私は、ユート様のことを想いつつ、自慢の白いハイロゥで空を飛び。リモドアからラキオスへと、帰還している最中でした。そしてそれは、国境付近の森で見つけたのです。
「♪・・・♪・・・・・・あれ?」
森に人影が見えます。でもあの人、マナの光を纏っていたような・・・。
「気のせいかなぁ・・・?うーん、たしかめよっと〜」
そしてその森に降り、私はその人を探しました。ここはすでにラキオスの領土に入る場所、敵なら大変だからです。でも・・・マナの光を纏っていたのに男の人だったきがする・・?
「うーん・・・やっぱり気のせいかな〜?」
森は静かで人の気配は感じられない・・・
(やっぱり気のせいよね、帰って休もっと〜。それで料理のお勉強でも・・・・)
―――ガサッ・・・
「!・・・誰かいるんですか!?」
私は身構えました・・・。周囲の気配を読み取ろうと神経を研ぎ澄まします。・・・そうしていると森の奥から男の人が現れました。手には長い剣みたいなものをもっています。みたい、というのはそれが長大だから。
「嬢ちゃん、なんか俺に用で・・・?・・・!!」
大きな人です。野性味溢れる外見でありながら、何処と無く優しい感じを醸しだしている、そんな人。でもなにをおどろいているのかな?
「お、お前ミ・・・い、いやそんなわけ無いな」
「?」
「はは、すまんな驚かせて。俺の名前はターク、ターク=ニュート。賢者の都って所で暮らしてたんだが、ここが何処かは知らないか?」
「え・・・賢者の・・・都?」
「ん・・・?そこそこ大きな町で有名なんだが・・・よく見ると嬢ちゃんは羽を生やしてるが、鳥人の一族ってところか?」
「え、えとえと・・・ここはラキオスという国の近くの森なんです。」
「??」
(まさか・・・エトランジュなのかなぁ?)
「悪いが、とりあえずそこに案内してもらえんか?元の町に帰る道を探さないといけんからな」
「は、はい」
「ははっ・・・おびえなくてもいいぜ、俺はこう見えても女子供には優しいしな」
そして、軽く鼻をぽりぽりと掻き。
「・・・って自分でいってたら信用なくなるな。はははっ」
「・・・くすっ」
「お、笑ったか」
にかっと言う顔で笑う大柄な男の人・・・私には悪い人には見えないです。
「えと、タークさん。この国に来た方は国王のところに連れて行かないといけない決まりがあるので・・・私の手に捕まってください。運びますよ〜」
そして、タークさんを持ち上げます。華奢に見えても一応はスピリットの戦士、人間1人程度なら軽く持ち上げることが出来るんです。
「おおっ?力持ちだな、それじゃたのむぞ!」
「はいです」
そしてこの人を連れて城に飛んでいく・・・このことで私の運命は変わるのでした。とは言うものの・・・運ぶ最中酔った様で、降ろした時ふらふらで困りました。
私はタークさんが回復するのを待ってから、城へと案内しました。そして門番の人間の人に事情を話すと、私が入隊した時の部屋、あそこへ行けといわれました。
「さあ、こっちですよ〜」
私はタークさんを部屋へと案内しました。まだバーンライト首都から、戦闘での主力の方と人間の国王様や貴族様達は戻っていないみたいですが王女様はいるそうです。レスティーナ様になら話をつけられるのかも・・・・とそう期待しました。
と、そこにセリアさんとヒミカさんがきて。
「ご苦労だったねヘリオン。その方は我々が連れて行くのでお前は帰って休みなさい」
「あ、了解です。タークさんそれではお気をつけて」
「ん、嬢ちゃんここまでありがとよ」
「いえいえ」
私はぺこっと一礼をして城を出ました。次会うとしたら・・・あの人がラキオス王の命令でエトランジュとして戦わされる時かな・・・とおもいつつ。
そしてそのころ・・・。
「レスティーナ様、新しいエトランジュ様を連れてまいりました」
「同じくヒミカ、エトランジュ殿を連れてまいりました」
「ご苦労様です、セリア、ヒミカ。・・・・さて、では人間の方よ、説明を開始しますね」
「おう」
「―――というわけです。ここはラキオス、人間がスピリットを使い戦わせる国、そして貴方も・・・。その剣ですが『声』はきこえますか?」
そうレスティーナに聞かれる。そしてタークは「ああ」といい。
「ん・・・この契約者となれ・・・って声だろ?面白そうだからなってやったが・・・」
「なるほど・・・それで貴方はこの国の言葉を喋れるのですね。さっき話をした通り、それは永遠神剣。私たちの世界ではそれを持てるのはスピリットとエトランジュだけなのです」
「ほぉ・・・」
「タークさん、その永遠神剣に名前を聞いてもらえますか?ここでは神剣の名前がその人の称号となるのです(・・・しかし本来この世界には4本しかエトランジュ用の剣は無いはずなのに)」
「まぁ・・・俺に言われてもわからんさ、取り敢えず名前をきいてやろう。」
神剣と会話する為に、目を閉じて精神を集中させる。暫くして・・・。
「ふむ・・・この剣は第四位永遠神剣『流禍』らしい。流れる、と禍根。それぞれの頭文字だ。」
「・・・やはり聞いたことがないですね」
「わたし達スピリットもその名前は始めて聞きます」
「同様にわたしもです」
セリカ、ヒミカもそういう。
「とりあえず、元の世界への帰り方が分かるまではこの世界で過ごしてください。・・・ただお父様が貴方を戦争に連れて行くはずです、これはわたしには止められないのです。・・・ごめんなさい。もしそれが嫌でしたら逃げる用意を致しますが・・・」
「戦争・・・か、まぁ俺は元々傭兵として戦ってからな報酬がきちんとあるのなら、受けてもいいぞ」
「ありがとうございます。ではセリア、この方に神剣での戦いを教えてあげてください。そしてヒミカは彼の世話を」
「「はい」」
2人とも了承した、でもヒミカは「あっ」っといい
「私は他の者の戦闘訓練と、部隊の指揮などがあるため、世話役は幼いスピリットに任せてもよろしいでしょか?」
ヒミカはそういいチラッとセリアを見つめる。それで判ったのかセリアも。
「あの子なら真面目で礼儀正しいので、私もお勧めします」
「そうですか。それではそのようにお願いしますね」
城から戻ってきたヒミカさんは、タークさんをつれて私たちのスピリットの館へと戻ってきました。
「・・・というわけで今日からこの館で過ごすことになる『流禍』タークだ。よろしく頼むぜ。」
改めて紹介されるって言うのも変な感じです。・・・でも何の用なんでしょう?わたしなんかに・・・。
館へと戻ってきたヒミカさんは私を呼び、ターク様の前へと連れ出しました。
用件は教えてくれませんでした。
それが・・・今の状況なのです。
「こちらが貴方の世話役をさせていただきます、ブラックスピリットのヘリオンです。」
「またお会いましたね、エトランジュ様」
「そして住まいが・・・部屋に空きが無いので・・・ヘリオンお前の部屋のお荷物ハリオンを私の部屋に連れてくから、お前と同室でターク様を頼めるか?」
「・・・・・・・・・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ぎょっとなる二人
「なにかまずいのか?」
「いけなかった・・・か?」
「えと・・・そのわたしがエトランジュ様なんかと同室なんて恐れ多いです!ほかの人との同室のがいいはずです、ええきっとそうなんで・・・」
「俺はかまわん」
「ではそのように手配を・・・」
「・・・・って話をきいてくださいよぉぉぉぉ!」
そしてヘリオンのいるスピリットの館に新しい戦士がきたのであった、そしてその夜・・
(ぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅ・・・)
「・・・あのよ」
「は、はい!!」
「そんな緊張せず楽になれ。俺の国だと供に戦う奴等は家族、もしくは兄弟として扱っている。男女関係無しに纏まって雑魚寝だぞ?」
「そ、そうでありますか、で、でも・・・はぅ」
――――コンコン
「失礼します、セリアですが」
「ん?」
「模擬戦での剣の使い方をお教えしますので、明日朝早くに修練場に来てください」
「おぅ」
「ヘリオン、貴方もついでにこっちに」
「はい」
そして顔を近づけてぼそっと。
「ごめんなさいね、部屋に空きが無くてターク様は当分貴方と一緒に寝てもらうわ」
「はぅぅ」
しょんぼりしました
「もし何か問題でも起きたら私にいってね。なんとかするから。・・・それにあの人も危険な気配もないでしょう?だから私も了承したの」
まぁ、結論としてこのままというのは決定事項だそうです。ヒミカさんとセリアさんの2人してそう言われると・・・。
そして、夕食後私はベッドへと横になります。
その夜、私は眠れない物と思っていました・・・。でも・・・。
「おい、こっちにこいよ」
(え?)
「な、な、何の用ですか?タ、ターク様」
「いいから俺のベッドの横に座れ」
「!!・・・い、いけません!私なんかが相手をしたらターク様が穢れます、おやめ下さい!」
私は必至になって拒否します。だってまるで夜伽の誘いに思えたから・・・。
「・・・なにを誤解しているのかは知らないが・・・来ないなら俺がつれていくか」
といってターク様は私を抱き上げて自分のベッドに連れて行きました・・・そして。
「・・・え?」
頭を撫でて歌を歌っています・・・。
「・・・俺にもお前みたいな妹がいてな。こうするとぐっすり眠ったんだ。お前みたいに恥ずかしがりやで礼儀正しくて真面目な・・・いや、止めておこう。・・・ん?」
―――すーすー・・・
「いつの間にか寝てたか・・・。そういえば戦争が終わってからそのまま俺の世話で走り回ってクタクタだったんだな」
―――すーすー・・・
彼はその後、優しげな瞳でわたしを見つめベッドに運び毛布をかぶせ・・・そして彼自身も自分のベッドに戻り眠りました。
明朝、私は朝起きられたターク様を修練場へと案内しました。そしてそのまま自分の訓練へと向いました。
「では神剣の力を解放してもらえますか?やり方は剣の指示に従ってください。剣にマナを集中させるのです」
オーラフォトンとはマナの力を収束、結合させて作った物。自身の中や大気にあるマナ、それを神剣の使い手は力に変えるのである。
力は人それぞれ、赤スピリットならマナから火を生成し、青スピリットなら水や氷を、緑スピリットは癒しの気を、黒スピリットは純粋なる破壊の力を・・・。
タークの使うのは黒いオーラフォトン、だが色は黒くても邪なのではない、使い手がもっとも使いやすい形にしたもの、それがマナの集まり―――オーラ、そしてオーラフォトン。
「ん〜・・・はっ!!」
タークがそう気合を込めた瞬間、剣に黒いオーラフォトンがまとわり付いていた。第四位にふさわしいかなりの量のオーラフォトンを纏った剣を見ながら
「では私とその剣で戦ってもらいます、防御、その他の動作は先ほど教えた通り、・・・ではセリア参ります!」
そういいセリアは細身の剣『熱病』を構え・・・。
「ふっ、きぇぇぇぇぇぇい!!」
空中からハイロゥの力を利用した斬撃『インパルスブロウ』を放ってくる!タークは自然にそれに対応し・・・。
「はぁぁぁぁぁ」
黒いオーラフォトンの壁を作る。それにセリアは傷ひとつ付けられない。
「なっ!?」
(さて・・・こちらの番だな)
「むん・・オーラよ俺に力を与えよ『ダークプリズン』」
そういうと、糸状の黒いオーラが生まれそれが次第に檻の形になる。黒いオーラの檻はタークに包まれ・・・タークの体が強化されていく・・・。
「はっ!『エーテルシンク』!!」
セリアは対抗呪文を唱えるが・・きかない。エトランジュの力はスピリットの4つの属性とは異なる力、ゆえに止められない。
「よし・・・いくぞ娘よ・・・、タァァァ!」
上段からの切り下ろし・・・単純な動作の攻撃、だがその動きに無駄も隙も無い。一撃必殺の意思を込める一撃。
「くっ!大気の水の精霊よ、凍れ!『フローズンアーマー』」
氷の壁を作り防ごうとするセリア・・・・・だが。
「甘い!」
「!!・・・きゃぁぁぁ!」
斬撃を途中で斜めに変え、剣の平で氷の壁ごと飛ばされるセリア・・・・模擬戦は終了した
平に変えたのは、そのまま斬りつけた場合セリアを傷つけるからである。そして、タークにはそれに気づく余裕すらあった。
「・・・すまんなセリア、無事か?」
といい手を差し出し、セリアはそれを握りつつ
「ええ、それにしても本来の世界で戦闘経験があるというのは本当なのですね。これでもラキオスのスピリット隊の小隊長クラスの力はあるのですけど」
そういい苦笑・・・・そこに
「ここにいたのかセリア・・・それにエトランジュ様も。至急広間にお戻り願えますか?もう一人のエトランジュ様が帰還しましたので紹介いたします。」
「おぅ」
(さて・・・『求め』のユートか。まじかで見るのは初めてだな・・・ふふ)
翌日、城の広間で俺はもう一人のエトランジュがいるらしいとエスペリアから報告を受け、会見しに城に戻ってきていた。
「にしても・・・エトランジュってそんな頻繁に現れるものなのか?」
「いえ・・・本来は4本の神剣に1人ずつで佳織様ですら例外的です。それが・・・新しい第四位剣を持って現れるとなると皆驚いたでしょう。」
「そうか・・・っときたみたいだな」
足音が聞こえている、そして暫くして
バタン・・・とドアを開きセリア、ヒミカと共に男が入ってきた。
野性的な大男、これが第一印象だった。服はこの世界特有の物とやけに長大な剣を背中に背負っている
「よぉ、あんたがユートって奴か、俺の名前はタークだ。まぁよろしく頼むぜ」
といい野性的な笑顔をこの大男は向けた
「ああ、こちらこそな」
『契約者よ、おかしいぞ』
『求め』がなにかを感じたのが、やけに動揺している
(ん?どうした?)
『この者の気配・・・いや、なんでもない』
(?)
そういいつつも『求め』の動揺は収まっていない・・・一体なんだっていうんだ?
「そういえば、5日後にダーツィ大公国に攻撃を仕掛けるんだが・・・あんたも参加するか?まだ慣れてないならいいが。」
ラキオスがダーツィに攻め込む理由は、宿敵であったバーンライトと同盟国であったこと、それが理由らしい。もっともラキオス王の領土拡大目的が一番の理由だろうけどな。
そういうとセリアがずいっと前に出て。
「いえ、ユート様。この方はとてもお強いですよ、私が模擬戦であっさりやられるほどに・・・」
俺はちょっと驚いた・・・・。セリアを一蹴する力があるのは、俺を含めてラキオスには殆どいない。
「へぇ・・・なら期待しているぜターク。ただ1つだけ約束してくれよ。・・・絶対死ぬな」
「ふん・・・その点は心配ない。俺自身、生き残ることに掛けては自身がある」
そして会見は終わり・・・
ダーツィまでは2日でたどり着く為、3日間の休息日となった
「朝ですよ〜、ターク様もおきてくださいです」
「ん・・・ああ・・・それじゃあ下に下りてるぞ」
「はい」
ターク様が部屋を出て行った後・・・。
「さーて、お布団をただんで行きましょっと。・・・でも男の人と同室で寝るのって緊張して困ります・・・ふぁぁ」
弱音を吐いてしまいました・・・。
今日は食卓には3人以外全員揃っています。
「おはようございます皆さん、あれセリアさんや姉さん達いないですけど・・・?」
「あ〜ヘリオンだ、おはよ〜」
「はよ〜」
「ネリーちゃん、シアーちゃんあの3人はどうしたのかな?」
そういうと・・・上を指差す
「こらぁ、ハリオンさっさとおきなさい!!」
「そうです、早く起きてくださいな。訓練に遅れますよ?」
「うーん・・・後3日眠らせてぇ〜」
「「寝させられるか!」」
・・・・何処で寝ていてもこれなんですね;;
「・・・・・そういえばヘリオン今日の休息はどうすごすの?」
「どう過ごすんですか?ヘリオン姉様♪」
二ムとクゥちゃんがそういってくる。なんかクゥちゃん二ムのこと、気に入ったみたいだなぁ・・・。
『私はターク様のお付きですし・・・一緒に町の案内とかですね」
「・・・・・・めんどくさそう」
「めんどー♪」
「・・・・・・・・」
なら、いわないでいてほしいです・・・、とその時上から物音が・・・そして、ドガガガガガガ・・・・・・どんっ!と何か重たい物が階段から落ちてきたみたい。
「あ〜れ〜」
「その心配はないわよヘリオン。今日は私が案内しますから」
「まったく、こいつ起きないから二階から蹴り落としてやってるのに・・・宇和ッ!また寝てる!?」
「Zzzzz」
「うわ、顔怖!!」
・・・・涎で顔がすごいことになっています・・・はぅ。
「取り合えず訓練場に行きましょう。皆が待っていますから」
「「はーい」」
訓練後、朝食を食べ終わると、私達はそれぞれの休息へと移って行きました。私はこのまま軽く外を散歩しようとしていると・・・。
(あっ)
「なぁアセリア、珍しい生物がいて気に入ったからってじっと見つめるだけじゃ休みがもったいないだろ?」
「・・・・・・ん」
「まぁまぁユートさん、それにこちらの動物も中々可愛いですよ。うふふ」
「ぱぱ〜これ買って〜♪この喋る鳥〜♪おっもしろ〜い♪」
ユート様と他の3人が露店を色々と回っているのを発見しました、いいなぁアセリア様たち・・・私もユート様と同じ館に住めたら・・・いいのに。
「何見てるんですか〜?」
「え・・・きゃっ!」
横を見ると姉さんと二ムとクゥの3人がいました・・・・気づかなかったです。
「ふ〜ん」
「な、なんですか?」
「いつもユートさんのこと見てると思ってたけどヘリオン、貴方やっぱり・・・うふふ〜」
「うふふ〜」
「・・・どこがいいの?」
と交互に・・・。
「な、な、な・・・わ、私はただユート様を見かけただけ・・・。」
「ふ〜ん、『ユート様』だけを、なのね〜。」
「え、いえ、ユート様たちをですー!。」
そんな会話をしていると、二ム達がユート様の所にいっていて。
「こんにちはユート様〜」
「・・・・・・どもー、ユート」
「ん・・・こんにちは、二人とも買い物かい?」
「いえ、ヘリオン姉さんが覗き見してたので、助けに声かけてあげましょうと。」
「・・・ふふっ」
その瞬間駆け出す私・・・・
「あなたたち何言ってるんですか――!!」
「お、ヘリオン覗き見ってなにを見てたんだ?」
「え、あ、あぅぅぅ」
耳まで真っ赤になり返答に窮するわたし・・・そこに
「ねぇパパぁ〜、これのが可愛いよね♪」
「ん・・・ユートこっちのがいいと思う」
「私はこちらのがいいですがユートさまはどれがいいですか?」
なんか三人ともお互いの好きな物を競っていたらしく、やけに興奮気味です・・・・エスぺリアさんまで・・・・とそこに
「うーん〜、俺はどれも可愛くないような・・・。というかどれでもいいような」
なんて発言をいうユート様・・・・あ、三人の目が・・・・
「パパぁ〜この子可愛くないの〜!?」
「ん・・・ユートなら可愛いというと思ったのに・・・」
「2人共落ち着いて、でも一番ユートさまの気に入った子を飼おうといったのは私ですし・・・それに私もこの子可愛いと思うのに・・・」
迫る2人といじけるエスペリアさん
「ねぇ、二ム姉様あんな発言するのって鈍感ですよね?」
「・・・まぁユートは鈍感で有名だし」
「ですね〜、毎日同居人怒らせて殺されかけるとかいう噂もありますし♪」
「実話・・・・まぁそれがユートだし」
そんな会話が流れるのとは違い緊迫状態の4人
「ぱぱぁ〜オルファのこと嫌いなの!!」
「ユート・・・この子がいい」
「ユートさま、この子にしましょう!」
「あぁ・・・どうすればいいんだ俺は・・・」
と、そこで姉さんが
「ユートさま〜もしよければこの子の買い物に付き合ってもらえます〜?この場は私が引き受けときますから〜」(小声)
「!!・・・本当か!?」(小声)
「ええ〜、エスペリアさん達〜ちょっと〜こちらに来てもらえます〜?」
といい3人の腕を引く姉さん・・・あの人は他人のペース狂わすのが天性の特技だから・・・きっとさっきの争いをうやむやにするんだろうなぁ。
「と、いうわけでこっちに来てくれヘリオン!!」
「え・・・、きゃ―!」
手を捕まえられダッシュで逃走するユート様に引きずられるわたしは、さっきの会話が聞こえてなかったので何がなんだか分かりません。
「ユート様何処に連れて行かれるんですか―――!」
「とりあえず逃げてからだ――!」
それを眺める二ムとクゥのコンビはこう言っていたという・・・。
「ユートさまって情けないですね、姉様」
「・・・・・・よし、へタレと名付けよう。佳織から聞いたけど向こうの世界でだらしない、なさけない奴のことをいうみたい」
「へタレエトランジュ?」
「・・・うん、今後はユートをそう呼ぼう」
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ユ、ユート様なんでわたしをひっぱ・・・ってたんですか・・・?」
結局町の中を手を引っ張られ20分ほど駈けさせられました
「ぜぇ・・・ん・・・買い物に付き合って欲しいとハリオンが言ってたからな。」
「(姉さんおせっかいを・・・)あ、ありがとうございます。でも実はただの散歩で買い物はないんです。姉さん勘違いしていたんですね・・・あはは。」
こんなチャンスに正直に話してしまうのがヘリオンだった・・・
「ん、そうか。なら俺も一緒に散歩に付き合ってもいいか?」
「あ、はい!!喜んで♪」
嘘をつくのは嫌いで断ろうとしましたが、散歩に付き合うというのなら大歓迎です。その後、私はユート様と一緒に町を歩いて見晴らしのいい丘の上にいました。
―――ざざぁ・・・・
「へぇ・・・いい場所だな。風が気持ちいい。」
「えへっ、私のお気に入りの場所なんです。ここだと人間の人たちとあまり会わなくて集中できますし落ち着きますから〜。」
すると少し真面目な顔でユート様が。
「ヘリオンは人間が嫌いなのか?」
「え・・・あは、わたしはそんなわけではないんですが、人間の方はわたしたちと一緒だと嫌な顔をするので近寄りにくいんです。」
「・・・ちょっと前にきいたが、辺境のスピリットは道具以下の扱いだったと聞くが・・・そのせいか?」
「!!・・・いえ・・・でもあの当時のことは余り思い出したくないですから」
私はそういった。実際辺境では私達は道具以下、暴力の矛先として扱われていたんです。つらいことがあると殴られ蹴られそして反抗する子は殺される・・・姉さんと会わなかったらきっと私は完全に失望に取り込まれていたと思う・・・。
(そしてユート様は私をその闇から救ってくれた・・・。)
暗い雰囲気を変えるため、ユート様は明るい声でこういいます。
「そういえばヘリオンとこうして二人で落ち着いて会話するのは2度目だな。前はあの戦争のあとで気分が重かったが今日は休暇だ。楽しく過ごそうか」
「はい♪」
そして私はユート様の世界の話を聞いていた、趣味として料理を覚え始めていたので、その世界の物がどんな感じなのかをきいたり、その世界ではどんなことが好まれたり・・・そして空が赤く染まり始めた頃に。
「そろそろ戻るか、エスペリアがご飯の用意をしてるしな。」
「あ、はいです」
そういって立ち上がり、館に帰還しました。
・・・・その後。
「ユート・・・さっきの答え聞かせて」
「ぱぱぁ〜オルファのだよね」
「ユートさま、さっき逃げた罰としてご飯抜きです。そして質問にはきちんと答えていただきますからね?」」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
『契約者よ、私は情けないぞ』
ということがあったが本編とは別なので省く。