涙を流しながらユート様の部屋を出ました。後ろからユート様の声は掛かりません。・・・せめて止めて欲しかったのかもしれない。
そしてそのまま館を出て、人気の無い森に・・・そして大きな1本の木に両手をつきながら・・・そのままの体制で暫く泣きました。
「うっく・・・はは・・・わたし・・の馬鹿・・・初めから実らない恋・・・なのに・・・ひっく」
(私の馬鹿・・・ユート様を困らせるくらいなら、あんな淡い期待なんて・・・持たなければ良かったのに・・・)
朝の会話で、ユート様が私を好いててくれている・・・そんなことを考えていたせいで感情の爆発を止めることが出来なかった・・・それを・・・悔やむ。
その時ひゅぅっと一陣の風が流れてきました・・・。
風・・・いえ、オーラフォトンの巻き起こす力の余波です・・・今の私にはそれを風としか感じられなかった。
でも何かの気配だけは感じる・・・もしかしたら追いかけてきてくれた・・・そう思い振り向く。
そこには。
「・・・・・・・・・・・・・そうですね、貴方には悠人さんの横にいる資格はありません」
「ひっく・・・だれ・・・ですか?」
「私は時詠みの時深・・・貴方の存在を―――消しに参りました」
「なにやっていんるんだろうな・・・俺は」
ヘリオンの気持ちに気づいていなかった。もう一人の妹のように・・・家族のように思っていたのがヘリオンだった。だから俺は信頼していた、だからこそあの誰にも話せないような話をしてしまったのだ・・・考えると話を進めるうちにどんどん暗くなっていったヘリオンの顔を思い出す・・・。
そして俺は、この部屋から逃げていくヘリオンを追いかけることが出来なかった・・・きっとヘリオンも混乱していたのだろう。もしかすると止めて欲しかったのかもしれない。だが、止める勇気がなかった。・・・とんだへたれだな・・・俺は。
(くそっ・・・確かに俺は鈍感すぎた)
追いかけよう、そして謝ろう、そう思い立ち上がった悠人は強烈な力を感じた。剣を無くても感じるほどのオーラフォトンの力・・・そしてこれは・・・ヘリオンの去っていった方向からくるだと!?そう思い俺は急いでその場所に向かった・・・。
人気のない森の中で私は時深様と向き合っています。
私に対して・・・「―――消しに参ります」その言葉が起きてから沈黙が訪れていました。
それを破ったのは私。
「な・・・なぜ、なぜですか?何故私を殺しに・・・」
怯える私の姿をみる・・・・その時深様の目は悲しげだった。
「貴方が悪いというわけではありません。しいて言うのなら・・・貴方の存在そのものが危険なのです」
「な、何が危険だっていうのですか!?」
「ロウエターナルとカオスエターナル」
「?」
「私達はカオスエターナルとして世界を守るために戦っているのです。そしてロウエターナルは世界をあるべき姿に戻す、それを考えに生き、世界を破壊する者達。そしてヘリオン貴方は・・・・・・・・・・・ロウエターナルとなる可能性があります」
(え・・・・・・・?)
「そして貴方はこの戦いにおいて悠人さんと共に・・・たとえ敵対しても生きていくために・・・ロウエターナルとなり私達と戦います。これが私の見たビジョン、おそらく貴方が悠人さんに恋心を抱かなければ・・・こうわならなかったのに・・・」
「・・・・・・・う・・・・嘘・・・・」
「ごめんなさい。でも悠人さんの為なんです」
―――それはある意味偽りの言葉だろう。時深がもし本気で悠人のことを考えているのならヘリオンを少しの時間眠らせるだけでもいい・・・そのエターナルとなる資格を得るその時だけ眠っててもらえば・・・。でも敵対するとわかっている相手を野放しには出来ない。
そしてこういえば・・・悠人を純心に・・・想うこの少女に納得させて殺せるから。
残酷ではあるが、あのビジョンを見た今となってはそうするしかなかった。あの未来の絵・・・それを無くすために落ち込むヘリオンへと剣を・・・構える。
(わたしが生きていると・・・ユート様の邪魔に・・・?・・・ならいっそ・・・・)
「では、さようならヘリオン・・・『タイムアクセラレイト』」
(ああ・・・私は死ぬんだ・・・)
高速で迫る時深様の姿は私には見えません・・・そして苦しませずに一息で殺すのでしょう。・・・そう思っていました。・・・・目の前に巨大な壁が現れたかと感じるまでは。
「なっ!?全部止められるなんて・・・くっこれはオーラフォトンの壁・・?」
驚く時深様の声が聞こえます、それと共に私を守るように出来ていた黒き壁、それが消えるとそこには・・・あの人がいました。
(・・・え、死んでない。それに私を守ってくれたこのひとは・・・ターク様?)
「悪いなカオスの巫女よ、この娘は死なすわけにはいかないのだ」
そしてターク様の神剣から黒い光がでて私達を包み込み・・・・そして私とターク様の2人はこの場、この世界からから消えました。
俺は・・・時深に掴みかかっていた。
「どういうことだ!時深!!なぜ・・・なぜヘリオンを殺そうとしたんだ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「答えろ!!」
「彼女がいては・・・この世界は滅ぶから」
「なにをそんな寝言を・・・」
キッっと悠人を睨み時深は。
「分かりました、貴方に私のビジョンに見えた景色・・・それを伝えます」
時深が俺の額に自分の額を合わせる・・・そして時深の視た"未来"が視えた・・・。
何周期後か?
無の空間・・・上下関係すらはっきりとしない世界。
ただそこには光が見える、いくつもの輝きが。
直感でわかる・・・これ1つ1つが俺たちのいる世界・・・そこに繋がっているのだと。
その空間の中で、向き合う男女がいた。
時深のいうとおりにヘリオンが・・・俺の前に敵となって立ちふさがる光景が・・・。
・・・と、この世界に一条の光が走る。
それは再生の暴走の非ではない、圧倒的な力でその輝きの1つを破壊し、周囲にあった並列世界も纏めて崩壊させた。
衣装は黒き法衣。その手には赤く紅く血よりも濃い、ただ神聖なる雰囲気をまとう永遠神剣を手にしている。
その剣からでた光で切り裂いたのだ、世界を。
そしてヘリオンと向かい合う様に俺も青く蒼く澄みきった色をした神剣を構え、ヘリオンと対峙している。
そして悲しげな顔を向けつつも、俺へと切りかかるヘリオン、同じく俺も切りかかり、二つの剣がお互いの体を深く切り裂いた。
そしてマナへと還る俺達・・・。
「やめてくれ!!」
俺は時深から離れた・・・。
「悠人さん・・・これが私のみた貴方とヘリオンが結ばれた時の未来。100回ほど見ましたが99回はこの映像でした・・・。この世界の崩壊、まではい・・・」
「・・・まて、99回ということは最後の1つは?」
話を割り込んで俺は問う。
「それが・・・私にも視えないんです。おそらく上位永遠神剣の邪魔が入っているのかと・・・」
「っ・・・もしかしたらそれが最後の手段かもしれないっていうのに・・・!!」
「今更私がいうのも何ですが・・・彼女を信じましょう。もう未来は彼女の手に掛かっているのですから」
「タークさん・・・ここは一体?」
私は不思議な空間に連れてこられた・・・時間間隔が狂っている・・・そんな場所に。
そして突然ターク様が、跪く。目の前の白い法衣の少女に。
「テムオリン様、連れてまいりました」
「ご苦労ですわ、タキオス」
(タキオス・・・え?・・・サーギオスで戦った4人の1人・・・?)
姉さんから聞いていた戦いの中で、シュンに味方していたという4人のエトランジュ、その1人?
「ふぅん、この子がエターナルの資質があるっていうんですわね?」
「はっ!それでなにとぞこの者をエターナルに」
私の戸惑いに関係なく話が進んでいく・・・・話の内容はこうです。わたしはロウエターナルとなれる力を秘めているらしい。そしてこの世界・・・・わたしたちの世界を滅ぼす手助けをしろといっている、そして少女テムオリンが・・・私の頭に指を差し込んだ・・・指が頭へとめり込むが・・・痛みは感じない。
「ふんふんふ〜ん、あ、これがいいですわね」
「な、なにをするんですか!?」
「ぽんっ♪」
目の前の光景が変わった・・・・これは、幼い頃・・・スピリットが人間に殺されたあの日・・・私がユート様と会うまで人間嫌いにさせたあの時・・・いまでも夢に見てうなされるその光景を永遠・・・永遠に見た気がした。
「・・・はっ・・・はぁはぁはぁ」
「おかえりなさい、ヘリオンちゃん」
「くっ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「うふふ、これでまた人間嫌いになったのかしら?さてタキオス、時の回廊に放り込んでしまいなさい」
「・・・・・・・はっ!」
(すまないな・・・ヘリオンよ)
私は時の回廊、というところに放り込まれる・・・・それを感じる余裕もないほど私は・・・・。
時の回廊、それはロウエターナルの味方をする神剣が数多く収まる神殿。
脆弱な心、邪な考えを強く持つもの、そういうものたちは回廊を無限に彷徨う。
テムオリンがヘリオンを弱らせた・・・その理由の1つは暗示。
時深から自分の運命を聞かされて悩むヘリオンの心は弱くなっている、だから意思を一時的に・・・永遠神剣のある間へ着くまでの間失わせ、最奥の間まで進ませた、強制的に。
そして私の体は自然と前を進み・・・最後らしい扉を開いた。
そこは・・・不思議な空間。
大気にはマナが満ち溢れるが、大地も、空もない。
ただ神聖なる気が満ちている、そしていくつもの神剣の気配を感じる・・・。
ヘリオンは意識を取り戻す、それと同時に声が掛けられる、何もない空間から。
『娘・・・・・』
「・・・・だれ・・・?」
『私は永遠神剣・・・という、汝、何の為にその剣を振るう?』
その声は穏やか、だが威厳にあふれる声。
『何の為に戦い、なにを破壊する為にその力を使う?』
『全てを秩序の名の者と無に還せるのか?』
『汝は愛する者と戦っても永遠を生きれるか?』
そんな質問を・・・いくつ言われただろう・・・でも頭のぼんやりしているわたしには届かない・・・でも『汝は愛する者と戦っても永遠を生きれるか?』この言葉で頭がはっきりとします、私が永遠神剣を持つ理由は・・・・。
「・・・様、私は・・・愛する人に刃を向けたくありません!ユート様の為に生きるんです、ロウエターナルにはなりません!!」
一瞬沈黙する声
『娘・・・もう一度質問をする・・・お前は何の為・・・』
「私はユート様の為の存在です!永遠に生きられなくてもたとえ忘れられてもいい!ずっとそばにいたい!それだけなんです!」
『娘・・・・汝・・・・・・・』
(完全に怒らしちゃった・・・みたい。でもこれで私はユート様と戦わずにすむ・・・さようなら・・・ユート・・・様)
俺はあの日から10日後、この世界に残る為に『エターナル』聖賢者ユートとして生まれ変わった。時深の話では戦いはもう始まっている・・・急がないと。
今俺はラキオスの大広間にいる。
「それでは貴方が時深様のお仲間なのですね?」
「そうです、彼は「聖賢者ユウト」という第二位永遠神剣の持ち主です」
「俺は聖賢者ユウトという、よろしく頼む」
そして俺は見知った顔と・・・初めて会話するような感じで接する
俺は全て覚えているのに向こうは何も覚えていない・・・・それでも初めて会ったかのように挨拶する俺。その俺の心の中はまだ悩んでいた。
(俺はなんであの時ヘリオンにあんなことを・・・)
「悠人さん、そろそろ戦いの時間です」
「あ、ああ」
「それでは戦況の説明に入ります」
今現在この世界はロウエターナル6人がE・ミリオンという眷属を用い、この世界を消滅させる為に動いているそうだ。
そして彼らはこの世界の中心ともいえる、第二位永遠神剣『再生』を暴走させる為その周辺に集まり付近の町を滅ぼしているらしい。
『再生』の暴走が起きればこの世界は全て無くなる・・・・。
「では、行きましょう。我々の手でこの世界を救うのです」
レスティーナがそういい手を上げる・・・その時。
「大変わるいのですが・・・あまりにも来るのが遅いのでこちらから伺いました」
普通の青年っぽい人間、腰に二本の剣を吊り下げた男が広間に入ってくる・・・ってこの気配は・・・エターナル!
「僕の名は水月の双剣 メダリオ・・・・・・ああ、覚えなくてもいいですよ?どうせここで死ぬんですから」
そういって襲い掛かってきた。
「くっ、時深いくぞ!」
「まってください悠人さん」
そういい俺を押しとどめる時深。
「何故だ?あれはエターナルだ、スピリットでは勝てない!」
「でも私達はここで消耗するわけには行きません。力を残す為に。皆さんを信じましょう」
「・・・やれやれ・・・スピリット達が相手ですか?」
そういい剣を構える、二本の剣『流転』なぜか圧倒的な力が感じられる。
「なぁ時深・・・いくらなんでもあの気配は強くないか?」
「え・・・ええ、おかしいですね」
『あの剣の力・・・第二位に匹敵するやもしれん』
聖賢もそういう・・・嫌に不安だ・・・。
「ん・・・・・行く!!」
アセリアが跳躍、そして天井を蹴り落下の反動を付けメダリオに迫る、わずかにタイミングをずらしファーレーンとウルカが左右から攻撃、エスペリア・ニムントールが正面からの突進を止めようと守りの構え・・・、後方からはナナルゥの詠唱が・・・。
「水月の太刀・・・・・・『扇転』」
二本の太刀を回転させその勢いでアセリア、ウルカ、ファーレーンの攻撃を同時に止める・・・どころではないその遠心力で3人は壁に吹き飛ばされる!そしてそのままエスペリア達の方へ向くと、跳躍する!
「水月の太刀・・・・・『流撃・始動』」
二本の太刀を逆手に持ち、剣を交差させるように斬りつける、それをエスペリアは止めたが・・・その当たった衝撃を戻し最初の状態の戻るかのごとく・・・。
「水月の太刀・・・・・『流撃・終動』・・・・・舞え・・・・『弧旋風』」
戻る力を利用してエスペリアの横を駆け抜けつつ左右に広がる剣。その剣はエスペリアとその後方にいたニムントールを切り裂き・・・2人は腹部から血を流し・・・倒れる、 そしてさらにメダリオは剣を振り上げると、二刀の先端から強烈なオーラフォトンを纏った真空波・・・それにぶつかりオルファは右手、ナナルゥは首を切断された。
「おい・・・これでも手を出すなっていうのか?」
「・・・耐えてください・・・」
さらにメダリオの攻撃は続く・・・圧倒的な力でスピリットは次々叩きのめされていく・・・・死んだと思われたナナルゥは咄嗟に誰かが唱えた『リヴァィブ』で蘇生したが・・・・動けるほどの力を取り戻せない。エスペリア、二ムは自分に治癒をかけ戦線に復帰するがその動きは鈍い。
「くそっ!『プロテクション』・・・俺が相手だ!」
「私もよ!はぁぁぁ・・・『エレクトリック』」
エトランジュ2人・・・彼らはオーラフォトンを展開し、自分にサポートスキルを掛け強化し突撃する。たしかに通常なら勝てたのかもしれない・・・だが。
「ものは相談なのですが・・・・・・これで粉微塵になってくれませんか?水月の太刀『絶転』」
超高速回転をしたメダリオが突っ込んでくる・・・そして、それに触れた瞬間二人とも吹き飛ばされた。『プロテクション』『エレクトリック』というサポートスキルが掛かりながらまったく効果なく飛ばされ壁に叩きつけられる。
「・・・もう文句はないよな?俺が行く」
「分かりました・・・」
「ふぅ・・・まだこれだけ残っているなんてまるで蟻のようですね・・・。大人しく死んでもらえませんか?」
「その台詞は・・・俺に勝ってからいってくれ。『エターナル』」
自身の身に、聖賢を媒体にした最強のサポートスキルを掛け、体を強化させる・・・よし、これならいける!
「貫け!『オーラフォトンショット』・・・貫け!」
回数の少ないビームの代わりに編み出した新技!圧縮したオーラフォトンを打ち出し・・・敵を貫く、これなら使用限度は殆ど無い。その輝く光がメダリオに突き刺さるか?と思われたとき・・・。
「・・・まさか、これを使うことになるとは・・・誇ってもいいとおもいますよ?」
にこっ、そう微笑むメダリオ・・・不味い。
「くっ!神剣よ我が前の空間にオーラの壁を!」
「水月の太刀・・・・・最終奥義『反転』」
俺の打ち出したフォトンの玉が威力が倍化され・・・跳ね返ってきた。
「ぐ・・・うぁぁぁぁ!でぃぃぃぃ!」
跳ね返ったオーラの弾丸を何とか受け止め消滅させる。何とか抑えきった・・・しかしなんて奴だ・・・この強さで敵の先鋭なのか?もしビームの方だったら・・・やばかった。
「ユートさんおかしいです・・・どうやらロウエターナルの力・・・だけが増加されています」
後ろを見ると・・・時深が敵の・・・おそらく敵の『エターナル』だろう危ない格好をしている女を足蹴にしていた。いつの間にか現れたところを瞬時に倒したらしい。巫女服の所々に切り裂かれた後があるようだがほぼ無傷だ。
「敵は何処から来るか分かりませんからね、油断は禁物ですよ。・・・さて悠人さんこれで周辺の敵の気配はありません、2人同時に仕掛け、メダリオを倒します」
「分かった、時深、遠距離攻撃は禁物だ、『反転』がくる」
「分かりました・・・ふぅぅぅ・・・はぁぁぁ」
舞うように飛ぶ、時深そして舞のごとき剣さばき『スゥィードダンス』だ!俺も同時に剣にオーラを込め突撃するが・・・。
「水月の太刀・・・・・・『流撃・捌』」
流れる剣さばきで・・・俺たち二人の剣を捌く・・・・ってマジか!?
「終わりですよ、水月の太刀・・・・・『流撃・戒』」
今度は流れる剣さばきの・・・攻撃だとぉぉぉ!?・・・なんとか捌く俺と時深だが限界が近い・・・・俺は剣に最後の力を込め・・・自分の最強の技を繰り出す
「メダリオ・・・これで倒れろぉぉぉぉぉぉぉ!『コネクティドヴィル』」
ラキオスに伝わる秘伝の剣技、それに全オーラをつぎ込む一撃。光輝く剣、竜をも倒す最強の一撃を繰り出す、そして・・・・・光が弾けた。
(・・・・・・私は・・・死んだのかな?)
怖くなり目を閉じていた私はそう思った。でも心の中にはさっきと同じ思いだけを続けている・・・・そうだ・・・ユート様の邪魔にならないならこのままでも・・・そうおもってたとき、ふと声がした。
『ふふふ・・・面白いな汝。テムオリンからの精神感応の報告では「人形のような弱弱しい媒体がくるからそれに乗り移って外にでませんこと?」といっていたが・・・ふむ、気に入った』
「え・・・?」
『汝に我が力、授けてもいい。そして、カオスエターナルとなることも許してやっても良い』
私は驚きのあまり咄嗟に聞き返していた。
「ほんとうですか!?・・・様」
『我は嘘は吐かぬ。ただし・・・2つの条件をつけようか・・・。1つは簡単だ、いまから汝に今から我が力に耐えるかの試練を行なう。それに打ち勝った時、我が力貸し与えよう・・・』
私は心にあった失望が払われ、希望が見えた気がした。私は・・・様の答えに即座に返事を返す・・・。
「はい!」
『では・・・ゆくぞ』
そして私は・・・・深い闇に包まれる、自分の精神世界そこで友人を殺すわたしの姿、ユート様を殺す姿・・・破壊に走る姿・・・・全てを『肯定せよ』というらしい。破壊の力であるロウの試練としてはふさわしいが、私にはとてもきつかった・・・でも『肯定と否定』その2つの思いを同時にしっかりと認識し、ロウの力に流されないように耐える、耐える、耐える・・・終わりの無いような精神世界・・・でも・・・ユート様の為に・・・。
いつしか私の意識は浮上していった・・・。
『よく乗り越えたな、小さな黒き妖精よ。これにて我が力を授けよう、受け取れ』
現実世界に戻った私の手に一振りの刀が降りてくる・・・・・・いつのまにかわたしの神剣、『失望』は消えていた。
『我が神剣の力の1割を秘める我が分身たる剣、第二位永遠神剣『闇薙』闇を薙ぎ払い希望を求む神剣。本来の永遠神剣はまだ汝には持つことが出来ぬのでな・・・。そして最初に言ったもう1つの条件を言おう、その剣を完全に使いこなし我が真の剣を持てる力を身につけるがいい。修練を怠り力の衰えた場合は我がその肉体・・・マナに還してやろう』
「・・・はい!わかりました!・・・様!」
『後もう1つ条件をつけよう。汝のその心、変わらずにいるべし。その男への想いの強さが汝の力なのだから・・・』
「・・・・・・ありがとうございます!」
『ふふふ・・・暫くは『闇薙』と呼ぶがいい、そして汝の新たな名は『刹那のヘリオン』。・・・しかし汝、中々面白かったぞ?力を秘めていた第九位の永遠神剣を持ち奴の妹としての記憶を持ち・・・そして我にはむかおうとするとはな』
「・・・奴の妹?」
『いずれ分かる・・・汝がこの永遠戦争に巻き込まれた今なら・・・な』
そしてこの何も無い空間に『門』が開く。
『ここから帰るがよい、汝の世界に繋がっている。・・・それと我が試練の間、力を解放しすぎたせいで・・・汝の仲間は苦戦している、急げ』
「っ・・・分かりました『闇薙』様」
そういい私は直ぐに門に入りました・・・ユート様の待つあの大地に。
(待っていてくださいユート様・・・、私を3度も助けてくれて人間に怯えていたわたしの闇から救ってくれたわたしの英雄・・・、きっと、きっと貴方の力に・・・)
誰もいなくなった空間・・・そこで・・・以外の声が響く。
『珍しいですね、まさか同じ周期に貴方様の力を持つ神剣を全て与えることが出来るとは』
誰がそういったのか・・・その答えはわからない。
☆『刹那』のヘリオン
第二位永遠神剣『闇薙』 太刀と小太刀の中間の小柄な刀。本来はロウに属し混沌を薙ぎ払う刀。その身に秘める力は同レベルの第二位と安心して打ち合える力を持つ。・・・ある永遠神剣の力を秘めた剣であるが、ヘリオンは未熟な為この剣の力も、速さ、鋭さそれだけに特化された剣となっている。ヘリオンはまだ本来の力の知らない。
★居合いの太刀・零
相手に接近する居合いの太刀だがこの剣は、神剣の力により相手との零距離で攻撃を行なう。そのため敵には必ずクリティカルを引き起こす魔剣。ただし行動回数は1回。対HP効果はそこそこである。
★ 刹那の太刀
一瞬だけ「刹那」の永遠神剣の力を引き出し・・・無限の刃を繰り出す。その数は永遠神剣全ての中で最高回数を誇る。だがヘリオンの力不足の為、対HP効果は低い。それに加えてヘリオン自身がまだ未熟な為、最高回数もまだ低い。
★ 光舞夢幻の舞
本編後、時深に教わる舞を元に編み出す技。刹那の剣閃、それで。それで舞を舞うが如く優雅に振るい切り裂いていく。食らった相手は最後に美しい光景を見るのだろう・・・。
★ 見切り
『闇薙』の基本ディフェンススキル。敵の攻撃を回避する、捌き弾くという他の神剣とは違う特性を持つ。部隊の仲間に攻撃がきた場合は見切りの力で相手の剣を逸らしダメージを0にする。
★ エンジェリッククレイドル
闇属性の気を体に纏い敵の攻撃を無効化するサポートスキル。そして秩序のオーラによって味方の体力を半分回復させる。防御と回復を同時に行なうスキル。
★ 刹那の空間
アタッカーにのみ効果を発揮、一瞬の時間にさらに無限を駈ける速さを自分達に与える。知らずに『刹那』の力をほんの少し解放する技、これを使うと体力消耗が激しい。だがそのためにアタッカーは3倍の行動が取れる。